Coolier - 新生・東方創想話

森近霖之助、最大のピンチ

2005/08/02 18:50:15
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※オリジナル&下ネタがかなり詰まっています。苦手な方ご注意下さい。






 幻想郷の人里から離れた魔法の森、その森のすぐ近くに僕の店「香霖堂」はある。
僕の名は森近霖之助。古道具屋「香霖堂」の店主をしている。店主と言っても店員は僕だけで、客も無いに等しい。
時々霊夢や魔理沙や咲夜などが買い物(?)に来てくれるくらいだ。でも僕は金儲けのために商売をやっているわけではない。
僕のこの『未知のアイテムの名称と用途がわかる程度の能力』を使った単なる趣味だ。
さて、今日もまた一日が始まる。開店の準備も終わった。

 さあ、店を開けよう。
がらら。
「あっ、おはよう、お兄ちゃん!」
ぴしゃり。
閉めよう。
ふう、あぶないところだった。さて、何をしようとしていたっけ?
そうか、お茶を入れて本を読もうとしていたんだっけ。外からひっどぉーいとか聞こえてくるがきっと幻聴だろう。
おちつけ、僕。
しかしどうしたものか、僕に妹はいない…はずだが。
どんどんどん!
仕方ない、戸が壊れる前に開けよう。
…がらら。
「ひどいよお兄ちゃん!お兄ちゃんの馬鹿!白髪!メガネ!」
怒られてしまった。
「君は誰だ」
「っ。私を忘れたの?あれだけ私を可愛がったくせに!」
まて、僕は決して小さい子に手を出したりしないぞ。ついでに褌姿で飛び回ったりもしないぞ。
「待ってくれ、僕にはまったく身に覚えが…」
「私のことは遊びだったのね!うわぁああ~ん!」
nakidasitesimaimasita。
…はっ、まずい、あまりのショックで我を忘れてしまったようだ。
う~ん、泣いている。幼女が泣いている。
人間かな?7歳前後に見えるが…。しかしこんな姿を魔理沙にでも見られたら僕の人生は終わってしまう。
「取り敢えず中に入って」
「中に入れるなんて…。私の体が目当てなのね!」
もうやだ、誰か助けて。


 店内へ幼女を誘導し、お茶を飲ませ落ち着かせる。
僕も動転しきった心を落ち着かせるために濃いお茶を啜る。
さて、まずは話を聞こうじゃないか。
「君はなんて名前なのかな?」
できるだけ優しくしないとな。さっきみたいに泣かれたら面倒だ。
幼女はやっと落ち着いたのか泣き止んだ。
「…私は香織っていうの」
「香織ちゃんか、いい名前だね」
誉めてみた。
すると幼女は花が咲いたような笑顔を見せた。
かわいいなぁ…。
つられて僕もニコニコしながら香織の顔を眺めていた。
香織は僕と目が会うと頬を染め、
「やだお兄ちゃんのエッチ。そんな舐め回すように視姦しないでよ」
と言いやがった。
ふう、最初の衝撃よりも慣れたとはいえかなりの破壊力だな。
取り敢えず重要な訂正をしよう。
「勘違いしないでほしいな。僕は君のようなロリィな体に欲情しない」
言ったやった。ははは、ついに僕は言ったぞ!
たとえ香織を可愛いと思っても、それは赤ん坊を可愛いと思うのと全く変わらないんだ!
ああそうだ、僕は決してロリコンじゃない!ないですよ?チガイマスヨ?ボクチガイマスヨ?ホントニ!
げふんげふん。今日も空気が美味しいなぁ。
軽く僕が現実逃避をしていると、香織は不思議そうに首をかしげていた。
「まぁ、お兄ちゃんが変態さんじゃないのは良かったわ。それと私今日からここに住むわね」
待て今何と言った?住む?住むって?一つ屋根の下で僕と幼女がっ住むんですか?!フオォォォォ!!!
「まあ何だか良く解らないが、来る者は拒まないよ。それとお兄ちゃんは止めてくれないか」
僕の精神の安定のために。
香織は少し考えてからこう言った。
「じゃあ私がこのお店で働くから店長って呼ぶね!」
笑顔が眩しかった。ついでにおさげのポニーテールが揺れた。
こうして僕の城に奇妙な住人が加わった。

 さて、暇だ。
今日も今日とて客が来ない。何時も来ないから今日も来ない。明確な論理だ。
香織も暇なのか、店内においてある玩具で遊んでいる。
「よう香霖。魔理沙様が来てやったぜ」
本を読んでいたら魔理沙が来た。魔理沙は僕が修行していた霧雨家の娘だ。
最も、魔理沙が生まれる前の話だが。
「なんだい魔理沙。今日は特に何も仕入れていないよ」
魔理沙を牽制する。こいつは店のものを勝手に持っていくことがあるのだ。
しかも僕は魔理沙に頭が上がらない。
それは魔理沙の蒐集品を僕が不当に安い条件で手に入れているからだ。魔理沙は集めるだけで片付けも捨てることも出来ない。
よって僕が貰うのだ。大体がガラクタだが、たまに草薙の剣のように貴重な品物が眠っているのだから恐ろしい。
「あー、なんだ。どうせお前が暇していると思ってな。遊びに来てやったんだ。感謝しろ」
全く魔理沙は変わらないな。人間なのにこれほど変わらない者は珍しいだろう。いや、霊夢がいたか。
魔理沙と世間話をする。まあ暇なのは確かなので暇つぶしにはなるかな。
そう思っていると
「あ!店長!浮気しないでください!!」
不吉な声を聞いた。…うん、幻聴だろうな、きっと。
「きぃぃー!私の店長を寝取ろうなんて、この泥棒猫!!」
幻聴ではない。これは現実だ!しっかりしろ森近霖之助!お前は男だ!!!しっかり責任を…。
はっ、まて僕はナニもしていない。よって責任を取る必要も無い!こんな事に今まで気づかなかったなんて、僕はどうかしていた!
「へぇ、ほぉ、ふぅん。誰だこいつ?香霖のコレか?」
魔理沙が小振りで可愛い小指を立てる。だから何処でそんな事覚えてくるの君達?嫌がらせ?おじさん怒っちゃうゾ!
僕は内心の焦りを必死で抑えた。
「いや、今日家に来たんだが、まあ新しい店員だ。別に香織とはナニも無いよ」
全力で平常心を保つ。
「うそ!昨日あれだけ私を可愛がってくれたじゃない!!まさかもう私の体に飽きたの!!?」
見事に失敗した。三人を気まずい空気が包み込む。
なんなんだこの不思議空間は?あれか?嫌がらせか?おー神よ!
さあ落ち着こう森近霖之助。まずは深呼吸だ。すーはーすーはー。ひっひっふー。コォォォォ。
「あー、なんだ、その、あれだ香霖。
 お前の趣味をとやかく言うつもりは無いが、幼女はやめとけ」
あっはっはっは、何を言っているんだい魔理沙。誤解なんだよ、だからそんな目で僕を見ないでおくれ。
「店長は私のナイナイペタペタが好きなんだよねっ!」
うおぉぉ!開幕直後より鮮血乱舞、烏合迎合の果て名優の奮戦は荼毘に付す!回せ回せ回せ回せ回せ回せぇ!
…ふぅ、なにやら意味不明な台詞が浮かんできたがおかげで多少落ち着いてきたぞ。頑張れ僕。負けるな僕。
「もう勘弁してくれ…。本当にナニも無いよ。香織も反省しなさい。僕、嘘を吐く子は好きじゃないな」
もう疲れた…。
「むぅ、店長ぉ、私のこと嫌い?」
う、待ってくれ。その捨てられた子犬のような眼をするのは反則だ。頼むからウルウルした眼で僕を見つめないでくれ!!
あははははは、何でこんな状況に陥ってしまったのだろうか?嫌いだなんて言えないじゃないか。
「あはは、もちろん僕は香織のことが好きだよ。…アハハハハ、ふぅ…」
「わぁーい!店長だぁーい好き!」
瞬く間に輝くような笑顔になり、香織が抱きついてくる。
アハハハ…、可愛いなぁ。僕は嬉しいよ、うん。
何か大事なものを失った気がするけど、きっと気のせいさ。
ふと見れば魔理沙はかつて無いほどニヤニヤしていた。
…?嫌な予感がする。何だこの背中に走る前代未聞の悪寒は?
「みんなに土産話ができたな。今夜は宴会だ。香霖と香織も来いよ」
僕の体に稲妻が走った。世界新記録で。
「ま、待ってくれ、魔理沙!後生だから!」
「もう遅いぜ。今日の、そうだなぁ、日が暮れたら迎えを寄越すから。絶対来いよ。
 来なかったら無いこと無いこと言いふらすぜ」
最悪だった。僕の長い生の中で是程のピンチがあっただろうか?いや、なかった。
思わず反語を使ってしまうほどピンチであった。あきらめよう、僕は荒事には向いていない。従うしかない。
「そうね、店長の知り合いにお披露目してもらおっと!」
香織はもう既に乗り気だ。

 霖之助が太陽を見上げ、
あーあ、お天道様、僕が何かしましたでしょうか?
などと呟いた。

 そして、霖之助生涯最悪の夜が始まる。
どうも、大石です。
限界突破しちゃったかな?私的にはセーフなんですが…。
大石
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コメント



0.1460簡易評価
10.80名前が無い程度の能力削除
続き物ですか?
いやぜひ続いて欲しい♪
21.70名前が無い程度の能力削除
失礼承知でまず誤字指摘を。魔理沙の台詞です。「みんに土産話が~」→「みんなに」
正直な霖之助がとても楽しかったです。彼のピンチはこれからですね…。
どんどん突破させてください。どんどん。
22.80無為削除
>ナイトルーラー ザ ブラッドディーラー
そりゃあ、カットしたくなるでしょうな。色々と。
24.無評価大石削除
指摘感謝。修正いたしました。
25.無評価名前が無い程度の能力削除
変体× →変態○ かと……
32.30名前が無い程度の能力削除
はじ(以下略