Coolier - 新生・東方創想話

悪党討払小話

2018/11/05 22:26:35
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「あらゆる人間は何者かに師事し、そのなかの一部があらたな師となって次の世代を導く」
 雨が上がって再び往来が増えていたところだ。何人かが足を止めていた。私はそれをそばの油屋の陰から見る。
「私が遠い異国で学んだ術を皆さんにもお伝えしたい。この中から私に代わる師が生まれ、また弟子を取って、またその弟子が新たな師になるでしょう。私はみなさんに仙術を伝えます。皆さんの老化を遅らせることで、いつかは老いが進む速さが零に収束していくのです」
 それはどうやるのですか。人間の一人が声をあげた。「それは秘密。が、言葉だけでは誰も信じないでしょう」
 仙人が手招きすると、また別の仙人が現れて大きいかめをお立ち台の前に置いた。
「ここに水を灌ぐ!」
 仙人が扇子で空を薙ぐとその扇子の先から水が流れ始めた。その水がかめの中に落ちぽぽぽと気味のいい音を立てた。
「かめの水は腐る。川の水は腐らぬ。巡っているからだ。わたしは循環を作り澱みを防ぐ。この弟子もだ。針灸も同じことだが私の力は針打ちとはわけが違う」
 仙人は際限なく水を注ぎ続けるがかめの中の水は水位が上がらない。
「さあついてきなさい。ともに歩もう、仙人への道を」
「こらあっ」
 私が油屋の影から顔を出すと仙人は扇子をたたみ、お立ち台から飛び降りた。そのはずみでかめが倒れた。水があふれる。
「あなたも仙人に?」
「永遠に死を避けるなんて愚かよ。大地に留まることであなたの心はよどんでいくのよ。かめに張った水のようにね」
「私は循環が作れる」
「嘘。そのかめにはみんなに見えない位置に小さな穴があけてあるでしょう。少しずつそこから水を流している。雨が上がったばかりで地面が塗れているから誰も気づかないわ。貴方が水かめをひっくり返してまた穴は見えなくなり、水がこぼれて流していた証拠もなくなった」
 男がかめを起こすと細かい穴がぶつぶつと開いていた。倒れた勢いで土が詰まっていたので、私の指摘がなければだれも気づかなかったろう。
「いつかお前が先生と呼ばれて高額な謝礼を取れると言って邪仙、お前にも高額な礼金を払うように迫るつもりだったんだろう。そもそもお前が死ななきゃ次の師匠になんかなれないいぞ。さあ、こんな邪な者どもは無視して神社へ参拝するのよ! こんな女よりよっぽど霊験あらたかよ!」
 果たして参拝者はわずかながら増えたが賽銭箱には小さな穴をあけられ中身は空にされていた。金の所在は誰も知らない。
二次創作ゲーム「3rd eye」制作中です。
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1.80奇声を発する程度の能力削除
面白かったです
3.100サク_ウマ削除
綺麗に落ちていてとても良かったです
4.90とらねこ削除
オチが良かったです
5.90南条削除
面白かったです
すばらしい落ちだと思いました
せっかく見破ったのに
6.90名前が無い程度の能力削除
綺麗に纏まってて面白かったです
7.100モブ削除
読みやすく、話の流れが綺麗だと感じました。オチがすとんとしていて面白かったです。御馳走様でした
8.100スベスベマンジュウガニ削除
文句なしの100点