Coolier - 新生・東方創想話

東方むしむし伝2

2005/10/18 01:04:41
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 いつもの幻想郷、ここには様々な幻想の存在が息づいている、獣や虫の人間化した妖怪が多いが、これらはむしろポピュラーな存在ですらある。人里はなれたどこかの野原、例によって例のごとく、一匹の虫妖怪が出現した。

 「あーあ、最後に血をすってからもう一年も経っちまった。」

 といっても彼は吸血鬼ではない、ノミの妖怪である。ちなみに彼もどこかの幼い吸血鬼同様、致死量まで人間の血を吸うことはない。でも吸われるとたまに病気になる。要注意。

 「どうせなら、そこら辺の人間じゃなくて、なんかこう、強い力を持った妖怪や人間の奴を吸って見たいもんだな。」

 というわけで彼の吸血遍歴(?)が始まった。

STAGE1 博麗神社
 
 「早速巫女さん発見。」 「あんた何よ。」 「いただきまーす。」 「夢想封印。」 「あべし。」

 勝者 博麗霊夢。 ノックアウト所要時間1.2秒。

 「いてて、しくじっちまった。」 なけなしの妖力で体を癒すノミ妖怪。ある大樹の根元で休んでいると、飛んでくるのは蛍の妖怪。

 「あ、リグル様。」 「ひえっ? な、何だ君か。」 「どうしたんですか、蟲の王であるあなたらしくも無い。」

 「実は、ある虫の妖怪に追われていてね。かわいい子なんだけど。」

 「じゃあ、良かったじゃないですか。」 「それがね。」 リグルが説明しようとしたそのとき。

 「リグルさまぁ~、見つけましたよぅ~。さあ、諦めて私と一緒になってください。」

 赤いゴスっぽい服を着た黒髪の少女が飛んでくる。感じる妖気からやはり虫の妖怪であると分かる。整った顔立ちが知性を感じさせる。人間の基準でも美少女間違いなし。

 「憎いねリグル様、蟲の王と蟲姫さま、ベストカップルですよ、どうしてそんな・・・。」

 「だって彼女、ハリガネムシの精だよ!」 「なぬ!」 天は二物を与えずと言うが。

 「そうですよ~、種族の差なんて関係ありません。寄生して、あなたの体内で文字通り一緒になる、これほどの幸せはございませんわ。」

 「いやあ、モテる男(推定)はツライっすねえ。じゃまた。」 あとずさり、跳躍して逃げるノミ妖怪。

 「君、僕を置いていかないで。」 リグルの声が遠ざかっていく。


 STAGE2 どっかの野山

 「あのお方は蟲妖怪最強だから何とかなるだろう、彼女は俺には目もくれなかったようで何よりだ、でももし俺がカマキリの化身だったら・・・、想像したくも無いな。」

 さあ、気を取り直して次の獲物を探そう、神主か神のご加護か、早速一人の魔法使いがのこのこ来る。ゲリラのごとく草むらに身を潜め、必殺のタイミングを待つこと数十秒。とりいだしたるは注射針のような直径数ミリの鉄の管。人間形態のときはこれで血を吸うわけでござい。

 「お前の血をいただくぜ。」 飛び掛るノミ妖怪。 「嫌よ。」 魔法使いは飛んで逃げる。

 「飛べなくても、俺にはこの跳躍力があるんだぜ?」 大ジャンプで魔法使いを追いかける。

 「大ガマ召還。」 魔法使いはぽつりと言った。もちろんノミ妖怪には聞こえなかった。

 着地点ドンピシャの位置に大ガマがあんぐり口をあけて待機。あっさりノミ困れる。いや飲みこまれる。

 「バカね、弾幕だけが戦いだと思わない事ね。」 

 勝者 アリス=マーガトロイド ノックアウト所要時間30秒
 
 
 なけなしの妖力で脱出し、消化されかかった体を修復するノミ妖怪。するとまだいた魔法使い。事情を話すと、彼女いわく『ここをまっすぐ行ったところに弱い魔女の家がある。』とのこと。魔法使いに礼をいい、一路弱小魔女の家を目指す。


 STAGE3 霧雨邸

 「お嬢さん、覚悟。」 「何だお前は。」 「血を吸わせろ。」 「マジックミサイル。」 「ホゲ~。」

 勝者 霧雨魔理沙 ノックアウト所要時間0.7秒


 STAGE4 紅魔館庭園

 なけなしの妖力で(以下略)。俺も男だ、こうなったら実力のある人妖の血を吸うまで帰らないぞ、と決心するノミ妖怪。力を振り絞って妖気の満ちている場所を探す。たどり着いたのは紅魔館。見ると蛍の妖怪リグル=ナイトバグ、ハリガネムシ子、紅魔館門番の三つ巴の弾幕戦。

 「ここまで追ってこないでよ。」 「つれないこと言わないで、もし一つになってどうしても馬が合わなかったら、お尻を水につけてください、そうすればブリブリっと出て行きますから。」 「なんかリアルに嫌だ。」

 「こらー、二人とも、人の家で弾幕するな~。」

 こいつはチャンスだ。二人を追い払おうとしている門番の背後を取る。今にも吸血用の針を門番の背中に突き立てんとした刹那。急に視界が乱れ、気を失った。

 勝者 十六夜咲夜 ノックアウト所要時間不明


 STAGE5 紅魔館内部

 「お嬢様、見慣れない侵入者を捕まえました。」 「いい度胸ね、目的は何?」

 主人の質問に答えろとばかりに、片手にぶら下げたノミ妖怪を揺するのはわれらがメイド長。

 ノミ妖怪が気がつくと、目の前にいるのは幼き吸血鬼、レミリア=スカーレット。

 なけなしの(以下略)。ノミ妖怪は恐れもせずメイド長、十六夜咲夜の手を振り解き、レミリアと対峙する。
メイド長はナイフを取り出すが、レミリアは手出し無用と言って制止する。周りの空気がレミリアの気迫で重苦しくなっていくのを咲夜は感じたが。ノミ妖怪は意に介していない。

 「あんたのような強い妖怪の血を吸って強くなる事。それが目的だ。」

 「昔、ある吸血鬼退治の大家が言ってたのよ。ノミは巨大で頭のいい人間に所構わず攻撃を仕掛けてくる。これは勇気と呼べるのだろうかってね。」

 「そんな事どうだっていい。吸血妖怪の恐ろしさを教えてやる。」 「吸血妖怪の恐ろしさ、ねえ。」

 飛び掛ろうとしたノミ妖怪を、レミリアは通常弾幕を放つ事さえなく、でこピン一発で吹き飛ばしてしまう。

 「恐怖をコントロールできてこそ勇気。あんたは恐怖を知らない、だから勇気を振り絞る事も出来ない。ノミと同類よ。」

 「お嬢様、こいつはノミそのものですわ。」 咲夜が首をすくめて言う。

 勝者 レミリア=スカーレット ノックアウト所要時間0.1秒


 EXTRA STAGE 紅魔館地下室

 なけ(略)。目の前に不思議なデザインの羽を持った少女がいて・・・。

 「あなたが新しいおもちゃ?」 「えっ。」 「レーヴァテイン。」 「・・・(悲鳴をあげるまでも無く焼滅)・・・。」


 PHANTASM STAGE 白玉楼
 
 「ここはどこだ。俺は死んだのか。」 「あら、珍しいお客さんね。」 「あんたは?」 「ここの主、西行寺幽々子よ。」 

 「俺の名は・・・。」 初めて己の名を相手に名乗るノミ妖怪。かくかくしかじかと事情を話す。

 「・・・だから、せめて死ぬ前にたらふく血を吸いたかった。」
 
 「じゃあ、私の血を吸わせてあげる。」 「いいのか?」 「もちろんよ。」 

 彼女は袖をまくって、腕を彼の目の前に差し出した。

 「これでいいかしら。」 「あ、ああ、じゃあ遠慮なく。」 「幽々子様危ない。人鬼『未来永劫斬』!」

 ボォーン 

 「アバッ。」 成仏。

 哀れ、ノミ妖怪は主を襲ったと勘違いした従者によって、首をはねられてしまった。


 おまけ ちょうどそのころ

 「ううう、汚されちゃった。寄生されちゃったよう。」 「これからはずっと一緒ですよ~。」

 リグルは泣いていた。おわり。 

 いままでの創想話投稿作品の中で、最短で書き上げた品です。最後にJOJOネタを使ってしまいました。ギャグ風味に挑戦してみたのですがいかがだったでしょうか。
とらねこ
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コメント



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9.80無為削除
勇気とはッ 暗闇の荒野にッ 進むべき道を切り開く事だァーーッ!!
でも勇気だけでは吸血鬼には勝てんのですよね。
23.80どどど削除
「勇気は、無謀という意味でない」 (敢行ならok)

ん? 俺のPC“ゆうき”って打っても“勇気”に変換できない・・・orz