Coolier - 新生・東方創想話

孫なのか娘なのか妹なのか

2012/06/12 00:43:07
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 二ッ岩マミゾウは呆然とした表情で、ある一点を見つめていた。視線の先には、私室に備え付けられた戸棚の、開け放たれた最上段がある。
 そこには何も載っていない皿が鎮座していた。不自然きわまりないそれは、何かを載せていましたとアピールをしているかのようだ。

「だ、誰か……誰かが盗み食いをしおった!」

 しばらく見つめていたマミゾウだったが、やがて怒りに顔を歪めて叫んだ。楽しみにしていた物を勝手に食べられたのだから、抱いて当然の感情である。
 皿の上にあったはずの物は、饅頭であった。そこらの茶屋で売っているような普通の饅頭ではなく、一日に個数限定で売られている絶品だ。わざわざ朝早くに並んで買い求めたのである。
 その場で食べても良かったのだが、饅頭には美味いお茶が必要だろうと、寺まで持って帰ってきた。しかし時間が押していたので、食べることなく戸棚にしまうと、境内の掃除を行うべく部屋を後にしたのだ。
 仏門に入ったわけではないが、仕事もせずタダ飯を食らうというのはマミゾウの性に合わなかった。だから掃除や洗濯、食事の準備などをしている。
 掃除をしている間、マミゾウの頭の中は饅頭で一杯になっていた。一緒に作業をしていた響子が、「何か良いことでもあったんですか?」と訊ねるほどであった。どうやら顔に出ていたらしい。
 それほど楽しみにしていた。先に食べたというぬえが、自慢と一緒に美味い美味いと言ってくるものだから、待ち遠しいという気持ちが増幅されていたというのもある。
 何時までも口の中で転がしていたくなるような、濃すぎず薄すぎずの漉し餡。それを優しく包み込む皮の見事なバランス。
 他にも様々な言葉でぬえは饅頭をほめたたえ、マミゾウは思いを募らせるほか無かった。
 しかし、この仕打ちである。ぐぬぬぬ、と怒ることしか出来ない。

「一体何処の誰じゃ、人が楽しみにしていたものを食いおって! 見つけ出してとっちめてやらんといかん!」

 などと叫び拳を振り上げるが、あいにくと振り下ろすべき相手が居なかった。先ずは犯人を見つけ出さねばと、マミゾウの頭に残った冷静な部分が思考を始める。
 饅頭だけを狙ったことから、ただの物盗りということはないだろう。盗みに入って腹を膨らませただけで出て行くなど、酔狂にも程がある。金目の物が無いというなら、別の部屋から盗み出せばいい話だ。
 しかし、泥棒に入られたと騒いでいる様子はない。この時点で、物盗りの仕業という線はマミゾウの中から消え失せていた。
 ならばマミゾウが饅頭を買ったことを知っている、若しくは欲しがっていたことを知っていた人物が犯人と言うことになる。
 このどちらかに当てはまるのは、一人しか思い浮かばなかった。

「マミゾーウ、これ見てよ!」

 マミゾウの中で、目下犯人の最有力候補となっている正体不明が、泥だらけの姿で部屋へと飛び込んできた。
 手には同じように茶色がこびり付いた風呂敷が握られていて、ぼたぼたと畳の上に泥が落ちている。

「いやぁ、良い物を貰っちゃってさ。旬だから絶対美味しいと思うんだ」

 突然の来訪にマミゾウが唖然としていると、ぬえはそんなことお構いなしに腰を下ろし、風呂敷を解き始めた。
 中から転がり出てきたのは、三本の筍だ。マミゾウは畳に転がる筍へ目をやり、次にぬえを見た。目と目が合い、彼女は「どうだ!」と言わんばかりの笑顔になった。
 何故ぬえが泥だらけなのか。そして、何で筍なのか。あんさん、人が楽しみにしていた物を食ったじゃろう。だのに、何故そんなに笑顔でいられるのか。
 問いつめなければならない事があるというのに、マミゾウの頭はすっかり混乱していた。思わずぬえの言葉に続いてしまう。

「あ、ああ、確かに今が旬じゃな。太すぎず小さすぎずで、美味そうだわい」
「でしょ? 今日は美味しい筍ご飯になるから期待しとくと良いよ」
「そうか……で、これはどうやって手に入れたんじゃ? まさか、あんさんだけで掘り返したというわけでもなかろう?」

 今聞かなければいけないことは他にあるというのに、マミゾウの口から出た言葉は、まったく関係のないものだった。
 もしかすると、「盗んできた」という言葉を期待した発言だったのかもしれない。だが、ぬえはあっさりと期待を裏切ってくれた。

「寺の周りをブラブラしてたんだけど、寺から妖精がはしゃぎながら飛び出してきてさ。すごく楽しそうに飛んだり跳ねたりするもんだから、それを見てたら、何だか無性に体を動かしたくなってきて。でも同じようにしてたらすごく変でしょ? それで、何か丁度良いのは無いかって探してたら、籠を担いで筍を堀に行くって人間が居たのさ」
「それで一緒に筍を掘ってたというわけかの?」
「そうそう。いやぁ、想像よりずっと大変なんだねぇ。でも疲れは最高の調味料だって言うでしょ? だから頑張ったんだよ。マミゾウも喜ぶだろうしさ」

 ぬえは言いながら、スコップで地面を掘り返す動きをしている。彼女が持ってきた筍と服に付いた泥を見れば、何故だか様になっているように感じた。
 これだけ泥まみれなのだから、きっと頑張ってくれたのだろう。当然だが、悪い気はしないものだ。
 もしこれが饅頭を盗み食いしたお詫びというなら、マミゾウとしても許してやろうという気分になる。ぬえがそれを言わないのも、負い目を感じているからかもしれない。
 そんなことを考えていると、ふとぬえのある言葉が気になり始めていた。妖精という部分だ。
 マミゾウの仕事の中には、庭の掃除も含まれている。だが、彼女らの姿をマミゾウは見ていなかった。ぬえが感化される程に元気なら、気がついてもおかしくないはずだ。
 庭から離れている間に来て、直ぐに帰ったのだろうか。そうだとしても、妖精がどうして寺にやって来るのだろう。
 寺に居る誰かに用があったのか、それとも聖の説法でも聞きに来たのかもしれない。
 その疑問をぬえに訊ねると、心当たりがないようで首を傾げた。

「脳みそスッカラカンなんて言われてる妖精に、聖の言ってることが理解できると思う? この私でも分からないことばっかりなのに」
「そりゃあ、一応は仏教に入ったくせに、ぬえが理解しようとしてないからじゃろ。案外、妖精みたいなのの方が神様の教えを理解できるのかもしれんぞ。あれは純粋じゃと聞いたことがある」
「それって馬鹿にされてる気がするんだけど。とにかくさ、もっと別の用事で来たんだと思うよ」
「なるほど……」

 馬鹿にしているのかとむくれるぬえを放って、マミゾウはまた妖精のことを考え始めていた。
 聖の話を聞きに来たわけではないというのなら、他に何があるというのか。
 命蓮寺はこれといって特徴のない、せいぜい妖怪が尼さんをやっていることを除けば、ごく普通の寺だ。見物するには、いささか見所に欠けると言えた。
 他にあるとすれば、裏手にある墓地だ。人魂は飛んでいるし、以前にはキョンシーが出たというのだから、肝試しにはもってこいの場所だった。
 それをぬえに言うと、それならありえるだろうと返した。

「あそこは雰囲気もあるし、小傘だって脅かすのに使ってるからね。でも昼間でしょ、夜じゃなきゃ雰囲気が出ないと思うんだけどなぁ」
「ならば他に、妖精が出向いてくるような物が寺にあると思っておるのか?」

 マミゾウの反論に、ぬえは直ぐ言葉を返すことが出来なかった。他に何も無いというのは否定しようがないからだ。うぅんと唸ると、視線を下げて考え込み始めた。
 言葉に詰まるぬえの姿に、マミゾウは満足げに頷いた。
 これで何故妖精が寺に出入りしていたのかという疑問に決着が付いたのだから、次は饅頭のことを聞くべきだろうか。
 しかし、こうして話しているうちにマミゾウ自身、どうでも良くなっていたようだ。無くなったのならまた買えばいい。高い代物でもないのだし、せいぜい朝早くに並ぶと言うだけだ。
 その程度を我慢するなど、筍掘りに比べたら容易なことである。
 マミゾウがこうして納得していると、考え込んでいたぬえが顔を上げた。

「もしかしたら、悪戯でもしに来たのかもしれないよ。妖精って、そういうのも得意らしいし」
「悪戯……」
「うん。中身がどんなのかってまでは、本人じゃないから想像つかないけどね。墓地での肝試しか、寺で何か悪戯でもしてたかのどっちかだと思うなぁ」
「その悪戯なんじゃが、ちと心当たりがあっての」
「うん?」

 疑問符を浮かべるぬえに、マミゾウは饅頭が盗まれていたことを語った。妖精の仕業であるなら、ぬえがやったというよりは説得力があるような気がしたのだ。

「ずいぶん些細なことじゃろ。妖精の悪戯にはピッタリの、微笑ましいものだと思うんじゃがどうかのう」
「ああ、そりゃ間違いなく妖精のやったことだよ。どうやって忍び込んだかは分かんないけどさ。あの饅頭、食べられちゃったんだ」
「欠片も残さずな。人が楽しみにしておったのに、困った妖精じゃわい」
「そこは同情するからさ、この筍でチャラにしようよ。これだって負けないぐらい美味しいだろうしさ」

 一番大きな筍を手に、ぬえの泥まみれの顔がくしゃっとなった。妖精にしてやられたという思いよりも、どうして疑ったのかという罪悪感がマミゾウの心を責め立てる。
 その気持ちを知ってか知らずか、ぬえはマミゾウの手を掴んで立ち上がった。

「ほらほら、早くこれを渡さないと、夕飯の献立が別のになっちゃう。一日お預けを食らうのは嫌だよ」
「あ、ああ……」

 しかしその前に、やらなければならないことがあった。それも一つではなく、二つある。
 そのうちの一つは、すぐに終わらせることが出来るものだ。

「ぬえよ、悪かったな」
「んん? 何がさ。私、マミゾウに何かされたっけ?」
「いや、ちょっとな。ケジメというか何というか……。で、だ。あんさんも儂に謝ることがあるわけじゃが……」

 いよいよ何のことかが分からず混乱し始めたぬえに、マミゾウは彼女が座っていた辺りを指さした。
 視線を落としたぬえが「げっ」と呻いた。ここに座っていましたと主張するかのように、畳の上にべったりと泥が付いてしまっている。早くマミゾウに見せたくて飛んできたのか、服が悲惨なことになっているとは知っていたものの、ここまでとは想像していなったようだ。
 手を後ろに回したぬえが、泣きそうな顔になった。きっとここに来るまでにも、ばらまいてきたに違いない。

「ふぅむ、こりゃまた随分と形が良いのう」
「うわぁ……これ掃除しないと駄目だよね」
「そりゃあそうじゃろうな。まぁ筍の礼に手伝ってやるから、頑張るしかなかろう」

 呆れ顔のマミゾウが言った瞬間、遠くから一輪の叫び声が響いた。ぬえの顔が、見る見る青ざめていく。よりにもよって、寺の中で一番口うるさい相手に見つかってしまったのだから、仕方がない。

「ど、どうしよう。あれ絶対に怒ってるって!」
「まぁ見つかってしまったものは仕方が無いじゃろう。大人しく、雷でも落とされるしかなかろうて」

 今度はマミゾウが同情する番だった。口を尖らせる一輪と、その後ろで見下ろしてくる雲山の二人は、それはそれは恐ろしいものだ。雷どころか、拳固かビームでも貰うかもしれない。
 すくみ上がったぬえが、哀れみを誘う目でマミゾウを見た。その体が小刻みに震えている。
 何も言わないが、どうして欲しいかはその瞳が雄弁に物語っていた。

「一緒に行ってやらんでもないぞ。怒られるのは嫌じゃがな」
「そ、そうして! せめて隣にいて!」

 隣にいてやるのも、何時火の粉がこっちへ飛んでくるか分からないから、本当は嫌なんじゃがな。そう思うが、勿論口にはしない。
 付いていってやると言うのに、ぬえはその場でオロオロとするばかりで、一向に動こうとしなかった。
 やれやれと肩をすくめたマミゾウが部屋を出ていこうとすると、「待ってぇ」とぬえがすがりついてきた。

「ほれほれ、遅らせても何も変わらんぞ。むしろ悪化するやもしれん」
「ひ、ひえぇぇ」

 今にも泣き出しそうなぬえを見て、マミゾウは苦笑いにも似た笑みを浮かべるのだった。






 饅頭が消えてから数日後、マミゾウはまた同じような事態に襲われていた。しかし今度は、前回のようなかわいらしい悪戯ではすまされない物を盗まれてしまった。
 風呂敷をめくり、部屋の隅に積んである布団を持ち上げる。戸棚の中や押入の中も改めるが、やはり見つからない。
 思いつく限りの場所を探すが、この部屋のどこにも無い事を確かめただけだった。おぼつかない足取りで風呂敷の前まで来ると、崩れ落ちるかのように座り込んだ。

「これは……誰の仕業じゃ……」

 力なく呟いた言葉に返事をする者はなく、ため息とともに虚空へと消えていく。
 広げられた風呂敷の上には、様々な品物が載せられている。
 一見して役立ちそうにない物ばかりだが、これらは全て外の世界から持ち込んだ物だ。
 幻想郷へ渡る際に、殆どの私物は処分した。ここにあるのは、どれもこれも思い出の詰まった品物ばかりで、どうしても手放すことが出来なかったのだ。
 その内の一つ。金貸しを始めてからずっと、客の名前や特徴、買した金が記録してあった台帳が無くなった。昔の香りに浸ろうと広げていたのだが、一輪に手伝って欲しいことがあると言われて呼び出されている間に、消え失せてしまったのだ。
 あの台帳には、マミゾウの過去が詰まっている。
 記憶というものは、年月の経過とともに失われてしまう。そこで台帳の出番となるのだ。年格好やしゃべり方、訪れた日時。記された情報をきっかけとして、当時の記憶が鮮明によみがえってくるのだ。
 故に、持ち込んだ物の中で最も大事にしている。
 それが無くなったのだから、流石のマミゾウも飛び上がらんばかりに驚いた。席を外していたのは、ほんの十分にも満たない時間だ。いったいどんな手品を使えば、その間に部屋に忍び込んで台帳を盗み出し、誰にも見つかることなく抜け出したというのか。
 マミゾウは部屋へ戻る際に、反対側からやって来た聖と出くわしていた。もし自分の方へ逃げていたのなら見逃すはずはないし、聖の方へ逃げたのなら、何をしているのかと問いただしているはずだ。返答に詰まって逃げ出せば大騒ぎに、白状すれば聖がそのことを伝えてくる。
 だが聖はそのような素振りを一切見せず、一言二言言葉を交わしただけで通り過ぎていった。ならば犯人は、彼女と出会っていないと言うことになる。
 もしや窓から逃げたかと思い目をやるが、そのような形跡は無い。何処から逃げたのかと考えれば考えるほど、分からなくなっていく。
 そもそも、何処から入ってきたのだろうか。マミゾウが部屋を留守にするまでずっと近くにいたのなら、誰かが見つけこれまた大騒ぎになっていただろう。
 もし聖が疑わず、部屋の前に居ても怪しまれない人物が居るとすれば、それは寺の妖怪たちだ。

「ええい、そんなことがあるものか。儂は何を疑っておるんじゃ」

 馬鹿馬鹿しい、とマミゾウは自分の考えを一蹴した。外の世界から持ち込んだこれらを大事にしていることを、寺の妖怪たちは知っているはずだ。それを盗んで、何の得があるというのか。

「食えるものでも無いんじゃぞ。妖怪の本分でもあるまいし、見つかったら聖の逆鱗に触れるかもしれんというのに……」

 そこまで言って、マミゾウの言葉が止まった。頭のどこかへやってしまった記憶を、慌ててかき集めていく。
 しばらくして、ようやく前にぬえが言っていた言葉を思い出すことが出来た。手がかりの一つもないのだから、後はこれに賭けるしかない。他に心当たりのある相手など居ないのだから。

「頼むから、覚えておってくれ……」

 藁にもすがる思いというのは、まさにこの事だろう。マミゾウは祈るような呟きを残し、部屋を後にするのだった。





 果たして、封獣ぬえの記憶力は流石の一言だった。必死の形相で部屋に転がり込んできた親友を見て、目を丸くした彼女だったが、事情を伝えられるとすぐさま協力を約束してくれた。

「確かに、その妖精ぐらいしか心当たりはないもんね。姿を見た私の所に来たのは正解だと思うよ」
「おお! それで、覚えておるのか!?」
「勿論だって。この大妖怪、封獣ぬえ様を甘くみないでよね。昨日の夕飯から、マミゾウと最初に会った時までばっちりだよ」

 マミゾウの表情が、見る見る内に明るくなっていく。やはり持つべき物は、こういう時に頼りになる親友だ。真っ先に相談して良かった。
 一方のぬえも、同じように上機嫌であった。まず最初に自分の所へ来てくれたことが嬉しいらしく、「大船に乗ったつもりで居てよね」などと胸を張っている。
 しかし、何時までもそうしているわけにもいかない。ぬえは机から紙と筆を持ってくると、何事かをしたため始めた。時たま何かを思い出すような素振りをしながら、筆を進めていく。
 そうして出来上がった書を、マミゾウへ手渡した。

「何々……。妖精は三匹で行動していた。それぞれオレンジ、金、黒の髪で、金髪は髪をグルグル巻きにしていて……」

 それには、ぬえが見た妖精の特徴的な部分が書き記してあった。なるほど、これを頼りに探し出せばいい。かなり事細かな内容に、マミゾウは直ぐにでも見つけ出せそうな気になっていた。髪型は、服装はと熱心に読み進めていく。
 紙を見ながら満足げに頷くマミゾウに、ぬえはもう一つアドバイスをしてやった。

「あとはそうだなぁ……霊夢にでも聞けばいいんじゃないかな」
「霊夢? 博麗のか。どうしてかのう?」
「ほら、あれは顔が広いから。この妖精たちについても、何か知ってるかもしれないよ。闇雲に探し回るより良いでしょ。妖精なんて、幻想郷中を遊び回ってるんだから」
「おお、それももっともじゃな。やはり、あんさんに相談したのは正解だったわい」
「ふふん、まぁ良いってことよ。お礼は……解決したら真っ先に報告してくれたら、それで良いからさ」

 我ながら、良い仕事をしたんじゃないか。そんなことを思い、ぬえは鼻高々だ。お礼がささやかなのは友人への配慮と、間違っていてはどうしようかという、ほんの少しの心配からである。

「おお、悪いのう。さて、行くとするか。朗報を期待しておいてくれ」
「ん、まぁそこそこに期待しておくよ」

 意気揚々と部屋を出ていくマミゾウの背中を、ぬえはいってらっしゃいと見送るのだった。







 サニーミルクは、上機嫌だった。足取りは軽やかで、鼻歌まで歌い始める始末である。後ろに続くルナとスターもそれに釣られて、微笑ましい歌を歌い始めた。
 鬱蒼とした森の中に、妖精たちの歌声が響いていく。彼女たちは今、住んでいる大木へ帰ろうと、博麗神社を囲む森の中を歩いていた。
 妖精の楽しげな歌声にあわせて、鳥がどこかで鳴き始める。それが三匹の機嫌を一層良くしていた。

「今日は良い一日だったわね!」
「うんうん。まさか今度も、こんなに上手くいくなんて思わなかったなぁ」
「狸の妖怪が慌ててる顔、面白かったわねぇ」

 ルナの言葉に、三匹は足を止めた。顔をつきあわせると、つい数時間前のことを思い出して、くすくすと笑いあう。あの間抜けな顔、絵に描いて残しておきたかった。文さんから写真機を借りれば良かった。今度は忘れないようにしないとね。
 この場にいないマミゾウへ、好き放題に言い続ける。ひとしきり話してから、サニーが腰に括り付けている台帳を手に取った。

「とりあえずこれを持ってきたけど、そんなに大事な物かな?」
「あれだけ慌ててたんだから、大事な物なんでしょう?」
「そうそう」

 彼女らの能力を使えば、寺に忍び込むなど朝飯前であった。以前にも同じようにして境内にまで入り込み、鐘を叩いて逃げたことがある。その時と違ったのは掃除をする妖怪が居たことだったが、何の障害にもならなかった。
 そうして能力を使いながらマミゾウの部屋へ向かうと、彼女が大事そうに眺めていた台帳を盗み出してきたのだ。
 実際の所、行き当たりばったりの計画であった。マミゾウが部屋を留守にしなければ、そのうち飽きて帰ったかもしれない。
 饅頭の時も、これと同じ手口を使った。この時に見つからなかったことが、妖精たちを図に乗らせたと言える。一度見つからなかったのだから、二度目もきっと大丈夫だろう。
 このように思わせてしまったから、マミゾウは後悔することになったのだ。
 そして三度目が成功したことで、彼女らはいよいよ自信をつけてしまった。次もかならず成功するものだと、確信している。

「でもほら、今回は必死になると思うんだけど」

 ルナの言葉にスターが首を傾げた。

「そうかなぁ。ねぇサニー、饅頭の時とは違うと思う?」
「んんー、どうかなぁ。必死になってくれた方が、面白いんだけどね」

 饅頭はまた買えばいいと思ったかもしれない。だが今回は、あの場にあった道具の中でも、一番大事そうにしていた物を盗んだのだ。これで必死になってくれなければ、張り合いがない。

「だいたいこれ、何が書いてあるのよ」
「そういえば大事そうにしてるってだけで盗んだけど、何が書いてるのかは見てなかったわね」

 彼女らは適当な石や木を見繕うと、それに腰を下ろした。何かを読むなら、地べたに座るよりもこうした方が落ち着くのだ。家に帰ってから読めば良いというのに、我慢をすることが出来ないのが妖精らしい。
 三匹は顔を寄せ合うと、はやる心を抑えながら表紙へ手をかけた。表紙をめくって現れたのは、色褪せてボロボロになっているページであった。墨も掠れ、書かれてからの年月が伺える。
 そこに書かれていたのは、人の名前と貸した金額。そして返却日や相手の特長であった。どのページも全く一緒である。当然ではあるが、見覚えのある名前は一つもない。
 サニーの表情がたちまち渋い物へと変わる。サニーだけではなく、ルナとスターも同様だった。大事そうに、微笑みながら眺めていた物なのだから、もっと面白い事が書いてあるのだと勝手に想像していたのだ。

「うーん、何でこれを大事そうにしてたんだろうね。面白くないし、古くて汚いだけじゃない」
「もしかしたら何かもの凄い秘密が書いてあって、それを人間の名前で誤魔化してるのかもしれないわよ」
「そうかなぁ」

 ルナに言われ、半信半疑ながら読み進めていく。しかしそれらしきものは一向に見つからず、ページの新しさや文体が変わっていくだけだ。どうやら自分の思いつきは外れたようだと、ルナは残念そうに息を吐いた。

「ねぇねぇ、スターはこれ、どう思う?」
「どうって言われても……」

 すっかり飽きてしまったのか、虚空へ視線を泳がせていたスターだったが、サニーの問いかけに視線を台帳へ向けた。
 そうねぇ、とスターは何事かを考え始めた。スゥと目つきが鋭くなっていく。

「あれ?」

 その横顔を見つめながら、サニーが首を傾げた。普段のスターと比べて、今の表情はどこか大人びて見えたのだ。
何年も一緒にいたのだから、彼女が考え込む表情は幾度と無く見てきた。しかし今の表情は、これまで見てきたどれとも違う気がする。

「これは……何十年、何百年分の思い出が詰まった大切なもの。金を借りにやって来た人間たちの借りた金額、特徴、名前。全てが記された大切なもの」
「ス、スター?」

 震えた声でサニーが訊ねる。
 声も外見も、間違いなく自分たちの仲間であるスターサファイアだ。だが台帳について詳しく語る彼女は、姿形を借りただけの別人としか思えない。まるで、これの持ち主のようではないか。

「も、もしかして……」
「ふっふっふっふっふ。やはりお前さん達が持って行っておったわけじゃな。いやぁ、博麗の巫女に聞いて探してみたが、どんぴしゃというヤツじゃな」

 スターはいよいよ別人のような喋り方になっていた。まるで、歳を取ったお婆さんのようである。
 驚いたサニーとルナは飛び上がると、抱き合うかのように寄り添った。相手が誰なのか見当が付いたものだから、自分たちがこれから何をされるのかと、恐怖でかすかに震えている。
 そんな二人を見て、スターではない何かが口角を歪めた。

「さて。この姿の妖精じゃが、そこの木の裏に喋れないようにして転がしてあるよ。簀巻きにして猿ぐつわを噛ませておるだけで、危害は加えておらんから、安心せい」

 スターが指さした先にある木の裏を、二匹はおそるおそるのぞき込んだ。そこには彼女の言うとおりにされている本物のスターが、木に背中を預けていた。呼びかけてみるが、眠らされているのか反応がない。
 慌てて解放しようとするが、それを偽物が引き留めた。まだ何かあるのかと、二匹は怯えたような表情を向ける。

「それは止めた方が良いぞ。そこにはちょっとした仕掛けがあってな。ちょっとやそっとじゃそれは外れん。解放してやるのは、儂の台帳と交換ということにせんか?」
「これを返せって言うの? う、うう~!」

 これを返してしまうと、負けを認めることになってしまうのだ。折角盗み出したというのに、ここで負かされてしまうのは嫌だった。悔しさのあまり唸るが、それで状況が変わるはずもない。
 復活するとはいえ大切な仲間と、それと引き替えの台帳。偽物のスターと台帳を交互に見て、サニーは決心した。
 偽物に台帳を手渡すと、彼女はそれを愛おしそうに撫で上げ始める。
 しばらくそうやっていた偽物だったが、台帳を懐にしまうとスターを縛り上げている簀に触れた。
 ガッチリと彼女を締め上げていた簀だったが、それだけで力なく地面へと落ちる。偽物はそれを拾い上げると、紐で束ねて腰へと巻き付けた。

「ほれ、これで大丈夫じゃぞ」
「スター? スター!」

 サニーがスターの体を支えて揺さぶると、彼女はうっすらと目を開けた。まるで眠っていたかのように欠伸をすると、

「あ、おはよう、サニー」

 などと言ったものだから、二匹は安心するより先に呆れ果ててしまう。

「大丈夫? 体に何かされてない?」
「何かって……私は気持ちよく眠ってただけなんだけど?」
「いや、眠ってたって。眠らされてたの間違いでしょ!」
「そうなの? 椅子代わりになる物を探してたら、急に目の前が真っ暗になっちゃって」

 二人が何を言っているのか全く理解できないと、首を傾げるスターである。急に目の前が真っ暗になったというが、何故それをおかしいと思わないのかと呆れる他無い。
 ともあれ、つかの間の別れからの再会を喜ぶ妖精達に、背後から声がかけられた。

「さて、人質は返したし、儂の大事な物も返して貰った。とりあえずは解決じゃな」

 とりあえずというのは、まだやるべき事が残っているからである。三月精の事を教えてくれた霊夢や、目撃証言をしてくれたぬえに何かしらのお礼をしなければならない。それこそ、饅頭の一つや二つでも持って行くべきだろう。
 そして、それとは別にもう一つ。やらなければいけないことが残っていた。

「しかし解決したとは言ってもな、人様の物を盗んだ犯人にはお仕置きをしなければならんのう。無罪放免というわけにはいかんじゃろうて」

 三月精は、お仕置きという言葉に体を強ばらせた。恐る恐る振り向くと、いつの間にもとの姿に戻ったのか、満面の笑みをたたえたマミゾウがそこに立っていた。しかし、その笑顔は凄みを感じさせる物である。
 三匹は今度こそ恐怖心が限界を突破したのか、互いに抱きしめあってガタガタと震え始めた。ルナに至っては、マミゾウが一歩を踏み出した瞬間、小さく「ひぃっ」と漏らしてしまったほどだ。
 一歩二歩とマミゾウが近寄り、それから逃げるように三匹揃ってズリズリと座ったまま後ずさっていく。だがすぐに木へぶつかり、逃げ場を失ってしまう。
 ややあって、三種類の悲鳴が大気を切り裂き、森の木々を大きく揺らした。





 三月精がマミゾウへちょっかいを出していたのは、射命丸文の新聞が原因だった。
 外の世界から化け狸が一匹やって来たというだけなのに、やたら誇張された見出しが踊っている。本分も同様に過激な文章のオンパレードで、マミゾウが金輪際、取材は断ろうと決心するほどだ。
 スター達の説明を聞きながら本分を読み進めていく。そして新聞を畳む頃には、何故彼女らがこんな行動をとったのか、マミゾウは納得していた。
 人間を化かすプロフェッショナル。この分野において並び立つ者は無し。インタビューを受けた際、化かすことに関しては自信があると確かに言ったが、ここまで大袈裟な言葉は口にしていない。誇張にも程があるだろう。
 なるほど、新聞はちゃんと発行されたと文は言っていたのに、頑なに見せなかった理由がこれか。寺のみんなに聞いても知らぬ顔をしていたのも、これを見せないためだったのか。マミゾウの中にあった疑問が一つ、氷解した瞬間であった。
 そして三月精はこの記事を真に受けて対抗心を抱き、自分たちの力を見せつけようと、盗みを働いたというわけである。
 これだけ持ち上げられている相手を出し抜いたとなれば、自分たちの実力に箔が付く。それも狙っていたらしい。
 結局はマミゾウに見つかりこってりと絞られたのだから、彼女らの目論見は外れたと言えるだろう。
 本来ならば、三月精を叱ったところで今回の話は終わってしまう。だが、力なくうなだれている妖精達の姿に、どうしてか罪悪感が沸いてくるのだ。
 それに結果はどうあれ、ライバルとして見られていたことに悪い気はしない。少しばかり手を貸しても良いのではないかと思いもする。

「なぁ、儂が上手い化かし方を教えてやると言ったら、お前さんたちは素直に聞いてくれるかのう?」

 思ってもみない提案にサニー達は戸惑ったが、断る理由はなかった。斯くして三月精は、マミゾウに言われるまま命蓮寺を訪れることになったのである。





 その日も、マミゾウは境内の掃除に精を出していた。今日は来客がある日なので、その動きは普段よりも素早い。その上、妙に嬉しそうなので、気になった響子は理由を訊ねることにした。

「マミゾウさん、何か良いことでもあるんですか? それか、あったとか?」
「ん、いやなに、良いことがある方じゃよ。さて、そろそろのはず……」

 次の瞬間、マミゾウは手にしていた箒を放り投げた。派手な音をまき散らして地面に箒が転がっていく。突然の行動に目を丸くする響子だったが、マミゾウの行動だけが原因ではないようだ。
 彼女の耳は、三つの悲鳴を確かに拾い上げていたのだから。しかし誰の姿も見えず、余計に混乱してしまう。姿を消す妖怪など今までに見たことがないのだから、当然の反応と言える。

「ルナ! もしかして音を消し忘れてたんじゃないの!?」
「そう言うサニーこそ! 姿を消し忘れてたんじゃないの!」

 次いで始まる言い争い。
 自分の正面から声は聞こえるが、姿は見えない。そんな異常事態に、響子はオロオロしながらマミゾウと目の前の空間を交互に見た。声が大きくなればなるほど、混乱が加速していく。
 これでは彼女が可哀想だと、マミゾウは言い争う声を制することにした。

「これ、喧嘩は余所でやらんか! 確かに姿も音も消えておるよ。隠れるだけなら、お前さんたちのは完璧じゃ」

 マミゾウの発言に言い争いは止まるが、今度は何も言わなくなってしまった。ならば何故見つかったのか、その理由がさっぱり分かっていないようである。じゃあ何でと、答えを待っているかのようだ。
 素直に教えたものかとマミゾウは頭を掻いたが、待っていても一向に話が進まないので教えてやることにした。
 先ずは、この不注意さを何とかせんといかんな。そんなことを心の中で呟く。

「足下を見てみい。そこには少しばかりゴミを積んでおったから、踏んでおるのが一目瞭然じゃ」

 マミゾウが指さすと、響子はそちらへ目をやった。姿の見えない何者かも、自分たちの足元を見ていることだろう。すると確かに、盛り上がった葉っぱやらがそこだけ不自然にへこんでいる。

「マミゾウさん、これでそこに誰か居るって分かったんですか?」
「ああ、そうじゃ。普段から化かし慣れておるからして、こういうところにも気をつけるようになっておるわけじゃよ」

 なるほど、と感心するばかりの響子である。何かあった時のためにと、マミゾウの言葉を頭に刻んでおく。実際は、やって来ることが分かっていたから注意を払っていただけなのだが。
 ややあって、悔しそうな顔をした妖精が三匹、姿をあら合わした。

「まさかそんなところで見つかるだなんて……」
「さてさて、まだまだ詰めが甘いのう。ほれ、儂がよーく指導してやるから、箒を持ってついて来い」

 三匹は箒を拾い上げると、マミゾウを先頭にして墓地へ向かって歩き始めた。その後ろ姿を、響子は唖然とした表情で見送るばかりである。





 箒を抱えながら歩く三匹は明らかに元気がない。絶対に上手くいくと思って行ったことが、あまりに些細なことで見破られたのだから、仕方がないだろう。
 響子はしっかりと引っかかっていたのだから、尚の事だ。
 どうしてマミゾウさんには私のことが分かったのかと考えるが、
 普段は姦しい三人が大人しいと、こちらも調子が狂ってしまいそうだ。ここは一つ励ましてやろうと、マミゾウは声をかけた。

「あんさん達の能力は、儂のそれより化かすことに向いておる。音を消し、姿を隠し、相手の位置を察知する。どれも、喉から手が出るほど欲しいわい」
「でも何時も見つかって、酷い目に合うんですけど……」
「ふぅむ……」

 さて、どうしたものかな。どう説明すれば、良いものか。マミゾウは腕組みをして考え始めた。
 見つかるというのは、何も悪いことばかりではない。誰がやったかというのが相手に伝わらないと、自分の力を見せつけることが出来ないからだ。問題はそのタイミングだろうか。
 今回の台帳なら、見つからずにある期間持ち続け、最後には自分たちがやったというアピールと共に返せば良かったのだ。そうしていれば、マミゾウは「こりゃ一本取られたな」と笑うほか無かっただろう。
 饅頭の際、ぬえが目撃していなければそうなっていただろうから、詰めが甘いと言う他無い。
 まぁ下手にはぐらかしても仕方ないだろうと、そのまま伝えると、三月精は目を丸くした。

「それで良いんですか?」と、ルナが首を傾げる。
「命に関わることでなかったり、ちゃんと戻ってくるならそこまで怒られはせんよ」

 おー、なるほどー。三匹が感嘆の声を上げた。確かにそういう考え方もあるのかもしれないと、素直に感動しているのだ。
 化かし方というのは人それぞれなのだが、今はこれで良いだろう。納得してくれたようで、マミゾウも一安心である。

「それで、今日は何で墓地に?」

 と、サニーが訊ねた。今日は何をするのかと、好奇心を湛えた目が爛々と輝いている。サニーだけではなく、他の二匹も同様だ。
 マミゾウの言葉を、今か今かと待ちかまえている。

「うん? そりゃあ雰囲気というものは大事じゃからな。あそこには人間が来るし、へっぽこな唐傘お化けも居る。まぁ練習としてはうってつけと言う訳じゃ。詳しい中身は、着いてからのお楽しみということでな」

 これを聞いて、三月精はまたはしゃぎ始めた。それを見ながら、随分と微笑ましいものだと、目を細めるマミゾウである。しかしこれでは練習を始める前から疲れてしまうだろうと、三匹を窘めてやった。言われた方はハーイと元気が良く、実に可愛らしい。
 はしゃぐサニー達と、それに連れ立って歩いていくマミゾウの姿は、まるで彼女らの姉のようにも見えるのだった。





 そんな四人の様子を、ぬえが物陰から観察していた。妖精が三匹やって来たと響子から聞き、何をしているのかと探っているのである。
 うーむ、と唸るぬえ。会話の中身は聞き取ることが出来たが、仲の良さがどうにも気になってしまう。さて、この後どうなるかも見届けなければ。もし怪しい雰囲気になろうものなら、乱入というのも選択肢に入れなければならない。
 そんな事を考えているぬえの背後に、音もなく忍び寄る影が一つ。

「覗き見というのは、ちょっと感心しませんよ?」
「うっわぁ!?」

 肩を叩かれて飛び上がったぬえが振り向くと、普段と変わらぬ笑みを浮かべた聖が立っていた。しどろもどろになるぬえから視線を外し、やはりこっそりとマミゾウ達の様子を観察する聖である。
 仲良く歩いていく姿を見て、その笑みが柔和なものへと変わっていく。

「マミゾウにも、寺の妖怪や巫女以外にもお知り合いが出来たという事です。良い事ではありませんか。それに、彼女にはやることが出来たのです。あの妖精を導いてやれるのは、きっとマミゾウしか居ませんよ。見たところ、あれでは姉と妹と言った様子……いや、孫……やめておきましょう。とにかくぬえとは悪友と言うべき関係です。うん、やっぱり何も変わらないと思うんですけど?」
「……いや、そういう心配をしてるわけじゃないし」

 顔を赤くしたぬえが口を尖らせた。

「それに、混ざるなら早い内が良いと思いますけど、どうでしょうか」
「いや、だから! そうじゃないんだって! 話を聞いてぇ!」

 あまり空しい抗議の声は、聖の耳に入ることもなく消えていくのだった。
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コメント



0.2120簡易評価
2.100名前が無い程度の能力削除
おお素晴らしい。何気に完璧な作品ですね。登場人物総動員で萌え殺し、癒し殺す勢い。
3.100もんてまん削除
筍、筍を食べたい……。
4.100名前が無い程度の能力削除
能力は違えど妖精とマミゾウさん共に人間を化かすという組み合わせが珍しいなともなるほどとも思いました。
年長者のマミゾウさんが寛容的だからほのぼのとしていて凄く癒されました。
あと感情表現豊かなぬえちゃんが可愛い。
7.90名前が無い程度の能力削除
最後までぬえちゃんがやったんじゃないかと疑ってしまったよ。
やっぱりマミぬえは好いですね。読めて好かったです。
12.90アリス・マーガトロイド削除
マミゾウさんの包容力の高さ、三月精のいたずら、ぬえちゃんのマミゾウさん大好きっぷりが読んでて
感じられ、ほのぼのしました。
また、マミゾウさんが台帳を大切にしてるというエピソードもいかにもマミゾウさんらしいと思いました。
16.80奇声を発する程度の能力削除
ほのぼのしてて和みました
33.100名前が無い程度の能力削除
長い年月を生きてきた妖怪にはやはり風格というものがありますね
子分を従えている姿がさまになっていると思います
41.80過剰削除
マミゾウはほんといいキャラしてるなぁ
あとぬえがかわいい
42.100名前がない程度の能力削除
マミゾウさんいいですね!
三妖精+ぬえとお饅頭食べてるとかほんわかしそうなシーンが浮かんできました
面白かったです
48.100名前が無い程度の能力削除
マミさんと三月精の絡み!
なんで今まで気が付かなかったんだ!

まったくもってほんわかしました^^