Coolier - 新生・東方創想話

ヤマメちゃん大学生になる6 前編

2012/06/08 08:11:16
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夏真っ盛りの早朝、夏至は過ぎたものの未だに新聞が来る時間帯には日が登っています。
今日は待ちに待ったディ○ニー行き、後1時間は寝ていても新幹線には間に合うのにこの時間に起きてしまいました。
まあ、決して楽しみだからとかそんな理由じゃないんですがね。
楽しみなのはそうなんですが、まずやらないといけないことがありますから。

「アリスさーん!起きろー!」
「ん~……あと5時間~……」
「……置いてくよ?」

そう、今日ばかりはアリスさんに寝坊されるわけには行かないのですよ。
たとえ覚せい剤を注射してでもアリスさんを布団から叩き出すという崇高な使命を果たさねば。
しかしアリスさんも岩のように布団と一体化してぴくりとも動きやしない。
……本当にメタンフェタミン注射してやろうか。
言わずと知れた覚せい剤の主成分、私の持ち歌にもその名を冠する人間失格まっしぐらのこの薬品は意外と合成が簡単です。
これ以上言うとマジで警察が来かねないので詳しくは説明できませんが、多分高校生でも可能なんじゃないかなあ。
でも高校生が作るには少々お値段が張るので無理かも。
実際、覚せい剤を自作して捕まった外国人のニュースを聞いたことがありますし。
何度も断っときますけど私は一切使ってませんよ。
都会に行くとこの薬品を「簡単に痩せられる」とかいった名目で紹介されることがあるそうですが、
そりゃ体壊れてくんですから体重も減りますよ。
おお怖い怖い。
ダイエットといえばサウナを使ったものとかありますけど、あれ健康法としてはともかくダイエット法としては効果なさそうなんですが。
だって水分を体から追い出してるだけじゃないですか。
人間水分なしでは生きていけませんからすぐに水分が補填されて体重元に戻りそうです。
コラーゲンの美肌効果なんてのも眉唾ものですが、こういう類は挙げていたらきりがないのでさっさとアリスさんを起こしちゃいましょう。

「いい加減起きろー!その寝顔写メって神綺さんに送りつけるよー!」
「……普段からやってるくせに」

文句を言いながらもやっと起き上がってくれました。
じゃあ朝食にしましょうかね。
コンビニに行ったレティさんもそろそろ戻ってくるはずです。
昨日のうちに準備しておいたおにぎりを取り出しているとおもむろに携帯が鳴り出します。

「この着信音は……教授?」

電話の主は夢美教授。
たまたま起きていたから良かったものの、普段なら余裕で安眠妨害です。
もう少し常識とかわきまえてもらえないでしょうか。

「はいもしもし」
「おはよう。私よ」
「新手のオレオレ詐欺かよ」

いくら相手がわかっているからっていきなり「私よ」と言われるとは思いもしませんでした。
お前だったのかとでも返せばよかったんでしょうか。
タメ口じゃないと怒られるしそれでもよかったかもしれませんね。

「で、なんすかこんな朝っぱらから」
「ああそっか、そっちは早朝だったわねゴメンゴメン」
「そっちは早朝って……教授、今海外にいるの?」
「ご名答!アメリカから今から帰るところなんだけど、おみやげ何がいい?成○空港で買ってくるわ」

現地で買うんじゃないのかい。
そりゃ、急にアメリカみやげで欲しい物を言えと言われても思いつかないのは事実ですが、あんまりです。
どこまでもマイペースな人だなあ……。

「私も今から2泊3日で首都圏行くから、向こうで合流したら買てくださいな」
「そうなの!?素敵ね!ちょうどあなた向けのみやげ話があったのよ!」
「じゃあ飛行機がんばってね。電話切るよ?」
「はいはーい、また後でねー」

……疲れた。
朝からこんな調子で体が持つんでしょうか。
塩酸フルスルチアミンやニコチン酸アミドやタウリンあたりを混合した栄養ドリンクでも飲んでおきましょうかね。
ちなみに塩酸フルスルチアミンは一般的に硝酸チアミンなどとあわせてビタミンB1と呼ばれています。
というかチアミンをビタミンB1とも呼ぶだけなんですが。
日本では鈴木梅太郎氏が1910年に発見しオリザニンと命名したことで有名です。
脚気の特効薬として使用されたように、不足すると脚気や神経痛などの症状を引き起こします。
日本の薬の商品名はよく「ン」で終わりますけど、これは日本人がビタミンB1を発見したことからビタミンの「ン」を取るようになったという説があります。
ってそんなことはどうでもいいから朝食食べて準備しないと。

「ほら、アリスさん寝ぼけてないでさっさと食べる!」
「わかったからその中身がいかにも怪しい飲み物をしまってちょうだい」
「大丈夫、蜂蜜風味にしたからおいしいよ」
「味より中身が問題なんだけど……」

別に中身も変なモノが入ってるわけじゃないんですがね。
神経質すぎるんですよアリスさんは。
そういえばまだレティさんが戻って来ませんね。
またエロ本の立ち読みでもしてるんでしょうか。
レティさんの数ある趣味の一つが早朝のコンビニでのエロ本の立ち読みなのは本当に何とかならないもんですかね。
ネットで好きなだけ見ればいいのにと思うんですが。
しかし本人が実技に興味があるかというと、曰く
「自分で男の相手したら女の子の裸が見られないじゃない」
とのこと。
ホモ漫画好きだって娘のほうがよっぽど健全な思考の持ち主だと思います。
願わくば男に生まれたかったんですって。
同じ学部の男子どもを見てると男に生まれても必ずしもレティさんの望む行為ができるとは限らなさそうなんですけどね。
更に恥じらいの概念が薄いです。
もひとつついでにMです。
でも見ていると結構Sっぽい側面もあるんですよね。
見ていて楽しいものではないんですけど。

「ただいまー」
「あ、おかえりなさーい。先にご飯食べちゃってるよ」

噂をすれば、というやつでしょうか。
口に出してはいませんけどね。
授業でわからない問題があって当てられないように必死に祈ってる時に限って当てられるようなものです。
大学に入ってからは減ってくれて嬉しいんですが、週一で通ってる夢美教授の個別指導はそうも行きません。
あの人私をどうしたいんだろう。
化学や生物はともかく数学や物理の方はそこまで得意じゃないんですがね。
高校で取ってたのは生物じゃなく物理だったけど。
教授のことだから私に英才教育を施して助手にでもするつもりなんでしょうが、同じ理学部でも私は化学系で教授は物理系なんですよね。
研究室は基本的に分野に関係なく選べますから関係ないといえば関係ないんですが……。
あ、さっきの教授の電話を二人に伝えておきましょうかね。

「二人ともさー、理学部の岡崎夢美教授って知ってる?」
「知ってるも何もうちの大学ではトップクラスの有名人でしょ。それがどうかしたの?」

説明が面倒だったので二人には私と教授が知り合いだということはまだ言ってません。
何かの拍子に教授の無免許運転が文さんに伝わったらそれこそ風の様に広まりますし。
今回も盗聴の気配がないか十分気をつけての発言です。
本当に面倒な知り合いばかり持ったもんだ。
もっとも、あの派手な車はそうそうお目にかかれるものじゃないですしすでに有名になっててもおかしくなさそうですが。

「その教授と今日の旅行先で合流するっぽいんだけど」
「合流って……どういうことよ」
「まあ順をおって話すからさ……」

私が食器を片付けながら長ったらしい説明を始めようと口を開いたその瞬間、

「その話、詳しく聞かせてもらえませんか!?」

天下の地獄耳、射命丸文その人が部屋に乱入してきたではありませんか。
そういや文さんには今日にも制裁を加えるつもりでいましたし、ちょうどいい機会ですね。

「……ってレティさん鍵は!?」
「閉めていたはずよ~」
「フッフッフ……我がルームメイトであるてゐさんの手にかかればこんな鍵無いも同然です!」
「どうもー」

てゐさんも登場。
飛んで火に入る夏の虫とはこのことです。

「いやー、ヤマメさんが岡崎教授と知り合いだったと痛い痛い痛い!首は……!首はやめてください!」
「これ以上口を開いたら首をへし折るよ」
「じゃ、じゃあ私はこれで……」
「てゐさんも逃さないよ」

文さんの首を壁に押し付けて黙らせながらてゐさんの足元に粘性の糸を投下。
動きを封じます。

「ちょっ……これほどけない……っ!」
「そりゃ蜘蛛や蚕の糸と同じ成分でできてるからね。ナイロンの2倍以上の強度があるよ」
蜘蛛の糸と一口に言っても、糸に使われるタンパク質を構成するアミノ酸の種類は大きく異なります。
より進化するに連れてアラニンやグリシンといった単純な構造のアミノ酸に特殊化していってるのです。
その方が糸の弾性力が強くなり丈夫になるので、今回はそちらを使っています。

「土蜘蛛の糸はもっと多様なアミノ酸を使うんだけど強度が弱くなるからね」
「さりげなく話の内容がメタいよ!」
「聞こえない聞こえない」

ちなみに糸自体が蜘蛛の立派な栄養源であり、食べた糸はわずか30分後には80%以上が新たな糸に再利用されているとか。
さすがにそれだけじゃ栄養が足りないので永久機関にはなりませんがね。
さらに糸には蜘蛛が実際に糸につけている粘球を付着させています。
この粘球はアミノ酸を中心とした水溶性の有機化合物と硝酸カリウムリン酸二水素カリウムが主の無機物で表面を覆われた糖タンパク質。
粘着力が強く大抵の昆虫は逃げ出すこともできません。
さらに豆知識を披露すると、この粘球は巣を作っている糸の中でも横糸にしかついていません。
蜘蛛自身は縦糸を移動することで網に引っかからないようにしている……というのが長年定説とされてきました。
が、近年では蜘蛛は横糸も渡るし粘球に足を取られたりもする、足から油を出しているから絡め取られないだけだという説も出ています。
土蜘蛛のほうが専門なんで詳しくは忘れました。
ググればいいんじゃないですかね。

「あのー……薀蓄語りはいいですからそろそろ手の方を……」
「ああ、そうだね。はい」
「はあ……ありがとうございま……って何カメラをしれっと取ってるんですか!?」
「悪さできないようにしようと思ってね」

そう言ってフッ化水素酸でフレームをなぞる。
この時点で曇りガラスになってピントが合わせられないですね。
勘で撮るか削って磨くかすればいいと思います。

「なんてことを……これ高かったんですよ……」
「こっちだって今まであんたら二人のせいで多大な損害を受けたんだけど?」
「「すいませんでした」」

まあ溜飲も下げたことだし今回はこれでよしとしましょう。
さもないと……

「ヤマメ!はやくてゐちゃんの糸ほどいてよ!新幹線間に合わないよ!」

旅行に行きそびれちゃいますから。



「……ひどい目にあったわ」
「いくらなんでも濃硫酸で糸を焼き切らなくても良かったんじゃないですか?」
「時間なかったんだから仕方ないでしょ。間に合っただけましと思いなよ」

駆け込み乗車ではや○さに飛び乗った私たちは今は座って呼吸を整えていました。
遅刻の女王魔理沙が待ちくたびれたというのだから大遅刻です。

「まったく、遅れたら笑い話じゃすまなかったぜ」
「あら、魔理沙がそんなことを言えたものかしら?」
「今回は規模が違うぜ」
「規模が小さくても塵積もって単位落とすとかやめてよね」
「耳が痛いこと言ってくれるなよ……」

マジで単位大丈夫なんだろうかこいつ。
留年されると私が講義出られないときにノートを写させてくれる人が一人減るんですけど。
いや、ノートなんて取ってなかったですね。
私が教授に初めて会った時に受けそこねた授業も寝てたって言ってたし。
あの時は本当に苦労したんだから。
その恨み今日晴らしてくれる。

「魔理沙、ボツリヌストキシンとテタヌストキシンではどっちが好き?」
「いきなりなんだ?……まあボツリヌストキシンかな。最強の毒だし」
「よーしわかった。顔にボツリヌストキシンを注射してあげよう」
「お前が言うと洒落にならないんだよ!」

魔理沙の言ったとおりボツリヌストキシンはすべての毒物の中で最も致死量が少ない最強の毒です。
しかしおどろくべきことにこいつにも美容目的の使いようが。
なんと顔のしわ取りに使われるのです。
ボツリヌストキシンは神経毒であり、神経伝達物質アセチルコリンの放出を妨げる働きがあります。
そのため量をわきまえて使えば表情筋の動きを抑え、しわをできにくくすることができます。
他にも目を大きく見せたり、小顔に見せたりすることもできます。
魔理沙の返答はそれを踏まえてのことでしょうね。
まあ私は適当な分量なんて知らないから大惨事確定なんですが。
ちなみにもう一方のテタヌストキシンは破傷風菌が出す毒素です。
トキシンというのは毒素という意味ですが、毒全体を指すポイズンと違って生物が持つ毒のことのみを指します。
某高校生探偵でクソ生意気なメガネの小学生にした毒薬もトキシンの名を冠していましたが、あんな成分を持つ生物が果たしているのかが大いに疑問です。
体が縮んでるから骨とか溶けていそうなものなのに風邪で普通に元に戻ったりするしわけわかんない毒ですよね、あれ。

「そういえば、みなさんは中学高校時代どんなことをして過ごしていたんですか?」

私が見た目は子供、頭脳は大人であるためにはどれくらいの脳細胞が残っていればよいのかを考えているとおもむろに文さんが話を振ってきました。
中学高校時代ねえ……。

「というか私についてはみんな知ってるんじゃないの?」
「そうだな、私もアリスから聞いたし」
「だから中学も含めたんですよ。なんかあるんじゃないんですか?」

中学時代というと、私は部活のソフトボールに明け暮れていたような気がしますね。
ってかアリスさん魔理沙に私の黒歴史話したのかい。

「ソフトボールの実力の方はどうだったのかしら~」
「そんなに上手くはなかったよ。守備はともかく打撃は得意じゃなかったし」
「プロ野球選手に例えるならどんな感じ?」
「よくぞ聞いてくれました!これでもダイ○ード打線の鳥○裕○に似たタイプと言われたこともあるんだよ」
「んー、知らないからちょっと調べて……って打線の穴じゃないの」

失礼な、100打点カルテットの年は彼が打点上げた試合は負けなかったんですよ。
それに守備は上手いし。
と反論するものの、私がプロ野球見始めた頃には彼はもう引退してコーチになってたんですけどね。
私自身もどんな選手だったのか詳しく知っているわけではないです。
部活の顧問が勝手にそう言っていただけ。
まあ私についてはこんなところでいいでしょう。
次行こう次。

「で、言いだしっぺの文さんはどうだったのさ」
「私ですか?そうですね……後輩を盗聴して弱みを握ったりとか後輩を盗撮して弱みを握ったりしてましたね」
「最低だこいつ!」

この人だけは先輩に持ちたくないです。
友人に持った時点でこんなに苦労してるんですからさぞかし大変でしょうね。
文さんの後輩には同情を禁じえません。
訴えたら多分勝てるんじゃないでしょうか。

「風紀委員とか大丈夫だったの……?いや文さんの母校にあるか知らないけど」
「ありましたけど、風紀委員に入ってる後輩がターゲットだったんで」
「抜かりないな……」
「いやあそれほどでも」
「褒めてないから」

私が文さんに突っ込んでいると、写真を取り出してみせてくれました。
えーと、なんで写真の娘は犬耳と尻尾を付けさせられて首輪はめられて四つん這いにさせられているのか理解に苦しむんですけど。
弱みとかもうそういう次元超えてますよね。
たとえ顔にモザイクかけたってネットに上げられたら人生終了しかねないレベルの弱みですよね。

「かわいいでしょ?椛っていうんですけどね、普段口うるさいのがこの写真見せたら一発で黙るんですよ」
「その口うるさいのはどういう意味で口うるさいかによって私の同情具合が変わってくるんだけど」
「それが校内に監視カメラ持ち込むなとか写真売買するなとか私には都合がわるいことばっか注意してくるんですよねー」

椛なる文さんの後輩に最大限の敬意を込めて合掌。
君は何も悪くない、悪いのは文さんですから。
正義というものがここまで無力だと感じたのも久しぶりです。
その様子を映像で見ていたらあまりの同情に涙が止まらないことうけ合いです。

「……次いこう。じゃあ席の順番でてゐさんかな」
「えー、私特に何もないんだけど」

絶対嘘だ。
これだけの性格をしていて今まで何もないはずがありません。
何でもいいからひとつくらいは語ってもらいますよ。

「何かねえ……あ、じゃあ医学部の鈴仙って知ってる?」
「えーと、確か主席で入学した人ですよね」
「文ちゃんよく知ってるねえ。私あの娘と高校一緒なんだよね」
「ぜひ詳しく聞かせてください」

文さんの食いつきのいいことといったら。
にしても、主席と同じ高校だなんててゐさん一体どこの高校通ってたんでしょうか。
そういえば聞いたことありませんでしたし。

「学校?あそこだよあそこ。N・○・D・A」
「……マジですか」

あの頭おかしいレベルで頭いい人達のいるあそこ。
てゐさんには申し訳ないですけど、にわかには信じがたいです。
だってあそこの入試問題見たことありますけど国語からもうキチガイみたいな難易度じゃないですか。
中学校の問題もよく平○教育委員会に出題されますけど正答率めっちゃ低いですし。
そういや私がいつぞや化学オリンピックの代表候補になった時、そこの学校から複数人候補が出てたような気がしますね。
あまりにも良くできていたもんだからいけ好かないやつだなと思った記憶があります。
で、それはさておいて学年主席鈴仙の話に戻りましょうか。

「あの娘理ⅢのA判定出てて、絶対そこ行くもんだと思ってたら二次試験こっちにしてたんだよね」
「センターでマークミスかなんかあったんですか?」
「いや、なんか逃げ出したくなったとか何とか」
「プレッシャーですか……」

理ⅢA判定で、仮にも旧帝大の1つに数えられるうちの大学を逃げ場所にする頭脳ですか。
私もほしいです。
私とキスメはやっとの思いで受かったんですよね、ここ。
にしても逃げ出すだなんて何があったんでしょうか。
本人の面目もありますし無理に聞いたりはしませんが……

「一体何がそこまで彼女を追い詰めたんでしょうか?」
「聞いてんじゃねえよエセジャーナリスト!」
「それがそれまでの厳しい勉強漬けの毎日に嫌気が刺したとかでさー」
「そっちもペラペラとしゃべるのかい!」

まだ顔見たこともろくにない鈴仙よ、あまり人に話したくないであろう進学事情を勝手に知っちゃってごめん。
てゐさんの話によると非常に優秀であった鈴仙も勉強漬けは嫌だったらしく、ちょうどうちの大学の医学部に学びたい先生がいたので進学を決めたんだとか。
なんでも子供の頃から勉強ばっかでろくに遊びにも行けなかったとかなんとか。
秀才にも苦労は尽きないんですね。
で、今はその先生のところに住み込みで大学行ってるんだそうな。
てゐさんもよく顔を出すそうだし、今度私もついて行ってみようかな。
チートクラスの知り合いは大いに越したことはないと夢美教授に会って以降つくづくと思います。
その分変人の知り合いも増えて苦労するんですけどね。

「なるほど、興味深いお話でした。じゃあ次、レティさんお願いします」
「私?さっきまでの面々みたいな面白い話はないわよ~?」
「いいからいいから。なんでもいいので中学高校時代についてお願いします」

話を渋っていたレティさんですが、文さんに説得されてネタを探し始めたようです。

「うーん……じゃあこれにしようかしら」
「お、決まったんですね」
「そうね、私のいた高校では年に一度ライバル校との野球の試合があって全校をあげて応援するんだけどね」

野球が絡んできましたね。
私のことも考慮してくれたんでしょうか。
それにしてもレティさんのいた高校が羨ましいです。

「その試合の数日前に街中を応援歌を叫びつつ行進するイベントがあるのよね」
「前言撤回。全然羨ましくないよ」
「そう?私は楽しかったけどね。で、その際にコスプレしてもいいことになってたのよ」

なんか話聞いただけだと全然どんな高校なのかつかめないんですけど。
そういえば春に大勢の高校生が街中でやじ合戦しているのを見たことありますけど、それがレティさんの言っているやつなんでしょうか。
確かに何か叫んでいたように思われましたが……。
私が一人回想に耽る中レティさんの話は続きます。

「それで部活の女子全員で男子を女装させて歩かせたことがあったのよね~」
「女装したまま街中を練り歩くなんて一生もののトラウマになりそうですね……」
「ちなみに私はアドチルのレティシアの格好をしてたわ」
「なんていうか世界観が混乱するからそういう話はやめてよ!」

元ネタのゲームはキスメに借りてやったことあります。
まあクリア出来なかったんですが。
レベル上げが嫌なのでRPGは苦手です。

「みんな結構ノリがよくってね。文化祭でも女装コンテストに出したところお客さんにも好評だったわ~」
「それ今年もやるんですか?」
「何事もなければやるはずよ。確か今月末だったかしら」
「へー、暇だったら行ってみましょうかね」

確かに文化祭で女装コンテストとかよくやりますよね。
男の娘ブームってやつでしょうか。
キスメが大学生になってからそういうジャンルに手を出してしまったのは友人としては悲しい限りです。
大体文さんが悪い。
それはさておき男装が少ないのは面白みにかけるからでしょうか。
もしあったならレティさん喜んで参加しそうですね。
ただ胸で一発で女性とバレると思います。

「やったことあるわよ?学ラン着て」
「マジで!?」
「でもね、背にあった学ランが入らなかったのよ~……」
「えーと、それは上?それとも下?」
「両方」
「うん、ごめん」
「いいわよ昔の笑い話だし。まあこんなものかしら。そんな大した話じゃなかったでしょ?」
「いやいや面白かったですよ。次のキスメさんにも期待ということで」
「いや私も面白い話なんてそうそう思いつかないって。ここらへんで終わりにしようよ」

あ、ずるいぞキスメ。
逃げようったってそうはいきません。
まだ魔理沙とアリスさんも残っていますしね。
もっとも、アリスさんは早起きしたせいか爆睡中でとても起きてくれそうもないんですが。
魔理沙もアリスさんに寄りかかられて寝てますけどこっちは起こすことはできそうです。

「魔理沙ぁ……茸のほかにも何か食べないと栄養がかたよるわよー……」
「茸は万能だぜー……」

寝言で会話してるし。
普段はト○とジェ○ーみたいなのにこういう時はすごく仲良さそうに見えますね。
普段から仲良く喧嘩しているわけですが。
それにしても魔理沙はなんでそんなに茸が好きなんだ。
たまには筍のことも思いだしてやってくださいよ。
前にも行った気がしますが私はカントリーマ○ム派です。
これが一番波風立たないんですもの。
それでもココア派とバニラ派の争いが起きてしまうのは人間の性なんでしょうか。
なにはともあれ、起きているキスメにはしっかり話してもらわないと。
ずっと同じ学校だったから私の知らない話が出てくる可能性は低いですけどね。

「ほ、ほら!暇つぶしにトランプとかカード麻雀とか持ってきたからそれで遊ぼうよ!」
「えー、ちょっと地味じゃないですか?」
「だったら……」

ここまで話して反論のネタが尽きたのか押し黙るキスメ。
でもカード麻雀って何なんでしょうね。
牌の代わりにカード使うんですかね。
それならスペース取らないしここでもできそうですが、現在起きている人数は5人。
一人参加できませんね。
そんなことを思っていると、キスメも妙案が浮かんだのか頭上に豆電球が灯ったかのような表情を見せました。

「お金賭けるってのはどうかな?」
「賭けですか……面白そうですね」
「私も賛成だよ~。いっちょ稼ぎまくってやるかね」
「「てゐさんは参加禁止」」
「ぐぬぬ」

てゐさんを参加させた暁にはイカサマオンパレードの一人勝ちが目に見えてますからね。
オブザーバーとして他の連中が不正をしないか見張ってもらう役に任命することにしましょう。

「じゃあ、4人ですしまずはカード麻雀にしましょうか」
「わかった。レートはどうする?」
「お遊びだし100点につき1円でいいんじゃないですか?」
「よし、それでいこうか」

そうして始まった賭けカード麻雀は新幹線が終点に着く数分前まで続き……

「いや~儲かったわね」
「絶対イカサマだ!純九蓮宝燈なんてそうそう出るか!」
「レティさん一生分の運を使い切ったんじゃないですか……?」

レティさんが万単位の金額を稼いで終了しました。
被害者は主に文さん。
乗り気だった割には弱かったですね。
私の清一色にもあっさり振り込んでくれましたし。
その私もレティさんのせいでほとんど稼げなかったわけですが、まあ赤字じゃなかっただけよしとしましょう。
しかし和了ったら死ぬとまで言われる純九蓮を……。
イカサマじゃないとしたらどんだけついてるんでしょうね。
片付けは借金組の文さんとキスメに任せて私とレティさんはアリスさんを起こしにかかります。
魔理沙が途中で起きてくれて本当によかった。
二人も起こしてたら折り返しで帰ってしまうところでした。

「えーっと、ここでユキさんたちと待ち合わせだったね」
「まだ来てないみたいね~」
「寝坊じゃないか?アリスみたいに」
「失礼ね。魔理沙だっていつも遅刻してるくせに」

アリスさんと魔理沙が喧嘩をおっぱじめましたが、いつものことなので無視してユキさんにメールを送ります。
現在地を写メで送ったので待ち合わせ場所を間違えていてもたどり着いてくれるとは思いますが……。

「あれ、アリスさん携帯鳴ってるよ」
「あら本当ね。……お母さんだから魔理沙代わりに出てよ」
「御免被るぜ。説明が面倒だからな」
「仕方ないわね……」

ため息をつきつつ電話に応答するアリスさん。
今ユキさんに現在地送ったばかりなのにどうしたんでしょうか。
メールに気づいていないとか?
それとも……、

「はあ?上野にいる!?私達東京駅まで来てるんだけど……って忘れてたじゃないわよ!」

駅構内にこだまするアリスさんの叫び声。
案の定駅を間違えていたようですね。
周りの目線がこちらに集中していて恥ずかしいです。
そんなことお構いなしに電話越しに実の母親に説教するアリスさん。
そろそろやめてあげないとさらに合流が遅れると思うんだけどなあ。
ディ○ニーはまだまだ遠そうです。



「いやー、やっと着いたねー」
「そうね、でもここからが本番なんじゃない?」
「そうだね。おもいっきり楽しまなきゃ!」

今はモノレールに乗っていよいよディ○ニーリゾートに向かう最中。
向こうに見えるはビッグサ○ダーマウンテンでしょうか。
そういえば以前勇儀さんがやたらスプラ○シュマウンテンを推してましたね。
到着したら忘れずに乗りに行くことにしましょう。

「だからごめんって言ってるじゃないの~」
「ごめんで済んだら警察も弁護士もいらないのよ!」
「今回はそこまで大きな事じゃないんだからいいじゃない……」
「やかましいっ!」
「ぐすん……」

向かいの席ではアリスさんが神綺さんにお説教を継続中。
さっきから本当に周りの視線が痛いです。
追い出されても知りませんよ?
その二人の脇ではユキさんが仲裁に入って、マイさんは触らぬ神に祟りなしとばかりに無関心を貫いています。

「てゐ、ここには私服警官がいっぱいいて、敷地内で悪いことしても捕まんないけど外に出た瞬間に捕まるそうよ~」
「レティは私をどんな目で見ているのさ……」

私の隣ではレティさんがてゐさんを脅かしています。
てゐさんの普段の行動を見ていればどんなに好意的に見たってそういう認識を持たざるを得ないと思うんですよね。
自業自得というものです。
私もむやみに薬品ぶちまかしたりしないようにしないと。
ちなみにこの2泊3日の旅行、初日の今日は全員でディ○ニーランドに行くことになってますが明日はシー組と夏コミ組に分かれてます。
そして夜に夢美教授と合流、3日目は観光という流れになってます。
というか先ほどそう決まりました。
教授が帰国したら電話くれるそうですし、教授にはその時にでも伝えることにしましょう。

「あ、そろそろ着きますね」
「そうだね。おーい、アリスさんもそろそろおしまいにしてあげなよ」
「……仕方ないわね。ヤマメもこう言ってることだし今回はこのへんでやめとくわ」

私の声かけでようやくお説教を切り上げるアリスさん。
どうやら言いたいことは言い尽くしたんでしょうか、割とあっさり引き下がりましたね。
そのかわり神綺さんは軽くとかそんなもんじゃないレベルで涙目になってますけどね。
ほんと、子供がいるとは到底思えない外見です。

「そういえば夢子さん……でしたっけ?一番上のお姉さんは来ないんですか?」
「夢子姉さんは仕事あるからねー。3日目は一緒にいられるって言ってたけどそれまでは無理みたい」
「そうですか……今日にでもご挨拶したかったんですけど」

モノレールを降りる途中にそんなことをユキさんに聞くとちょっと残念な答えが。
社会人は大変ですね。
その社会人であるはずの神綺さんは普通にこっち来てますが。
ここのVIPらしいからいいんでしょうか、羨ましい。

「そういえばここには桜の木が一本もないと聞いたんだけど」
「確かに桜をはじめとして落葉広葉樹が全然見当たりませんね」

キスメと文さんが景観について話していますがが、リゾート内では季節を感じさせないために落葉広葉樹はほとんど植えていないそうです。
その割に時期折々のイベントはやるけど。
というのも昔の話で、現在は桜とかも普通に植えてあるそうですよ。
満開近くなったらイベントもやってるとか。
世の中変わっていくものですね。

「マイお姉ちゃんお腹すいた」
「……キャラメルポップコーンでも買って食べれば?」
「あと眠い」
「……ジェットコースターで失神すればいいと思う」

そして平常運転に戻ったアリスさん。
ここまで来て眠いなんて言ってられるとは恐れ入りました。
そんな会話を繰り広げながら入場ゲートに並びます。
そこそこ混んではいるものの、入場から待たされるということはなくすぐに受付のお姉さんにチケットを……って

「……ぬえじゃないの。なんでこんな所にいるのさ」
「ヤマメ!?久しぶりだねー元気してた?」
「え、ぬえちゃん!?」
「わっ、キスメまで」

受付にいたのは私達の地元で顔なじみだった封獣ぬえ。
ここで働いてるんでしょうか。
久々の再会ということで積もる話もあるのですが、

「ぬえ、何油売ってるんですか。後ろがつかえてますよ」
「……星か、いや悪いね。じゃあ二人とも後で電話でもするから楽しんできなよ」
「こっちこそごめんよ。また後で」

向こうは仕事中、邪魔するわけにはいきませんね。
しかし本当にびっくりです。
世間って狭いもんだなあ……。
キスメも相当驚いているようで時折受け付けゲートの方に視線を向けています。
しかしいつまでもそっちにかまっていたら日が暮れてしまいます。
せっかく来たんだし遊び倒さないと。

「スペー○マウンテン!」
「ハニーハ○ト!」

早速どこを回るかで揉めてるのは魔理沙とアリスさん。
シーとは対照的にランドは休日は死ぬほど混んでて初心者には一日で有名アトラクションを全部回るのは精神衛生上非常によくないですよね。
ファストパス取ったり工夫しないと。
っていうか二人で勝手に決めないで欲しいんだけど。

「お、見ろよアリス!アリスのティー○ーティーってアトラクションがあるぜ!」
「……で?」

魔理沙が指さしているのはハッピー・アンバースデーパーティー絶賛開催中のコーヒーカップもといティーカップ。
ここが意外と空いてるのはどんな遊園地でもだいたいおいてある遊具だからでしょうね。

「ちょうどいいことに今日はアンバースデーだ。記念に回しまくってやるぜ」
「ちょっと、待ちなさいよ」
「いいじゃないか、嫌なら他のアトラクションのファストパスを取りに行ってもいいんだぜ?」
「あやや……じゃあ私とてゐさんはそうさせてもらいますね」

魔理沙が強引に押し切って、スペー○マウンテンとハニーハ○トのパスを取りに行った二人以外はティーカップに。
紅茶といえば私の動力源であるカフェインが含まれていますが、同じカフェインでもコーヒーのそれは日本人には効きにくいんだとか。
かく言う私も午後に飲んでも夜は爆睡です。
とまあ、こんなことを考えていられる程度には私は回転系のアトラクションには耐性があります。
車酔いは普通にするし三半規管に自信があるわけではないんですがなんでなんでしょうね。
高速で回転する視界の端に一瞬魔理沙とアリスさんが乗ったカップが見えます。
調子に乗って魔理沙が高速回転させていますけど、大丈夫なんですかね。
弱い人はとことん弱いから回しすぎはやめたほうがいいんだけどなあ……。
最速45回転毎分は伊達じゃない。
実際魔理沙はゲーゲー言いながらアリスさんに介抱されることになりましたとさ。
地味に大丈夫だったアリスさん。
私も平気でしたが他の面々は相当こたえた様子です。

「ヤマメも回し過ぎだって……」
「こればっかりはファストパス待ちのてゐと文が羨ましいわね~……」

同乗していたキスメとレティさんからの苦情。
向こうでもマイさんがベンチで倒れて神綺さんに膝枕されています。
見かねてユキさんが飲み物を買いに行ったようです。
足元ふらついてたけど大丈夫かな……。
とその時、

「ふ……ふふふ……邪魔者は消えたわ……」
「ちょっ!?マイさん!?」

マイさんがゆらりと立ち上がり意味深な言葉を口にしました。
回転しすぎて脳みそシェイクされてなきゃいいんですけど。

「じゃあ私ちょっとそこのド○ルドと写真取ってくるから」
「はーい、カメラのシャッター押そうかしら?」
「ううん、そこらへんの人に頼むのが楽しみだから」
「そう?じゃあいってらっしゃい~♪」

……なんかキャラちげえ。
あっちが素なのか……?
やたらウキウキでカメラ持って水兵服のアヒルのところに走って行きましたよマイさん。
もしかしてユキさんの前だとマイさんキャラ作ってる?
よくわからない双子事情に混乱する私にアリスさんが近づいてきました。

「なんかマイお姉ちゃん、ユキお姉ちゃんがいると自分を出すのが恥ずかしいみたいでね……」
「まあ気持ちはわからないでもないけどユキさんはそれどう思ってるのさ?」
「んー、気にしてないんじゃない?もう大人なんだし、自分たちはこういう関係だって割り切ってるんじゃ」
「の割にはいつも一緒にいるんだね」
「結局のところ仲いいからね。多少窮屈でも楽しくやってるみたいだし、こうしてたまに発散する機会もあるし」

そういうものなんでしょうか。
一人っ子の私にはあまり実感のわかない感覚です。

「マイーおまたせー!オレンジジュースでよかった?」
「……ありがと」
「いーのいーの私だってほら、ポップコーン買ってきたし」
「……それ一人で食べる気?」

……情に厚くしっかり者のユキさんもこういうところはアリスさんに似ているんですね。
山盛りのキャラメルポップコーンなんて私にはとても食べきれる気がしません。
大体、んなもん食べたら太るし。
ついた脂肪が全部胸に行ってくれれば世話ないんですが、あいにく全部二の腕と太腿に直行していますし運動しないと。
アリスさんの家系は食べても太らないんでしょうか……。
そして最近気づきましたが胸大きくしたいならカフェイン摂取量少なくしたほうがいいんですよね。
カフェインには脂肪を燃焼させる効果があるので今まで私はわざわざ胸の発達に逆効果なことをしていたことになります。
願わくば時間よ戻ってくれ。
今となっては成長も止まり気味だしカフェイン中毒っぽいんで手遅れ感が半端ないです。
ブラックコーヒーを飲めないレティさんはやはり人生の勝利者でした。
しかし胸の脂肪が消費されるならなんでお尻から太腿にかけてはやたら肉付きいいんだこんちくしょう。
レティさんにはエロいって言われましたけどぜんっぜん褒め言葉になってないから。
まあレティさん本人も体重増えたって嘆いてましたしやっぱりあの人も太るの嫌なんですがね。
寮に帰ったらマジで運動しよう。
バッティングセンターにでも行くことにしましょうかね。

「はーいスペー○マウンテンとスター○アーズのパス取ってきましたよー」
「早っ」

疾風のように人数分のファストパスを持って戻ってきたのは文さん。
どう考えてもこの混み具合では2ヶ所のパスを取ってくるのは不可能なはずですが……。
実際てゐさんもまだ戻ってきてないですし。
恐るべし文マジック。
それはそうと世の中にはドン引きしかねないほどにスター○アーズにのめり込む人がいて、C-3P○の台詞をすべて覚えているなんてことも。
ジョー○・ルー○スも手を貸したこのアトラクション、圧巻のグラフィックや絶妙のGのかかり具合を始めとしてとにかく完成度が高いです。
R2はアナ○ンより優秀だと思います。
映画見てて思ったんですけど、ヨー○ってそこまですごく見えないですよね。
大して役に立ってない気がします。
あと彼(?)のお面はつけてみるとわかりますが気持ち悪いのでウケを狙いたいならやってみる価値はありますよ。

「ほら、いつまで寝てんのよ魔理沙。てゐが戻ってきたらお昼にするそうよ」
「うえ~……全然食欲わかないんだが……」
「僭越ながら戻って参りました!」
「空気読めよお前!」

怒鳴る元気があるなら大丈夫だと思うんですよね。
てゐさんもてゐさんで全く僭越そうな素振りがありません。
じゃあ昼食を摂りに行くとしましょうか。
お昼といっても時間的にはまだまだ早いですけどね。
しかし朝からして早かったのでお腹は空きに空いています。
満腹なら満腹でさっきのティーカップでリバースしていたことは間違いないのでよかったとも言えますが。



「はー美味しかった……かどうかは別としてとりあえずお腹膨れた!」
「そんな事言ってると消されますよ?」
「こんなんで消されてたら日本から人類がいなくなるよ」
「でもミ○キーに見えなくもない程度の子供の絵が訴えられたって聞きますし」
「……文ちゃんこそ消されるんじゃない?」

そこの2人、そういう話を敷地内でしない。
ここってやけにブラックな話が多いのはなんでなんでしょうか。
子供が誘拐されそうになったって話はスタッフの冗談が独り歩きしたものだそうですが。
あとはカラスがいないのは謎の電波を出しているからってのもありましたっけね。
カラスはよくよく探せばいますし、見かける数が少ないのはひとえに清掃スタッフの努力の賜物でしょうね。
他には巨大な地下通路があるとかカップルで行くと別れるとかが有名でしょうか。
私の目の前にもカップルがいますが無事別れてくれることを願います。
こんなこと考えてるといざ自分の番になった時に自分に返ってきそうであまり笑えません。

「じゃあそろそろパスの時間だし行きましょうか」
「おー!」

我々の向かう先は近未来的な雰囲気を醸し出すトゥモ○ーランド。
他のエリアがファンタジーチックなものですからSF風のこのエリアは少し異質に見えます。
そんなトゥモ○ーランド最大の見所はなんといってもスペー○マウンテン。
真っ暗な中を高速で駆け抜けるジェットコースターは小さい子に容赦なくトラウマを植えつけます。
しかし残念ながら102cmの身長制限がそれを阻む。
しかし身長測定のお姉さんたちはかなり甘いので1m届かなくても許容してくれます。
だが見栄を張ったマセガキは暗闇で頭を壁に高速で打ち付ける恐怖に怯えることになるという事実はそこまで有名でないのは私しかそう思ってないからなんでしょうね。

「そうそう、アリスったら初めてここに来た時にスペー○マウンテンにすごく乗りたがってたよね」
「……身長足りなかったけど乗せてもらえてた」
「で、いざ乗ってみると怖くて涙目になってたの」

マセガキとか言ってすいませんでした。
すっげえ身近に居ましたよ見栄っ張りが。
張本人のアリスさんは昔話を語るユキさんマイさんの口を塞ごうと必死です。

「たしかその時の写真のアルバムがあったわね~♪」
「わー!わー!お母さんまでやめてよね!」
「大丈夫よ今のアリスちゃんも昔と変わらず可愛いから♪」
「何が大丈夫なのよ!」

相変わらずの親ばかっぷりを披露する神綺さん。
たしかに真っ赤になってるアリスさんは可愛いです。
ニヤニヤしながらそれを見てる双子の姉2人も同意見のようですね。
いいなあ妹がいるって。

「あ、そろそろみたいですね」
「アリス~行くわよ~」

係のお姉さんに誘導されてコースターに乗り込みます。
運のいいことに私は最前列です。
写真撮影ってここありましたっけ。

「確かス○ラッシュマウンテンだけじゃなかった?シーにはもっとあったと思うけど」
「なら変顔はやめとくか」
「私が買いづらくなるからス○ラッシュでもやめてよね」

キスメに釘を刺されてしまいましたが、最初から冗談で言ったつもりなんですよね。
私ならやりかねないとでも思われたんでしょうか、心外な。
不平不満を口にしたいのはやまやまですが、代わりにぐっと安全バーを引き寄せるだけにとどめておきました。

「しゅっぱつしんこーっ!」
「いえーい!」

キスメとてゐさんの掛け声とほぼ同時にコースターが滑り出し、宇宙旅行に見立てたアドベンチャーに出発です。
未知のエネルギーとやらを受け取り、そのエネルギーが激しく反応する中を走り抜けると巨大なエネルギーボールが現れるという設定です。
未知のエネルギー……一体何なんでしょうか。
しかも激しく反応するんですか。
実用性には乏しそうだなあ……と思ったけど原子力エネルギーとか実用化されつつありますし大丈夫なのかな。
エネルギーボールが光り輝き大爆発が起きると共にロケット(ということになってるコースター)は大気圏を脱出。
やっぱり危険じゃないですか。
テキトーに爆発しただけでちんたら飛んでるロケットに第二宇宙速度を与えるんだから大したもんです。
にしても乗務員の命に別状はないんでしょうか。
たいてい巨大なエネルギーには落とし穴があるものです。
こんなことを考えている間にもコースターは急旋回を繰り返しGが重くのしかかってきます。
決して黒光りするGではありません。
彼らの病原菌媒介能力や生命力にはただただ感服するばかりです。
悪い意味で。
そういや海外ではカブトムシってゴキブリと一緒くたにされるそうですね。
確かにカブトムシはパワフルですがGほど俊敏でもないし生命力豊かでもありません。
ムシ○ングでも輸出したら印象変わってくるんじゃないでしょうか。

「ヤマメはなんで涼しい顔してるのよ~!」
「あー、ちょっとゴキブリのこと考えてた」
「きゃー!なにー?聞こえないー!」

その悲鳴はコースターに対してなのかGに対してなのか……。
私、こういう絶叫系には強いんですよね。
怪談とかそういうのは苦手なんですが。
とか思いながらふと暗闇に目を凝らしてみると……

「ぎゃああああああああああああっ!」
「ちょっ、大丈夫?」
「位牌!位牌があったの!後ろに!」

あった、絶対あった。
後ろを振り向いたら間違いなく首を捻挫するし確認できないのが残念だけど、間違いない。
怪談はダメって言ったじゃないですか。
SFの中にホラーが来るとは全く予想外ですよ。
やばい怖くて泣きそう。
圧倒的風圧のせいで目が乾いてて出ませんが。
そういえばスペー○マウンテンで死亡事故があって施設はそれを隠してるとかいう都市伝説がありましたが……。

「うわっ!また出た!?」
「え?どれどれ?」
「……」
「おーいヤマメ?」

私、ノックアウト。



「ヤマメー!終わったよー!おーい!」
「ん……眩しい……」
「いや結構暗いと思うけど……」

完全に気を失ってました。
鉄分が足りないんでしょうか。
ビタミンAなら足りてるんですがね。
さっきも真っ暗闇の中アレを見てしまったわけだし……いや、もう思い出すのはやめよう。
ビタミンAは脂溶性なので体内での貯蔵が効きます。
しかし当然のことながら過剰に貯蔵すれば体に悪影響を及ぼしかねないので一定量を定期的に摂取しましょう。
ちなみにアスコルビン酸、つまりところのビタミンCは水溶性ですので毎日野菜や果物は摂りましょう。
日光に当たればビタミンDの働きで骨が強くなるのでちゃんと外にも出ましょう。
カルシウムだけじゃ駄目ですよ。

「亜鉛の体内での働きは……」
「よかった、いつものヤマメだ」
「亜鉛ってよく精力剤に入ってるわよね~」
「他にもいろいろ働きはあるよ。例えば……」
「いや、これ以上はいいから他のアトラクションに行きましょ?」

薀蓄語りを未然に阻止されてしまいました。
仕方が無いのでレティさんが喜ぶ方向の話をすると、男性向けの媚薬というのはほぼ精力剤を指します。
エロい気分になる薬なんてのはそうそう売ってません。
例えば惚れ薬の原料として有名なマンドレイク、またの名をマンゴンドラという植物が挙げられます。
地中海地方に自生するこのナス科の植物は人の股の形をしているという理由で使用されました。
他にも死刑囚の絞首台の下に生えてきたとか色々逸話があるのですが、どれも科学的に効能の有りそうな話ではありません。
しかしこいつはヒヨスチアミンやヒヨスチンといったアルカロイドを含んでいて、精神興奮作用などがあります。
幻覚作用なんかもあったそうですね。
そこらへんが実際媚薬とかに使われた理由なんじゃないでしょうか。
前にレポート書いてた時にも「空飛ぶ軟膏」の話で軽く触れた気がしますが、調べてたら色々詳しいことがわかったので。
なぜ軟膏なのかというと、これらの物質は脂溶性なんです。
水に溶かしたものを飲んだら濃度にもよりますが十中八九死ぬと思います。
んで軟膏をすぐ下に血管のある部分、脇の下とかそういうところに塗ると効果が得られると。

「魔女の絵ってよく裸で箒にまたがってたりするよね」
「そう、それこそが軟膏を……」
「はいストップ!これ以上は子供の居ない場所で話しなさい!」

すいません、ちょっと生々しすぎましたかね。
詳しくはググればいいと思います。
にしても歴史の古い薬って大体が不老不死か媚薬関連なんですよね。
お陰でそういう方向に関しては歴史に強くなりました。

「ヤマメ、もうこれ以上はいいわよ」
「日が暮れてしまいますよ」

はい、自重します。
どうもスイッチが入ると話しすぎる癖があるようです。
今回は怖さを忘れるために無理やりスイッチを入れたわけですが。
また思い出しちゃった。
これはしばらくトラウマになりそうです。



「もうすぐ閉園時間ですかー」
「あっという間だったねー。いろいろ回ったけど大して時間経った気がしないよ」
「楽しんでもらえたかしら?」
「それはもう十分に!」

スプラ○シュマウンテンに乗った証拠写真も撮ってきましたし、勇儀さんやパルスィさんへのお土産話もバッチリです。
パルスィさんには間違いなく妬ましいって言われるでしょうけどね。
今度はお二人も一緒に来られるといいなあ。
そういえば閉園時間といえば、それを過ぎても施設内に残ってる悪い子は云々って都市伝説がありましたっけ。
初めて聞いたときすごく怖くて最後まで聞けませんでした。
大学生になった今でも思い出しただけで背筋が薄ら寒いです。
名残惜しいけど閉まる前に早く出よう。

「だーれだ?」
「うわああああああああっ!」
「あはは、そんなに驚かなくてもいいのに」

な、なんだぬえか……。
寿命が2分くらい縮んだ気がします。
そういや寿命って結局何によって決まってるんでしょうね?
テロメアの分裂回数とかでしょうか。
だとしたらなんだっけ、女性の名前が付いたガン細胞……。
今も世界中の研究者によって培養し続けられているという彼女の細胞は不死と言えるんでしょうか。
なんかそう考えると将来的には不死の薬とか作れてもおかしくなさそうですね。
ホルモンの分泌量を調節する薬とかと組み合わせれば不老不死も夢じゃなかったりして。
実はもう作られているのかもしれませんね。
でもその薬、さしずめ蓬莱の薬とでもいうべきものをを服用したところで幸せになれるかというと疑問ですが。
よし、ちょっと落ち着いてきたぞ。

「ぬえったら脅かさないでよー」
「今の凄まじい棒読みの台詞を吐くまでの微妙な間は一体何だったのよ」
「ちょっとガン細胞に思いを馳せてた」
「……変わってないね」

そうですかね?
結構変わったと自分では思ってるんですが。

「今日はこれで終わりかい?」
「ん、まあね。これ以上いてもどうせすぐに追い出されるし、明日もシーに行くしね」
「あー、あっちかー。まあ楽しんできなよ」
「……?そうするけど」

なんなんですかねその含みのある言い方。
気になるじゃないですか。
しかし時間も時間ですし、もうすこし話したいところですがここらでお別れと行きましょう。

「じゃあまたね、ぬえ。これからは面白いイベントとかあったらメール送ってよ」
「オッケー。まあ私はスタッフだから長いこと見てはいられないんだけどね。ばいばーい」
「ぬえちゃんじゃーねー!」
「はいはい、キスメも明日も楽しんできなよー」

キスメは明日お台場行くからこっち来ないんですけどね。
これぬえに言ったほうがいいんでしょうか。
まあいっか。
早いところホテルでシャワーを浴びてさっぱりして、美味しい晩御飯を食べたいですし。

「えーと、ホテルは……」
「モノレールですぐよ。4人部屋2つ取ってあるから8人で喧嘩しないで部屋分けしてね♪」
「あのー、私達7人なんですけど」
「アリスちゃんはお借りしていくわね~♪」
「ちょっと、お母さん!?」

神綺さんの親ばか発動。
ユキさんが、VIPルームを取ってあるのだと耳打ちしてくれました。
なんだそれ羨ましい。
まあアリスさんはほっといて部屋分けをどうしましょうか。

「……とりあえず文さんとてゐさんは離そうか」
「くっつけたほうが安全なんじゃないか?」
「うーん……じゃあくっつけたとして誰が一緒の部屋になる?」

早速問題児の処遇を検討です。
後ろで2人が抗議していますが無視無視。
後でこっそり寝顔写真がばらまかれるのはだれだって嫌です。
文さん手持ちのカメラが駄目だからって使いきりカメラ買ってランドで撮りまくってましたし。
ユキさんマイさんは一緒の部屋になってもらったほうがいいのかたまには別の部屋になって気分転換したいのか。

「んー、どっちでもいいけど?ねえマイ?」
「……グッパで決めればいいと思う」

グッパって地域で掛け声がいちいち違うんですよね。
裏表も然り。
というか通じない地域もありますし。
結局部屋分けは私・レティさん・ユキさん・マイさんと魔理沙・キスメ・文さん・てゐさんという感じに分かれました。
寮と大して変わりませんね。
哀れ魔理沙に合掌。

「うーん、新鮮味が足りませんねえ」
「年上2人と同じ部屋になった暁にはそんな調子こいた発言なんて出来なかったと思うよ」
「そんな気を遣わなくていいって」
「そんなつもりじゃ……ってあれ?電話だ」

電話主は夢美教授。
こっち着いたんでしょうか。
というかすっかり忘れてました。

「もしもし」
「チャオ~私よ」
「よくわからない挨拶はいいから、着いたの?」
「成田にはね。今からそっちに向かうわ。どこにいるの?」

ディズ○ーリゾートって言ったらこっち来るんでしょうか。
試しに言ってみました。

「あ、じゃあ今日はそこに泊まるわ。部屋空いてるわよね?」
「多分大丈夫。ってかマジで来るんだ」
「本場のとこには行ったことあるけどこっちは行ったことないしね。明日行こうかしら」
「予定とか大丈夫なんかい……」

本当にマイペースな人だなあもう。
教授はホテルに着いたらまた連絡すると言って電話を切っていきました。
さて、これをどう説明しましょうかね。

「今の電話、岡崎教授ですか?」
「文さんってほんとそういうことには勘が冴えるよね……」

どうやら説明は不要のようです。



ホテルについて数十分後、教授から電話が。
まだシャワー浴びてないんですけど。
何をどうしたら空港からここまでこんな短時間で到着するんですか。
色々突っ込みたいのをぐっとこらえ、とりあえずフロントまで降りていきます。
途中でアリスさんやらレティさんやら文さんやらついて来ましたけど気にしない。

「ハーイ!ヤマメ!ひさしぶりね」
「ほんっと元気っすね。元気で何よりだけど」
「飛行機なんて私の敵じゃないわよ。荷物は全部ちゆりに任せたし」

確かに大量の荷物を背負った人影が。
あれ助教授なんですか。
その隣で団扇で涼んでるメイドさんがやけに気になります。
助教授と何やら話しているようですし、知り合いでしょうか?

「教授、あちらのメイドさんは……?」
「あー、この娘は今度からうちの研究室で働いてもらうVIVIT。これからも顔合わせることになるんじゃない?」
「VIVITです!よろしくお願いします!」

ペコリと頭を下げるVIVITなるメイドさん。
なんでアメリカ行って本場のメイドさん連れ帰ってくるんですかねえ。
あと日本語上手いな。
外国人にも日本語うまい人は結構いるもので、そういう人は英語で話しかけられるのが嫌だという人もいると聞きます。
彼女はどうなんでしょうか、どうせだったらネイティブの英語に触れてみたい気もします。
英語の試験に何か役立つことを期待したいんですが、レティさん曰く「こんなの海外でなんの役にも立たない上辺だけのもの」である大学の英語に生かされることはあまりないんだろうなあ……。

「はー、美人ですねえ。どういう経緯で彼女は来日することになったのでしょうか!はい教授お答えください!」
「本場のメイド文化を学ぶため」
「本場って欧米じゃないんですか!?」

マイク代わりにペンを教授の前に突きつけた文さん、思わず絶叫。
いつの間にこの国はメイド文化の本場になったんでしょうか。

「岡崎教授には日本のメイドは『お帰りなさいませご主人様』と挨拶するとうかがいました」
「日本の、というか秋○原限定なんじゃないですかね……」
「他にもいっぱい学びたいことがあります!和のおもてなしの心とか!」
「教授からは一生かかっても教えてもらえないと思うよ」

今も大量の荷物に潰されている助教授を見てわかる通り人使いが荒いですからね。
夢美教授の下で働いている限り本場のメイド文化とやらは学ぶ機会すら与えられなさそうです。
学んだところで大して役に立たないと思いますがね。

「VIVIT、この国ではメイドは胸がないといけないのよ~。ご主人様にご奉仕しなきゃいけないからね~」
「そ、そうなんですか!?しかしこの体はお嬢様をモデルにされているので……」
「嘘を吹き込むんじゃない!」

まったく油断も隙もありゃしない。
んなもんゲームや漫画やアニメあたりの話でしょうに。
……ってかVIVITの発言はどういう意味なんですかね?

「あー、言い忘れてたけどこの娘ロボットなのよ。正確にはアンドロイドかしら?」
「アンドロイドは男性型の人造人間、女性型はガイノイドよ」
「へー、そっち系にも首突っ込んでるけど知らなかったわ」
「……」

我々は驚きで言葉も出てきません。
なんでアリスさんは冷静に突っ込めるんですか。
教授も教授でそんなしれっととんでもない事言わないでくださいよ。

「アンドロイドはギリシャ語で『男性』を意味するandroと『もどき』を意味する-oidの合成語でね」
「あー、そういえば聞いたことあったような」
「人造人間全般を指す言葉にはヒューマノイドがあるけどこれは亜人間全般を指すからヒューマンフォーム・ロボットとも呼ばれるわ」
「じゃあ人型ロボットってあながち間違いじゃないのね」
「そういうことになるわね」

なんかマニアックなトークが始まってきましたね。
こういう雑学って私の十八番だったはずなんですが、あいにく化学があまり絡まない方には疎いもので。

「日本で人造人間というと無機的ないかにもロボットってものをイメージすることが多いわよね」
「そうね、でも最近はハ○レンに代表されるホムンクルスやロー○ンメイデンの人形なんかもあるし結構変わってきたかもしれないわね」
「そうか翠○石も……」

話が脱線してきましたよ。
そしてアリスさんもレティさんの影響をしっかり受けているようで。
寮に来た時点でテ○東が映らないとか嘆いていましたし昔からテレビっ子だった可能性もありますが。
レティさん超話に混ざりたそう。
しかしロボット工学には疎いのか割り込む機会が見つけられずにいるようですね。

「私も自立して動く人形を作ってみたいのよね……それで工学部に入ったんだけど」
「じゃあ私の研究室に来ない?自動学習型AIの試作版と試作機のメイドロボがいるんだけど」
「本当!?行く行く!」

こんなに嬉しそうなアリスさんを見るのは初めてかもしれませんね。
私の横ではしっかり文さんと、いつの間にかやってきてた神綺さんがその姿を写真に収めています。
後でどうなっても知りませんよ、二人とも。
ひとまず教授たちには部屋で休んでもらって、私達もシャワーをあびることにしましょう。
アリスさんをそろそろ止めないとキリがありません。
私もいつもこんな感じなんでしょうか。



「それにしても変わった人だったわね~」
「まああの人も理学部の教授だからね」
「あーなるほど」

すっかり定着した理学部=変人の認識。
決して貶してるわけではありません。
私達も理学部ですし。
自虐ネタといえばそれまでですが。

「ねえヤマメ~、一緒にシャワー浴びない?」
「えー……狭くない?」
「いいじゃない少しくらい狭くたって。くんずほぐれつしたりして」
「一人で入ってこい!」

急にこんな話を振ってくるあたりレティさんもぶれませんね。
レティさんと一緒だと主に胸とかに引け目を感じるのでどうせ一緒に入るならユキさんがいいです。
レティさんも巨乳のマイさんと一緒に入ればいいじゃないですか。
好きなんでしょ、巨乳。

「貧乳も好きよ~」
「いいから私は嫌だからね!」

突っ込んだりしてますけどなんだかんだ気は合うんですよね。
明日は別行動になるでしょうけど、居なかったら居なかったで若干寂しいと言いますかなんと言いますか。
仕方ない、今日のところは一肌脱いでやりますか。

「今日だけだからね?」
「いいわよ~、そのかわり今夜は寝かさないから」
「徹夜でコミケは辛いでしょうに」
「じゃあ3時間寝るわ~」
「大して変わらないと思うけどなあ……」

というか寝させろ。
ユキさんマイさんにも迷惑だし。
軽くため息をつきつつどこかで楽しんでいる自分を感じて苦笑いする私でした。
明日も長い一日になりそうです。
お久しぶりです高井です。
およそ3ヶ月ぶりのヤマメちゃん大学生になる最新話です。
でもこれ前編なんですよ。
前編だけでシリーズ最長なんですよ。
今までが短すぎた気がしないでもありませんが。
後編はまた間隔が開くことになりそうです。
というのも、私受験生ぎたんだと言われればそれまでですが。
5.5話の際に短いという指摘を複数いただきましたのでできるだけ量を書こうとした結果がこれだよ!なんです。
高校生が大学の話書いてたのかよ!ってツッコミはしないであげて……。
結構モデルの大学とか調べてはいるんですよ?
まあ、そういうことなので受験勉強の合間に書きためていく形になっており時間は掛かりそうです。
その分アイデアは考えてありますので、どうか気長にお待ちくださいませ。
6話のネタよりもそれ以降の話のネタばかり思いついてるのは内緒です。
あ、過去作はいつも通りタグのケミカルギャグからどうぞ。
それでは後編でまたお会いしましょう!
高井
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コメント



0.640簡易評価
4.90名前が無い程度の能力削除
今回は淡々とした感じに思えました。ディズ○ー回なら仕方がないことですが…。
それでも、小ネタが多く面白かったです。

いくらでも待ちます。受験勉強頑張ってください。
6.100名前が無い程度の能力削除
理学部生として何とも言えない気分にw物理科の観測天文系な自分の周りも変わった方ばかりでしたね(誉めてるつもり
そして身長2センチで乗れる宇宙山…
7.90アリス・マーガトロイド削除
誤字報告
「こっちだって今まであんたら二人のせいで多大な(損顔)を受けたんだけど?」 損害
 留年されると私が(抗議)出られないときに 講義
 久々の(再開)ということで積もる話もあるのですが、 再会
 やたらウキウキでカメラ持って水兵服のアヒルのところに走って行きましたよ(ユキ)さん。 マイさん?
 というか(寝せろ)。 寝させろ?

ユキ、マイの絡みとアリス、神綺の親子のやり取りが好きです。
私はあまり誤字は気にしないので後編も楽しみに待っています。
8.無評価高井削除
誤字報告ありがとうございます。
早速訂正しました。
やはりアトラクションごとに場面が途切れたりするので淡白な感じは否めないかと思います。
これもひとえに私の力不足、後編ではより読み応えのある作品にできるよう努力してまいります。
9.80奇声を発する程度の能力削除
ちょくちょく入るネタが面白かったです
10.80名前が無い程度の能力削除
こんな大学生活遅れるのは余裕のある学部学科だけなんだぜ?現実はレポートレポート麻雀レポート飲み会レポートで死ぬしか…
11.100名前が無い程度の能力削除
個人的に凄く好きなシリーズなのでディズニーランド編凄く楽しみにしてました!
そして期待通り凄く面白かったです!
小ネタや心の中のぼやきでのあるある感がたまりません!

後編も楽しみにしています!
15.無評価受験生だったけど全く勉強しなかった化学科1年削除
ケミカルギャグ、のタグにつられて1から一気に読ませて頂きました。
化学人間である僕にとって、とても楽しめる作品でした。
僕は、人は皆変人なぐらいでちょうどいいと思っています。理系っていいよね。

後編も楽しみにしていますが、受験勉強も頑張ってください。
16.100受験生だったけど全く勉強しなかった化学科1年削除
ぎゃああああ!ミス!
点数入れ忘れてしまったぁ!
20.100名前が無い程度の能力削除
いつも通りながらの飽きを感じさせないこの作風!
楽しく読ませていただいてます。
22.90涼司削除
日光で活性化して骨形成に寄与するのはV.E.ではなくV.D.ですよ?

シリーズ一気読みしました。こういった日常系は好きなので楽しく読ませていただきました。
後編楽しみにしてます。
23.無評価高井削除
>>22
訂正しました。間違いの指摘ありがとうございます。
24.100名前が無い程度の能力削除
まさか同い年だったとは…
無理はしないようにしてくださいね。
受験失敗とかしたら流石に洒落になりませんしww
25.100名前が無い程度の能力削除
まさか翠の娘の名前をこんなとこで見かけようとはw
にしてもいつ見てもヤマメちゃんのケミカル蘊蓄はためになる。