Coolier - 新生・東方創想話

うぉんちゅー、ぷでぃんぐ!

2015/03/05 20:41:15
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うぉんちゅー、ぷでぃんぐ!

 霧雨魔理沙が博麗神社を訪れると、霊夢は炬燵に入ってぼーっとしていた。

「よう、どうしたよ霊夢」

「あ?ああ、魔理沙か」

 何とも歯切れの悪い返答。悪いものでも食べたのか。
 もともと霊夢は普段のテンションが高い方ではない。
 どちらかと言えば魔理沙の方がわーわー騒ぐ方だ。
 しかし決して霊夢のテンションが低いということはなく、
 いつものほほんと楽天的だ。

「あーだる」

 しかし今日の霊夢は明らかにテンションが低く、
 その程度も甚だしい。
 そもそもいつもこの時間には、外で掃き掃除をしているものだ。

「今日は境内の掃除はいいのか?」

「いいわよ。はいたってはいたってまた汚れるんだから」

 重傷であるようだ。

「どうしたってんだ霊夢。なにか悩みごとか?」

「別に悩みなんて無いわ」

 まあ霊夢に悩みがあるなんて、誰も思わない。

「じゃあ何か、あれか、重いのか?」

「あれって何」

「なにって、ホラ。あれだよ分かるだろ?」

 魔理沙は頬を赤くする。
 魔理沙の方がガサツな印象があるが、彼女は立派な乙女である。

「ああ、生理?」

「………濁してたんだから言うなよ」

 なんで?と言わんばかりの霊夢に魔理沙はため息をつく。
 こいつはこういう女だ。
 そういう意味ではいつも通りの霊夢である。

「別に違うわ。それに私、あんたと違って軽い方だし」

「何で私を引き合いに出す必要がある。て言うか何で知ってるんだぜ」

 魔理沙の背筋に冷たいものが伝う。
 博麗の巫女は友人の生理周期くらいお見通しである。
 なんだそれ普通にきもち悪い。

「結局なんだってそんなに機嫌が悪いんだ」

「別に機嫌は悪くないわ」

「だってそういう顔してるぜ」

「これは元からよ」

 そうだった。
 霊夢は割と機嫌の悪そうな顔である。
 でも今日は何時もより2割増し機嫌が悪そうに魔理沙には見えた。

「だったらなんだよ」

「だからだるいのよ、身体が」

 霊夢はとうとう炬燵の天板に顎を乗せて話し出した。
 頭部を首で支えるのさえ億劫らしい。
 うにゅ?
 それはお空。

「風邪でも引いたのか?」

「別に咳も出ないし熱もないのよね」

 確かに霊夢は風邪、という感じではない。

「なんか食べてぐっすり眠ればよくなるぜ」

「別に昨日今日の話じゃないのよ」

「そうなのか?」

 魔理沙は最近研究に熱が入っていて、神社には御無沙汰だった。
 しょっちゅう宴会があっているらしい。
 魔理沙も宴会は大好きだが、魔法も好きなのでぐっと我慢していた。

「ここ最近ずっとこうなのよ」

「ずっとそうなのか」

「うん」

 霊夢の元気がないというのは、もうそれだけで異変のようなものだ。
 と、魔理沙は思う。

「ちゃんと食べて毎晩寝てるか?」

「食欲無いのよね」

 それを聞いて魔理沙はようやく事態の深刻さを感じ始めた。
 あの霊夢が。
 食欲がないなんて。

「おい、ホントに大丈夫か?」

 魔理沙は、雷獣の能力で廃人になりかけた時を思い出した。

「また雷獣のせいじゃないだろうな」

「そう思って私も聞いてみたんだけどね」

 霊夢曰く例の仙人は否定したそうである。

「逆に説教されちゃったわ」

「なんて?」

「節制が足りないからそうなるんだって」

「あいつもすげーな」

 ここまでだるそうな相手にも説教かますのか、と魔理沙は震えた。

「お酒だ」

「なに?」

「酒があれば飯も進むだろ」

 魔理沙の理論はシンプルであった。
 酒が食欲を助け、食欲が酒を上手くする。

「飲もう霊夢。今日は飲んでゆっくり寝よう」

「それもそうね」

 そして今夜も博麗神社では、小さな宴会が開かれた。










 数日後。

「ねえ霊夢、本当に大丈夫?」

「あー?まあどちらかと言えば全然ね」

「全然?」

「全然だめ」

 針妙丸は霊夢の枕もとをうろうろしていた。
 最近の霊夢は寝起きも悪いし、毎日顔色も悪かった。




 昼過ぎ、東風谷早苗がやってきた。

「こんにちはー。霊夢さんいますかー?」

「あ、こんにちは。霊夢は今裏で寝てます」

「おや針妙丸さんこんにちは」

 いつも境内で掃き掃除しているか、縁側でお茶を飲んでいる霊夢。
 その姿が見えないことに早苗は違和感を感じる。

「こんな時間に。お昼寝ですか?」

「いや、霊夢は最近体調がすぐれないんだ」

「あの霊夢さんが、ですか」

「あの霊夢が、だよ」

 何ともひどい言われようだ。
 博麗霊夢も風邪をひくし、体調が悪い日もある。
 しかし普段の霊夢があまりに超然としているので、知り合いのは
 霊夢が人間らしいことをすると驚いたりするのだ。

「不安ですねえ」

「何がですか」

「だって霊夢さん、ちょっと体調を崩すことはありましたけど」

 早苗は心配そうに言う。

「長く患っていたことなんてないじゃないですか」

 霊夢にしては回復が遅い。

「ひょっとして」

「ひょっとして………?」

「妖怪に呪いをかけられているのでは?」

「ええええええ!?」

 早苗のまさかの発言に針妙丸はうろたえた。
 だってあの霊夢が?
 あの最強の巫女が妖怪に害されているって?

「そんなことあるのかなあ」

「分かりません。でも呪いを受けると人は体調を崩します」

 腐っても祟り神の風祝。
 いやべつに腐ってないけど。
 とにかく早苗は呪いや祟りにもくわしい。

「霊夢さんて前はもっと鋭かったんですよ」

「鋭い?」

 最近知り合った針妙丸にはピンとこなかった。

「霊夢さんは昔、もっと人間味がなかったんです」

 具体的には守谷が幻想郷に来た頃。

「あの頃はもっと容赦がなかったんですよ」

「そうなんだ」

「ええ。だけど最近は丸くなりました」

 博麗霊夢の変化については、多くのものが感じている。
 昔より人間らしくなった。
 昔より優しくなった。

「だけどそれって妖怪にとっては付け入る隙でしょう」

 早苗は続ける。

「今なら霊夢さんを害することができると勘違いした妖怪もいるかも」

「そんな妖怪いるんですか?」

「博麗の巫女はたくさんの恨みを買うそうですからね」

 早苗はなんらかの霊障の可能性も感じてた。


「御免なさい早苗。折角来たくれたのに」

 そうやって話していると奥から霊夢が出てきた。
 寝巻のままだ。

「あ、お邪魔してます霊夢さん」

「あ、霊夢ダメだよ寝てなくちゃ」

 針妙丸を遮って、霊夢は奥の台所へ。
 お茶を入れると、盆に載せて運んでくる。

「悪いわね。どうも調子悪くて」

「お気遣いなく」

 そういった早苗にお茶を渡そうとした瞬間だ。

「痛っつ!!」

 霊夢が突然手を引いて、湯のみが落下する。

 ガチャン!

 重力に惹かれた湯呑は割れてしまった。
 まき散らされる熱い茶。
 しかしそれが掛かる熱さにも負けず、早苗は霊夢を心配した。

「霊夢さん!?」

 霊夢は何か熱いものに触れたように、湯呑を持っていた右手の
 その指先を左手でかばっていた。

「どこか火傷を?」

「違うの、大丈夫よ」

 台詞とは反対に、霊夢の表情はつらそうだ。
 しかしその手は濡れてはおらず、火傷をしたわけではなさそうだ。

「霊夢さんすいません」

 早苗は手を伸ばし、霊夢の指先に触れる。
 手を引こうとする霊夢を押さえ、その指先を圧迫した。

「いっ………!!やめてっ、早苗いたい、いたいやめて」

 早苗はすぐに手を離す。
 霊夢の反応は異常だ。
 早苗はほんの少し手先を握っただけだ。

「霊夢さん?」

 霊夢はバツの悪そうな顔をしている。
 悪戯がばれた少年のようだ。

「最近、関節が痛くなることがあって。でも全然大したことないの」

「そんなわけないじゃない」

 割れた破片を集める針妙丸が言う。

「大したことあるよ」

「霊夢さん、病院行きましょう」

 早苗の声は柔らかいが、反論をゆるさない断固としたものだった。

「え、いやよ」

「ダメです。いきますよ」

 霊夢は早苗に連れられて、救急搬送された。
























 診断の結果、永琳から告げられた衝撃の結果とは………!








「痛風ね。あと肝機能も落ちてる。お酒控えなさい」

「は?」

 早苗と針妙丸が霊夢の方を見る。
 霊夢はさっと目をそらす。

「え、えへ?」

「霊夢さんの………」

「あ、ごめんなさい。ちゃんと節制するから………」



「ばかああああああああああああああああああ」













次回予告(ナレーション魔理沙)

 博麗霊夢の身に突如降り注いだ謎の異変「痛風」
 面白がって神社に集まる妖怪たちのお祭り騒ぎがいま始まる。
 連日連夜の宴会をしのぎ切り、
 降り注ぐプリン体の雨をくぐりぬけろ!

 次回「痛風project」 

 早苗「だめ、霊夢さん!ビールはダメエエエエ!!」
助けてのどごしオールフリー(ステマ)

一発ネタも一度書いてみたかったんだ。図書屋he-sukeです。
そろそろ健康診断です。憂鬱です。
まだまだ若いつもりですが、友人は痛風になりました。
資料のつもりで痛風や肝硬変について調べてみて分かったことがあります。
ビールを飲みながら痛風について調べると、ビールはおいしくなくなります。
すごい発見。
                          https://twitter.com/toshoya731
図書屋he-suke
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コメント



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1.70金細工師削除
少女痛風中…

燃えねぇし萌えねぇ展開だな。
2.80名前が青い程度の能力削除
テンポよく読めて面白かったです。ただ診断結果のフリは無い方がいいかも?
幻想郷の住民は肝臓強そうですけどあそこまで飲んでいるとどうでしょうねえ。
5.70奇声を発する程度の能力削除
面白く良かったです
6.80名前が無い程度の能力削除
読みやすかったです
なるほど、痛風か....
7.80絶望を司る程度の能力削除
すげえくだくだで面白かったです。
8.80名前が無い程度の能力削除
酒飲んでるときは体に言い訳したくなるんだよね
10.80名前が無い程度の能力削除
魔理沙って何で生理重いイメージあるんだろう
11.80名前が無い程度の能力削除
女性はほとんど痛風にならないらしいけど
霊夢には女性ホルモンが足りてないのかもしれない
13.90名前が無い程度の能力削除
こんなん笑うわ
14.7019削除
すげぇ発想だな、オイw
痛風になってないけど、酒好きの自分には身につまされる話だなw 
16.100名前が無い程度の能力削除
ビール好きとしては身が震えるようなお話です
でも痛風projectならちょっと見たいかも
17.70名前が無い程度の能力削除
痛風projectだけ面白かった
冒頭は普通に気持ち悪い
18.80名前が無い程度の能力削除
体のこと考えて酒が飲めるかてやんでぇばろちきしょー
痛風がなんだ、肝硬変がなんだ
酒だ、酒持ってこーい!
19.90名前が無い程度の能力削除
食生活、改めよう。野菜をもっと食べよう。海藻を食卓に取り入れ…られない。
25.80ばかのひ削除
とても面白かったです
人事ではないので霊夢さんも気をつけてください(健康診断肝機能精密検査でした)
26.70完熟オレンジ削除
少女の時点で痛風はアカン。
28.100もんてまん削除
いやぁ、こういうお話大好きです!
ちょうど痛風を調べてたので、オチはわかっちゃいましたw
納豆、好きなんです。
31.100名前が無い程度の能力削除
ワインやウィスキーと比べると多いというだけで、実際にビールに含まれるプリン体は大した量ではないそうです。これで安心してビールを呑めますね。