Coolier - 新生・東方創想話

ホットラック.5(終)

2016/12/22 16:10:13
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マジでいやだなぁ、と思いつつも、私は師匠の命令を仕方なく、本当に仕方なく受けた。
「いや、私、脱走兵ですし」
「だからこそ、行くのよ」
ちょっとは何とかしようとは思わないのアナタ、と言われるものの。実戦経験つまないまま月から逃げた私にそんな期待されても困る。
というのも、どうやら幻想郷の至るところで、月の兵士達が降りてきたらしい。月面探索機ならぬ、地上探索機を投下して、地上の浄化作戦を開始したとのこと。
いやだなぁ。
てゐさんも、なにやらただならぬ顔つきで、お前言ってこなかったら殺す。と言わんばかりの怖い顔してるし、姫に至っては、しれっとうさぎ鍋ね、とか言い出している。
あの人ならやりかねない。
「いやー、月を救うって、無理じゃないですかね」
この前、霊夢たちが月へ言って散々に負けてきた話は聞いている。そんな連中が手に余る相手を、私がどうにか出来るのかなぁ。
「あなたしかいないわ、うどんげ」
そこまで言われたら、悪い気もしない。いろいろ勿体つけた挙句私はとうとう了承した。
「今回は、霊夢たちも同行してくれるみたいだけど、あなたが決着をつけるのよ」
うん、悪い気はしない。私がここまで頼られるって言うのも実に新鮮な感じがする。さていってきますと、ぼちぼち準備をしていると、やっぱりというかなんというか、師匠から薬を渡された。
「これをもっていきなさい」
「なんですかこれ」
なにやら、怪しげな蒼い薬を渡された。パッと見、すごく体に悪そう。
「それは、紺珠の薬」
師匠の話では、どうやらこれを飲んでおけばかなり有利に戦えるらしい。まあそういうことなら飲んでおいた方がいいのかもしれないが。
「あ、ただし、飲みすぎには注意よ」
「なんでですか?」
飲みすぎると、今度は副作用が相まって、地上に帰ってこれなくなるらしい。死ぬのと、帰ってこれなくなるの、どっちがいいという究極の選択を迫られた私は、仕方なく、本当に仕方なく薬を飲み干した。
「じゃあ」
なんだが、わりかしゲッソリした私に、てゐさんが声をかけてくる。
「なぁ」
「はい?」
一緒に行きたいのだろうか。もし私と変わってくれるならそれはそれで大歓迎だったが。
「私は、幸運のうさぎだ」
「まぁ、はい」
「だから、お前が今日も帰ってくるのを待ってるぞ」
メチャクチャ新鮮な気分だ。いつも私にいたずらばかりする彼女がこんな顔で送ってくれるとか、明日は雨かな。
「グッドラック」
幸運のうさぎである彼女に言われると、信ぴょう性がある。
「では、いってきます」
まだ見ぬ敵に向かって私は、月へと飛び立った。






『ホットラック』







浄瑠璃の鏡を見た私は、あまりに過酷な彼女の経験をみて、愕然とした。それに、彼女の持っている運命というか、使命の大きさはもう説明のしようもない。急いで月の医者のところに行き、なにか対策はあるのか。と聞いた。
あの純狐という妖怪の恨みは指向性などない。いつ地上にその憎悪を向けるかわからないと思ったのだ。
「必ず、勝てるわ」
月の医者は、彼女の戦いの記録から、純狐の穢の力を純化させる作戦を破る方法を思いついていた。体に少しの穢があれば、それを利用されて殺されてしまう。めちゃくちゃな理屈だが、だったら穢れをなくす薬を服用すればいい。というのが月の医者の作戦だったようだ。この数年間、医者はそれを作り続けていた。
「もし、あの子が、あの時と同じように戦えることが出来るなら、勝機はある」
そして、それが彼女の因縁に決着をつけることにも繋がる、ひいては月のため、幻想郷に生きる命のためにも絶対に負けられない。医者の話では、純狐はとうとう最後の大規模な作戦を始めるつもりらしい。月は最後の戦力を出して戦うそうだ。いま、月は純狐の攻勢に押しに押されて、とうとう夢の世界にまで住民を避難させなければならないほどになっているという。もう、後はない。私は、巫女やほかの魔法使いたちの力も借りた方がいいのではないかと行ったが、医者の反応は芳しくなかった。
「これは、月の因縁。あの子にとっても」
私は、あの子に全ての決着をつけてもらいたい。そう言った。
「あっ、師匠、包帯消毒終わりましたよー」
「ちょっと今大事な話をしてるから後でね」
「はーい」
本当に大丈夫なのか、私は散々聞いたが、医者の決意は変わらないようだった。
「もうすぐ、月の民が、地上への浄化作戦を開始するでしょう、その時にあの子を月に送ります」
あの時の鬼隊長ならいざしらず、あのお調子者の割と性格悪い女にそんな大きな運命を託してもいいのだろうか。いやけど、やはりこの戦いはレイセンにとって、運命とも言える大きな戦い。もしも、レイセンが針の穴を通すほどの運命をかいくぐって、月を救えたとしたら、閻魔も彼女を許すだろう。しかし、あんなバケモノと戦ってあのお調子者が勝てる運命が全く想像出来ない。
そうこうして永遠亭で最後の薬の調整が行われている最中に、とうとう月の地上降下作戦が始まった。月の住民達の運命を決する戦いの火蓋が切られたのだ。のろのろと起床するレイセンに、本当にこいつ大丈夫なのかと、心臓が破裂する思いだった。一応戦いだと聞いて、月の制服に着替えるレイセン。
失意の中、自分の記憶を偽ってまで、生きながらえた彼女は、自分の罪を洗い流すことが出来るのか。目の前のぐうたらな女を見ていると、もし失敗したらあの過酷な運命に逆らった兵士の思いを無駄にするのか、もしそんなことになったら絶対に殺すというわけのわからない気持ちになっていた。
「なぁ」
「はい?」
うまく言葉が出てこなかった。この家が、彼女の温もりの耐えない宿舎になるのか、それともまた彼女が失意のどん底に落とされるのか。できることなら、彼女に帰ってきて欲しいと思った。
「私は、幸運のうさぎだ」
「まぁ、はい」
なんとも、気だるげな顔つきで彼女は返す。こいつ本当に今自分が置かれてる状況がわかっているのだろうか。上の命令で仕方なくとか絶対に考えているに違いなかった。
「だから、お前が今日も帰ってくるのを待ってるぞ」
私が精一杯のエールを送る。普段、大してこいつに応援などしたこともなかったが、調子者のこいつは、なんとも気負いのない笑顔で返した。
「グッドラック」
彼女達がいつもあの寝床で交わした挨拶。こいつはどういうふうに捉えただろう。
「ではいってきます!」
レイセンは、月に飛び立った。
さぁ、彼女はこの招かれざる敵を追い返すことが出来るのだろうか。
おしまい
永夜抄と儚月と紺珠伝、その他書籍、無理やりまとめてみた。
まとめたら、うどんちゃんがクズ野郎になったので、かっこいい方向にしたら、記憶障害にするしかなかった。 ご視聴ありがとうございました。
neo
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コメント



0.90簡易評価
1.40名前が無い程度の能力削除
最初は面白かったけど原作に無理やり合わせようとしたせいでグダグダになっちゃったね。1の時点でもう原作ガン無視だったんだから貫けば良かったのに。まあ、最後は残念だったけど全体で見れば楽しめたよ。
2.70名前が無い程度の能力削除
永夜抄までのハートフル物かな?と思っていたら急加速して紺珠伝まで行くとは。
ハートフル物も好きだけど設定考察物も好きなので楽しめました。
途中で絶対に地獄落ちと強調されたのでよっぽどの悪行が描かれるのかと思って身構えていたら、最後までそれらしいものが出てこなかった点はちょっとひっかかりました。
4.30名前が無い程度の能力削除
折角よく考えるのに全編通して文章が雑すぎる。特に誤字はわざとやってるんじゃないかと思うほど。
作者の姿勢が作品を台無しにしてる残念な作品。
6.80かんこどり削除
まずは、完結お疲れ様です

狙ったかどうかわかりませんが、最初は叙述トリックに思いました。(てゐと一緒にいるウサギ≠うどんげ)

そしたら、トリックなしの純ストーリー。いい意味で裏切られました。

全体として、面白かったです。続きを楽しみにしてました。次回作、期待してます
7.100名前が無い程度の能力削除
良かったです
8.70名前が無い程度の能力削除
あの出だしから紺珠伝に続くとは、これは予想外。
もっと暗い内容を覚悟していたので思ったよりほのぼのな感じで私はよかったです。
鈴仙の心の病気設定とかがなあなあなまま解決しちゃったりと作りが甘いとは思います。