Coolier - 新生・東方創想話

新たなる信者の誕生である!

2014/05/05 01:27:35
最終更新
サイズ
8.27KB
ページ数
1
閲覧数
1002
評価数
4/12
POINT
610
Rate
9.77

分類タグ

 
 
 
  佐渡の化け狸、二ッ岩マミゾウが幻想郷へやって来る、数年前のこと。
 利息はトイチ、「逃げれば地獄まで取り立てに行く」が謳い文句で、”サドの帝王”と畏怖される程までに闇金融業を精力的に営んでいたマミゾウは、貸した金を取り立てに東京を訪れていた。
 もちろん、”化けさせる程度の能力”を使って人間に化けてだ。
 ちなみに、その時の外見はスキンヘッドのいかつい顔の大男で、黒いスーツを身にまとうもの。 
 さすが、マミゾウというべきか、その化けレベルは非常に高い。
 肩を風で切れば、周りの人間達が慌ててサッと道を開ける程に。
 おかげで、都会の雑踏でも快適に歩くことが出来、マミゾウは大満足である。
「(都会を歩く場合も、この格好の方が都合がええのう♪)」

  長い年月を人間社会に紛れ込んで暮らす妖怪であるマミゾウ。
 その為、人間と同じように嗜好品を嗜んだり、色んな趣味等に走るのは無理からぬこと。
 盃で酒を飲む、キセルを吸う、本を手に取り読書、パソコンやスマホの操作等々。
 当然、人間に化けている方が都合が良い。
 もっぱら人間の少女に化けることが多かったが……。
 人間に貸した金を取り立てに行った際、その容姿だと相手にナメられたり、返済を強く迫った際、抵抗されたりした。
 一番酷い例を挙げると、相手が突然逆上してマサカリを振り回したので、やむえず、知り合いのヤ○ザから購入した護身用の拳銃で相手を射殺するハメになったことであろう。
 そういうことがあり、今回のように貸した金を取り立てに行く場合は、ナメられず、かつ、円滑に貸した金を回収できるようにヤ○ザ風の大男に化けるのだ。


  夕焼けがビル群を赤く照らす。
 取り立てが順調に終わり、佐渡へ帰る前に東京見物でもと歩くマミゾウは足を止める。
「なんじゃ? やけに騒々しいのう」
 マミゾウが足を止めたのは、古ぼけたライブハウスの前であった。
 建物の外に漏れ出したズンズンズン!というけたたましい音と、人間達の叫び声がマミゾウの耳をつく。

  好奇心旺盛なマミゾウは、ライブハウスの中へと入った。
 店内は多くの客がごった返していた。
 人混みの間から、ステージの上でギターやドラムを演奏する三人組の姿が見える。
 三人とも禍々しく、派手な格好をしていた。


  ズン! ズン! ズン! ズン! ズン! ズン!

「レ○プ! レ○プ! レ○プ! あの娘をレ○プ!!」


「(あやつら、けったいな格好をしておるのう。 かぶき者じゃろうか? ……しっかし、お下劣な歌じゃわい)」
 三人組の一人、着ぐるみのような鎧を身にまとい、額に”殺”の字を書き込み、ギターを激しく弾く男が叫ぶモノ。
 レ○プ、殺害、メス豚、下半身、ファック!っと、けたたましい曲とともに流れる普段聞きなれない言葉のオンパレード。
 これが、マミゾウとデスメタルの出会いであった。



  ズン! ズン! ズン! ズン! ズン! ズン!

「昨日は母さん犯したぜ!! 明日は父さんほってやる!! 殺害せよ!! 殺害せよ!!」



  ボーカルの”殺男”が激しく歌う度に、客達も体全体でリズムをとりながら狂ったように叫ぶ。
「サツガイ! サツガイ!」
「ゴートゥDMC! ゴートゥDMC!」
「クラウザーーッ!」
「テメー! クラウザーさんを呼び捨てにしてんじゃねぇ! 『さん』付けろ!!」
「ジャギ様には『様』付けろよ!!」
「クラウザーさ~ん!」
「ジャギ様ーーッ!」
「カミューーッ!」
 狂ったように叫んでいたのは、熱狂的なファン達、いわゆる”信者”達であった。

  あまりの衝撃的なデスメタルとライブハウスの喧騒に面喰ってしまうマミゾウ。
「(な、なんじゃ、コイツらッ!?)」


  ズン! ズン! ズン! ズン! ズン! ズン!

「よし! 次は『グロテスク』だ! ブチ込んでやるわい!!」



  ズン! ズン! ズン! ズン! ズン! ズン!

「グロテスク! 精神汚染!! グロテスク! 精神破壊!!」

  
  妖怪は精神的な攻撃に弱いとされている。
 それは、化け狸であるマミゾウも例外ではない。
「(ま、まるで音楽にレ○プされているかのようじゃ!!) ……お、お、お、おおお~ッ!?」
 周りの信者達同様、体全体でリズムを取り始めるマミゾウ。
「(こ、この感覚は……。 と、ときめきッ!?)」
 
   

  新たなる信者の誕生である!
 
 
 
 
 
       ☆☆☆
 
 
 
 
 
  そして、歳月が流れ……。
 
 
 
 
 
       ☆☆☆
 
 
 
 
 
~ 幻想郷 命蓮寺・マミゾウの部屋 ~


  その日、マミゾウの部屋に、2匹の妖怪が訪れていた。
「マミゾウさん、なんか良い歌知りませんか?」
「雀酒を差し上げますから~♪ ”外の世界”のヒット曲とか、教えてくださいよ~♪」
 マミゾウに会いに来たのは、山彦の幽谷響子と、夜雀のミスティア・ローレライ。
 彼女達は、パンク・ロックバンド、鳥獣伎楽のメンバーである。
 なんでも、鳥獣伎楽の歌がマンネリ気味であるとの評判を耳にし、曲の新規開拓をするために、物知りであるマミゾウに相談に来たのだという。
「ふ~む、良い歌じゃと?」
 マミゾウにとっては、命蓮寺に入門し、住み込みで修業している響子は同じ釜の飯を食う仲であるし、伝説の雀酒は魅力的なモノ。
 歌を教えるぐらいワケはない。
「おぬしらに、とっておきのデスメタルを教えて進ぜよう!」
 マミゾウが机の引き出しの中から取り出したのは、外の世界から持ち込んだ携帯音楽プレイヤーと、ヘッドホン×2だ。
 すぐさま、響子とミスティアにヘッドホンを付けさせ、スイッチオン!
「どうじゃ、最高じゃろう!」
 ”布教”も信者の大切な務め。
 ドヤ顔のマミゾウ。
 それに対し、最初は怪訝な顔をしていた響子とミスティアであったが、徐々に光悦な笑みを浮かべ、体全体で激しくリズムを取り始める。   
 
 
 
  新たなる信者(×2)の誕生である!
 
 
 
 
 
       ☆☆☆
 
 
 
 
 
~ 人間の里から博麗神社へ向かう道 ~



  ズン! ズン! ズン! ズン! ズン! ズン!

  
  騒音としか思えないノイズたっぷりの爆音。
 真夜中から始まった賑やかな演奏は人里まで響いてくる。
 鳥獣伎楽が未知との遭遇を果たしてから、数週間後。
 その夜も鳥獣伎楽のライブ会場は盛り上がっていた。
 
  なお、メイン・ボーカル担当は、幽谷響子。
 ベースギターとボーカル担当は、ミスティア・ローレライ。
 ドラム担当は、鳥獣伎楽に新しくメンバー入りした付喪神の堀川雷鼓である。

  マミゾウから教えてもらったDMCの全曲を喜々として覚えた彼女達は、それらを鳥獣伎楽で多少アレンジしてカバーすることに決めたのだ。
 歌詞の内容があまりにも卑猥であったが、新しい信者達の口コミにより、客の数はドンドン増えていった。
 ……客達の品性はドンドン下がっていったが。
 ちなみに鳥獣伎楽の客の多くは妖精が占める。
 けたたましい音とともに卑猥な歌が流れる中、可愛らしい妖精達が中指をおっ立て、狂ったように頭を振りながらファック!と叫ぶ光景は、ある意味、幻想郷らしさを最大限に表わしているといえよう。


  ズン! ズン! ズン! ズン! ズン! ズン!

「昨日は霊夢を犯したぜ!! 明日は霖之助をほってやる!! 殺害せよ!! 殺害せよ!!」


  メイン・ボーカルの響子が激しく歌う度に、客達も体全体でリズムをとりながら狂ったように叫ぶ。
「サツガイ! サツガイ!」
「ゴートゥ鳥獣伎楽! ゴートゥ鳥獣伎楽!」
「キョウコーーッ!」
「テメー! キョウコさんを呼び捨てにしてんじゃねぇ! 『さん』付けろ!!」
「ミスティア様には『様』付けろよ!!」
「キョウコさ~ん!」
「ミスティア様ーーッ!」
「ライコーーッ!」



  ズン! ズン! ズン! ズン! ズン! ズン!

「よ~し! 次は『恨みはらさでおくべきか』! ブチ込むわよ!!」


 兎にも角にも、鳥獣伎楽のライブは絶好調! だったが……。 

「喝ッ!!! 貴女達! 誠に愚かで、品性下劣であるッ!」
 突然、大きな怒声により、ライブは中断された。
「げぇっ!? びゃ、白蓮さん!?」
 鳥獣伎楽と客達以上に、荒げるようにとてつもなく大声を上げた者を見て、すぐさま響子は悲鳴を出す。 
 命蓮寺の住職、聖白蓮が怒り心頭で仁王立ちしていたからだ。
 
  以前、鳥獣伎楽はカラス天狗の取材を受けたことがあり、文々。新聞に載ったことがある。
 それにより、響子が鳥獣伎楽で活動していることが白蓮にバレたのだ。
 こうして、阿修羅の如く激怒した白蓮により、響子達は延々と説教され、DMCの関連品は全て押収されてしまったとサ~。
 
 
 
 
 
       ☆☆☆
 
 
 
 
  
~ 命蓮寺・本堂 ~



  とある日の早朝、命蓮寺の本堂に朝のお勤めの準備をする白蓮の姿があった。
「仏門の信徒とあろう者が、こんないかがわしい音楽に興じるなどとッ!」
 怒れる白蓮が手に持っていたは、押収したDMC曲がタップリ入った携帯音楽プレイヤーとヘッドホンだ。
 白蓮はヘッドホンを付け、プレイヤーのスイッチを入れる。
「この卑猥で下品極りない曲のどこが良いのかしら!?」
 普段は仏の如く穏やかな白蓮も、流れてきて曲の内容の酷さにヒステリック気味の声を上げた。
 ちなみに再生されているのは、「メスは豚だ! 下半身さえあればいい!」で、お馴染の『メス豚交響曲』だ。
「……いけない、いけない。 私としたことが、取り乱すなんて。 ……ゴホン! さあ、朝のお勤めを始めましょうか」
 ヘッドホンを付けたまま、朝のお勤めを始める白蓮。
 最初はいつも通りであったが……。
 徐々にシャウト気味に読経しながら、木魚を激しく力強くリズムカルに叩いていく。
 下半身を突き出しながら……。



  新たなる信者の誕生である!








  おしまい♪
宜しくお願いします。
怪人二十HN
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.270簡易評価
2.70絶望を司る程度の能力削除
DMCってデビルメイクライじゃないのな……
9.100名前が無い程度の能力削除
そういやクラウザーさんも幻想入りかな
11.100名前が無い程度の能力削除
いいね
12.70名前が無い程度の能力削除
なんだかんだ、前置きは上手いんだよね。
闇金融業を精力的に営んでいたマミゾウさんとかアイディアが面白いし、色々な姿に化けながら人間の世を渡っていくマミゾウさんは普通に見てみたい。
単なるネタの前置きでなく、あのまま話が続いてたらなぁー、と、個人的には残念な思いを抱えました。
ねえ、一度ネタ抜きで書いてみませんか?