Coolier - 新生・東方創想話

乙女の魔法と光の魔法

2015/02/15 18:03:39
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~注意点~


二次設定が多分に含まれる設定。

ルーミアは魔理沙の家で同棲中。

ルーミアはアリスとも面識がある






「ねーまりさ。私も魔法使ってみたい」

「いきなりどうしたルーミア」

朝食を食べ終え、少し胃に休憩をさせてやっている私にルーミアが突拍子もないことを言ってきた。

「まりさの魔法ってかっこいいもん。ばーってなってキラキラって」

ばーってなってキラキラ?

…ああ、マスタースパークか。

レーザーの後に星型弾幕をばらまくから、確かにそんな表現が似合うな。

「まああれは撃ってる私も気持ちいいけど、ルーミアじゃちょっと難しいと思うぞ」

「え、そうなの」

少し驚いたような声を出すルーミア。

「ああ、レーザーを放つときに魔力をうまく調節しないと反動で自分が吹っ飛ばされるからな」

マスタースパークは見た目の豪快さとは裏腹に結構地道な過程を踏まないといけない面倒な弾幕だ。

まず、キノコを調達して粉を調合する。

これには別に魔力は必要ないが調節がめんどくさい。

少しでも多かったり少なかったりするとうまく魔力が流れず、放つときに不発になってしまう。

次に粉を八卦炉に魔力を注ぎながら入れる。

ここで魔力が強いとさっきルーミアに言ったように体が反動で吹っ飛ばされる。

最悪体がバラバラになるかもしれない。

弱いと威力が落ちて見た目もしょぼくなり、使う側も見る側もつまらないものになる。

だから、魔法を使ったこともないルーミアがいきなり挑戦するのは無謀といえる。

「そっか。つまんない」

明らかに声のトーンを落として、がっくりとうなだれるルーミア。

かわいいしぐさでもあるけどこいつにしょげられるとこっちも影響されて気分が沈んでしまう。

「そもそもなんでいきなり魔法が使いたいなんて思ったんだ?」

暗い空気がつらくなって、私は最初に抱いた疑問を口にした。

「何かっていう理由はないんだけど、まりさがかっこよかったからなんとなく真似したいなって思ったの」

なんとなく、か。

こいつが言うんだから本当に理由なんてないんだろうな。

もともと理由なくふらふらしてるだけの妖怪だし。

うーん、せっかくの願いだから叶えてやりたいんだけど。

まったく魔法を使ったことのない奴に一朝一夕でできるよう教えれる器用さなんて私にはないしなあ。

…あ、あいつならできるかも。

「ルーミア、今日暇か?」

「へ?ひまだけど?」

私の唐突な質問に、ルーミアはうなだれたままの姿勢で答えた。

「そうか、じゃあちょっと頼まれてくれないか」

そう言い、椅子から立ち上がった私は隣の私室に向かった。

「どうしたのまりさー?」

続いてルーミアもついてくる。

ちょうどルーミアが部屋に入ってきたあたりで私は目的のものを見つけた。

「これアリスに届けてきてくれないか」

「どれ?本?」

とてとてと、かわいい音が聞こえてきそうな歩き方で私のほうに来るルーミア。

そして、私の持っていた本を渡してやると興味深そうに本を開いた。

「…だめだー。全然わかんない」

すぐに本を閉じてあきらめたルーミア。

「それは魔道書だからルーミアじゃ読めないのは仕方ないぜ」

がっくりしているルーミアの頭をよしよしとなでてやる。

するとルーミアは気持ちよさそうにえへへ、と笑みを浮かべる。

まったくかわいいやつめ。

「魔道書?」

しばらくそうして至福の時間を過ごしていたが、気を取り直したルーミアの言葉によって終わってしまった。

もうちょっとしていたかったけど仕方ないか。

「ああ、魔道書ってのは特殊な文字で書かれていて解読するのは魔法使いしかできないんだ」

厳密には、その本より強力な魔力を有する必要がある、だけどまあどっちも似たようなものだな。

「へー、そーなのかー」

相変わらず分かったのか分かってないのか分からない返事をするルーミア。

まあ今は、魔道書の説明なんかをしたいわけじゃない。

「それで、届けてくれるか?」

「うんいいよ」

二つ返事で返してくれるルーミア。

暇だって言ってたし当然か。

「今から行ったらいいの?」

本を大事そうに両腕で抱え込んだルーミアはすでに部屋の外に出かかりながら聞いてきた。

「別にいつでもいいぜ。あいつならとっくに起きてるだろうし」

そう返すと、ルーミアは分かったー、と一つ返事をしてから出ていった。

「…さて、ルーミアはアリスに任せるとして」

私は机の上に散乱している本のうち一冊を手に取った。

「勉強、始めるか」

ルーミアに渡した本。

あれは私の書いた魔道書で、主にパワータイプの魔法を記した。

そして今私が手に取っている本はアリスによって書かれたもの。

内容は、奴隷系の魔法。

実は数日前、アリスと二人でお茶会をしたとき、アリスはパワーが、私は小回りの利く魔法がほしいという話になった。

それで、お互い協力したらうまくいくのではという結論に達した私たちは、それぞれ魔道書を書いて交換してみることにしていた。
この本は昨日届いたものでまだ内容は見れていない。

ラベルに「奴隷系」って書かれているくらい。

だから、今日はこれの研究がしたかった。

ルーミアには悪いけど、都合の良い理由ができて一人になれたのは幸いだったな。

何とか今日中に少しでも使えるようにしたい。

そしてあいつに…

よし!がんばろう。





「あら、もうこんな時間」

チョコ作りに精を出していたらいつの間にか巳の刻に差し掛かっていた。

「少し休憩しましょう」

いったん作業を休止して、蓬莱たちにお茶の準備をさせる。

その間に私はクッキーの用意を済ませておく。

こうすれば、両方一遍にできて効率が良くて楽ができる。

と思えるだけで、実際は私が蓬莱たちを操っているから別に手間が減ったりはしていない。

まあ気持ちよ。こんなものは。

用意が整ったから私はクッキーを、人形たちにはティーポットを持ってこさせる。

………

やっぱり咲夜のおすすめの茶葉はおいしいわね。

別段高価なわけでもないのになんでこんなにおいしいのかしら。

それに咲夜は毎回どうやってこんなものを見つけてくるのかしら。

今度教えてもらいたいものね。

---コンコンコン---

あら?誰か来たわね。

もしかして、魔理沙かしら。

「上海、開けてきて頂戴」

「シャンハーイ」

上海に指示を出す。

これぐらい単純なものなら命令するだけで私が操らなくても動かせる。

「おじゃましまーす」

少しして、そんな元気のいい声が響いてきた。

この声は、

「いらっしゃい、ルーミア」

「こんにちは、アリス」

来客者はルーミアだった。

私と目が合うと、ルーミアはぺこりとあどけない様子でお辞儀をした。

本を両手で抱えてるところから、魔理沙からお使いを頼まれたってとこかしら。

「今日はどうしたの?」

「まりさから、これを届けてきてってたのまれたの」

そういい、私のほうに歩いてきて本を手渡してくれるルーミア。

やっぱりあってたみたいね。

「あら、ありがとう。そうだ、お礼に一緒にお茶しないかしら。ちょうどいま始めたところだったの」

「ほんと!?ありがとう!!」

私がお茶に誘うと、ルーミアは飛び切りの笑顔で返事をしてくれた。

毎回この顔が見たいから、誘っているといっても過言ではないくらいかわいい。

さっそく私の対面の席に座ったルーミアを見て、私も受け取った本を蓬莱に渡してお茶の続きを再開する。

「アリスのクッキーおいしい!」

「うれしいこと言ってくれるわね。ありがとう」

ルーミアは私の焼いたクッキーをおいしそうに頬張っている。

「まりさのご飯はおいしいけど、お菓子はアリスのほうが好きかなー」

「そうなの。なら、今度から魔理沙に会うときはついでにお菓子も持っていこうかしら」

魔理沙は和食派だから、あんまり洋食は作れないのよね。

だから、お菓子も洋菓子なんかは出てこないから余計においしく感じてるのかもしれないわね。

「ほんと!うれしい」

ルーミアがバンザイをして喜びを表現している。

いちいち行動がかわいくて見てるこっちまでほっこりとしてくるわね。

そうこうしているうちにクッキーもお茶もなくなってきた。

「あ、なくなっちゃった…」

テーブルの上からクッキーがなくなったのを見たルーミアはこの世の終わりを思わせる表情を浮かべた。

「今度持って行ってあげるから」

そういい、頭を撫でつつ慰めてあげる。

「うん、そうだね。ありがとアリス」

すぐ機嫌をよくしてくれた。

良かった。いつも元気な娘がしょんぼりしてるとこっちまで悲しくなってくるからね。

一件落着したところで、私は人形たちに片づけをさせる。

体の小さい人形たちが一生懸命お皿やティーポットなんかを抱えて流し台に持っていくさまは見ていてかわいい。

結局自分がやっていることだけど、気持ち良ければいいわね。

「…」

ん?今何か言ったかしら。

「どうしたのルーミア?」

「アリスの魔法もかわいくていいなあって」

動き回る人形を見てルーミアはそんなことを呟いていた。

「何かあったの?」

呟く姿がやけに寂しそうに感じた私は反射的に聞いていた。

「朝、まりさに私も魔法使ってみたいって言ったんだけど、私にはムリだって」

寂しそうに話すルーミア。

確かに、まったく魔法を扱ったことのないルーミアには無理があるわね。

だから魔理沙は私に押し付けたのかしら。

いえ、あの娘がこんな簡単にルーミアを見捨てるとは思えないわね。

「アリスの魔法もやっぱり難しい?」

すがるように私に視線を向け話すルーミア。

「…残念だけど、私の魔法も難しいと思うわ」

「そっか…」

残っていた希望が無くなり、さらにがっくりとするルーミア。

うーん、何とかしたいのだけど、初級の魔法を教えるのも結構時間がかかる。

まして、いままで魔力を扱ったことのないルーミアだからもっとかかるだろうし。

何とかできないものかと私は視線を部屋に回す。

…あ、そういえばチョコを作ってる最中だったわね。

と言っても、あとはココアパウダーをまぶすだけで終わりだけど。

ん?なんでで私はチョコを作っていたんだっけ。

…あ、これ、いけるかもしれない。

「ルーミア、あなた運がいいわ」

「へ?」

私の言葉にルーミアが反応する。

「私や魔理沙の魔法はできないけど、今日だけ使える、乙女の魔法を教えましょうか」

「おとめの魔法?」

うつむいていた顔を上げて私のほうを見るルーミア。

何とか興味を引くことに成功したわね。

「ルーミア、あなたに今、思いを伝えたい相手っているかしら。もしいるのならこの魔法はあなたにぴったりなんだけど」

「うん、いるよ」

「よかった。この魔法は思いを伝えたい相手に、必ず伝えることのできるっていう効果があるの」

「!教えてアリス!」

さっきまでの暗い雰囲気はなく、好奇心と期待とでできた表情で私を見つめるルーミア。

うまくいったわね。

「じゃあこっちに来て頂戴」

そう言い、私はキッチンへと向かった。

「これ、なーに?」

キッチンに着いた私たちを甘いにおいが包む。

その中でルーミアは、さっき私が作ったチョコを指さして聞いてきた。

「それはチョコレートっていうお菓子よ」

「お菓子!?」

と、私の言葉に反応して思わずチョコに手を出そうとするルーミア。

「あ、だめよルーミア。それを使って魔法を教えるんだから」

「え、そうなの?」

すんでのところで上海に邪魔されまだ食べられていなかったルーミアは私の言葉に残念といった反応を示した。

「どうやってこれで魔法を使うの?」

ルーミアは興味津々といった目で私を見つめてくる。

「それはね、この魔法の粉を使うの」

と、私はルーミアにココアパウダーの入った袋を見せた。

風味を出すためにと買ったんだけど、まさかこんな風に活躍するなんてね。

「これをチョコレートにまぶして、思いを伝えたい相手に渡すの。そうすれば、渡す時にあなたが思っていたことが相手に伝わるの」

「へ~すごい」

ルーミアから感嘆の声が漏れる。

疑われないか心配だったけど、うまくいったようね。

この娘はあんまり人を疑わないからね。

それはそれで心配だけど。

「ただこれは、チョコレートを手作りしたほうが効果が期待できるのだけど」

「教えて教えて!」

私の手を両手でつかんでブンブン振り回すルーミア。

「え、ええ。わかったわ」

見た目が幼くても力は妖怪。

少し腕の痛くなった私は、ルーミアを落ち着かせるためにも腕の痛みを引かすためにも時間を使うことになった。

---小一時間後---


「できた!」

ルーミアの元気な声が聞こえた。

「本当?あら、すごいじゃない」

私は、もう一個説明しながら作り、そのあとはルーミア一人に作らせてみた。

でも、ルーミアのチョコは私の作ったものとうり二つのものだった。

「上手ね、一回教えただけとは思えない完成度よ」

「えへへ、そうかな」

私が素直に思った感想を述べると、ルーミアは照れたように笑った。

ルーミアの手元には二つのチョコ。

二つとも私の作ったものと同じでハート形で手のひらより少し小さいくらいのサイズのものだ。

って、二つ?一つは魔理沙としてあと一つはだれのものかしら。

チルノとか大妖精とかかしら、いや、それだったら一個じゃ足りないわよね。

そんな風に頭をめぐらしていたら、いつの間にかルーミアが視界から消えていた。

「アリス、いつもありがとう」

「え?」

どこに行ったのだろうと周りを見る前に、私の背後から声が聞こえた。

もちろんルーミアの。

振り返った私が見たものは、ココアパウダーを振りかけたさっきのチョコのうち一つを持ったルーミアだった。

「いつも私に親切にしてくれたり、お菓子をくれたり」

「今日なんてこんな素敵な魔法を教えてくれたり、ほんとうにありがとう!」

言い切ったルーミアは私にいつもの笑顔を向けた。

あの、周りを元気にしてくれるかわいい笑顔を。

「…ありがとう、ルーミア。うれしいわ」

そういい、私はココアパウダーの袋に手を出した。

「私の気持ちも受けてっともらえるかしら」

「へ?」

私は面食らっているルーミアにココアパウダーを振りかけたチョコを渡した。

「いつも私の作ったお菓子をおいしいと言ってくれて、かわいい笑顔で元気づけてくれてありがとう」

素直に自分の気持ちを伝えるのは結構恥ずかしかったけれど、何とか言い切れた。

「ありがとう、アリス。チョコレート大事に食べるね」

どうやら気に入ってくれたようで、嬉しそうに私のチョコを受け取ってくれたルーミア。

「おいしいよ、アリス」

さっそくチョコを頬張ったルーミア。

相変わらずかわいい笑顔で感想を言ってくれる。

なら、こちらも返さないとね。

「ルーミア、あなたのチョコレートもすごくおいしいわよ」

「ほんとう?よかった」

自分の作ったものがほめられたからか、いつも以上に嬉しそうになるルーミア。

このままずっと家で一緒に過ごしたいと思ったけれど、残念ながら今は魔理沙と住んでいるのよね。

そろそろ返さないとあの娘も心配するか。

「ルーミア、そろそろ帰らないと魔理沙が心配するんじゃない?」

「へ?あ、ほんとだ。暗い」

私の言葉にはたと外を見たルーミアは暗くなった空を見た。

「私帰るね。今日はありがとう、アリス。じゃあね」

「ちょっと待ちなさいルーミア」

チョコを持って帰ろうとするルーミアを上海たちで止める。

「うわっ、なに、どうしたの?」

少しバランスを崩したかけたルーミア。

「これ、忘れてるわよ」

そういい、右手で持った袋をルーミアに見せてやる。

「あ、魔法の粉!」

慌てて袋を受けとったルーミア。やっぱり忘れてたのね。

「ありがと、アリス」

「いいえ、いいのよ」

「ついでに、そのチョコをこれに入れなさい」

私はハート形の箱をルーミアに渡した。

「それに入れたら、持ち運びやすいでしょう」

「あ、ほんとだ。ありがとうアリス」

ぺこりとお辞儀をして、ルーミアはチョコの入った箱と、ココアパウダー袋を手にもって出ていった。

「またねーアリス」

「ええ、気を付けて」

パタパタと慌ただしげに帰って行ったルーミアを見送り一人になった私は、さっきかじったルーミアのチョコを食べた。

「…少し苦いわね」

「シャンハーイ?」

苦い、といった私に砂糖をもってきた上海。

「ありがとう上海。でもいいの、これはこれで」

そう、今は苦くていい。

最後に甘くなれば。




「なんとか、形になったかな」

私はアリスからもらった「奴隷」の魔道書を閉じた。

苦手分野だったからかなり時間はかかったが、何とか間に合わせれた。

あとはルーミアに見せるだけなんだが。

「って、ルーミア遅いな。もう結構暗くなってるのに」

宵の刻に入り、外は少しずつ黒の色が濃くなっていく。

ルーミアは妖怪だから心配することはないと思うが、やっぱり気になる。

アリスのところに行ってみようか。

いや、もしすれ違ったりしたら面倒だしな。

…気にしたってしょうがないか。

それより、今のうちにこの魔法を試していたほうがいいか。

術式は完成したけど、実際うまく扱えるかわからないし。

そうと決まったらさっそく行動だ。

私は埃っぽい部屋から、外に向けて歩き出した。

「まりさー、ただいま」

そして、ちょうど扉の前に来た時ルーミアが帰ってきた。

「おかえりルーミア。遅かったけど何かあったのか」

帰ってきちゃったか。これじゃ実験はできないな。

まあ、ルーミアが無事帰ってきたってことを喜んだほうがいいか。

「うん、ちょっとアリスのところでね」

なぜか両腕を後ろに回したまま答えたルーミア。

何か隠してるのかな。

「そっか、アリスに本をしっかり届けてくれたか?」

「うん」

大きく首を振るルーミア。

「そうか、ありがとう」

ご褒美によくできましたの頭なでなでをしてやる。

何か私の頼み事やお手伝いをしてくれた時にはこれをする決まりになっている。

ルーミアは私の撫でる手が気持ちいいのか、目を細めて私に引っ付いてくる。

私は私で、ルーミアのサラサラな髪を撫でれるし、そういうかわいいしぐさも見れて万々歳なわけだ。

「まりさ、これあげるね」

少しそうしているとルーミアは私から少し距離をとって後ろに持っていたものを私に見してきた。

「なんだこれ、箱?」

手にしていたのは小さなハート形の箱だった。

ピンク色でふたにはかわいいリボンが結ばれている。

「実は私、今日アリスに魔法を教えてもらったの」

そういって今度は袋を取り出した。

「魔法?いったい何を教えてもらったんだ」

アリスのことだから私の知らない簡単な初級魔法でも知っていたのか?

「えっとね、この魔法の粉をチョコレートにかけて」

そんな私の問いなど聞こえてないくらいに集中して何かをしている。

言動から箱の中身はチョコだったみたいだな。

それでみたところ、なんかの粉をチョコに振りかけてるみたいだが。

魔法の粉って言ってたな。でも、かすかにココアのにおいがするような。

「できた!」

どうやら用意ができたらしい。

今のところ魔法らしい魔法はないがどうなるんだろう。

「まりさ、私はまりさと一緒にいるとすごく幸せな気持ちになれるの」

「私は今までずっと一人だった。いつも寂しかった。だから、他の人の笑顔を見るのが怖かった」

「みんなは笑っているのに私だけ寂しいって意識したくなかったの。だからいつも闇の中で過ごしてた」

「闇の中ならみんな等しく真っ暗で何も見えないから私だけが一人じゃないって思えた」

「でも結局、私はいつも一人だから寂しいままだった」

「だけど、まりさと一緒に過ごすようになってからはいつも楽しくて、寂しいなんて思うことがなくなったの」

「まりさがいれば闇なんていらないって思えるようになったの」

「私に人のぬくもりを教えてくれてありがとう」

「私を孤独の闇から連れ出してくれてありがとう」

「まりさ、大好きだよ」

そんな、聞いてるこっちが恥ずかしくなるようなことを言って、ルーミアは私に手に持ったチョコを渡してきた。

「…私の気持ち、伝わった?」

しばらく呆然と受け取ったチョコをもって立ち尽くしていた私にルーミアが声をかけてきた。

「あ、ああ。ちゃんと伝わったよ。ありがとう」

何とか我に返った私は、少しどもりながらも答えた。

「よかった。ちゃんと魔法使えたんだ」

ルーミアはほっとしたような喜んでいるような声を漏らした。

魔法?…もしかしてアリス、騙したな。

まあでも、ルーミアが幸せそうだしいいか。

「じゃあ、もうお外も真っ暗だし家に入ろっか」

ルーミアは私のわきを通り抜けようとした。

しかし、それはできなかった。

「へ?ちょ、まりさどうしたの?」

私がルーミアを捕まえたから。

ルーミアが私に自分の気持ちを伝えておきながら、私が何もしないなんて許されるわけない。

外が暗いのも好都合。

あとはこっちのペースでいかせてもらうぜ。

「ルーミア、私の気持ちも受け取ってくれよ」

「まりさの気持ち?」

「ああ、そのために今日朝からずっと研究漬けだったんだから」

「ちょ、まりさ。どこ行くの?」

私はルーミアを抱えながら家から離れていった。

ここじゃ周りのものが邪魔でうまくできない。

「着いたぜ」

少し歩いたところにちょっとした広場があった。

そこで私はルーミアを離して少し距離をとった。

「それ以上こっちに来るなよ。危ないから」

「な、何するの?」

少しおびえているルーミア。

でも、教えてやらない。

さっきは何も教えられずにやられたんだから、私もいきなりでいいだろ。

「じゃあいくぜ。しっかり見とけよ」

口調や態度では見せないようにしてるが、内心は緊張しっぱなしだ。

結局練習できなかったからな。

まあここまでくりゃ、ぶっつけ本番だ。

私は八卦炉を取り出して空に向けて構えた。

そして、魔力を吹き込み弾幕を出す。

赤や青、黄色など様々な色の星形の弾幕が、ドーム状の軌跡を描きながらゆっくりとバラバラに地面に落ちる。

その間、私は今日作った術式を発動させる。

その瞬間、私の周りに直径10センチくらいの丸い光球二つが現れる。

星型弾幕が地面に落ちているさなか、その光球は弾幕の周りをまるで蔦が絡まるように、ねじまがった二つのレーザーに変化して回りだす。

そうしてどんどんその二つのレーザーは互いに絡まりあいながら空に伸びていく。

それにつられるように、さっきまで下に落ちていた弾幕がレーザーに吸い寄せられるように空へと昇っていく。

外から見れば、蔦状のレーザーに星型弾幕は完全に包まれて、一緒に空に昇っているように見える。

そして、天高く昇ったところで二つのレーザーはそれぞれ左右に分離する。

その瞬間、私は天辺に集められていた星型弾幕を一気に、花開くように散らばらした。

一番外側が赤、次が青で次が黄色、その次は赤、と、交互になるように。

それと時を同じくして、二つのレーザーは光球に姿を戻し、散らばった星型弾幕を左右から挟み込むように、ドンッと音を立て爆発し、散った。

外の世界の本に書かれていた「花火」ってやつを、私流にアレンジして表現した弾幕。

イメージはだいぶ前からあったんだが、私一人では星型弾幕を一か所に収束させながら空に昇らすことができなかった。

だからアリスから「奴隷系」の魔道書をもらって二つの光球を、弾幕を包み込み導けるように作り上げた。

完全に動きが決まっているものしか作れないから弾幕ごっこに使うにはまだ弱いが、こんな風に使うならこれでも十分ありだな。

「うわっ!?」

私がうまくいったことへの余韻に浸っていると、ルーミアが私に抱き付いてきた。

いきなりのことだったが、何とか倒れずルーミアを抱き返せた。

「すごい、すっごいよまりさ!」

ルーミアが私の腕の中で私の顔を見て笑顔でそう言ってくれた。

「きれいだった。あんなにきれいなの今まで見たことないよ!」

ルーミアは興奮さめやらぬようで、私の腕の中で暴れながら感想を叫んでいる。

「分かった。分かったから落ち着けってルーミア」

私が困ったように言っても聞こえていない様子だった。

しばらくしてやっと落ち着いたルーミア。

「もう大丈夫か?」

「うん、ごめんね、うるさくして」

「いやそんなことはない。私の弾幕を見て感動してくれたのならうれしい限りだから」

私の腕の中で、高ぶりすぎた感情の反動で少し沈んでいるルーミア。

そんなルーミアを私は愛おしむ様に撫でた。

「私もな、ルーミア」

気持ちよさそうにしているルーミアに語りかける。

「寂しかったんだ。この森の中で一人でいることが」

「日中はまだいい、誰かに会いに行けばいいんだから」

「でも、夜になるとどうしても家に帰らなければいけない。一人の家に」

「だから、お前が私の家に来てくれたことが、すごく救いだったんだ」

「お前のおかげで夜が寂しいものじゃなくなった」

「お前のおかげで夜も好きになれた」

「ありがとう、大好きだぜルーミア」

言っててかなり恥ずかしい。

ルーミアが私の胸に顔をうずめていたから何とかいえた。

もしルーミアの顔を見ながらだったら、言えなかったかもしれない。

「私の気持ち、伝わったか?」

そう尋ねるとルーミアは顔を上げて私を見つめた。

「うん。すっごく伝わった。ありがとうまりさ。大好き」

いつもの笑顔を浮かべ私に答えくれたルーミア。

いつもの笑顔のはずなんだが、私にはいつも以上の魅力が感じ取れた。

そして、その魅力に吸い寄せられるように…

キスをした。

「…」

「…」

一瞬、唇が触れたか触れないか程度。

でも、私の心臓ははじけ飛びそうなほど早鐘を打っていた。

「…まりさ」

「…なに」

「…もう一回」

「…ああ」


バレンタイン、それは、乙女たちが思いを遂げる日。

バレンタイン、それは、少女たちが少しだけ大人になる日。
次の日、霊夢に厳重注意(物理)されました。


2月14日42時過ぎ、よし間に合った!

…ごめんなさい

3作目です。

個人的に一番好きなカップリングですので、書けたこと自体がうれしいです。

もちろん他も好きですが。

魔理沙の「花火」のところ、自分なりに頑張って弾幕表現したのですがいかんせん文章力が…

もっと精進します。

ご意見、ご感想などがございましたらコメントしていただけると喜びます。

一部文章を修正しました。
星ネズミ
簡易評価

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コメント



0.60簡易評価
1.70名前が無い程度の能力削除
ルーまりとは新しい
心がほっこりしました
2.70奇声を発する程度の能力削除
珍しい組み合わせでした
3.80名前が図書程度の能力削除
チョコレートにまぶせて→まぶして

なかなか不思議な組み合わせでした。
個人的には、魔理沙が魔法にきのこの燃料を使っていることに触れている点や、「使う側も見る側もつまらないものになる」という言い回しに、グリモワールオブマリサを思わせる、弾幕に対する意識が表れていた点が興味深く思いました。今後の作品に期待しております。
ここからはあくまで私見ですので、参考程度に見てもらいたいのですが、まず冒頭の注意点に示された設定は、作品内で触れる形で提示したほうが良いのではないかと思います。せめてルーミアと魔理沙が同棲していることに、簡単にでいいので経緯があれば話に入りやすいように思います。
また、宵闇の妖怪であるルーミアが、闇を否定する発言をしたことが少し気になりました。しかしこれは解釈の範疇かもしれません。
そしてこれは作風の話ですが、文章がもう少し詰まっていても良いと思いました。テンポの良い短文の連続でサクッと読めるのはいいのですが、その分スクロールが忙しなくなってしまいます。
差し出がましく長々と書きましたが、今後も応援しております。
4.90名前が無い程度の能力削除
ルーマリ…なぜか隠れて人気ありますよね。
ほのぼのしてて会話も可愛いしビジュアルを想像するとほのぼのしますねぇ。
6.90名前が無い程度の能力削除
素敵なルーマリでした。
8.70名前が無い程度の能力削除
なるほど、乙女の魔法。
あまり見ない組み合わせですが、
(アリス含め)皆金髪ですし意外とありかもと思いました。
9.無評価星ネズミ削除
1さま
ほっこりした、ありがたい言葉です。
がんばって書いたかいがありました

奇声を発する程度の能力さま
マイナーですがそれなりに作品ありますよ。
ニコニコ動画内では固定タグもありますし

名前が図書程度の能力さま
誤字報告ありがとうございます。修正させていただきました。
書く前に魔理沙が奴隷魔法についての記述を行っていることを思い出したので、グリモワールオブマリサを読み直していたからそれが反映されていたんでしょうか。
注意点の件、確かに本文で触れたほうがよかったですね。今後生かせるよう頑張ります。
ルーミアが闇を嫌う理由は、「自分が孤独だと再認識させる闇」なので種族的に闇は好きです。
だから、魔理沙と出会ってからも普通に闇を展開しています。分かりにくくてすいません。
文章を詰まらせる…ですか。自分の力量でどこまでやれるか分かりませんが、がんばってみたいと思います。
様々なご指摘、ありがとうございました

4さま
容姿が似ているからかそれなりに作品ありますからね。
斯く言う私もここのssを読んでルーマリにはまったわけですから

6さま
ありがとうございます。率直なほめ言葉もうれしいものですね

8さま
興味を持ってくれたのならほかの作者様の作品を見ていくのもいいと思います。
私とは比べようもないぐらい素晴らしい作品がたくさんありますから