Coolier - 新生・東方創想話

おおきくなること

2014/05/24 21:06:38
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 それは、五月のある日の出来事だった。




「お姉さん、ごめんなさい!」
「おー、気にすんな。それよりも、走る時は周りを見て走るんだぞ?悪い人にぶつかったら大変だからな」
「はーい」

 アリスの人形劇の公演が終わり、子供たちが蜘蛛の子を散らしたかのように広場から去っていく。アリスの公演を見守っていた私であったが、劇に夢中になり自分の世界に入って注意が散漫になっていた里の子とぶつかってしまった。

 その時に、私が思わず感じた事に起因する事であった。



「今時の子供って発育がいいんだなぁ…大きいんだぜ…色々と…」
 

 雲ひとつない昼下がりの空を眺めた私は、すっと足元に視線を落とし、そのまま胸の方まで上げて大きなため息をついた。


 
そう、人間、誰しもコンプレックスと言う物はあるよな…





 かぽーん



「なぁなぁ、アリス。私、ちっちゃいのは嫌なんだぜ」

 人里にある銭湯で私は、お互いに身を寄せて一緒に湯船に浸かるアリスにそうのたまった。研究や公演やら、お勤めで蓄積した疲労を癒してリフレッシュするには、やっぱりデカイ風呂に限る。
 それに、こうしてスキンシップを図れば、精神的な疲労も吹っ飛び、一石二鳥と言う訳だ。しっかり繋いだ手から伝わる温もりは、この湯船のお湯に負けない位温かである。

 それにしても、大は小を兼ねると言う言葉は良い言葉だと思わないか?何事も大きい事は、良い事だと私は思う。
 
 ゆったり広々とした浴槽で足を小さくばたつかせて、のんびりとくつろいでいた私に、アリスは優しく返事を返す。

「私はそのままでも、魔理沙は可愛いと思うけどなー」
「う、煩い!可愛いって言ってくれるのは嬉しいけど…と、とにかくちっちゃいのは嫌だ!」
「そう?大きいと色々困るわよ、ほら、周りの視線とか・・・あ、魔理沙、もしかして?」
「み、見て無いぜ!断じて見て無いからなっ!」

 慌てて視線をアリスの胸元から水面に戻す私、そんな私にお構いなく時折右手に当たるふくよかな感触が実に憎らしい。強者の余裕と言う奴なんだろうか…でもアリスにそんな事は言える筈も無いし、言うつもりもない。
 しかしながら、無いものねだりをしてしまうのが人間の悲しい性。人間の欲は計り知れないから恐ろしいもんだ。
 無い物を欲し、それが得られぬ事から来る底なしの渇望に駆られてしまう私。そんな私を諭すかのようにぽむぽむと頭を触ったアリスは、そっと熱のこもった声を発した。

「別に大きくても小さくても、魔理沙は魔理沙よ。可愛い女の子よ」

 普段ならそれでキュンと来る…のだが、今日はそうはいかない。【女の子】と言われたのが、ほんのちょっぴりココロにチクリと来る。私は大人の女性に相応しい、立派な大きさを求めていると言うのに。
 小さいが故に、年齢相応に見られない。幼児体型と言われる事もある始末…今この瞬間も一歩ずつ大人に近付いているのに、小さいままなのはやっぱり気になる。

「いいや、それでも小さいのは嫌だ。可愛い女の子じゃ無くて、素敵な淑女と言われるようになりたいんだ」
「それは時間をかければそうなるかも知れないけど、今すぐにそう呼ばれるようになるのは難しいわよ」
「ふふ、人間の成長をあなどっちゃぁいけないんだぜ。私は、今、この瞬間も成長しているからな!それをこれから実証してくるんだぜ」
「あ、ちょっと!もう…ほんと、子供ねぇ…」

 やれやれと言った面持ちのアリスを尻目に私は、湯船から上がって、そのまま湯けむりが残る脱衣所へと戻り小さなため息を吐いた。湯につかる時に邪魔にならないように纏めていた髪を解き、垂らす。水滴の残る顔を手で拭い、眼を閉じた私は鼻で息を吸う。
 精神を落ちつけて眼を開けた私。眼前の全身鏡には、産まれた時の姿の私が見える。お風呂でしっかり温まり、ほんのりと朱に染まった肌は、年齢相応には張りがあって美しいと思いたい。
 
 まー、まだ十代半ばの私が肌の心配なんかすると、周りの妖怪達の肌年齢はどうなるんだ…っと、あんまり言うと無茶苦茶怖いからこの辺にしておこう。いきなり気まぐれスキマ落としなんて喰らったら大惨事になりかねん。

 珠のようなお肌を撫でながら、鏡の中に居る私から、視線を反らしてそっと下に降ろす。足から、ゆっくりと全身をゆるりと見た私は、少しだけ揺れたような気がした胸を持ち上げてからちょっとだけ気を吐いてみる。

「ふふ、今日こそは…昨日までの私とは一味違うぞ」

 そのまま、あらかじめ用意していた星柄のバスタオルを身体に巻きつけて、胸元で抑えるようにした私は全身鏡から離れた。そして、脱衣所の片隅へと歩を進める。視界の先にある物は河童印の木製の身長計だ。
 重い足取りで身長計の足のマークに自分の足を持っていった私は、背筋を伸ばし支柱に背中を預けた、そうするや否や身長計は小気味よい音を立てて作動を開始する。やがて、頭にこつん、と軽い音がして何かがのっかかる感覚を覚えた私は、そっと、その場を離れた。

 そして、身長計が指し示す身長の数字を眺め、私は愕然とする。

「なん…だと?」

 私は、一週間前に見た時と寸分違わぬ数字に軽く眩暈を覚え、その場にくず折れた…

「何故だ、どうして伸びていないっ…!」

  そう、私の悩みは身長である。平均的な十代半ばのそれより小さい事に、私は頭を痛めているのだ。

 え、胸じゃないのかだって?やだなぁ、もう…確かに、女性の魅力の大切な要素たる胸も大して大きくはない。バスタオル越しに膨らみが僅かに見てとれる程度しかない位だしな、自慢じゃないんだがね。
 胸は多少小さくても、希少価値だとかステータスだとか言われる事があるため、私の目下の悩みは胸では無く、この低身長。十代半ばでこの低身長は、ちょっとどころか色々と問題がある!
 そのために、私は色々と研究を重ねた。魔法に頼ると言う手もあるが、身体に無茶をさせてしまうものも多いため、まずは人間らしく正攻法のやり方をいくつも試した。しかし、結果はご覧の有り様だ。成果が出無かった事に対する失望からくる、失意がずっしりと背中にのしかかってくるかのような感触を覚える。

「早寝早起きに、適度な運動…コラーゲンを含む食事も欠かしてないのにー」
「あのねぇ、魔理沙。言ったでしょ、速攻性のある背の伸ばし方は無いって」

 がっくりとうなだれていた私に、遅れて浴室から出てきたアリスが声をかける。すらりとした見目麗しい長身に、バスタオル越しでも分かる見事な揺れるバスト…あぁ、私もあんなスタイルになりたいな…
 スタイルの差が戦力の決定的な差ではないとは思うが、女の子なら誰しもナイスバディに憧れる物である。

「くそー、図書館で色々調べて実践したのに効果が無いとは…無念だぜ」
「そんな速攻性のある身長の伸ばし方があるなら、是非私も知りたい物だわ」
「アリスは魔法使いで、成長が止まってるだろ?意味あるのかよ…」
「あ、あるわよ…これからの事を考えたらあるし、それに、知識は幾らあっても困らないから…」

 もじもじとしているアリス。その仕草からは、女性的な可愛らしさと魅力、そして色香が漂う。同じ女でも此処まで差が付くとちょっと悔しいし…それに、相手がアリスだとそれだけでは済まない複雑な感情がこみ上げてくる。
 うなだれていた私に手を差し伸べ、立ちあがらせてくれるアリス。すると、アリスは私の身体をまじまじと見つめ、ストレートにその感想を述べてきた。

「で、でもね、魔理沙。身長や胸は小さいけど、ほ、ほら。お尻のラインとか、腰のラインとか凄く綺麗よ。身体も贅肉とか少なくて、腕とか引き締まってるしー」
「うぅ、微妙に傷つくから慰めはいらないぜ…」

 日々の鍛錬を欠かしていないため、私の身体は少し筋肉質であると言う自覚はある。うっすらと腹筋が見えたりする…男の子みたいな身体だな。これでもう少し胸が平坦だったらと思うと…
 お腹の底からのため息を出した私は、とぼとぼと馴れた足取りで番台の方へと歩いて行く。顔なじみの初老の番頭さんと眼が合うと、だいたいの物事を察してくれたようで、優しい眼差しを向けてくる。

「はい、いらっしゃい。今日は何にする?」

 勿論頼む物は決まっている…銭湯上がりのお約束、冷えたコーヒー牛乳だ。この習慣を考えた人間は称賛されるべきだ…火照った身体に染みわたるあの美味みと、優しい甘み。これの無い銭湯は種の無いスイカと一緒だ。
 フルーツ牛乳と言う物もあるが、アレは…邪道!私は、迷わずコーヒー牛乳を注文した。

「コーヒー牛乳を頼む!これで身長も、胸も大きくなる事間違いなしだ…」
「はいはい。一気飲みしたら身体に悪いから、ゆっくり飲むんだよぉ…」

 番台に座っていた番頭からよく冷えたコーヒー牛乳を受け取った私は、腰に手を当ててそれに口を付けてゆっくりと身体に流し込んだ。甘く、優しい味が口いっぱいに広がり、じんわりと活力が全身に広がっていくのが分かる。この勢いで身長が伸びたらいいのに…全身に染みわたる冷たさと心地よさにささやかな願いを込めて、コーヒー牛乳を飲み干した私は、大きく息を吐いて、番頭に元気よく瓶を返却した。

「ごっそさん!」
「毎度ありー」

 元気よく腕を回した私は、入れ違いでフルーツ牛乳を頼んで飲んでいたアリスの前で少しだけ伸びをしてから、濡れた髪を乾かすべく洗顔台の椅子に座り、河童印のドライヤーを手に取った。
 心地よい温風を金色の髪に吹きつければ、シャンプーの良い香りが鼻をくすぐる。丁寧に、丁寧に髪を梳きながら髪を乾かしていた私であったが、鏡の向こうでアリスが此方を向いて歩いてくるのが見える。

「ねぇ…魔理沙」
「どうしたんだ、アリス」

 私が呼びかけると、アリスはとてとてと足を速める。バスタオル越しに見える揺れる胸元が実に羨ましい。私の傍に寄ったアリスは、ぽむと私の肩に手を置いてそっと顔を耳元に寄せてくる。
 頬が朱に染まり、大人の雰囲気を醸し出すアリス。顔の近さに、思わず頬を染めてしまう私。なびく少し湿ったアリスの髪からお揃いのシャンプーの香りがすると心臓が勝手にドキドキし始めてしまう。
近い、近すぎる。この心臓の鼓動がアリスに聞かれていなけりゃいいな…うなじの辺りに息がかかるとバスタオル越しでも、心臓が激しく脈動しているのが分かりそうな位、ドキドキしている。
そして、熱のこもった声で私に語りかけてきた。

「すぐに魔理沙が大きくなれる方法…思いついたわ…試してみる?」

 ときめきにより加熱する思考の中、微かに残った冷静な部分が、一体どんな方法なのだろう?と問いかけてくる。先程まで散々そんな方法は無いと言ってきたアリスが、突然180度違う事を言って来るなんて凄く珍しい。
 ブレインを自称するアリスの思考は物凄く論理的で、困った時の状況打破に寄与する事も多い。何をするのか具体的に言わないのが気になるが、ここは度胸だ。私は、静かに頷き承諾の意思表示を返した。
 
「分かったわ、魔理沙。じゃ、まずは身体の力を抜いて」

アリスは優しく微笑み、そっと私の肩を揉み始める。この所の研究で肩が凝っていたので、これはとてもありがたい。強張っていた身体が、少しずつ優しい手の動きと共に解されて行くのを私は感じ、静かに身体の中の熱い息を漏らした。

「はぁ…そこだ…良い感じだぜ~」
「まだまだ若いのに、ババ臭い事言っちゃだめよ?」
「良いじゃないか、アリスの指、気持ち良いんだぜ…お、もう少し上だ」
「此処かしら?」
「良い感じだぜ、あぁ、生き返る…」

 疲労が全身に溶け込んでいくような感覚。血行が良くなっているので、効果は覿面と言ったところであろうか。しかし、心地よい肩揉みの何処が身長を伸ばすのに寄与すると言うのだろうか。ふつふつとわき上がる疑問を顔に出すと、アリスの口元が更に緩むのを見逃さなかった。
 アクションを起こしてくる…そう思った時には遅かった。肩を揉んでいたアリスの右手が、するりと私の胸元に伸びてくるのが見えた。
 
「アリス?い、一体何を!」
「大丈夫よ、私に任せて。それよりも、力はちゃんと抜いておくのよ…」

 まさか、胸を揉むつもりなのか?た、確かに胸は好きな人に揉まれれば大きくなると聞いた事はある。しかし…公衆の面前であのアリスがそんな事をするとは思えない。そもそも私が大きくしたいと言ったのは胸では無く身長だぞ?
 困惑する私を余所にアリスの手が胸に近付いていく。心臓が破裂するんじゃないかってくらい脈動しているのが分かると、恥ずかしさがどんどん膨らんで、火照った全身が更に加熱していくのがよーく分かる。
 美しい花を見つけた蝶のように、優雅に手を近付けてくるアリスに、私は恥ずかしさを押し殺した声を絞り出した。

「や…やぁ…皆見てるのに…」
「大丈夫よ、すぐに終わるわ…安心して」

 諭すような穏やかな声と共に、私の小さな胸を捕えたアリス。あぁ、心臓がバクバクいってるのがバレてしまいそうだ。眼を閉じて、恥ずかしさを何とか押し殺していると、ふっと小さく息を吐いたアリスが、決意を秘めた声で囁いた。

「行くわよ…魔理沙」
「待って、ココロの準備が…うっ!」

 私の制止を振り切りアリスが手を動かす。すると、こきっという心地よい音がしてと視界が大きく斜め後ろに揺れた。
此処に来てようやくアリスが何をしたかったのか、私はようやく理解できた。事態が収拾し、落ち着きを取り戻してきた私の背中に優しい手の感触を感じたからだ。
 私の身体に前と後ろから挟み込むように力をかけるために、胸と腰に手を当てたのだ。その事から導きだされる答えは…。

「魔理沙、猫背は長身を目指すレディの大敵よ。どんな長身の子でも、小さく見えちゃうからね?」

 猫背になっていた背筋を伸ばされたのである。満足そうな面持ちで私の胸と背中から手を離したアリスは、私の額に手を当て、曲がっていた首を伸ばしてからうんうんと頷く。鏡の中には、まるで、一本の棒を突っ込まれたかのようにピシッと伸びた私が映り込んでいる。
 
 心なしか、座った直後より少し視線が高くなったような気がした。

「研究とかで姿勢がどうしても悪くなりがちだもんね。背筋を伸ばすだけでも、効果はあると思ってたわー」

 無邪気に笑いながらぺちぺちと背中を叩かれ、おでこを優しくさすられる私。

 ダメだ…アリスにそんなに触られちゃ…私、私…もう…ダメ…だ…

「あ、アリス…はうっ…」
「ま、魔理沙!どうしたの、しっかりしなさい!」

 ドキドキが限界を超えた私の視界は突然ホワイトアウトし、意識が急激に遠のいて行った。仕方ないじゃないか、大好きなアリスと肌と肌をくっつけた上、直接触られたんだからさ。

 
 惚れちゃった弱みって奴だよ、うん。
 

 
 だから、ね…アリス…


 


  ぽた、ぽたり…


 「アリス…?」

 見上げる脱衣所の天井と、心配そうに見つめるアリス。どれくらいの間気を失っていたのだろうか?アリスの顔から落ちてきたのは、残っていたお湯か汗か、はたまた涙か…どれか分からなかったが、意識を取り戻した私の瞳とアリスの瞳が一直線に並ぶと、アリスは安堵の表情を浮かべた。

「良かった…!突然倒れるからびっくりしちゃったわ、身長伸ばす前に魔理沙が伸びるなんて思って無かったわよ?」

 至極ごもっとも。そりゃ、身長を伸ばそうとした相手が伸びたらそうなるよな。でも、原因の一旦はアリスである。想いを寄せる相手にあんなに寄られちゃ、乙女のハートは破裂しちまうもんさ。

「むう…でも、仕方ないだろ…アリスに身体とか触られたら…ドキドキしちゃって…」
「えっ、あぁ、そ、そうなの…ごめんね、魔理沙…」
「いや、良いよ。私がオッケー出した訳だし、気にしちゃいねぇけどな…」

 扇風機から来る風がとても心地よい。そのままアリスに頭を撫でられると、それだけでも安らげる。眼を閉じて、未来の私を思い浮かべる。すらりとした長身、十分な大きさを持ち服の上から自己主張する胸…嗚呼、今の私からは想像もつかぬその姿は、憧れのまま終わってしまうのだろうか。ため息を一つ付いて、私は遠くを見ながら言葉を紡いだ。

「あぁ、憧れの長身美女への道はまだまだ遠いんだぜ…まだまだ子供のままかぁ…」

 その一言を聞いたアリスの表情が一瞬だけ曇った。そして、不安そうな顔をする。その顔を見た時に私は、一つの事を悟る。

 成長すると言う事は、歳を取る事。歳を取ると言う事…その事が意味する事とは…

 私が人間のままなら、その先に待っているのは永遠の別れ。もう、今のようにこうして二人ではいられなくなる。その時に、残されたアリスは…何を想うのか。徐々にしっかりしていく思考の中でそんな事を考えているとアリスの口が動いて…

「そのままでも良いのよ…魔理沙」

 アリスは悲しい声を出し私に訴えかけてくる。その悲しげな眼差しを見つめ私はそっと胸に手を置き、しばし目を閉じる。

大きくなると言う事、それは、コンプレックスからの脱却、それは少女の頃の私に別れを告げて、大人の私になる事。大人になる事は成長する事、それは、戻らぬ時を生きている証。
 今、アリスの膝の上で安らぎを覚えている時間も、限りある時の中の一時の出来事。 長い長い人生の果ての向こう側、いつかは感じられなくなるかもしれない、想いを寄せる人の尊く、儚い温もり。

  それでも、私にはそれでも大きくなりたい理由がある。 


 そんな想いを寄せる人の温もりをすっぽりと自分が包めるようになりたいから。

 アリスにとっては、短い時間かも知れない。でも、その限りある時間の中で、私がアリスを包んであげたいって、思っているから…

 そんな願いと共に、優しく見下ろすアリスの頬に手を伸ばし、温もりを感じた私はアリスの瞳を見つめて、その願いを伝える。

「それでもな…アリス、今はこんなだけどいつかは…アリスより大きくなって、立派なレディになって見せるんだぜ…そしたら…さ…」

 その先は、恥ずかしくて言葉が紡ぎだせない。それでも、真剣な眼差しでアリスを見つめて、思いを伝えた。

 私は、素敵な貴女に相応しい素敵な淑女になりたいんだって。
 わがままかもしれない、でも…これだけは絶対に譲れないんだって。
 
 命短き恋する乙女の祈りを…大切な人へのお願いを、私は伝える。

 そんな、無言の感情のやりとりから暫く立ったところで、悲しそうな顔から、ふっと優しく微笑む何時ものアリスに戻る。頬に当てていた私の手をそっと、愛おしそうに握ったアリスは、小さな、それでいてか細い声で私に応える。


「…待つのも待たせすぎも、勘弁してよね。魔理沙…」
「勿論だぜ、待たせ過ぎはレディに失礼だからな」



 そんな青春の日々、窓から差し込む五月の夕焼けが私達を照らしていた日の思い出…
最近のくち…失礼、最近の子供の発育の良さがけしからん、と言う昨今の風潮に着目して書いた久々の甘リアリです。一見すると…な話ですが、実は、背丈の話と言うちょっと真面目な話に仕上げています。

ドーモ、みなさん。お久しぶりです。甘リアリ原理主義者のタナバン=ダルサラームです。覚えてる人が居たら嬉しいです。

またちょこちょこ甘リアリを此処で発表出来たら良いなって考えてます。

では、今回はこの辺で。(タナ凸)ノシ
タナバン=ダルサラーム
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コメント



0.340簡易評価
1.90奇声を発する程度の能力削除
良いマリアリで色々とニヤニヤするお話でした
3.70名前が無い程度の能力削除
誰か唐辛子と箱でもってこい!!
5.100非現実世界に棲む者削除
銭湯でイチャイチャするなんどんだけ甘いねん。
久々にマリアリが読めた。
作者さんに感謝。
8.100名前が無い程度の能力削除
gj
9.100名前が無い程度の能力削除
あんたのマリアリを待ってたんだ!
11.80名前が無い程度の能力削除
良いマリアリでした!
書籍見ると魔理沙は本当に小さいですよねぇ。阿求や小鈴よりも小さいとは…。
12.100名前が無い程度の能力削除
お姉さんなアリスはどこかしっくりくる気がします
それでいて慎重にコンプレックスを持つ小さな魔理沙…素晴らしいマリアリでしたっ!
17.100名前が無い程度の能力削除
やっぱりマリアリは良い物です…!