Coolier - 新生・東方創想話

お前がママになるのです!

2016/02/24 23:54:52
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「間違えちゃった。私が鈴仙のママになるのです」

 のっけから色々と間違っているこの人は、嫦娥様に並々ならぬ怨みを抱く仙霊、純狐さん。
 何の因果か、彼女はこの鈴仙・優曇華院・イナバ、即ち私をえらく気に入ってしまったらしいのです。

「ママというのは、いわゆる母親の事ですよね?」
「勿論です。他にママがあって?」
「そりゃあ無理ですよ。だって私はもう……産まれてしまっているワケですし……」
「もう一度やり直しましょう。さあ、私の産道にお入りなさい」

 どんな発想だ。正気をドブに捨てる気か。
 月の都を脅かしただけの事はあって、なかなかの狂気具合と言えよう。ホント勘弁してほしい。

「わた~し~にか~え~りな~さ~い~♪」
「無理ですよそんなの……見た事も聞いた事も無いのに、出来るわけないよ!」
「来なさい鈴仙! 誰かの為じゃない! ワタシ自身の願いの為に!」

 アンタの為かよ! 道理で欲望ダダ漏れだったワケだ。
 ウドンゲ理解。逆から読むとまるで駄目な親父。略してマダオ。なんのこっちゃ。

「私はママなんて欲しくありませんよ。普通の友達じゃ駄目なんですか?」
「駄目よ! 一生懸命になる鈴仙は純化されたもの。夢なのです、私の! だから私の膣の中で、私のモノにおなりなさい!」
「私は誰の道具でもありません! お母さんをやりたければ、自分で子供を産んで、それでやってくださ……あっ」

 いかん、ヒートアップし過ぎてえらい事を口走ってしまった。
 子供を亡くしている純狐さんにとって、今のセリフは禁句中の禁句……早かったな、私の死も。

「……鈴仙?」
「ううっ、許しは請いません……殺るならひと思いにどうぞ……」
「よくぞ言ってくれました……! あの月の民達がどう考えていようと、アナタは断じて道具などでは無い! 血も汗も涙もそれ以外の液体も流す、純然たる生き物なのです!」
「えっ!? そっちですか!?」

 何だか良く分からないが、純狐さんをえらく感激させてしまったようだ。
 てっきり惨殺されるものと覚悟していたので、ストレスと恐怖のあまり耳がシワシワになっちゃったよ。
 あと、それ以外の液体とやらもチビリそうになった。いやん恥ずかしい。

「そっちとは? 他に何かあって?」
「いえ、その……お子さんについてデリカシーの無い発言をしてしまいまして……」
「フゥーッ。この純狐ともあろう者が、そのようなつまらない事で我を失うとでも? 随分と見縊られたものですね」
「そ、そうっすか。これはとんだ失礼をば……」
「ええ、失礼だわ。失礼で、冷酷で、無慈悲で、微塵も容赦が無くて……くぅっ! 傷ついてなんかないし……純狐ちゃん全然余裕ッチだしぃ……!」
「めちゃめちゃ傷ついてるー!?」

 ど、どうしよう。純狐さんがマジでヘコんでしまった。
 これはきっと、後からジワジワと効いてきたんだわ。さながらボディーブローの如くに。

「あの、純狐さん?」
「大丈夫よ鈴仙……私はただ、女であり過ぎたのかもしれない……」
「えーっと、良く分かりません」
「そうね。話を元に戻すとしましょう」

 おおっ、立ち直り早いな。
 でも、戻すような話なんてあったっけ? 脱線しすぎて何が本題なのやらサッパリですわ。

「どこまで話したかしら……そうだわ! 鈴仙が私の股座に道具を挿入するって……」
「言ってませんよ! 二つの話が混線して、それなりに意味が通ってはいますけどね!」
「子宮まで貫き通すというのです!? なんという狂気……絶対的狂気!」
「狂気はアンタの方でしょうがっ!」

 私が変なコト言ったみたいな流れにするのはやめろ。
 繰り返す、私が変なコト言ったみたいな流れにするのはやめろ。
 二回やられたので二回言いました。私って律儀ね。

「産む系の話と道具的な話、どちらがいいのです?」
「前者は不毛極まりないと思われますので、後者でお願いします」
「ふむ、いいでしょう。それにしても、鈴仙を道具扱いする月の民ってサイテーですね。あんな者達とは綺麗サッパリ縁を切って、私の子供になっちゃいましょうよ」

 結局そういう流れになるのか! 何という無意味な選択肢だろう。
 いや、まだ流れが決まってしまった訳ではない。上手いこと反論出来ればまだ助かる。マダガスカル。なんのこっちゃ。

「永琳様も輝夜様も、私のことをとても大事にしてくださっています。純狐さんに心配していただく様な事は……」
「かつて鈴仙は、鼠害に苦しむ人々を救うために尽力したそうですね。お二人もさぞかし鼻が高かった事でしょう……ちゃんと褒めて貰いましたか?」
「ごふっ……!?」

 なぜ……今、その話を?
 というか、何ゆえ知ってやがりますかアナタは。まあ永琳様あたりに聞いたんだろうけど。他に情報源無いし。

「アナタが紺珠の薬とやらを使用しなかった事に、賢者八意は大層ご立腹だったそうですね。無情にも永遠亭から追い出されてしまったとか」
「で、でも……あの時は輝夜様が連れ戻しに来てくださったしぃ……永琳様だってお許しになって……」
「それは単に、アナタから情報を引き出したかっただけなのでは? その時の事をもう一度よく思い出してごらんなさい」
「ウ……ウワァー! いやだいやだいやだ! 数少ない美しき思い出を、台無しにするような真似はしたくなーい!」
「フッフッフ、ようやく自分の立場に気が付いたようね」

 なんということでしょう。
 純狐さんは私の……いや、我々のクリティカルな弱点を熟知し、それを活かすつもりなのだ。
 未だかつて経験した事の無い攻撃……離間の計とでも言うのだろうか。なまじ私に対する敵意が無いだけに恐ろしい。

「それでは更にダメージを加速させましょうか……」
「ま、まだ続くの? もうヤメテこれ以上は私の耳がストレスでマッハなんですが……」
「鈴仙が完全に音を上げるまで、この戯れが終わりを迎える事はありません。それとも……もうギブアップするのです?」
「し、しません」
「ギブアップせい!」
「イヤです!」

 今、理解した。これはゲームなのだ。
 私が屈服すれば純狐さんの勝ち。耐え切ったとしても、私の心には増幅された不満と不信感が残る。
 いずれにせよ、彼女の優位は揺るがない。まったくフェアではないが、それがこの人のやり方なのだろう。

「強情ですね。まあ、そうでなくては張り合いが無い」
「もうやめましょうよ! 純狐さんは自分の復讐が上手く行かなかったから、私をいたぶって気晴らしをやろうとしているのでしょう!?」
「復讐を断念させた鈴仙には、私の愛に応える義務があることですね?」
「そんな理屈!」
「重要なのは理屈ではなく、心の在処なのです。現にアナタの心は、永遠亭から離れ始めている……止める術など無いと知れ!」

 ああもう、好き勝手なコト言ってくれちゃって。
 彼女はどうあっても私をモノにしたいらしい。言ってる事はメチャクチャだけど、方針としては一貫性が見てとれる。
 ……などと、暢気に考えるだけの心の余裕は出来た。そろそろ反撃に出てもいい頃だろう。

「純狐さんはとても頭のいい人だから、私の事なんてどうにでも出来るとお考えなのですね!」
「そのような考え方は、アナタを道具として扱う者がやる事です! 私は違う……鈴仙には、安心できる場所が必要なのよ……」

 声を詰まらせる純狐さんに対して、罪悪感のようなモノを抱かなかったと言えば嘘になる。
 僅かながらやり返せたつもりになって、調子に乗りかけている事も自覚できている。
 ……だが、ここで引く訳にはいかない。彼女との関係が続くにせよ、ここで終わるにせよ、いずれ衝突は避けられないのだから。

「ここが! この永遠亭こそが、私の魂の場所なんです! それを奪おうとするのは、やっちゃいけない事なんですよ!」
「では、どうしろと言うのです! 鈴仙が月の民に食い物にされる様を、指を咥えて眺めていろと言うの!?」
「受け入れてくれればいいんですよ! 今の私を、ありのままの私を! 賢くて優しい純狐さんなら、それが出来る筈でしょう!?」

 知恵も力も足りない私には、他に言うべき言葉が見当たらなかった。
 だが、これが正しい道であるという確信はある。少なくとも、彼女を拒絶するよりは何倍もマシであると、そう判断したのだ。
 
「……私は自分を受け入れました。輝夜様のペットである自分、永琳様の弟子である自分……そして、地上の兎になった自分を」
「しかし……それはナンセンスだわ! 消費されるだけの運命を甘受するなんて、断じてあってはならない事よ!」
「どう思われようと構いません。もし純狐さんが、今の私を受け入れられないと言うのであれば……私が純狐さんを受け入れます!」

 純狐さんは一瞬戸惑ったような表情を見せ、それから私の方に身を乗り出してきた。
 彼女が私の言葉をどのように受け止めたのかは、次の発言で明らかになるだろう。
 どんな結末が待っていようとも、決して後悔などしない。私は既に、己の運命を甘受しているのだから……。

「鈴仙が……私のママになるのです?」

 うひょっ!? 私がママに!?
 なんでそんなコトに……ああ、元々そういう話だったっけ。いきなり話を戻されたって困るんだけどなぁ。

「駄目よそんなの……だって鈴仙は子供なのだから、私が守護(まも)ってあげないと……」
「逆に考えるんです。『私に守護ってもらえばいいや』と考えるんです。そうすれば、純狐さんだって安心できるのでしょう?」
「私が……そうか。安心できる場所を求めていたのは、私の方だったのね……」

 しだれかかってきた純狐さんを、私は優しく抱きとめてやった。
 流れに身を任せた結果、なんかえらい事になってしまった気がするけど、まあ今更何を言っても始まらないか。
 よくよく思い返してみれば、私の人生っていつもそんな感じだったもんね。運がいいのやら悪いのやら。

「ああ……暖かいわ。鈴仙の胸の中こそ我が心の在処……魂の場所だというのです……?」
「そんな大袈裟な。純狐さんは怨む事しかやってこなかったから、ちょっと疲れちゃったんだと思いますよ」
「人の子の親であった者が、こんな風に甘える姿を晒すだなんて……笑わないで頂戴ね」
「笑いませんって。そんな事より、本当に私でいいのですか? 自分で言うのもアレですけど、私ってその……包容力に欠けるというか」
「……夢の世界で再会した時、鈴仙は私に同情してくれたでしょう? あれは嬉しかったわ。復讐する事しか知らない私を……哀れんでくれたのよ」

 ああ……そんな事も言ったっけか。軽いノリで口にした言葉が、思いもよらない結果を招いてしまったものだ。
 なるほど、運命が逆転するとはこういう事だったのかもしれない。サグメ様見てるか? お礼の言葉くらい寄越しやがれってんだ陰険根暗片翼ヤロー。

「……って、何をなさってるんですか純狐さんは」
「いえ……そのね? せっかく鈴仙が私のママになってくれたのだから……ねえ?」

 ねえ? じゃないっつーの。
 ママのスカートに手を突っ込んで、下着を引き摺り下ろそうとするとか、色々と洒落にならんでしょコレは。
 どういう種類のマザーファッカーなんだって話よね。

「鈴仙の膣内(なか)に入っていくのです……そうすれば、私達は本当の意味で親子になれるのよ」
「まーだそんなコト考えてたんですかぁ? 仕方ありませんねぇ……どうぞ」
「おおッ……!」

 跪く純狐さんの前で、私は立ったまま下着を足首まで下ろした。
 するとどうだろう。彼女は拝むような仕草を見せた後、スカートの中に頭を突っ込んで来たではないか。
 その姿は、まるで何かに怯える仔兎のよう。愛おしさすら覚えた私は、彼女の頭にそっと手を添え……思いっきり“押し付けて”やったわ!

「オラッ! オラオラッ! 入れるもんなら入ってみなさいよ! オラァッ!」
「む、むぐー!? 待って鈴仙! これムリッ! 無理無理無理無理かたつむりよッ!」
「何が無理だオラァ! 入りたいって言ったのはアンタでしょうがオラッ! 根性見せろやオラ……オラァ?」
「……!!?!?!?!??!?!?」

 やっべ、本当に入っちゃったよ。
 どうすんだコレ……まあいいか。純狐さんもバタバタもがいて嬉しそうだし、きっと彼女も本望だろう。
 色々と受け入れた事によって、心も身体も大らかになった私なのでした。めでたしめでたし。
鈴仙「一発芸やりまーす! 題して……『出産』」
輝夜「もう産まれてる! 首から下が思いっきりはみ出してるわッ!」
永琳「スゴいね、人体(はあと)」
てゐ「下の人ピクリとも動いてないんだけど。誰かちゃんとした医者呼んだら?」
平安座
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コメント



0.900簡易評価
1.70名無し削除
控えめに言っても、純狐ってかなり頭のネジ外れた人だよな
2.80名前が無い程度の能力削除
遊人先生の成年コミックで、母親の胎内に帰る為に頭をあそこに突っ込むとかそんなんあったなあと思ってたら、まだ助かるマダガスカルで奇襲を受けた気分だった
3.80奇声を発する程度の能力削除
おお、何という…
6.10名前が無い程度の能力削除
これは酷い
8.100名前が無い程度の能力削除
どう見ても正史です。本当に
10.80名前が無い程度の能力削除
テンション高けぇ。
さながら酔っ払いの友人を素面で見つめてるみたいだ。
11.80名前が無い程度の能力削除
あばばばば
13.100名前が無い程度の能力削除
ウドンゲ理解w
ちゃんとした医者呼んだら? が面白すぎててゐちゃんがますます好きになっちゃいそうです!
14.80絶望を司る程度の能力削除
ここたまで笑ってしまった……w
16.100名前が無い程度の能力削除
笑わせてもらいました
19.100名前が無い程度の能力削除
めでたしめでたし、じゃないわwwwwwww
ネジの緩み切ったやり取りに笑わせていただきました。
22.90幻想の電子蒼龍削除
てゐのツッコミに笑ったww
医者というのではなく、
ちゃんとした医者というところがもうねww
24.100名前が無い程度の能力削除
もうね、鈴仙も充分イカれてますよ
25.90名前が無い程度の能力削除
良かったです
27.90名前が無い程度の能力削除
ネタが多過ぎてタグに困るss
28.100名前が無い程度の能力削除
鈴仙の受け答えにいちいち感動をして、ちょっとユリィな展開になるかと思ってドキドキしたのですが最後w
はい、楽しかったですw
29.40名前が無い程度の能力削除
富野的会話からの本部とかもうよくわかんねえんなw
31.100名前が無い程度の能力削除
ひどい。100点。
33.100名前が無い程度の能力削除
まさかタイトルが回収されるとは⋯⋯