Coolier - 新生・東方創想話

行先

2012/11/22 22:08:32
最終更新
サイズ
1.83KB
ページ数
1
閲覧数
1186
評価数
5/13
POINT
680
Rate
10.07

分類タグ

「蓮子、前もその本読んでなかった?」
「わっ、起きてたのねメリー」
「えぇたった今。で、その本前も読んでいたでしょう?」
「本は二回読むべきものよ。二回目以降は本によるけど」
「確かに、一回目と二回目では、その本に抱く感想は大きく変わるわよね」
「でしょう?」
「一回目は全くストーリーを知らずに読むけど、二回目では展開が読めているから、視点が変わる、ってことなのかしらね」
「えぇ、本を一回読むのと二回目に読むのでは、二回目と三回目のそれとは大きく違った意味を持つわ」
「そうかしら? 二回目を読んだ、という経験を持って臨む三回目も、中々に違った視点を持てると思うわ」
「でもなんだか、少し見栄えがしないじゃない。メリーはそうじゃないの?」
「私は元々、本は一回読めば充分だと思ってるから……」
「フィボナッチ数列」
「え?」
「フィボナッチ数列を分母にして、面白さが減少していくように、私は思うわ」
「……フィボナッチ数列、って言いたかっただけ?」
「ま、そうなんだけど。良く解ったわね、メリー」
「だってその本のタイトルが、そうじゃない」
「正解。お陰で今度は私が眠っちゃいそうだわ」

 がたんがたんと定期的に、かつ静かに揺れる電車は、確かに万人の眠気を誘う。

「寝ちゃえばいいんじゃない?」
「なんか、勿体無いでしょ」
「折角の旅の時間が、ってこと?」
「えぇ、この車窓は、今しか見れないのよ」
「帰りだって見れるわ」
「そうしたら、流れが逆になっちゃうでしょう。視点が、変わっちゃうわ」
「……さっき、私が蓮子に言ったことと同じこと言ってない?」
「んー、ちょっと違うんじゃない?」
「そう、かしらねぇ」
「えぇ、きっとそうよ」
「あれ? どっちが『そう』なんだっけ?」
「メリー、何言ってるの?」
「いや、だから。何が『そう』なのか……あれ、私何を言っているのかしら」
「寝惚けてるんじゃない?」
「……釈然としないわ」
「空なら晴れてるわよ?」
「えぇ、お昼寝日和よ。蓮子」
「そうね。私は寝るわ」
「……」
「おやすみ」

 言うなり、蓮子は脚、そして腕を組んで、俯いた。
 メリーはじっと、それを見る。


「降りる駅、なんて名前だったかしらねぇ……」
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.290簡易評価
6.80名前が無い程度の能力削除
好きだがなぜ分けた
8.80名前が無い程度の能力削除
前の話とまとめてもいいかと思います。
内容はとても良かったです
10.80奇声を発する程度の能力削除
前のお話と、このお話を合わせても良かったのではと思いました
11.70名前が無い程度の能力削除
自分は好きです。 が、評価するとなると難しい。
雰囲気は良いのですが、逆に言うと雰囲気だけなので、感じ取れない人にとっては面白くないストーリーでしょう。
それと、この作風ならば、このように短く区切るのがちょうど良いとは思うのですが、
そそわのフォーマットには合わないかもしれません。

ええと、何が言いたいかといいますと、ここには合わないかもしれないけど、自分は好きだよと。
作風は好きなので、今後も気が向いたら投稿してほしいなと思います。
13.80非現実世界に棲む者削除
本の視点には共感。
でも一本にしてほしかったな。