Coolier - 新生・東方創想話

眠る殺人兵器

2005/10/11 08:28:41
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※この話には、八雲紫さんに対して大変失礼な表現が含まれています。












「うー、今朝も冷えるなぁ。」

寒さに身を震わせながら台所に向かう。
本当はもっと寝ていたいのだが、長年培った早起きの習慣がそれを許してくれない。
従者特有の職業病ってところか。早く温かい味噌汁でも作ろう。

申し遅れた、私の名前は八雲藍。式神だ。
現在は敬愛する偉大なる指導者・八雲紫様の元で式らせて頂いている。
「その呼び方、北の将軍様みたいね。」
メイド長にそう言われた事がある。

失礼な。私の出身国はその隣だ。



その敬愛で偉大な紫様は現在冬眠中。
今月は12月だから……そうだな、あと3ヶ月は起きないだろう。

紫様が冬眠している間、私は自由を存分に謳歌する。
なにしろ、一日中橙と遊んでいても咎める者はいないのだ。
掃除や結界の見回りなんて余った時間にすればいい。
神社のチャランポラン巫女がヘマでもしない限り、そうそう結界に異変が起こることも無いだろう。
さて、今日は橙と何をして遊ぼうか。







◆◇◆







マヨヒガには部屋が二つしかありません。
だから少し歩けばすぐに橙の部屋に着きます。

「ちぇーん、朝ご飯だぞー!ご飯食べ終わったら、今日はメイドさんごっこをしよう!
 橙がご主人様で私がメイドさんだ!ほら、ちゃんと首輪も用意してあるんだ!」

橙の部屋の障子を開ける。部屋の中からほのかに漂うマタタビの香り。
ネコ科じゃないから、その良さはよく分からない。

「む、橙、いないのか?」

部屋の中に橙はいなかった。

こんな時間からいったい何処へ?
いつもならこの時間、橙は「うにゅ~」という可愛い寝息をたてて夢の中だ。
まさか、家出!?私の愛が重荷になったとでも?

……そんな訳無いか。
橙は私のことが好き。橙は私のことが好き。うん。


「あ、そうか。橙は昨日、チルノの家に泊まりにいったんだ。」

私としたことがすっかり忘れていた。
私の驚異的な記憶力にノイズを発生させるとは、全く橙のラブリーっぷりには敵わないな。
まったくしょうがない奴め。
しかし、橙もわざわざ冬にチルノの家に泊まりに行くことも無いだろうに。
風邪は引いてないだろうか、⑨に感染して無いだろうか。
私が居なくて寂しくて泣いてはいないだろうか。ああ心配だ。
まったくしょうがない奴め。






「橙はいないのか……、さてどうしたものか。」

今日やることが無くなってしまった。
結界の見回りなんて夕飯を作る前にやれば十分だ。
久しぶりにテンコーでもしようか、と考えたがなにしろこの寒さだ、
万が一、風邪でもひいたら橙と遊ぶことが出来なくなってしまう。
それに、医者に風邪をひいた原因を聞かれたらどう答える?

「下半身裸で暴れまわっていました。」

医者ドン引き。

いや、ドン引きするだけならまだいい。
恐らく言いふらすであろう。配下の兎達に緊急招集をかけて私の痴態を公表するに違いない。
そういう奴だ、八意永琳という奴は。
さらに輝夜がネット上でそれを公開でもしたら大変だ。幻想郷どころか全世界中にテンコーが知れ渡ってしまう。
それだけはなんとしても避けたい。

よし、今日はテンコーは止めておこう。










『ら、藍さまぁ……お、お胸を出してください……。』

『あ、ああ……。』

『は、はい。じゃあ……いきますよ。』

『ひゃう!』

『す、すいません藍様!痛かったですか?』

『大丈夫……大丈夫だから……続けて……。』

『わかりました……じゃあ、次はここ…どうですか?』

『橙、そ、そこは、あ、ああ、ああああぁぁあああぁーーーー!』




うむ、やっぱり『橙とお医者さんごっこ ~診察器総集編~』は何度見ても飽きないな。
何もすることが無い日はこれを見るに限る。
”びでお”なる物をスキマから出してくれた紫様に感謝。
私は良いマスターを持ったものだ。

紫様は行動力においては草花にも勝るとも劣らない不動っぷりだが、やる時はやる。
以前、月が偽物に摩り替えられた時も誰よりも早く異変に気付き、巫女を引っ張り出して
その夜の内に解決してしまった。まあ、現場で頑張っていたのは私だが。

普段寝てばかりなもの、幻想郷のパワーバランスに影響が出るのを考慮しての事だろう。
紫様程の妖怪が活発に活動してたら、他の妖怪がビビってしまうからな。
うん、そうだ。そうに決まっている。物事は前向きに考えるのが一番だ。

他にも紫様は……

紫様は……

ゆかりさまは……







ん?何か大切な事を忘れている様な気がする……。







……







「あああああああああああああああああ!」

私は急いで立ち上がり、憑依荼吉尼天で回転しながら部屋を飛び出した。
「その動き、衝撃の みたいね。」
メイド長にそう言われたことがある。誰?それ。

いかん、私としたことがまたしてもすっかり忘れていた。
何故だ、紫様が冬眠するのは毎年のことなのに、何故忘れていた!
そうだ、橙だ!橙が可愛すぎるからいけないのだ!橙が悪い!

……いや、橙は悪くない。悪いのは私だ。
紫様が冬眠を始めてもう二週間、その間……








紫様の体を洗うのをすっかり忘れていた。








マヨヒガには部屋が二つしかありません。
だからすぐに紫様の部屋に着きます。

あれ?私の部屋、橙の部屋、紫様の部屋、そして台所……
二つ以上あるじゃん。誰だ?そんなことを言ったのは。

ええい、今はそんなことはどうでもいい。
春になって目が覚めた紫様が自分の体を見たらどう思うだろうか。
服はしおしお、髪はベタベタ、そして体からはすえたような臭いが……。

私は殺される。刺されて斬られて殴られて焼かれて。
そして私だったものは亡霊嬢の食卓に並ぶのだ。なんて恐ろしい!
夜雀もこんな恐怖を味わったのだろうか。ああ、お前に同情しちゃうよ。
だがまだ間に合う、紫様はまだ起きない。今のうちに紫様の体を洗っておけば何も問題は無い。

そうこうしている内に紫様の部屋の前に着いた。
紫様を起こさぬように、少しだけ障子を開ける。

……よしよし、よく眠っている。これなら大丈夫そうだ。
部屋に入るため、もう少しだけ障子を開ける。その時






 むわ~ん






文章にするとこんな感じだろうか。紫様の部屋から妙なニオイが漂ってきた。
このニオイを例えるなら、先月買った生卵を趣味の悪い芳香剤と混ぜて……

無理だ、例えることが出来ない。私も随分長く生きているが、こんな経験初めてだ。
これが今川作品なら
「こ、これは……臭い!臭いぞおぉぉぉぉぉぉぉ!」とでも言いながら巨大化したことだろう。

つまりは臭かった。
鼻腔内に火で炙られたような痛みが走る。胃と肺がムカムカして吐き気を催す。
いかん、目が回る……神経をやられたか?体に力が入らない……意識が……。

今にも倒れそうな自分の体に鞭をうち、後方の庭に跳んだ。
満足な受身も取れず、私の体は地面に転がった。

しまった……三度忘れていた……。

紫様の靴下は、とにかく臭かったのだ!









いや、一応紫様の名誉の為に言っておくと、
このニオイは私が二週間も紫様を放置してしまったのが原因であり、
普段の紫様の靴下はぜーんぜん臭くないぞ。夏場の剣道部程度のニオイしかしない。もう慣れた。

だが、このニオイは桁外れだ、世界一臭いといわれる缶詰「シュール・ストローミング」でも
勝てるかどうか疑わしい。臭いというより刺激臭だ、目が痛い。

困った、これでは紫様の体を洗うどころか近寄ることすらできない。
私は元々狐なので人間と比べて鼻が利く。それが仇となってしまった。
これはもう私一人ではどうしようもならない。
この状況を打破できる協力者が必要だ、とにかく知り合い全員に声をかけて救援を求めるのだ!

私は冬の空に飛び出した。
早く……早くなんとかしなければ……。







   ◆◇◆







結局、私の呼びかけに答えてくれたのは霊夢、魔理沙、妖夢、慧音、妹紅の5人。
30人近くに声をかけたはずなんだけどなぁ。
皆、暇なくせに働こうとしないから困る、輝夜を莫迦にできる身分じゃないぞ。
妖夢は庭師の仕事もあるのに、よく来てくれた。本当にいい子だ。
ちなみに、捏造大好きのマスコミガラスは呼んでいない。
捏造でも真実でも、この事を紫様に知られるわけにはいかないのだ。

私達はマヨヒガの庭に移動した。紫様の部屋は庭に面しているので
ここからなら部屋の様子がよく見える。ニオイも庭までは届かない。

「……というわけで、お前達に紫様の靴下をなんとかして貰いたい。
 うまくいった者にはマヨヒガの日常品と金一封を贈呈する。」

おおっ と声が上がる。こういうのはケチってはいけない。
用途不明金が帳簿に書かれてしまうが、暴走メルランに窓を割られたことにでもしとけばいいだろう。





「よし、では私からいくぞ。」

そう言って前に出てきたのは慧音。相変わらず絶妙なバランスで帽子を被っている。
呼んどいてなんだが、人間の里は大丈夫なのだろうか。

「慧音ー頑張ってー!愛してるわー!」

後ろで妹紅が応援している。
ははーん、お前らこの金一封を結婚資金の足しにするつもりだな。憎いねコノヤロウ!
二千円しか入れてないが、もっと入れたほうが良かっただろうか?

「あの靴下の歴史を……食う!!」

慧音の『歴史を食べる程度の能力』が発動された。
都合の悪いことは全部「なかったこと」にできるので
浮気が見つかった夫や、夫に多額の保険金をかけているのを発見された妻に大好評だと聞く。
いいのか、それで。

「今夜は靴下の歴史で満漢全席だ!」

そんな夜は嫌だ。

「見て下さい、靴下が消えていきます!」

妖夢が叫んだ。
おおぅ、確かに紫様の靴下の影がだんだんと薄くなっていく。
初っ端からかなり期待できる、すごいぞ慧音。

「……うっ。」 
ばたん

突然、慧音が倒れた。
そして次の瞬間、靴下は元の姿に戻ってしまった。

「ど、どうしたの慧音!大丈夫!?」

妹紅が心配そうに駆け寄る。
慧音の顔色は蒼白だ、白目も剥いている。
口からは泡をふき、手足は痙攣している。
医学の心得が無い者が見ても危険な状態だとわかる。

「どうした、何が起こった!」
「やっぱりな……。」
「……魔理沙?」

魔理沙が何か知っているような素振りを見せる。
慧音が倒れた原因がわかるのか?わかるなら何故、今になって言うんだ。
もったいぶった喋り方はあまり感心しないぞ。

「何か知っているんですか?」
「考えてもみろ、慧音の能力は「歴史を食べる」能力……。」
「それがどうかしたの?」
「臭くて私達が近寄ることすらできない靴下の歴史を、慧音は「食べた」んだぜ。」
「あ……。」

なんと!食べる能力って比喩表現じゃなくて本当に食べていたのか!
あの禍々しい臭気を放つ靴下を口に……うう、考えただけで気分が……
なんでも口に入れちゃいけません。母親が幼い我が子に必ず言う言葉。
今思えば、この事への警鐘だったのかもしれない。違うかもしれないが。

倒れた慧音はピクリとも動かない。

「けいねぇ、死んじゃヤダぁ。目を開けてよぉ。」

妹紅が必死になって心臓マッサージを施す。と見せかけて乳を揉む。
この女、しっかりしてやがるな。

「はぁ……はぁ……死ぬかと思った……。」
「慧音!生きていたのね!」

慧音は無事だった。

「ああ、大丈夫だ。妹紅を残して死ぬことはできないからな。」
「……もう、ばかぁ……ぐすっ。」
「愛してるよ、妹紅……。」
「けいね……。」

……うぜえ。
他人のラブラブというのは、どうしてこう不快極まるのだろうか
つーか失敗したんだからとっとと引っ込んでくれ。

「まだ、気分が優れない。永遠亭で薬を貰ってくるよ。」
「うん、いってらっしゃーい。チュッ!」

あーはいはい、せいぜいお大事に。
永琳に改造されちまえ。







  ◆◇◆







「慧音の敵は私がとる!」

妹紅は燃えていた。萌えてもいた。慧音に。

「何か策はあるのか?」
「大丈夫!私と慧音の愛はなによりも強いのよ!」

こいつ、こんなキャラだったか?

「行くわよ!それっ!」

妹紅が部屋に飛び込む、無謀だ。勇気と無謀を取り違えている。
別に奴の心配はしていない。不老不死だし。
靴下ガスが火の鳥に引火しないか、それだけが気掛かりだ。

「げほっげほっ、凄いにおい……う、うう……息が……で き な い。く、苦しい……」

ニオイ対策もせずに突撃したんだから当然だ、まさに無為無策の冥罰。
妹紅の生命の波動が、どんどん弱まっていくのを感じた。

「おい、あのままだと窒息死するぜ。」
「別にいいんじゃない?生き返るし。」
「それもそうだな。」

黒白と紅白が残酷なことをさらりと言ってのける。流石だ。
そして、ついに妹紅の波動が感じ取れなくなってしまった。
紫様の靴下が殺人を犯した記念すべき瞬間だ。ニオイと言うよりもはや毒ガスの領域ではないだろうか。



……しばらく待つ。



「とぅりゃあ!ふっかぁーーーつ!!」

部屋から紅い光が漏れる。不死鳥の再誕だ。

「ぐっ、い、息が……。」

復活した瞬間に生命の危機に晒される妹紅。

「あ、また死ぬわ。」
「ああ、また死ぬな。」
「死にますね。」

全員こんな展開になると予想していたのか、リアクションは薄い。
私達は呑気に妹紅の死亡遊戯を見物する。
4人とも自分の命が惜しいので当然助けようとしない。

「ふっかぁーつ!う、息が……また死ぬ……。」

「また死んだわ。」
「大変だな、妹紅も。」
「アウターゾーンみたいですね。」

「ふっかーぐはぁ……死ぬぅ。」

いい加減飽きたので、次の作戦を練ることにした。







  ◆◇◆







生と死の境界を30秒刻みで往復する妹紅を横目に、私達は次の作戦を考えていた。
しかし、出される案はマスタースパークで紫様ごと靴下を焼き払うだの、
博麗弾幕結界で紫様ごと靴下を封印するだの、ろくでもない作戦ばかりだ。

お前達、紫様に恨みでもあるのか!
そう言おうと思ったが止めた。多分恨みあるだろうし。



「あの~。」

妖夢が控えめなアクションで手を挙げる。

「私の半幽霊を使ったらどうでしょう。」

妖夢の半幽霊、つまり妖夢の周りにふよふよ浮いてる白いアレ。
いや、白いアレも妖夢なのだから”妖夢の周り”という表現はおかしい。

「半幽霊なら、紫様の部屋に普通に入れると思うんです。」

妖夢曰く、通常の幽霊は人間と同じく五感全てを備えているが、
半人半霊の場合は鼻が人間側に付いているので、幽霊側がニオイを感じることは無いのだそうだ。
だから、半幽霊単体ならどれだけ強烈なニオイでも大丈夫。との事だった。

「大丈夫なのか、ニオイを感じないからといって体に異変が出ないとも限らないぞ。」
「平気です。それもまた修行ですから。では、行きます!」

妖夢はそう言うと、半幽霊を紫様の部屋の中に飛ばした。
中ではまだ妹紅が暴れているようだ。

「臭気に汚染されて半幽霊が変な色になったりして。」
「え……そんな……。」
「こら!霊夢!妖夢を脅かすな!」
「冗談、冗談。」

この紅白はいったい何をしに来たんだ。
さっきから全く役に立ってないぞ。




……





「紫様の上に到着しました。今から作戦を開始します。」
寝ている他人の靴下を脱がすなんて初めての経験なのだろう。
妖夢はやや緊張した面持ちだ。

よく見ると妖夢は額に大粒の汗を浮かべている。
嗅覚が無くても靴下ガスは確実に妖夢の体を蝕んでいるようだ。 
早く済ませないと犠牲者が三人に増えてしまう。急げ、妖夢。






「藍!何をやってるの!」


突然、寝ているはずの紫様が叫んだ。
 

「ひえぇ!!」
「あ、あの、その、こ、これはですね、えーと……。」
「濡れてないと入れるとき痛いわよぉ、むにゃむにゃ……。」






……ただの寝言か。

それにしても、いったい夢の中で私は何をされているんだ。
紫様は私にそんなことをさせたいと思っているのだろうか?
ああ、赤面するじゃないか。でも私には橙という大事な……

「藍さん、コンタクトレンズしてるんですか?」

妖夢は首をかしげて私に質問してきた。コンタクトレンズ?



……ああ、そういう事か。うんコンタクトだよ。
嫌だねえ、穢れた大人はすぐ物事をそっち方面に考えてしまう。

後ろで霊夢と魔理沙がニヤニヤしていた。
チッ、穢れたガキ共め。






「紫様の布団を剥がします。」
「くれぐれも起こさないように頼む、紫様が起きたら私の命は無いんだ。」

半幽霊が紫様の足にかかった布団を剥がす。
中から白く透き通った肌の二本の美脚が現れた。美脚?
まあ、ギリギリ美脚に分類されるだろう。少したるんでいるが。





「靴下を脱がします。」
「……。」
「……。」

紫様の美脚(ギリギリ)を半幽霊が包み込む。
半幽霊に凹凸が無いためか、なかなか靴下に引っかからない。
なんとかして脱がそうと何度も何度も半幽霊を上下させる。
なかなかエロい動きだ、”びでお”を持ってくれば良かった。







「脱がしました!」
「よし、妖夢!窓から放り投げろ!」
「はい!」

半幽霊が靴下を空高く放り投げる。

「いくぜぇ!恋符 マスタースパァァァーーーーク!!!」



ズドオォォォォォォォォォォォォォン














魔砲は靴下の中心を捉えた。靴下は炭となって冬の空に散っていった。
いくつもの命(全て妹紅)を奪った邪悪な存在は滅びたのである。

「終わった……の……?」
「ああ、終わった。」
「勝った、私達は勝ったのよ!」

私以外の3人娘が喜びの声を上げる。そういえば結局、霊夢は何もしなかったな。
よし、あとは私が紫様を浴室に運んで体を洗えば全て終了だ。
部屋の真ん中で痙攣している妹紅を踏ん付け、紫様の元へ向かう。

臭いのは靴下だけで紫様本人は殆ど臭わない。
本当にスキマ妖怪とは不思議な種族だ。

「妖夢、魔理沙、世話になったな。居間にある物から1つだけ好きなものを持っていくといい。
 金一封は紫様を洗ったあとに届けておく。」
「ちょっとー、私はー?」
「お前は何もしていないだろうが!」
「えー、私にも何か頂戴よー。」
「ったく、仕方が無いな。ほら、洗濯済みの紫様の靴下だ。受け取れ。」
「え?ちょっと!うわ、夏場の野球部のグローブみたいなニオイがする~。」













かくして、靴下騒動は終わりを告げた。
春が来れば紫様は何事も無かったかのように目覚めるだろう。
その時は、いつもと同じ笑顔で「おはようございます。」と言えばいい。

あと100年ぐらいしたら、今日の出来事を紫様に話してみようか
紫様はどんな顔をするだろう、怒るだろうか、笑うだろうか。

……やめておこう。『二週間も自分を放置した式を許す紫様』なんて想像できない。
この事は私の胸の内にしまって三途の川まで持っていくことにする。
平穏であることに越したことは無い。


さてと、夕方になれば橙が帰ってくるだろう。
それまでに紫様の入浴を済ませて夕飯の仕度をしなければな。
どうせチルノの家なんて、ろくな食べ物も無かっただろうし、
急ごう、今夜はご馳走だ!



























その日の夜

白玉楼  妖夢の部屋


「……以上が本日の記録である。と。」
「あら妖夢、まだ起きてたの?」
「あ、幽々子様。今から眠るところです。」
「ふーん、夜更かしは体に悪いわよ。あら?妖夢、そのノートは何?」
「ああ、これですか。これは紫様が冬眠される前に私に預けてくれたものです。
 『もし、自分の式神が何か変な行動をとったらそれを記録しておくように。』と言われまして。」
「へぇ、紫も相変わらず厳しいわねぇ。妖夢、少しぐらい嘘を書いて藍を助けてあげたら?」
「いえ、その、私、嘘をつくのが下手で……。それに紫様相手に嘘をつき通せるとも思えませんし。」
「うふふ、そうね、妖夢に嘘は無理ね。それじゃあ、おやすみ妖夢。」
「おやすみなさい、幽々子様。」


地獄は春にやってくることを、藍はまだ知らない。

はじめまして。 ら という者です。

これが私の初SSになります。
誤字・脱字・文法の間違い・読み辛い・言葉の意味を間違えている
公式設定と食い違っている・キャラの性格がおかしい
そもそもネタ自体がつm(ry

などがありましたら、是非指摘してください。
簡易評価

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コメント



0.8240簡易評価
5.30名前が無い程度の能力削除
突っ込みどころは満載だが、あえて突っ込まない
それが、穢れた大人と言うものだ。

7.60おやつ削除
藍様……まさか妖夢に売られるなんて思わなかったろうなぁ。
普通に面白かったです。
何もしない霊夢が妙に可愛かった。
9.100茄無氏削除
勢いがあってギャグが冴えるSSでした

…真夜中に大笑いしちゃって近所迷惑になったんですg
15.100nanasi削除
…最後の所を読んだ瞬間こんなシーンが出てきました
藍「妖夢、謀ったな妖夢!!」
妖夢「藍様、恨むのでしたら…彼方の主を恨んでください」
藍「…ジーク・テンコー!!!」(隙間に取り込まれる)
とにかく笑わせていただきました。
19.80七死削除
最初の一行目のあまりにも素直すぎることわり書きから吹いたw
全然信用されてない藍様かわいいよ!!!1!!!逃げて!!!1!
21.70床間たろひ削除
これは素晴らしくイカした幻想郷ですね。
藍様のキャラがサイコーにイカれてる!
あ、誤字った……ま、いっか♪
27.100ムク削除
初書きとは思えないテンポの取れた文章だと思います。何より前後にギャグを忘れない、オチあり、と、非常に読める内容でした。次回作でもっと笑わせてください!
30.100CCCC削除
>下半身裸で暴れまわっていました。
吹いたw もう序盤の藍様の奇行だけでもがっちりツボりましたよ。
まあ、春の地獄は自業自得と言う事でw GJ!
31.100名前が無い程度の能力削除
>「今夜は靴下の歴史で満漢全席だ!」
おまいは、俺を笑い殺す気かと小一時間(ry
32.100大根大蛇削除
>橙がご主人様で私がメイドさんだ!ほら、ちゃんと首輪も用意してあるんだ!
近年稀に見る駄目狐に完敗! ゆかりんよりむしろ、藍さまに対して失礼ッポイ作品(誉め言葉
これで初SSとは、恐るべし、正に恐るべしッ! 今後も楽しみにさせていただきます。
33.90無名剣削除
>夏場の剣道部程度のニオイ
其れはまさしく死の臭ひですよ藍さん? まぁ冬場も地獄ですけど(泣
藍さんは本当に変態ですね!(褒め言葉)
38.90名前が無い程度の能力削除
>その動き、衝撃の みたいね
メイド長は衝撃のアルベルトを知っているのか・・・
>アウターゾーンみたいですね
あ~確かにあったなぁ、時を操る時計が壊れて、永遠に車に轢かれ続ける男の話

にしても、救いの無い変態駄狐と化してますなぁこの式は・・・・・・
いや、それが面白かったんですけれどもw
とりあえず、お狐様とは春にスティジャンの川原でお会いできそうですね
39.100SETH削除
前書きの避難勧告で充分噴いたw
41.60あさか削除
まさか…まさか剣道の篭手並の匂いだと言うのか……!!!
42.90名前が無い程度の能力削除
春の藍様ディナーは紫様特製の両手一杯の生タマネギですね(ぇ
50.40ななな削除
>※この話には、八雲紫さんに対して大変失礼な表現が含まれています。

ギブアップ
52.90(ry削除
(;゚・ン)剤鍬悒ゥ
55.60aki削除
藍への罰は
『二週間、紫の履き古した靴下にくるまれて過ごす』
ということで。
逝ってらっしゃい藍様。
それこそ彼岸の彼方まで。
60.90名前が無い程度の能力削除
ギャグもオチも質が高くて満足でした
64.90名前が無い程度の能力削除
新鮮な妹紅と慧音のキャラに心ときめきました
初投稿からこれとは、末恐ろしいナリ
67.無評価K-999削除
>その敬愛で偉大な紫様は現在冬眠中。
 ・・・敬愛の使用法を間違えているような・・・?
74.100名前が無い程度の能力削除
失礼だなぁ、チミはっ。HAHAHA!
77.70名前が無い程度の能力削除
乙女全開?な妹紅に萌えました。
さらって俺の嫁n(鳳翼天翔
91.70蒼月削除
なるほど。つまり藍さまは素手で使徒に勝てると(違
94.70名前が無い程度の能力削除
冒頭の注釈に吹いた
106.70コイクチ削除
もこたん。ハアハア・・
115.80メビウス削除
マスタースパークで炭になっても臭ってそうw
炭の近くにはどこぞの夜雀や虫や暗闇妖怪の死体が!!
不用意に近づいた末路。アーメンw
120.90名前が無い程度の能力削除
これは最高のテンコーですね。いただきます。
143.100名前が無い程度の能力削除
色々言いたい事は有るけれど、キリが無いのでこの一言。
最高でしたw
144.100名前が無い程度の能力削除
失礼すぐるwww
藍に合掌。
154.80名前が無い程度の能力削除
これが初……ですと? なんということだ。
ところでメイドさんに首輪が必要ってあたりで、一瞬何の違和感もなく読み進めてしまった自分はどうしたものか。
159.100名前が無い程度の能力削除
妹紅が生死をさまよってるところで盛大に笑ったwww
165.100想月削除
藍様にはしょっぱなから笑わせて頂きましたwww。
藍様にとっての時間つぶしは橙と遊ぶか、スッパするしかないんですかw。
そんなことでは橙が壊れてそんな癖が遺伝してしまったらどうするんですか!
172.100名前が無い程度の能力削除
>橙がご主人様で私がメイドさんだ!ほら、ちゃんと首輪も用意してあるんだ!
歪んでやがる…!この狐っ……!

橙の将来が(情操教育の面で)すごく心配です。
214.100名前が無い程度の能力削除
いろんな意味で危ない件について。