Coolier - 新生・東方創想話

パンツの色を聞く為の三原則

2013/06/22 20:27:39
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「ねえ、蓮子」
「何?」
「この私達を取り囲む下着達は、本当に私達を幸せにしてくれるのかな?」
「さあ、分からないよ。私が知っているのは、パンツを穿かなければ生きられないという単純な公理だけさ」
 ──────『私、パンツ』より

 パンツの色を聞く為の三原則
 第零条 相手がパンツを穿いていなければならない。
 第一条 気持ち悪がられてはならない。また、気持ち悪がられた結果懲罰を受ける事になった場合は甘んじて受け入れなければならない。
 第二条 パンツの色を直接見てはならない。ただし相手の言った色が本当であるかを確かめる場合はこの限りではない。
 第三条 前条に反する恐れの無い限り、堂々と気軽な態度でなければならない。
 ──────『国民生活ハンドブック』より


 CASE1
「敬愛すべき主人のパンツの色すら分からないの?」
 咲夜からそう問われた鈴仙は思わず唇を噛んだ。
「それで本当に忠誠を持っていると言えるの? 本当に信頼されていると言えるの? パンツの色さえ教えてもらえない程度なのに」
「馬鹿じゃないの。パンツの色なんて、そんなの普通聞く訳無いじゃん」
「その普通じゃない事を知っている位に私は信頼されているの」
 鈴仙は何も言い返せなくなった。きっと忠誠なら負けていないと思う。けれどそれは量的な証明の出来ない事だ。パンツの色を知らないという具体的な弱みをつかれた以上、曖昧な事を言ったところで、それらは全てパンツの下位に置かれてしまう。
 言うだけ言って、咲夜は帰っていった。終始自分の方が鈴仙よりも忠誠心に篤いと言い張って。
 片付けをしつつも、悔しい思いで一杯だった。絶対に負けていない。輝夜様や師匠を思う気持ちは咲夜なんかに絶対負けない。そう思うのだけれど、それを示す事の出来ない自分が情けなかった。実際に二人のパンツの色を知らなかった。他の衣服は分かる。洗濯をしているから。けれど洗濯の時、二人共下着を出さないから、下着の色だけは知らなかった。
 自分は二人の事を何も知らない。そう思うと悲しくなった。
 だから聞きに行った。
 部屋で本を読んでいた永琳は鈴仙に気がつくと、笑顔を向けた。
「どうしたの、優曇華」
「師匠、あの」
 鈴仙は言い淀む。これから発する問いが馬鹿馬鹿しくて恥ずかしい事だと知っているから。けれど聞かなくてはいけない。そう奮起すると、自然と体に力が籠もった。
「お願いが、あるんです」
「どうしたの? 何でも言って。私に出来る事であれば」
「師匠」
 思わず涙が出そうになった。優しい師匠。これから馬鹿な質問をしようと言うのにそれでも真摯な態度で居てくれる。いつも優しい師匠。この地上に来て不幸に思った事なんて一度もない。そんな師匠の事を、考えてみれば、何も知らない。
 嗚咽が漏れる。永琳が心配した様子で、鈴仙の傍に寄ってくる。
「どうしたの、優曇華。何か辛い事でもあったの? 大丈夫、私はあなたの味方だから」
「師匠」
「ね、何でも言って」
「師匠、師匠、お願いです。私に師匠のパンツの色を教えて下さい!」
「は?」
 永琳が一歩退がる。
「すみません。師匠。こんな事を言っても困らせる事だって分かってるんです。でも私」
「あの、優曇華? それはつまりどういう」
「師匠のパンツの色を教えて下さい。本当にすみません。こんな、気持ち悪いですよね? でも知りたいんです。私、師匠の全てを知りたいんです」
 鈴仙が一歩近づくと、永琳が一歩退がった。
「あの、優曇華、あなたの気持ちは嬉しいんだけど。私は、そういう関係は」
「お願いです、師匠。パンツの色を教えてください。私に忠誠心を与えて下さい」
「いや、その」
 永琳は困った様子で後ずさり、
「ごめんなさい!」
そう叫んで鈴仙の横をすり抜け、部屋を出て行った。
「師匠!」
 鈴仙が叫んで振り返る。廊下の向こうから駆け去る足音が聞こえる。
「師匠ー!」

 Incorrect!
 これでは、いけませんね。
 第三条 前条に反する恐れの無い限り、堂々と気軽な態度でなければならない。


 CASE2

「パンツの色かぁ」
 パンツの色すら知らないのかと馬鹿にするだけ馬鹿にして、咲夜は帰っていった。
 別にパンツの色なんか知っていてもしょうがないとは思うけれど、あれだけ馬鹿にされると苛立たしい。
 早苗は苛々としつつ、どうすれば良いのか考える。今まで他人にパンツの色を尋ねた事なんて無いからどう聞けば良いのか分からなかった。仕方無しに、最近河童に引いてもらったネットで検索していると、手頃な方法を見つけたので試してみる事にした。
 居間で神奈子と諏訪子がお茶を飲んでいるところへ、早苗がそっと襖を開けて入ってきた。入ってくるなり、諏訪子に向けて何かを放った。紙コップだった。それは裏側に糸が張り付いていて、早苗の持っている紙コップに繋がっている。
 諏訪子は早苗の意図が良く分からないながらも、折角早苗が作ったのだしと考えて、紙コップを耳に当ててみた。糸電話を持った早苗は笑顔を浮かべながら紙コップに口を当てる。
「げへ、お嬢ちゃんのパンツの色、何色?」
 そんな言葉が紙コップから聞こえてきたので、諏訪子は故障かと思った。けれど紙コップが故障したからと言って変な声が聞こえてくる訳が無い。
「げへへ、お嬢ちゃんのパンツの色、何色?」
 早苗が尚もそんな事を言うので、諏訪子は気味が悪くなって、紙コップを早苗が投げつける。
「いきなり何? 気持ち悪いんだけど」
「気持ち悪くなんか無いですよ! 私はただパンツの色を聞こうと、一番それらしい聞き方を」
 言い返す早苗の隣に、いつの間にか神奈子が立っていて、恐ろしい顔で早苗の肩に手の乗せた。
「早苗、ちょっと話があるから正座して」
「え? 何ですか? 怖いですよ、神奈子様。私はただパンツの色が知りたくて」
「良いから正座して」
「でも」
「良いから」
 早苗は無理矢理正座の姿勢にさせられると、足が痺れて立ち上がれなくなるまで説教をされた。

 Incorrect!
 これでは、いけませんね。
 第一条 気持ち悪がられてはならない。また、気持ち悪がられた結果懲罰を受ける事になった場合は甘んじて受け入れなければならない。


 CASE3
「私がお嬢様のパンツの色を?」
「そう!」
 鈴仙と早苗に詰め寄られて、咲夜は思わずたじろいだ。
「しかし、既に私はパンツの色を知っていて」
「だからそれは洗濯物を見てなんでしょ? そうじゃなくて、ちゃんと自分の口で聞いてみてよ」
「それとも断られるのが怖いんですか? 信頼されてないから」
 咲夜はむっとして席を立った。そうまで言われては挑戦せざるを得ない。無表情で二人を威圧してから、レミリアの下に向かう。
 気がつくと手に汗を掻いていた。自分の忠誠心に疑いは無い。だがそれを人前で試すとなると、あり得ない未来が鎌首をもたげてくる。お嬢様なら私の思いに応えてくれるはず。そう信じている心の隅に、墨痕の様な違和感が浮き上がって無視する事が出来ない。
 角を曲がると、レミリアの姿が見えた。
 思わず喉を鳴らして、その後を追う。最初は明るく話しかける。雑談で心をほぐしたら、もっともらしい理由を付けてパンツの色を聞く。完璧だ。何ら迷うところが無い。そう自分に言い聞かせて、咲夜はレミリアに声を掛けた。
「お嬢様」
 レミリアが振り返る。
「何?」
「いえ、あの」
 頭の中には沢山の話題が思い浮かぶのに、焦りが先に来て、上手く言葉が出てこない、
「どうした?」
「その、ですね、つまり、本日はお日柄も良く」
「はぁ? 良いから要件を言ってよ」
 苛々としたレミリアの様子が恐ろしくて、咲夜の焦りが局地に達し、気が付くと何よりも大事な言葉が口を衝いていた。
「お嬢様のパンツの色を教えて下さい」
 思わず言ってしまった事で咲夜の頭が混乱で真っ白になる。
「は?」
「あ、いえ」
「いや、意味が分からないんだけど。頭大丈夫」
「いえ、それは、あの、お嬢様のパンツの色を」
「嫌に決まってるでしょ。何、馬鹿にしてるの?」
「いえ」
「じゃあもうそんな気持ち悪い事言わないで」
 レミリアが怒った様子で行ってしまおうとするので、咲夜はもう全てが分からなくなり、気がつくとレミリアのスカートを掴んでいた。
「うおお、お嬢様!」
「な! 何すんの!」
 レミリアも慌ててスカーツを押さえ、二人がせめぎ合う。
「お嬢様! パンツを見せて下さい!」
「だから嫌って言ってんでしょ!」
「お嬢様! お願いです!」
「絶対に嫌だ!」
「お嬢様ー! うおお!」
「うおおじゃ、ねえ!」
 レミリアが驚きのあまりに繰り出した頭突きが咲夜の顔面に入った。
「あ」
 スカートの拘束が解かれてレミリアが呆けた様子で顔をあげると、咲夜が鼻血を吹き出しながら宙を飛んでいた。
 角で事の成り行きを見守り、震え上がっていた鈴仙と早苗の傍に、気を失った咲夜が転がった。

 Incorrect!
 これでは、いけませんね。
 第一条 気持ち悪がられてはならない。また、気持ち悪がられた結果懲罰を受ける事になった場合は甘んじて受け入れなければならない。
 第二条 パンツの色を直接見てはならない。ただし相手の言った色が本当であるかを確かめる場合はこの限りではない。
 第三条 前条に反する恐れの無い限り、堂々と気軽な態度でなければならない。


 CASE4
「おい、行くぞ」
 布都に声を掛けられた屠自古は気怠げに身を起こした。
「何? 寝てたんだけど」
「太子様の下へ行くのだ」
「用があるなら、一人で行けばいいじゃない」
「私はこれでもお前に対して罪悪感を覚えているのだ」
「うえー、死ぬ程信用出来ないし、その上意味も分かんないんだけど」
 口では文句を言う屠自古だったが、布都が神子の下に行こうとする理由は気になったので、面倒くさそうに立ち上がる。そうして二人して神子の下へ向かった。
「え? 太子様のパンツを?」
「そうだ。どうやらそれが忠誠を確かめる事になるらしい。とあれば、我々としては是非ともそれを成さねばならん」
「えー、全然因果関係が分からないんですけど。ホントにそんなので忠誠心確かめられるの?」
「なるのだ。何だ、さっきから文句ばかり。いつもの口癖はどうした。ほら。やってやんよ」
「いや、別に口癖とかじゃないんですけど」
「ほら。やってやんよ」
「はいはい、やってやんよやってやんよ」
 二人が歩いていると、神子の姿が見えた。
「あ、太子様!」
 布都が駆け出す。神子が振り返って微笑みを浮かべた。
「おや、どうした?」
「太子様! 肌着の色を教えて下さい! 特に下の!」
「え? 穿いてないけど」
 布都がつんのめって、地面に顔からダイブした。

 Incorrect!
 これでは、いけませんね。
 第零条 相手がパンツを穿いていなければならない。


 CASE5
「天子様、パンツの色何色ですか?」
「何言ってんの?」
「天子様のパンツの色は何色ですか?」
「いや、聞こえなかった訳じゃなくて」
「ほら、これ、見て下さい」
 そう言って、衣玖は雑誌を手渡した。受け取った天子が中を検める。
「そこに、男ウケのする下着の色っていう特集があるじゃないですか?」
「ん? ああ、これね」
「それによると、ウケるのはピンクとか白らしいんですよ。私の着けてる黒は三位なんですよ。一番だと思ってたのに!」
「ああ、何か知ってる」
「え? 私の下着の色が黒だって?」
「いや、ランジェリーは白とかが好まれるって」
「そうなんですよ! 今までの私のアピールはどうだったっていうんですか?」
「いや、知らないけど。三位なら良いんじゃないの?」
「それで、天子様のパンツは何色なんですか? ちゃんと男ウケしてますか?」
「まあ、このアンケートによれば大丈夫なんじゃない? 一番多いのはピンクで、今もそうだし」
「え? ピンク? 一番相手を誘っているピンク?」
「嫌な言い方しないでよ。別に男ウケを狙ってとかじゃなくて、ただ単に好きな色で」
「まさか私を誘って」
「んな訳あるか」
 天子が衣玖の額を軽く叩くと、衣玖が大げさに額を押さえた。
「ありがとうございます!」

 Correct!
 答えてもらったらはきはきとお礼を言いましょう。
 最後まで相手に不快な思いをさせてはいけません。


 番外編
 妖夢が服を畳んでいると、幽々子がやって来た。
「妖夢、ちょっと良い?」
「何でしょう?」
 妖夢は手を止めずに顔だけ幽々子に向ける。
「何か、私に聞きたい事があるんじゃない?」
「いえ、別に。あ、すみませんけど、献立の変更は止めてくださいね」
「献立は前に渡した通りで良いわよ! そうじゃなくて! ほらもっと何かこう」
「何でしょう?」
「ほら、何か、ほら、ほら、あの、ほら、服が、その、あ、そうだ! そろそろ夏よね? 水着はもう買った?」
「ええ、買いましたけど?」
「え? どんなの? どんな色?」
「普通のビキニです。青い花柄の」
「へえ、そうなんだぁ」
「はい」
 幽々子は妖夢の言葉の続きを待つが、妖夢は何も言わずに洗濯物を畳んで片付けているので、ついには焦れて声を荒げた。
「違うでしょ、妖夢!」
「何がですか?」
「もっとこう、私に興味を持ってよ!」
「というと?」
「だから、つまり、その、私のパンツの色を聞いてよ!」
「え? どうしてですか?」
「今、巷で流行ってるんだって! 主人のパンツの色を知るのが! それが忠誠心の証なんだって!」
「そうなんですか。良く分かりませんね」
「良く分からなくても良いから、聞いてよ! パンツの色!」
「嫌です」
「何で!」
「恥ずかしいからです」
「やだ! 聞いて!」
 洗濯物を畳み続ける妖夢に、幽々子が抱きついた。
「邪魔なんで、あっち行っててくれません?」
「いや! 妖夢がパンツの色聞いてくれるまでここから動かない!」
「じゃあ、一生そこに居て下さい」
 妖夢の冷たい言葉に、幽々子ははっとして口元に手を当てた。
「それはもしかして、ずっと一緒に居ようっていう」
「違います」
 妖夢は最後の一枚を畳み終えると、立ち上がって、部屋を出た。
「あ、ちょっと妖夢! 待って! あ、痛! コンセント引っかかった! 痛い! 助けて妖夢!」
 妖夢はそろそろ夕飯を作らなくちゃと考えながら台所へ向かった。

 番外編2
 小町が仕事を終えて帰ろうとすると、映姫が慌てた様子で駆け寄ってきた。どうしたんだろうと思っている小町の前に立ち止まり、荒い息を上げる。
「小町、私に何か聞きたい事があるのでは?」
 聞きたい事?
 今日亡者達の言っていた話を思い出した。何でもパンツの色を知る事が忠誠の証なんだとか。でも幾ら何でもあの映姫様が。小町が悩んでいると、映姫が幾分不安そうな顔になる。早く何か質問をしなければいけない。けれど流石にパンツの色は。
 結局他の可能性が思い浮かばないので、聞いてみた。
「映姫様のパンツの色は何色ですか?」
「白です!」
 映姫はそう答えて安心した表情で息を吐いた。
「それじゃあ、小町、明日からもよろしくお願いします」
「え、はあ」
 まさか本当にパンツの色を聞いて欲しかったのか。何故。
 小町が困惑していると、立ち去ろうとしていた映姫が振り返って笑った。
「小町、私はあなたを信頼していますよ」
 それを聞いて小町は得心した。どうやらパンツの色と忠誠心の話を真に受けたらしい。それで信頼している事を示す為に、質問させて答えたんだろう。パンツの色を。馬鹿だなと思う。
 馬鹿だなと思って笑顔になる。
「映姫様!」
「何ですか?」
「あたいも映姫様の事、疑った事ありませんよ!」
「あたりまえです! 私は嘘を吐きません!」
「いや、そういう訳じゃ」
 映姫はけらけらと笑いながら去って行った。
 からかわれたのかなぁと何やら悔しくなって、今度誕生日にピンクのショーツでもプレゼントしてやろうかと思っていると、ふと嫌な予感がした。
 まさかあの人、部下全員にあの問答してないだろうな。

 番外編3
 雨が降っていた。
 雨の中、ナズーリンは傘をさして、星を探していた。パンツの色を聞く為に。すると背後から星の呼ぶ声が聞こえた。
 ナズーリンが期待を抱いて振り返る。
「あ! 主! 主のパンツは」
 と、向こうから何故か裸の星が駆け寄ってきた。
「ナズーリン! 実は着ていた服を無くしてしまったのです! 皆にばれない様にこっそりと探してくれませんか?」
 下着どころか服すら着てない。しかもこんな雨の中。
 肩を落としたナズーリンに縋って、星は必死の形相で、服を探してくれとお願いし続けた。

 番外編4

「姐さん、一つ質問良いですか?」
 一輪が聖に尋ねると、聖がぱっと顔を明るくした。
「それは今若い子達の間で流行っているあのパンツの質問?」
「いや、若い子って。まあ、それです。良いですか?」
「良いですよ。門徒の子達から噂を聞いて楽しみにしてたんです」
「楽しみにって」
 一輪は一つ咳払いをする。
「姐さん、パンツの色は何色ですか?」
「いつから、パンツを穿いていると錯覚していた?」
 一輪が固まる。
「初めからだよ。私は生まれてから一度もパンツを穿いた事等、無い!」
「いや、この前も一緒にランジェリーショップに行きましたよね」
「錯覚だ」
「姐さん、BLEACH読みました?」
「はい! 門徒の子達が漫画を沢山貸してくれたんです。ついついはまってしまって」
「まあ、交流が深まるのは良い事だと思いますけど」
「そうでしょう? おばちゃんになったからって、若い子の事を何も知らないというのはいけません」
「そうですね。それで、結局パンツの色は?」
「私のパンツか? 見たけりゃ見せてやる! 探せ! 私のパンツはナズーリンの家に置いてきた!」
「何で?」
「ありったけの下着を~、かきあつ~め~」
「もう良いです」

 番外編5
「ねえ、燐、どうする?」
「一応、聞いておいた方が良いんじゃない? 聞かないと怒られるかも」
「えー、でも絶対聞いても怒られるよ」
「ねー、やだなー」
 猫と鴉が何やら道端で話し合っていた。さとりが興味を惹かれて寄ってみると、二人がさとりに気が付いて慌てて居住まいを正した。
「おはようございます、さとり様」
「おはよう。どうしたの、二人共」
「いえ、そのー」
「ねえ?」
 二人がしどろもどろになって、見つめ合う。何か後ろめたい様子だった。
「何かあったの?」
 いたずらでもしたのかと、呆れる思いで二人を見ると、二人は更に恐縮し始めた。
「何かやったのなら、今の内に言っておいた良いわよ。具体的には第三の眼で見る前に」
「あの、さとり様」
「何?」
「質問をよろしいでしょうか」
「質問? 良いけど」
「さとり様のパンツの色は何色ですか?」
「は?」
「あ、すみません」
「何でそんな事を聞いたの?」
「すみません」
「すみませんじゃなくて、理由を聞いているの」
「すみません」
 訳が分からないが、とにかく失礼な事を言ったのは確かなので、こんこんと説教をする。しばらくして二人の落ち込み様が尋常じゃない事に気が付き開放すると、二人はあからさまに気落ちした様子で去って行った。
 何だったのだろうと気になって、二人の後を追うと、二人は何か話し合いつつ消沈して歩いていた。どうやら私への愚痴を言い合っている様で、さとりは嫌な気分になる。
「あ、こいし様」
 いつの間にか二人の間にこいしが並んで歩いていて、それに気が付いた二人がこいしに挨拶をすると、こいしが二人に何かを話しかけ、二人は笑いながら、あの質問を言った。
「こいし様のパンツの色は何色ですか」
「赤の毛糸」
「さっすが、こいし様は話が分かる!」
 二人が何故かこいしを持ち上げ、こいしは飄々として歩いて行く。
 傍から見ていたさとりには何がなんだかまるで分からず、二人の心を読んでしまおうかと迷っている内に、三人は何処かへ言ってしまった。
 後でさとりがパンツと忠誠心の話を聞いて、慌てて二人にパンツの色を教えに行くと、ご飯を食べてる時に変な話をしないでくださいとお燐にたしなめられた。

 番外編6
「ぬえ、村紗、行くよ」
 部屋でお茶を飲んでいた村紗とぬえは、突然やって来てそんな事を言った一輪を訝しげに見つめた。
「何処に?」
「ナズーリンの掘っ立て小屋」
「何で?」
「姐さんのパンツを手に入れる為」
「はぁ?」
 訳が分からず素っ頓狂な声を上げた二人に、一輪がパンツと忠誠心の関係について熱く語る。
「分かりましたか?」
 語り終えた一輪がそう言ったので、村紗が頷いた。
「うん、それは分かった。でもなんでナズーリンの家に?」
「聖が姐さんのパンツを全部ナズーリンの掘っ立て小屋に置いてきたって」
「何で?」
「知らないわよ、そんなの。とにかくそういう事だから。行くよ!」
「嫌だよ」
「どうして!」
「どうしてって、外、雨だよ? それに意味無いじゃんそんなの。私達の場合、忠誠とは違うし」
「私は弟子ですら無いし」
 村紗とぬえが面倒そうに言うと、一輪がいきりった。
「なら良い! 私だけで行くから!」
「行ってらっしゃーい」
「行てー」
「後で絶対ぎゃふんって言わせてやるからね」
 そう言って、一輪が駆け去って行ったので、二人が一輪の頭を心配していると、やがて聖がやって来た。
「こちらに一輪はやって来ませんでした?」
「さっき来てましたけど、変な事言って行っちゃいましたよ」
「そうですか。何だか私の冗談を真に受けたみたいで心配だったのですが」
「ああ、完全に真に受けてたね」
「うーん、どうしましょう」
「別に良いんじゃない? どうせすぐ戻ってくるでしょ」
「そうですか?」
「そうですよ。それより聖のパンツの色って何色なんですか?」
「今はベージュですね」
「あ、じゃあ私とお揃ですね」
「ぬえのは何色ですか?」
「今日は黒」
「ああ、正体不明っぽいね」
「いや、意味分かんない」
「そういえば、雑誌ですとピンクが一番良い色みたいですよ。今度みんなで外の世界に買いに行きませんか」
「良いっすね!」
「ああ、そう言えば、そろそろ夏だし、水着も買っとかなきゃ」
「じゃあ、決まりですね。明日にでもみんなでショッピングに行きましょう」
「さんせーい!」
 三人がそう言って笑い合っている間も、外では雨が降っている。鬼の様な形相の一輪が掘っ立て小屋を目指して走り、掘っ立て小屋では星が身を隠し、ナズーリンが濡れ鼠になりながら星の服を探している。そんな素敵な梅雨のひととき。

 番外編7
 青娥の傍らに座る芳香が嬉しそうに尋ねた。
「ねえねえ、主様ー」
「何?」
「主様のパンツの色は何色?」
「青よ!」
「さっすが主様!」
 しばらくして芳香が傍らの青娥に尋ねた。
「ねえねえ、主様ー」
「何?」
「主様のパンツの色は何色?」
「赤よ!」
「そうだっけ?」
「そうよ!」
「さっすが主様!」
 またしばらくして芳香が隣の青娥に尋ねた。
「ねえねえ、主様ー」
「何?」
「主様のパンツの色は何色?」
「黒よ!」
「え?」
「黒よ!」
「さっすが主様!」
 またしばらくして芳香が隣の青娥に尋ねた。
「ねえねえ、主様ー」
「何?」
「主様のパンツの色は何色?」
「白よ!」
「そうだっけ?」
「そうよ!」
「さっすが主様!」
 またしばらくして芳香が隣の青娥に尋ねた。
「ねえねえ、主様ー」
「何?」
「主様のパンツの色は何色?」
「青よ!」
「え?」
「青よ!」
「さっすが主様!」
 またしばらくして芳香が隣の青娥に尋ねた。
「ねえねえ、主様ー」
「何?」
「主様のパンツの色は何色?」
「ピンクよ!」
「さっすが主様!」
 またしばらくして芳香が隣の青娥に尋ねた。
 またしばらくして芳香が隣の青娥に尋ねた。
 またしばらくして芳香が隣の青娥に尋ねた。
 またしばらくして芳香が隣の青娥に尋ねた。
 やがて雨が降ってきた。
 またしばらくして芳香が隣の青娥に尋ねた。
 またしばらくして芳香が隣の青娥に尋ねた。
 またしばらくして芳香が隣の青娥に尋ねた。
 やがて雨が止んだ。
 またしばらくして芳香が隣の青娥に尋ねた。
 またしばらくして芳香が隣に尋ねた。
 夜になった。
 またしばらくして芳香が隣に尋ねた。
 またしばらくして芳香が隣に尋ねた。
 またしばらくして芳香が隣に尋ねた。

 番外編8
 紫が新聞を読んでいる傍で、橙の毛繕いをしていた藍が紫に言った。
「紫様、一つ質問をよろしいでしょうか」
 紫はすぐにその意図に気が付いて、居住まいを正す。
 忠誠を確かめたいなんて、藍も可愛げがあるものだ。
 すると、藍が毛繕いの手を止めて、しっかりと紫と眼を合わせ言った。
「紫様のおむつの色は何色ですか?」
「待てや、こら」
 紫が睨みつけると、藍がおかしそうに笑う。
「すみません、ご老体なのでてっきりおむつをされているかと」
 最近この式は随分と生意気になったなぁと憤慨しつつも、まあこれ位なら可愛いものだと新聞のページを捲ろうとした時、橙が藍に何でそんな質問をしたのかと聞いた。藍は快くパンツと忠誠心の話を簡単な言葉で説明すると、橙は感じ入った様子で笑顔になり、藍に尋ねた。
「じゃあ、藍様のおむつの色は何色ですか?」
 藍の絶望した表情を、紫は初めて見た。

 番外編9
「憂鬱だなぁ」
 美鈴は溜息を吐きながら、廊下を歩いていた。原因は咲夜からの依頼だ。つい先程、鼻血を流した咲夜が鈴仙と早苗を連れてやって来て、お嬢様のパンツの色を確認して欲しいと言った。自分で確認しろと言ったのだが、これ以上嫌われるのは嫌だ等と物凄く自分勝手な事を言って聞かない。断りたかったが、咲夜の目に常軌を逸した光が宿っていて、断ると怖そうだったので、受けてしまった。だが能々考えてみれば、レミリアの方も怖い。咲夜からの依頼では、スカートをめくって穿いているパンツを確認して欲しいとの事だったが、そんな事をすれば殺されるかもしれない。
 嫌だなぁと思っていると、都合が良いのか悪いのか、廊下の前方にレミリアの歩いているのが見えた。仕方が無いと腹を括る。一度約束した以上、それを破る訳にはいかない。
「お嬢様」
 振り返ったお嬢様は何だか苛立った表情をしていた。
「何? 今私、すっごく機嫌が悪いんだけど」
 美鈴は思わず息を飲む。本当に殺されるかもしれない。
 でも。
 震えを抑えて美鈴は恭しく一礼してみせた。
「お嬢様、一つお願いがございます」
「門番風情がこの私に何を」
「パンツの色を教えて下さい」
 言葉と同時に、美鈴が廊下を蹴って凄まじい勢いでレミリアへと突っ込んだ。もしも可能性があるとすれば、奇襲しか無い。レミリアが驚きの表情を浮かべながらも、体を向けて迎撃の体勢に入ろうとするのを観察し、美鈴は更に廊下を蹴って上へ飛ぶ。レミリアの視界から外れた美鈴はレミリアの真上の天井に着地し、レミリアが上を向こうとしているのを確認して、天井を蹴ってレミリアの背後に着地した。
 完全に背後を取った美鈴がレミリアのスカートをまくろうとすると、その手をレミリアの手が止める。顔すら向けずに背後からの奇襲を止めたレミリアが、殺意の籠もった声音を出した。
「何のつもりかしら?」
 レミリアの手に力がこもり、美鈴の手から嫌な音が鳴る。美鈴は掴まれた手を引いてレミリアの体勢を崩そうとしたが、びくともしない。それを確認して、美鈴は体を引いて反動をつけ、身を沈めてレミリアの股の間に滑り込んでパンツを確認しようとする。だがレミリアは即座に無数の蝙蝠と化して、その場から逃れてしまった。
「うーん、奇襲失敗」
 地面に倒れた美鈴はぼんやりと呟きながら、体を跳ねあげて立ち上がった。
 廊下の向こうでは殺気をみなぎらせたレミリアが立っている。
「もう一度聞くわよ。何のつもり?」
 射竦めようとするレミリアの視線に、美鈴は頭を掻きながら笑う。
「ですから、お嬢様のパンツの色を確認したかった訳でして」
「ああ、つまり死にたいわけね」
 レミリアはそう言うとしゃがみ込んだ。力を溜め込んでいるらしい事が分かって、美鈴は本当に殺されるのかなぁとぼんやり考えつつ、構えを取る。約束を守って死ぬか矜持を捨てて生きるか。選ぶのは当然前者だ。
 刹那の間を置いて、弛められたレミリアの体が赤い閃光となって、突っ込んできた。美鈴はそれを冷静に眺めて、受け止められない事を確信する。恐ろしい速度で突っ込んできたレミリアの頭部が防御しようとした右の掌に触れた瞬間、受け流す様に掌を逸らし、もう片方の手でレミリアの側頭部を押しながら、体を捻ってレミリアの軌道から逃れる。更に右手を手刀にしてレミリアの喉を狙って囮とし、左の手をレミリアのスカートへ伸ばす。
「誤ったわね」
 音を置き去りにした攻防であるはずなのに、美鈴は確かにレミリアの声を聞いた。
「第一に逃げる事を考えるべきだった」
 その瞬間、美鈴の目はレミリアの手に握られた赤い槍を認識し、次の瞬間全身に激痛が走って背後に吹き飛ばされた。
 壁に大穴を開けて、屋敷の外に放り出された美鈴は、庭の中央に着地して、空を見上げる。空にはレミリアの暴力的な赤い姿がある。
「あら、まだ生きていたの」
 レミリアの嘲る様な声音に、美鈴は笑って構えを取った。
「ようやっと体が温まってきたところで」
「そう。でもすぐに冷たくなるわ」
 庭が暗く陰る。太陽を覆う程の赤い霧が立ち込め、庭中に鎖が張り巡らされ、狼達が群れをなし、蝙蝠達が飛び交い、悪魔達が哄笑を上げている。
 それを見渡して、美鈴は微笑んだ。
「ご冗談を。パンツの色を確認するまで死ねません」
 そうして、空を飛ぶレミリアへと向かって跳び上がり、そこからパンツを巡る一大戦争が始まった。
 戦争の最中、鈴仙は他の者達と同じ様に、屋敷の中で震えていた。窓から外の地獄を眺めつつ、隣の咲夜に声を掛ける。
「あの、咲夜さん。もうパンツの色は分かったんですし、そろそろ止めた方が。無理かもしれませんけれど」
 鈴仙の言葉通り、レミリアのパンツの色は既に分かっていた。美鈴とレミリア、更に何故かフランも加わった三つ巴の大戦争の中、レミリアは美鈴にはパンツを見られない様注意を払っているが、その他への注意はからっきしで、傍からは丸見えだった。
 この戦いはレミリアのパンツの色を知る事が目的だ。ならばその目的を達した今、これ以上の戦いは無意味だ。
 そう考えて、隣を見ると、咲夜が外の戦いに向けてカメラを構えていた。
「あの、咲夜さん?」
 鈴仙が問うと、咲夜がシャッター切って、写真を取った。それからも何度か断続的にシャッター音がなる。どうやらレミリアのパンツをとっているらしい。
「あの、咲夜さん?」
「今、大事なところなので、ちょっと黙っていて下さい」
 そう言って、咲夜は写真を撮り続けた。
「最低だ、この人」
 鈴仙と早苗が呆然とし、咲夜が写真を取り、屋敷の者達が震えている間にも、パンツを掛けた意地とプライドの戦いは益々激化し、やがて雨が降り出しても、戦いの炎は更に火力を増していった。

 番外編10
「輝夜様、ちょっとお聞きしたい事があるんですけど良いですか?」
 来た来たとほくそ笑みながら、輝夜は振り返る。
 忠誠心とパンツの話は既に知っていた。やっぱり聞きに来たかと、内心喜びながら表情だけは澄まして、駆け寄ってくる鈴仙を見る。
「ええ、良いわよ。何かしら?」
「師匠が何処に行ったか知りません?」
「え? それが質問?」
「ええ、そうですけど」
「ああ、そう」
 もしかしてまだパンツの話を知らないのかなと疑問に思いつつ、輝夜は首を横に振った。
「残念だけど、知らないわ」
「そうですか」
 そう言って、残念そうに鈴仙は去って行った。
 それからすぐに、今度は永琳がやって来た。
「あ、輝夜。ちょっと良い?」
「何?」
「実はパンツの事で」
 お、と輝夜が胸をときめかせる。考えてみれば、自分と永琳の関係は主従と言えない事も無い。
「何かしら?」
「優曇華を探しているんだけど、何処に行ったかしらない?」
「え?」
「パンツの事で優曇華を探しているんだけど、知らない?」
「何か向こうに行ったけど」
 輝夜が鈴仙の去って行った方角を指さすと、永琳がお礼を言って駆けて行った。
 残念な気持ちで、自室に戻ろうとすると、途中でまた鈴仙に出会った。
「あ、輝夜様。またちょっと聞きたい事が」
 今度こそか? と期待しつつ、輝夜は笑みを浮かべる。
「何?」
「師匠がまだ見つからないんですけど、知りませんか?」
 輝夜は落胆して、永琳が鈴仙を探していた旨を告げる。鈴仙は嬉しそうに駆け去って行った。
 更に少しして、また永琳がやって来た。
「あ、輝夜。ちょっと」
 もう期待なんかしない、と思いつつ、それでももしかしたらという淡い期待を抱いてしまう自分を恥ずかしく思う。
「何?」
「鈴仙が何処にも居ないんだけど」
「さっきから永琳を探して屋敷中駆けまわってるわよ」
「そうですか」
 肩を落とす輝夜をよそに、永琳は不思議そうに駆けて行った。
 それから自室に戻ると、部屋の前でてゐにあった。
「あ、姫様。鈴仙とお師匠様を知りませんか?」
 もう落胆もせずに、二人は屋敷中を駆け回っているであろう事を淡々と伝えると、てゐは礼を言って駆け去って行った。
 何だかやさぐれる様な気持ちで、部屋に入り、布団に寝転がると、うつらうつらとして、やがて眠りに落ちた。外から雨の降る音が聞こえた気がした。
「姫、姫」
 永琳の声が聞こえて目を覚ますと、あたりはすっかりと真っ暗だった。うたた寝を恥じつつ、声に導かれて襖を開けると、永琳と鈴仙が立っていた。夕飯を告げに来たにしては何かおかしな態度をしている。
「ちょっとよろしいですか?」
「良いけど」
 良く分らないままに導かれて歩むと、やがて外の庭に通じる縁側に出た。雨の匂いが漂っているが、空はからりと晴れて、三日月が浮かび、沢山の星が見えた。沢山のイナバ達が集まっていて、その先頭にはてゐがいた。
「これは?」
 輝夜が永琳に尋ねると、永琳は微笑んだまま、庭に出て、鈴仙と一緒にてゐの横に並ぶ。
「姫様お尋ねしたい事がございます」
 永琳の声が朗々と響き渡る。
 その残響が消えると、今度は庭に集った全員が一斉に声を上げた。
「姫様のパンツの色を教えて下さい!」
「え?」
 輝夜が戸惑っていると、永琳が前に進みでた。
「それぞれが勝手に聞くのは、手間でしょうし、それに抜け駆けみたいでしたので、こうして皆で一斉に聞かせて頂きました。我我、姫に仕える従者一同、忠誠の証を承りたく思います」
 永琳の言葉を聞いた輝夜の目から、涙がこぼれ出る。
 腐っていた自分が情けなかった。
 皆、こんなにも自分の事を思っていてくれたのに。
 輝夜は涙を拭う。
「白」
 だがその声は小さすぎて、進みでた永琳にしか聞こえない。
「姫、申し訳ありませんが、もう少し大きな声で」
 輝夜はもう一度涙を拭うと、ぼやける視界に映る大勢の忠義者達を見渡して、しっかりと胸を張る。
「白よ! 私の下着は白の襦袢!」
 途端にイナバ達が歓声を上げた。皆が諸手を上げて喜び合い、庭が熱気に包まれる。永琳と鈴仙が寄ってきて、輝夜の腕を取った。鈴仙まで涙を流している。
 二人に引っ張られて、イナバ達の輪に入り、皆の熱狂的な歓迎を受けながら、輝夜は思う。
 長き時を生きても分からない事なんて沢山ある。ずっと知らなかった。下着というただの布が、こんな風に繋がりを感じ取れる、こんなにも素敵な布だったなんて。
 沢山の繋がりが私を包んでいる。だから私は生きていける。
 溢れ出る涙を拭いながら、輝夜は思う。
 私は、生きている。
 私は、幸せだ。


 Correct!
 皆さん、いかがでしたか?
 パンツの色の聞き方をマスターし、納得の行く人生を歩める事をお祈り致しております。
友達が大人びた下着を着けていた時の焦りは、密林の奥地でスナイパーに襲われた時のそれに似ている。
烏口泣鳴
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コメント



0.2140簡易評価
3.100名前が無い程度の能力削除
今までと毛色が違うね。
前のも今のも、どちらも好き。
6.100名前が無い程度の能力削除
くそっやられたw
7.100奇声を発する程度の能力削除
これはw
8.80名前が無い程度の能力削除
お燐「あの、s
さとり「赤よ」

みたいな展開はなかった
9.100名前が無い程度の能力削除
これでは、いけませんね。
ツボでした。面白くて好きです。
13.100名前が無い程度の能力削除
最初から最後の後書きまで一貫して意味がわからないのに何故か面白いという
16.100名前が無い程度の能力削除
ニコニコの面接シリーズみたいでしたね。
いろんな勢力のお話をいれていて、充実していたのがよかったです
23.100名前が無い程度の能力削除
思っていたより面白くて悔しい気持ちです
28.100名前が無い程度の能力削除
言い出しっぺの癖して咲夜さん・・・
30.100MTB削除
うおお、で耐えられなかった。うおお。
36.90過剰削除
衣玖さん流石
それに比べてメイド長ダメすぎる……
絶望した藍しゃまは儚月抄の土下座ゆかりんの時の顔してそうwww
37.100名前が無い程度の能力削除
それぞれ十人十色で面白いですねぇ
今度試してみます!
39.100名前が無い程度の能力削除
い…Incorrect!?
見たことの無い単語ですねー…。ニュアンス的には「(テストなどで)正解ではない」となりますからかなりズレてる感があります。
正しい⇨Good, Right
間違い⇨Bad, Wrong
適切⇨Correct
間違い⇨Mistake
で良いと思います。
42.90名前が無い程度の能力削除
※39
うちの英会話の先生(ネイティブスピーカー)はIncorrect使ってるよ

やっぱりえーきさまは白だったんだね!
43.100完熟オレンジ削除
後書き……くそぉ、やられた……。
44.100名前が無い程度の能力削除
これは面白かった
48.100鬼灯削除
めちゃくちゃ面白かったです!
50.100名前が無い程度の能力削除
いやぁ面白い
52.100tのひと削除
最高です
53.100静かに読み続ける程度の能力削除
お前ら……、最高だwww
57.1003削除
私が今まで読んできた中でも最高にバカなSSだコンチクショウ!
読んでいる間終始ニヤニヤしっぱなしで明らかに不審者でした。はい。
63.90ばかのひ削除
衣玖さんが空気読めすぎてすばらしいですね
64.100名前が無い程度の能力削除
全体的にわけがわからなくて最高なんだけど
番外編6の終わり方が特に好きです
67.100名前が無い程度の能力削除
藍しゃまざまぁwww