Coolier - 新生・東方創想話

咲夜さんマジ激太り

2012/07/26 18:28:17
最終更新
サイズ
9.85KB
ページ数
1
閲覧数
2424
評価数
13/50
POINT
2660
Rate
10.53

分類タグ

キャラ超崩壊注意
ギャグなので細かいことは無視してます
作者は咲夜さんが大好きです


























    私が心から怯えて虞を抱いたのは久々のことだった。
    背筋に虫が這うような寒気とはまさにこのことだった。

    以前の例は、妹のフランドールが野崎コンビーフ顔負けの微笑ましい私を鬱感フルメタルで描き上げたときだった。
    黒と赤に統一された芸術品には酸性雨を全身に浴びた吸血鬼が目を引ん剥いて不適な笑みを浮かべていた。作者であるフランは天使の笑みだった。
    そのあと静かに作者の承諾を得て庭で不夜城レッドされたが、いまでも私の夢の中では笑い続けているトラウマでもある。
    
    今日もフランが笑顔で絵を描いてくれたのなら別に怯えることもなかった。
    少なくとも同じ轍を踏まないと誓っていたし、そのつもりもなかった。姉の忸怩たる経験は繰り返してはならないと心に決めていたのだ。
    そのせいか少し安堵もあった。妹の件で怯える可能性はなくなったからだ。
    しかしそれは一瞬でくずおれる。
    それ以上の何かが私を襲う。

    目の前には小型の象がいた。足はドラム缶のように膨らんで、手は放射能を浴びた動物のようで関節は埋もれてなくなっていた。腹は今にも子供が十人くらい生まれてきそうなほど膨張し、蕩けた餅が幾重にも断層を作って首は埋れていた。顔はさほど太ってはいなかった。
    顔だけ見れば審判も首を捻るほどのギリギリスライディングアウトで完璧で瀟洒なメイドだが、胴辺りを見ると何とも悼たまれなくなる。
    そこには国も挙って証明書を出すほどの激太りした十六夜咲夜が聳然として屹立していた。

    私は泣きそうになった。喚いてやろうかとも思った。
    ブン殴ってやろうとは思わなかった。丸くて飛び出す威圧感、魔法壁よりも強力な壁がそこにはあったからだ。
    雇ったときから才能を導いていただけに、まさかこのような運命になろうとは。
    運命の兆候に気付けなかった私は自分の頭をポカポカと殴打した。

「落ち着いて下さいお嬢様」
 
    将来有望な太った牛の鳴き声を拡声器にあてたものを6オクターブ下げたような声がまもなく届いた。発音が判然とせずに言葉は紡がれ、それはかつて目の前の怪物とともに地球を闊歩していたであろう恐竜の跫音とも取れた。
    彼女は恐竜に優っているに違いないと私は畏怖倦厭した。

    口の動きでなんとかして正確な情報を得ようと努める。唇の様子で言葉を汲み取る……ワイルドでカリスマ的だわ。
    自己陶酔に陥りそうになる自分の頬を慌てて引っ叩いた。
    発火しなかった花火を確認するように私は咲夜に問うた。

「咲夜……もう一度言って?」
「落ち着いて下さいお嬢様」
「あー?」
「お嬢様落ち着いて」
「あー?」
「落ち着いて落ち着いて」

    そのとき床にべったりと落ちる物があった。……なんだこれは。
    25メートルプールに詰まったゼリーをブチ蒔けたような凄まじい量の汗の塊だった。
    確かに夏真っ盛りの最近だが、味噌をまるごと取りこぼしたように鈍い音を立てて落ちる汗の塊などをもちろん私は見たことがない。先祖にもそれは共通しているだろうと願った。
    どうやら咲夜はそれには気付いてない様子だ。いや、気にしていないのかもしれない。腹が邪魔して目の下が見えないのかもしれない。
    爆発しそうな腹がエフワンカーのドリフトを彷彿とさせる唸り声を上げる。

「いま紅茶をお持ち致します」
「まてまてまてまて」
「なんでしょうか?」
「なんでしょうか? じゃねえよ!」
「は、はぁ……」

    咲夜が全盛期の力士のような声で萎んだ。
    私は冷静になれと自分に言い聞かせ、まずどうしてそのような体型に変貌したのかを強く訊ねた。
    咲夜は台所の鍵を閉め忘れたことを口に出すような落ち着きで淡々と答える。

「パワハラというものです。身体の細胞が極端に疼いちゃって突然変異!」
「え……私そんなに貴方を追い詰めてたの……?」
「冗談ですよ」

    私は握り拳を作った。息を吹きかけて咲夜の顔を一瞥し、慌てて元に戻した。
    頬を汗が流れる。もっとも彼女からは小籠包が二三個落ちた。
    無理に引き攣った笑顔になる。

「食べ過ぎが原因ですわ」
「でも昨日は普通だった。一瞬で太るなんて聞いたことない」
「お嬢様。私の能力をお忘れですか?」
「何……だと……?」
「時間停止した間にスイーツや美味しいものを食べていたら何時の間にかこんな容態に……」

    私はこの彊尸土左衛門の熱気球のようにブクブク膨れた腹に蹴りを一発お見舞いしてから、神槍『スピア・ザ・グングニル』を全身全霊を懸けてブチかましてやろうかと思った。するともれなく牛の鳴き声が漏れ、それを録音して痩せた咲夜に聞かせてやるのだ。

    象は限界突破の腹を妊婦気取りでさすって、思いに耽るように何重にも束ねられた餅から汗を零しながら天井を眺めた。
    動作に無駄がありすぎて私は苛々した。不思議と憐れむような気分はしなかった。
    私はなぜか体内の炉心溶融を懸念すべきだと悟った。

「激太り咲夜ちゃんじゃないの。軽く100キロはあるでしょ」
「軽く100キロって……お嬢様流石のナイスギャグです。ナンセンスです。貫禄があります」
「ありがちな日本語の弊害よ。やるならヴラド・ツェペシュに国民栄誉賞でもくれてやりなさい」
「国際的ですね。器がお広い」
「もういい。ときに咲夜、いったいどれくらい食べたんだ。ちょっとやそっとの量ではそこまで膨らまないでしょう」
「かの有名な白玉楼の食欲魔人の常食量に引けを取らないくらいですかね。むしろそれ以上かと」

    私は牛の声に慣れてきた。

「生命の危機ね、竹林の永遠亭にいってその豚腹を押し込んでもらいなさい。いつか死ぬわよ」
「嫌ですよ。お嬢様にこの醜態を晒すのにも苦痛が強いられているのですから……」
「じゃあなんでそんなになるまで食ってたんだよ!」
「育ち盛りなので」
「もう可愛いわね咲夜……」

    私は目の前の象に対して口が裂けても言ってはならない禁忌の言葉を紡いでしまった。思わず手を口に添える。
    咲夜は頭に水爆でも備えているのか、ぼんっと赤面して噴火してから少し俯いて照れだした。
    そのせいで私は津波が押し寄せてきたのかと錯覚した。波打ち際に飛沫を立てて彼女の汗が瞬間降水量幻想郷一を記録した。

「食材に変なものでも混ざってたんじゃないの。魔理沙の採ってきた毒キノコとか、賞味期限切れた霊夢の腐ったミカンとか、ヤブ薬師の信憑性ゼロの怪しい薬とか」
「どうしてですか」
「幾らなんでもその太り方は異常でしょうに」
「まあざっと数週間は時間止めてましたから」
「食い続けてたの!?」
「えへへ」

    愕然とする私を介せず、咲夜は「実は新しい調味料合法を発見しんですよ」とか「ミートソースにヨーグルトとハチミツ入れたら最高ですよ」などと口々に体験談を語り始めた。
    私は話しても無駄だと悟り、黙り込んでいた。

    咲夜が興奮して足踏みを鳴らすと紅魔館に地震が発生した。後に聞いた話だが、図書館の本の幾つかが落下して埃が舞ったという。
    大声を出すとポルターガイスト現象が発生した。ガラスは黒板を爪で引っ掻くような嫌な音を響かせ、椅子は幽霊が悪戯するようにガタガタと揺れた。いわゆる厨房ではひとりでに包丁や鍋が宙を舞ったという。
    語る時に欠かせないジェスチャーも三毛別羆事件の熊レベルの大袈裟さでブンブン振り回すので、私は幻想郷の秩序が乱れてしまうと恐れた。

    語って熱くなるたびに私への熱気は凄まじいものとなり、まるで地獄のサウナで会話しているようだった。気が滅入って眩暈を何度したことかわからない。
    その間咲夜はまるで苦しそうな顔をせずにいた。この様子だといまの咲夜は平熱が40度を超えていると私は確信した。

    ようやく体験談も尽きたところで、私は停滞する温帯低気圧の、顔面の十数倍の大きさはあるであろう腹部を指差して一喝した。

「そろそろ痩せなさい。紅魔館の瀟洒なるメイドの面潰れよ」
「デブも楽しいですよ。何かコンプレックス大公開して逆に世界が開けます。オープンですよオープン。いっそのことこのままずっと……」
「いいえ、私が許さないわよ。そんな咲夜見たくもないわ」
「そうですか。では少々お待ち下さい。今から痩せてきますので」
「あー、痩せろ痩せろ。んでガリッガリになってデブを懐かしんだ挙句、己の身の程を知って食文化にマッハの速度で土下座して詫びなさい」

    咲夜は後ろ向きの体勢になる。その動作だけでも跫音は井戸に鉄球を投下したように轟く。また汗の塊が音を立てて落ちた。
    そしてエクソシストも白旗を上げるような低い悪魔のような声で「目を閉じてて下さい」と変な意味で意味深長に言い、私はそれに渋々従った。

    刹那して、美少女の透き通った声で「どうぞ」と聴こえた。
    目の前には花の咲いた泉が広がっていた。それはまさしく普通の十六夜咲夜であった。むさ苦しい熱気を出さずむしろ涼しげの笑顔の彼女は、三拝九拝して私の目を見据えた。
    象の面影は全くなかった。
    
「まあ……あれだな。憑き物が落ちたようだな」
「なんだかスッキリした気分ですわ。目の下が見えて幸せです」
「やっぱり見えてなかったんだ……」

    咲夜は高く笑うと、ウインクをしてみせた。
    今度は私が俯く番だった。
    私は息切れもしていない彼女に一番知りたいことを訊ねた。

「で、今回はどれくらい掛かったのかしら。激太りした時は数週間だそうだけど、痩せるにはもっと長い時間を経るでしょ?」
「いえ、ほんの数時間ですわ」
「信じられないほど早いわね。高性能な打撃マシンで何発も殴らせてもらって凹ませたの?」
「永遠亭のお医者様のところからこっそり秘薬を……」
「あのヤブ薬師の薬を服用するなんて、死ぬか生きるかの選択じゃない。躊躇い無しに盗むってのも流石の咲夜ってところね。ま、終わり良ければすべて良しってね」
「そのことなんですけれども、時間停止した中で髪の長い日本人形のような方がこっちに首を傾けたのですわ」
「そういえばあそこの月人は須臾を操ったりできるんだっけ。時間操作と似たようなもんよ。今後気をつけなさい」
「わかりました」

    私はもう一度咲夜を見直した。
    放射能を浴びたような異常な手はすっかり華奢で肉のあるものに戻っていた。ドラム缶はスラリと絶対領域を強調する可憐なメイドの足になっていた。腹も見違えるほどに抜群のスタイルで、首元の餅も誰かに食べられたようだ。
    十六夜咲夜がなんと言おうと、私はこの十六夜咲夜が好きだ。

    私は手を差し出し、彼女の頬を撫でた。彼女は抵抗もしない。汗も滲まぬ肌触りは誰もが妬む極上の美肌だった。
    綺麗な咲夜が戻ってきて嬉しいわ、と私は顔に浮かべる。咲夜はそれに応えた。
    私は堪らなくなり、泣く泣く抱きしめた。心地良い胸に顔を挟まれて彼女のいる意味を再認識した。これが、十六夜咲夜であると。
    咲夜がさらに抱きしめると、彼女のお腹のところでたぷんたぷんと揺れるものが私に触れた。

    終わり良ければすべて良し(笑)



おわれ
全国の咲夜さんファンの皆様ごめんなさい
私は今日も咲夜さんを応援します!
xion.fv
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.1630簡易評価
1.100名前が無い程度の能力削除
これはひどい
6.100名前が無い程度の能力削除
10点にしようかと思ったが笑ったので俺の負けだ。
9.100奇声を発する程度の能力削除
これはひどい
10.100名前が無い程度の能力削除
なぜ冷静でいられる咲夜さん
笑ったよ
13.100名前が無い程度の能力削除
これはひどい
16.無評価名前が無い程度の能力削除
内容はともかく日本語がおかしいところが多すぎて読み進められませんでした。
microsoft wordなどで一度チェックすることをおすすめします。
18.60名前が無い程度の能力削除
日本語がおかしいというか、コメディとして、ちょっとズレた言葉使いを意図的に入れているんだとは思います。
ただ、それが比率として多すぎて、意味を受け取りにくくしているような気はしますね。
野崎コンビーフとか、分からなかったです。
24.90名前が無い程度の能力削除
デフって急に痩せるとさ…。その…。
面白かったです。ただ満点はあげたくないなぁ(咲夜さんファン的な意味で)
28.60名前が無い程度の能力削除
笑わせてこようという意欲は感じる
嫌いじゃない、その姿勢
31.70名前が無い程度の能力削除
あえて主役放置で
フラカレー空間…。
32.60名前が無い程度の能力削除
一筆書きみたいなものでしょうか。いい文体だったと思います。
33.40名前が無い程度の能力削除
面白かったんだけどねぇ…
>三毛別羆事件 
コレはネタとして扱うにはいかがなものか、死人出てるし。
42.80名前が無い程度の能力削除
三毛別熊事件ってめっちゃ地元なんだが…
45.70名前が無い程度の能力削除
何かに例えるギャグが多すぎて読みにくいかな
笑わせようというのはわかるのだけど…テンポが悪くなったら意味がない