Coolier - 新生・東方創想話

文と椛と河城にとり

2018/06/04 20:26:41
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「ちょっと御手洗に行ってくる」

……。

「文さん、どうしましょう。にとりさん絶対怒ってますよ」

「椛もしつこいですね。怒ってませんってば、絶対」

「絶対怒ってますよにとりさん。だって、朝会った時から全然喋ってくれませんし」

「そんなことありませんったら、私が保証しますよ」

「もう!どうして文さんはそこまで言い切れるんですか」

「にとりさんとは長い仲です。分かるんですよなんとなく。それに私達、にとりさんを怒らせるようなことは何一つしてないじゃありませんか」

「そんなこといって。私だってにとりさんとは、その、それなりに仲がいいと自負してますけど、あれは絶対怒ってますよ」

「それなりに、でしょう?私はにとりさんとは〝すんごく〟仲良しなんですよ。その私が言うんです、間違いありませんってば」

「だから!文さんのそう言う無神経さがにとりさんを知らず知らずの内に怒らせてしまってるんですって!」

「なんでそんなことが言い切れるんですか?証拠があるんですか?ちょっと嘘つくのやめてもらっていいですかね」

「ああ!この人はこれだから!そういうところがにとりさんを」

「ただいま」

……。

「あれ。二人して黙っちゃってどうかしたのか。それに、料理にも手をつけずに。せっかくの外食なのに、冷めちゃったらもったいないぞ」

「二人が食べないなら、私が貰っちゃおうかなー」

「あ、あぁ、どうぞどうぞ」

「……うーん、やっぱりいいや」

……。

「あのですね!実を言うと、この犬っころがにとりさんが怒「文さん!」

「椛!止めたところでもうどうにもなりません!見てください!にとりさんのあのきょとんとした表情を!言わせてもらいますよ、私は!」

「文さんってば!いや、違うんですよにとりさん、私は別に何も「にとりさん!この犬っころが言うには、にとりさんは〝怒っている〟らしいんですがね!私はそうは思っていないんですよ!にとりさんと仲のいい私にはわかります、にとりさんは怒っていない!ほら、そうでしょうとも!」

「いや違うんですよにとりさん、私はなんだかにとりさんが今日は無口だなーと思っただけで、もしかしたら何か気に触るようなことを言っちゃったのかなーなんて思っただけで」

「……わたし、怒ってるように見える?」

……。

「いやぁ私はそうは思っていませんよ!にとりさんとは長い付き合いですからねえ!にとりさんは怒ってません、そうでしょう?」

「文さん!……ごめんなさいにとりさん、文さんが何か気に触るようなことを言ってしまっていたのなら謝ります。うちの天狗が、本当にごめんなさい!」

「……そっかぁ、私、怒ってるかぁ。ごめん、少しまた御手洗に行ってくるよ」

……。

「……文さん!あなたはどうしてああいう場面でああいうことをしちゃうんですか!」

「だって、椛がにとりさんとの仲の良さで張り合ってくるから」

「別に張り合ってないじゃないですか!そもそも、始めに張り合ってきたのは文さんじゃないですか!」

「そんなこと言われましても……。ああ!どうしましょう椛、やっぱりにとりさん怒ってますよ!ああ、あんなこと言わなきゃよかった。どうしましょう、椛」

「だから言ったじゃないですか、にとりさん怒ってるって!もう、知りませんよ、私は。ちゃんと謝って許してもらうしかないですよ」

「ちゃんと謝るって言ったって、私、何か気に触るようなこと言いましたかねぇ。ああこうなると、全てが思い当たらないようで、全てが思い当たります」

「知りませんよ私。文さんはいつもそうなんですから。もう、直接本人に聞いてみたらどうですか?」

「椛が聞いてくださいよう」

「なんで私が聞かなきゃいけないんですか!ご自身で聞いてください!」

「無理ですよう。だって、にとりさん怒ってるじゃないですかー」

「またそんな情けないこと言って!私は絶対聞いてあげたりしませんからね!」

「ただいま」

……。

「ほら文さん、早く聞かないと!」

「無理ですって!椛さんが聞いてください!」

「私だって無理ですよ!じゃあもう、謝るだけ謝ってください!」

「えー!理由もわからないのに謝ったって意味がないじゃありませんか!」

「いいから!早く!」

「えー」

「早く!」

「……あの、にとりさん。今日私がにとりさんに対して何か失礼なことを言ってしまったのなら謝ります。どうもすみませんでした」

「言ってしまったの〝なら〟ってなんですか!言ったんですよ文さんは!気に触ること!だからにとりさん怒ってるんじゃないですか」

「そ、そんなこといわれましても。あ、ああいえ、にとりさん!私はですね、どうもそのぅ、気付かぬうちに人を傷つけるような言葉を発することがよくあるようでして、それで、そのぅ」

「よくあるようで、じゃなくて、あります!文さんにはそういうところがあります!」

「あ、ああ!私は気付かぬうちに人を傷つけるようでして!その、なんといいますか」

「怒ってないよ」

「え?」

「私別に、怒ってない」

……。

「ごめんなぁ。私、今日ちょっと、そのぅ、体調が良くないんだよ。でも、せっかく二人と外食に行く約束をしてたもんだからさ、楽しみで、少し無理してきちゃったんだけど、やっぱり、二人に迷惑かけちゃったみたいで、ごめんな」

……。

「いやいやいや!いいんですよにとりさん!こちらこそすみませんでした!勝手に怒ってる、だなんて誤解しちゃって!」

「そうですそうです!にとりさんが気にすることはありませんよ!こうなったのも、元はと言えばこの犬っころが悪いんですよ!気にしないでくださいね、にとりさん!いやぁ、すみませんでした!」

「文さん!……でも、文さんの言う通りです。私が勝手に誤解しちゃったから。にとりさん、本当にごめんなさい」

「いいよいいよ。こっちこそごめん、誤解させるようなことして。でもやっぱり、今日は帰るとするよ。ごめんな、二人とも」

「大丈夫ですよにとりさん、気にしないです。また今度、一緒に来ましょうね!……でも、そんなに体調良くないんですか?心配です。一人で帰れますか?」

「あ、あぁ、うん。大丈夫だよ」

「本当ですか?どこか痛むんじゃないですか?」

「大丈夫だってば、一人で帰れるよ」

「……うーん。やっぱり心配ですね、私たちも一緒に帰りましょうか、椛」

「そうですね、よく見ると顔色も良くないし……」

「だ、大丈夫だったら!……そのぅ、体調が悪いっていうのもだなぁ、ええと。その、二人は天狗で、河童なんかより全然長生きだから、あんまりわからないことなんだろうけど。その、なんだ。河童は天狗より、所謂〝代謝〟の周期が早いんだよ。……とにかく、私は一人で帰れるから。それじゃ」

……。

「それは、その、すみませんでした」
「すみませんでした」

そう言って、河城にとりは店を後にした。
そして、結局気まずい雰囲気のままの二人組が店に取り残されたのだった。
ありがとうございました
連投すみません
精進します
kodai
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コメント



0.50簡易評価
1.無評価名前が無い程度の能力削除
怒った表情と調子の悪い表情は別物だよ
2.40創想話好き削除
ここでいう代謝はおそらく生理痛か
何とも言えないディスコミュニケーション

(……。邪推かも知れないけど現実の作者さんも窮屈に生きてやしません?
もしそうならあんたを疲れさせるだけの社会など蹴っ飛ばしてしまえと言いたい)
3.90名前が無い程度の能力削除
わろた
なんとなく最近はやりのMMDドラマらしさを感じます
4.60名前が無い程度の能力削除
クスッときました
5.70KoCyan64削除
漫才のようなやり取り、相反している文椛の掛け合いはとても微笑ましかったです。
後半は少しセリフが長くて読みづらかったです。
6.80仲村アペンド削除
テンション高く言い合う椛と文の会話が良かったです
7.80怠惰流波削除
最初のフックは引かれました。その分、オチが少し弱い印象でした。

地の文なしで、わーわー言い合い口論の試みは成功していると思います。
8.40名前が無い程度の能力削除
作者の中では会話以外の部分も脳内で補完されてるのだろうから、ぜひその部分も文章にしてほしいと思いました