Coolier - 新生・東方創想話

誰か私とマリアージュ

2019/02/08 23:01:02
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 サロンは世界を良い方向と悪い方向に導いてきた。レミリア・スカーレットは屋敷の中にサロンを構えて賢人変人を集めて静かな闘争を眺めようと考えたのだ。
「そうして私のサロンが幻想郷を変えていくわ」
 お嬢様は人里の恐怖が人里の近所に集中しているのが気に入らない。
「サロンを構えたって招待状はまいてくれたんでしょう?」
「ええ、ご主人様」
「ああ、いいわ、”ご主人様”! サロンのオーナーには威厳がなくちゃあね」
 お嬢様はつま先から指先まで「真っ暗闇」に包ませている。日差しのある中で天窓から流れ込む日光を和らげる。パンツスタイルの彼女はタイルの上をコツコツ音を鳴らしながら大股でうろついて客人を待っている。
「ねえ、誰が来たら素敵かしら?」
「と、おっしゃいますのは?」
 私は今日三杯目の紅茶を注ぎながら尋ねた。
「どんな面子なら有意義で生産的で素敵なサロンになると思う? 翌日には噂を聞きつけた文人画家音楽家が殺到して、湖畔の庭にまでパラソルと椅子を並べるはめになるような」
「さあ、私には」
 濃い目に淹れた紅茶はカップの底を隠した。ソーサーにカップを、カップにハイビスカスの花弁を、花弁に白糖を載せる。
「すてきなマリアージュ」
 悪趣味だ。こんな見た目ばかり華やかで本質を見失ったものがお好みなら――
「地底の君主ではいかがです。それから巫女」
「夜の王と地底の王と人類の王の同席ね」
 カップを掴みハイビスカスの香りを一杯に吸い込んで「はあーっ」と惚けた甘い声で天窓を揺らす。
「マリアージュ!」
 ソーサーに土色の紅茶をこぼした。そのまま紅茶に口をつけずカップをソーサーに戻した。飲みにくいんですよね?
「一口目は論客を待つわ」
 うふふ。そう言って三杯目の紅茶を冷ましていく。私が次々お茶を注がなければ、客人の到着の前に薄口で高貴なカップにも蜘蛛の巣が張るでしょう。
 お嬢様はブラックストライプスーツをこの日の為に仕立てた。真っ黒の皮手袋に、革靴もだ。私は彼女の為にさらに十回紅茶を注いだ。それからコーヒーを入れた。ハイビスカスの花弁が切れたから。
「お嬢様。悪趣味な華人の乱痴気騒ぎよりも――」
 膝を閉じて木のベンチに腰掛けるお嬢様にかしずいた。分厚いマグカップいっぱいにコーヒーを注いでベンチに直に置いた。
「静かな夜がお似合いですわ。革命前夜はコーヒーハウスと図書館で過ごすものです」
 私とお嬢様、二人が持つマグカップに天窓越しに満月が飛び込んだ。水面が揺れると、その犯人が戸を拳で叩いた。
「革命には新聞もつきものです!」
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コメント



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1.80奇声を発する程度の能力削除
良かったです
3.90サク_ウマ削除
不思議な味わいがありました。面白かったです。
6.90南条削除
結局誰も来なかったのにちゃんとフォローを入れるところがよかったです
7.90小野秋隆削除
面白かったです。お嬢様の出番はまだか……
8.90モブ削除
このお話のポイントは「お話が始まっていない」というところなのかもしれません。面白かったです