Coolier - 新生・東方創想話

文明の利器

2017/02/19 18:17:41
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 私は、自宅で香霖から貰ったスマートフォンを触ったり、叩いたりしていた。一週間前、無縁塚に捨てられていた段ボール箱に大量に入っていたらしい。
 何故、幻想郷に入ってきたのかは分からない。早苗の話だと、古くなって使われなくなった初期の頃のスマートフォンは、幻想入りしても可笑しくないらしい。
 少し前、香霖堂で見たコンピューターという道具も、これと同じような役割をするらしい。あちらの方が古いと、早苗は言っていた。


 このスマートフォンが幻想入りしたことで、幻想郷の人々のライフスタイルは大きく変わったと思う。これを手に入れたにとりは、他の河童達と共に、何時でも何処にいても人々と繋がれるようなネットワークを発明した。
 初めの頃は何も無かったが、しばらくして電話番号が普及され、自宅に居ながら他の人とやりとりが出来るようになった。外の世界の、ツイッター?ライン?というものも取り入れられ、人妖問わず、やりとりに夢中になっていった。


 私はあまりそういうのに興味が無く、いつも通り読書をしたり、魔法の研究を行っていたのだが、博麗神社に遊びに行っても、アリスの所に遊びに行っても、みんなスマートフォンを見続けていて、話しかけても殆ど返事が無く、つまらないからすぐ帰るといった日が続いた。


 外に出ても、誰とも会うことは無くなった。以前は誰かとすれ違う事なんか沢山あったのに、それも無くなってしまった。
 私はその足で香霖堂へと向かった。古い木製の扉を開け、中へと入る。


「……いるか?」
「いらっしゃ……ああ、魔理沙か。どうしたんだ?」


 ここ数週間、毎日香霖の所に行っている。香霖は相変わらず本を読んでいた。私は売り物の壺……いつもの定位置に座る。


「みんなスマートフォンを見ていて、会話にならないからな」
「まあ仕方ないさ。流行ってしまったからね。今やこれ無しに生活が成り立たなくなってきたんだ」


 最近は、文も資源の節約とか言って、新聞の発行部数を減らしている。代わりにスマートフォンでニュースを伝えるようになった。少しずつ、色々な事が変わってきた。


「こんなもの無くても、生活できるだろ」
「今や人里でも仕事で使われるようになっている。配達の時間指定なんかもスマートフォンで行っているらしい。たった二、三ヶ月でこの普及率。河童の技術は素晴らしいね」
「本気出しすぎだぜ、あいつら」


 とは言っても、便利なのは事実だ。それは見ていれば分かる。香霖もスマートフォンを使って、本を取り寄せたりしているらしい。外出しなくていいから楽だと言っている。


「……そろそろ帰る。邪魔したな」
「いや別に……何時でも来ていいのだけれど」


 香霖と別れ、家へと帰る途中で、霊夢と会った。右手に小さなカバンを持っている。スマートフォンを入れているのだろう。


「あら、魔理沙!久しぶりじゃない」


 霊夢は私に気づくと、小走りで駆け寄ってきた。霊夢と話すのは何週間ぶりだろう。もしかしたら一ヶ月以上話していないかもしれない。


「ああ、久しぶりだな」
「ほんとにねえ、以前は毎日会っていたけれど、最近はさっぱり……」
「買い物か?」
「ええ。今はインターネットで食べ物も買えるのだけれど、たまには外に出ないとね。身体が鈍っちゃうわ」
「そうか……じゃあ、私は帰るぜ」
「どうしたのよ。機嫌でも悪いの?」
「いや……」


 会話の途中から、霊夢はスマートフォンを弄っていた。話すのも馬鹿らしくなってくる。人の話聞いてるのか?


「霊夢、スマートフォンで何見てるんだ?」
「ん?インターネットのサイトよ。結構面白いのよ。お金の事とか、お金の事とか」
「……なあ、霊夢。ここって、楽園なんだよな?」


 スマートフォンを弄っていた霊夢が、ちらりと私の方を見たが、すぐ画面に視線を落とした。


「突然どうしたのよ、本当に大丈夫?」
「ああ……大丈夫だ」


 辺りは大分暗くなっていた。霊夢と別れ、家へと辿り着く。ベッドに横たわり、目を瞑る。
 私の知っている楽園は、こんなのじゃ無かった。会話を楽しみ、身振り手振りで相手に気持ちを伝えるのが当たり前だと思っていたし、みんなもそうだった。でも、今は殆どの人がスマートフォンを見ながら、無表情で話している。目の前に相手がいるのに、ラインでやり取りする人もいるらしい。


 そのうち、これが普通になるのだろうか。直接会うこと無く、仕事も、買い物も、会話もインターネットで済んでしまう。そんな時代が、何時か来るのだろうか。


「確かに便利になって、生活も豊かになった。でも、心は貧しくなったんじゃないか……?」


 私は独り言のように呟いた。誰に向けた言葉でもなかった。いや、この幻想郷にいる全ての人妖に向けて言ったのかもしれない。
 ベッドから起き上がり、抽斗に仕舞ってあったスマートフォンを取り出し、外に出た。


「やっぱり、私にはいらないモノだぜ!」


 そう言ってスマートフォンを空高く投げ、ミニ八卦路を取り出す。そして、スマートフォン目がけてマスタースパークを放った。
 弾幕が直撃し、スマートフォンは跡形も無く消し飛んだ。弾幕が飛んで行った方を呆然と見つめ、立ち尽くす。
 何故か清々しい気分だった。大変な魔法の研究を無事に終えた時のような、そんな感覚だった。私は家に入り、机にミニ八卦路を置いて、ベッドに横になった。


 みんなは、スマートフォンを使うのを止めないだろう。それは別にいいと思う。


 でも、私は。


 私は、自分の知りたいことは直接見たり、聞いたりしたいと思っている。みんなみたいに、インターネットに没頭して会話を楽しまないような生活は、したくはない。
 時代に流されずに生きていけるか分からないが、私は、これからもこの思いを大切にしていきたい。
処女作です。自分の考えを文章にするのって、難しいですね。
魔理沙は、スマートフォンが普及したら興味津々で使いそうな気がする。逆に霊夢は興味も無く、神社でお茶を啜っているんじゃないかな。でも敢えて逆にしてみました。
何時か、全てがインターネットで済んでしまう時代が来るのでしょうかね。
ケロ
http://kerokero313.web.fc2.com/
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コメント



0.210簡易評価
1.20名前が無い程度の能力削除
これが10年前なら携帯いらね
20年前ならポケベルいらね
新しい物を否定すれば作品を簡単に作れそう
次の10年後は立体映像いらねかな?
2.10名前が無い程度の能力削除
便利なマジックアイテムを作り使ってる魔理沙にこのテーマは無理あるでしょ
何言ってんだこいつ状態
4.10名前が無い程度の能力削除
心の貧しい人の文章でした。
6.無評価ケロ削除
評価とコメントありがとうございます!
自分は心が貧しいので、もっと良い文章を書けるように努力していきたいと思います!
8.無評価名前が無い程度の能力削除
4は荒らしだと思うんだが
便乗して他人を貶めて喜ぶ心の貧しい人のコメントだろ
9.80名前が無い程度の能力削除
これって新しい技術とか流行りに適応、迎合できない人間の妬み嫉みだと思うんすよね
流行りってのはいつか廃れるから流れて行くって書くのですよ
定着したものは文化になる
小説とかテレビ、漫画やゲームもそうじゃないですか
曰く小説を読んでるとバカになる、テレビ見てるとバカになる、漫画見てるとバカになる…年代が変わっても同じ事を言う人は一定数いるもんなんですね
10.70名前が無い程度の能力削除
否定的な意見は気にせず、続けてがんばってください。
12.無評価名前が無い程度の能力削除
コメにコメしてる規約も読めないおサルさんがいるようで。
13.60名前が無い程度の能力削除
自分の意見を押し出した作品を作ると、反対意見も出るし賛成意見も出ます。
それがいいか悪いかは別として、少なくとも作者さんの意見はみんなに伝わってると思いますよ。
14.100名前が無い程度の能力削除
意外に魔理沙ってこういうやつかもな
道具を使えども道具に使われてたまるかってな感じで
それと思想的に支配されるの嫌いそう
みんながリアルでスマホみるのも思想的にみんなとあわせな糾弾されそう
怖い!ってのがホントのところだろうしさ
逆に魔理沙ならスマホ使って幻想郷を洗脳したれっていうのなら張り切ってやりそう
15.90ほうじ茶削除
若いくせにまだスマホではなくガラケーを使っている自分には、この魔理沙の言動に感情移入しやすく内容も面白かったです。
次の作品も楽しみに待っています。執筆、お疲れさんです。
16.70絶望を司る程度の能力削除
面白かったです。ただもう少し駆け足気味だったと思います。
17.90南条削除
面白かったです
ただもう少しじわじわスマホが流行っていった過程が見たかったです