Coolier - 新生・東方創想話

紅魔館の冥土さん(1)

2005/07/21 07:05:29
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緊迫感。
その言葉が相応しい雰囲気であった。
これまで繰り広げられた、一進一退の攻防。
お互いの力と力、知恵と知恵、あらゆる要素のぶつけ合い。
だが、ついに決着の時はやってきた。



「そこっ!」
繰り出される一撃必殺の打撃。
だが、逆を返せばそれは、絶好のカウンターチャンスでもある。
彼女は、機を謝らなかった。
「(……ここだ!)」





一九19(1)(1)(9)南西北白発中  東

「ロォオオオオオオオオオオオン! 親の役満は48000点ッ!」
「あう……」

倒牌したのはレミリア。
振り込んだのは幽々子。
破れ破れ破れ破れて、沈み沈み沈んで沈む。
そんな日々に、終止符が打たれた瞬間である。


「(勝った! ついに勝った! アイムウィナー! ニホンピロウイナー!)」
レミリアは溢れ出す煮汁……ではなく衝動を必死に押さえ込んでいた。
それも無理は無い。
これまで、幽々子相手の麻雀は、統計を取るのも恐ろしい敗北の日々であった。
中でも国士無双は、殺され続ける事、百二十五回。
某蓬莱人でもそんなに死にはしないだろうというくらい、殺され続けていた。
だが、それでも諦めずにレミリアは国士を狙い続けた。
狙いを別の手に切り替えるなり、国士を隠れ蓑にするなりしたら、もっと楽に勝てた筈ではあるのだが、
レミリアのプライドはそれを許さなかった。
そしてこの日、ついに彼女の執念は実ったのだ。



「ふ、ふふふ、さあ、払って、貰いま、しょう、か」
些か興奮が隠しきれていない口調で攻め立てるレミリア。
それに対して、やや困惑気味の幽々子であったが、
諦めたようにため息を付くと、背後に向かって声をかけた。
「……妖夢。払っておあげなさい」
「……」
「妖夢? 聞いてるの?」
「ええと、幽々子様。大変残念なお知らせがあります」
「え? 何よ、いきなり」


「手持ちのお金が……足りません!」


ずがーん、と雷の落ちるエフェクトを背負いつつ、宣言する妖夢。
「え? え? 足りないって、その、足りない、の?」
「足りません。さっぱり足りません。払えません」
「ど、どうしてよ!」
「言って良いんですか?」
「言わないと分からないでしょう」
「なら言います。……幽々子様、貴方の暴食がすべての原因です!」
再び落雷を背景にして、びしっと指をさす妖夢。
「こら、人の事指さしちゃだめでしょ」
「話を逸らそうとしても無駄です。
 いいですか。白玉楼の収入は決して少ないものではありません。
 ですが、エンゲル係数の増加はそれをもってしても抑え切れない域に達しているんです」
「で、でも、それを何とかするのが妖夢の役目じゃないの?」
「そりゃ私だって努力しましたよ! でも無理なんです! 限界です! いっぱいいっぱいなんです!」
顔を真っ赤にして力説する妖夢。
財政以前に、彼女がいっぱいいっぱいのようだった。
「ですから今後はどうか節制に勤めて頂きたいと……」
「え、ええ。分かったわ。それに関しては後で聞くとします」
説教とも愚痴ともつかぬ言葉を延々と紡ぎ出す妖夢を、何とか制すると、
申し訳なさそうな表情でレミリアへと振り返る。
「えーと、その、聞いての通り、今、持ち合わせが無いんだけど……」
「ああ、別にお金なんていいわよ。そんなの腐るほどあるんだし」
あっけらかんと言い放つレミリア。
その瞬間、遥か彼方から、何者かの叫びが聞こえた気がしたが、それは全員一致で無視した。
幻想郷に幻聴は付き物なのだ。
「だ、か、ら、負け分は別の形で支払って貰うわ」
「べ、別の形……?」
「そうね……今、ウチは諸般の事情から少し人手不足なのよ。
 しばらくの間、誰か一人寄越しなさい」
「だ、誰かって言われても……人手不足ならウチのほうが深刻なんだけど……」
「文無しの敗者に反論する権利なんてあると思って?」
「……ありません」

しゅん、と引き下がる幽々子の姿に、レミリアは内心で高笑いする。
冥界に人手と呼べる存在など、妖夢以外に存在しない事は分かっていた。
幽々子がどう思っているかは知らないが、レミリアの妖夢に対する評価は、まことに高い。
事実、人手不足である紅魔館にとって、大いに戦力となるだろう。
しかもその間、幽々子は冥界に一人きりとなるというのが大きい。
むしろこれが本来の目的であるとも言えた。
誰もいない白玉楼で、一人寂しくお茶漬けを啜る幽々子……
それはレミリアにとって、至福の情景であった。














翌日。
レミリアは紅魔館の一室にて待機していた。
理由は勿論、妖夢を出迎える為である。
本音を言うならば、白玉楼に出向いて、ヘタレているであろう幽々子の姿を拝んでおきたかったのだが、
それは後日の楽しみにすることにした。

「お嬢様。冥界の者が到着したとの事です」
部屋の外から、咲夜のよく通る声が届いた。
「そう。通しなさい」
どう対応するかを思案しつつ、反応を待つ。
程なくして、扉がゆっくりと開かれた。



「本日よりお世話になる、西行寺幽々子と申します。宜しくお願い致します」



慇懃に頭を下げる某亡霊を前に、レミリアは椅子から大きくバランスを崩した。
このまま豪快にひっくり返って頭を打つというのも一つの手ではあったが、吸血鬼の身体能力はそれを許さない。
瞬間的に椅子を踏み台にして飛び上がったのだ。

「なんで!」

更に、後方抱え込み2回宙返り1回ひねりの大技を披露。

「あんたが!」

着地も完璧。文句無しの10点満点だ。
採点方式がおかしい? 知るか! 俺がルールブックだ!

「来るのよ!!」

締めとばかりに、幽々子に向けて、びしっと指を突き出した。


僅かな沈黙。
そして後にぱちぱちという拍手の音が部屋に響き始めた。
咲夜と幽々子による、万感のスタンディングオベーションである。
いや、最初から立っていたのではあるが。
「素晴らしいですわお嬢様……感激の余り涙が止まりません……」
咲夜からは涙のみならず、鼻から赤い液体も止め処なく溢れ出しているのだが、
それはいつもの事なので問題ない。
「見事よレミリア……北京の代表は貴方で決まりね」
「ま、まぁそれ程でも……」
北京って何やねん。とは思ったが、あえて突っ込まない。
「……じゃなくて! どうしてあんたが来るのよ!?」
「どうして、って言われても。人手が欲しいって言ったのは貴方じゃない」
「だからどうしてあんたなの!? あの庭師はどうしたのよ!」
「へ? だって、『誰か一人』って言ってたじゃないの。妖夢じゃ0.5人だし、私が来るしか無いでしょ」
「そ、そんな屁理屈を……」
レミリアは激しく後悔した。
中途半端な物言いではなく、きっぱりと妖夢を指名するべきであったのだ。
言葉尻を捕らえて解釈する事など、この亡霊にとっては当たり前なのだから。
「?」
眼前には、きょとんとした様子の幽々子。
演技なのか素なのか、さっぱり判別が付かない。
いずれにせよ分かっているのは、またしても幽々子にしてやられたという点のみである。
「……もう、いいわ……さくや。あと、まかせた。わたし、ねる」
「は、はぁ」
存分に打ちひしがれたレミリアは、何故か平仮名で言い残しつつ、寝室へと姿を消した。




「……」
咲夜は主の小さい背中を見送りつつ、今後について考えを巡らせていた。
今現在、紅魔館の人手が足りないのは事実である。
その点では、妖夢が来たのならば、多いに助かったであろう。
しかし……
「私、何か悪い事したかしらねぇ」
「(……自覚無し?)」
のほほんと呟く幽々子の姿を見ると、ため息をつかざるを得なかった。
こうなった以上、何とか幽々子を労働力として活用する以外に方法は無い。
恐らく……いや、間違いなくまともな作業は出来ないだろう。
それどころか、かえって自分の仕事が増える気がする。
だが、レミリアに託された以上、諦める事は許されない。
幽々子を消極的かつ効率的に使い倒す事こそが、主の無念を晴らす手段なのだ。
「(お嬢様……私、やってみせます!)」
咲夜は決意を固める。
と同時に、鼻に詰めたティッシュが飛び出し、紅のアーチを描く。
少し気合が入りすぎた模様である。


「さて、幽々子」
咲夜がくるりと向き直った。
新たに詰められたティッシュが目に眩しい。
「約束通り、貴方には暫くの間、メイドとして働いて貰うわ。
 そして私は紅魔館のメイド長。この言葉の意味が分かるかしら?」
「ええと、私の上司になるという事?」
「正解。よって今後は敬語以外で話す事を禁じます」
「分かったわ」
「……」
ぎん、と咲夜の視線が鋭さを増す。
「……分かりました。メイド長」
「よろしい。
 あ、当然だけどお嬢様方やパチュリー様に対しても同様よ。
 ここにいる間、貴方は一メイドに過ぎないという事を自覚しておきなさい」
「……はぁい」
消沈する幽々子の姿に、咲夜は僅かに溜飲を下げた。
ちなみに、先程の言葉に門番長を加えるべきか否か少し悩んだのは内緒である。
結局加えなかったのだが。



「まずはこれに着替えなさい」
そう言うと咲夜は一揃えの服を手渡した。
紅魔館に勤める者の正装、メイド服である。
「私は外に出てるから、着替え終わったら呼びなさい」
「え、あの、私、これの着方よく分からないんですけど……」
「そんなもの見よう見まねで何とかなさい。ああ、ガーターは下着より先に着けるのよ」
それだけを言い捨てると、咲夜は本当に出て行ってしまった。
部屋に残されたのは、幽々子一人。
「(……どうして外に出ている必要があるのかしら)」
疑問ではあるが、考えた所でどうにかなるものでもない。
幽々子は諦めたかのように、着替えを始めるのだった。




ぱたん、と後ろ手に扉を閉めると、腕組みなどをしては、壁に寄りかかる咲夜。
何故か表情はまことに険しい。
とんとんと忙しなく指を動かす様は、傍目にも苛立っている事が目に取れた。
『あのー』
数分の後、部屋の中から暢気な声が聞こえた。
「何?」
『この服、胸が……』
胸、の文字が耳に飛び込んだ瞬間。咲夜の血は沸騰した。
「(胸!? まさかキツいとでも言うつもりなの!?)」
外に出ていたのは正解だった。
もしも、実際に目の当たりにしていたのなら、ナイフで切り落としていたかもしれない。
んなアホな。と言うなかれ、完全で瀟洒なメイドにも、決して許せないラインという物が存在するのだ。
そして、幽々子はそのラインを大きく超えていた。
「す、少しくらい我慢しなさい! それがウチの標準サイズなのよ!」
咲夜は猛る心を必死に抑える。
「(冷静に! 落ち着くのよ十六夜咲夜! 心頭滅却すれば火もまた涼し!
  一日一善! 焼肉定食! れみりあさまぁ!)」
よく分からない呪文を、心の中で唱え続ける。
その甲斐あってか、何とか冷静さを取り戻した所で、再び幽々子の声が届いた。
『えーと、そうじゃなくて……入らないんです』
その言葉は、咲夜の心の防波堤を、いとも簡単に破壊した。




「ファッキン!!」
品の無い叫びと共に、躊躇無しで扉を蹴破る咲夜。
「きゃっ! な、何!?」
突然の暴挙に、幽々子が驚きの声を上げる。
あられもない格好で身を竦めるその様は、傍目には劣情をそそる光景であるのだろうが
今の咲夜にとっては、憎き存在以外の何物でもなかった。
「やかまっしゃあ! 今日という今日は許せんばい! シゴウたるけんのう!」
目を血走らせつつ、博多弁やら広島弁やらが入り混じった言葉で迫る咲夜。
既に瀟洒の肩書きは二百由旬の彼方へと消し飛んでいた。
「(……これは、駄目ね)」
幽々子は一つため息を付くと、立ち上がった。
さて、今の幽々子は、上半身に何も身に付けていない。
そんな状態で、体を動かせば……当然揺れる。
何がって?
そりゃ、ナニが。
「クケー!!」
当然ながら、更に憤った咲夜は、理解不能な奇声を発する。
いや、もはや咲夜ではない。
フォースの暗黒面に囚われた、ダースサクヤーだ。




「あ、咲夜さん。何してるんですか? ……って本当に何してるんですかぁ!?」
まさに絶妙のタイミングで現れたのは、オビワンではなく中国こと紅美鈴その人であった。
美鈴が驚くのも無理はない。
あの咲夜が、いまだかつてない様子で、見知らぬメイドに襲い掛かからんとしているのだ。
何故かその相手が半裸である事も、動揺に輪をかけていた。
ここ紅魔館の住人は、すべて女性である。
故に、不純同姓交友も珍しい事ではない。
が、目の前の様子を見るに、これは明らかに強制的なものである。
強姦だけは駄目だ。
もし発覚すれば死罪は免れない。

「クケ?」
叫びに反応して、サクヤーがくるりと振り向く。
その瞳は赤く染まり、常軌を逸しているのは明らかであった。
「咲夜さん、強姦はいけません! こういう事は相手の同意が必要ですよ!
 というか、そんな何処の馬の骨とも知れないメイドを襲うくらいなら私を……」
少し本音が漏れた所で、言葉が途切れた。
何故なら、サクヤーの視線が、美鈴の顔の下で固定されていたからだ。
「さ、咲夜さん?」
「……フゴー……」
サクヤーの鼻息が荒い。
その証拠に、しゅぽん、と、再び鼻からティッシュが飛び出した。
どうやら今度は鼻血も止まっているようだ。
よかったねメイド長。
「……て……」
「て?」
「テキィイイイイイイイイイイイイイイイイ!!」
血が抜けて身軽になったサクヤーは、目にも止まらぬ速度で駆けた。
目標は……美鈴。
どうやら、矛先が別の場所へと向いた模様である。

「くっ……こうなればっ!」
瞬時に美鈴は身構えた。
そこにサクヤーのライトセイバー……ではなく、ナイフが唸りを挙げて襲い掛かる。
投擲では無い。憤りに身を任せた斬り付けである。
とはいえ、その速度は尋常ではなく、そんじょそこらの妖怪なら、
この一撃で切り捨てられていただろう。
が、生憎、美鈴はそんじょそこらで片付けられる程度の存在ではなかった。
胸元を狙っての斬撃を、身を屈めてやり過ごすと同時に、右手に気を集中させる。
「はあっ!」
そして伸び上がりざまに、無防備になったサクヤーへと叩きつけた。
響き渡るは、どごん、という鈍い音。
これぞ、華符『破山砲』である。


「エイドリアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!」


ダースサクヤーは、天の彼方へと消えた。
残念ながらエピソード4は無い。






「あー、やっちゃった……恨まないで下さいよ、咲夜さん……」
難しい顔をしてぼそりと呟く美鈴。
あれだけの事をやってのけた割には、やけに気弱である。
「っと、あんた大丈夫? まだ未遂だった?」
思い出したかのようにかけられる声。
幽々子はというと、流れに付いていけなかったのか、ただ呆然と突っ立っていた。
無論、上半身はスッパのままである。
「……へ? 私の事?」
「他に誰がいるのよ」
幽々子は改めて美鈴を見やった。
以前に、存在については聞いていたが、直接会うのは初めてである。
「え、ええ、うん。大丈夫よ。助けてくれてありがとう。ええと……」
「名前? 名前でしょ? 名前よね? 私は美鈴。美鈴。美鈴。紅美鈴よ」
何故か強調された上に連呼された。
名前に関するトラウマでもあるのだろうか。

「美鈴、ね。私は「美鈴ーーーーーーーーーーーーっ!」
幽々子の声は、素っ頓狂な叫び声にかき消された。
振り向くと、そこにはボロボロになった咲夜の姿があった。
それにしても早い。
吹き飛ばされてから、時間にしてまだ一分と経っていない。
彼女もまた、超回復の持ち主なのだろうか。
「さ、さ、さ、さくやさん、今のは、その、色々と、訳が……」
がたがたと震えながら、しどろもどろで言葉を紡ぎ出す美鈴。
先程の毅然とした姿は微塵も残っていない。
「ええ、大丈夫、分かってるわ。それに関しては責めたりしないわ」
「そ、そうですか、安心しました」
「……今は、ね」
「ひっ!?」
ぎらりと輝く目に、美鈴はより一層の怯えを見せた。
「この娘に関しては後で説明するわ。だからさっさと持ち場に戻りなさい」
「は、はいぃ……」
言葉を受け、力なくその場を後にする美鈴。
気のせいか、その背中には死相が見えていた。
幽々子が思うのだから、洒落になっていない。


「あの言い方は無いんじゃないの? 何で取り乱したのかは知らないけど、
 もしも美鈴とやらが来なかったら、もっと酷い事態になってたと思うわよ?」
「言葉」
「……思いますよ?」
「……それは貴方の気にする事じゃないわ。それよりも、そのだらしない格好を何とかなさい」
「……あ」
言われて、まだ自分が上半身裸である事に気が付いた。
「でも、これ、本当に入らないんですけど……」
「……ったく。仕方ないわね」
咲夜は一つため息を付くと、何処から白い布を取り出した。
「……サラシ?」
「そうよ。収まらないなら強引に押さえつけるしかないでしょ」
「そ、そんな無茶な……」
「問答無用。いつまでも着替えに時間を取られてる場合じゃないのよ」
そう言うと、有無を言わさず、サラシを幽々子の胸に巻きつけ始めた。
「痛い、痛いぃー! つぶれちゃうー!」
「当たり前よ。潰すつもりだもの」
「また壊れてる!?」
「またとは失礼ね。最初から壊れてるわよ」
「嫌ぁーーー! 殺されるぅーーー!」
「亡霊が寝惚けた事言ってるんじゃないのっ!」






「これで良し。と」
咲夜は満足気に頷く。
目の前には、何処に出しても恥ずかしくない立派なメイドが完成していた。
「うう……苦しい……助けてよーむー……」
言動はイマイチ立派ではなかったが。

「さて、これから館の中を案内するけど、その前に一つ、言っておくことがあるわ」
「……何ですか?」
「分かってるでしょうけど、紅魔館で貴方の名前は広まりすぎてるの。
 もし、西行寺幽々子がいる。と知れたらどうなるか分かった物じゃないわ。
 ここで働くメイド達は、お嬢様を崇拝しているというのが第一の共通点だから」
「……」
確かに、それはまずい。
経緯はどうあれ、これまでレミリアを散々に降していたのは事実である。
メイド達から見れば、自分は憎き存在であろう。
「そういう訳で、ここで働く間は『花子』と名乗りなさい」
「は、花子?」
「そう、花子。花好きでしょ?」
「そ、それは好きですけど……だったらせめて桜子とかにならないんですか?」
「生意気抜かすんじゃないのッ! 上司の命令は絶対です!
 あんたは花子! OK?」
「い、いえす、さー」
咲夜の勢いに押され、カタコトで返す幽々子……改め花子。
「よし、じゃ行くわよ花子」
「……はい、メイド長」


ともあれ、こうして紅魔館に、一人の新入りメイドが誕生したのだった。

どうも、YDSです。
えーと、今回の話は見ての通り、雀鬼録の流れを汲むものですが、
冒頭部以外は直接的な繋がりは無いので、あえて注意書きは省きました。

前々から書いてみたいと思っていたネタだったのですが、今ひとつ自信が持てなかった為に
伸び伸びとなっていたものを、なけなしの勇気を振り絞って形にしてみました。
今後、どれくらい長くなるのかは、私にも想像が付かないという先行き不安な作品ですが
気長にお付き合い頂けると幸いです。

最後に一つ。
全国の花子さん、ごめんなさい。他意は無いんです。本当に。
YDS
[email protected]
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コメント



0.6090簡易評価
10.80吟砂削除
メイド幽々子こと花子・・・瀟洒なメイド長はこの迷馬(冥馬)を
乗りこなす事ができるのか!?でも、最初から色々負けてる気が(殺人ドール
続編が楽しみです♪
11.70おやつ削除
メ、冥土ゆゆ様!?
なんかこう、ネタだけでお腹いっぱいになりそうな話だ……
花子のこれからの運命に期待させていただきます!!
14.60七死削除
※ここに書き込まれようとしていた文言は、およそ真人間が語るべき
 言葉の範疇をテラの単位で逸脱していたため、回線の向こう側を
 物理的に切断いたしました。
16.60名前が無い程度の能力削除
おおぅ、この先ゆゆ様はどうなってしまうのか!? 続きが超絶楽しみで御座います。
きっとEP4は弾幕シューティング! 勿論ラスボスはダークサクヤーかもしくは掘るがフロウ。
頑張れゆゆ様(花子)!
19.90K-999削除
最高です。何が最高って? そりゃエイドリアンですよ(爆。
そういやぁ雀鬼録読んだことありませんねー(最悪。
23.無評価削除
引き込む怒涛の勢いがいいですね。レミリアのキャット空中三回転からこっち、吹きっぱなしでした。

エイドリアアアアアアアアン!!
25.70削除
失礼、点数入れ忘れました^^;先を楽しみにしております。
27.90CCCC削除
ダ、ダースサクヤー!?w
そうか、フ○ースの暗黒面は極めれば時さえ操れるようになるのか・・・!
33.80名前が無い程度の能力削除
…えぇと、このお話に関する感想は………
ゆゆ様のおっp「美鈴がとてもつよくてかっこよかったです!」(逃げ
次回が蝶楽しみです。怖いくらいに……
34.90通りすがり削除
若きサクヤは暗黒面に堕ちた・・・!
36.80豆蔵削除
コケにまで吸血鬼のプライドやらカリスマやら持つレミリア様が素晴らしい!
星戦争ズはまったく見た事無いカワリモノですがCMくらいは知ってます。
そんなオイラでも楽しめるネタに感謝と敬意を、続きに多大な期待をば。
39.80SETH削除
フォースにバランスをもたらすもの!

・・・にはなりそうにないなぁ・・・w
44.100削除
そういえば幽々子様がメイドやるっていうお話は見たこと無いなあと丁度冒頭で思っていた矢先!
やってくれましたー!

続きも楽しみにしてます!
51.70TAK削除
め、メイドの幽々子…。大丈夫なのか…いや、大丈夫じゃないような可能性99.9%だけど…。
というか「エイドリアア(中略)アアアン!!」って咲夜…。
それに天の彼方からよく戻って来れましたね…一分足らずで…。
続編に期待しております。
53.90てーる削除
沈黙は金なり・・・
(ってか、何から語ればいいのやら・・・・感想に20行ぐらい使いそうなのでカット!!wそして続編希望!!w)
70.80名前が無い程度の能力削除
ニホンピロウイナーとはまた古い(笑)
さておき、続きが激しく気になりますよ先生!
79.90名前が無い程度の能力削除
クケー!がツボにはまりました。
117.無評価nanashi削除
謝る→誤る
120.100時空や空間を翔る程度の能力削除
何やら面白い匂いが漂ってきましたよ・・・・・
127.100名前が無い程度の能力削除
咲夜壊れた!
146.100名前が無い程度の能力削除
やはり過去作巡りってのは止められねえな!
妖夢が来るものと思っていたのでその発想は無かったwww