Coolier - 新生・東方創想話

黒の四始祖ここに蜂起せり

2013/03/14 00:10:50
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「ねえ、聞いてリリー。私、改名したの」
 それは突然のことでした。顔をあわせるなり、冬の妖怪レティ・ホワイトロックさんにそんなことを言われて、おもわず「はぁ?」とスットンキョウな声をあげてしまいました。
 ん? いや、改名したと言っているので、レティ・ホワイトロックさんではありませんね。なんと呼んだらいいのでしょうか。元レティ・ホワイトロックさん? 面倒くせえ。とりあえず、冬の妖怪さんと呼んでおけばいいでしょう。
 にしても、なんでまたいきなりそんなことを言いだすのでしょうか。わざわざそんな話をしにこられるほど、たいして仲良くもなかったはずですけど? そりゃ、年に一回、冬の終わりというか春の始めにちょっと見かけてあいさつするくらいのことはしますけど、どちらかというとお互い商売敵というか。春告精と冬の妖怪が仲良くするなんて、ふつうに考えてありえないですから。
 それなのに、わたしにこんな話をするなんて――もしかして、本気で友達いないひとなんでしょうか。うん、まあ、能力からいって嫌われてそうですからね。それだったら仕方ない。一応は話くらい聞いてあげなきゃ、いくらなんでもかわいそうですね。
 わたしは春告精。ぼっち妖怪さんの話にだって満面の営業スマイルで付き合ってあげて、心にすこしばかりの春をお届けしますよー。
「で、なんていう名前にしたんですか」
「レティ・ホワイトロック改め、レティ・ブラックメタル」
 胸をぐっと張り、強い決意をこめた声で名乗る彼女の顔には、白塗りコープスペイントがほどこされていました。



 ……いやいや。



 いやいやいやいや。



 ヤバいヤバい。うん、明らかにヤバいですね、このひと。
 いやいや、ブラックメタルて。たしかに、能力からいってノルウェーとかあのあたりになじみそうな感じはしますけど、でもブラックメタルて。しかもコープスペイントて。それ、少女が外を出歩くときの格好とちゃいますやん。
 アレですね、とにかくすこしでも関わっちゃダメなひとだったんですね。というか、ふつうはそれくらい一目見た時点で気づくでしょうが。わたしってばバカバカ。
 ともあれ、そうとわかったからには一刻もはやく逃げるが吉。友達いなくてかわいそうだとか言ってる場合じゃありません、わたしまで引きこまれてしまいます。くるりと背中をむけて、さあ、猛ダッシュ――
「あら、どこ行くの」
 おっとりとした印象やふくよかな体型にはまったく似つかわしくない素早さ。レティさんはわたしをフルネルソンにとらえました。
 うああああああ、ヤバい! ヤバい! ここでつかまってしまったら、可憐でかよわい妖精であるわたしなど、黒魔術の儀式に使われて、あっちの穴やらこっちの穴やら、さんざん汚し尽くされてしまうに決まっています。ああ、逃げなければ! なんとしてでも逃げなければ、純潔の白百合が無惨に散らされてしまう!
 力では勝てるはずもありませんが、それでもあきらめるわけにはいきません。必死でもがいて、もがいて、もがいて――ん? なんだか背中があたたかい。とても冬の妖怪とは思えないほどのあたたかさです。そして、ぐにゃっとしたやわらかさ。まるいものがふたつ、とんでもない重量感でわたしの背中に押しつけられています。
 のぉほほ、この感触! この密着空間は、まさに小さな桃源郷! もしかして、わたしの背中に当たっているのは、もしかして――おっぱい?

 ……おっぱい。

 ……おっぱい?

 ……おっぱい。

 ……おっぱい!

 おpp
「ねえ、ちゃんと聞いてリリー」
「あい」
 ぐりんと体を反転させられ、レティさんと真正面から向きあった瞬間、わたしは春色のユートピアから現実へと引きもどされました。
 さすがは冬の妖怪さんといったところでしょうか。据わった目でじっと見つめられると、ケツの穴にツララをつっこまれたような寒気が背中から首筋をつらぬいていきます。あ、いえ、べつにこんな例えをしたからといって、実際にケツの穴にツララをつっこむような特殊なプレイをやったことがあるわけではなくてですね。……いや、本当ですよ?
「前の冬がそろそろ終わろうとしていた頃のことなんだけどね」
 あ、そうこうしているうちにレティさんの語りが始まってしまいました。聞かなきゃダメなんですかね。……聞くしかないですよね、やっぱり。
「ある人物に出会ったのよ」
「はあ。だれですか」
「ユーロニモスさん」
「ユーロニモスさん!?」
 なんということでしょう! メイヘムを結成し、初期ブラックメタルの中核的人物として活躍した、あのユーロニモスさんが! カウント・グリシュナックさんに殺害された後、この幻想郷にやってきていたとは!
「彼の音楽に、私はいたく感銘を受けたわ。それで、私っていつも春から秋は何もすることがないじゃない? 暇だし、ずっとブラックメタルを聴きまくっていたのよ」
「あ、やっぱり冬以外はニート生活だったんですね」
「そこは食いついてほしくなかったわ」
「ごめんなさい」
「……とにかく」
 レティさんはひとつ咳払いをして、つづけました。
「私は決心したわ。プリズムリバー楽団や鳥獣伎楽みたいに音楽はできないけれど、ブラックメタルの思想を体現することはできる。この私が黒幕となって、インナーサークル幻想郷支部を立ち上げよう、って」
 わぉ、インナーサークル! 初期ブラックメタル・ミュージシャンたちによって構成され、悪魔崇拝・反キリスト教の思想を実行に移してしまったことによってヨーロッパ全土を震撼させた、あのインナーサークル! 犯した罪の重さによって組織内での発言力が増すとされ、メンバーがこぞって強盗・放火・殺人などに手を染めたという、あのインナーサークルですか!
「丁寧に解説ありがとう。で、とりあえず黒魔術の儀式でもしようかと思って、生贄に使う人間の子供を調達しに人里に行ったのよね」
 冗談じゃありません。わたしは春告精リリーホワイト、純白の象徴。こんなイカレたひとと話してたら、それだけでわたしのイメージがケガレてしまいます。
 さいわい、レティさんは熱心に話をしていて、さっきとくらべたら隙だらけです。行くなら今! くるりと背中をむけて、さあ、猛ダッシュ――
「ぶふぉっ!?」
 目の前になにかが立ちはだかっていて、顔面からおもいっきりつっこんでしまいました。……でも、痛くない! まるくておおきくてあたたかいクッションがふたつ、わたしを抱き止めてくれたのです。
 ん? このやわらかい感触は、もしかして――おっぱい?

 ……おっぱい。

 ……おっぱい?

 ……おっぱい。

 ……おっぱい!

 おp
「話を聞いてくれないか、リリー」
「あい」
 わたしはおっぱいから離れて、そのひとの顔を見上げてみました。たしか、人里の寺子屋で先生をしているひとですね。うん、このヘンテコな帽子は、きっと上白沢慧音さんでしょう。顔には白塗りコープスペイントがほどこされているので、はっきりとは言い切れませんが。
 うしろから、レティさんが肩に手を置いてきました。はぅ、つかまった。
「生贄の調達で訪れた人里で、私は同志に出会ったの。それが彼女よ」
「改めて自己紹介しよう。上黒沢慧音だ」
 ……あー、あなたも改名してましたか。
「レティとはすぐに意気投合してな。寺子屋の生徒たちも連れて、インナーサークル幻想郷支部に加えてもらうことにした」
 子供たちも道連れとは。ひどい教師です。
 慧音さんの目配せを受けて、レティさんが話をつづけました。
「まず最初の活動として、私たちは寺に放火することにしたわ」
「いやいや、なんでですか」
「だって、幻想郷にはキリスト教会がないから」
「は?」
「教会がないのなら、寺か神社に放火するしかないじゃない!」
「わけがわからないですよ」
 もうムリです。さすがにもう話についていけません。というか、これ以上聞いていたら頭がおかしくなりそうです。わたしはレティさんの手をふりほどいて、猛ダッシュしました。ふたりにはさまれているわけですから、さっきよりもきびしい状況ではありますけど、あきらめるわけにはいきません。ほら、言うじゃないですか。三度目の正直とか! 二度あることは三度目の正直とか! 仏の顔もサンドマンとか!
「うおおお……ぶふっ」
 ああ、またしても! またしても、目の前に別のだれかが立ちふさがっていて、わたしは顔面からつっこんでしまいました。……そして、痛くない! まるくておおきくてあたたかいクッションがふたつ、わたしを抱き止めてくれたのです。
 このやわらかい感触は、もしかして――おっぱい?

 ……おっぱい。

 ……おっぱい?

 ……おっぱい。

 ……おっぱい!

 お
「あなたがリリーさんですね」
「あい」
 わたしはおっぱいから離れて、そのひとの顔を見上げてみました。たしか、お寺の住職さんですね。うん、紫と金色のツートンカラーのロングヘアが目印です。顔には白塗りコープスペイントがほどこされているので、はっきりとは言い切れませんが。
 ここまでの流れを考えてみると、さすがにもうわかります。このひとはすでに、聖白蓮さんではないのでしょう。
「えーと……聖黒蓮さん、ですか」
「いいえ。邪黒蓮です」
 ヨコシマ! そこまで変えちゃいますか、徹底してますね! 逆に感心してしまいます!
 うしろから、レティさんが肩に手を置いてきました。はぅ、つかまった。
「放火するつもりで訪れた寺で、私たちは新たな同志に出会ったのよ。それが彼女」
「いやいや、仏の道はどうしたんですか。そんな顔して、お弟子さんたちが心配しますよ」
 黒蓮さんはにっこりとほほえんで、わたしに答えました。
「仏教なんてとっくに捨てました。弟子たちともども、ノルウェー土着信仰に改宗済みです」
「マジですか」
「ああ、呪詛の世界に闇が満ちる」
「Holy Shit! あんたら、行き着くところまでイっちゃってますね!」
 マズい。これはもう、真剣にマズいです。三人にしっかりと囲まれてしまっては、もう逃げ道などありません。
 ああ、もうわたしの運命は決まってしまいました。黒魔術の儀式の生贄に使われて、穴という穴がガバガバになるまで汚し尽くされて、一回休みから復活してはまた汚されて――そうして、ココロが壊れてしまうのです。瓶のなかに閉じこめられて、レイプ目で外をながめるだけの日々。みなさんごめんなさい、わたしはもう春告精としてのお仕事をまっとうすることができません。
 体のふるえが止まらなくて、気を失わないようにするのがやっとでした。そこにレティさんがすっと顔を寄せて、やさしげに語りかけてきます。
「このことをあなたに話した意味、わかるわよね」
「へ?」
 そういえば、どうしてでしょう。わざわざこんな話をしなくても、問答無用で拉致ってしまえばいいものを。すこし考えてみましたが、頭の中はまだパニック超大作状態で、それらしい理由は思いあたりませんでした。
 ぽかんとしていると、レティさんはわたしの手をとって、しっかりと握りしめました。
「インナーサークル幻想郷支部へようこそ。よろしく、リリーブラック」
 リリー……ブラック?
「いやいやいやいや、わたしは改名なんてしません!」
「嫌なの?」
「わたしにも、表向きのイメージというものが!」
「いいじゃないの、リリーブラック。二次創作ではよく聞く名前だし、少なくとも私たちよりは読者に受け入れられやすいと思うわ」
「あ、それもそうですね」
 はい決定。わたし、いまからリリーブラックになりました。
「そうか、仲間に加わってくれるか!」
「歓迎しますよ!」
 慧音さんと黒蓮さんも、わたしに抱きつかんばかりによろこんでくれました。こんなにキレイなお姉様方に囲まれていられるだけでも、改名した甲斐は十二分にあるというものです。前から後ろから、おっぱいが当たりまくってますし。ふひひ。
 でも――ひとつだけ、不安がありました。レティさんがわたしの顔をのぞきこんで、心配そうにたずねてきます。
「あら、どうしたのリリー。浮かない顔をして」
「だって……」
 わたしを囲む、六つのおっぱい。どれも豊かに盛りあがって、ちょっとした山のごとく圧倒的な存在感を主張しています。ところがどうでしょう。視線を下にむけてみれば、自分のつま先までさえぎるものはなにもなく、断崖絶壁直滑降で下まですとーんと落ちてしまいました。
 そう、わたしにはおっぱいが足りない。このお三方と肩をならべるには、絶対的におっぱいが足りないのです。
 恥じ入りながらそのことを話すと、黒蓮さんはそっと頭をなでてくれました。
「小さいものは、小さいからこそ無限の可能性があるのです。大きく育てるも良し、小さいままで愛でるも良し。どちらの舐め心地も優劣はつけ難いと、私は思うのです」
「黒蓮さん……」
「あなたのその可能性を、ブラックメタルの未来のために使ってみませんか」
「黒蓮さん!」
 ああ、このひとは、ものすごくいいひとです。いくらか気になる部分はありましたが、そんな細かいことはどうでもいいと思えるくらい、本当にいいひとです!
 慧音さんも、やさしく背中を叩いてくれました。
「私がなぜ寺子屋で教師をやっているのか。その理由、知っているか?」
「いいえ」
「それはだな……子供たちの未発達おっぱいを至近距離でガン見するため! あわよくば、その感触を手で味わうため! それ以外に理由などあるものかッ! いいじゃないか、ぺたんこおっぱい!」
「慧音さん!」
 アウトー! いまの発言、教師としては即刻アウトです! しかし、インナーサークル内での発言力は高まったんじゃないでしょうか。おめでとうございます!
 レティさんは、ふわりとほほえみかけてくれました。
「あのね、リリー。ブラックメタルには背徳性が必要なの。その意味で、どう見ても幼女なあなたが仲間に加わってくれるなら、とてもとても心強い」
「レティさん……」
「幼女がブラックメタル。これ以上の背徳性はないわ」
「レティさん!」
 感動のあまり、涙がでてきそうでした。
 こんなド貧乳のわたしでも、彼女たちの仲間として受け入れてもらえるのです。インナーサークル幻想郷支部には、ちゃんとわたしの居場所があるのです。こんなにうれしいことはありません。
「よろしくおねがいします! わたし、がんばります!」
「こちらこそ、よろしく!」
 わたしは六つのおっぱいに包まれて、もみくちゃにされました。おっぱい。
 こんなにステキなお姉様方に囲まれて活動できるなんて、想像しただけで鼻血が出てきそうです。みんなで強盗したり放火したり、黒魔術の儀式をしたり、金髪巨乳美少女を輪姦したり。胸が高鳴って、全身が熱くなってきました。
 レティさんが、山の上を指さして言いました。
「さあ、さっそく神社に放火しに行きましょう」
「はい!」
 自然と返事の声もはずみます。この先にはきっと、さぞかしステキな日々が待っていることでしょう。
 その始まりが今日。わたしたちが幻想郷を恐怖で包んだ最初の日として、今日という日は歴史に刻まれるのです。



 O)))



 白玉楼が黒玉楼になったのは、それから三日後のことでした。
閻魔様「白黒はっきりついていて、大変よろしい」

ホワイトデーはプリミティヴブラックメタル
汗こきハァハァ
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コメント



0.470簡易評価
3.90名前が無い程度の能力削除
評価は割れそうだが俺はこういうの大好きだぜ…おっぱいも含めてな…
4.100名前が無い程度の能力削除
まさかブラックメタルがくるとは…! メタル派の俺には、こいつら最高だった

そして後書きw
これでマジ吹いた瞬間、俺の中で100点が確定した後はインナーサークルまで出してきて、削除されない事を願うばかりw 削除されても文句言えないだろうがな!w
5.80名前が無い程度の能力削除
作者さん、あなた溜まっているのよ。
8.100名前が無い程度の能力削除
まさかここでインナーサークルの文字をみるとはw
ユーロニモスさんは幻想郷で何してるんだろうか
いろいろぶっ飛んでるけど、個人的には最高でした
10.90名前が無い程度の能力削除
メタルわからんのよ・・・ごめんな。
でも知らなくてもノリと勢いで普通に面白かった。てか爆笑した。
11.80奇声を発する程度の能力削除
良いね、こういうの
12.80名前が無い程度の能力削除
俺は評価する

そそわでインナーサークルの名を拝む日がくるとは
14.90名前が無い程度の能力削除
白つながりがよもやこんなことになるとは……良識派二人の陥落と閻魔様の公認を得てしまった彼女たちインナーサークル幻想支部は、ブラックな世界を顕現させるために奮迅するのだろうな……神社に放火の時点で霊夢による壊滅フラグかと思っていたのに……
17.100名前が無い程度の能力削除
黒玉楼……………
なんだかブ◯ーチに出てきそうだなぁ
18.100名前が無い程度の能力削除
なんだこれw
19.803削除
おっぱい分はあるが勢いが足りないッ!
あ、基本的には満足しております。はい。