Coolier - 新生・東方創想話

燃えよ楼観剣

2005/11/16 22:30:17
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『ご注意のお願い』
この作品は、かなりオリジナルテイストが強いです。
そういうモノがお嫌いな方、申し訳ありませんがご遠慮下さい。

















     『燃えよ楼観剣』
















 秋晴れの午前。
 日差しは暑くもなく、風は冷たくもなく。
 鳥の鳴き声が静寂を過ぎたものにせず。
 生ある者は誰もが眠気を催すような、実に平和な、とある日。


 ひらひらと緑のスカートをなびかせながら、魂魄妖夢はふわふわ飛んでいた。
 特別急ぐ様子もなく、一面の平和を堪能するように目を細めながら、実に
ゆったりとした速度で飛んでいる。


 「平和っていーなー……」
 実に、少女らしくない感慨であった。いや魂魄は半身半霊、半分幽霊で半分人間、
その寿命は人間より長いのではあるが、妖夢はその身も心も少女そのもの。

 そんな彼女がどうにも年寄りくさい物言いをするのは、仕方がないのだ。
 妖夢が仕える西行寺の嬢、幽々子の良く解らない我侭に振り回される毎日。
 やれ春を集めろだとか、宴会するぞとか。集めるのも片付けるのも妖夢の仕事なのに。

 そんな幽々子は、最近『美食』に凝っている。
 とある経緯で虫だの鳥だの獣だの龍だの食べた(食べた?)幽々子は、それ以来美味い物を
求めるようになったのであった。……妖夢に。

 紅魔館のメイド長には及ばないものの、家事全般をこなす妖夢は料理の腕もそれなりに
自信がある。と言っても、家庭料理の枠での話だが。
 だから妖夢が出来る事と言えば、質の良い食材を見つけてくる事くらいである。

 そんな訳で少し前から、妖夢は下界のとある里に頻繁に買出しに行くようになった。
 今もそこへ向かっている最中なのである。

 面倒だ、などと思わない…事もないのだが。
 三日おきに宴会されて、その都度白玉楼の庭を無残な姿にされるよりはマシだと思っている。
 だってあの時の霊夢を見て、不憫と思うよりも先に「会場がウチじゃなくて良かった」と
心底感じたものですから。






 「あー、平和って本当にいーなー……」
 突拍子もない命令をされるより、ずっと平和なのだ。

 里への途中、さわさわとそよぐ草原の上を通る。
 あまりの気持ち良さに昼寝への欲望が湧いてくるが、そこは生真面目の申し子魂魄妖夢、
主を置いて昼寝などという、どこぞの死神のような真似はしないのである。

 そのどこぞの死神は、この時もサボっている所を主に見られ、「きゃん!」などと
その成長しきった体に似合わぬ可愛らしい悲鳴をあげていた、とか。














 この町は幻想郷でも大きな部類に入った。
 様々なものが流通し、商店街ともなれば人が波を作っている。活気に溢れていた。

 鳥と風の音しかしない草原も好きだが、妖夢はこの活気ある賑わいも同じくらい好きだった。
 みんな一生懸命生きていると感じられるから。半分しか生きていないこの身なれど、せめて
気概は彼等に負けぬようにしようと、そう思わせてくれる賑わいなのだ。

 妖夢の周囲に居る者達は主の幽々子を含めて、そういった気を持ってくれない方々ばかり
である。嫌いという訳ではないが、どうにも自分が勝手に気を張る間抜けに思えてしまう
時がある。もしかして一生懸命生きているのは私だけ? などと考えてしまう。

 しかしこうして町に出てみれば、そういうのは寧ろ珍しい人種(人じゃないのばかりだけど)
だと知った。ほら、この世界に生きる人々は毎日を、次の瞬間には今よりもより良い生を送る為に
一生懸命になって歩んでいるじゃないか。

 ここにはそういった『仲間達』が居て、みんなそれぞれ頑張っている。
 妖夢はここへ買出しに来る事を楽しんでいた。そんな頑張り様を見て、自分も頑張ろうという
活力を貰っているのである。





 通りの先に一軒の八百屋がある。
 妖夢がここに買出しにくるようになって、色々な店を渡り歩き、そして見つけた店。
 店主が自分で作り収穫したものが並んでいる。その野菜達は瑞々しく生命力に溢れていた。
 妖夢は一目で気に入り、そして食した幽々子も絶賛した。以来野菜の類は全てここで
揃えている。


 「こんにちわ」
 店先で仕事をする若い男に、妖夢は微笑みながら声をかけた。

 男が振り向く。端正な顔立ちをしているが仕事の所為で土に塗れていた。日焼けした肌と
がっしりした体格。ねじりハチマキが良く似合っている。
 歳はまだ十台の後半といったところだろうか。

 「あ、いらっしゃいお嬢さん。また来てくれたんだ」
 にっこり微笑み返す青年。肩にかけた手拭いで顔を拭く。土はとれても地肌の所為で
相変わらず黒い。



 「最近良く来てくれるけど、この辺の娘じゃないよね? 君」
 商品を物色している妖夢に、青年は気さくに話しかけた。
 「あ、はい。ちょっと遠いところから来ました」
 白玉楼だの何だのは、説明が面倒だし余計な混乱も招くだろうし、何より必要が無いから
説明はしない。
 「以前ここの野菜を買って帰ったところ、私の主がとても気に入りまして。それでここへ
通うようになったんです」
 それを聞いた青年は、腕を組みながら「ほぅ」と感心する。
 「それじゃ、君は奉公人かい? そんな歳で、苦労してるんだなぁ……」
 半霊だの長寿だの本当は(秘密でゴザル♪)歳なんです等は、説明が面倒だし余計な混乱も
招くだろうし、『何より必要が無いから説明はしない』、と。

 「いえ、苦労だなんて……してますけど…あ、いや、これが私の使命ですから」
 ちょっと目を背ける妖夢。その言葉は九割くらい本気である。ここ最近の我侭が残りの一割を
生み出した……かどうかは、生真面目な妖夢の口から語られる事は永遠に無い。

 「………そっか、君はとても良い子なんだね」
 青年は優しく微笑みながら、そう言った。


 どきん。
 一瞬、妖夢の心臓が激しく動いた。

 「え、え、そ、そんな……」
 やや頬を赤らめた妖夢、逸らした視線を戻せなくなっている。

 「よし、じゃあ、今日は色々おまけをしよう!」
 そんな妖夢に構わず、青年は彼女の持つかごをひょいと奪う。幻想郷で屈指の剣豪、魂魄妖夢は
そんな不意打ちにまったく対処できず、易々と奪われてしまった。
 「あ、あ、あ!?」
 何も言えず出来ずの妖夢。その隣で、青年はそのかごにほいほいと野菜を放り込んでいく。

 「あ、ちょ、そんな、こんなに!?」
 やっとその手を掴んで止める頃、すでにかごには山盛りの野菜が詰まっていた。
 「わ、悪いですよ! 私、こんなに貰えません!」
 必死に戻そうとする。しかし体に上手く力が入らず、日頃鍛えた両手は青年の腕に捕まっている
だけであった。
 「いいからいいから。俺は、君みたいな頑張ってる子を見ると応援したくなるんだ」
 「が、え……!?」
 そんな、日頃言われない言葉で褒められ続けて、妖夢の思考はオーバーヒート寸前だ。




 「それにほら、君はそんなに良い器量を持ってるし。いっぱい栄養とって大きくなれば、きっと
凄い美人さんになるよ。保障する」
 にかっと笑う青年。




 これがトドメとなりました。

 妖夢の顔が、茹でたタコのように真っ赤に染まる。


 「よし、こんなものかな? ……あ」
 硬直する妖夢の足元にかごを置いた青年。そこで何かに気付く。
 「…しまった。こんな重い荷物を持って、女の子が遠路遥々帰るのは辛いなぁ」
 んー、と思案する。
 妖夢は固まったままだ。

 「よし、今日は俺も店を閉めて、手伝ってあげるよ」
 青年が自分の胸を叩いて言った。
 妖夢は固まったままだ。

 「……あれ、おーいお嬢さん?」
 動かない妖夢にやっと気付く。目の前で手を振ってみても反応しない。
 「具合でも悪いのか? 長旅の疲れが出たとか?」
 そう言って、青年は、

 心配そうに、

 妖夢の顔を、至近距離から覗き込んだ。



 「!!!!!!」
 やっと妖夢の意識が戻る。
 戻っただけで正常に作動してはいませんが。

 「大丈夫かい、お嬢さん?」
 「だだだだだダイジョウブであります!!」
 言うが早いか妖夢、足元の『重いかご』をひょいと持ち上げる。
 「ああありありアリガトウゴザイマシタ!! ここ今度是非お礼をさせてみょん!!」
 混乱のあまり不思議な語尾を使ってしまった。

 そして妖夢は物凄い勢いでお辞儀をした後、物凄い勢いで走り去って行きました。



 「………元気だなぁ」
 残った青年は、唖然としながらポツリと呟いた。


















 「ぜはーっ! ぜはーっ!」
 町を抜けて、人目の無い街道の端。妖夢が膝に手を付きながら豪快に息を整えていた。
 「ぜはっー! ……ううぅ、死ぬかと思った……」
 いかに妖夢とはいえ、全力疾走で町を走り去るのは過酷だったようだ。二百由旬を駆け抜ける
と言ったって、そりゃスペルカードを使ったらの話。自力でそれに匹敵する運動をしたら、
魔力の代わりに体力を持っていかれるのは、決して暴利じゃ御座いません。
 とてもリーズナブルで御座います。ざわざわ。


 「……はー………褒められちゃった……」
 まだどきどきと動き続ける胸に手を当てる。激しい運動をした所為だけではなかった。
 「……あんな風に褒められたの、おじい…お師匠様以来だな……」



 在りし日々を思い出す。
 まだ妖夢が剣を握ってから幾許も経っていない。
 弾幕もろくに張れないどころか、師匠……魂魄妖忌が用意した木刀の重さに耐えかねて
ふらふらしているような時だった。
 その時はただ、ひたすら素振りをやらされた。来る日も来る日も、ただ、ひたすら。

 そして、それから時間が過ぎて。
 やがて木刀の重さが気にならなくなり、素振りの回数は始めた頃を十倍以上も上回っていた。

 そしてさらに時が経ち。
 妖夢は初めて、簡易ではあるが弾幕を一つ習得した。

 その時、妖忌は優しく微笑んだ。
 その剣ばかり握ってきた無骨で大きな手で、妖夢の頭を撫でたのであった。


 大好きで、憧れていた、大きくてごつごつした手。
 あの青年も、長い農業生活の為に同じような『男の手』になっていた。
 そして笑顔。
 言葉。

 妖忌がそうであったように。
 まるで、自分の事をちゃんと理解してくれているような気がした。

 いや、今はまだ互いの名前すら明かしていないが。

 もしかすれば、彼は自分の全てを受け入れてくれるかもしれない。

 そして、あの妖忌に似た手で、頭を撫でてくれる………




 妖夢、またも茹でタコになる。ボンッと、瞬時に。
 収まりかけてた心臓がまたどくどくと激しく動き出す。

 何だこの感情? 妖夢は戸惑うばかり。

 今まで剣と主の為だけに生きてきた妖夢には、初めての感情であって良く理解出来ない。
 周りに居るのが同性ばかりだというのも原因か、妖夢の性格と百度以上反対側の生き方をしている
者達ばっかりなのも原因か。ただ彼女が幼い事こそ原因か。



 魂魄妖夢、初めて恋をした瞬間でありました。















 自分の中に芽生えた知らない感情。
 それに翻弄されながら、心此処に有らずといった感じで、妖夢は白玉楼の
階段をとぼとぼと歩き上っていた。
 …飛んで帰れば速いし疲れないのだが。とにかく今はゆっくり考え事をしたいという
無意識が、妖夢に生まれて初めてこの階段を歩かせていた。本人はまったく気付いていないが。


 しかし、いくら長い白玉楼階段でもいずれ終わりがくる。
 のったりくったり歩いていてもいずれゴールするのである。

 だが妖夢は自分がゴールした事も気付かない。
 そのまま進んで、『そこ』に顔面から突っ込んでいった。


 ぽよん。

 めっさやわらかい何かが妖夢の顔を受け止める。

 ……ナンダコレ? 霊魂?
 …違うなぁ、霊魂はもっと、ヒヤッてなるもんなぁ……

 体を離してみれば一目瞭然なのに、今日の妖夢はそこまで気が回らない。
 自分の顔を挟むやわらかい何かを、両手でぽよんとタッチして確かめてみる。
 さっぱり解らなかった。

 「おかえりなさい妖夢、今日は遅かったのねぇ?」
 突然、真上から声が聞こえた。
 しかも良く聞きなれた声が。

 「あ、はい、申し訳ありません幽々子さまぁぁぁぁぁッ!?」
 青天の霹靂に全てのつじつまを合わせた妖夢、慌ててそこから顔を離す。
 そことは言うまでも無く、幽々子の胸である。

 同じ女で同じ所に住んでて同じ物食ってる筈なのに何でそんなに育つんだよチクショウ。
 ……という思いはほんの一割。後は主に無礼を働いた事への自戒の念でいっぱいだ。
 いやホントに。信じて?


 「も、申し訳ありません! 少々ぼーっとしてまして、私、その!」
 「本当、あまりにボーッとしてるから、どこまで気付かないのか見てたら、まさか
私の胸に飛び込んでくるなんて」
 「うっ……すいません……」
 「もう、主を襲うなんてハレンチな従者ねぇ」
 「誤解です!!」
 「揉もうとしてたじゃない、えっち」
 「そ、それは違いま…」
 「あら、今日は随分たくさん買ってきたわねぇ」

 妖夢の弁明など聞く気無し。すでに幽々子の興味は、先ほど妖夢が落とした買い物籠に
移行している。籠からはみ出している野菜たちに。

 「あ……はい、今日はたくさんオマケしてもらっちゃって……」
 それを指摘された瞬間、妖夢は急に勢いを無くし、モジモジし始める。

 「…………妖夢」
 「は、はい?」
 「何かあったの?」
 「あ、え? な、何かって何です?」
 「それを聞いてるんじゃないの」
 「そ、そうですね、失礼しました。別に何も無いですよ」
 「そう?」
 「はい」
 「……ふ~ん」

 幽々子は信じていないようだ。
 愛用の扇で口元を隠し、にやにやしている。
 幽々子が事の全てを知っている訳はないと思うが、妖夢はどうも見透かされているような
気がして落ち着かなかった。

 「あ、わ、私、もうお夕飯の支度をしないと!」
 耐え切れず、妖夢は籠を拾い上げると慌てて家の中に逃げていった。


 「……若いわねぇ」
 くすくす笑いながら、幽々子も続いて家に入っていった。




















 さて、それから少し経ちまして。

 大量に買い込んだとはいえ、順当に食べ続ければそう長く保つ訳も無く、
また買い物に行かねばならない時がやって来ます。



 「幽々子様、失礼します」
 書物を読んでいた幽々子の部屋、障子が開く。
 正座した妖夢が、戸を開けた手を戻し一礼。

 「何かしら、妖夢?」
 目線を書から離さず幽々子は答えた。

 「買い置きが無くなりました。今日は下界に行こうと思います」
 「あら、そう」
 そこで、やっと幽々子は妖夢を見た。

 一瞬、きょとんとした表情をする。

 「……え、何か? 幽々子様?」
 「ん…何でもないわ」
 そこに居るのは、紛れも無くいつもの妖夢である。髪型も変わっていないし服も
いつもの物。腰に下げるは人の迷いを断ち切る白桜剣、背中に背負うは一振りで
妖怪十匹を屠る楼観剣。

 なんら驚くような点など無いはずであるが。

 「…幽々子様、今日の私はおかしいですか?」
 「そんな事ないわ、いつも通りよ」
 「いつも通り……ですか?」
 「ええ、いつも通りよ」
 「……そうですか………いえ、では行って来ます」
 「はい、いってらっしゃい」

 やや意気消沈した妖夢は、再び障子を閉めて去っていった。


 幽々子は知っていた。
 今日の妖夢がしていたリボン。いつもの黒ではなく、薄桃色のリボン。
 あれは妖夢が唯一持っているおしゃれだ。服装も髪型も『戦いやすさ』だけしか
求めない彼女が、ただ一つだけ所有する女の子らしさ。

 それを付けて買い物へ?



 幽々子は口元に手を当てて、心底可笑しそうに笑った。

 「本当に、若いわねぇ……」
 目尻に浮いた涙を拭い、また耐えかねて笑い出した。
















 今日も空は綺麗な青一色。
 以前来た時より少し寒くなったような気がする。冬が近いのだろう。
 だが純粋な人間ではない彼女にとって、これくらいの寒気は身震いする程ではなかった。

 妖夢が楽しそうに飛んでいる。上機嫌に鼻歌なぞ口ずさんで、

 「わーたしをー♪ すきでいーてーくれーるー♪ そんなーだれかがー♪」

 それ違う人の歌ですよ。



 いつもと違うリボンが、風を受けてひらひらと舞っていた。




















 さて、そんなこんなで里に着いて。
 妖夢はそこで首を捻っていた。

 いつ来ても活気に溢れていたこの町、
 今日はまるで誰も居ないかのように、シンと静まり返っていたのである。

 いや、本当に人が居ないのだ。
 いつも人波の弾幕を掻い潜る商店街も、今日は人っ子一人見当たらない。
 さらに言えば、どこの店も戸を閉め、重い雨戸で固めてあった。


 目当ての八百屋に辿り着くまで、妖夢はついに一人とも見かける事が出来なかった。


 その八百屋も、他の店や家と同じように閉まっている。
 本日休業の張り紙も無い。

 怪訝に思いながらも、
 「えと、ごめんくださーい!」
 妖夢はそう呼びかけて、固く閉まった戸を叩いてみた。

 すると、中からがたがたと物音がする。
 慌ててかんぬきを外しているようだった。

 がらっと戸が開き、
 いつもの、あの青年が顔を現した。

 「君は……」
 何故か心底驚いている。

 「あの、今日はどこもお休みなんですか?」
 「…いや、そういう訳じゃなくてね……しかし、間の悪い時に来ちゃったね。道中
危険な目に合わなかったかい?」
 「え? ええ、特には……」

 妖夢に危害を加えられるのは、主の幽々子やその周囲に居るような者達……幻想郷でも
屈指の実力者だけだろうが。しかしそれ以外にしたって、ここまで飛んできた妖夢は有害にも
無害にも遭遇する事は無かった。

 「……そうか……あ、ここは危険だから、中に入って」
 青年が招く。いつもの店先で何が危険なのかさっぱり解らないが、妖夢は言われるまま
家の中へと入っていった。


 上がった茶の間は、一言で言えば質素そのもの。
 白玉楼の部屋と比べれば貧相極まりない。だが、まぁ、幻想郷一般で見れば普通か。
 小さなテーブルの横、小さな座布団の上に正座しながら、妖夢は部屋を見回した。

 ……何か、言われるままに上がっちゃったけど。
 考えてみれば、あの人の部屋に上がりこんでるんだ。

 意識した瞬間、またまた妖夢の顔は赤くなった。

 「君が仕えている屋敷に比べれば、小汚いところだろう?」
 声にびくりと反応。
 奥から青年が戻ってくる。その手には盆があって、湯呑みが二つ乗っていた。

 「あ、いえ、そんな」
 必死に首を横に振る妖夢。
 青年は少しだけ笑った。

 「でも少しだけ我慢してくれ、今外は危険なんだ」
 妖夢の前と自分のそこに湯呑みを置く。そして青年は妖夢の反対側に腰掛けた。
 座布団は無い。

 「…危険って、何かあったんですか?」
 まだ少々顔の赤い妖夢が訊ねた。
 「うん。……一週間前くらいかな、この近くに妖怪が出るようになったんだ」


 青年は言う。
 森の中で狩りをしていた男二人が、木々を超える大きな影に襲われた、と。
 一人は喰われてしまったが、一人は命辛々逃げ出せたそうだ。

 そして妖怪の存在を知った町の者は、妖怪退治を生業とする人間に依頼をする。
 ところが。


 「……依頼した次の日に、その人の首が町の入り口に転がっていたんだ」
 「……!」



 その後、何人かの戦士に頼んでみたが、結果は同じだった。

 最後には、彼の妖怪退治を引き受けてくれる者が誰も居なくなった……




 「……こうなったら、もう噂に聞く博麗の巫女とやらに頼むしかないってさ。…そんな
どこに居るのかも、本当に居るのかも解らない人間に、どうやって頼めば良いんだ……」

 妖夢は博麗神社を知っている。
 …確かに、ここは神社からかなり遠い。普通に歩いていったら四、五日はかかるだろう。
 霊夢がこんな遠くまで顔を出すとは考えにくい。あれは幻想郷が危機に陥らぬ限り
自ら動こうとはしない。だから、ここの人達が博麗を噂程度にしか知らないのは仕方が無い。


 「…その妖怪が、この町までやって来たのですか?」
 「ああ、少し前にね。それ以来、夜な夜なやって来ては家を潰し、人を喰って帰るように
なったんだ……」

 知能の高い妖怪は、無闇に人里を襲ったりはしない。
 何人もの戦士を喰ってきたという力のある妖怪でも、である。

 知っているのだ。
 そうすれば、必ず人によって退治されてしまうという事を。

 妖怪は人を襲い、人は妖怪を退治する。それが幻想郷の不変たるルール。知能有る妖怪なら
必ず解っているはずなのである。それなのに人里へこうもやってくるというのは、どうも
その妖怪は本能だけで生きているような奴なのだろう。
 そういう類なら、稀に人里を襲う事がある。そして退治されて、あのルールが不変であると
世界に知らしめる事になるのである。


 ……ならば、その役は私がするべきか。
 妖夢は横に置いた二本の剣をちらりと見た。






 「私が…」
 ドン、ドン!

 妖夢が言いかけた瞬間であった。
 かんぬきで閉ざしたドアを叩く音がする。


 「…済まない、ちょっと待っててくれ」
 青年はそう言うと、妖夢を置いて玄関へと向かっていった。


 「……誰だい?」
 青年が呼びかけると、
 「……私です」
 外から返事が返ってきた。女性のものだった。

 すると青年は慌ててかんぬきを外す。おそらく妖夢が来た時もこうしていたのだろう。

 戸が開く。

 そこには、見たことの無い女が立っていた。長い黒髪が印象的で、物静かな感じのする美しい
女性だった。歳は青年と同じくらいだろうか。

 「……どうして……」
 「…あなたが、私が生贄になると決まってから、会ってくれないから……」

 青年は、後ろで見ていた妖夢をちらりと見た。
 何故か妖夢は視線を逸らし、知らぬフリをする。

 「…こっちに……」
 女性の手をとって、青年は外に出て行った。





 それは、妖夢に聞かれたくない話をするから、だろう。
 妖夢にもそれは解った。

 だが、気になってしまう。
 あの女性は何だろう。彼の知り合いだろうか。
 だとしたら何を話すのだろう。自分から隠れてまで。

 ……そして、生贄って言ったような……


 普段ならたとえ気になったとしても、礼儀を重んじ恥ずべき事はしない。
 だけど、今の妖夢にそんな事は出来なかった。
 置いた剣を手に取ると、こっそり玄関から身を乗り出した。

 あの二人は、近くの古木の下に居る。
 今日の静寂のお陰で、その会話は集中すれば聞いて取れた。





 「……当たり前じゃないか」
 青年が言う。

 「今晩で君とお別れしなきゃならないだろう。……辛いよ」
 「…だから、私は会いに来たの」

 女の両肩を抱く。
 「なぁ、まだ遅くない。俺と一緒にどこか遠くへ逃げよう。あの妖怪が追って来れない遠くへ」
 青年の言葉に、女は小さく、首を横に振った。
 「そんな事をしたら、今度は新たに誰かが生贄にされるだけよ」
 「そうやって、何か有効な手立てが見つかるまで、誰かを犠牲にするつもりなんだ、みんなは!」
 「私が食べられる一晩で、何か解決するかもしれないわ」
 「そうやってもう何人も喰われてしまったじゃないか!」

 青年が女を強く抱く。
 女は青年の胸に顔を寄せた。


 そして青年が何かを言う。
 女は何か答え、目を閉じた。


 妖夢が確認出来たのは、そこまで。
 二人に気付かれぬよう玄関を出て、そのまま走り去っていた。

 最後に聞いた青年の言葉は、


 「俺は君を、失いたくない」

 ……で、あった。
































 町から少し離れた所に、小さな湖がある。
 紅魔の吸血鬼が住む湖に比べれば、まさしく猫の額程度のもの。

 その湖畔に、妖夢が居た。
 膝を抱え、そこに顔を埋めている。


 ……見間違いや勘違いであるはずが無い。

 青年とあの女性は、そういう間柄なのだろう。


 そしてあの女性は、今夜生贄として妖怪に差し出される。


 一時、妖怪を退治してやろうと思った。

 青年が、自分の事を見てくれるようになるかも、と、淡い期待もした。



 女性が生贄にされると聞いたとき。

 妖夢は、


 妖怪を退治するのを、止めようと思ってしまった。

 その自責の念が、酷く胸を締め付けていた。
 あまりに苦しい。窒息しそうに思えるほど。





 「……わたし、最悪だ………」
 ぽつりと呟く。

 もし、こんな様を幽々子に見られたら。
 妖忌に知られたら。

 軽蔑するだろうか。いや……落胆するだろうか。

 「そんなに疚しい人間だとは思わなかった」

 そう言う幽々子の顔が、妖忌の顔が、脳裏を過る。
 妖夢の目から涙がこぼれる。歯を喰いしばって、声を出したい衝動を抑えた。


 何より妖夢が許せないのは、
 未だ、見捨てようという思いが消えない事である。

 あの青年は、あの女性が居る限り、自分を見てはくれない。
 あの笑顔が、声が、ごつごつした手が、自分と違う女性に向けられると思うと
胸が張り裂けそうになった。


 ―――ダカラ、アノオンナ、イナクナッテクレレバ―――

 まるで心の中に悪魔が居て、それが語りかけてくるように。
 何度頭を振っても、自分は最悪だと言い聞かせても、そんな思いがどこからか
ふつふつと湧いてくる。それが許せなかった。情けなかった。
 いっそ腹を切ってしまいたくなる。だがその命は決して自分ひとりのモノでは
ない事、妖夢は重々知っていた。主の言葉無くば無闇に捨ててはならないのだ。

 だから、もう、どうしたら良いか解らず。
 妖夢はとっぷり日が暮れるまで、その湖畔で膝を抱えたままだった。


























 ホウホウと、フクロウの鳴き声が聞こえる。
 三日月が空に輝いている。時折雲に隠れて、その都度深い闇が辺りを包んだ。

 妖夢は膝を抱えたままだ。



 もう、あの女性は喰われてしまったのだろうか?
 それとも、青年とどこかへ逃げたのだろうか?

 私は帰るべきか?
 町に様子を見に行くべきか?

 こんな穢れたこの身、もはや幽々子様に見せる事は憚る。

 だからと言って、町に行くのも我慢出来なかった。

 結局、こうして膝を抱えている事しか出来ないではないか……




 妖夢は顔を上げた。
 雲のかかった三日月を見上げたのである。

 体勢がずれて、
 肩にかけてあった二本の剣ががちゃりと落ちた。

 「…あ」


 特に慌てる事無く、妖夢は落ちた剣を拾い直す。

 「…………人の迷いを断ち切る、白桜剣、か……」
 何気なく、その剣を鞘から抜いた。





 突然、白桜剣の刀身が光った。
 「!?」
 持ち主の妖夢も、こんな現象は見たことが無い。
 暗闇に慣れた目では少々眩しかったが、妖夢は何とかその光る刀身を見続けた。

 やがて。

 その刀身に、何かが写り始める。

 映像。

 あの青年が、刀を構えている。あちこち血だらけであった。
 その背に女性が隠れている。


 『死なせるものか!』
 何故か、青年の叫ぶ声まで聞こえた。

 『もういい! もういいから逃げて!』
 『良い訳あるか! 俺は君を失いたくないんだ!! 俺は……!!』

 『君を失ったら、俺だって生きていけないんだ……!!』









 ―――そうか。

 ―――そうだよ。

 何となく解っていたじゃないか。
 あの二人の間に、私が入れる隙間など無いって事―――



 何を瑣末な事、悩んでいたのだろう。

 だったら私が出来ることは―――

 好きだったあの人の幸せを、祝福する事……それだけじゃないか!




 白桜剣を鞘に収めた。そして腰に吊るす。楼観剣を背負えば、そこには
いつもの妖夢があった。直向きに剣を振り続けた魂魄妖夢の姿、が。




 妖夢が町へ向かって飛んでいく。

 その背を、木の陰に隠れて見守っていた人陰は、

 「ふふっ……白桜剣の使い手が悩みを断ち切れないなんて、本当に若いんだから」

 手に持っていた扇を、ぱちんと閉じた。





















 その妖怪は奇怪な、うめくような咆哮をあげた。
 背丈は周りの民家を軽く越えている。
 動くたびにぱきぱきと不快な音を出していた。

 それは、一本の巨大な古木だった。
 根は足のように、枝は腕のように変化している。
 真ん中に顔が浮き出ていた。


 鞭のようにしなる腕が、青年の持っていた刀を弾いた。
 「うわっ!!」
 その反動で青年は吹き飛ばされ、後ろにいた女性の近くに落ちた。

 「ああ……!!」
 女性が青年に駆け寄る。

 「…俺が代わりに喰われるから……」
 「……あなたを失ったら、私も生きていけません」

 「…ごめん」
 「…ううん、ありがとう」

 「……せめてあの世で、一緒になろう……」


 二人は抱き合い、そして目を瞑った。
 妖怪はそんな二人を腕で縛る。ひょいと持ち上げ、自分の顔の近くに寄せた。

 ぐばぁっと、妖怪の口が開く。
 唾液がぽたぽたと地面に落ちる。


 「あの世で……!」
 「うん、あの世で……!」










 一閃が走った。
 それが二人を縛っていた妖怪の腕を切り裂く。

 おおおぉぉぉぉぉぉん…!!
 その痛みに妖怪が鳴く。

 「…!?」
 急に体が自由になって、青年は何が起こったのかと目を開けた。

 自分達と妖怪の間に、一つの背中があった。

 小さな体に似合わない、大きな鞘。
 その中身は、少女の右手に握られている。

 緑色のスカートと、薄桃色のリボンが、風に揺れていた。


 「き……君は…!」

 妖夢は振り返らなかった。
 ただしっかりと、眼前の敵を見据えている。




 妖怪が激昂する。
 その鞭のような腕で妖夢を狙う。

 「……霊木か。長く生きた霊木が、人の血でも吸って化けたか……!」

 迫る太い腕を、
 妖夢は横薙ぎ一つで切り落とした。
 勢い余ったそれは主の体を離れ、遠くの地面に大きな音を立てて落ちた。

 おおおおぉぉぉぉぉ…!!
 またも妖怪は鳴いた。

 妖夢が駆けた。
 剣を構え宙に舞う。

 妖怪の立つ地面が突如割れた。
 中から足の一部…根の部分が伸びる。
 腕よりも一回り以上太く、堅い。

 「!」
 それは迫っていた妖夢の足を捕らえ、動きを止めた。

 その妖夢目掛け、残る枝の腕が振り下ろされる。



 「……妖怪が鍛えし、この楼観剣……!」
 一つ、深呼吸。
 右手の楼観剣を高く構え、

 「切れぬものなど、探さなきゃ無いッ!!」
 薙いだ。

 斧でも困難しそうな太い木の根は、まるで豆腐のように綺麗に切断された。

 迫る腕。
 左手で白桜剣を抜く。そのまま攻撃を受け止め、払った右手を戻し、これも
叩き切った。



 三度妖怪は咆哮をあげる。
 ずるずると後退していく。逃げる気だ。


 妖夢は楼観剣を地面に突き刺した。

 そしてどこからか、一枚のスペルカードを取り出す。




 ―――『人鬼』―――



 宣言。

 「―――未来永劫斬!!」

 スペルカードが激しく光を放つ。
 それは妖夢も包んで強くなる。

 突き刺した楼観剣を再び手に取り、



 「はあああああああああッ!!」


 咆哮と共に、目にも留まらぬ速度で駆けた。




 まるで彼女そのものが剣閃。




 それは逃げる妖怪の足を切断し、
 腕を切断し、

 胴体を宙に浮かせた。


 三日月を背に妖夢が楼観剣を構える。両手で頭の後ろに。

 眼前に四肢を失った古木の妖怪。宙に上がる勢いは衰えず。

 それに向かい、



 「斬ッ!!」



 振り下ろす。



 大木は、真ん中から真っ二つに割れた。







 轟音と共に二つの木が落ちる。
 その中心に妖夢は降り立った。

 楼観剣を背中の鞘に収める。チンッと音が鳴った。

 両脇の木は、しゅうしゅうと音を立てながら煙になって、やがて完全に消えていった。








 青年と女性は、呆気にとられて見ていた。

 妖夢が、そんな二人に顔を向ける。





 にっこりと、優しく微笑んでいた。






























 月が沈み、朝日が少しだけ顔を出す頃。
 妖夢は白玉楼の階段を、とぼとぼと歩き上っていた。

 結局、何も言えなかった。
 遅れてごめんなさい、とも。
 お幸せに、とも。
 もう、会いに行く事など出来ないだろうに。


 自分の醜い部分を知ってしまった。
 こんな自分が、主にどういう顔をして会えば良いのだろう。
 明日から、どういう顔をして生きていけば良いのだろう。





 妖夢はまた、自分が階段を上りきった事に気が付かなかった。

 そして、白玉楼の入り口に立っている者の事も。


 ぽよん。
 再び顔面があの感触に包まれた。

 「!!」
 今度は流石に、すぐ顔を離す。

 思った通り、そこには幽々子が居た。


 「おかえりなさい、妖夢。随分遅かったのね?」
 「……申し訳…ありません……」

 声を出してみて、妖夢自身が驚いた。まるで泣き出しそうなほど震えた声だったのである。

 「……あら、今日の買い物は?」
 幽々子はそんな様子など気にせず、普段通り喋る。
 「あ………すいません。今日は……何も買えません、でした」
 俯く妖夢。
 今、幽々子の顔を直視できない。する事は許されない、きっと。

 「…急いで、何かあるモノで食事を作りますから……」
 そう言って、妖夢は幽々子の横を通り家の中に入ろうとした。




 「……あなたのした事は良い事よ、魂魄妖夢。胸を張りなさいな」

 幽々子の言葉に、妖夢の動きが止まった。


 「疚しい心なぞ、人は誰だって持っているもの。だけどあなたは、それに負けないで
辛い事に正面から立ち向かった。それは褒められる事よ」



 ……ゆゆこさま。
 ……だめです……

 ……いま、そのようなお言葉をかけてもらったら……





 ぎゅっ…
 振り向かぬ妖夢の肩から手を回して、幽々子はその頭を優しく抱いた。

 「辛い事があったら、お泣きなさい。あなたはまだそれが許されるのだから」







 それが、崩れまいと必死だった妖夢の気を払った。




 「……う、うぇぇ、ふぅえぇぇぇぇぇぇぇぇっ……!」

 その両目から大粒の涙がこぼれ落ちる。際限なく、いつまでも。


 「えぐっ、うぐっ、えぇぇ、うううぅぅぅぅえぅ…!」

 「うう、えぅ、うぅぅ、えうぅぅぅぅ……!」



 よしよし、幽々子は妖夢の頭を優しく撫でた。




 はらり、と。
 冥界白玉楼に、初雪が降る。

 妖夢が流す涙のように、大粒の雪。



 何故か不思議と温かさを感じる、そんな少し早い初雪であった。





 ~終~
うーん、前作品集には間に合わなかったか……
もっと早く色々出来たら良いのになぁ、などとは常々思ってます。

今まで冥界組を一回も書いた事がないので、てのが今回の話を
思いつくきっかけだったのですが。
んー……豆蔵は妖夢も幽々子も、キャラを間違えているような
気がしてなりません。

今回も本当に、好き勝手やらせて頂きました。
好きでやってるくせに投稿する時は毎度ビクビクしてます。
前回よりは良い物出来ただろうか、とも。

では、毎度の事ながら、
お目汚し失礼致しました。
豆蔵
[email protected]
http://www.geocities.jp/oityang/
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コメント



0.5080簡易評価
1.100名前が無い程度の能力削除
いやいや、キャラ立ていい感じですよ。二次創作では一番重要な部分ですし
もちっと自信もってもいいんじゃないですか?

しかしい~ですねぇ、若いってのはw
5.80名前が無い程度の能力削除
うーん、若いっていいなぁ。
自分も若いはずなんだけどなぁ、うーんorz

あとゆゆ様の胸もいいなぁ。
7.100くま削除
おおおー
うるうる来ました。若いって・・・いいなあ。
10.90名前が無い程度の能力削除
若いなぁ・・・。
・・・いや、俺も若いはずなんだがなぁ
12.90空想と幻想の混ぜ人削除
いいなぁ・・・          胸
15.無評価名前が無い程度の能力削除
涙がポロリ。
ほろ苦い・・・。
18.70名前が無い程度の能力削除
「妖夢、色を知る歳かっっ!!」

幽々子様の包容力には本当に心打たれます。(上記のセリフとこのコメントに関係はありません)
25.70ABYSS削除
…真っ直ぐであろうと、綺麗であろうと。
そう思う心は、時に自分を傷つける。それに膝を折るか逃げ出すか、それともそれすらも飛び越えてしまうのか。
人として弱い私は、遠い昔に逃げてしまったわけですが…。
そんな弱い人間からすると、彼女のような真っ直ぐさがとても眩しいと思うのです。

胸にしみるお話でした。ありがとうございます。
29.70名前が無い程度の能力削除
若いねぇ…だがそれがいい。
33.70名乗らない削除
若いな・・・だがこれで一歩成長できたはず。
失敗や挫折は次の糧にすればいい。それで学べぬものはただの愚か者だ。
38.80名前が無い程度の能力削除
若いっていいなぁ('A`)オレモ若イハズダガ…
眩しすぎる妖夢と優しい幽々子様でお腹いっぱいです。ありがとうございました。
39.80名前が無い程度の能力削除
いい作品でしたw。でも自分としては、妖夢ならまず恋心との葛藤があるような気がします。そんな感じで70点。

「切れぬものなど、探さなきゃ無いッ!!」でウケましたw
この一言で+10点w
41.90名前が無い程度の能力削除
いやはや、若いっていいですねぇ~w
42.70七死削除
妖夢は本当に、勝手に初恋→勝手に惨敗→それでも元気良く立ち直り、が似合うおなごよのう(ノД`)。

ちょいと贅沢を申せば、生贄を助けに入るシーン、もう少しじっくり練って欲しかった所ではありますが、まあ酸いも甘いも知ったばかりの未熟者には、これくらいのタイミングが精一杯の等身大なのかも知れませんね。
47.80銀の夢削除
――例えばそんな、恋のお話。
ちょっとだけ妖夢が大人になれたお話。半人半霊の、1枚の写真のような思い出。
お見事でした。いつも氏の作品は魅力的だ。
序盤の展開でどうかな? と思ったりしましたが、そうきましたか。
兎角いえるのは、人は自分の弱さを知って、成長していく…ということですね。
58.80aki削除
「ふふっ……白桜剣の使い手が悩みを断ち切れないなんて、本当に若いんだから」
↑この一言はすばらしい。

で、重箱の隅をつつくようで申し訳ないのですが、
「未来永劫斬!!」って言ってから「斬ッ!!」という台詞があったことが気になりました。
「未来永劫…」で切って「―斬ッ!!」…や、これも変ですか。

ともあれ、とても面白い作品でした。
…あ、妖夢は結局青年の名前を知ることがなかったんですね…。
63.100都市制圧型ボン太君削除
妖夢の幼さと幽々子様の優しさが作品の中で見事に
噛み合っているようで良いですねぇ。
70.90名前が無い程度の能力削除
あー! あー! あー!
初恋妖夢! 初恋妖夢!
73.80まっぴー削除
>aki氏
でしたら、「未来――」「永っ!」「劫!」「斬ぁぁぁぁん!」
と四つに分けてそれぞれを一つずつ入れ、二度目の「斬」に最後の叫びを入れてみてはどうでせう。
いや口出しはあかんな。

妖夢、ようやく甘く酸っぱい果実を食したのですね。
いやはや、若いですなぁ。私なんて……
76.無評価豆蔵削除
読んでくださった皆様、そして毎回温かいコメントを
くださる皆様! ありがとうございますー!
ああ、この言葉の他に感謝を表す言葉は無いものか。
できれば全てのレスにお返事を返したいところですが
長くなってしまう為、一部だけ。

>七死さま
仰る通り、今回は少々捻りが足らなかったと自覚しております。
むぅ気を付けねば…

>銀の夢さま
ものすっごい格好良い紹介文、ありがとうございました!

>akiさま まっぴーさま
実は私、スペルはカード名を『宣言』しなければ使えないって
勝手な設定で書いています。ので、未来永劫斬を宣言した後に
「斬」と言わせてしまいましたが、うん、これおかしいですね。
最初は「やあぁぁぁぁッ!!」とか言ってたのですが、その前に
シャウトがあるので妖夢がうるさいキャラに見えて、それで変更
しました。ので、近い内に良い変更案があったら改良します~

長々失礼致しました。でも最後にもう一度だけ言わせて下さい。
読んでくださった皆様! 本当にありがとうございましたー!!
82.80袴田削除
始めはコメディで、最後はしっとりとした終わり方で締める。
良い感じに余韻が残って、読後感は大変良かったです。
「ここ今度是非お礼をさせてみょん!!」の一言がツボにはまりましたw
91.80初心者削除
妖夢の誠実さ、真面目さがよく出ていました。お見事です。
切ないですが、やはり恋や愛はいいものだと思いました。たとえ成功するにしても、敗れるにしても・・・。
豆蔵様、次回作も期待しております。
106.90真十郎削除
妖夢の涙に感動したっ!
117.80名前が無い程度の能力削除
これは切ない初恋のお話……いいですねえ。
緩急がハッキリしていて非常に楽しめました
118.90自転車で流鏑馬削除
ちっちがっ、この涙はあくびッ。そう、あくびで出たんだからねッ!!
127.90名前が無い程度の能力削除
ぜんOREがないた
131.100名前が無い程度の能力削除
妖夢・・・俺の胸で泣kw(未来永劫斬!!)ピチューン

面白かったです!