Coolier - 新生・東方創想話

この店の営業時間は僕が起きた時から眠るまでだ

2016/05/04 04:11:51
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 僕が最初に感じたのは、うだるような暑さ。
 朝の目覚ましと称するには爽快さに欠けたあまりに不快な感覚。
 否応なしに襲い来るその感覚の増加によって、少しずつ意識が覚めていく。

 さらに耳に届いたのはよく見知った二つの声。


「おい、こーりん、起きろよ! おい!」


「そうよ、霖之助さん、客を待たせるとはいい度胸ね」


 呼び掛ける声が響く。
 未だ、まどろみの世界を抜け出しきらない頭で、僕はふとした疑念を抱いた。

 客、か。

 店に来ては物色するだけ物色し、気に入った物があれば「出世払い」と称して持ち去っていく。
 それを果たして「客」と定義付けて良い物なのか、僕としては大いに理解に苦しむところであるのだが。

 それを咎めたところでもはや、彼女達がそれを直すような事はないだろう。

 そんな事を考えながら、僕は体を起こす。
 どうやら、店の机に突っ伏して眠っていたらしい。


 かくして、僕は目を覚まし、傍らに置いてある愛用の眼鏡をかけたのだった。


 こら、魔理沙、狸の置物の上に座るんじゃない。







「霊夢に魔理沙、言っておくが、僕の店には明確な営業時間は無いよ」



「僕が起きた時から眠るまでが営業時間だ」


 それを聞いた二人は大げさにため息を付いた。


「まったく、お前ってやつは……やれやれだぜ」

「流石というかなんというか……」


 呆れ顔を隠そうとしない二人であったが僕はこう思う。
 他人が寝ている間に店を物色するのはいかがなものか、と。
 
 まぁ、それはさておき、魔理沙の方の用事は何となく想像がつく。


「魔理沙、頼まれていたミニ八卦炉はそっちの棚に置いてあるよ」

「おぅ、さんきゅーだぜ、こーりん」

「見たところ、相当酷使しているようだね。少しは道具をいたわるべきだと思うよ」

「その時はまたここに持ってくればいい話だろ?」

「む、まぁ、直す分にはやぶさかではないがね」

 言葉を含ませた僕の方を不思議そうに見る魔理沙。
 それをちらりと見つつ、僕は切実な願いを込めてこう言った。

「君がお金をきちんと払ってくれる、ちゃんとした客であったらの話だ」

「う、こーりん……そりゃないぜ」

 バツが悪そうにしている魔理沙の横腹を、霊夢がくすくすと笑いながら小突いている。
 だが、待ってくれ霊夢。
 勘違いしているようだが、君も同類だからね。
 それだけはしっかりと覚えておいてくれ。


「まぁ、どういたしまして、と言っておこうか。何はともあれ、その言葉は道具屋冥利に尽きるものだからね」

「ちっ、何だか居心地が悪いぜ……あ」


 魔理沙がポン、と手を叩く。


「忘れてたぜ! よし、お代の代わりに今日は私がこーりんにケーキを作ってやる!」

「え、ここで作るの!?」

 霊夢の疑問を待つまでもなく、突然何を言い出すのかと言おうとした僕ではあったが、
 その僕の疑念を挟む余地すらもなく、そう言い残した魔理沙は台所の方へと消えていった。

 どうやら既に材料は持参していたらしい。
 という事は、お代やら何やらは関係無しに初めからここでケーキを作る気だったのだ。
 そうであるならば止めるだけ無駄というものだろう。


 ちなみに僕は「魔理沙が調理」と聞くと、どうしても思い起こしてしまう。
 昔、魔法薬の実験と称して、鍋を盛大に爆発させた魔理沙の姿を。

 あれは、僕の元師匠である霧雨の親父さん、すなわち魔理沙の父親に内緒でやった事だった。
 それも親父さんが嫌っていた魔法に関わる実験であったが故に、当然、親父さんの怒りたるや、怒髪天を抜くが如し。
 実行犯たる魔理沙は勿論、兄弟子の立場にいた僕も、監督不行き届きをみっちりと叱られる事となったのだ。

「げっ、こーりん! お前、台所全然使ってないだろ!」

 そんな僕の回想を遮るように、台所の方から呆れと驚きが入り混じった魔理沙の声が聞こえてくる。
 さらに霊夢が心底呆れたように僕の方をじとりと見つめてくるが、さして気にする事でもないだろう。

 確かに本に夢中になって、食事は二の次三の次となる事は否めない。
 だが、結果としてこうして生きているのだから問題は無い筈だ。





 やがて、魔理沙がケーキを運んできた。

 手際の良さが感じられる調理の音でも何となく察しが付いてはいたが、存外、素晴らしい見た目である。


「ふむ、上手じゃないか」

「まぁまぁ、食ってみてくれよ!」

 自信ありげにそう言い放つ魔理沙に押され、パクリとケーキを口に運ぶ。
 勿論、霊夢も同様だ。


「ふむ、味も申し分ないね。これは素直に賛辞を送らせてもらおうか」

「ほ、本当か? そりゃあ良かった! 作ったかいがあるというもんだぜ!」

 得意げに鼻をこすりながらはにかむ魔理沙を見ると、この子の癖は昔から変わらないなぁ、としみじみと感じる。


「へぇ、意外ね、アンタこんなの作れたっけ?」

「アリスの奴に習ったんだ」

「やっぱりね、アリスの家で何度か食べた事があるわ」

 それにしても、あのおてんばな魔理沙が、こんなに洒落たものを作れるようになるとは……
 小さい頃の不器用極まりない魔理沙を知っている身としては、感無量と言っても過言ではない。

 やはり持つべき物は友人というものなのだろうか。
 彼女をここまで育ててくれた人形遣いのあの子には、後で丁重にお礼を言っておかなければなるまい。


 何にせよ、魔理沙のケーキが存外に美味であった事は否定できない。
 なので、僕は頭に浮かんだ最大限の賛辞の言葉を魔理沙に贈る事にした。


「あぁ、僕は今、まるで氷の妖精が学術書を読み始めたかのような感動すら覚えているよ」

「お前なあ、私の事を一体何だと思ってたんだ?」


 しかし、僕の意図とは裏腹に、魔理沙はその顔に怒りの色を浮かべたのだ。
 それは僕にとっては予想外の反応だったと言っていい。


「いや、霊夢の方がこういう事には長けていると思っていたんだが、まさか魔理沙の方が先にマスターするとはね」


つまり褒めているんだよ、と付け足す。
だが、事は一筋縄ではいかない。

「ふんっ、霖之助さんったら魔理沙の事ばっかり誉めるんだから」

 何と今度は、霊夢の気分までをも害してしまったようなのだ。

 僕としてはただ単純に魔理沙の力作に対して、正当な評価を下したつもりだったのだが。
 どうやら、魔理沙も霊夢もそれが気に食わなかったらしい。
 頬を膨らませて怒る二人を見ながら、僕はどうしたものかと途方に暮れてしまった。

「ま、まぁ、わかったならいいんだぜ」

「そうね、今回は霖之助さんの懸命さに免じて許してあげるわ」


 顔を見合わせる二人。
 僕の目の前で二人がしたり顔をした。

「この店の道具1つと引き換えで」

 両方から届く見事に調和した声。
 僕の頭の痛みが増した事は言うまでもない。




 その後、程なくして霊夢と魔理沙は店を出て行った。
 どうやらそれぞれにこれからは予定が入っているらしい。

 ちなみに僕はと言えば、本を読んでいるところである。
 普段は起床と共に、読書をするのが僕の日課であるので、少々遅めの日課というわけだ。
 しばらくは、読書に没頭するのも悪くはないだろう。






あ、暑い……


 霊夢と魔理沙がここから去ってからしばらく経った頃の事。
 蝉の声が一段と鳴り響き、うだるような熱気が幻想郷中を支配する昼下がり、少々やっかいな客が僕の店にやってきていた。

 僕の目の前に、店の売り物である背の高い椅子を置き、ちょこんと座っている者。


 それは、氷の妖精、チルノ。


「というわけでね、そこでアタイの出番だったワケよ!」


 彼女が得意げに語っているのは、かつて彼女と悪戯三妖精の繰り広げた「大戦争」についての話。
 尤も、大戦争と言っても所詮は妖精のスケールにすぎない。
 故に妖怪を中心とした力ある者達にとっては、せいぜい宴のツマミ程度の代物に過ぎないのだが。

「それでね、アタイ、武器が欲しいのよ! アイスソードってのが強いんだって!」

「それでアタイのサイキョーさから言うと……うん、これが欲しい!」

 そう言って彼女が手に取ろうとしたのは、店の傍らに飾ってあった“草薙の剣”。
 正真正銘の神格が宿った一品である。とてもじゃないが、一妖精に扱えるような代物ではない。


「申し訳ないがそれは非売品だよ」

「えー、あたいこれがいい!」

「駄目と言ったら駄目だ。君にはそれは扱えない」

「えー、サイキョーのアタイでも駄目なら誰も持てないじゃん!」


 その一言で策を閃いた。
 無論、この氷精の知能に合わせたものをである。


「いや、違うんだ」

「何がよ?」

「最強たる君がそれを手にしてしまっては、力が強くなりすぎて幻想郷が壊れてしまいかねない」

「……」

 考えている。
 今、この氷精の頭の中では、この幻想郷はどのような事態に陥っているのだろうか。


「それは君だって困るだろう? だから、最強の君は、もう少し力の無いこっちの剣を使ってはどうだろう?」


 そう言って僕が差し出したのは、無造作に捨て置かれていた何の変哲もない銅剣。
 「どうのつるぎ」と素朴な銘が打っている辺り、何故だかこの氷精に非常に合っている気がする。

 しかし、かの氷精は件の銅剣をバっとつかむと高々と掲げて言い放った。


「つまり、アンタもこのアタイに恐れをなしたって事ね!」


 やれやれ、この氷精に付き合っていてはキリがないな。
 だが、これで何とか話は収まったはずだ。


「そうだ! 大ちゃんがね、お買い物する時はちゃんと交換出来る物を持って行きなさいって」

 そう言って、彼女は懐をごそごそと探り始めた。
 ふむ、どんななぞなぞも解けないと有名なこの氷精。
 対価を払ってくれるかどうかはかなり心配だったが、大妖精が付いていたのであれば安心だ。


「でもね、アタイは大ちゃんが用意してくれた物よりも、もっとスゴい物を持ってきた!」


 ああ、申し訳ないが、前言撤回である。
 何故なら、そうして僕の目の前、机の上に置かれたのは幾つかの氷の塊。

 百歩譲ってそこまではいい。
 この暑さであれば、氷の塊は十分に希少価値がある。
 だが、問題はそこではない。


「これは……何だい?」


 その内部にはそれぞれ1匹の蛙が、見事に凍りついていた。


「せめて普通の氷の塊にしてくれないだろうか」

 僕は折からの暑さと、目の前で氷漬けになっているモノの気味悪さで、心の底からの願いを込めてそう口にした。

「アンタばかね! こっちの方が蛙も付いてお得なのよ!」

 いや、断じてお得ではない。と心の中で盛大にツッコミを入れる。


「でも、あたいの氷、そんなにサイキョーなの?」

「あぁ、夏の間ならば割と応じてくれる者は多いかもしれないね」


「何なら試しに今から人里に行ってみるといい。今の君なら最強の名に相応しい待遇を受けるかもしれない」

「ほんと!? やったぁ!」


「その前に、そこの氷漬けの蛙たちをしっかり湖に……」

「よし、アイツら見てなさいよ! これから作るアタイの氷の剣で、亜米利加牛と一緒に凍り漬けにしてやるわ!」


 瞬間、僕に向かって高らかに言い放ち、彼女は店から飛び出して行った。
 ちなみに十中八九、僕の話は聞いていない。
 やれやれ、これだから妖精の相手は疲れるんだ。

 だが、氷精がここを飛び出していった後、ふとした疑念が頭をよぎる。
 亜米利加牛とは何だろう?というのがそれだ。

 名前からして、牛である事には違いないと思うのだが、
 「亜米利加」という単語が何を指すのかが僕にはさっぱり見当が付かない。

 それにしても、まさか幻想郷でもアレな事に定評のある彼女が知っていて、僕に知らない言葉があろうとは。
 そこに言い知れぬ屈辱を感じているのは、きっと僕の気のせいではないだろう。



 そんな時、突如、ひゅうっと一陣の風が巻き起こった。
 本のページがめくれたので驚いて顔をあげると、またも見知った顔が僕の前に立っている。


「毎度お馴染み、清く正しい射命丸です♪  本日付けの新聞をお届けに参りました♪」


 どうやら、彼女は本に夢中になっていた僕に注意を喚起する為に、団扇で風を起こしたらしい。
 まぁ、その気になれば、店を吹き飛ばすほどの突風を巻き起こす事が出来るのが、彼女達「烏天狗」という種族。
 それを考えると、こう穏便に注意を喚起してくれた事は幸運であったと言えるのかもしれない。

「あぁ、いつもすまないね。そこの本棚にでも、置いておいてくれないかい?」

「えぇ、お安い御用ですよ、ここに置いておきますね……って、むむっ、こ、これは!」

「どうかしたかい?」


 何か粗相があっただろうか。
 見る限りではそういった事は無いはずだが…
 原因を探るべく思考を巡らせる。


「ありとあらゆる情報の徒である新聞記者としましては、この本棚周りの粗雑さは見過ごす事はできません」

「それは、記者であるかどうかは関係しているのかい?」

「あやや、別に射命丸個人として、でも構わないですが」


 そう言うだけ言って、彼女はややほこりの溜まった本棚の掃除と整理をすべく、然るべき道具を揃え始めた。
 幸い、雑巾と桶は本棚のすぐ横に転がっていたので、彼女がそれらを見つけるまでには、さほど時間はかからなかった。

 が、僕はここで、ある重大な事に気が付いた。


 ここは僕の店じゃないか。

 ここが他人の家と言うのならばいざ知らず、客人に自分の店の本棚の掃除をさせるというのはいかがなものか?
 あまり掃除等には気が進まない僕でも、流石にそれでは居心地が悪い。


「僕も手伝うよ」

「いえいえ、整理整頓というのは一人でやった方が、より綺麗になるものなんですよ♪」


 だが、普通に断られてしまった。

 まぁ、僕に道具屋としての衿持があるように、彼女にも彼女なりの衿持があるに違いない。
 情報の集まる本棚という場所は常に綺麗にかつ整理しておく。
 それもまた、1つの職人魂というものなのだろう。


そこに、ふと、彼女の持ってきた新聞が目に入る。


「そういえば、君のところの新聞、売れ行きはどうだい?」

 ふむ、と若干考え込む仕草を見せた目の前の少女。
 だが、すぐに答えは見つかったようだ。


「私の新聞も決して購読者が多い、とは言えませんが……」

 ニッコリと実に快活な彼女らしい笑顔が向けられる。

「それでも、このお店の客の数よりは多いと自負しているのですよ?」

 そう言い放ちながらこちらに向き直り、わざわざ得意げに鼻を鳴らしてくる彼女。
 その様とあまりにも即座に自身の優位を主張された事に、思わず僕も少しの憤りを覚えてしまった。


「いやいや、そうは言うがね、霊夢や魔理沙なんかは良くウチに来るんだよ?」

「貴方は、あの二人が客だと本気でお思いですか?」

「…………やっぱり君もそう思うかい?」


 当たり前でしょう、と、すました顔で答える彼女。

 言われてみればその通りだ。ついさっき、それを痛感したばかりじゃないか。
 霊夢と魔理沙に持って行かれた品物は、決して高価な物ではないが、出世払いで持ち去ったという事については一緒である。
 なお、その間も、問いかける彼女の手はてきぱきと本棚を整理して、着実にその見た目は整った物へと変貌を遂げている事も付け加えておく。


「あぁ、今更だがすまないね、そんな事をやらせてしまって」

「いいんですよ、お気になさらず」

 しかし、そうは言いながらも、彼女は再び、ふむ、と一息ついてしばし考え込む仕草を見せた。
 そして、すぐに彼女は何かを思いついたらしく、こちらの方に向き直る。


「そうですね、では、対価と言っては何ですが、私からの質問にも答えていただく事にします」


 む、少し譲歩しすぎてしまったかと後悔するが後の祭り。

 幻想郷においては烏天狗の質問に答えるとは、すなわち新聞の記事を飾るという事とほぼ同義である。
 それ故に、あまり大層な質問には答えたくないのだが……

 しかし、嬉々として質問を矢継ぎ早に飛ばしてくるいつもの彼女とは一線を画し、
 今回はたった1つだけ、こんな問いを投げかけてきたのだ。


「どうして、店主さんは私の新聞を購読してくださっているんですか?」


 ふむ、そう来たか。
 そんな質問ならばお安い御用だ。
 そうだな、大きく分けて理由は二つある。

「まずはそうだね。君は僕の店にとって、数少ない優良顧客の一人だから、かな?」

 彼女は僕の店において正規に程近い取引を行ってくれる稀有な存在の中の一人である。
 つまり、僕としてはだ。いわば“お得意様”の彼女とは、出来るだけ良好な関係を築いておきたいというわけである。

「あやや、つまり打算的な意味で、という事ですか」

 そんな僕の回答を聴いて、彼女は最悪に近い答えですね~などと呆れながら、ぽりぽりと頬をかいた。
 まるで期待が外れたかのような、自嘲するかのようなそんな類いの表情である。

 しかし、もう1つの方の答えは、幾分かは彼女の気を晴らす事が出来るかもしれない。


「いや、それだけじゃないさ」


「あまり外を出歩く方ではない僕のような者にとって、君の新聞はそれなりに貴重な情報源だからね」

「またまた、御冗談を~」


 到底信じられないという体で、烏天狗の少女は、ぱたぱたと手を振った。


「自慢にはなりませんが、この射命丸文。そのようにおっしゃっていただいた事など、ただの一度たりともありません!」

「天狗仲間の新聞大会でもさっぱり勝てませんし、そのせいか新聞の売れ行きも低調です」

「時々、道端のゴミになっている私の新聞に出会ったりもしますしね……」


 そうごちて、笑みを浮かべる彼女。
 だが、それはとても哀しく寂しげで、むなしさを押し殺した作り笑いである事は、僕の目から見ても明白であった。


「……何ならこれを見てみるかい?」

 そうして、僕は机の脇の引き出しに手を伸ばす。
 目的の品は、その中に仕舞われている1冊の帳面である。


「それは……何ですか?」

 案の定、少しだけ興味を喚起された様子で、彼女がこちらの方を見た。


「この帳面にはね。君の新聞から気になる記事だけを切り抜いて保存してあるんだよ」

「まぁ、僕個人の興味で選んだ物だから、さほど面白い物では無いのかもしれないが……」


 例えば、外界の道具が魔法の森に漂着した。

 例えば、里に変わった遊びが流行りはじめた。

 例えば、湖の吸血鬼の館には、知られざる大図書館がある。


 数えていけばキリがない。


 直近のニュースは確かアレだ。
 「古風な和装の恰好をした外来人の男がこの幻想郷に現れた」だったか。


 いや違う。それは前の前のニュースだ。
 直近のニュースはそう、「霧雨魔理沙は幻想郷の異端児(ジョーカー)である」だった。

 だが、この件に関しては、僕にも言いたい事がある。

 魔理沙が類稀なる特異な資質を持っている。
 それは彼女の成長を目の当たりにしてきた僕にとっては分かりきっている事である。
 故に、申し訳ないがこうして記事を保存するには至らなかったというわけだ。




「…………」

 僕が切り抜き、帳面として保存していた記事を、黙って読み込む彼女。

 やはり、気を悪くさせてしまっただろうか。
 僕としては有効に活用させて貰っているという事を彼女に伝えたかったのだが。
 もしかしたら、新聞を切り取って形状を変えてしまうという行為が、彼女にとっては好ましくなかったのかもしれない。

 しばらく何とも気まずい沈黙が流れたが、
 やがて、新聞の切れ端が貼られた帳面を凝視しながら押し黙っていた目の前の少女が少しだけ顔を上げた。


「こ、これはもしかして……その……」

「ほ、本当に……私の……私の新聞をちゃんと読んでくださっている、と?」


 言葉と共に、信じられないという顔付きで僕の方を見る彼女。


 その瞬間、何を言っているのだろう、と僕は思わず訝しんでしまった。

 何故なら、新聞とは情報を得る為に読む物。
 せっかく購読しているのに、読まずに捨てるなどもってのほかではないか。
 むしろ、可能な限り有効に活用するのが定石であるはずだ。

 さらに直接的に僕の利益に関わる事としては、先の帳面に残しておいたように、珍しい道具の漂着しやすい場所から、里での流行物に至るまで、
 彼女の新聞は非常に多くの事を比較的正確に記述している場合が多い。

 それ故に、店の道具を補充したり、売れそうな道具を見極める際には非常に重宝しているのだ。
 この事からも、僕が彼女の新聞からいかに多くの恩恵を受けているかを想像する事は十分に出来るであろう。


「そうだね、少なくとも対価に見合うだけの価値は十分すぎる程にあると、僕は思っているよ」


 と、そのような事を吟味して僕がこう口にした瞬間、彼女が小さく息を飲んだのがわかった。
 そして、心無しか俯きながら、彼女らしからぬ小さな声で、ごにょごにょと何かを呟いたのだ。


「そういう事を言ってくださるから、ついついここに寄ってみたくなってしまうんですよ……」


「ん、どうかしたかい?」

「な、何でもありませんよ! そ、それでは、新聞はここに置いていきますね!」


 それだけ言い残して大慌てで出ていこうとする彼女。
 慌てて柱にぶつかるなんて彼女らしくもない。


「あ、あぁ、いつもすまないね、ありがとう」


 そしてその時、僕は見てしまった。
 入口から急ぎ足で出ていく彼女の後姿。
 その耳がかぁっと赤く染まったのを。

 あの分だと、おそらく顔も赤くなっているに違いない。

 もしかしたら、彼女は何かの病気に罹ってしまったのだろうか?
 僕は以前、顔が赤く染まるというのは、万病の元たる「風邪」という病の初期症状であると聞いた事がある。

 妖怪も風邪にかかるのかどうかという点については、僕には少々わかりかねるが、
 もしも病気の前触れであるとしたら、それを黙って見過ごすわけにもいかないだろう。

 念のために、今度彼女に会ったら、顔が赤くなるに至った詳しい経緯を聞いておかなければなるまい。
 とにかく病気というものは、どんなものであれ初期における治療が肝要なのだ。


 医学書か何かが手元になかったかと探してみる。

 つい先程まで粗雑であったよく整理された本棚に目を通そうとした時、突然、僕の頭上から妖艶な声が響いた。



「ふふふ、店主さん、ご機嫌いかが?」


 気品と威厳を兼ね揃えた妖艶とも称すべきその声は、その特異な登場の仕方も相まって、まず聞き間違える事などない。


「あぁ、君か。今日は何の用だい?」

「うふふ、私の事も口説いてくれないかしら?」


 そう、僕の頭上から登場したのはスキマ妖怪、八雲紫。
 猛者という猛者が揃うこの幻想郷においても屈指の実力を誇る、正真正銘の大妖怪である。


「あいにく僕は、君ほどの大妖怪を口説く勇気も無ければ度量もないからね。丁重に遠慮しておくよ」

 実際のところは、遠慮どころか喜んで辞退させていただきたいというのが本音である。

「あらあら、それは残念ですわ」

 知ってか知らずか、こちらに疑いの視線を向ける彼女。
 彼女の場合、こういう時は大概、冗談を言っている時。
 軽く受け流そうとしたその時、不意に僕はとある事に気が付いた。

「ん?」

「あら、店主さん、どうかしまして?」


「いや、君は今、私の事“も”と言ったね」

「えぇ、確かに言いましたわ」

「その“も”は一体、何処の誰に掛かっているんだい?」


「決まっていますわ。ついさっきまでここに居たあの烏天狗以外に誰が居るものですか」


「ちょっと待ってくれ。僕がいつ彼女を口説いたって言うんだい?」


 確かにさっき、烏天狗の射命丸文がここに来てはいたが……
 交わしたやり取りといえば、彼女の新聞について話しただけ。何も特別な事を言ったわけではない。
 まぁ、成り行きとはいえ、彼女に本棚を掃除させてしまった事については申し訳ないとは思っているのだが。

 そもそも、口説くとは言うが、僕は女性とは全く縁が無い。
 まぁ、「縁が無い」というよりは「興味が無い」と言った方が、より正しいのかもしれないが。
 無論、断じて男性に興味があるというワケでもないのだが。

 しかし、それも当然だろう。

 何しろ僕の店にやって来るのは霊夢や魔理沙を筆頭に、揃いも揃って変わり者ばかり。
 それに加えて、どうやら僕自身も変わり者の部類に入るらしいので尚更という具合である。
 (ちなみに、僕自身の見解から言えば、僕は至極まっとうな部類に属する事を自負しているのだが)


「はぁ、気づいていないのなら構わないですわ」

 彼女は盛大にため息を付きながら、そう口にした。
 しかし、その一方で彼女は、それはそれで面白そうですわね、などと呟いている。
 そして僕は、ここにやってくる者を半ば以上の諦めと共に思い返していた。

「ところで、君が僕の店に来るなんて珍しいね。何かの道具をお求めかい?」

 普段あまり口数の多くない僕の方から話しかけられるとは思っていなかったのだろう。
 彼女にしては珍しく、その貌に少しばかりの驚きを浮かべた後、えぇ、と軽く笑みをこぼした。

「森の方に用があったついでですわ。偶には藍にお土産でもと思って」

「用というのは、結界の綻びかい?」

「えぇ。まぁ、そんなところですわね」

 詳しい事はわからないが、この幻想郷にも境界というものがあり、今、目の前にいる八雲紫やその式神、
 そして博麗の巫女たる霊夢が、この幻想郷を構成する結界の維持管理を行っているらしい。


 ちなみに。

「結界の維持って意外と面倒なのよね。霖之助さん、何でも良いから楽に結界が修復出来る道具とかない?」

 とは、結界の守護者たる霊夢の弁の一部である。


 そういえば以前、森の奥で不思議な道具を拾った事があった。
 「何でも好きな道具を出してくれる」という夢のような用途を持つ青い狸のような形をした道具だったのだが、如何せん、使い方がわからない。
 寺に住む鼠の子を呼んで、付近に重要なパーツが落ちていないか調べてもらったりもしたが、結局、何も手がかりは得られなかった。

 道具の用途は非常に魅力的で捨てるに惜しかったので、山の河童に見せたところ、既に壊れているとの事。
 当の河童は、直してみせると意気込んで山へ持ち去っていったが、あれは一体どうなったのだろうか?


 それはさておき、以前、天狗の新聞によって「式神虐待」が報じられた事もあるスキマ妖怪たる彼女。
 その疑惑の真偽は定かではないが、火の無い所に煙は立たないという言葉があるのもまた事実。
 そして、そんな彼女だからこそ「式神にお土産を買う」という所業に、僕は驚きを覚えた。


「それにしても、まさか君がそんな事をするなんてね」

「式神を休ませてあげて自らは働き、あまつさえお土産まで用意してあげるなんて、まさに主人の鏡じゃないか」


「あら、勿論、藍は他の結界を修復していますわよ?」

 そうして彼女は、さっきまでの優しげな微笑みとは一転、妖しげな笑みを浮かべた。
 その目に何とも不吉な予感を感じた僕は、真実を確かめるべく、僕はこう問いかけた。

「ちなみに藍君に任せているのはどのくらいの量なんだい?」


「そうですわね……」


「大小合わせて百か所くらいかしらね♪」



「君は?」

「森の一か所だけですわ♪」


 空いた口がふさがらないという慣用句が、これほど当てはまる場合も中々無いのではないか。
 さらに付け加えて「たぶん、必死なんじゃないかしら?」などと飄々とのたまう彼女。
 僕の目にはこの暑さの中、過度な仕事でよろめく妖狐の姿が見えたような気がした。


「そ、そういえば、何かお土産を買ってあげるんじゃなかったかい?」

 僕はあまりの理不尽さに少なからずの頭痛を覚えたが、気を取り直してそう尋ねてみた。
 そして幸い、彼女は既にある程度の見当を付けていたようで、
 少し周りを見渡した後、店の中に無造作に散乱していたその道具を手に取った。

「えぇ、これですわ」

「せ、洗濯バサミなんてどうするんだい?」

 そう、彼女が手に取ったのは洗濯バサミという道具。
 ちなみにこれも幻想郷に流れ着いた外の世界の道具の一つであり、衣服を固定する為の道具であるらしい。
 そして時には他人の指や腕、鼻や頬に装着する為の道具にもなるという事が判明している。

 そういえば、以前、その特殊な用途を魔理沙に説明したところ、嬉々として何処かへ持ち去っていったが、
 あれは一体どうなったのだろうか?


「勿論、藍へのお土産ですわ♪」

「お土産とは言うが、それでは藍君にもっと洗濯に励みなさいと言っているようなものじゃないかい?」

「えぇ、だってその通りですもの♪」

「ど、どういう事だい?」

「出来る事なら、お洋服は勿論、お布団や枕も毎日朝晩、欠かさず洗って貰いたいですわ♪」


 そう口にして、キラキラと目を輝かせるスキマ妖怪、八雲紫。
 改めて、彼女に仕える式神の苦労がしのばれるというものである。
 そもそも、一日中寝られていては、洗濯も何もあったものではないだろう。

「僕のような者が言えた事ではないのかもしれないが……君はもっと慈悲というものを覚えるべきだと思うよ?」


「あら、私ほど慈悲深い妖怪も中々居ませんわよ?」

そ う口にしながらも、扇子で口元を隠し、目をすっと細めているその様は、いかにも嘘を付いているという体。
 たとえ、感情をストレートに出す魔理沙であったとしても、ここまで露骨にはならないであろう。


「まぁ、良いですわ。じゃあ、これを頂いていきますわね。はい、お代」

「お代は要らないよ」

「あら、どうして?」

「ただでさえ、君がソレを持ち帰るというのに、お代まで貰ってしまっては家計を預かる藍君に申し訳ないからね」

 尤も、大邸宅として広く名が知れ渡っているマヨヒガに住む彼女達の事だ。
 こんな小さな道具の1つや2つでは家計はビクともしないであろうが、要は気持ちの問題である。

 心の機微を働かせるというのは、幾分僕らしくないという事については十分に自覚しているが、
 余りにも傍若無人に店中を物色する霊夢と魔理沙を前にしていると、そんな心が芽生えてくるものなのだ。
 そんな僕の崇高な精神を、霊夢と魔理沙には、ほんの少しで良いので見習って欲しいものである。


「あら、店主さん。藍は律儀だから、絶対にお返しに来るわよ? あの子の好きな油揚げ辺りを持ってね」

 む、余計な気を使わせてしまうだろうか?
 でもまぁ、もしそうなってしまえば仕方が無い。
 その時は油揚げをありがたくいただく事にしておくとしよう。

「では、店主さん、ごきげんよう♪」


 こうして、彼女は再び、「スキマ」へと姿を消した。
 彼女の後ろ姿を見送り、僕は再び本と共に思考の奥深くへと埋没していく。

 先刻訪れた氷精の置いていった氷が暑さを幾分かは和らげてくれる。
 そんな暑い夏の昼下がりの事であった。
 
 無論、中の蛙は救出済みである。





 スキマ妖怪たる彼女が去った後、再び僕は本を読んでいた。
 今更言うまでもないが、誰も居ない中での読書、これに勝る至高の時間はない。

 店に客が来ていない時は本を読む。

 それが僕の日課となっている。
 自分で言うのもとみに悲しい話ではあるのだが、一日中本を読んでいる事もそう珍しくはないのだ。

 むしろ、今日のようにこの店に多くの者が訪れる日の方が珍しいのだが、続く時はとことん続くものである。
 今日はさらに珍しい客が顔を出したのだった。


「おやおや、珍しいお客様だね」

「んー、ちょっとね!」

 今しがた、店に入って来たのは竹林の妖怪兎、因幡てゐ。
 愛らしいと言われる外見とは裏腹に、幻想郷においても屈指の曲者と称される彼女。
 その彼女がいかにも怪しげな箱を持って僕の目の前へとやってきた。

「言っておくが、募金はお断りだよ」

 その箱の形状を見た瞬間に理解した。

「店主さんもつれないねぇ~、いい? これはね、お賽銭箱なのよ?」


 そう言って、彼女は持っていた箱を、ポンと僕の机の上に乗せた。


「ふむ、お賽銭と言えば当然、御利益があるはずだが?」

「勿論、御利益だってちゃんとあるわよ? 博麗神社のインチキなお賽銭箱とは訳が違うわ」

 まがりなりにも、もとい、れっきとした正真正銘のお賽銭箱を捕まえてインチキ呼ばわりとは、大いにばち当たりな話ではある。
 だが、唯一にして最大の懸念は、この幻想郷には神罰を微塵も恐れない輩が想像以上に多いという事であろうか。

 ただ、仮に御利益が本当にあるというのならば、その内容が気になるのもまた事実。
 例えるなら、安産祈願は今の僕には無用の長物に過ぎない。
 だが、それが商売繁盛ならば願ってみるのも悪くないと言ったところであろうか。

 これは訊いてみた方がいいだろう。


「ほぅ、例えば何があるんだい?」

「何って?」

「ほら、御利益の種類だよ」

「はい、これが幸せを呼ぶお賽銭箱よ♪」


そう言って彼女は、机に置いた箱の側面をトントン、と指で叩いた。


「む、手が早いじゃないか」

「まぁね♪ で、どんな御利益があるか、だったよね?」

「あぁ、やはり気になるものだからね」


「そうね。例えば、フラっと出かけてみたら、思いがけず珍しい道具が見つかったり」


「それはまた都合の良い御利益だね。 さては、方々で違う事を言っているんじゃないのかい?」



 あまりにも僕にとって都合の良い御利益、どう考えても嘘八百の内容に騙されるような僕ではない。

 しかし、予想に反して、彼女はしたり顔でこう答えたのだ。


「ご名答♪  いやはや、店主さんも鋭いねぇ~」

「何だ、やけにあっさりと認めるじゃないか」


 噂に聞こえる彼女らしからぬ引き際の良さに、僕は思わず面喰らってしまった。
 が、彼女はそんな僕を気にする素振りも見せない。

「だって、考えてもみてよ。幸運の形は千差万別、誰一人として同じ幸運の形を持つ者は居ないわ」

「ふむ、確かにそれはそうだ。興味深い話だね」


 幸運や幸福の定義が諸説ある事については、今更言うまでもないだろう。
 確かに彼女の言うように、その定義は千差万別というのが最も的確な解ではないかと僕も考えている。


「そうね、じゃあ次の質問、私の能力はどんな物かわかる?」

 彼女のその表情が少し真剣なものに変わり、簡素な問いが投げかけられた。
 当然、答えるまでもない。


「そう、知っているとは思うけど、私は出会った者に幸運を呼ぶ存在。そして、そこに優劣は存在しないわ」

「む、な、何故だい?」

「だって、もしも他の誰かが自分よりもさらに幸運であったなら、店主さんも幸福感は感じないでしょう?」

 彼女の眼がそうよねと言わんばかりに雄弁に語る。
 ふむ、こればかりは認めざるを得ないか。

「ああ、確かにそうだね」

「でしょう? だから私の能力はあらゆる者に平等の幸運をもたらすの」

「まぁ、幸運と言っても精々、四十葉のクローバーがもたらすくらいの幸運、そう大層な物ではないけどね♪」



「だから僕にもまた、僕の望むような幸運が訪れる、と?」

「この理屈、賢い店主さんなら判ると思うけどなぁ~♪」


 確かに、彼女の言を事実とするならば、これから訪れるであろう幸運は魅力的であると言わざるを得ない。

 商売人としての性か、はたまた僕自身の嗜好の問題か、詳しい事は僕自身にも定かではないが、
 こうして「晴耕雨読」もとい「晴読雨読」とも称すべき生活を送っている僕のような者が、
 唯一、行動的かつ情熱的になるのが、道具の収拾および、それにまつわる逸話について語る事なのである。

「あるいは、わざわざ探しに行かなくても、見知らぬ道具が向こうからやって来る、とかね♪」

 そう口にして、彼女はこちらを見据え、悪戯っぽい笑みを浮かべた。


「しかし、やはりすぐには信じられないな。そもそも、面白い道具が見つかる確率なんて、そう高いものじゃない」

「でも、確率は所詮確率にすぎない。圧倒的な幸運の前では確率なんて何の役にも立たないわ」

「む、そこで成否を決めるのは、その可能性がゼロであるか否かのみ、そういう事かい??」

「ご名察♪ 流石だね、店主さん」

「尤も、このてゐちゃんの可憐な容姿を拝む事が出来ただけでも、店主さんは十分に幸運といえるのだけど」


 いや、それはない、と心の中で断言しておく。
 だが、この一言で僕の中にある結論が生まれた。

 確かにこの妖怪兎に会う事こそが幸福であると感じる者が居るであろう。それをあえて否定はしない。
 だが、僕の場合は面白い道具や珍しい道具が手に入る方が、ずっと幸福を感じる事もまた事実。

 そしてここで、さっき言われた事をもう一度思いだす。

 つまりだ。
 もしも誰かが「彼女に会った事」を幸福な出来事として語っているのを耳にしたならば、
 僕は「珍しい道具を手に入れた」自分自身の方がより幸福であったと感じるに違いない。


「ね、どう?」

 改めて、悪戯っぽく目を輝かせる彼女の様に一抹の疑念を覚えつつも、
 そういう事ならお賽銭を入れても良いだろうと、僕はしかるべき額を捧げる事にした。


 その時だった。


「ちょっと待ってよ」

「む、な、何だい?」


「これから起こりうる御利益の内容をわざわざ教えてあげたのに、その分の対価はないの?」


 な、何を言いだすんだ、この兎は……



「き、君が自分で教えてくれたんじゃないか」

「でも、実際に貴方は情報を得た。ならば、その分の対価はきっちりと払うべきよね」

「むむ……」


 今の僕はさぞかし、苦虫を噛み潰した顔をしているに違いない。
 まぁ、彼女の言いたい事はわからなくもない。

 と言うのも、本来、この先、僕にどんな幸運が訪れるかは誰にもわからないはず。
 しかし、その本来得る事が出来ない情報を事前に教えたのだから、それに見合う対価も払うべき。
 つまりはこういう事であろう。


「勿論、店主さんの望む幸運が訪れなかった時は、差額はきっちりと返すわ」

「……だって、私は幸せを呼ぶ兎。私に関わる者は全員が幸せになるのよ」


「ふむ、それ故に、僕にだけ幸せをもたらさないなんて事はない、と?」

「珍しい道具が手に入れば貴方は幸せ、お賽銭がたくさん入れば私も幸せ。どう? 理想の関係でしょ?」

 確かに彼女の言う通りではある。
 それを裏付ける例の1つとして「自他共栄」という言葉もあるくらいだ。


「もう一度だけ聞くが、本当に御利益はあるんだろうね?」

「幸運の兎の名にかけてそれは保証するわ♪」

 そう言って、再び彼女はこちらを見据えてくる。
 至って真剣なその眼は、「この機を逃がすのは勿体無い」と雄弁に語っているように僕には見えた。
 そして、そんな彼女に気圧されたわけではないが、そこでようやく僕の中の覚悟が決まった。


「ふむ、仕方が無い。ほら、これで良いのかい」


 ついさっき入れようとしていたお賽銭の額に、さらに付け足す。
 参考までに確認しておくが、決して僕は彼女に騙されてあげたわけではない。
 そもそも、新たに付け足した額はそう多いものでははないし、あくまでも見返りの方が大きいと思ったからこそ、お賽銭を入れたに過ぎないのだ。

 それに、「あの時お賽銭を入れておけば……」などと後悔するような後味の悪い結果になる事だけは何としても避けたかったというのもある。

 何にせよ、1つだけ確かな事がある。
 それは「最終的に僕はお賽銭を入れた」という事だ。




「はい、まいどあり~♪」

 そして、件の妖怪兎はと言えば、箱にお賽銭が入った事を確認するや否や、極上の笑顔を残して去っていった。
 やはり何だか騙された気もするが、もしも本当に珍しい道具が手に入るのならば、この程度の額など安い物。

 今は期待しないで待っておく事にしよう。
 傍らにある新たな本に手を伸ばしながら、僕はそう結論付けた。







「ごめんください」



「いらっしゃい、おや、これはまた珍しい顔だね」


 今度のお客さんは、永遠亭に住む兎の片割れ。
 確か名前を鈴仙と言ったか。イナバとかウドンゲとか様々な名前で呼ばれているのを耳にした事がある。
 何でも月から来たという話だが、月では名前を複数持つのが、当たり前なのだろうか。


「ついさっき君のところの兎が来ていたよ」

 あまりウチには馴染みのない顔である彼女。
 努めて気さくに話しかける。流石に放っておいて読書に熱中するわけにはいかない。
 何はともあれ客商売だ。


「兎って…てゐ?」

 目を細めて何かを疑っているように思案する仕草を見せる。
 燃えるような彼女の紅い色の瞳が、心なしか濃くなったように感じた。


「あの子、また悪さしていかなかった?」

「そんな事はしていないよ」


「せいぜいお賽銭箱を持っていたくらいだね」


 お賽銭と聞いて、彼女の顔が一気に青ざめた。


「お金、払っちゃったんですか!?」


 肯定の返事をするや否や、すぐ返しますと慌てて財布に手を伸ばす彼女。

 それを言葉で制止する。


「いいんだよ、あれはお賽銭だからね。言うなれば僕のゲンかつぎの問題だ」

「そうだな、期待はしていないが、せいぜい御利益に預かれればいいなと思っているよ」


 しかし、そうは言ったものの、彼女の怒りは収まらない。


「てゐのヤツ! 今度という今度はお仕置きしてやるんだから!」


 このままでは、埒が明かない。
 彼女の怒りを静めるためには、この話題を続けていてはダメだ。


「ところで、用事はなんなんだい?」

「え、あ、あぁ、ちょっと道具を見て貰いたいなと思いまして」

 用事を思い出したらしく、少し声がトーンダウンする。

 それにしても珍しい事もあるものだ。
 竹林に珍しい道具などが落ちていたのだろうか。


「道具の鑑定という事でいいのかな?」


「えぇ、まぁ」


「外にあるから、今から持ってくるわね」

 その道具は何と大八車でここまで引っ張ってきたらしい。
 いくらこの辺りは比較的平坦な道が続いているとはいえ、大八車一台分とは恐れ入る。
 よくぞまぁ、ここまで持ってきたものだ。

 言語を発さずとも、驚きが顔に出ていたのだろう。

「ご心配なく。伊達に薬を行商してるわけじゃないですので」

 すました顔で大八車から大小様々な道具を運び込み始める。
 次々と運び込まれるそれらはどれも不思議な形状をした道具であった。

「それはなんだい?」

「何って……うちのお屋敷にあった月の道具よ」

「な、何だって!?」

 思わずまじまじと見つめてしまった。


「店主さん、見惚れすぎ」

「眼鏡が割れなかっただけ、良しとしなければいけないね」

 冗談めかして言うが、内心は別だ。
 心臓がバクバクと鼓動を打っているのがわかる。

 
 何しろ、今、目の前にあるのは、かの月の道具なのだ。
 月には一見、いかなる生命体も居ないように見えるが、その裏側には最新の技術(テクノロジー)を持った高度な文明が存在する。
 僕の能力を以てしても解析できない、様々な道具があるらしいという事は知っていた。

 だが、実物を見るのはこれが初めてだ。

 とにかく、道具屋たる僕にとっては垂涎モノの一品ばかりなのは間違いない。
 この幻想郷で気ままに暮らしている限り、千年万年かかってもお目にかかれないような代物ばかりである。


「何なら買い取って欲しくて持ってきたんだけど…」

「てゐが迷惑かけちゃったみたいだし、欲しいモノは全部あげるわ、どうせいらないものだし」


 断言しよう。

 あのお賽銭箱には御利益がある。

 これは不味いぞ霊夢、君にまた一人商売敵が出現だ。







「失礼、邪魔するよ」


 月の道具を間近で観察し始めて、どのくらい経っただろうか。
 呼びかける声でふと我に返る。気づけば夕方になっていた。


「やぁ、店主殿、洗濯バサミはここにあるかい?」


 声の主は九尾の妖狐・八雲藍、かの大妖怪・八雲紫の式神である。


「いやぁ、うちの橙も外で遊ぶ事が増えてきてね。何せ元気で、衣服を次々に汚してしまう」

「洗い物もとみに増えてきていたから、ずっと欲しいと思っていたんだよ」


 そうか。だから…


「実はさっき君の主が来ていってね。まさに君の求めるそれを買っていったよ」


 本当はお代はいただいていないが、それを彼女に言う必要はない。
 余計な気を使わせるだけだという事は、いくら僕でもわかる。


「紫さまがか?」


 その行動は予想外だったのだろう。
 彼女の尾がぴこりと跳ねるように動いた。


「ところで、今日は随分と難儀したそうだね」

「あぁ、紫さまに聞いたのかい?」

「何でも百か所もの結界の綻びを担当していたらしいね、ご苦労様な事だ」

 精一杯の気持ちを込めてそう口にする。


「労いはありがたいがね」

 普段、労われるという事が無かったのだろう。
 少し照れくさそうに、彼女は鼻の頭を擦った。

「綻びの修復は、イメージとしてはいわば亀裂を埋める程度の作業にすぎないんだよ」

「と言っても、あくまで演算上の事だから正確には異なる部分もあるがね」


「ちなみにだが、結界の乱れには大きく分けて揺らぎと綻びがある」

「それらは似て非なるものだ」

 成る程、確かに霊夢も同じような事を口にしていた事がある。

「元のカタチは壊れていない綻びと違って、揺らぎはカタチごと不安定になっている」

「だからこそ、その修復は難しいんだ。例えるのは難しいが、言うなれば水や空気を切り分けて固めるようなものだろうな」


「それも、紫様が向かわれていた今回のモノはかなり大規模な揺らぎでね、あの分だと時空ごと歪んでいるな」

 曰く最大で千年近くは位相がずれたとか。
 千年とは妖怪にとってはそこそこの時間にすぎないが、人間にとっては致命的な時間だ。
 万が一、巻き込まれればひとたまりもないだろう。


「まぁ、紫さまが向かわれたあの揺らぎに比べれば、私が直した百か所の綻びなど物の妨げにもならないだろうな」

 彼女は苦笑いしながらそう口にした。


「紫さまはいつもはああだがね、それはそれは慈愛に満ちた御方だ」

「いつもどんな時でも私達の事を見てくださっている」

「そして、紫さまほど、この幻想郷という世界を愛している方も居ないはずだ」


 まったく、あのスキマ妖怪様にも、ほとほと困ったものだ。
 精一杯の敬意を以って、僕はそう断言する。

 今回だって、蓋を開けてみれば、自分が一番難しい事をやってのけていた。
 そうならそうと素直に言ってくれればいいのだが、あえて自分が悪役になりたがる。

 しかし、それもまた、彼女がこの世界を愛しているが故なのかもしれない。
 愛しているが故に、世界のすべてを愛しているが故に、彼女はかく振舞うのだとしたら。

 渦巻く批判や中傷を、そして大きな期待や羨望を、その全てを己が責任としてその身に負い続ける覚悟と度量。
 良いも悪いも、彼女は森羅万象、全ての矛先を自分に向けさせるのだ。

 改めて思う。やはり彼女は生半可な大妖怪ではないのだ、と。


「僕達が今こうして気ままに暮らしていられるのは、この上なく幸せな事だと言えるのかもしれないね」

 気付けば、柄にもなくそんな言葉が口をついた。


「店主殿」

 僕の言葉を聞いた妖狐殿が、目を瞑って何かを思案した。
 そして、意を決したようにゆっくりと息を吐く。

「今度紫さまに会ったら、一言だけでもいい、幸せだと言ってあげてくれ」

「あのお方にとっては、それこそが願いであり、それこそが一番の幸せだ」


「尤も、紫様ならば、言葉にせずともお見通しなのかもしれないがね」


 どこまでも優しく、どこまでも満足そうに、彼女はそう口にした。
 大妖怪たる九尾の妖狐にこのような表情をさせるとは、流石は幻想郷の賢者・八雲紫である。


「それでは失礼するよ、店主殿」


「あぁ、君も大変だろうが、どうか頑張って欲しい」

 歩きかけたその後姿に、僕は声をかける。

「君たちのおかげで僕は幸せだ」

 主が言われて嬉しい事ならば、弟子も嬉しいに違いない。
 僕の性格からすれば、本当に柄ではない事甚だしいが、感謝の心が芽生えてしまった以上、
 言葉なり行為なり、何かしらの行動に移さなければいけないだろう。

 ……言葉は届いたのだろうか。
 後姿の妖狐殿は、ひらひらと手を振って去っていった。





 夜、うだるような暑さも僅かばかり和らぐこの時間帯。
 この時間もまた、非常に趣深いものがある。
 あまりにうるさいのは考え物だが、蛙や梟、虫の声を聞きながらの読書も、僕は嫌いではない。

 日が暮れてから、どれくらい経っただろうか。


「おや、霊夢じゃないか」


 ふらりと姿を現したのは霊夢であった。
 無言で入ってくるなり、狸の置物に腰を下ろす。
 足をぶらぶらと所在なげに振りながらも何も口にしないあたり、どうも歯切れが悪い。


「ね、霖之助さん」

「てゐっていう兎、知ってる?」

「あぁ、幸せを呼ぶお賽銭箱の話かい?」

 ここはあえて、話題を先回りして尋ねてみる。
 たまには霊夢を出し抜いてみるのも悪くないだろう。

 が、「何の事?」という顔がこちらに向けられる。
 どうやら、例のお賽銭箱の話ではないらしい。


「あいつ、さっき野良兎達に餌やってたわ」

 しかもなんかすっごい高そうな人参、と霊夢が付け足す。

「何処でそんなお金手に入れたんだか」

「良いわよねえ、お金持ちは」

 しかし、僕にはわかる。
 あのお賽銭箱だ。その人参代は彼女が方々で弁を振るってかき集めたお金に違いない。



「それにしても、あいつも不覚を取ったわね」

 霊夢の言わんとする事がわからず、僕は再び霊夢の方を見た。

「だって、そんなのあいつのキャラじゃないわ」

「すっごい優しい顔してたんだから。野良兎に人参あげてる時のあいつ」




――私に関わる者はね、皆が幸せになるのよ

 かの妖怪兎の言葉を思い出す。
 成る程、そういう事なら僕もお賽銭を出した甲斐があるというものだ。

「ところで霊夢、こんな夜更けに何の用だい?」


 途端、霊夢がむっとした顔をした。
 霊夢はその手に買い物袋を提げていた事に、今ようやく気がついた。


「……作りにきた」


「えーと、何を……だい?」

 皆目見当がつかず、僕は返答に詰まってしまった。


「栗きんとん」


 むすっとした表情を浮かべ、霊夢がそれだけを口にする。
 同時に、腰掛けていた狸の置物からとんと飛び降りた。


「……私だってお菓子くらい作れるんだから」

「そりゃあ、魔理沙みたいな洋菓子は作れないけど」

 それだけ言うと、霊夢は台所へと消えていった。





 流石だ。
 その一言に尽きる。

 台所から響く軽快な調理音。
 霊夢は元々器用な子だから、こういう事は人一倍上手い。


「できたわ」

 何処から持ってきたのか、それは趣のある小皿に盛り付けられていた。
 率直に言って、見事な栗きんとんだ。

「美味しそうじゃないか」


「美味しそうなのは見た目だけかもしれないわよ」

「何せお金が無いから、ろくな材料買えなかったし…」

 僕の驚愕と疑いの目に気づいたのだろう。
 済ました顔で霊夢は口にする。


「冗談よ、材料はちゃんと買ったわ、バカにしないでよね」

「れ、霊夢、君が言うと冗談に聞こえないね……」

 むっと膨れる。
 この子はいつもそうだ。
 冷静でいるようで、実はそうでもないところがこの子にはある。
 博麗霊夢という看板を取ってしまえば、ごく普通の年頃の女の子だ。

 むしろ、なまじ何かあれば「博麗の巫女」という肩書きに隠れてしまえる分、
 この子は魔理沙以上に素の部分に純粋なところがあるように僕は思うのだ。

「で、美味しいかしら?」


「あぁ、美味しいね」

「疲れた身体に染み渡るような甘さだよ」


「霖之助さん…」

 じとりと霊夢の視線が僕に突き当たる。

「あのねぇ、日がな一日、ずっと本読んでばかりで、疲れる要素なんてこれっぽっちもないじゃない」


 ぐうの音も出ない。

 至極その通りである。

 だが、今日はとても来客が多かった。
 間違いなくいつもより疲れている。

 そんな折に、この甘味だ。
 まさか霊夢がこんなに手のこんだ物が作れるようになるとは。
 だが、また何か言うと、霊夢を怒らせてしまいかねないので、ここはぐっと堪える事にする。


 それにしても、魔理沙はケーキ、霊夢は栗きんとん。
 あの小さかった二人が、こうして自ら料理をする年頃になったのだ。
 本当に大きくなったものだとしみじみ思う。


 そうして思うのだ、「人」の成長の早さを。

 それを見送る「妖怪」が過ごす悠久の時を。

 そして「両者」が織り成すその営みの眩い輝きを。


 これが、妖怪の賢者・八雲紫が愛した世界だと言うのだろうか。
 だとすれば、かの従者である妖狐殿の言う通り、僕は一人の住人として感謝しなければいけないだろう。

 彼女たちにも、そして、今、目の前にいる結界の守護者・博麗霊夢にも。



「美味しかったかしら?」


 栗きんとんを食べ終えた時、再び霊夢が問いかけてきた。


「あぁ、美味しかったよ。間違いなくね」

「随分と腕を上げたものじゃないか」


「そ、美味しかったならいいわ、許してあげる」


 伏目がちに霊夢はそう口にした。


「じゃあ、私は帰るわね」



「ちゃんと戸締りはしておきなさいよ」

「忘れて寝たら明日も出世払いで買い物するから」



 戸の閉まる音が響いた途端、まぶたが落ちる。

 長い一日が終ったのだ。



――この店の営業時間は、僕が起きてから眠るまでである。
まずはここまで読んでいただき本当にありがとうございます。

「香霖堂メインのお話が書きたい!」
これもまた過去作と同じくずっと心に抱いていた願望でした。

実は当初、タイトルは「薀蓄が好きで偏屈極まりないとある店主の話」だったのですが、
いざ書き上げた時に「あれ?この霖之助、薀蓄も語ってなければ、そこまで偏屈でもなくないか?」と、致命的なタイトルとの乖離に気付いて急遽変更。
自分が書きたかった「香霖堂のとある一日」を示すタイトルを付けてみたつもりです。

なお、色々なキャラと霖之助のやり取りを書きたかったので、その点でキャラは多めになりました。
一組でもお気に入りの組み合わせがあれば嬉しい限りです。

最後に、創作速度が極端に遅い自分ではありますが、
原作ならびに、皆様が作られた色々な作品からさらなる薫陶をいただいて、少しでも素敵な幻想郷を描いていけたらと思っています。
それでは改めて、ここまで読んでいただきありがとうございました。

※5/7 コメントでご指摘いただいた文頭・感嘆符・疑問符後の1マスの空きが抜けていた複数の部分について訂正編集させていただきました。
     小説を書くにおいては基礎の基礎とも言える部分であり、複数箇所を推敲にて発見できぬまま、投稿してしまった事について深くお詫び申し上げます。
     また、このような形でご指摘していただき感謝しております。本当にありがとうございました。
いぐす
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コメント



0.1290簡易評価
1.90名前が無い程度の能力削除
賑やかでよいSSでした。
2.100名前が無い程度の能力削除
夏の香霖堂内勤編ですね。
今度は外回り編も読みたいですね。
道具の仕入れとか納品とか。
4.90奇声を発する程度の能力削除
雰囲気も良く面白かったです
8.90名前が無い程度の能力削除
こーりん爆発しろと言うべきシチュばかりなのに何故か許せるゆるいけど幸福な幻想郷の日常
9.70名前が無い程度の能力削除
洋菓子は香霖堂の設備的にも外界の材料的にも作るの難しそうだ
飲食自体楽しめるけど生命維持には不要ってのは趣味人として最高の性質だよなぁ
12.100南条削除
おいおいこーりん随分モテるじゃないか
そう思っていましたが、読み終わって納得しました
起きてさえいれば対応してくれる、いい奴じゃないですか
楽しませていただきました
18.90ヘッター削除
 私自身に他意はありませんが、お互いにポイントを入れるという事に良くない勘繰りをしてしまう人もいるかもと思い、少し躊躇していました。
 しかし、幻想郷の日常という『のほほん』とした雰囲気が――霖之助に対する各人の様々な付き合い方が――とても面白かったので評価をさせて頂きます。
 また、自分はどうも一つの会話文が長くなってしまうのですが、この作品は会話文と地の文の割合が良い具合で、つらつらと読むことが出来ました。
 そのような訳で100点を差し上げたい所ですけれど……
 本当に、ほんとーに自分なんかが指摘していい物かと恐縮なものの、
『文頭や感嘆符などの使用後に一マス開け忘れている箇所がある点』がありましたので90点とさせて頂きます。
 小説にルールはあってないようなものと個人的には思います。正しい文章であるか否かより、面白いか否かが重要だと思っています。
 ただ、この件だけは一マス開いていたり開いていなかったりなどしている為、創作が趣味の方々が見れば少々引っかかってしまうやもですので、
(只のタイプミスの所為でそう思われてしまうのは勿体ないですし)恐れ乍ら言わせて頂きました。
 私信となってしまいますが、私の作品に対する、いぐすさんのアドバイスは大変ありがたく受け止めております。次に書くことがあれば気を付けようと思っています。
 長々としてしまった事、重箱の隅を楊枝でほじくるような指摘、大変申し訳ございませんでした。
 最後になりますが、とても面白い日常物語でした。
21.100名前が無い程度の能力削除
面白かったです!
店という立場上色んな人と接点を作りやすいのも香霖堂モノの良さですね
やはり妹分は特別感が
次回も楽しみにしております
23.100名前が無い程度の能力削除
よかったです。
霊夢が特にかわいくてよかった。
24.90さわしみだいほん削除
^^
25.90名前が無い程度の能力削除
非常に読みやすかったです。
個人的には文が照れる場面にグッときました。
楽しく読ませていただきました。