Coolier - 新生・東方創想話

棚の完成

2017/08/27 22:16:27
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「高さ百十センチ、幅三十七センチ、奥行き十七・五センチ。パルプボードラック。それぞれの部材を確認し、取扱説明書通りに正しく取り付けてください。組み立ては十分なスペースを確保し、敷物を敷く等をして床や既存の家具に傷が付かないよう、十分注意しておこなってください。組み立ては必ず二名以上でおこなってください。ネジの形に合ったドライバーをご用意ください。ネジの形に合わないまま作業をおこなうと、ネジを破損する恐れがあります。ネジを締め付けるときは少しきつめの方が綺麗に仕上がりますが、あまりきつく締め付けると板の割れやネジの食い込み等の問題につながりますので十分にご注意ください……」
 そこまで読み通したところで私は後をやめにして、「取扱説明書」と書かれたその紙から顔を上げた。差し向かいに座布団を敷いて正座しているメリーは、なおも床に広げられた説明書の上に熱心な視線を注いでいるが、これ以上はどんなに熱心に読んだところで組み立てに際しての詳細な注意事項が分かるだけのことだろう。それもほとんどはあえて注意してくれるまでもないような当たり前のことばかりが書かれている。
「やっぱり、何も変わったところなんてない、ただの棚にしか思えないわね」
 そう言った私の声には落胆や侮りよりはむしろ、一層高まる期待や興味の調子が表れていたが、私はそれを自分ながら奇妙なことに思った。
「ええ、そうよ。私だってはじめにこれを買ったときは不思議とも何とも思っていなかった。店には似たような棚や家具がいくらでもあったし、その中でも出来るだけ主張の少ないデザインを選んできたつもりだったのよ」
 説明書の上にうつむきながらメリーが言ったことに、私は何か意味のあることを付け加えるつもりで「あるいは、ここにあるのは本当にただの棚なのよ」と言ったが、一体この場合ただの棚なんていうものがどんな形で実際にあり得るのか、ちょっと考えても分からなかった。
 メリーも同じようなことを考えたらしい。傍に重ねられた大小合わせて十一枚の板に目をやり「ただの棚なんかじゃないわ」と言った。
「少なくとも私にとっては、この棚は驚きよ」
「驚き?」
 耳に入った表現を舌の上で確かめるように繰り返し、メリーの視線の後を追う。
 説明書のパーツチェックリストに沿って確認したところによれば、これらの板は全部で五種類ある。最も大きく分厚い側板が二枚、薄い背板が二枚、天板と地板を兼ねたものが二枚、中棚が一枚、組み立て後に取り付けるための可動棚が四枚。いずれも同じパルプ製で、指で叩くとポコンポコンという安っぽい音がした。見た目もやはり説明書と同じく何の特徴もない、最も素直で単純な組立式棚である。あえて特徴を挙げられるとしても、十二箇所のネジ止めだけで完成するという、その徹底した単純さくらいのものだろう。
「この棚が一週間前に買われてきて、こうしてまだ完成せずにおかれてるというのがどういうことなのか、まだよく分からないのよね」
「まさに見てのとおりよ。完成させられないの。それが問題なの」
「完成させられない?」
 メリーの不可解な言葉に、また私は自分に聞かせるためのおうむ返しをしなければならない。しかしメリーはこれ以上の説明はせず、頰に手を当ててしばらく何かに迷ってから「まあいいや」と肩をすくめた。
「これ以上は見てるだけじゃ分からないから。蓮子ちょっと組み立ててみてよ」
「二人で作った方がいいんじゃないの? 説明書の注意に従うなら……」
「ああそれは、ネジ止めするときに支えてくれる助手がいたらやりやすいかもしれないけど、基本的に全部一人で作れるわ。私だってもう何度も一人でやってるもの」
 そう言いながらメリーは立ち上がって流し台の方へ行き、冷蔵庫からオレンジジュースのパックとグラス二本とを取り出した。自室では常にグラスを冷やしておく習慣があるらしい。グラスに注がれる液体の中に、ベランダの窓から反射する夏の日が映って赤く光った。
「見て欲しいものがあるから」と電話で急に呼び出されてわざわざ家まで出向いてきたというのに、肝心のメリーが平気な顔をして向こうへ行ってしまったのでは少々気が抜けてしまったが、ともかくも棚の部材を手に取り上げてみることにする。付属の大ネジとダボをまとめて入れている紙箱は、よく見るとオレンジジュースのパックを切ったものだった。
 さて、実際に組み立ててみる段になると棚の構造はやはり単純なもので、説明書を読むまでもなく直感的に部材同士の関係性を知ることができた。
 まず、棚の天と地になる二枚を選び出し、大きな側板一枚の両端にそれぞれ直角に当てる。そして側板の上から空いた穴を通してネジ止めをすれば、当てた板は固定出来る。中棚も同様の手順で側板の中央にネジで固定される。ここまで出来れば後は天板、地板、中棚に掘られた溝に沿わせて背板をはめ込み、一枚残ったもう一方の側板で蓋をしてしまうだけで外形は完成になる。あまりに単純すぎてほとんど作り損ねる余地さえないのだった。
「見てなさいメリー。こんなものすぐに私が完成させてあげるわ」
 私は髪をまとめて床の上に膝立ちになり、プラスドライバーを右手に持って働きはじめた。その間には、何の障害もなく手を動かしていることが出来たのだった。パルプの板はとても軽く、積み木で遊ぶように片手で容易に取り回せる。入口の直径に余裕を持たせたネジ穴には挿し込んだ大ネジが真っ直ぐ入り、締めるときも角度が歪む心配はない。ネジを締めている間に板を支えておく役目も、メリーの言う通り左手さえ動かせれば一人で十分務まった。
 そうして天板と地板の左側を側板に固定し終え、同様に中棚にネジを通そうとしたときだった。私は五本目のネジをつまみ出した右手の中に、微かなむず痒さのようなものを感じた。もっともそれは、後になって思い出すと既に感じはじめていたらしい、という程度の変化であって、そのときの私にとって作業の手を止めて怪しむほどの違和感ではない。ドライバーを握りしめている指に血が集まっているのだと思うだけで無視できることだった。
「順調のようね」
 グラスを両手に持ったメリーが元の席に戻りながら言った。ふいと視線を上げて見たその顔には特に表情はなく、かといってわざと表情を抑えて何かを待ち受けているという様子でもない。ひたいに汗が流れて、視線を下げた。
「順調よ。何の問題もないわ」
 しかし、続いて五本目のネジを回しているとき、今度は明確に気づくことがあった。ぐるりぐるりと回転しつつ沈んでいくネジの頭を見、ネジの螺旋が木の隙間に引き締められて鳴らすキュッキュッという高い音を聞きながら、私は、自分が今目の前の作業に心地よい充実感を覚えているということに気づいた。
 ドライバーを回しながら手に応える感触は強くはなく、弱すぎもせず、夏休みの午後に友達の部屋へ来て家具を組み立てている私の落ち着いた心にはよく馴染む着実さで力が伝わっていく。そして締め終わってみれば、二枚の板は私の巻いたネジによって、ほっと満足するほどにしっかり繋ぎ合わされている。それらは他人から見ればいかにも他愛ないことかもしれなかったが、作っている当人、私の心には間違いなく本物の喜びを沸かせていた。
 メリーの言っていた「驚き」の意味が、だんだん分かりかけてくる。
「この棚、すごく綺麗に出来るのね」
 ふと、そう思ってネジの頭を上から指で撫でてみる。奥まで締め込んだネジは板の表面にぴったりと埋まり、ほとんど凹凸を残していない。手作業に伴いがちな歪みも見られず、自分ながらどうしてこれだけ上手にやれたのか不思議になった。
 今度は二枚の背板を取って、天板と中棚、中棚と地板、それぞれの間にはめ込んでいく。背板の入るべき位置には細い溝が彫られており、この溝の中に固定する工夫になっているのだったが、このとき手の中にある部材同士はすらりと抵抗なく噛み合って滑り、完璧な位置で動かなくなった。私の手のひらにはじんと痺れたような余韻が残り、思わず「あっ」と声が漏れた。
「なるほどこれはすごい。なんて表現すればいいか分からないけど、驚いたわ」
 そう言ってメリーの表情の変化を探りながら、私の胸中は正確にはまだ驚きより困惑が主として占めていた。ようやく認識出来るようになりはじめたこの棚の特別さが、予想していたよりもかなり繊細で微妙な点に表れていたもので、表現の仕方が分からない、というよりは、自分が気づいた事実がメリーと同じ事実かどうかをすぐには確信出来なかったのだった。
「ええ、この棚はなんというか、すごく精巧に、気持ちよく出来てる。そうでしょう?」
 私の困惑を予期していたかのように親切な返事をして、メリーはオレンジジュースのグラスをこちらに差し出した。私は共感を得られた嬉しさに思わず何度も首肯しながらそれを受け取る。
「蓮子はどこが好き? 私はそこの背板をはめ込むところなんだけど」
 こんな奇妙な質問にも、今の私は抵抗なく応じることが出来た。
「このネジを回してるときかな。一本一本締めるたびに保持力が高まってくるのを感じられるし、ネジの頭が綺麗に揃うのも気分いい。でも確かに板をはめ込むときもすごく良かった。もう一回最初からやりたいくらいよ」
 つい嬉しさに堪らず口数を多くした私に対してメリーはグラスを置いて腕組みしながら「うんうん、そうよね」と何かを許すかのような穏やかな顔で相槌打っている。「組み立ての後に可動棚を載せるためのダボを刺す作業があるから、それも楽しみにね」
 異様な会話には間違いなかっただろう。
 ふいと喉が渇いていることに気づき、グラスのオレンジジュースを一口で飲み干してからまた作業に戻る。次の工程は棚の右側に当たる側板をネジ止めすることだが、これにもやはりところどころに精妙な楽しさが仕組まれており、私は先程までの口数と打って変わって黙々と手先に集中した。手際よく進めるネジ止めには、呑気な遊びの気分でするのとは違った手応えがあり、ネジもまたキッキッと切れのある音を鳴らしている。そうして隅々まで隙間無くはめ込まれた側板の上から六ヶ所のネジ止めを終え、これで棚は箱の形をして立つようになった。
 残るは可動棚の設置のみになる。これは棚の内側に点々と空いた穴に小さな金属のダボを刺して可動棚を載せる仕上げの作業であるが、私はそれをしながらこの棚の完成が惜しいとさえ思った。
 ダボはすんなりと穴に埋まってくれる。それでいてぐらつくこともなく、まるでパルプ板と溶けあったかのように落ち着いていた。左右二箇所ずつ刺したダボの上に可動棚を置くと、コロンと木琴のような音をたてて小気味好くそこにはまった。段の上下幅はメリーの希望で文庫本の収まる高さに調整した。作業はリズミカルに四度反復され、瞬く間に中棚と可動棚合わせて五段の本棚が完成した。
 私は最後の可動棚をはめ込んだ瞬間、水面から顔を出した人のように大きく息をして「出来た!」と叫んだ。メリーは相変わらず腕組みして頷いている。
「出来た出来た。なんだ出来るじゃない」
 作りはじめてから完成に至るまで五分も経っていない。見た目はやはり特徴の無いありふれた棚でしかなかったが、私にとっては既に愛着を抱かせるようになった棚がそこに出来上がっている。
「ねえ、出来ちゃったわよ」と私は改めて呟く。「完成させられないなんてメリーが言うからよっぽどおかしな仕掛けでもあるのかと思ったら、作ってて楽しいし、あっと言う間に終わったじゃない。それとも冗談のつもりなの?」
 私の問いかけにメリーは慌てて両手を振って「いいえ、そうじゃないの」と取り消しにかかり、難しそうに説明をはじめた。
「実を言うと、ここまでは私も組み立てられたのよ、何度も。さっき実際に作ってもらった通り簡単な構造だしね。だから、完成させられないというのは正確な言い方ではなかったわ。……この棚は、完成させておけないと言うべきかしら」
 メリーの説明は私には一層分かりにくかった。
「じゃあこの棚、放っておくと勝手にネジが抜けてまたばらばらになるって言うの?」
「違う違う。つまりね、この棚を組み立てる過程が面白いからなの。私も一度作ったら蓮子と同じようになって、同じことを思った。もう一回やりたいくらいだってさっき言ってたでしょう? 何度完成させてもしばらくするとまた最初から組み立てたくなって、私が自分で分解しちゃうのよ」
 聞いてみれば、あまりにも可笑しな話だと、私は思った。メリーは終始目を泳がせて事情を打ち明け、最後には言いながら顔を赤らめてしまった。私も思わず苦笑が顔に出た。
 とはいえ、赤面や苦笑が私たちの間に引き起こされたのは、話の中心にあるものがどこまでも平凡な家具だったという奇妙な滑稽さのせいであり、そうした一般的な反応を起こしている一方では、自分たちが訳のわからない逸脱した状況に巻き込まれているという実感もちゃんとあったらしい。私が気を取り直して真面目にメリーに向き合うと、メリーの顔色もすぐに真面目に戻った。
「もう何回くらい組み立てた?」
「分からない。数えてないけどまだ十回以上はやってないわ」
「じゃあ何回目くらいでやめようと思った?」
「それは……一回目からよ。いつだって組み立ててるときは棚の完成を本気で目指してるわけ。そうでないと完成に向かう充実感もないわけだし。だから作業の後は達成感も味わう。でも一度完成してしまうと、まるでさっきまでの自分が消えたみたいに、今度は完成した棚を崩してもう一度作りたい衝動が起こるのよ。現に今も蓮子が作るのを見て、もう一度自分も作るときの感じをなぞり直したいと思ってる」
「我慢できないほどなの?」
「逆よ、強制力はないけど我慢しなくてもいい程度のことだし、悪いことしてるわけでもないわけだからつい手が出ちゃう」
 そう話しながらもメリーの手は慣れた動きで私がはめ込んだばかりの可動棚を抜き取り、棚をまた元の部材たちに分解しはじめている。
「でもあるでしょう、そういうこと」
「だからってなにも棚なんかを……」
 そして気がつけば、私自身の手も無意識に近いさりげなさで再びドライバーを握り、まるで魅入られたかのように、せっかく締めたばかりのネジを抜き取りにかかっているのだった。
「これの繰り返しなのよね」とそのとき言ったメリーの声があまりにも知れきっているという調子なので、私はまた少し可笑しくなった。

 結局、私はメリーとともに棚を分解して組み立て直す奇妙な遊びに加わってしまった。そうしてまたすぐに分解してしまった。これにより新たに分かったことは、二人掛かりで作業することで棚はまた新たな表情を見せて魅力を引き出されるということ、そして、分解するたびにその行為で感じる虚しさは増すということだった。
 完成し立派に機能するはずだった家具がただ十一枚の板に戻され積み重なっている光景の不毛さは物凄く、しかもそれをした手が自分自身のものであるという実感は信じられないほど殺伐としていた。しかし、そんな虚しさも組み立て作業に集中している間は頭から締め出され、完成直後は満足感のうちに忘れられ、いつの間にか棚は元の部材に戻されてしまう。
 夕食の材料を買いに近くの食料品店へと歩く道すがら、「呪いなのかも」とメリーが言った。
「きっと、作った人間に取り憑いて死ぬまで賽の河原の石積みをさせる、そういう呪いの棚だったのよ」
「一応言っとくと賽の河原は楽しいものじゃないのよ、メリーにとってはどうか知らないけど」
「どっちでも同じでしょう。むしろ楽しいほうがたちが悪いんじゃない。完成させようとしてる自分の中に、作り続けようとする自分がもう一人居て、勝手に鬼の役をすることになるのよ?」
「まあ、割り切って考えることさえ出来れば、それも悪くないんだろうけどね、楽しいんだし」
「そんなこと割り切らないわよ。私は買った棚に本を並べて使いたいだけなの」
「まあ、今はね……」

 その夜、食事は私の提案で安買いした鶏肉を水菜と油揚げといっしょに鰹節のだしで炊いて鍋にすると日本酒が飲めた。
 友達の部屋で飲むお酒は面白く、酔いのうちで色々な話題が出回ったが、それでも床に目をやると例のパルプ板がある。時計の短針が高く文字盤の上を向くに連れて二人の話題もだんだん今日の本題へ帰り始め、ついにはメリーがふらふらと立ち上がって板を組み合わせようとするあの屈み姿勢へ戻ってしまった。
 私は酒分がもたらす高揚感の中で、ふと静かな落ち着いた気分になり、器用に働くメリーの両手を見つめた。その手の中ではじめはただの無表情な板や鉄釘でしかなかった部材たちが互いにつながりあい、しかし元の形を全く消すではなく、みるみるうちに家具として意味を持ち始める。その過程のいちいちに私は改めてはっとして立ち止まり、ある種の美しささえ感じてしまう。一体、この棚の快感の仕組みは意図されたものなのだろうか。
 組み立ては手際よくやれば三分で済む。メリーは瞬く間に出来上がった棚を床から見上げて「よし」と言い、私の方を振り向いて「見てなさいよ。もう一度やるからどうなるか」と言った。そして棚の状態はメリーの手ですぐに三分前に巻き戻され、再び無意味な姿で床の上に散らばる。メリーは突如酔いを取り戻したように床に転がりながら上気した頰で明るく笑って「もう、なんでこうするとき止めてくれなかったの?」と言った。それは私に言ったようでもあったし、ほんの数分前まで「よし」と言っていたメリー自身に言ったようでもあった。
 そのとき私はにわかにぞっとして椅子から立ち上がり、メリーの手を取って玄関へと引っ張っていった。ふらふらしているメリーに靴を履いてくれるよう頼んで、自分の鞄をソファの上から掴み、部屋の明かりを消す。メリーとは対照に私の酔いはすっかり冷めていた。この短い時間のうちに、いくつもの途方も無い考えが頭をよぎった。
 床の上のパルプ板を決して見ないようにきっと顔を上げて、私はメリーを待たせている玄関へと急いだ。この部屋はまるで、メリーと私が既に百年も閉じこもって冷たい遊びに興じ続けて死んだ、遠い未来の場所のように思われた。そして板の散らばる床の上には、メリーと私の幽霊が膝立ちになってこちらを見ている、そんな気がした。
 戻るとメリーは不思議そうな目でこちらを見ていた。私は「外の空気を吸いに行こう」と言ってメリーの背を押し、下宿を出た。今夜はそのまま戻るつもりはなかった。あの部屋の匂いを振り落とせるまで何日でもあの部屋から離れ、メリーと二人で何かに他の面白いものを探しに行こうと心に決めた。
 深夜飛び出した夜道に月は出ていなかったが、それでも十メートル間隔で立っている街灯の下は十分以上に明るい。涼しい風が吹く大通りを、ふらふら揺れるメリーと歩きながら、私は小さく「遅くなってごめん」と呟いた。
 それが聞こえたのか聞こえなかったか、メリーは一歩前へ足を早めて「カラオケ行こうか」と言って笑った。
https://twitter.com/ubuwarai (ツイッター)
うぶわらい
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コメント



0.760簡易評価
2.100ばかのひ削除
なんてことない話なのに入り込んでしまう文章の魅力はいつも通りでした。
秘封倶楽部がまるで愉快なのでなんてことなさに違和感を感じさせられません。
明日目が覚めたらもう一度読んでみたいと思いました。
多分このお話の新たな魅力に気づいてまた感心してしまうかもしれません。
最高でした。
3.100名前が無い程度の能力削除
夏の終わりにひやりとする話、いいですね。
5.90奇声を発する程度の能力削除
良かったです
6.100怠惰流波削除
いつも楽しみにしております。今回もグイグイ読まされてしまいました……家具を組み立てる楽しさが分かるからこそ、二人の異常性に親近感と恐怖を覚えました。
一体どんな呪いのアイテムなのやら。
8.90名前が無い程度の能力削除
棚を組み立てて分解するだけの話なのに面白くてすごい…
9.100名前が無い程度の能力削除
棚を組み立てるというごく普通の作業に潜む麻薬のような魅力をこうもイキイキと表現できる氏のセンスに脱帽。最後は蓮子が奇妙な世界に迷い込んだメリーを連れ戻してくれて安心しました。
10.100てんのうみ削除
一読して作者の非凡さを思わせる文章、ストーリーでした。
面白かったです。
12.90名前が無い程度の能力削除
日常的な淡々と進む話しなのにどこかほの寒い
味わい深いお話でした
14.100名前が無い程度の能力削除
不気味でした
16.100名前が無い程度の能力削除
なんの変哲もない棚に潜む微かな怪奇。オカルトssの完成品です。
25.100名前が無い程度の能力削除
すごいの一言。