Coolier - 新生・東方創想話

剣と刀は刃を交え

2014/10/19 05:33:43
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 犬走椛は山の哨戒を主な任務とする白狼天狗である。
 侵入者の少なさゆえに退屈な業務であることに定評のある、哨戒を務める彼女は、そんな業務に回される程度には下っ端であり、天狗としての力も高いとは言い難い。
 しかしその剣の腕は、かなり高いものであると彼女は自負している。事実、数少ない侵入者たちは、勝負の内容が単なる殺し合いであるのなら、一人の例外なく椛の剣の錆となった。
 古強者の多い天狗社会においても、こと剣の腕のみに限れば、椛の右に出るものは何人いるのか。
 口にすることこそなかったが、椛は己こそが天狗最強の剣士なのではないか、なんて自惚れを抱いたことすらある。
 だが、どれほど優れた腕を持とうと、時代の流れ次第では無用の長物と化す場合もある。
 現代の幻想郷は、スペルカードを主な決闘方法としている。血で血を洗う殺し合いがないとは言わないが、その絶対数は年々減少の傾向を見せている。ただでさえ侵入者の少ない妖怪の山では、己が剣を振るう機会など、もはやないに等しい。
 そんな事実にもめげず、哨戒の任務や河童との将棋対決の合間を縫って、椛は剣の修行に明け暮れる日々を送っていた。
 その心の奥で、剣を交えることへの欲望を、燻らせながら。

**********

「真剣試合、だと?」
 そんな、退屈に退屈を重ねた日々を送る椛にある時、思わぬ知らせが届いた。
「ええ。今度の土曜日、冥界は白玉楼の庭師、魂魄妖夢と真剣による決闘をしていただきたいんですよ」
 知らせを届けたのは、椛と旧知の中にして、犬猿の仲にも似た関係を持つ烏天狗、射命丸文だった。
「真剣、ねえ。またなんでそんなことを」
「新聞のネタが、そろそろ切れそうで」
 射命丸文は新聞記者だ。
 天狗社会での流行が、書くものも見せる相手も天狗だけといういわば身内新聞であるのに対し、彼女は天狗以外のあらゆる妖怪、はては人間にすらも自らの新聞をばら撒き、一定の評価を得ている。
 しかし、新聞製作に積極的な射命丸だが、記事になるようなネタが集まるかどうかはまた別の問題。彼女がたまにネタがないとぼやいたり、ネタはないかと問いただしに来ることを、椛は知っていた。
 だから今回も、おそらくはそう言うことなのだろう。
 ネタがなければ作ればいいと豪語する射命丸のことだ。椛と、そして魂魄妖夢とか言うものとの戦いを提案し、記事にしようと、そう考えているのだろう。
「理由は分かった。しかし承諾はしかねる」
 椛はきっぱりと断った。だがその本心は違う。椛は口でこそそう言うが、実際は戦いたくて仕方なかった。
 なのに断った理由は一つ。提案者が射命丸文だったからだ。彼女とはしょっちゅう口げんかするような関係だ。そんな相手の提案に乗るのは、口車に乗せられたようで性に合わない。
「尻尾をそんなぶん回して、よく言いますよ」
 射命丸もそんな椛の心境は理解しているのだろう。意地悪そうな笑みとともに、興奮で左右に激しく動く椛の白い尻尾を指差し、そう指摘した。
「こ、これは、だな」
「あなたのツンデレ発言なんて聞きたくもないので言わせてもらいますが、向こうは乗り気でしたよ?」
「……ツンデレ云々は置いておくとして、どんな口八丁で言いくるめた?」
「言いくるめだなんてそんな酷いことしませんよ。私は清く正しい射命丸ですよ?」
「ああ、清く正しいな。自身の欲望に対して」
「酷いこと言いますね」
「お前に良いことを言う義務はない。それで? どうやってごまかした?」
「何にもしてませんよ。ただ彼女の主である西行寺幽々子をそそのかしてですね。彼女と一緒に『やりましょう!』って言い詰めたんですよ」
「詐称こそしていないが、真っ当な誘い方ともいえないぞ、それ」
「なんとでも言いなさい。彼女だって最終的には『やります! やりますよやればいいんでしょコンチクショウ!』って叫んで了承してくれましたし」
「それは了承ではなく自棄っぱちというんだよ……」
 射命丸の、相変わらずと言えば相変わらずな横暴さに、椛は呆れてため息をついた。
「そう言うわけで、向こうは快く引き受けてくれたんですが、あなたはどうします?」
「そこまでして引き受けたのに、断るというのも確かにひどいが……」
 しかし、そんな事情があろうとも、射命丸の誘いには乗りたくない。なんて捻くれた考えが、椛の中で渦巻く。
「場所はどうする? 戦うとなれば比較的広い場所で行った方が良いが」
「その辺はご安心を。紅魔館のレミリア・スカーレットから私有地の草原を借りました」
 紅霧異変の首謀者にして吸血鬼、レミリア・スカーレット。
 そう言えばレミリアと射命丸は知り合いであったと、椛は思い出す。
「ならば怪我をしたら? 真剣試合ならば流血は必須だろう? お互いの業務の差し障りがあるようでは気が乗らない」
「永遠亭が医療道具一式そろえてスタンバイしてます。腕を落とされようが足を斬られようが、傷跡一つなく治療して見せますよ」
 永遠亭の八意永琳が優れた医師であることは、妖怪の山からろくに出ない椛でさえも知っていた。
「……第一、私には山の哨戒という任務がある。いくら侵入者が数年に一人程度の妖怪の山と言えど、任務をおろそかにするわけには」
「はいこれ」
 最後の抵抗とばかりに畳み掛ける椛を遮って、射命丸は一枚の書類を差し出した。
「なんだ、これ?」
「こんなこともあろうかと、前もって大天狗様に交渉してきました」
 その書類には、来週の土曜と日曜に、椛に休暇を出す旨が記されていた。
「……ご丁寧に血判とは」
「いやー、ちょうどハンコとか持ってなかったらしくて。大天狗様も忙しかったので、指切ってその血でパン、と」
「手の込んだことをする。初めから断らせるつもりはなかった、と」
「せっかく作った新聞のネタ。逃すつもりはありませんよ」
「……まあ、いい」
 外堀は完全に埋められた。
 椛の心も戦いを望んでいる。
 もはや射命丸への意地っ張りだけでは、断れそうにない。
「いいだろう、射命丸。此度の試合、やらせていただこう」
 その口元に、好戦的な笑みを浮かべ。
 椛は射命丸の提案を引き受けた。

**********

 そして土曜日。
 空は雲に覆われていた。頭上で漂う雲の天蓋に切れ間は見られず、今日一日太陽を拝むことはできないだろう。
 幸いなのは雨雲ではないことか。空は黒ではなくうすい灰色におおわれており、ある程度の明るさを地上にもたらしている。
 観客席で紅茶を嗜むレミリア辺りは、忌々しい太陽が逃げ去ったと大喜びだ。
 しかし、曇り空を喜んだのはレミリアだけではない。
 椛もまた、太陽が出ていないことに安堵していた。
 剣は金属製ゆえに光を反射する。太陽光を反射して相手の目に当てれば、それだけで目くらましとして成立するのだ。
 射命丸から魂魄妖夢の性格を聞いた椛は、彼女がそう言った目くらましに頼る人間ではないと考えた。椛としてもそんな卑怯卑劣な行いは試合でしたくない。
 だが本人たちにその気がなかろうと、太陽が照り輝く限り反射光は避けられない。偶然でどちらかが勝利した、などという事態があっては勝者も敗者も納得しないだろう。
 だから、曇りであることは、正直ありがたかった。
 しかし、対戦相手である魂魄妖夢はそう思わないのか、それとも単にそこまで気が回っていないだけか。彼女は安堵の表情など一つも見せず、半霊と呼ばれる白い餅のようなものを漂わせながら、西行寺幽々子と思しき女性と話をしていた。
「……まあ、何でもいいか」
「どうかしました?」
 左手に装備した、前腕を覆う程度の大きさの盾の具合を確かめる椛。その作業の最中に呟かれた彼女の言葉に、近くにいた射命丸が反応した。
「なんでもない。なんでもないが、一つ上げるとすれば、だ。なんでお前がここにいる?」
 記事を書く、というのだから彼女はレミリア辺りと話しながら観戦するのだろうと椛は考えていた。しかしその考えに反し、射命丸は一向に観客席に移動しない。いつまでたっても、木の杭と縄で作られた急ごしらえの決闘場の中にいる。
「審判ですよ、審判。言ってませんでした?」
「聞いていない」
 そもそも、審判がいるということ自体知らなかった。
「あのですね。もし勝負が匹敵して、勝負がついてもお互い譲らなかったらどうするんですか? 私が勝った俺が勝ったって、そんなつまらない論争は記事になりませんよ?」
「それは分かるが、なぜおまえがやる?」
「もし椛あたりがあっさり勝負を決めちゃったら、審判権限で無理やり試合続行させて、妖夢さんが奇跡の大逆転するところを期待したいなー、なんて」
「それ、私と彼女が逆だったら?」
「『魂魄妖夢の一撃必殺!』って感じで記事書くことにしましょうか」
「地獄に落ちろクソ女天狗」
「あなたが落ちなさいこの犬っころ」
 罵倒の応酬を済ませた射命丸は、椛に軽く手を振って離れる。その手にはいつの間にか、白と赤の二つの旗が握られていた。
 椛から離れ、即興の柵のぎりぎりに移動する射命丸から視線を外し、椛は周りを見る。
 試合の場には誰もいない。話し込んでいたギャラリーも、先ほどまで魂魄妖夢と話していた女も。
 いるのはただ二人。犬走椛と、その対戦相手である魂魄妖夢のみ。
 魂魄妖夢は椛を見据え、背負った長刀の位置を調整していた。腰にも刀を一振り差していたが、そちらを気にする様子はない。使うつもりがないのだろうか?
 魂魄妖夢の行動のために、椛の視線は自然と背負った刀に向けられる。
 長い刀だと、椛は感じた。柄につけられたふさふさの飾りも、鞘につけられた花も、印象的ではあるが、それらを霞ませるほどに、その長さは特徴的だった。
 鞘の長さから推定される刀身は一メートル数十センチ。一般に野太刀に分類されるそれは、決して大柄とは呼べない魂魄妖夢には不釣り合いな長さだ。
 だが、その立ち振る舞いに違和感は見られない。実際に振るう姿を見てはいない。だがおそらく、彼女はあの刀を自然に振るうだけの技量を備えていると、椛は経験から察した。
「本日は、よろしくお願いします」
 調節を終えた魂魄妖夢が、椛に歩み寄って一礼する。
「こちらこそ頼む。しかし、あれのわがままにつき合わせてしまったようだな。すまない」
「構いません。初めは確かに嫌でしたが、あなたの評判を射命丸さんから聞いて、むしろやる気が出たところです」
「評価、ね」
 あの天狗がどんな出まかせを吹いたのか、椛は少し気になった。
「聞けばかなりの実力を持った剣客であるとか。私は未熟者故、あなたのような御仁と戦えることは、とても誇らしいのです」
「剣客と言えるほどのものではない。確かに腕に自信はあるが」
 剣の腕には自信がある。だが、その剣は極めて邪道なものだ。
 そもそも、椛に師と呼べるものはいない。剣の基礎は天狗の道場で習っただけ。あとは全て我流のもの。
 強いてあげるなら、彼女が育ち、剣を振るった妖怪の山が、師と呼べるのかもしれない。
 だから、基礎を学び洗礼された剣技を見につけたであろう魂魄妖夢を前にすると、わずかな引け目を感じた。
 その足運び一つにも、積み重ねられた修練をうかがわせる魂魄妖夢。たいして自分はどうか?
 技術も効率も感じない。彼女の足はただ踏みにじるのみだ。
「確かに、ちょっとイメージと違いますね。結構野性的です」
 そう言うと、魂魄妖夢はくすりと笑う。
 愛くるしい微笑には、しかし嘲りの色は見られない。
「褒めている、と認識していいのかな?」
「はい、ほめています。きっとあなたは私の知らない剣を持っている。そのことに対する、敬意みたいなものです」
「そう言えば、先ほど自信を未熟者と言っていたな。私の剣を盗むのか?」
「いつか師の領域にいたるために。よろしいですね?」
「構わない。振るった剣が盗まれるのはよくあること。まして今回は試合、殺さず生かす以上技術の一つ二つ盗まれても仕方ない」
「では、いただきますね」
「好きにしろ。こちらも、良さげなものはいただくとするよ」
 そう言って、お互いに笑い合う。
 妖夢は少しおとなしい微笑を。
 椛は少し豪快な笑い声を。
 互いに笑って、ひとしきり笑い終えて、二人は申し合わせたように、距離を開く。
 適度な間を開けた二人。立ち止まった椛が、射命丸を見る。
「射命丸。そろそろいいだろう?」
「そちらが準備万端だというなら、こちらも問題ありません」
 では、と前置きして。
「さあさあ皆様! 本日はこんな天気の中、よくぞお集まりくださいました!」
 射命丸文の、はつらつとした声が会場に響く。
「白玉楼の庭師にして剣士、魂魄妖夢と!」
 射命丸が赤い旗を振り上げ、妖夢が少し恥ずかしそうに俯く。
「われらが天狗の哨戒にして剣客、犬走椛の!」
 射命丸が白い旗を振り上げ、椛が自慢げな笑みを浮かべる。
「切り捨て御免の真剣勝負!」
 妖夢は一息とともに羞恥心を拭い、背負った野太刀に手を伸ばす。
 椛は笑みを好戦的なものに歪ませて、差した剣に手を伸ばす。
 互いの手が、己が得物に触れた時、ひときわ大きな声で射命丸が叫んだ。
「いざ尋常に――――始め!」

**********

 開始の合図より寸分の間を置いて、椛は大地を蹴った。
 彼我の距離は十メートルと少し。天狗という敏捷性に優れた種族に生まれ、今日まで鍛え抜かれてきた椛の脚力ならば、瞬く合間にゼロにできる距離だ。
 跳躍からの加速、そして疾走。剣は一連の動作の間に抜かれており、刀身の広い片刃の剣が、椛の右手に握られている。
 対する妖夢は、一瞬にして加速した椛を見て驚いたらしい。抜刀のタイミングを、わずかに逃している。
 抜かれない剣に脅威などない。このままいけば、椛の勝利は確実だろう。
 だが、椛はこれで勝てるなどとは思っていなかった。
 妖夢の実力は決して低くないものだと、その立ち振る舞いから見てとった椛は、この程度で勝負が決するなどあり得ないと、そう確信していた。
 何らかの対応を、妖夢はするはずだ。
 それがどのようなものかは全く分からない。だが何かをする。
 そう言った確信や直観は、決して無視していいものではないということを、椛は経験から知っている。
 そしてそれは、二人の距離が椛の間合いとなる寸前に証明された。
 妖夢が、抜いた。
 ただ剣を抜いただけなら、問題はない。
 そこから攻撃するにも、防御するにも遅すぎるからだ。剣を振るうにしろ盾にするにしろ、そのための構えを取る段階で椛に斬られるだろう。
 だが違う。妖夢はただ抜いたのではない。
 抜刀と同時に、妖夢は斬ったのだ。
(居合、か!)
 椛が剣を振るうには、距離がわずかに遠い。だが妖夢にとっては最適な距離だ。
 何しろ得物の長さが違う。椛の剣の刀身は六十センチ程度だが、妖夢の刀は一メートルを軽く超える。
 このままでは一方的に叩き斬られる。
 選択肢は、そう多くない。
 まず後方へ逃れることは不可能。攻撃はすでに繰り出されている。だが後ろに移動するためにはまず今までの疾走の移動エネルギーを殺さなければならない。そんなことをしていては格好の的だ。
 次に左右。おそらくこれも無理。刀はまだ斬撃を振るい始めたばかり。左右への軌道修正も不可能ではない。
 盾で防ぐのも無理だろう。移動中はどうしても不安定になるものだ。何らかの流派の術理を会得したならいざ知らず、我流に過ぎない椛ではそれはどうしようもない。この状態で盾の防御など図っても、野太刀が生み出すエネルギーを殺せるとは思えない。
 では奇をてらって頭上はというと、論外である。迫る刃に飛び込む馬鹿がどこにいるのか。
 後ろも、左右も、上も無理。防御もできない。ならば、選択肢は一つだけ。
 椛は、さらに加速した。
「――――っ!」
 妖夢の驚愕を感じる。
 椛はまだ全力で走ってはいなかった。これは別に力を温存していたわけでも妖夢をなめていたわけでもない。
 単に、全力で走れば体が不安定になり、剣を振るえなくなるからだ。
 だが椛は攻撃を捨て、加速することを選んだ。
 その結果、妖夢の野太刀が振り下ろされる直前に、椛は彼女の体に体当たりした。
「ぅ、ぐ」
 ご丁寧に盾を前方に構えての突進。しかし、ダメージを与えることはできなかった。
 妖夢がとっさに、空中に漂っていた半霊を盾にしたのだ。
 霊というが、ある程度質量をもっていたらしい。体当たりの威力はその大半を半霊によって吸収され、妖夢に届かなかった。
 わずかに届いた衝撃も、防御の構えをとった左手によって防がれた。
「っちぃ!」
 妖夢は半霊を操り、盾越しに椛を押しのけようとしてくる。
 いくら質量を持とうと所詮は浮かぶだけの霊体。その程度で揺らぐ椛ではない。だがわずかだが身動きは止まってしまい、その間に妖夢が距離を置こうとする。
「させるか!」
 椛は半霊を盾で抑え、飛び越えた。
 妖夢と半霊の間にはわずかな距離ができていた。その間に身をねじ込みつつ、袈裟に斬りかかる。
 妖夢はこれを野太刀にて防ぎ、剣と刀の接触点を軸にして、柄を持ち上げ、逆に切っ先を降ろす。
 これにより、防いだ瞬間は椛の剣に対し垂直だった刀が角度を持ち、椛の剣は坂道を転がるように、刃の上を滑り落ちた。
 椛の剣をいなした妖夢は、身を引いて野太刀の間合いを確保しつつ、上から下への斬撃を椛へ見舞った。
 椛はいなされた袈裟斬りの勢いを利用して左に旋回、左手の盾による裏拳で野太刀の軌道をそらした。そして裏拳の衝撃で固まる左手をそのままに、妖夢の脇腹へと斬りかかる。
 妖夢は太刀の軌道を狂わされ、乱れた体勢を逆に利用して椛へ踏み出た。椛の左腕の下に潜り込むと、そのままひじ打ちを放つ。
 椛は肘打ちを避けるため、体軸を右にずらし、その際に生じた重心移動の力を利用して体を右に移動させ、懐に飛び込んできた妖夢の横へ移動。彼女は肘打ちを繰り出すために体を右にずらしているので、妖夢から見て左側に回った椛は彼女の背を取った形となる。
 流石に剣が届く間合いではないので、椛は剣の柄頭にて攻撃を図る。だが妖夢は肘打ちが避けられたとみると、足をそのままに体だけ反転、背後の椛と向き直り、その右腕の軌道に刀を置いた。
 椛は腕の軌道に突然現れた刀身に驚き、肘を引く。その結果剣が振るわれる形となり、柄頭に込められる予定だった力は切っ先に向かい、期せずして通常よりもはるかに短い間合いでの斬撃が生まれた。
 斬りかかって来るとは思ってもみなかった妖夢は剣をいなすこともできず、そのまま鍔迫り合いとなった。
 剣を押し合いつつ、椛と妖夢はにらみ合う。
 鍔迫り合いというのは、単に相手を押しのければいいというものではない。
 下手に力を込め、それが相手に察知されれば、相手はあえて身を引くなどして力をそらし、姿勢を崩した隙に斬りかかることができる。
 だが逆に力を込めなければ、そのまま押しのけられ、斬られるだけだ。
 妖夢と椛はお互いに行き過ぎない程度の力を込め、相手の隙を窺いつつ力を強めたり、弱めたりを繰り返す。
 椛は思案する。今の現状をどう打開するか。
 盾は使えない。下手に盾を動かせば力の方向がぶれ、鍔迫り合いで押し負けてしまうからだ。
(だが、だとすればどうやって)
 唯一自由に動く左腕もダメ。ならば手段などないではないか。
 ただ、待つしかないのか。
 この鍔迫り合いの果てを。無言でにらみ合い、ただ力の強弱のみで相手の裏をかき合うだけの現状の終わりを。
 そんなものを待つわけにはいかない。
 そも、稽古事をほとんど行ってこなかった椛は、こういった地味で繊細な読み合いが苦手だ。
 おそらく、そう言った技能は妖夢の方が上手。ならば鍔迫り合いの勝敗も妖夢に傾くだろう。
 ただ負けを待つばかりなど性に合わない。
(ならば!)
 椛は、右腕の力を抜いた。
「――――っな!?」
 右腕だけではない。
 体、足、全身の力を一気に抜く。
 脱力した椛の体は当然のごとく地面へと落ちる。
 右腕は鍔迫り合いに負け、勢いよく振り払われる。
 だが、力なき右腕から体へとエネルギーが伝わることはない。右腕が弾かれようと、椛の体も一緒にはじかれるという事態は回避された。
 脱力した椛の膝が、地面に触れる直前、彼女は全身に力を込めて、勢いよく起き上った。
 起き上がり、その力を利用して、左の盾を妖夢へ叩き込む。
 一度目は失敗した盾による攻撃。だが今度は半霊をねじ込む隙間などない。
「っが!」
 盾の攻撃をもろに喰らった妖夢が後方へ飛ばされる。しかし、彼女はただでやられたわけではなかった。
「っつ!」
 妖夢は地面へ落ちる椛と、力を失った椛の剣をはじく己が刀を見て、とっさに左手を刀からはなし、腰に差した、今まで使う様子を見せなかった刀を握り、居合切りを放ったのだ。
 狙いは足。それも起き上がる際に前に位置していた左足。軸足であるそれを妖夢は斬ったのだ。
 幸い、斬撃が当たる寸前に盾による攻撃が命中し、攻撃の無力化と左足の切断は免れた。
 だが左足が傷つけられたのも事実。それもかなり深い。骨が半分ほど斬られた。この状況では左足はまともに動かないだろう。
 かなりまずい事態だ。今までのような疾走はできず、攻撃手段もかなり減少してしまう。
「だが」
 痛み分け、だ。
 妖夢はその体に攻撃を受けた。内臓はいくつか傷ついてるだろうし、肋骨も何本化折れている。
 折れた肋骨が肺を傷つけるのか、妖夢の呼吸がわずかに荒い。
 あの様子なら、彼女の攻撃はわずかに鈍るだろう。事実、左手の刀を鞘に戻す動作に、わずかなブレが見られる。
(ダメージは与えた。与えたけど、今のは向こうの方が上手か)
 あの時。椛は全く反撃を予想していなかった。あれだけ奇をてらった行動にもかかわらず、反射的に斬りかかった妖夢の判断は賞賛に値する。
(さて、どうしたものか)
 互いに少なくないダメージを負った。このまま戦いを長引かせるのはまずい。
(ならば、一気に勝負に出るか)
 そう考えたのは、椛だけではなかったらしい。
 妖夢が野太刀を構える。まるで腰に差した刀で居合でもするかのように、刃を左のわきから後ろに回し、刀身の根本に左手をあてがう。
 体も左側に限界までひねられ、もはや妖夢は肩越しにこちらをうかがう形となっている。
 見て明らかなほどの攻撃的な構え。一撃で、決めるつもりなのだろう。
 ならばと、答えるように椛も構えた。
 構えは上段。それも体を右側にひねり、右の肘を後ろに向けた構え。単なる上段よりもなお強力に、体の旋回と腕による『押す』動作も混ぜた、比類なき一撃を繰り出す構え。
 妖夢と椛がにらみ合う。
 互いに繰り出すは一撃必殺。
 ならば互いの狙いもただ一つ。
 先手、必勝。
「――――っしゃ!」
 鋭く息を吐き出した妖夢が跳んだ。
 始めに椛が見せた疾走よりもはるかに速い跳躍。にもかかわらず、それは走行ではなくたった一歩の跳躍であった。
 武術の達人の中には長い距離を一足で縮める足運びを会得したものもいると、椛はどこかで聞いたことがある。それが嘘か真かはともかく、妖夢の跳躍がそれに分類されるものであることは確かだ。
 高速にして長大な跳躍。
 たったの一歩でありながら、数メートルという距離を瞬く間に駆け抜ける。
 半人半霊という種族は存外に力が強いのか、それとも積み重ねられた魂魄の技がなせるものなのか、その速度は音速に匹敵していた。
 椛は動かない。
 動かずに、ただ待つ。
 間合いが詰められた瞬間を。妖夢の剣が煌めく寸前を。
 狙うは、刹那の勝機。
 妖夢が斬撃を放つ直前に、右足にて跳躍する。本来ならば野太刀の間合いであったところを、跳躍で無理やり縮めて椛の剣の間合いにする。そうすれば、勝つのは椛だ。
 だが問題が一つある。左足が使えない以上、移動を行えるのは一回のみだということだ。もしも跳躍の機会を間違え、まだ距離があるうちに跳んでしまえば、もはやなすすべはない。その機会も、うかがうのは難しい。
 妖夢が振るうのは高速の一撃。振るう瞬間に跳んでも間に合わない。そのわずかに前、妖夢の間合いに入る寸前に跳ばねばならない。あの音速の歩法を相手に、間合いを測ることがどれだけ難しいか。
 チャンスは一度。しかしその一度は至難である。
 ならばと、椛はその一度の身に全神経を集中させる。
 失敗した後のことなど考えるな。
 たとえ失敗したとしても、どうするかはその時に決めればいい。
 下手に先のことに思考を向けて、その困難さに絶望しては剣が鈍る。
 ただ一撃を。それのみを思案する。
 見るのは失敗したのちの未来ではなく、今迫りくる敵だけだ。
 高速で近づく妖夢。思考速度を限界まで上げ、一秒を数万に切り刻み、その行動の一つ一つを観察する。
 目を限界まで見開いて、猛る想いを押さえつけ、椛は待つ。唯一の勝機を。
 妖夢が迫る。
 妖夢が迫る。
 妖夢が迫る。
 妖夢が――――
(――――今!)
 椛が跳んだ。
 右足で地面を蹴りつけて、いま出せる限界速度をたたき出す。
 それは迫りくる妖夢にも、無傷であったときの自分にも劣る速度。しかし今はこれで十分。
 妖夢の刀が振るわれる直前に、椛は跳躍し、その剣を――
(――――っ!?)
 もしもこの時、椛に話す余裕があったなら。
 彼女は盛大に舌打ちし、言葉の限りこの状況を罵っただろう。
 だがそれはできない。
 許されない。
 許さないのだ。紫電のように、迫る刃が。
 妖夢の一撃が、罵倒の暇など与えない。
(なんて、奴だ!)
 妖夢は、椛の行動を先読みし、椛が跳ぶと同時に無理やり停止したのだ。
 しかもそれだけではない。停止し、生み出された慣性を刀に送り、斬撃の速度をはね上げた。
 結果、妖夢の一撃よりも速く振るわれるはずだった椛の剣は、未だ頭上に持ち上げられたままだった。
 迫る刃。一応、一つだけ、動作を挟む余裕はある。
 だが、それで何ができる?
 剣を振り下ろそうと、妖夢の高速の一撃を捕え、防御することは不可能だ。
 左右への回避は回避として成立しない。盾は――
(無理、だろうな)
 あの一撃を防ぐだけの力を、盾にのせることができない。
 ならば、このまま前に進むか? 当初の予定通り、間合いを詰めれば。
 おそらく、無駄に終わるだろう。
 間合いを詰めようと、剣を振るう余裕はない。剣が切れ味を発揮する部位というものは限られていて、距離が近すぎると切断武器としては成立しない。しかし切れようと切れまいと、渾身の一撃である以上そのエネルギーは膨大だ。もろに喰らえば、戦闘続行などできるはずがない。
 だから、椛にはもう、見ることしかできない。
 迫りくる刃を。煌めく一撃を。
 高速を越えた神速を、ただ黙って見つめることしか――――
(そんなのは)
 地面を踏みしめる左足。
 骨を半ばまで断たれ、今もなお激痛にさいなまれるそれが、さらに痛む。
(負けるのは)
 心の叫びに答えるように。
(嫌だ!)
 ひときわ大きな痛みが走る。
 激痛に顔をゆがめた椛の目に、妖夢の頭が見えた。
(あ、れ?)
 気が付けば、椛は妖夢を見下ろしていた。
 あり得ない。二人の身長はそれほど違わない。妖夢を見下ろすなど椛にはできるはずがない。
(何、で)
 あり得ないことは、それだけではなかった。
 妖夢の刀が、振るわれていた。
 回避不能の必殺が、眼下にて振るわれる。
 鋭い痛みが同時に走る。だがそれは胴体からではない。
 もはや役立たずとなった、左足。
 そこから、痛みが走った。
(ああ、つまり)
 椛は。
 妖夢が刀を振るう寸前、椛は跳んだのだ。
 左右でも、前でもなく。
 上に、跳んだ。
 着地の際に使用した左足で、無意識のうちに跳び上がっていた。
 いかに神速の一撃と言えど、左右の斬撃である以上頭上への攻撃方法は皆無である。
 故に妖夢の攻撃は回避され、斬れたのは跳躍のために伸ばされた左足のみ。そして椛はこうして、妖夢を見下ろしている。
(だったら)
 脊髄反射でつかんだこの勝機。逃す理由は、ない。
「――――犬走」
 刀が交わされたことを知った妖夢が、こちらを見上げる。
 もはや、妖夢には打つ手がない。
 二の太刀いらずの必殺は、代償として直後の隙をより大きなものにした。
 防御も、回避も、妖夢にはできない。
「――――椛!」
 否。一つだけ。
 一つだけ、防御の術が妖夢には残されている。
 半霊だ。妖夢によって呼び寄せられた半霊が、妖夢と椛の間に割って入ろうと試みる。
「――――魂魄」
 だが、その直前。
 椛は、空中にて加速した。
 幻想郷のものは多くが空を飛べる。椛も例外ではない。
 椛は飛んだ。空ではなく地へと、眼下にいる妖夢へと、堕ちるように飛翔した。
「――――妖夢!」
 半霊は間に合わない。
 空中での加速を行った椛は、半霊の防御が完成するより速く、妖夢へと迫る。
 敗北に顔をゆがめる妖夢。
 もはや彼女に、打つ手はなかった。


 そして、高速の一撃は振るわれた。
 神速には至らぬ、しかし長い経験と本能が手繰り寄せた一撃必殺。
 その刃は、妖夢の右腕を切り落とした。



 勝敗は決した。
 八意永琳やその助手たる鈴仙・優曇華院・イナバらが、戦闘不能になった二人に駆け寄る中、射命丸文が静かに旗を揚げる。
「…………勝者、犬走椛」
 掲げられた白い旗が、風にたなびいた。

**********

 試合が終わった、次の日。椛は自室のベッドで横になっていた。
 椛は左足を、妖夢は右腕を斬られたが、それらはすぐに八意永琳によって縫合された。
 八意永琳曰く、斬られた足や腕は一日安静にすれば元通りになるという。妖怪の再生能力というのは強力なものだが、いくらなんでも一日は無理だ。
 流石は八意永琳、と言ったところか。
 幸い、椛は二日分の休暇をもらっている。
 だから彼女はこうして、足が治るまでの間、自室のベッドにて惰眠をむさぼっていた。
「しかし、暇だな」
 将棋仲間である河童たちは朝見舞いに来たきり、すぐに帰ってしまった。まったく薄情な奴らである。
 足が治るまでまだしばらくある。一体どうしようかと模索する。
 眠気はないので何か暇つぶしをしたいが、何をすればいいのか全く思い浮かばない。
 思い返せば、椛は今までずっと、任務か将棋か、剣の修行くらいしかしてこなかった。
 今は全て、できない状態だ。
「ほんと、暇だ」
 もう一度、嘆くようにつぶやく。
「魂魄、妖夢か」
 暇つぶしに、先の試合を思い浮かべる。
 彼女は強敵だった。未熟者と自称していたが、本人は気付いていないだけで、その剣の腕は格段に上がっているのではないか。もはや、彼女は一流の剣士だった。
「強い。本当に強かった。次も勝てるとは到底思えない」
 椛の勝利は一種の偶然だ。
 次にやり合えば、勝つのは妖夢かもしれない。
「次ぎ、か」
 次があるなら、楽しみにしたいものだが。
「そんなことより、当初の目的だろうな」
 はあ、っとため息を一つ。
 同時に、こっそりと視線を動かした。
 部屋の扉を静かに見つめる。半開きになったそこから、こちらを見るものに気付かれないように。
(まったく、無駄にこそこそしやがって)
 椛には、千里先をも見通す目が備わっている。
 森の奥だろうが扉の向こうだろうが、見通せないものはない。
 だから、扉に隠れる彼女の姿も、はっきりと見えていた。
(さて、どうしたものか)
 彼女の、射命丸文の意図が分からない椛ではない。
 付き合いは長いのだ。椛のことが心配で、見舞いに来たのだということくらい理解できる。
(まったく、ツンデレはどっちだ)
 だが、椛と射命丸が逆だったら、椛も同じように隠れ、躊躇っただろう。
 要するに、二人とも素直になれないのだ。
 馬鹿げた関係だと、心の中で一人ごちして。
「……ところで、新聞の方はどうなった?」
 助け舟を出してやろうと、そう思って声をかけた。
「うぇあ!?」
 いきなり声を掛けられ、驚いたらしい射命丸。彼女は驚いた際の勢いで、半開きの扉を開けてしまった。
 きぃっと開く扉の向こうで、うれしいような、意外なような、嫌なような、奇妙な顔の烏天狗が、硬直していた。
「新聞だよ、新聞。もとより、そのつもりで私らを戦わせたんだろ?」
「ああ、新聞ですね、新聞」
 射命丸は深呼吸をする。一度、二度、三度。
 四度目でようやく落ち着きを取り戻した射命丸は、いつものような軽薄な笑みを浮かべる。
「ええ。結構いい感じに仕上がりそうです。現代の幻想郷で流血沙汰って少ないですから、これはきっと受けますよ」
「そうかい。ならいいや」
「そう言えば、ですね」
 思い出したように、射命丸が話し出す。
「試合の感想をうかがいたいのですが」
「感想か。それは魂魄妖夢からは?」
「もう聞いてありますよ。『いい勝負だった』と。『できれば次も戦ってみたい』とも言っていましたね」
「そうか、そうか」
 相手が満足してくれたことが、何故だか嬉しい。
 剣を交わした者同士、友情にも似た何かが、生まれたのかもしれない。
「……それで、どうなんです?」
 そんなことを考える椛を見て、なぜか射命丸は不機嫌になった。
「何を怒ってるんだ、お前は」
「怒ってませんよ」
「怒っているだろ」
「怒っていません! いい加減にしないとその足叩きますよ!」
「分かった、分かったよ」
 照れ隠しで足の症状を悪化されてはかなわない。
 疲弊した表情を浮かべた椛は、話題を変えるようにつぶやく。
「試合、試合ね」
 あの真剣試合の感想。そんなものは一つだけだ。
 ひねりがないと思われるかもしれないが、ないものはない。
「私も、魂魄妖夢と同じだな」
 その表情を、ほころばせて。


「楽しかったぜ、とっても」
 満足そうに、椛は笑った。
「椛vs妖夢ってあんま見ないよな」
ということで書きました。創想話では初投稿となります。
鈴ノ風
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コメント



0.340簡易評価
3.80沙門削除
チャンバラ物は好きですねー。
剣道の経験があるので、剣戟シーンも頭の中で映像付になりました。
個人的には全て一人称だと、もっと感情移入できたかも。
ご馳走様でした。
4.無評価鈴ノ風削除
>>沙門さん

コメントありがとうございます。
剣道とかはあまりしたことがなかったのでちょっと不安があったのですが、経験者の方にも違和感のない描写ができたようで何よりです。
個人的には三人称が書きやすかったので今回は三人称になりました。何かあったら一人称のものを書くかもしれません
5.80名前が無い程度の能力削除
妖夢と椛で真剣勝負とくりゃ読まずには居られない!
堪能させていただきました。

バトルものって迫力あるように書くのは難しいんですよねー(一回ちょっとだけ書いてひどいことになった人)
そんな私が言うのもあれなんですが、もっと文章にメリハリがあると更に良かったと思います。
息もつかせぬ斬り合いの場面ならば、一文を短く、スピーディーに。
思考をめぐらせる場面であれば、一文を長く、全体を見渡す感じで。
……みたいなことをどこかで見たような気がします。受け売り失礼。そして駄文失礼しました。
6.無評価鈴ノ風削除
>>5

メリハリですか。ちょっとその辺気を付けて書くようにして見ます
ご指摘ありがとうございました
8.80奇声を発する程度の能力削除
読んでてイメージが頭の中に湧いてきました
面白かったです
9.90絶望を司る程度の能力削除
椛がすげぇ男らしくかっこ良かったです。
11.無評価鈴ノ風削除
>>奇声を発する程度の能力さん

ありがとうございます!


>>絶望を司る程度の能力さん

なんか気づいたら漢女な椛になってました