Coolier - 新生・東方創想話

働く閻魔様

2016/10/26 09:16:29
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 私は腹を立てている。すなわち、はらわたが煮えくり返っている。それは同じく煮え立つような地獄の暑さのせいでもある。寝不足なせいでもある。無神経な部下のせいでもある。勝手に休む同僚のせいでもある。だが今大事なことはただ一つ、私、すなわち四季映姫は腹を立てている。この事実のみが重要なのである。理由はどうあれ。
 事の始まりは昨夜である。日を跨ぐまで残業だった昨夜である。ハンコを押して書類をめくり、ハンコを押して書類をめくり…すべてが終わったころにはもう夜中の二時。大きく背伸びをして椅子から立ち上がり机の隣にあるベッドに倒れこむ。すぐに睡魔が襲ってきたが何とか起き上がる。そうシャワーを浴びていないのだ。せめて汗くらい流さねば、風邪をひく。というより、それ以前に一人の女性としてあるまじき行為だと私は思う。小町などはめんどうくさくて3日に一遍しか入らないらしいがどうかしていると思う。帽子を脱いで、上着を机の後ろのクローゼットのハンガーにかける。次にスカート、靴下、下着と脱いでいき、生まれたままの姿になった私は隣の浴室へ向かう。個室の隣に浴室があるのは閻魔の特権である。他の者は大浴場に行かねばならぬこととなっていた。だからと言って3日に一遍は不潔だが。
 5分ほどシャワーを浴び、鏡の前に立つ。はたから見たら変態にしか見えないだろうが、この行動にはちゃんと意味がある。どこかにシミはできていないか、顔にクマはできていないか、肌はみずみずしく清潔か、乙女にとっては大切なことなのである。であるはずなのだが、小町に話したら少し引かれた。そんなことしなくても大丈夫と胸を張る部下の姿が頭をよぎる。胸を張る部下の姿…鏡の前で小町を思い出すと惨めな気持ちになる。胸を張れるだけの立派な胸を持っているのがうらやましいとまでは思わないが、世の中不公平だと思う。いろいろ試してはいるが一向に大きくなる気配はない。
 毎度のことながらため息をついて浴室を出てベッドにもぐりこむ。こんなことで部下を嫌いになりたくなかった。素肌にあたる羽毛の感覚がなんとも心地よい。最近は本当に暑いので寝るときにいちいち服など着ないのだ。洗濯物も減るし、涼しいし、何よりベッドの良さを肌で味わえる。このことはまだ小町には話していないが、何となく話さない方がよい気がしている。小町は蒲団派だから。

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