Coolier - 新生・東方創想話

当たり前を過ごせる日々

2013/06/26 23:59:40
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※注意、屠自古と神子が現代にいます。幻想郷関係ありません。名前がちょっと変わっています
それでもいいという方はどうぞ













「暑い・・・」
 買い物帰りにぼそりとつぶやく。梅雨の合間に出てきたのはいいが、予想以上に暑い。
 だからと言って買い物に行かない訳にはいかなかった。
 長く続いた雨のせいで冷蔵庫は空になってしまった。今買い物に行かなければ、明日のご飯どころか、今日の晩飯にすらたどり着けない。

「ん、この道…」
 帰り道、家までは真っすぐ行けば近いが右に曲がっても着く。この道は学生時代に通学路にしていた道だ。私は、何かにひかれるようにその道へ進んだ。
 その道は河原に通じている。春には桜が綺麗に咲き誇る。卒業してからこの道を通ることはほとんどなくなった。
「懐かしい…」

夕日に照らされし感傷に浸っていた私に、現実へと引き戻す声。
「屠自子!どこに行ってたんですか!探しましたよ」
「神考、どこって・・・買い物ですけど。書き置きしたんですが、気付きませんでしたか?」
「はい」
「はぁ…」
 私はため息をつき、頭を抱えた。この人は天然で素直すぎる。それでいてなんでもできる天才。それ故、ひとたび行動をすれば他人を巻き込むが自覚はない。私も何度巻き込まれたことか。
 常々、どうしてこの人に惚れたんだろうと思う。でも、惚れちまったんだ。しょうがないですよね。

「解りました、次行く時は一緒に行きましょう。ところで」
「はい?」
「またその格好なんですか?」
その格好。それは、神考が愛用している青色のジャージ。高校時代から使って物らしいが、いい加減捨ててほしい。

「いやいや、結構着心地いいですよ、これ。まだ着れますし。」
「はぁ・・・」
今日2度目のため息。まだ高校時代の服が着れる体型が変わっていないことでもあるが…
妻としては、夫がいつまでもそんな格好されると歯がゆい。

「それじゃ、帰りましょうか」
「あ、屠自古。荷物持ちますよ」
「このくらい大丈夫です」
「じゃあせめて、車いす押しますよ」










夫である神考は考古学者であり、私はその助手でもあった。フィールドワークには必ずついて行きサポートをしていた。この人は仕事に夢中になるあまり、その他が疎かになる。

 私が車いすになったのは3カ月前。フィールドワークに出た際、神考の頭上の岩が崩れた。その際、神考は何かを見つけていたらしくまったく気づいていなかった。

「危ないっ!!」

と言う前に、体が動いていた。神考の体を突き飛ばし、私は岩雪崩に巻き込まれた。

 気付いたら病院のベットの上だった。私が意識を取り戻した時、神考は安堵の表情を浮かべたが、私はすぐに体の異変に気付いた。
 
  足が、動かない。

 医師の診断結果は、脊髄損傷による下半身不随。もう、一生歩くことはできないという残酷な診断だった。
私はすぐに現実を受け止めた。あの事故に巻き込まれて、足だけで済んだこと自体奇跡な様なものだったから。









キュラキュラキュラ(車いすを漕ぐ音)
「あれから3ヶ月、早いものですね」
「そ、そうですね」

神考は複雑な表情を浮かべる。
「まだ、自分の責任だと感じているのですか?」
「いや…でも、あの時私が気づいていれば…」
「だから、事故なんですから。切り替えてください」
「屠自子は、どうしてこの現実を受け止められるのですか?」
「私は…」

 私の体が動かないことより、あなたが目の前から消えてしまう方が何倍も怖かった


て、口が裂けても言えない。はずかしい。
「過ぎ去ったものにすがるよりも、現実を受け入れた方が妥当だと思ったからです。それだけ」
と濁して答えた。
「ですから、特別な意識を持って接しないでください。いつも通り、あの時のままのように接してください。」
「あの時のまま…ですか…」

神考はまた難しい顔をしてしまった。この人は考えすぎてしまうところがある。そうこうしているうちに、自宅に到着した。

「さて、私は夕食の準備を」
「あ、そうだ。屠自子」
「なんで、

 答えようとした矢先、私の唇は塞がれた。もちろん、神考の唇で。

ゆっくりと唇を離し、
「ただいま」
と、神考は言った。

何をしたかを理解した時、私の顔は一瞬で真っ赤になった。
「み、みみみみみ神考!!ああああ、あああなたはななにを!!!」
「懐かしいですね、これ」

その瞬間、私は嫌な予感がした。
「み、神考。ま、まさか」
「えぇ、毎日やりますよ。もちろん、おはようのキス、行ってきますのキス、お帰りのキスにおやすみのキス、えーっとそれから」

 そう、これは結婚当初に習慣付けさせられた行為だ。私は恥ずかしすぎて嫌だと言ったのだが、神考はこれだけは絶対に譲れないと

この習慣が復活するとなると、私の心臓は持つのだろうか…

うれしいが、藪から蛇だった…
誕生日なんでみことじのSSをください!!神様!!お願いします!!何でもしますから!!

神様「甘えんな、自分で書け」
トム猫
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コメント



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2.90名前が無い程度の能力削除
とじこの足がないことを現代版の設定で表された手法に、なるほどと思いました。過去にリアルでも身近な人が同じような状態になったので、このみことじ夫婦二人には障害もなんてことない!と助け合って、この先も幸せに生きていってほしいです。
あと誤字報告も失礼します。二回目の屠自「子」が元の屠自「古」になっています。
10.603削除
あー、なるほど。コメントを見て理解しました。足がないことの表現か。
自給自足の精神、いいと思います。