Coolier - 新生・東方創想話

呪いの刃

2017/04/11 19:51:36
最終更新
サイズ
41.7KB
ページ数
1
閲覧数
558
評価数
5/7
POINT
280
Rate
7.63

分類タグ

 2311年9月30日

 夜、それは妖の世界。そこに踏み込めば、人間など吹いて消し飛ぶ塵芥にも等しい。
 ここにもまた、愚か者が一人――夜の小道を歩いていた。



「うい~、ヒック。お月さんが綺麗らな~」

 舌足らずな、そして暢気な声。浴びるように酒を飲んだのだろう。その足取りもどこか怪しい。
 ピュウ、一陣の風が吹き抜けた。サワサワと柳の葉が揺れては音を立てる。正常な神経を持っていれば足早に通り過ぎたくなる、否、夜なら尚更近寄りすらしないであろう人里の外れも外れ。そんな墓地に彼はいた。

「ん、あぁん?」

 ふと一瞬、銀色の輝きが男の視界に入り込んだ。その怪しい光は到底人間の放てるものではない。
 背中に汗が噴き出る。じっとりと気持ち悪く濡れる着流し。その冷たさに酔いもどこかへと行ってしまったのだろうか、刹那の後に男の胸中に沸き上がったのは恐怖であった。そう、人外の者からすれば良質な エ サ が。

「うぐっ!?」

 ザシュッ――何かを斬る音と共に、今度は生暖かい液体が背中を伝っていく。それに遅れるようにして鋭い痛覚が背中を、全身を駆け巡った。

「た、た、助けてくるぇい!」

 土産と思しき鮨詰めの折箱が放り捨てられ、草履が脱げては素足に砂利が刺さる。だがそんな些細なことなど意に介さぬように、男は当て所もなく駆け出していた。背中から浴びせられる殺気から一間、一尺でも離れようと。真っ白になった脳裏。そこにふと浮かび上がったのは、近頃目にした新聞の一節であった。

「だ、誰か……辻斬だ、辻斬が出たぞおぉ!!」

男の絶叫が、人間の里の片隅より響き渡った。






第0話「呪いの刃」

 2311年10月2日

 ジャリッ、固い靴底の軍靴が砂利の上に音を立てる。日の高くなった人里。真夏の日差しがさんさんと、容赦無く降り注ぐ。そんな通りの一角にある茶屋の店先に出された座席に彼女は座り込んだ。すぐに、ささっと給仕の者――フリルの付いたエプロンを着物の上にかける少女――が小走りにやってくる。その小さな顔に愛想のいい笑みを浮かべて

「隊長さん、今日もいつものですか?」
「ええ、お願いね」

 対して、腰の物を外して横に置いた「隊長」と呼ばれた少女は短く答えた。店に下がった少女を見送って脱いだ軍帽を仰いで風を火照った頬に送る。その瞳は気持ちよさそうに閉じられ、そよ風は少女の短く前に切り揃えられた白髪をはためかせていた。
 その特異な服装――旧帝国陸軍風のカーキ色の制服に膝上にビシッときめた紺のスカートとブーツ状の軍靴――が年頃の少女との間にギャップを生み、傍目を引く。通りを過ぎる人間は男女問わず横目を流しては少女をめいめいに見ていた。そして、少女がその視線に気づくとぺこりと会釈を送るのだ。
 外に突き出された長椅子。それでも頭上にある赤い唐傘が真夏の日差しを遮ってくれるので心地いい。任務の間、この茶屋に来るのは少女のささやかな楽しみの一つでもあった。そして、目的がもう一つ――

「お待たせしました~」

 涼んでいるところに注文の品が届く。桃白茶の三色団子が三串とキンキンに冷えたほうじ茶、そして注文した覚えのない金唾が置かれていた。

「あの、これは?」
「ふふ、こちらはほんの心づけですよ。いつも巡回、ご苦労様です」
「あ、えっと……ありがとうございます」
「いえいえ、お礼を言うのは私たちの方ですよ。隊長さんが来てからここの皆も安心して過ごせるようになったんですから」

 肩をすぼめながら可愛らしく敬礼の真似をして背を向ける娘。その後姿を見つめながら少女はポツリと漏らす。

「……お礼、か」

 一人残された憲兵の少女は、まだほんのりと温かい手元の菓子に手を付ける。団子のもちもち感が歯にあたって気持ちがいい。このクセになる食感と程良くしみ込んだ味が彼女をこの茶屋を贔屓にする理由でもあった。
 だが、のんびりした休憩の時間は長くは続かなかった。背後に誰かが座り込む気配と共に重い荷物を置く振動が伝わってきたからだ。

「よっこらせ。あー、疲れた。一串貰うわよ」

 背中合わせにひょいと伸ばされた手が団子の串を掴む。手元の空いた串で叩いてやろうかとも思ったが、それは思いとどめることにする。

「む……それで、情報は?」
「三百年の伝統を持つ兎角の薬売りを甘く見ないでちょうだい。この里の情報ならほとんどが私の耳に入ってくるわ」

 そう答えた相手、薬売りは白の旅装束の胸元を掴んで風を送っていた。その深く被った笠を空いた方の手で持ち上げ、軽く首を回して意味深な笑みを見せてくる。笠の隙間から零れる髪にまざって僅かにのぞくウサギの耳。そこにいたのは永遠亭の住人、鈴仙・優曇華院・イナバだった。

「それはそうと、あなたもあなたで上手く里に馴染めているようね。妖夢」

 一方で妖夢と呼ばれた憲兵姿の少女、彼女はまさしく半人半霊の剣士、魂魄妖夢その人であった。あからさまな物言いに妖夢の眉根に皺が寄る。

「しっ、声が大きいわよ。里に馴染むだなんて、そう私たちが人間じゃないってことをバラすものじゃないわ」
「これくらいなら大丈夫よ。長年薬売りをやっていればある程度の加減は分かるようになるわ」
「それでもよ」
「相変わらずお堅いことで。……ん? あなたの半霊は?」
「ここよ」

 背を向け合ったまま妖夢は右腰に掛けている銃とホルスターを指さす。鈴仙がそこに目をやると、その形が歪んで白玉のような正体をちらと現した。それを見た鈴仙は「なるほど」と得心のいった笑みを浮かべている。確か、彼女のスペルカードの中には半霊を自身の姿に変えるものがあったはずだ。それを応用したのだろう。耳を編み笠で隠すよりも便利そうだ。

「それより情報は? 早くしないと屯所までしょっ引くわよ」
「あー、はいはい。せっかちな憲兵さんね。ちょっと待ってなさい」

 妖夢の催促に鈴仙はおどけたように肩をすくめると、ごそごそと薬箱の中を漁り出した。その様子を背中で感じ、好意でもらった金鍔に口をつけて待っている間、妖夢の脳裏に今は遠く離れたところにいる主の姿が浮んでいた。

「……(幽々子様)」






 あれは半年前のことだった。

「妖夢、ここを出なさい」
「はい、かしこまり……えぇぇ!?」

 ある日の昼下がり。冥界の御屋敷、白玉楼に妖夢の声が響き渡った。

 ただし、これは彼女の反応を見越しての主 西行寺幽々子の戯れ。彼女が妖夢に下した新しい任務、それは人間の里を守ることだった。
 聞いたところによると、現行の博麗の巫女は酷く体が弱いらしい。おかげで博麗大結界の維持が精いっぱい。異変解決なんてできる状況ではないという体たらくであった。かといって、彼女以上の適能者は人間の里にもういないという。挙句、大妖怪側が異変を起こすのを自重しているとのことだから聞いて呆れる。妖夢からすれば巫女の名前も知ろうと思えないほど興味の湧かない巫女だった。……いつぞやの彼女とは違って。
 だが、博麗の巫女が動けないことをいいことに、大妖怪による異変が減るのと反比例して増長した中小妖怪は活発化しているという。とても里の半獣では手に負えない程に。


「――それで、新しい半獣の子以外にそろそろ常駐できる戦力が欲しい、これが妖怪の賢者たちが出した結論よ。そこで白羽の矢が立ったのが」

 幽々子の目が細められる。その先にいるのは言うまでもなく

「私、というわけですか」

 人間の里に住み着くからには人間に近しい性質を持っていなければならない。その点で、半人半霊で腕の立つ妖夢は最適というわけだ。幽々子は妖夢を送り出すにあたって一言、こう付け加えた。彼女らしからぬ、ぞっとするほど重い口調で。

「妖夢、分かっているわよね? 里に万一のことがあれば、どうなるか――」
「ええ、心してかかります」


 こうしてやってきた人間の里。里には元々「警察」なるものがあったのだが、紅霧異変の時点ですでに機能しておらず、いまとなっては完全に形骸化していた。
 そのため、いつからか里の中にもう一つの組織、「自警団」なるものができていた。腕に覚えのある若者らで構成されたそれ。里の巡回や警備などの任務を主としている反面、形だけは残っている警察との間に管轄を巡る軋轢もあった。
 そこに昨今の度重なる妖怪の襲撃である。半獣でさえ手に負えないそれに人間如きが及ぶはずもない。今のところ森の魔法使いや蓬莱人、更には山の神社や寺――といった親人間勢力らの助力で最悪の事態は免れている。だが、里に最も近い警察と自警団――彼らには最早、目の前で相次ぐ人間たちの被害を食い止めるだけの術はなかった。
 とは言え、人間たちのことはなるべく人間の手で解決させなければ幻想郷の秩序の根幹にかかわる。が、頼りの博麗の巫女は動けない。そこで、妖怪の賢者である八雲藍が提案したのが上位機関としての「憲兵隊」の存在であった。冥界より(世間には素性を隠して)魂魄妖夢を招聘して隊長に据え置き、警察・自警団の中から有望な若者十数名をその配下に置いたのだ。こうして警察・自警団を直轄する組織、「憲兵隊」が発足。
 それから早くも半年の月日が流れたが、彼らの働きによって里の治安は一時期よりも格段に安定したのだった。






「(ま、幽々子様のことはあの人に任せておけば大丈夫だと思うけど、やっぱり心配だわ。ちゃんと御飯は……食べてるわね、絶対)」
「はい、お待たせ。これよ」

 頭の中で頬いっぱいに満面の笑みでもりもりと食を平らげる主の姿を思い浮かべる妖夢。その目の端に鈴仙が背を合わせたまま、薬箱に押し込まれていたであろう丸められた片手サイズの紙を差し出してきた。
 今妖夢が抱えている事件――それは里で相次ぐ不審死だった。被害者は首を無残に噛み切られるか鋭利な刃物で斬られるかして亡くなっている。この一週間で死者だけで六名、生存者を含めればさらに大きな被害だった。猟奇的な同一犯か、それとも別の事件か、はたまた人間の手に辻斬なのか――それを調べるために鈴仙の情報は重要な手掛かりとなるだろう。

「これは、一昨日の『文々。新聞』?」

 それは鈴奈書房(旧 鈴奈庵)の専売で取引されている天狗紙だった。その情報性は極めて高く、もちろん妖夢の屯所にも届けられている。そのことは情報通の鈴仙も知っているはずだ。なぜ態々それを。

「そうよ。でもただの新聞じゃないわ。そこに私が集めた――妖夢たちの耳には入ってこないような市井の情報なんかを書き込んでおいたわ。後はそっちでうまく使って頂戴」
「そういうこと。協力に感謝するわ」
「なんのこれしき。ちょろいもんよ」

 なるほど、チラッと見ただけでも相当の情報量が追加されている。それをさも当然のように振る舞う鈴仙も手慣れたものだった。これだけの代物だ。当然、対価は必要だろう。

「それで、見返りは?」
「折角だけど、今回はいらないわ。一つ『貸し』にしといて」
「なんで? ちょっとした融通くらいなら利かせるわよ」
「いいのよ。二日前にも辻斬が出て里の人はみんな怯えているのよ。御蔭でこっちも商売上迷惑しているんだから。憲兵さん方には早く解決してほしいものね」
「……善処する」

 そう言って鈴仙から手に入れた新聞を丸めて上着のポケットにしまう妖夢。背中では「さて」と言いながら鈴仙の立ち上がる気配を感じていた。その手には新しい団子の串が握られていた。ちゃっかりしているが、そのくらいは大目に見てやる。
 団子を口にし、その場から去ろうとした鈴仙は何かに気付いたように妖夢へこう声をかけて来た。

「あ、そうそう。辻斬退治に気付け薬でもいかがかしら? 効果は折り紙付きよ」
「残念。私には必要ないわね。斬られなければいいだけだもの」

 商売に精を出す鈴仙に対し、にべもない返事をかえす妖夢。しかし、鈴仙はそう言われることが分かっていたのか、おどけたように肩を竦めると、口元を吊り上げながら笠を深く被り直していた。

「釣れないお客様だこと。腕が立つと却ってさっぱり薬が売れやしないわ」
「……今度は屯所に来てほしいわ。部下たちには必要だろうから」
「毎度あり。これからも御贔屓に」

 今度こそ鈴仙の気配が足音と共に遠ざかっていく。
 これでやっと落ち着いてお茶をすることができる。少し冷めた茶菓子。その残っている最後の一口を収めた妖夢は店の中へ、こう呼びかけるのだった。

「お会計」






「あ、隊長! やっと見つけた。ちょっと来てくださいよ」

 妖夢が里の中心に設けられた屯所に戻ってくると、早速部下の一人が足早に駆け寄ってきた。齢は十七、白く染まった髪からして相当の苦労を重ねてきたことが分かる。そして彼もまた、妖夢と同じカーキ色の軍服を着こんでいた。憲兵隊の一人である。彼は確か、妹を妖怪に攫われた身寄りの無い孤児で、その後自警団員を経てここにいるはずだ。妖夢の隊にはそういった妖怪への憎しみにかられた者も集まっていた。

「どうかしたの?」
「いやぁ、副長の隊の連中が一人しょっ引いてきたんすよ。あいつら相変わらず手を出すのが早くって……とにかく立ち会ってください」
「分かった。すぐ行くわ」

 妖夢は彼に先導され、里の中央にそびえる屯所へと向かう。
 その里でも珍しい洋風造りの建造物は、木造建築の多い里では異色を放つレンガ作りであった。内外装は旧帝国陸海軍省でもイメージしてもらえるといい。
 憲兵隊の構成人数がそもそも二十名弱と少ないため決して広くはないが、里の警護活動を展開させるには十分なスペースはあった。通路に敷かれた木張りの床は、歩くたびにカツカツと軍靴の底が当たって小気味良い音が響かせている。
 その中の一室。「取調室」とプレートの書かれた物々しい部屋の扉が開かれた。先ほどの明るい洋風建築から一転、シンと冷えた混凝土(コンクリート)造りの不格好な空間がそこにはあった。
 床には容疑者と思われる「人外」が一人、小手高に縛られて横倒しにされている。その傍にはもう一人の武骨な表情をした部下が腰の物に手をかけてガイシャの後ろにただずんでいる。近くには更に三人の憲兵が控えており、彼が人外であろうと容易には逃げ出せぬよう厳重の構えが取られていた。彼らは妖夢が入ってくると、敬礼の姿勢を取り、妖夢も律儀に敬礼を以て返す。
 そして、彼らとは対照的な白衣に身を包んだ一人の鑑識兼捜査員の部下が調書を片手に妖夢のもとへ近寄ってきた。

「隊長。これがたった今、第二部隊の取った自白調書です……彼は十中八九、クロかと」
「ふむ」

 小さな電灯一つで薄暗い、四方を混凝土で塗り固めた造りの一室で目を細めながら書類へ目を通す。その冷ややかな、人間からすればお世辞にも心地いいとは言えない空気が辺りを満たし、妖夢の肌に触れる。ジメリとした感触が死者の世界の空気、少しばかり白玉楼に帰ってきたような気分にしてくれる。彼女からすれば悪いものではない。

「これによると、ホシはろくろ首だったってこと? 間違いない?」
「へい。この通りでさぁ」

 妖夢の問いかけに刀へ手をかける部下が足で床に倒れている町人風の男の頭部を蹴っ飛ばす。するとコロコロ、と音を立てて首が転がっていき、彼女の足元で止まった。

「確かに人間じゃないわね」
「おま……け、憲兵様。い、命ばかりはお助けを」

 そんな彼に膝を付いてまじまじと彼を見る妖夢。ろくろ首は一瞬、はっとしたような顔つきになると急に妖夢へと命乞いを始めた。妖夢は取り付く島もない態度だ。ただただ事務的に口を開く。

「別に私たちも『里に妖怪がいるから』といって処罰する気はないわ」
「それじゃあ……」
「私たちにとって重要なのは、お前が人間を 殺めた か。その一点のみよ」

 男の言葉を無視するように、冷たく放たれた言葉。そして妖夢は首だけを後ろに向け、共に入室した部下と捜査員へ視線を向ける。すぐに二人は妖夢の問いかけを理解したのか、短く頷くと口を開いた。

「こいつは首を噛み切られた変死体の下手人に違いありません。情けは無用かと」
「それに、ガイシャの首元に残っていた歯形と一致しています」
「分かったわ……なら、幻想郷の掟を破ったこいつは、斬るしかないわね」

 ごみでも見るような視線を向ける妖夢は立ち上がり、腰に手をかけた。スラリ、と抜き放たれた楼観剣が電球を反射して怪しく光る。一方、命の危険が迫っているにも関わらず、男はまだまだ余裕のありそうな半笑いを浮かべていた。

「お、おいおい。いいのかい、べっぴんな隊長さんよぉ。俺を斬るってんなら、あんたの『秘密』をバラしちまうぜぇ?」
「私の秘密? へえ、面白いじゃない。何のことかしら」

 その脅し文句も意に介さない妖夢は刀を上段に構える。今にも振り下ろされそうな刃を前に、ようやく本気だと悟った男の顔が強張る。

「ちょ、ちょっと待て! お、お前ら、コイツも俺と同じだ。人間じゃねえ! お前たちは憲兵なんておだてられて、コイツのいいように利用されているだけだ! これは嘘なんかじゃねぇ! 分かったらさっさとこの妖怪をふん縛りやがれ!!」

 切羽詰まった賊は口早にそう捲し立てた。大方、同じ闇の世界の住民同士感じる気配か何かで妖夢の正体を察したのだろう。ここで隊士達に不安材料を与えれば脱出の好機を得られる、そう確信してのことだったが

「貴様『も』人間じゃないだろう?」

 しん、と冷えた部屋に声が響く。それは他ならぬ憲兵隊の一人が発したものだった。短いその一言、それが意味するのは――

「そ、そんな……馬鹿な。なぜだ。なぜ妖怪を」

 妖夢の正体を暴露、という賊の切り札は不発に終わった。そのたちまち驚きと絶望に塗り込められた顔を一瞥すると、妖夢は楼観剣を持つ手に力を籠める。

「お、お願いだ。もう人間は襲わん。だから、だから――」
「無抵抗な女子供を殺したお前の言えたことか。あの世で後悔しなさい!」

 有無を言わせぬ声。それから間を置かずして、部屋から絶叫が響き渡った。








 同日 夕方 屯所内の執務室

「……ふぅ、ありがとう」

 部下から受け取った手拭いで頬にこびり付いた血糊を拭き取る。まだ熱いおしぼりが気持ちいい。
 先の取調室とうって変わって明るい部屋。天井に据え付けられているシャンデリアタイプの燭台のおかげだ。部屋には業物と思しき刀が何振りか壁に掛けられ、壁際には分厚い本を収めた本棚が、そして机の上には妖夢の趣味で小さな花瓶が置かれていた。

「それで、あのろくろ首は死んだことだし、これで一連の事件は解決した……なんてことは無いのよね?」

 執務用の机に座る妖夢は眼前に立つ十六人の武官と四人の文官へそう問いかける。
 正確には隊長である妖夢直近の部下はその内の半数であり、残りはここにはいない副長配下の者であった。その中から妖夢隊の捜査官が一歩前へ出る。

「はい、鑑識を行ってみたところ、最近里で見られる不審死の死因は『首の咬傷』と『刀傷』によるものです」
「となると、事件はまだ解決していないのね」
「その通りです」
「そう。それならこっちの一件が片付いたことだし、今夜勝負をかけましょう。これ以上の被害を出すわけにはいかないもの」

 妖夢はギシと音を立ててチェアから腰を上げて立ち上がると、ツカツカと歩いて部屋の中央に据え置かれた方形のデスクの前に向かった。それに続いて隊士達もめいめいにデスクを取り囲むように移動する。
 その妖夢の腰までしかない低い机上には、精工に作られた人間の里の模型が広がっていた。要は、事件に対する戦術等を決める際に使う作戦立案デスクと言ったところか。
 妖夢は上着のポケットから丸められた紙面を取り出すとそれに目を通す。それは先ほど鈴仙から手に入れたものだった。

「情報屋から得た情報によると、ここ一連の被害はこんな分布になるわ」

 デスクに立てかけてあった毛の付いていないモップ状の棒トンボを手に取った妖夢は、赤いおはじきのようなチップを次々と棒で押し出すようにして並べていく。

「そしてこれが先のろくろ首による犯行ね。これは外しておくわ」

 その中からいくつかのチップが回収されていく。程なくして、机上に辻斬に襲われた分布マップが出来上がった。

「つまり、これが残る辻斬騒動の被害分布ね」

 部下たちがそれに合わせて自分たちの持つ資料と比較していく。ややあって、言いにくそうに副長率いる第二部隊の一人が口を開いた。

「隊長、いくつか通報の無い箇所にもチップが置かれていますよ」
「これでいいのよ。中には祟りなんかを恐れて通報してくれない被害者もいるわ。そういった人たちの被害を炙り出すための情報屋ね」

 そう、本来なら被害の状況など黙っていても憲兵隊に通報されるはずだった。しかし、ここは幻想郷。人々は妖の類に対して外の人間からは過剰に思えるほど闇に恐怖する。そのため集まるはずの情報が十分に入ってこないこともままあった。
 そこで薬売りの出番である。いくら役所に隠し立てしようとも、人の口に戸は立てられない。それが人知を超えた恐ろしい出来事であれば尚更である。彼らは自分の恐怖を共有してもらおうと知人に語る。薬売りのように家々を回る者ならそういった話は自然と耳に入ってくるものだ。
 そうして民草の間でだけでのみ広がった話を拾い集め、見返りと引き換えに情報提供を行うのが鈴仙のもう一つの顔であった。ここで言う見返りとは、主に永遠亭の人里における出張ビジネスの黙認、要は司法取引というものだ。このような形で里へ合法的に出入りしている妖怪たちは少なくなかった。

「いつも思うんすけど、誰なんすか? その情報屋って」

 呆れたように隊士の一人がそう尋ねてくる。妖夢はその問いに口の端を吊り上げて意味ありげに答える。

「なに、知りたいの?」
「や、やっぱ遠慮しときまさぁ」

 相手との間に角を立たせず冗談めかした物言い。そこには主の幽々子に通じる何かがある。伊達に数百年も同じ屋根の下で過ごしていただけのことはあった。当の隊士も気圧され、少々おどけるかのように肩を竦めていた。

「そう? ま、それが賢明ね。それより、この分布を見て何か気づくことはないかしら」

 しばし考え込む一同。ややあって口を開いたのは、警察官時代から優秀と名高い老齢の捜査員だった。

「そうですな、里の中心部には全く出ていませぬ。逆に外れにある長屋の裏路地、墓地の近くなんかが臭い」
「その通り。これで一連の事件が猟奇的且つ人為的なものではなく、妖怪によるものの可能性が高くなるわ」
「と、言いますと?」
「人間だったらここよりも狙いやすい場所がもっとある、ってことよ」
「む、話が見えませんな」
「私は半分人間だから不快なだけで済むけど、妖怪からすれば偽物の光――つまり電灯は虫唾が走るほど嫌なものなのよ。たとえ、その間に闇が有ったとしても近寄りたく無いくらいにね……あ、これはオフレコね」

 この執務室が電球ではなく燭台になっているのにはそういう理由があったのだ。

 実は、人間の里でも十数年前より始まった『にとり電力』による配線が広がるようになりつつあった。まだ普及しているのは里の中心にある富裕層の家などに限られているが、それでもゆっくりと、着実に電気は里人の間に広まりつつあった。
 それは言葉を変えれば、人が夜の恐怖からの逃げ処を見つけてしまったことでもあった。もちろん、いざ普及し出したことで偽りの光によるその脅威に妖怪たちが気付いたのは遅くなかった。しかし、一度手に入れた便利なものを人間が手放す訳もない。彼らの働き掛けも空しく、事は既に手遅れだったのだ。

「む、そういうことでしたか」
「そうよ。例えばここ、この里の西側は長屋裏なんかよりも人目に付きにくいわ。でもここへと辿り着くにはどの道をとっても龍脈のように電線が走っている。だから事件が起きていないのよ」

 鈴仙の情報が入るまでは――更に言えばろくろ首の犯行と重なっていた間は、散在して規則性のない疎らな分布だったため打つ手がなかった。が、不要な事件とこれまで見えなかった被害の情報とが一気に加わったことで一つの答えが浮かび上がってきたというわけだ。

「ここから分かるのは、賊の主な出没区域は大きく分けて二カ所。里の南にある墓地と東にある長屋の裏路地よ。ここを今夜、それぞれの部隊で集中的に見廻りましょう」

 妖夢は机上のポイントを示し、顔を上げて部下の顔を一望する。彼らには恐怖など無いのか、精悍な顔つきをしている。人間でありながらも頼りにできる者たちだった。だが

「副長が非番でいないのが痛いけど、いないものは仕方ないわ。あの人、一度隊を離れると連絡が通じないのよね」

 困ったようにため息を吐く妖夢。彼女に負けず劣らず腕の立つ副長はこの場にいなかった。いくら部下を信頼しているといっても彼らは人間だ。その力の伸びしろには限界がある。要は、人間を超えた力の持ち主が必要なのだ。そして、彼女は今ここにいなかった。

「よし、それじゃあ私と第一部隊は被害者の多い東区を担当するから第二部隊は南区をお願い。作戦名、黄泉一○三。作戦開始は今夜午後八時半より。それまでは各自適度に休息を取ること。……以上!」
「はっ!」

 一斉に取られた敬礼、踵の合わさる音が綺麗に重なる。威勢のいい返事と共にぞろぞろと隊士達は退室していく。一人残された妖夢もまた、執務室内に据え置かれた革張りのソファにまで移動し、ごろりと横になる。アイマスク代わりに乗せられた軍帽は、すぐにその小さな顔の上で静かに上下する。
 今夜は長い夜になりそうだ。








 同日 午後八時半 人間の里南地区 第二部隊 呂小隊担当区域

「よし、時間だ」

 三人の憲兵が互いに目配せを送る。彼らはめいめいに護身用の拳銃や日本刀拵えの軍刀等、愛用している得物を手に周囲を伺っていた。
 副長不在の第二部隊の隊士たちは三・三・二の伊呂波小隊に分かれ、この広い共同墓地を巡視することになっていた。幽霊でも出そうな生ぬるい風、サワサワと重なる柳の擦れる音、遠くに見える人家の光――人間の恐怖心を呼び起こすには十分な条件だが、厳しい訓練をこなしてきた彼らは気丈だった。尤も、当の隊長が半分幽霊なので慣れている所為でもあったが。
 周囲を警戒するように、明かりを灯しながら彼らは夜の闇に足を踏み入れていった。




 2311年10月3日 午前十二時三十分 人間の里 東地区 第一部隊担当区域

「全く、とんだ熱帯夜ね。」

 帽子を脱いで額の汗を拭う妖夢。十月になっても夜の蒸しっぽさは一向に引くところを知らないのだろうか。
 幻想郷の夜は早く、そして長い。彼女が提灯(他の隊士たちは懐中電灯を)片手に深夜の長屋の集中地帯を回って早くも数時間が過ぎようとしていた。が、一向に賊の姿は見えない。尤も、今夜出ると断言できる話ではないのだが。
 副長不在のため、出没件数の低い南地区は彼らに任せた。仮に、第二部隊の方へ賊が出現したとしてもすぐさま合図が出されて妖夢らが駆けつける算段となっていた。もちろん、今のところ彼らからの合図は無い。

「今夜出ないに越したことはないわね。どうせなら副長がいるときにして欲しいわ」

 彼女らしくもなく、実戦の場で妖夢は希望的観測を口にしていた。




 同日 同刻 人間の里 ???

「ちっ、早く、早く『あの刀』を手に入れなければ。あいつらよりも先に……!」

 いまとなっては時代遅れな白地の裃に朱の模様の入った出で立ち、紫の髪を一まとめに括った中性的な顔の人物は焦るかのように何かを探していた。
 夜の道を音も立てずに駆け抜け、羅刹のごとき表情で『何か』を探すその姿は、人間のそれとは到底かけ離れていた。




 同日 午前二時二十五分(丑三時) 人間の里 南地区 伊小隊担当区域

 ジャリッ、ジャリッと音を立てながら三人の男たちが歩いている。見た限り先ほどの三人とは別の小隊だ。ぬかるんだ墓地の土を踏まぬよう敷かれた小道は三人で並ぶには狭すぎる。自然と隊列は縦に伸びきっていた。

「……っ!」

 ピクッと最後尾にいた一人の足が止まる。背後に何か、得体のしれない物が渦巻いている。そう、人間なら発し得ない――妖気が。
 彼の背に、汗がにじむ。まだ他の二人は気づいていないようだが、熱帯夜にもかかわらずゾクゾクさせられるこの感覚、間違いない。本物だった。すぐさま腰にその手が伸ばされる。

「そこだ!」

 振り向きざまに拳銃が火を噴く。ガアァァン、と周囲に音が水面の波紋のように広がっていく。

「おい、どうした!?」
「賊か!」

 唐突な銃声に前を行く二人も咄嗟に散開、腰の物を抜いて背後に備える。しかし、そこには賊の姿はなかった。代わりに、肩で息をする同僚の姿があった。

「あ、あれ? おかしいな。確かに妖気を感じたんだが」
「おいおい、何だよ。驚かさないでくれ」
「無駄弾撃って魂(たま)が抜けるってか」

 極度の緊張から解き放たれ、「ははは」と声を立てて一息吐く隊士たち。その背後に、鈍色の輝きがゆらりと虚空に描かれていることにも気づかずに――




 同日 午前二時二十八分。人間の里南地区 呂小隊担当区域

 同じ頃、呂小隊に所属する隊士たちは、微かに届いた銃声の正体を探るため伊小隊の担当する区域へと足早に向かっていた。

「おかしい、さっきこっちの方から銃声が聞こえた気がしたんだが」
「あぁ。だが警笛もなっていない。我々の聞き間違いか? それとも――」
「……おや、どうしたんだろう」

 その中の一人が何かに目を付ける。そこには何か黒いものが重なって横たわっていた。

「っ! どうしたじゃない、伊小隊の連中だ!」

 すぐに駆け寄る三人。血に染まった同胞たちを抱き起し、声をかける。出血が酷く、見るからに重傷だがその中から一人だけ意識を保っていた。

「おい、大丈夫か! おいっ」
「う、ぐっ。す、すまん……気を、つけろ。奴は、辻斬なんか、じゃ……」

 がくりと腕の感覚が重たくなる。どうやら気を失ってしまったようだ。

「しっかりしろ。おい! ……くっ、駄目か。しかし、どういうことだ?」

 必死に何かを伝えようとしていた隊士。『辻斬りではない』、その言葉の意味は何か。彼の頭の中に疑問が巡る。そして、彼の頭上に鈍色の殺気が巡る。
 思考の渦にあった彼はようやく気付いた。自分を殺めようとする、殺気に。体を捩ると、何かが彼を掠めた。

「つぁ……!」

 紙一重。咄嗟に頭を伏せたものの、一歩間違えれば首が吹っ飛んでいた。真二つになって宙を舞う制帽、薄く裂かれた頬から流れる血――生きている、それだけが現実だった。すぐに首元のそれを手に取って口に咥え込む。

(ピリリリリリリリ――)

 里中にでも届きそうな、耳をつんざく音が周囲に広がった。




 同日 同刻 人間の里内

「っ! こっちは外れ!? 間に合って……!」
 はっきりと聞こえてきた合図の警笛。よりにもよって第二部隊の方からだ。すぐさま数人の部下を引き連れて妖夢は駆け出していた。

「ちっ、先を越されたか。間に合え……!」
 一方でその音に舌打ちを鳴らして自らの野望の為に疾走する謎の人物。

 怪しい夜を巡り二つの思惑が、交錯する――




 午前二時三十三分。人間の里南地区 呂小隊担当区域

 目一杯に鳴らした合図。その甲高い音はみるみるうちに遠方へと伝わって行った。だが、その間の一分一分が非常に長く、そしてあっという間にも感じられる。
 これで離れた場所にいる隊長にも伝わるはずだ。しかし、彼女の健脚を以てしても間に合うか、それは際どかった。

「二人とも、呂小隊の連中を頼む!」

 頬を裂かれたが、すぐに体勢を立て直し、チャッと腰の物を抜いた伊小隊の一人は、他の二人の壁になるようにして目の前の賊に構えていた。対峙し、宙に浮かぶ賊の刀が怪しげな光を反射させる。

「分かった、すぐに波小隊も応援に来るはずだ。死ぬなよ!」

 倒れ伏している三人を抱えた二人は、そのまま賊のもとから離れてどこかへと向かっていった。

「死ぬな、か。くそ、逃げ出したい気分だぜ。……来いよっ!」

 向かい合う刃と刃、先に動いたのは、賊だった。

「っ!」

 ユラリ、とその切っ先が動く。その揺れはまるで虚空を舞う蝶のように彼の視線を釘付けにする。手を出せない。足も動かない。そして、妖術にでもかけられたように呆然とする彼の脳天目掛け、凶刃がゆらめいた。

「(あ、俺……死ぬな)」

 ポツリ、と心が呟く。だが、体が動かないのだからどうしようもない。彼は、呆けた目に映る刃にその身を委ねるほかなかった。そして

「――させない!」

 ギイィィィィィン……

「え……?」

 が、彼は生きていた。寸でのところで滑り込むように妖夢が両者の間に入り込んでいたのだ。鈍く広がる金属音。軍靴が湿った地面を深く抉る。腰から逆手に抜き放った刀身の短い白楼剣が賊の斬撃をひしと受け止めていた。
 その音で金縛りから解放され、体から力が抜け、そのままへたり込む隊士。極度の恐怖と狂気が肉体よりもその精神を膾切りにしてしまったのか。

「遅くなった!大丈夫 !?」

 帽子の影から眼だけ背後に向けた妖夢は口早にそう告げる。と同時に再び眼前の敵へと向き直った。

「はあぁ……せぁっ!」

 受け手から腰を大きく捻って賊の太刀を弾き飛ばす。敵との間合いをとると、白楼剣を背に収め、次は楼観剣を抜いて両腕で構えた。妖夢のような小柄な体躯では扱いにくい代物だが、彼女は既に達人の域に達している。そこから放たれる裂帛もまた、周囲の空気を震わすだけのものがあった。射抜くような視線が賊に浴びせられる。

「ふぅ……てっきり辻斬妖怪の仕業かと思っていたけど、外れみたいね。まさか、刀が独りでに徘徊していたなんて」

 妖夢の言う通りだった。目の前にいるのは、賊は賊でも人のカタチでも、妖のそれでもなかった。格調高い、そして悍ましいまでの怨嗟の込められた一振りの太刀であった。持ち手がいないにもかかわらず宙に浮き、隙のない構えがとられている。こんな相手は初めてだった。

「かなりの名刀ね。こんな状況じゃなければ、手元に置いときたいところだけど」

 一度言葉を切り、帽子を目深く被る。うつむいたその顔は、正面からではどのような表情をしているのか窺うことさえできない。そのままボソリと背後の部下へと語りかける。

「ここは私に任せてあなたも下がってなさい。すぐうちの隊の者が来るはずだから」
「ぐっ、隊長……すみません」

 圧倒的な実力の差。敵を前に刀も振れなかった自分が足手まといになるだけと察したのか、言葉短かに詫びると刀を収めてその場を後にした。
 後に残ったのは、一人の少女と宙に浮遊する一本の刀だけだった。

「刀が殺すのではない、それを使う人間が殺す――そう言うけど、これは別。あなたには、その身を以て罪を償ってもらうわ!」

 帽子のつばの下でカッと目が見開かれる。女人としての魂魄妖夢はそのなりを静め、そこにいたのは冷徹なまでに『悪』を斬る、一人の剣士だった。相手も彼女を認めたのか、ひとりでに構えが取られる。


『……』

「この楼観剣に斬れぬものなど、何も無い!」




 妖夢の叫びと共に動いた両者、彼女の動きの方が僅かに早い。
 一陣の風となって吹き付ける剣気、土を抉るような踏み込み、虚空を裂く甲高い音、そして立て続けに激しく身を削り合う玉鋼の塊。

「ふんっ」

 一気に妖刀へと詰め寄り、横薙ぎの斬撃を浴びせかける――その一撃は、まるで見えない何かに支えられるかのように微動だにしない妖刀にがしっと阻まれた。
 妖夢は体重をかけて体ごと刀身を相手ににじり寄らせる。ジリ、ジリと押される妖刀。その力の均衡が崩れた瞬間を、妖夢は見逃さなかった。

「はあぁっ!」

 気合一閃、跳ね上げるようにして楼観剣が妖刀を上方へと弾く。そして腰から逆手に引き抜いた白楼剣で止めを刺そうと、右足を軸に回転斬りを仕掛ける、が――

「し、しまった!」

 そこに斬るべき『敵』の姿はなかった。
 普通の果し合いであれば、この一撃で決まっていただろう。しかし、それはあくまで『相手』がいればの話。今回は如何に刀を払いのけようとも、その向こう側に斬るべき『相手』はいないのだ。対人戦に慣れすぎていた彼女の体は勝手に『最良』の一手を選んでしまっていた。この場合には全く通用しない、それを。
 結局、白楼観は狙いの獲物を仕留めることなく、ただ空を舞っただけだった。そして空振りに終わった妖夢の体勢はグラリと傾く。無防備になったそこへ妖刀はすかさず襲い掛かってきた。

「っ!」

 自律して宙に浮かぶその妖刀は、よろめく彼女の体とすれ違いざまにその頸動脈目掛けて切先を振り下ろしてきた。ギロチンのような勢い。数瞬のちには赤い鮮血が噴水のように吹き上がることだろう。妖夢はその鋼の塊から生命の危機を本能的に察知していた。背中にブワッと小虫が這い回るような悪寒を感じる。
 そして頭が動く前に体が先に動いた。

 ――グキッ

 ヒュンと音を立てて妖刀が宙を駆け、ズブッとその手から離れた楼観剣が泥上に沈み込む。後に残ったのは、尻餅をついて足を押さえる妖夢と煌く妖刀の姿だけだった。

『……シトメソコネタカ』
「はぁ、はぁ」

 刀の通った軌道、彼女は間一髪のところで避けることはできていた。しかし

「うっ……く」

 立ち上がろうにも、すぐに倒れこんでしまう。どうやら足を酷く痛めたらしい。
 あの一瞬、彼女の肉体は反射的に軸となっていた足に過重をかけさせていた。強制的に挫かされた右足首。その代償は大きすぎる。だが、現にこの首は繋がっていた。それだけでもマシと言えばマシなことであった。
 尤も、ブーツ上の軍靴の中で完全に腫れ上がる脚でどう立ち向かえばいいのだろうか――

『モット、モットダ。……モット 血 ガ ホシイ』

 体勢など意味を為さない妖刀は、躱されるもすぐさま追撃するように次なる斬撃を浴びせかけてくる。倒れ込む妖夢に杭を打ちような一撃が加えられる。
 楼観剣は手の届かない場所にある。妖夢は咄嗟に白楼剣を抜いてそれを受け止めていた。立ち上がろうにも脚が、そして妖刀の斬撃がそれを阻んでしまう。先ほどとは真逆に押し込むように、その刃を彼女の顔面へと迫らせていた。
 太刀の一撃を受け止めるに打刀では役不足だ。それがこの踏ん張りのきかぬ体勢、そして手負いの状態となれば尚更だった。倒れた際に、頼みの楼観剣は彼女の手を離れている。今はこの白楼剣を以て凌ぐ他ない。

「く、名刀ともあろうものが、血を欲するだけの野獣になり下がって……!」

 ギリッと鳴らされる白い歯。迫る刃の恐怖より落ちぶれた妖刀への慙愧の想いの方が大きかった。
 このままでは埒が明かない。妖夢は意を決し、一瞬手から力を抜いた。肩透かしを食らわせる形で妖刀の刀身がぶれる。過剰に勢いづいた敵の刀身は、妖夢の顔ではなく、傾けられた白楼剣の刃の上を走るようにして流れ、白楼剣ごと地面に突き刺さった。
 突き刺さった土、そして巻き込んだ白楼剣の唾がその立て直しを阻む。抜くまでのその短い隙を逃す妖夢ではない。

「楼観剣っ!」

 動きを封じた隙に妖夢は体を泥上に横転させる。そして楼観剣を拾い上げ、それを支えに辛うじて立ち上がった。妖刀もややあって自らを引き抜いて切先を妖夢へと向ける。
 対峙する二振りの刀――互角の構えに見えるが、妖夢の右足は小刻みに震えている。このままでは肉離れも時間の問題だ。それは同時に彼女の敗北、『死』をも意味していた。
 それでもなお、足の痛みを堪えて敵を強く睨め付ける。しかし、実体のない敵へどう攻撃を仕掛ければいいのか、一向に分からない。熱を持った足が妖夢の意識を揺さぶる。瞼が重い。敵の姿が幾重にもぶれる。そして、彼女の意識は混濁の中へと誘い込まれた――






――どこかから声が聞こえる。それは自分自身の声だった。とても大きな泣き声。それは全身に走る痛みに体中を使ってそれを伝えようとする、幼き日の自分。一体どのくらい昔のことだっけ。

「立て、妖夢。そこで泣いて何になる!」
「だって、だって……うわあぁぁん」

 まだ人間なら寺子屋に入って間もない頃だろう。そんな外見の少女相手に厳しく当たる老人。その眼には憎しみなどではない確かな愛情が浮かんでいたが、少女がそれを理解するにはまだ幼過ぎた。
 胴着の上に胴当てをつけ、そばには放り出された竹刀。少女は黒いリボンが勢いよく左右に揺れる程わんわんと泣くばかりだった。

「その目は何だ、その涙は何だ! その涙で儂を倒せるとでも言うのか! その刀で幽々子様を護れるのか!!」
「あああぁぁぁん」
「こ、この……軟弱も――」
「ちょっと。いい加減にしなさい、妖忌」

 バタンと開かれる道場の入り口。尚も厳しい言葉であたる老人に見かね、一人の女性が詰め寄っていた。彼女は妖忌と呼ばれた老人のすぐ傍を通って妖夢へと近寄り、膝をついてその胸に抱きしめてやる。心を落ち着けられるその温もり。それに却って少女はわんわんと泣きだしてしまう。幽々子は黙ってその背を撫でていた。その姿に憮然とする妖忌。

「幽々子様、甘えさせては困ります。妖夢は剣士として――」
「何言ってるの。この子はまだ子どもよ。全く、妖忌ったら相変わらず不器用なんだから。そんなだから逃げられるのよ……自分の娘に」

 しんと波打つ。妖忌も先までの固い表情とは逆に気まずそうに目をそらしている。

「……幽々子様。その話は」
「ごめんなさい、言い過ぎたわ。でもね、妖夢にはまだまだ時間がたっぷりとあるの。同じ過ちを繰り返したくないのなら、そう慌てるものじゃないわ」

しばし考え込む妖忌。痛いところを突かれたのか、悩むような顔つきになる。しばらくして大きなため息を零したのだった。

「承知しました……妖夢、今日はここまでだ。だが、覚えておくのだ。お前の刀が儂に届かぬのは、腕が足りないからではない。お前は斬るべきものをまだ見えていないのだ」
「えぐ、ぐすっ……きるべき、もの?」
「そうだ。お前は儂の刀ばかりを見て刃を振るう。その奥にあるものを見ようともせずにな。それを捉えることが出来ぬ限り、お前は一人前とは言えぬ」

 そう言い残して妖忌は背を向けた。
 それから何百年も経ち、何度もその問いについて考えた。けれども、「これだ」という答えを見つけることはできなかった。








「斬るべき、もの……」

 ふと脳裏に浮かんだ過去の一コマ。その中にある祖父の一言がどうしても離れない。どうしても解けなかったパズルのピースがみるみる組みあがっていく。
 妖夢は斬るべきものを刀の向こうにいる敵だと、そう思って鍛錬に励んできた。

「実体のない、目に見えない敵を斬るには……」

 そして、確かにそれは答えの一つではあった。だがその剣も目の前の敵にはどうしても届かない。では、どうすれば彼女の剣は届くのだろう。

「一か八か、やってみるか」

 妖夢はそう呟くと鞘に楼観剣を収め、懐から使い古された黒いリボンを取り出した。そして、何を思ったかそれを目に巻き、更に微かな光さえも自分を周囲の全てから隔絶させるかのように帽子を深く下ろし、静かに構えた。その姿勢は――抜刀術を放つものだった。

『……』

 気でも違ったのか、妖夢の奇行に妖刀もどう行動すべきか思いあぐねているようだった。

「……(あとは、空気の流れで全てを、敵の『真の』姿を捉えるのみ)」

 シン、と心が胸の底に落ちていく。感覚が研ぎ澄まされる。
 深淵の闇、その中で妖夢はただただ待っていた。何かがが動き、弾かれる、その刻を。一歩間違えれば死をもたらす捨て身の構えを保ちながら――

「……っ!」

 空気の流れが変わった。その刹那、妖夢の挫いた足が鋭く踏み込まれる。大薙ぎの一撃と共に。

「魂魄家奥義! 西行春風斬っ!!」

 重く、そして軽やかな金属音が――一面に木魂した。







「はぁ、はぁ……」

 サクッと音を立てて鋭い何かが墓地のぬかるんだ土に突き刺さる。それに遅れるようにして鉄の塊がボスッと落ちてくる音が続いた。
 目隠しを取り、斬られた頬の血を手の甲で拭う。白い手袋に赤い染みが広がる。よろり、と倒れそうになる体を楼観剣を地に立てて支える。肩の上下も激しい。自らの持てる全力を以て繰り出された一撃だった。それは見事、妖刀の『目』を両断した。辺りに漂う妖気も急激に引いていくのを感じる。

「っ!?」

 唐突に、ストンと音を立てて何かが降り立つ物音。安心していた心に波紋が立つ。決して小さくはない、新たな妖気が妖夢を背後から包み込んだのだ。妖夢でさえゾワッとする程の、強烈なそれが。背に嫌な汗が浮かぶ。

「お疲れ様。はい、これ」

 背後へと振り向こうとした妖夢の視界に差し出されたのは、塗り薬の入った貝殻だった。それを見て妖夢の緊迫した表情から一気に力が抜ける。そこに薄い笑みが浮かべながら。

「なんだ、脅かさないでよ」
「ふふ、薬代は屯所へのツケにしておいてあげる」

 そこに立っていたのは鈴仙だった。妖夢は「はいはい」と素直にその好意に預かって薬を受け取る。
 そして、地面に転がっていた妖刀だったものの柄を手にする。彼女はそれを持って近くの樹の幹を背にドサッと座りこんだ。鈴仙は薬を塗る妖夢と並行して靴を脱がせ、その脚に処置を施していく。

「思ってたより苦戦していたわね。ま、その刀……素人目にもかなりの業物っぽく見えるけど?」

 一通り刀傷に薬を塗り終えた妖夢。彼女は無言で目釘を抜いて刀身を柄から取り出した。そして懐から取り出した晒の上から根本しか残っていない刃の部分を掴むと、月明かりに目を凝らして茎(なかご)に刻まれた字を読み取る。ややあって、納得したかのように首を縦に振った妖夢は口を開いた。

「へえ、分かるのね。この刀は『村正』、室町から江戸時代の頭にかけて千子正宗が鍛えた一振り……名立たる刀の一つよ」
「名刀なのに辻斬りをしてたわよね、それ。本物なの?」
「本物だからこそ、かしら。人の血を直に吸ってきた刀ほど『あやかし』になりやすいのよ。そして、持ち主の狂気がその精神を越えたとき、刀は刀でなくなる。つまり、人間の手には負えなくなるのよ。妖刀と言われるのがそれね」
「ふーん」

 興味があるのかないのか分からない口調だ。話を聞きながら妖夢の足に包帯を巻いていく鈴仙。

「その中でも有名なのがこの『村正』。もちろん村正以外にも正宗とか有名な日本刀はあるわ。でも、この村正は特殊――刀でありながら妖怪の一種として語り継がれてきたの」
「妖怪? 刀なのに?」
「それも、各地の伝承にその名が残るほどにね。特に徳川に連なる者に祟りをなすことから内府公に忌み嫌われた、なんて逸話もあるわ。きっとこの刀も外の世界では『幻想』になってしまったのね」

 ふ、と儚げに笑う妖夢。外のことなど知る術もないが、想像する事はできる。あとどれだけの幻想が生き永らえているのだろう――そう物憂げに試案する妖夢はややあって、鞘のない名刀を晒で包み始めた。

「取り敢えず、折れた刀身も含めて白玉楼に埋めることにするわ。それで成仏してくれればいいんだけど――」

 妖夢の視線が手元から離れて宙を彷徨う。どこかに突き刺さっているはずの片割れを求めて。だが

「刀身が、どこにもない……?」

 妖夢が根元からへし折ったはずの妖刀は、手元の柄と茎を残してその姿を消し去っていた。










 同日 早朝

 太陽が昇り、おんどりの声が里のあちこちから響き渡る頃。カランと木の札が屯所の前に掛けられていた。

「これでよしっと」

 カーキ色の上着を肩にかけた妖夢がそう呟く。頬に張られた湿布、脇に挟まれた松葉杖。足には添木と共に包帯が巻かれているも、大分痛みは引いたようだ。流石は幻想郷に名高い兎角の薬売りの薬効だ。
 彼女が掛けた板には流れるような字でこう書かれていた。

『 本 日 休 業 』

 あの妖刀村正による辻斬騒動から一夜が明けた。四人の隊士が負った傷は決して浅くはなく、更に全員が夜通しで大掛かりな作戦を遂行したため今日は安静にすべき、と全員に有休を取らせたのだった。とは言っても、役所が全員休みというのもどうかと思うが。そこに

「非番明けかと思ったらまた休みでいいのか?……魂魄隊長」

 横から声がかけられる。声のする方へ眼をやると、そこには妖夢を含めた他の隊員と異なる白地の、そして丈が長く前を開けた旧帝国海軍のような軍服を着こなす整った顔つきの人物がいた。

「……明羅、副長」

 妖夢の声が心なしか固くなった気がした。

 彼女の名は明羅。その経歴などは一切闇に包まれているが、里に憲兵隊を作る折に藍から「さる方からたっての推薦」とのことで加わった人物だ。人間のようにも見えるが、妖怪なのかさえ分からない。
 剣術の腕こそ妖夢に引けを取らない程度、つまり人間離れした達人級を誇る。だが、妖夢からすればいささか接しにくい人物でもあった。その身長差も含めて。明羅の視線が妖夢の怪我に向けられる。

「昨夜はすまなかったな」

 確かに彼女がいれば戦力を均等に二分化でき、ここまでの被害は出さずに済んだかもしれない。だが、唐突に謝られたことで妖夢は困惑した様子だ。

「えっと、何のことです?」
「いや、何でもないよ。……妖刀退治、お疲れ様。今日は私が里を見回ることにしよう。魂魄隊長はゆっくりと休んでいるといい」

 ふ、と薄く笑って明羅は妖夢の肩に手を置いて屯所へ入っていった。その口端が怪しく吊り上がっていたことは、妖夢の死角に入って見ることができなかった。
 彼女は妖夢の命令には従うし、腕も立つ。この上ない逸材のはずだが、どうも馬が合わない。いつかは慣れることができるだろうか――そんな彼女の後姿を見送りながら、夢は屯所前の門に据え付けられた郵便受けの中に手を突っ込む。そこには号外の『文々。新聞』が丸めて入っていた。
パサリと広げてみると、一面には妖夢らによる昨夜の出来事がでかでかと書かれていた。活劇を読ませるような筆の流れ。これを書いた鴉天狗の得意げな顔がまじまじと脳裏に浮かんでくる。多分に誇張が含まれているのはご愛敬だ。

「あの天狗。また懲りもせずに適当なことを。後で抗議しないと……ん?」

 妖夢の目が止まる。記事に驚いたのではない。もう一つの不可解な事が脳裏を掠めたのだった。
 天狗によるこの妖怪紙――それが人間の里で販売されるにあたって内容を検閲する決まりになっている。その都合もあって、この屯所と代理販売を行う鈴奈書房にしか届けられることはない。それは号外とて例外ではない。
 しかし、朝はまだ明けて間もない。となると、鈴奈書房もまだ開いていないはずだ。どこにも流出しているはずがない。それなのに、どうして――

「なぜ明羅は、昨夜のことを知っている……?」

考えても、考えても、妖夢にその疑問が解けることは無かった。

                                                                                                                               To be Next Phantasm……
軍服妖夢は絵にするとかわいい
ほうじ茶
Shinryoku-sakura@outlook.jp
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.20簡易評価
1.80名前が無い程度の能力削除
多分これは作者さんの頭の中に浮かぶ映像をそのまま文章にしている作品なのだろうと、勝手にそう思いました。ストーリーは興味深かったです。妖夢が格好良いし。
ただこういう読者を没入させなければならないタイプの話だと、余程くどく描写しないと、やっぱり本質が伝わらない気がします。一見の価値を文章に持たせるには百聞ならぬ幾千万の文章が必要です。
なので、まずは文章に濃淡をつけるようにしてみては如何でしょうか。自分が一番大切だと思える部分で描写を濃くする、なんてのは古典的な作法ですが、この作品では"ろくろ首が妖夢を妖怪であると告発する"シーンや"西行春風斬を放つ"シーンなど、読者が見ても大事であろうシーンなはずなのにアッサリと流されてしまっている部位が散見されます。ここいらに存在するはずの妖夢の感情や妖夢の動作などを充塞させて行けば、もっと良くなるのではないでしょうか。

でもまあ、文章をくどくしたら難解でつまんない文章だとみなされてしまうことも想定されますし、結局こんなのは一人の意見として聞き流して下さい。長々と申し訳ない、面白かったです。
2.10名前が無い程度の能力削除
作者が自分のしたいことを書き連ねてるだけの作品。反省や省みるということをしないので文章に伸びしろが無い。
しかも後書きでだらだらと自分語りとか人が読むものを書こうという気が感じられません。
3.無評価ほうじ茶削除
コメント返しさせていただきます。

1さん
おっしゃる通り、脳内の映像を文字にしています(笑)
最初に簡単な骨組みで一通り書き終えて、二周三周……と読み返す中で「あ、このキャラは今こんな気持ちだろうな」と思って加筆しているのですが、もう少し上乗せしてみたいと思います。
描写のいい「くどさ」や文章の濃淡など、参考になるお言葉を沢山ありがとうございました。
あと「妖夢が格好良いし」――これがうれしかったです^^ こんな感じで他のキャラたちも上手く立ち回らせていきたいですね。では、またいずれ。

2さん
小説って自分の書きたいこと、したいことを文字に起こすことだと自分は思っているのでこれは謝ることしかできませんね。すみません。
自分語り、と言うと「軍服妖夢はかわいい」でしょうか?(他はほとんど箇条書きのプロット紹介で語りにすらなってないし)一ファンとしてこのくらいは大目に見てください^^;本当に書いた自分でびっくりするくらい似合ってるんですよ。
あ、それと本編では各話につき2、3行の軽い後書きを予定してます。今回と次回は「パイロット版」なので。読了ありがとうございました。
4.無評価名前が無い程度の能力削除
何を言っても無駄なタイプ。額面通りにしか見ることが出来ないうえに、自分と他人のズレが全く理解できていない。
5.90名前が無い程度の能力削除
言葉のチョイスや構成など
練りに練った感が伝わってきて好感が持てる
何より文体が好みでかなり楽しめた
とても面白かった

この物語に限って言えば
台詞回しや所作のみで登場人物達の心情を伝える
この書き口は物語と非常にマッチしていて良いと思う
逆に恋愛小説の如く、内面をクドクドと吐露されても却って興醒めだろうと感じる

ちなみに
四人の隊士が負った傷は決して深くはなく
という文章が作中にあるが、文脈の流れを考慮すると
四人の隊士が負った傷は決して浅くはなく
とするのが正しいような気がするのだが如何だろうか?

作者の次回作を楽しみにしている
6.無評価ほうじ茶削除
4さん
多分2の方だと思うのですが、私も人間なので相手によっては「ズレ」を生じさせてしまいます。これはどうしようもない事なので私を無視、いないものと思って他の方の作品をお楽しみください。
最後に、御手数おかけして申し訳ありませんでした。

5さん
指摘していただいた個所を読み返してみたのですが、おっしゃる通りです。いや、お恥ずかしい。早速修正します^^;
全体的に気に入っていただけたようで感無量です。表現についてはその濃淡を各話に合わせて調整していけるよう技量を上げていこうと思います。
やっぱり「楽しみにしている」と言っていただけるのはうれしいです。期待を裏切らないようにしたいと思います。ありがとうございました。
9.10名前が無い程度の能力削除
こういうの良くないよ
10.無評価ほうじ茶削除
9さん
申し訳ありません。「こういうの」の文意を汲むことができませんでした。
読了ありがとうございます。
11.70怠惰流波削除
タグの問題もあるのかな、と。一度パイロット版や、第0話、などを取り払って、登場人物のタグだけにして見てはいかがでしょうか。幾分損してるように見受けられました。次もガンばってください。