Coolier - 新生・東方創想話

寝苦しい夜に瞼を瞑ると映るもの

2014/08/17 02:11:58
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 ひれ伏せ渚にて
   鈴仙・優曇華院・イナバ

 瞼を開けると輝夜様のお顔が視界一杯に大きく映った。どうやら私は輝夜様に膝枕をされている様で、輝夜様が私の事を上から覗きこんでいた。輝夜様のお顔は美しい形をしていて、あまりの美しさに息を忘れてしまう程だった。
 ふと額に痒みが走った。手で擦ると酷く汗ばんでいて掌がべったりと濡れた。体中に汗をかいていた。服が体に張り付いて心地悪い。だが嫌な気分になる度に、覗きこむ輝夜様の美しさに気をとられて、悪い気持ちは霧散してしまう。
 何か怖い夢でも見たのと輝夜様が呟いた。鈴の音が鳴る様な美しい声だから、いつまでも聞き惚れて居たかった。しばらく経ってから、その呟きが私に向けられたものだと気が付いて、今しがた見た夢を思い出そうとしたけれど思い出せない。懐かしい人の声を聞いた気がする。そしてその人を追いかけた気がする。気がするだけ。はっきりとは覚えていない。
 私が夢の事は覚えていないと言うと、輝夜様はにっこりと笑って、じゃあ苦しそうな顔をしているのは蒸し暑いからかしらと言って、持っていた文庫本で私の事を扇いでくださった。恐縮して立ち上がろうとしたが、輝夜様に押さえつけられた。起き上がれなくなったので、私は輝夜様の足に頭を載せ、心地良い風に身を委ねるしかなかった。輝夜様の送ってくださる風は汗ばんだ体に冷たく大変気持ちが良い。しかし下賎な兎である私が輝夜様にそんな事をさせてしまっている事は申し訳無いし、師匠に見られたらきっと怒られてしまうだろうしで、気持ち良く感じる体と反対に心は気が気でなかった。
 誰かがこちらを見ていやしないかと廊下側に耳を澄ませた。本当は頭を横倒して直接廊下の方を見たかったのだが、頭を輝夜様の足の上に乗せている為、下手に動いては輝夜様に痛い思いをさせてしまうかもしれない。そう考えると、体を動かす事が出来なかった。だから耳だけを澄ませた。
 辺りは森閑と静まり返っていた。誰も近くに居る様子は無い。話し声も聞こえないし、行き来する足音も聞こえない。
 安心したのは束の間で、ふとおかしな事に気が付いた。辺りは本当に無音だった。兎達の声どころか、外には風一つ吹いていない様だった。この部屋にだけ輝夜様の扇ぐ風が吹いている。今はその音しか聞こえない。異常な程、音が無い。外の世界が無くなってしまった様だった。
 私の頭上には輝夜様の笑顔が見える。団扇にされている文庫本は『冥途』と書かれている。それを持つ輝夜様の手に汗の玉が浮いている。私の足先には箪笥があって、左手には薄暗い影で染まった襖、右手には光を透かす障子がある。私の周りには確かに部屋が存在している。それは分かる。だが更にその先を見ようと幾ら目を動かしても、見える範囲には限界があって、外を見る事が出来無い。そして音も聞こえてこない。
 今、この部屋の外はどうなっているんだろう。本当に部屋の外に世界はあるのだろうか。
 馬鹿げた不安だと分かっているが、どうしても気にかかって仕方が無かった。
 恐る恐る輝夜様に私が思い描いた不安を漏らしてみると、輝夜様はそれを聞いて笑った。みんな出掛けているから外の音は聞こえないのだと大きな声で笑った。だから何も気にする必要は無いのだと。
 輝夜様の言う事はもっともだと思う一方、何故か心の底に得体の知れない不安が沈殿していた。その不安に急かされて私は聞いた。
 皆は何処に行ったのですか。
 輝夜様は答えた。
 何も気にする必要は無いのよ。
 外はどうなっていますか。
 何も気にする必要は無いのよ。
 私はどれ位寝ていましたか。
 何も気にする必要は無いのよ。
 今日はいつですか。
 何も気にする必要は無いのよ。
 輝夜様の美しい声を聞いている内に、いつの間にか目を閉じていた。
 真っ暗な中で心の不安が益益大きくなっていく。
 何か恐ろしい事が起きている気がする。
 外の世界の事が気になって仕方ない。
 だが嫌な予感が膨らみ過ぎて、最早外がどうなっているのか確認する事が恐ろしく、目を開ける事すら出来無くなった。
 外の世界が滅茶苦茶に瓦解しているんじゃないだろうか。
 その予感が恐怖となって際限無く私の心の底に溜まっていく。
 一方で、輝夜様に膝枕をしてもらい、文庫本で仰いでもらっている平和な状況が、私の不安を鼻で笑っている。こんなにも幸せな時間を過ごしているのに、何を恐れる必要がある。世界が破滅していたら、輝夜様だってこんなに落ち着いている筈が無い。私の不安は馬鹿げた妄想だ。
 暑かった。
 きっと夏の暑さが私を狂わそうとしているのだ。
 異常な熱気が私の身を焦がしている。
 それが私を焦燥へと追い立てる。
 私ばかり扇がれていて輝夜様は暑くないんだろうかと気になった。
 暑い訳が無いとすぐに答えが出た。
 何故なら輝夜様は蓬莱人であるのだから、こんな暑さなんて事無い筈だ。
 そんな事を考えると、待てよと私の思考が警鐘を鳴らし始めた。
 輝夜様が蓬莱人である事と、今の状況が不意に結びついて、私の中に今まで以上の不安が舞い込んできた。
 輝夜様。
 何かしら。
 輝夜様は永遠不滅であり、外の世界がどうなろうと涼し気な笑顔を浮かべる事だろう。 では単なる月兎はどうなるのだろう。
 輝夜様。
 何かしら。
 私はどんな姿をしていますか。
 目を開けると輝夜様の美しいお顔が視界一杯に広がった。
 輝夜様はにっこりと微笑んだまま、何も気にする必要は無いのよと言った。


 私の天子様が可愛過ぎて生きるのが辛い
   永江衣玖

 瞼を開けると病人用のベッドに横たわっていた。傍には天子様が居て、泣きそうな顔で私の手を握っているので、可愛過ぎて鼻血が出て再び意識が暗転した。
 しばらくして目を覚ますと、医者から病気の説明をされた。詰まるところ、天子様を愛するあまり脳に変調をきたして、発作が起こる様になってしまったらしい。軟弱な脳めと自分の脳みそながら情けなく思い、傍に置いてあった私の脳を叩いた。さっき鼻血を出した鼻も同罪であるから叩いた。脳と鼻は泣いて謝っていたが、幾ら謝られても苛立ちしか覚えなかった。私の体が天子様を愛する事に対して不都合を持つ事等あってはならない。病気になるだなんていっそ邪魔になるなら破壊してしまおうかと思ったが、病気の治し方を聞いて考えを改めた。
 治すにはパンツが必要だと医者が言う。
 それは総領娘様の物かと聞くと、医者が頷いた。
 私は思わず脳を抱きしめて頬摺りした。私の体中がばらばになって喜びの踊りを踊った。
 しばらくして天子様がやって来た。パンツを提供する事は納得尽くとの事だった。
 嫌ならやめても良いと、私が心にも無い殊勝な事を言うと、天子様は泣きながら頭を振って衣玖を失いたくないと言って下さった。思わず鼻血が出そうになったが、私の鼻は堪えてくれた。我慢が出来たので撫でて上げた。
 いよいよ手術が始まり、天子様がパンツを脱ぐ事になった。天子様は恥ずかしいから見られたくないと言ったが、私は天子様の苦しみを共有したいからと言って、天子様のお傍に居る事を頑として譲らなかった。もしも恥ずかしいのなら私もパンツを脱ぐと言ってみたが、天子様は衣玖にまで恥ずかしい目に合わせられないと、一人で脱ぐ決心をつけたらしかった。
 私がじっと見つめる前で、天子様は恥ずかしそうにお顔を赤らめて、スカートをずり上げた。私がまじまじと顔を近付ける前で、天子様はお顔を俯けて、パンツに手を掛けた。
 その瞬間、脳と鼻に鋭い痛みが走り、辺りが真っ赤になったかと思うと、息が苦しくなって、視界が暗転した。


 眩暈症
   蓬莱山輝夜

 瞼を開けると私は居間で一人ぽつねんと座っていた。
 何故か夢を見ていると分かった。明晰夢というのを聞いた事がある。長い生の中で初めての事だったので奇妙な高揚を覚えた。
 理由は何となく分かっている。今日の朝、鈴仙が泣きながら怖い夢を見たと言っていたからその影響を受けたのだろう。鈴仙は世界が滅んで私と二人だけになってしまったと恐ろしげに言っていた。私の夢もそれに影響を受けたらしい。見える範囲に兎の姿は無いし、耳を済ませても何も聞こえない。どうやら屋敷には私一人だけ。きっと世界は滅んでしまったのだろう。
 世界が滅んで皆が消えてしまったのだとしても、私が生きているのであれば他に永琳と妹紅は生きている筈だ。まずはその二人を探そうと考えた。
 早速縁側に出てみたが嫌に暑い。肌どころか骨の髄まで焼き尽くしす様な日差しが天上から降り注いでいた。その瞬間、億劫になった。進んで地獄に足を踏み入れる必要は無い。外へ行くのはもう少し涼しくなってからにしようと諦め、まずは永遠亭の中を探す事にした。永遠亭の中は静寂で静まり返っているが、だからと言って誰も居ないとは限らない。夏の暑さに負けた永琳や妹紅やイナバ達がそこらで寝転がっているかもしれない。居間や客室を探し、台所から大広間を抜けて、お風呂場に行くと案の定鈴仙が居た。
 喜びに溢れて、浴室の中で縛られ簡易な椅子に座らされた鈴仙に抱きつくと、既に干からびていた。名前を呼んでみたが反応する事は無かった。
 鈴仙は壊れてしまった。あんなに大切にしていたのに。ずっと一緒に居てくれると笑っていた鈴仙が壊れてしまった。急に世界が滅んでしまったという事が実感を伴って私の心を遅い、極端な悲しみが湧いてきた。鈴仙だけでなく他の者達も同じ様に壊れてしまったのだろう。世界は滅んでしまったのだからもう誰も生きていない。なのに私だけが未だに動いている。理不尽に思えた。どうして誰も動いていない中、私だけが動いていなくちゃいけないのか。蒸し暑さが更に酷さを増して動く事すら面倒なのに。粘りつく様な熱気が私の鼻と口に纏わり付く。何もかもが嫌になった。
 鈴仙に抱きついて項垂れている内に、鈴仙の目を思い出した。鈴仙の目は人を狂わせる。狂ってしまえば、この誰も居ない世界で苦しむ必要は無い。狂ってしまえば皆と同じになれる。
 自分の名案に飛びついて、早速屈みこんで鈴仙の目を覗き込み、絶望する。干からびた鈴仙は乾燥のあまり目を失っていた。
 思わず笑いがこぼれた。何だか分からないが楽しくなった。何に笑っているのか自分でも分からないまま、自室に戻って琴を引っ張りだした。かつて演奏していた琴と細部は違えど似た形をしている。遥か昔に演奏したきりで上手に奏でる事は出来ないが、音を鳴らすだけなら今でも出来る。
 自分が外に出て永琳や妹紅を探せないのならば、琴を鳴らして向こうに気が付いてもらえば良い。辺りはあまりにも静かなのだから、きっと竹林中に音は届いてくれる。私は早速春の海を弾いた。琴のみでただでさえ不完全な春の海なのに、私のたどたどしい演奏の所為で、それは聞くに耐えないものになった。それでも音が届けば用足りるのだからと弾き続けている内に、ふと先程読んだ本の内容を思い出した。春の海の作曲者は盲目であった為、死神に手を引かれて夜行列車から転落死したのだという。
 途端私の頭に、ある光景が映った。目の見えない永琳と妹紅が黒いローブに覆われた死神に手を引かれて竹林を抜け、私の事等振り返りもせず何処か見知らぬ場所へと歩いて行く。
 最早二人はこの竹林に居ない。
 この竹林には私一人しか居ない。
 これから先、誰かに出会う事は無い。
 能く能く考えてみれば、竹林はあまりにも静か過ぎる。
 私の想像はきっと正しい。
 それでも私は琴を弾き続けた。手を止める事が出来なかった。
 弾くのを止めれば蒸した暑さに呑み込まれてしまいそうだった。


 私達の傍に居て
   東風谷早苗

 目を開けると私は宇宙空間に浮いていた。寝ぼけた頭が、UFOの寝台に居ると思い出すのに時間を要した。
 遂に守矢神社が宇宙進出を果たしたのだ。長年のロビー活動で、日本から北米を経て南北アメリカ、欧州から中央アジアを抜けて、アジア全土から更にアフリカまで、当然東アジアやオセアニア、各地の諸島まで、ありとあらゆる地に信仰を敷き、妖怪の山で全世界思想統一宣言を行った時には、人生の絶頂期だと思った。それから三十年経て、まさか宇宙にまで進出するとは思っても居なかった。
 今乗っている宇宙船には様様な星の人が乗っていて、何処かの星を目的地に航行している。私は船内で地道に布教活動を進めているが、あまり芳しくない。そもそも言葉が地球のそれと別物なので意思の疎通だけでも一苦労だ。何とかここに居る多種多様な人人の心を掴み、私達の信仰を広めたいのだが。
 その時、突然地面が揺れて、私は横壁にぶつかって意識を失いかけた。近くに居た宇宙人達が助け起こしてくれたが、宇宙人達もどうすれば良いのか分からず、その場で途方に暮れてしまった。再び地面が揺れ私達は地面に投げ出された。
 そこへ船長らしき人がやって来て、事態が緊急である事を告げた。どうやら悪い宇宙人が宇宙船に攻撃を仕掛けてきて、機関部がやられてしまったらしい。もうみんな助からないと言う。それを聞いた宇宙人達はみんなさめざめと泣き始めた。
 そんな中、地球教の偉大なる巫女である風祝の私だけは諦めていなかった。
 急いで宇宙服を来て船外に出て、宇宙船の上に立つと、悪い宇宙人達の乗る巨大な宇宙戦艦に向かって、ラブアンドピースを訴えた。
 だが残念ながら言語の壁で言葉が通じず、私の言葉は彼等の良心に届かなかった。
 私が必死で体全体で愛を表し続けるのも虚しく、敵の戦艦から波動砲が打ち込まれた。
 私が絶望しかけた瞬間、神奈子様と諏訪子様の声が聞こえた。諦めてはいけない、どんな強大な存在でも必ず弱点が存在し、そこを突けば必ず入信させる事が出来る、今までずっとそうしてきたじゃないか、と。
 二人の言葉で勇気を取り戻した私は、真の風祝に覚醒し、今まで集めた信仰パワーを掌から放出した。それは波動砲を掻き消し、粒子となって敵の戦艦に入り込み、IBM製のコンピュータをクラックして、システムを完全にダウンさせた。そうしてこちらの宇宙船の機関部を治し、みんな私に感謝して、敵の宇宙人も改心して、みんな守矢神社の信者となった。それから百年程して、私達は宇宙教に認定された。


 你在, 所以我在.
   紅美鈴

 瞼を開けると私は守衛室のソファで眠っていた。身を起こすと全身から汗が流れ落ちた。窓を開けていなかった所為で、守衛室の温度は人を殺せる位に上がっていた。
 紅魔館は冷房が行き渡りきっとみんな涼しい思いをしているだろうが、この守衛室にそんな物は無い。頼めばつけてくれるだろうが、頼んだ事は無い。何か理由がある訳では無い。ただ単に勿体無い気がするだけだ。暑さで死ぬ訳でも無いのだから、無くたって構わない。
 窓を開けると涼しい風が舞い込んできた。
 私は椅子に座り机に突っ伏して外を眺めた。机の冷たさが心地良い。吹き抜ける風もまた冷たい。机にへばりついていると、汗が流れ机が湿っていくそれが面白い。こうして暑さに茹だってぼんやりとしているのは嫌いでない。きっと誰もが暑さの前では動く事が嫌になる。自分もまた他の者達と何も変わらない事が実感できる。それは悪い気分ではない。
 ラジオを付けると外の世界のニュースが聞こえてくる。
 高気圧。快晴。真夏日。異常気象。地球温暖化。フェーン現象。ヒートアイランド。冷房の温度は二十八度に設定しましょう。
 外を眺めていても誰も来ない。今日は来客が無い日らしい。眠っている間に通った者も居たかもしれないが、少なくとも私が起きている間に来たのは、主人と同じ夢を見られたと幸せそうに気味の悪い夢を語っていた薬売りの兎だけだ。それも紅魔館に入る姿を見ただけで、帰る姿はまだ見ていない。行ったっきり戻ってこない者は客ではない。外へ出て初めて本当の客になる。勿論、客にならない者は殆ど居ないから、あの兎もすぐに客となるのだろうが。私がメイドをしていたロンドンの頃は、お嬢様に内緒で多くの者を客にしなかった。そして誰もそれを気にしなかった。幻想郷では誰もが客になる。時代も場所も人も心も違うのだから、そういうものだ。
 お尻のお肉は柔らかくて甘みがある。四肢をもいで便所の中に。教室に入るなり銃を乱射。首を切って校門に。目隠しをして座らされた両親を前にしてその子供に銃を持たせ。ばらばらに切り裂いて骨までミキサーにかけて池に撒く。膣にショットガンを入れて引き金を引き。全身に幾何学模様の刺青をして川神に捧げ。祭壇の上で心臓を取り出し。ペニスを一寸ずつ刻んで。車の中に赤ん坊を置いておく。
 今日はまだ客は一人も来ていない。きっと誰も来ない日なのだろう。ラジオを聞いていてもニュースしかやっていないので、私は出掛ける事にした。どうせ客の来ない日であるなら居ても仕方が無い。暑さに茹だるのは嫌いでないが、だからといって一日机にへばりついていれば心が荒む。仲良くしている妖精に氷を貰いに行こうと思った。大きな氷を貰ってかき氷を作れば、きっとお嬢様方も喜んでくれる。
 森を分け入って入ると氷の妖精が居たので、仲良く遊んでから氷を貰った。大きな氷で紅魔館位の背丈があった。それは流石に重くて運ぶのに難儀した。苦労をした所為で氷を背負っているのに暑く仕方無い。途中、嫌になって全てを投げ捨てたくなったが、私の代わりに氷を背負って丘をのぼってくれる人は居ないから、一所懸命に紅魔館まで運んだ。門に着くと咲夜さんが待ち構えていて、一時でも門から離れた事を詰った。私が訳を説明しても聞く耳を持たず、散散罵倒してから、私の氷を奪い取って館へ持っていってしまった。お嬢様方が喜んでくれれば良いと気を取り直し、私はまた守衛室に入った。
 サングラスにマスクの男が女児に声を掛け。デパートで子供が消失、白昼の悲劇。テロリストが子供達を人質に。子供を斡旋していた売春ホテル摘発。逮捕の男宅から白骨化した女児。神への捧げ物として子供を手放した親達を取材。
 しばらくのんびりラジオを聞いていると、外から水音が聞こえた。どうしたんだろうと視線を向けると、巨大な大鯰が地面から伸び上がって、紅魔館にぶつかっていた。お嬢様達の心配をした時には紅魔館が崩れ、中から吹き出た子供達の白い骨がきらきらと舞い上がった。


 即興劇
   古明地こいし

 瞼を開けると、大きな鏡があった。私の部屋にある物らしく、私はそれを見て毎日身だしなみを整えている様だった。鏡の中に居る私はいつも私と同じ格好で居るけれど、私が部屋から出ると、勝手に動き回って、鏡の中のフランだとかこころだとかと遊んでいる事を私は知っていた。けれど知っている事を鏡の中の自分に悟られていると良くない事が起こるから、私は鏡の中の私に気取られない様に知らん顔をしたいた。
 けれどある日、部屋を出る時に、無意識の内に振り返ってしまった。鏡の中の私と目が合って、気取られたと思った瞬間、鏡の中の私がにやりと笑った。鏡の中の私がにやにやと笑いながら鏡の中から出てこようとしているので、私は急いで扉を閉めて外へ駆け出した。扉を閉めていれば外に出て来られない事を私は知っていた。
 私は鏡の中の私をうっかり外へ出してしまい、今は私の部屋に閉じ込めている事を、フランとこころに相談した。鏡の中の私に立ち向かっても敵わない事は分かっていたし、下手に鏡の中の私を殺してしまったら私も死んでしまう。だからどうすれば良いのか、二人に相談すると、三人で一緒に捕まえれば良いと言ってくれた。そんな事をすれば、鏡の中の二人にも気が付かれて、二人にだって危害が及ぶ事は分かっていたのに、二人は笑顔で私の事を助けれると言ってくれた。私は涙が出そうな程、嬉しかった。
 そうして三人で私の部屋に向かった。恐る恐るドアに近付くと開いていた。もしや外へ逃げてしまったのかと震え上がると、中からぺしゃりぺしゃりと空気を破裂させる様な音が何度も鳴っている事に気が付いた。不気味な音に一瞬立ち竦んだが、私は勇気を振り絞って中に踏み入った。
 お姉ちゃんが鏡の中の私のお尻を叩きまくっていた。
 どうやら鏡の中の私が部屋の中を荒らし回った事に烈火の如く怒ったみたいで、鏡の中の私のお尻は真っ赤に腫れ上がっていた。
 私達が踏み入った事で、叩いているのが鏡の中の私だと気が付いたお姉ちゃんは、鏡の中の私を鏡の中に放り投げ、私達を叱った後に何処かへ行ってしまった。
 鏡の中の私はおいおいとけたたましく泣き叫んでいたので、鏡の傍に寄って慰めて上げた。しばらく三人で慰めていると、やがて鏡の中の私は笑顔を見せて、仲良くなった。それから私達三人は、鏡の中の三人と一緒に、六人で遊ぶ様になった。


 ねじれた夢
   フランドール・スカーレット

 瞼を開けると、美鈴が読んでいた本をおろして、美鈴に笑顔をくれた。美鈴が寝ていた事を恥じて誤ると、美鈴も寝ていたからおあいこだと言う。何か夢を見た気がするが思い出せないので、美鈴はどんな夢を見たのかと聞くと変な夢を見たと言った。美鈴はそれが羨ましくて、お姉様の部屋に飛び込んで、変な夢が見たいと言ってみた。お姉様は夢が見たいなら寝れば良いと取り合ってくれなかった。咲夜にも頼んでみたが、変な夢を見せる事は出来ないと言われた。美鈴にも聞いてみたが無理だと言われた。けれど眠る時に不思議な話を思い浮かべながら眠ったらそういう不思議な話を見られるかもしれないと教えてくれたので、早速眠る時に本を呼んでもらう事にした。
 お姉様が外へ映画を見に行こうと言った。それを聞いて、美鈴はおめかしをしなくてはいけないと思って、美鈴に服を見繕ってもらった。映画を見に行くのは明日なのでとても楽しみに思った。
 楽しくて心が跳ね回っている上に、夏の暑さで体が火照り、その日は中中眠れなかった。美鈴の読む本は本当に変な話で、美鈴はさっぱり理解が出来なかった。最初から最後まで全然分からなかった。美鈴は本を読む間、レコードを掛けるのだが、その日美鈴の掛けた音楽は擦り減って掠れていた。眠れない美鈴は物悲しい音楽に泣きたくなった。
 いつの間にか眠っていた美鈴は夢を見なかった。
 翌日紅魔館のみんなで映画を見に行った。車から降りると真っ赤なカーペットが続いていた。ふかふかと不安になる程柔らかく厚手だった。映画館の中は舞台を中心にした放射状に沢山の席があって、誰も座っていなかった。何処に座れば良いのか迷っていると何処でも好きな所に座って良いと言われたので、美鈴は一番真ん中の席に座った。その周りに紅魔館のみんなも座った。咲夜がポップコーンを持ってきてくれたので、皆で食べた。塩気が足りないし錆の風味も薄くて、咲夜が作ってくれる物に比べたら美味しくないけれど、何となく外の世界に来た気分がして嬉しなってバスケット一杯のそれをすぐに食べてしまった。食べ終わった後に、映画がこれから始まる事を思い出して、寂しく空っぽのバスケットを見つめていると、咲夜がおかわりをくれたので、今度は少しずつ食べた。
 どんな映画がやるんだろうと皆で予想しあっているとやがて劇場が暗くなり、舞台にライトが灯った。映画が現れて踊りだし音楽が奏でられた。
 それは前日の寝る前に美鈴に呼んでもらった話で、内容はこれまたちっとも分からなかった。ただ音楽は曲こそ同じだったけれど、本物の楽団が演奏する静かに澄み通った音楽は心地良くて、飽きる事無く聞き入る事が出来た。音楽を聞きながらも、舞台の上で演じられる映画にはこれっぽっちも興味が湧かなかったので、隣に座るお姉様や美鈴の顔、周りのみんなの顔を見つめる事に執心した。
 お姉様は猫の様な顔で退屈そうだった。美鈴と同じなので、嬉しくなった。
 美鈴は犬の様な顔でじっと舞台を見つめていた。面白いと思っているのがつまらなく思っているのか、隣から見ても美鈴には良く分からなかった。
 咲夜を見るとやっぱり猫の様な顔だし、他のみんなを見てもみんな猫の様な顔をしていた。ただつまらなそうにしているのに、みんなお行儀良く一言も喋らずに舞台を見ていた。美鈴の方はというと今にも叫びだしたい位だったので、みんな偉いなと思った。気が付くと、いつの間にか劇場は猫達で満員で、どの猫達もみんな折り目正しい様子でじっと舞台を注視していた。誰も彼もがみんな猫だった。猫しか居ない。だからきっと美鈴も猫なんだろうと分かった。誰もが猫の中、隣の美鈴だけが犬だった。何となく犬の隣に猫で居る事が恥ずかしくなって、犬になりたくなった。何とか犬になろうと犬になろうと舞台の上を注視した。沢山に増えた映画達が右へ左へ踊り回っている姿を見ている内に眠気が襲ってきた。これでは猫になってしまうと必死になって舞台に興味を持とうとした。左右を踊りまわる映画達が上下にも激しく飛び回り、その数もどんどん増えて、もう何が何だか分からないから、頭がぼやけてきた。
 その瞬間、不意に大きな音が鳴って、体に衝撃が走った。
 気が付くと、ベッドの傍に倒れていて、美鈴が慌てた様子で美鈴を抱き起こしてくれた。部屋の中には映画館と同じ曲が鳴っていた。変調して力強い音楽は、レコードが掠れている所為で酷く不明瞭だったから、何処か物悲しく聞こえた。
 美鈴に助け起こされてベッドに戻ると、曲が鳴り止んだ。
 そこでようやく美鈴は、たった今自分が夢を見ていると知った。


 完全調和家庭
   秦こころ

 瞼を開けるとそこら中にお面が浮かんでいた。それが我我でない事は明らかだった。誰なのか問うと霊夢だと言った。どうして霊夢がお面なのか良く分からない。けれどそういうものなのか思うとそういうものに思えた。しばらくすると、魔理沙だというお面や白蓮だというお面や神子だというお面等、様様なのが集まってきた。何やら賑やかになって嬉しく思っていると、お面の中の一人が、これからはお面になったから世俗のしがらみから離れ、ずっと一緒に居られるのだと、嬉しい事を言った。その間にもフランだというお面やこいしだというお面もやって来て、部屋の中がお面で溢れそうになった。
 お面は口口に一緒に要られる事が嬉しいというので、私も嬉しくなって、早速舞を踊った。沢山の口が頻りに褒めてくれたので、益益嬉しくなった。
 最初の内は皆がお面になった事に何かそぐわない思いがあったけれど、段段とこれで良い気がしてきた。皆が一緒に居てくれるというのならこれ以上の事は無いと思えた。
 一つ問題なのが、お面になったみんなが上手く区別出来ない事だった。その不安をお面達に伝えてみると、気にする必要は全く無いと言うので、私は気にしない事にした。
 何か一抹の不安が心の底に残っていたものの、とにかく沢山の人に囲まれているのが嬉しくて、また舞を踊った。次から次へと踊りたくなって、夜になっても踊り続けた。次第にお面達も踊れる様になって、夜が開ける頃にはみんな私と同じ位舞える様になっていた。皆が踊り狂ってごちゃまぜになって、誰が誰かの判別は不可能になっていた。
 きっとこのままごちゃまぜの状態が続けば、私という存在も消えてしまう事に気が付いたが、それを止めようと思う心は何故か湧かなかった。


 魔理沙 または我我は如何にして幻想を信じ虚構を愛する様になったか
   霧雨魔理沙

 目を開けると広間に居た。どうやら飲み会が開かれているらしく、あちらこちらで乱痴気騒ぎが起こっていた。私はそれまで自分が何をしていたのか良く思い出せず、何か不安な気持ちが湧いて、傍に居る筈の霊夢を探して視界をぐるりと巡らせた。
 だが居なかった。
 広間の中を見渡してみたが、何処にも姿が見えない。もしかしたら外で涼んでいるのかもしれないと、見に行こうとすると、傍の者が酒を突き出してきたので、それを空けて外へ出た。だが外を探しても居なかった。
 外に出た事でようやくこの場所が博麗神社だという事が分かった。博麗神社であれば益益霊夢が居ないのはおかしいので、私は博麗神社の中を歩き回って霊夢を探した。だが居なかった。
 霊夢が何処にも居ない事を不思議に思って元の広間に戻ると、何処に行っていたのかと聞かれたから霊夢を探していたと答えた。すると霊夢とは何だと聞かれた。何だと言われても霊夢は霊夢だから、霊夢が何処にも居ないと答えると、それは誰だと聞かれた。皆知らない筈が無いのだから、どうしてそんな事を聞かれるのか分からない。博麗神社の巫女、博麗霊夢の事だと説明すると、相手は益益不思議そうな顔をして、助けを求める様にして隣に霊夢の事を聞いたので、私は呆れて溜息を吐いた。ところが隣の者も霊夢の事を知らなかった。そんな筈が無いと食って掛かると、相手は怯えた様子で周りに霊夢の事を聞き始めた。だが誰もそんな者知らないと言う。だったらこの神社に住んでいるのは誰かと聞くと、誰も住んでおらず、周囲の住人が定期的に掃除をしに来ているのだと説明された。誰も彼も、私が妙な事を口走る上に、当たり前の事を聞くので怪訝がった。霊夢の事を忘れてしまった皆では無く、私の方がおかしい様な空気が漂っていた。
 いよいよ不気味に思えて、香霖を探して霊夢の事を問うと、香霖まで霊夢の事を知らないと言い出した。私は立ち上がって、紅霧異変を解決したのは誰だと皆に聞いた。するとお前だと皆が答えた。春雪異変も私が解決したというし、永夜異変は紅魔館の連中が解決したという。他の異変もみんな、霊夢が解決したのではなく、他の誰かが解決したと言って聞かなかった。私は異変の解決どころか、異変の現場に居合わせた事すら無いのに、多くの事が私のお手柄という事になっていた。
 私は何だか怖くなった。皆に霊夢の事を質問して否定される度に霊夢がどんどん消えていってしまう気がしてならなかった。そういう呪いの様な気がした。
 次第に自分の記憶があやふやになって、私までもが本当に霊夢が居たのかどうか怪しみ始めているのに気が付いて、この場に居ては危ないと考え、私は神社を飛び出した。
 何故みんな霊夢の事を知らないのか不思議で恐ろしくて、知らぬ間に涙が溢れ出た。あれだけ里の為に頑張った霊夢を皆が忘れてしまうなんてあって良い筈が無かった。
 けれど私にはどうする事も出来なかった。
 霊夢なんて居ないと信じ切っているみんなを説得する言葉も方法も持ちあわせて居なかった。無力感で一杯になりながら、家へと辿り着いた。
 玄関を開けて、ふと真っ暗な中に人の気配がある事に気が付いた。
 霊夢に違いないと思って電気を付けると、案の定霊夢が座っていた。
 私は霊夢が本当に居た事に安堵して腰が抜けた。やはり皆の言っていた事は嘘で、霊夢は本当に居たのだ。腰の抜けて立ち上がれない私を、優しい霊夢は起こしてくれて。霊夢と一緒にテーブルについた。
 三人も霊夢が居るので手狭だなと思っている所に、隣の部屋からもう一人やって来たので、部屋の中が妙に迫っ苦しく感じた。
 けれど霊夢が居るという安心感がそれを忘れさせてくれた。
 私は四人の霊夢を相手に一晩中霊夢と一緒に遊んだ日日を話し続けた。霊夢はみんな一所懸命に私の話を聞いてくれた。途中で何度か違和感を覚えたものの、夜が更けても話し続け、気が付くといつの間にか眠っていた。
 朝起きると霊夢が居なくなっていた。それから幾ら探しても霊夢の姿は見つからない。皆は相変わらず霊夢の事なんて知らないと言う。霊夢のした事を、みんな私のした事だと嘘を言う。みんなの嘘を聞いていると自分まで霊夢の事を忘れてしまいそうで怖い。なので私はお盆の頃になると、霊夢と過ごした日日を思い出しながら日記を書く様にしている。毎年一篇ずつ増えていく日記が、今では二十三篇になった。


 フラスコの中の件
   秘封倶楽部

 瞼を開けると、何やら瀟洒な洋風の部屋に居て、何人もの人人が集まっていた。隣を見るとメリーが笑っていて、またどっかの境界を抜けた事が分かった。
 部屋に集まった人人はどうやら自分の見た夢を話し合っているらしく、荒唐無稽な話が飛び交っていた。なんとなく不気味な気がして、こちらに注意が来ない様に黙っていようと決心した瞬間、メリーが大声で、こんな夢を見た、と叫んだ。
 それは私がイギリスへ──いや、とにかく口にするのも憚られる内容で、私とメリーが好き合うというものだった。あまりの気味悪さに怖気だってメリーの口を手で覆うと、メリーの物語が途切れた途端に、周りの者達が一斉に己の夢を物語り始めた。その誰もが、誰かと逢瀬を交わす話で、あまりの熱気に唖然としていると、いつの間にか私の手から離れたメリーが立ち上がってまた言った。
 こんな夢を見た!
 それは──これまた憚られる内容で、あまり口にしたくないのだが、とにかくありとあらゆる方法で私とメリーが同一化する話で、メリーはその方法を逐一如何にも幸せそうに語った。私はメリーの気迫に圧倒されて、メリーを止める事も出来ずにただ怯えていた。
 メリーの語りが続くとそれに対抗した様子で、周りの者達が自分と誰かが同一になる夢を物語り始めて、収拾がつかなくなった。あちらからもこちらからも荒唐無稽な夢が喧喧諤諤と語られるから、交じり合って凄まじい喧騒となって辺りを飲み込んだ。
 何だか気が変になりそうで、耐えられなくなり、私は耳を塞いで思いっきり、黙れと叫んだ。するとみんな黙って静かになった。
 恐る恐る目を開けると辺りから人が消えていた。隣に居たメリーすらも居なくなっていた。
 メリーと呼びかけたが返事が無い。
 じめりと湿った茹だる様な心地の悪い静寂に、私は何だか我慢が出来なくなって、何を血迷ったのか、蓮子と呼びかけた。当然返事は無かったが、その蓮子という言葉が妙にしっくり来ない事に気が付いた。まるで自分が蓮子でないみたいだった。
 だからと言って、先程同一化の夢を語っていたメリーかと言われると、そうでもない気がする。良く分からないが、とにかく自分の存在があやふやに思えた。
 何となく分かるのは、私の手の届く範囲、即ちこの宇宙に誰も居ないという事だ。この世界には私しか居ない。そして私の世界の外側に、もっと大きな世界があって、そこに二人の人影が私の事を覗きこんでいる様な気がしてならなかった。
 それが本当かどうか確かめる術は私にない。
 私はうずくまって、何処だか分からない何処かの、誰だか分からない誰かとして、あるのかも分からない時が過ぎるのをじっと待った。
 そんな夢を見た。
自己満足200%増し(当者比)
烏口泣鳴
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コメント



0.290簡易評価
1.70絶望を司る程度の能力削除
静かな狂気を感じました。
6.80名前が無い程度の能力削除
きが くるっとる
…あれいつものことだっけか
8.100名前が無い程度の能力削除
よくわかんないけど楽しめました(自己矛盾)
10.30名前が無い程度の能力削除
最初の方繋がってたから最後にオチを信じたのに…

依玖さんは笑ったw
11.100名前が無い程度の能力削除
過去作を読んでいると楽しさ倍増な作品でした。
それぞれの抱える思いが、夢からにじみ出ているようでとても面白かったです。

個人的には、美鈴のがお気に入り。
12.70名前が無い程度の能力削除
カオスさと狂気とさりげなく子供の虐殺を仄めかして人間の愛や良心を嘲笑うかのような感じ
キャラを狂気に巻き込む作風とそれに案外抵抗のないコメ欄
以前に比べて随分と愛を軽んじ殺気を重んじるようになったなあそそわは
可能性と視野は確かに増えたけど酷く切なくなる

カオスやナンセンスや狂気は結局のところ殺気や攻撃性だと思うけどそれと愛や個人の兼ね合いが作者さんのテーマなんでしょうかね