Coolier - 新生・東方創想話

2015/11/09 21:40:28
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目があった。
雨が降る小道の途中、黒い猫がミカン箱に入ってずぶぬれになっていた。
ミカン箱はもうふやけて持ち上げれば崩れてしまいそうだった。
私は雨が降る中、傘を差して立ち尽くした。
彼の眼は逃げるなと語っていた。

家に帰るととりあえず、濡れた長靴を脱いでスリッパに履き替える。
手近にあったタオルでコートの水気を軽くふき取って、ハンガーにかけた。
部屋はカーテンを引いているため薄暗い。
開けてもどうせ雨が降っているのでそこまで明るくならない。
私はそれほど濡れていなかったが、彼は長時間雨の中にいたため、ずぶぬれになっていた。寒かっただろうと思って、暖炉に薪をくべて火をつけてやった。
私は家に入ってから彼を見かけなかったため、彼がどこに行ったのだろうと不審に思った。
彼は私と一緒に家に入ってきたはずである。
私が彼を探して部屋の中を見渡すと、彼はソファのクッションに体を擦り付けて水分を拭き取っていた。
「おいこら、ソファーが濡れちまうだろ。というより、その汚い足でソファに上がるな」
私は彼にタオルをかけて容赦なくワシャワシャと彼の体を拭ってやった。
特に、足は入念に拭いてやる。
彼は「貴君何をする。やめないか」と言わんばかりに抵抗した。
彼はどうにか私の手を逃れると、暖炉の前を行ったり来たりした。
私は湿気たクッションを暖炉の前に投げてやった。
座るならそこに座れという意思表示だった。
それは何とか彼に通じた。
私は、タオルでソファを拭って、泥が付いて汚れてしまったところはあきらめた。
元々、香霖堂から引っ張ってきた汚いソファだ。
汚いが、座り心地はよかったので気に入っていたのだが、これ以上、汚くなったらアリスに生地を張り替えてもらうのもいいかもしれない。
私がソファに腰を下ろすと、彼も暖炉の前のクッションに座り、私の方を向いた。
「吾輩は猫である。先ほどは大義であった。ほめて遣わす」とでも言っているらしかった。
「ああ、いいよ。勝手に居たけりゃ居ればいい。でも、飯は当てにするな。魚はない」
「ふむ、吾輩はそこまで貴君に迷惑をかけるつもりはない。ちなみに私は何でも食べる。我々は魚が好きだと思われがちだが、肉も好きだ。牛でも、豚でも、鳥でも何でもいい。貴君が食べるものを分けてくれればそれでよい」とでもいうように舌なめずりをした。
まだ夕食には早かったので、食事の準備はせずに、暖炉で揺れる炎を眺めた。
彼は「まぁ良い」と言うかのようにクッションの上で丸くなった。
私はその辺に積んである本を流し読みして暇をつぶした。
時計が時を刻む音と暖炉の火がはぜる音だけが聞えた。
私は「珈琲でも飲むか」と思いつき、キッチンに向かった。
一人でいることが多い人間は、良く独り言が口に出る。
「珈琲というものは知らないが、吾輩はミルクで良い。できればクッキーを付けてくれればなおよい」と言うように彼は私の後ろをついてきた。図々しいやつだ。
珈琲を入れながら冷蔵庫から牛乳を取りだして、ミルクパンを使って温めた。
牛乳に砂糖を加え少し甘くする。
牛乳の瓶を仕舞おうとすると「貴君、吾輩の分がまだである」とでもいうかのように鳴くので、仕方なしに茶碗に牛乳を注いでくれてやった。
そういえば猫は牛乳を飲んじゃいけないんじゃなかったかと思ったが、彼が欲しがったので問題ないだろう。
濃いめに入れた珈琲に砂糖を混ぜた牛乳を加え、かき混ぜる。
一口飲んで味を確かめ、缶から何枚かビスケットを取りだして、その両方をソーサーに乗せてソファに戻った。
ソファの横に積み上げられた書籍に珈琲を置いて、LP盤を回して音楽をかける。
ジャケットはなく、LP盤のレーベルも擦り切れてタイトルは分からないが、曲は好きなので良くかけていた。
ソファに戻ると、彼はカップの前に座り込んでいた。
「ミルクはどうした」
彼は「ミルクおいしくいただいている。それはいい。そのビスケットを吾輩にも分けてもらえないだろうか」とばかりに私を見つめた。
「一枚持って行け」
そう言うと彼はビスケットを一枚咥え、キッチンの方へのそのそと歩いて行った。
私は珈琲カップの下から先ほどまで読んでいた本を取り出して続きを読んだ。
しばらくすると、彼は私の足に体を擦り付けてからソファに飛び乗った。
先ほど暖炉の近くにクッションを置いてやったはずだったが、彼は私の横に丸くなった。
「貴君に褒美を取らす。撫でてもよいぞ」と顔を上げたので、言われた通りに頭を撫でてやった。
珈琲を飲み乾して、ビスケットを食べると、部屋が暖かいためか、うとうととしてしまい、終いにはソファで座りながら眠ってしまった。
私が目を覚ますと、レコードは盤の内側をごりごりという音を立てながら回っていた。
レコードを止め、閉め切っていたカーテンを開けると雨は止んでいた。
彼はどこにもいなかった。

目があった。
雨が降る小道の途中、黒い猫がミカン箱に入ってずぶぬれになっていた。
ミカン箱はもうふやけて持ち上げれば崩れてしまいそうだった。
私は雨が降る中、彼に目を奪われ立ち尽くした。
彼の眼は逃げるなと語っていた。

守衛室に彼を抱きかかえて戻り、とりあえず着ていたレインコートをドアの脇にかけた。
部屋の中央には灯油を使ったストーブが炊かれ、上には加湿用の薬缶がかけられていた。
4畳半の小屋は私の詰所と物置の兼用である。
ここには庭仕事その他で使う道具の他に事務処理用の机と椅子が1脚、救急箱、その他最低限の日用品が納められた戸棚があった。
一応窓もあるが、今日は雨が降っているためそこから入り込む光量は少ない。
薬缶の中身を確認して、少し少なくなっていたので水を足した。
部屋に入ってしなければならないことを一通り済ませ、次に彼の世話をしようと、部屋の中を見渡した。彼はずぶぬれのまま、椅子に腰かけてこちらを覗き込んでいた。
「早く拭いてくれ、寒くて敵わん」そう言っているようだった。
「すいません、すぐに用意します」
そう言って、戸棚の中からタオルを数枚出して、ワシャワシャと彼を拭いた。
足が汚れているようなので、よく拭こうとしたところ「貴君何をする。やめないか」と言わんばかりに抵抗したのでやめた。どうせ汚れて困る物はここにはない。
大部分の水気はとれたが、彼の体は冷え切っていた。
ストーブの近くに椅子を置いてやり、濡れていないタオルを敷いてやった。
そこに座って体を温めてほしいという意思表示だった。それは彼に通じた。
私は予備のパイプ椅子に彼の方を向いて座った。
すると、彼も椅子の上で私の方を向いて座った。
「吾輩は猫である。先ほどは大義であった。ほめて遣わす」とでも言っているらしかった。
「ありがとうございます。何もないところですけど、雨宿りして行ってください」
「うむ、そうしよう」
彼は椅子の上で丸くなった。
私はとりあえず、今日分の事務仕事に取り掛かった。
雨が降っているので庭仕事は見回りと、何本か目に付いた雑草を抜いたり、伸びすぎた枝を切る程度にとどめた。
先ほどは塀の周辺を一周警邏したが特に異常はなかった。彼がいた以外は。
彼のことを省いて今日実施した内容を日誌にまとめながら、今更になって自分が軽率な行動をしたことに気が付いた。今、咲夜さんが来たら確実に怒られる。
そう考えると急に体が寒くなり、くしゃみをした。
彼を抱えてきたため、自分の服もだいぶ湿気ていた。
私の体もだいぶ冷えているようだった。
戸棚から自分用のカップを取り出し、咲夜さんが昼食と一緒に持ってきてくれたポットから紅茶を注いだ。
彼は「貴君、私の分も入れてくれ」と言うかのようににゃぁと鳴いた。
「紅茶を飲めるんですか」そう聞くと彼はもう一度鳴いた。
紅茶を分けるのはやぶさかではないが、この部屋に食器なんてない。
どうしたものかと考えていると、先日購入した雑貨の中に植木鉢の鉢受があったことを思い出した。
鉢受を取りだすと、タオルでよく拭いて「これでいいですか」と彼に尋ねた。
彼は「かまわん」と言うようににゃぁと短く鳴いた。
鉢受に少量の紅茶を注ぎ、吐息をかけて冷ました後に、彼の前に置いた。
彼は匂いを嗅ぎ、舌を伸ばして少し舐めた。
彼は私を見て「腹が減ったのだ。貴君何か食べ物は無いか。ちなみに私は何でも食べる。我々は魚が好きだと思われがちだが、肉も好きだ。牛でも、豚でも、鳥でも何でもいい。貴君が食べるものを分けてくれればそれでよい」とでも言うように舌なめずりをした。
私は災害用のセットに入っている乾パンがあったのを思い出し、彼に出した。
咲夜さんにばれたら怒られるだろうが、点検前に補充しておけばおそらく問題ないはずだ。
彼は固い乾パンと格闘し、乾いた口を紅茶で潤した。
私も試しに1枚食べてみたが固くて味気なかったが、食べられないほどまずくはなかった。
私が事務仕事をしていると、彼はパイプ椅子に座っていた私の膝の上に飛び乗り、私の顔を覗き込んだ。
「このような質素な食事でも、一飯の恩義である。貴君に褒美を取らす。撫でてもよいぞ」とでも言っているようだった。
私はお言葉に甘えて彼を撫でさせてもらった。
咲夜さんのお茶を飲みながら書類仕事を片付けると、部屋が暖かいせいか、眠気が襲ってきた。私はその誘惑にあらがえず眠ってしまった。
私は誰かに揺さぶられて目を覚ました。
目を開けるとそこには咲夜さんが立っていた。
「あなた、乾パンなんて食べて、そんなにおなかが減ってたの?言ってくれればサンドイッチでも作ったのに」
彼女は憐れむような表情を私に向けた。
「いえ違います。あれ、彼は」
「彼?誰もいなかったけど」
私が部屋を見渡しても彼はどこにもいなかった。

目があった。
雨が降る小道の途中、黒い猫がミカン箱に入ってずぶぬれになっていた。
ミカン箱はもうふやけて持ち上げれば崩れてしまいそうだった。
私は雨が降る中、傘を差して立ち尽くした。
彼の眼は逃げるなと語っていた。

生き物を連れ帰るのは初めてではないと言え、面倒なことになったと家のドアを開ける前に後悔した。
ドアを開けてやると彼は勝手に中に入った。
商品を台無しにされては敵わないので、彼の後を追った。
彼は奥の机の上に座っていた。
そこはいつも自分が帳簿を付けている場所で、今もそこには帳簿を広げていたはずである。
私は急いで彼を小脇に抱えてキッチンに向かい、彼をシンクに放り込んだ。
彼は「貴君何をする。やめないか」と言わんばかりに抵抗した。
私はそれを気にもかけずに、瓶から水を汲んで、彼の足を洗った。
そして、彼の体を容赦なくタオルで拭いて、それから彼をシンクから降ろしてやった。
私は雨の中ずっと外にいた彼のためにストーブを焚いてやった。
燃料代もばかにならないため一人の時は節約するが、2人であればいいかと思ってしまう。
ここに座っていろという思いを込めて、ストーブの近くに座布団を放ってやった。
それは何とか彼に通じた。
私は彼が座っていた机の上を確認して、帳簿の上に座っていなかったことにはほっとした。
汚れた机を雑巾で拭って、雑巾は洗い場の籠の中に濯いで入れた。
私が椅子に座ると、座布団に座っていた彼が、自分を見つめていることに気が付いた。
「吾輩は猫である。先ほどは大義であった。ほめて遣わす」とでも言っているらしかった。
「ああ、いいよ。君みたいのには慣れているんだ。好きなだけいてくれていいが、商品には手を出さないでくれよ」
「うむ、よかろう」彼はそう言うかのようにため息をつくと、座布団に丸くなった。
私は書きかけの帳簿を仕上げて、棚に戻した。
整理整頓こそが成功の秘訣である。
それが師匠の口癖だったが、いくら実践しても自分は成功する気配を見せない。
勿論、師匠にそんなことを言ったことは無い。
そんなことを言えば、お前は商人として成功したかったのかと驚かれるだろう。
自嘲から笑いが表情に出てしまい、慌てて無表情を装った。
私が手近にあった商品の文庫本を取って席に戻ると、机の上に彼がいた。
「一人でニヤついているところ申し訳ないが、腹が減ったのだ。貴君何か食べ物は無いか。ちなみに私は何でも食べる。我々は魚が好きだと思われがちだが、肉も好きだ。牛でも、豚でも、鳥でも何でもいい。貴君が食べるものを分けてくれればそれでよい」とでもいうように舌なめずりをした。
生憎、今はまともな食べ物がなかった。
たまに、つまみに食べているクラッカーが戸棚にあることを思い出し、彼に出してやった。
彼はクラッカーを1口かじると、軽く咳をした。
気管にクラッカーの破片が入ってしまったようだった。
私が、茶碗に水を注いで出してやると、彼は勢いよくそれを飲んだ。
彼は所在なさげに私を見上げた。
「みっともないところをお見せした。このパサパサのビスケットが喉に詰まったのだ」
とそう言われている気がして「ビスケットじゃない。クラッカーだ」と独り言を言った。
折角席を立ったのだから、ついでに自分の分の珈琲を入れ席に戻った。
こんな雨の日にまでここに来る物好きはほぼいないので、店を閉めてもよかったが、とりあえず開けておくことにした。
窓に打ち付ける雨音をBGMに小説を読み進めた。
しばらくすると、店の中をうろついていた彼が近くの棚から机に飛び乗った。
彼は小説を読んでいる私の手に体を擦り付けながら、小説を読んでいる自分を見つめた。
「貴君に褒美を取らす。撫でてもよいぞ」とでも言っているかのようだった。
私は言われた通りに頭を撫でてやった。
彼は目を細めて、私の手に頭を押し付けた。
褒美と言うより、そうして欲しかったのだろう。
知り合いにもそういう行動をとる人間がいるので、おおよその見当はついた。
珈琲を飲みながら小説を読んでいると、部屋が暖かいためか、うとうととしてしまい、
いつの間にか、小説を開いたまま下敷きにして眠ってしまっていた。
起きると、開いていたページに折目が付いてしまっていたが、特に汚れはなかったので、読み終えた後に、本を閉じた状態で重い本の下敷きにして数週間置いておくことにした。
時間も時間だったので、店の看板をCloseにする。
引き戸を開けるともう雨は止んでいた。
夕食の準備をしようかとキッチンに行くと、先ほどまで自分について回っていた彼がいないことに気が付いた。
どうせ、夕食の準備ができればその時には来るだろうと予測していたが、彼は来なかった。

目があった。
雨が降る小道の途中、黒い猫がミカン箱に入ってずぶぬれになっていた。
ミカン箱はもうふやけて持ち上げれば崩れてしまいそうだった。
私は雨が降る中、傘を差して立ち尽くした。
彼の眼は逃げるなと語っていた。

土間の扉を開けると彼が勝手に入ろうとしたので咄嗟に、彼のしっぽをつかんだ。
彼はビックっとなって、逃げようとしたのだがその前に捕まえた。
小脇に抱えると観念したのか静かになった。
雑巾で彼の足を拭くと、彼は「貴君何をする。やめないか」と言わんばかりに抵抗した。
「ねこ鍋にされたくなかったら静かにしなさい」と言うと私の意思が通じたのか静かになった。
足の後はずぶぬれになった体をタオルで拭いてやった。
私はそのあとで彼を座敷に上げてやり、土間に下りないようにと厳重に注意した。
彼は「承知した」とばかりにしっぽを振って居間の方に入っていった。
彼のせいで自分の服も泥だらけになってしまったため、とりあえず着替えることにした。
泥が付いてしまったところは軽く濯ぎ籠に入れた。洗濯は明日晴れたらやる予定だ。
居間に入ると先に入っていたはずの彼がいなかった。
周囲を見渡したところ破損している個所はなく、彼は猫ラーメンになる危機を脱した。
私は不意にくしゃみをした。
雨の中帰ってきたため体が冷えているようである。
先日出したばかりのこたつを有効利用すべく、こたつの中からあんかを取りだすために布団をめくった。
彼はそこで丸くなっていた。
「あんたそんなところで丸くなってると死ぬわよ」
「なんと」と言うかのように目を見開き、のそのそとはい出した。
火入れを持って土間に行くと、彼は私の後をついてきた。
絶対に土間に下りるなと釘をさすと、「分かっている」とばかりにその場にふせた。
私はかまどの中に残った種火から木炭に火を移し、炭を火皿に移した。
彼はその様子を珍しそうに見ていた。
私は居間に戻り、こたつにあんかを入れた。
彼は言いつけを守り、こたつの中に入ろうとはしなかった。
私がこたつに入ると、彼はひょいと机の上に飛び乗ると背筋を伸ばして私の方を見た。
「吾輩は猫である。先ほどは大義であった。ほめて遣わす」とでも言っているらしかった。
「机に乗らない」
私が彼を注意すると彼はちょっとしょげた様子で机から降り、私の隣で丸くなった。
手持無沙汰ではあったが、こたつの中が温まるまではその場でじっと待った。
体もだいぶ温まった頃、さすがにすることもなく、また小腹も減ったためお茶を入れることにした。
お茶請けにはおせんべいのストックがあったはずである。
早速、火鉢に五徳を乗せて薬缶でお湯を沸かした。
沸いたお湯を香霖堂からもらって来た魔法瓶に移す。
これは確かに魔法のように便利であるが、魔理沙に聞いたところ魔法ではないらしい。
茶棚からお茶のセットとおせんべいを、本棚から鈴奈庵から借りてきた本を準備する。
これでこたつでの籠城の準備は整ったとばかりに意気込んでこたつに足を突っ込もうとしたところ、彼が「貴君、吾輩の分がまだである」とでもいうかのように鳴いた。
仕方がないので茶碗に牛乳を注いてやった。
私はこたつに入りおせんべいを食べた。
こたつに入りながら食べるおせんべいは格別なものである。
私のおせんべいの食べ方があまりにおいしそうだったからか、彼は「吾輩にも分けてもらえないだろうか」とばかりに私を見つめた。
「働かざる者食うべからずなんだからね」と言いながら彼に一枚おせんべいを渡した。
彼にはネズミ取りにでも精を出してもらおう。
出来なかったときは、もちろん猫炒飯になる運命が待っている。
彼はおせんべいのたれが手に付いたのか念入りに舐め始めた。
なんとなくその仕草がかわいくて彼の頭を撫でた。
彼は最初鬱陶しそうに私の手を避けたが、最終的には撫でられることに甘んじた。
こたつに入って彼の頭を撫でていると、こたつが温かいためかうとうとしてきて、ダメだと分かりながらも眠ってしまった。
私が目を覚ますとすでに日は沈んでいた。あたりは暗かったが、何とか雨戸を開けた。
外はすでに雨がやみ、空には月も出ていて明るかった。
ランプに火をともして台所で簡単な食事を作った。
夕食はカワカマスの干物だ。
食事が出来そうになった頃、彼が居間から姿を現した。
物欲しそうににゃぁと鳴くので、魚のほぐし身を乗せた猫まんまを作ってやった。
居間に戻って二人で食事をした。彼は食べ終わると私を見つめた。
「貴君。うまい夕食であった。ちなみに私は何でも食べる。我々は魚が好きだと思われがちだが、肉も好きだ。牛でも、豚でも、鳥でも何でもいい。そして明日は鳥がいい」
そう言っている気がした。

「霊夢、お茶でいいわ」
そう言ったのは妖怪の賢者、疫病神、破滅の始まり等々の通り名で有名な八雲紫である。
博麗霊夢は彼女と話をしても破滅しなかった数少ない人間である。
「勝手に入れていいわ。私の分もお願い」
霊夢は縁側で日向ぼっこをしながら、ひざに猫を置き、毛を手櫛で梳いていた。
「私が入れていいの?」
「やっぱ私が入れるわ。これ持ってて」と彼女は猫の両脇を持って八雲紫に渡した。
重力により、なされるがままに伸びきった猫は「家主だからと言って、この仕打ちは大変に遺憾である」とばかりにムスッとした表情になった。
八雲紫は彼を受け取ると縁側に座り膝に彼を仰向けにして抱いた。
霊夢が居なくなると八雲紫は彼に話しかけた。
「ここに決めたの?」
「うむ、先日は紫殿に世話になった。礼を言おう。褒美に撫でて良いぞ」と言うようににゃぁと鳴いた。
「だから、初めからここにすればと言ったのに」八雲紫は彼の腹を撫でながらそう言った。
読んでくださってありがとうございます。
このような文章でも暇つぶしに楽しんでいただければ幸いです。

猫って何か不思議な感じがしますよね。
私は猫が好きです。

以上、Miniでした。
Mini
hayakawa.imo@hotmail.co.jp
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1.100金細工師削除
犬派だけど猫飼いたい
7.100名無し削除
不思議な感じのする話。
面白かった。
8.80とーなす削除
このふてぶてしさ。
これぞ猫、といった感じでした。