Coolier - 新生・東方創想話

魔理沙の本気の魔砲

2012/04/21 20:25:26
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夏、よく晴れた日。
風がよく吹き、それほど蒸し暑くない。
いつもの夏。
いつもの神社。
違うところがあるというのなら、私・・・魔理沙が地面に倒れてること。
霊夢がやれやれといった顔で、私を見下ろしている。
「あぁ!ちっくしょー!なんでだよ!」
ぼろぼろである私と比べて、疲れた感じも見せない霊夢が余計に悔しい。
「あんた、魔法使い向いてないんじゃない?」
いいつつ、手を伸ばされる。
意地の一つでも見せて払いのけたいが、全身が悲鳴を上げているせいもあり、素直に受けるしかなかった。

事の発端は私にある、最近皆に遅れを取ってるというか、弱いっていうか。
それで自分の実力っていうものを感じたくて霊夢に弾幕を挑んだわけなんだけど。
「はぁ・・・」
やっとのことで体を起こし、熱くなっている石畳に胡坐をかく。
「私、そんなに実力出してないんだけど」
と、霊夢がぽつりとつぶやく、心が痛かった。
「魔理沙、あんた力任せすぎるのよもっと回りをよくみて、状況判断が無さ過ぎるのよ」
人差し指を私の鼻先に突きつけつつ講釈をたれる紅白。
「どんなに強い魔砲も当たらなければ意味ないわね」
「う、うぅ・・・霊夢のバカぁ~」
涙がポロポロ流れてきて、悔しくて図星を当てられて、罵声を吐きつけた。
軋む体に鞭を打ってなんとか箒にまたがり、神社を後にした。

集中が出来てないせいで、箒がふらふらと飛ぶ、それでもなんとか自分の家に帰ってこれたのはある意味すごい。
玄関先で倒れた私は、手に触れる草をきつく握り引き抜きながら悔しさをぶつけた。
「絶対、強くなってやる、見てろ・・・霊夢!」
負けるかという気持ちのおかげで、なんとか這って家に入ることが出来た。
「うぅ、腰が痛いぜ」
霊夢の攻撃が当たったというのと、石畳に落ちた時ぶつけたせいもあって、ズキズキと腰が痛んでいた。
ズルズルとリビングまで進み、なるべく腰に力を入れないように、ソファに座る。

「くそっ!」
霊夢との戦闘を思い返したが、余計にイライラしてしまい帽子を床に投げつけてしまった。
しばらくは一人、イライラしていたが・・・疲れもあり寝てしまった。

起きたのは日も高く上りきったような時刻だった。
ソファで寝てしまったことを激しく後悔しながら、一旦ラフなシャツに着替えることにした。
「はぁ、なんでこうも霊夢に負け続きなんだぜ」
適当に茸を炒めたものをトーストに乗せ、遅めの朝食を取ってはみたものの、
なんだか、自分の弱さというものを感じてしまいため息ばかりが出てくる。
やっぱり、威力が足りないのだろうか。
と、思い立ちその辺に転がる魔道書を開いてみる。
(でも、当たってなかった)
魔道書の開いたページに指でなぞりながら、昨日の戦闘を思い返す。

(確か・・・)
霊夢は私の撃つ動作を見てから動いていた気がする。
「ん~」
それを見て、避けて、一撃を放ち私が動いたところを見切ってた感じかな?
「って、結局はどうやっても今のままじゃ勝てないってことなんだぜ」
魔道書相手に喋る。
返事は無い。
(考えてても埒があかないぜ)
思いたったら即行動、それが私のいいところでもあるとアリスが言ってたっけ。
魔道書をその辺に放り投げ、出かける準備をする。
手早く着替え、一旦アリスのもとへ行くことにした。


「お~い、アリス~居るか~?」
声を掛けつつ、ドアをどんどんと叩く。
なかなか出てこないので、尚もドアを叩いていると。
「うるさいわね!」
と、機嫌の悪いアリスが出てきた。
(なんか、いつもより機嫌悪い?)
「あぁ、ちょっと聞きたいことがあって」
なるべく刺激しないようにおとなしめに声を掛ける。
「さっさとして、忙しいの」
「あ、あのさ・・・私って弱いのかな?」
「そうね、弱いわね」
そう、一言いわれアリスはドアを閉めて鍵までご丁寧に掛けてしまった。
「ぁ・・・」
なんか、グサっときたぜ。
あまりにも、はっきりと言われ意気消沈した私は森の中をただ、とぼとぼと歩いた。
ぼんやりと地面を見ながら歩き続けるうちに、博麗神社に来てしまった。
(顔は・・・見たくないぜ)
あれだけ、ぼろぼろにやられた手前、顔は合わせづらい。
これは、私のプライド。
(何が会わせづらいだぜ!ここは私らしく!)
思い返し、石段を登る。
今日はまたひどく暑い、夏は苦手だぜ。

鳥居をくぐると、ちょうど掃除をしている霊夢がいた。
「霊夢!」
大きく一言呼ぶ。
「あら、魔理沙いらっしゃい」
今日は何の用?と、ため息混じりに面倒というのが顔に出ていた。
「宣戦布告だ!私は絶対お前を越えてやる!」
「また、随分と」
「だから、5年後!勝負しろ!」
ビシっと指を突きつける。
「なんで5年なのよ・・・」
「今のままじゃ、お前に勝てないから修行してくるぜ!」
それだけ言って、空へとあがる。
霊夢が何か言っていたようだけど、風の音で聞こえはしなかった。
修行するアテは一応ある。
「ふっふっふ・・・」
(その、余裕一杯の顔、ほえ面に変えてやるぜ!)
思いながら、目当ての場所へ全速ですっ飛ばす。


半日ほど掛けて、とある森に着く。
ここが目当ての場所、幻想郷の中でも忘れられた場所。
ここに魔法使いというか仙人というかそういう人が居るのを私は知っていた。
この森、結界が張ってあり特定の場所からしか入れない。
(でも、こうして入るのは初めてだぜ)
随分前に自宅で文献を漁っていたときに、見つけた内容からここを知っているが、どういった人物なのかは知らない。
長い山道をひたすら歩くと開けた場所に、ポツンと建っている小屋を見つけた。
「ごめんくださーい」
と、扉を叩く。
返事の変わりにゆっくり扉が開いた。
出てきたのは見た目には20ぐらいの黒髪の女だった。
「おや?客人とは珍しいなぁ、まぁ・・入りなよ」
見た目とは違い、どこか飄々とした感じだった。
中は和風な感じの作りで、真ん中に囲炉裏まであった。
綺麗そうな場所を見つけ、そこに腰を下ろす。
「ふむ、見たところ魔法使い?かな?」
「あぁ、霧雨 魔理沙っていうんだぜ、よろしく」
「ふ~ん」
女は私の姿をじ~っと見つめる。
「えらい、クラシックな魔法使いだなぁ」
「いいじゃないか!これが私なんだぜ!」
「そっかそっか、悪い悪い」
「それより、聞きたいことがあるんだぜ」
「ん?」
お茶のようなものを入れながら、女が首をかしげる。
「あんた、強いのか?」
「妙なことを聞くんだね、君」
いい匂いが漂うコップを手渡してくる。
「強いというのはどういった意味でだい?」
「あ~、どうやって説明しようか」
すると、女は私の目の前にやってきて私の額に指を当てる。
「面倒だから、ここに聞くよ」
「は?」
目を閉じ、なにやら集中しだした女。
「あぁ、成るほど、分かった」
「えっと、何が分かるんだぜ?」
ニヤニヤしながら、タバコを吸い始める、謎の女。
「霊夢ってのに、勝ちたくてここに来たってわけかい」
「う、うん」
「まぁ、はっきり言うと君は、魔法使いに向いてない」
「ぅ・・・」
「でもな、私は天才なんて嫌いだ、魔理沙!努力は才能を超えるというのを見せてやろうじゃないか」
女の言葉は、私の中に凄く響いた、嬉しい言葉。
「5年か、まぁなんとかなるだろう」
さっそく、修行を始めようと言う女について、外に出る。
「あのさ、あんたのことなんて呼べばいいんだぜ?名前聞いてないぜ?」
「ん?名前なんて、とうの昔に忘れた、好きなように呼びな」
「分かったぜ、師匠」
そうして、私の修行が始まった。


-5年後-


時は早く過ぎるとは、よく聞く話だが・・・5年が一行で過ぎるのは早すぎなような気がするぜ。
「魔理沙、それは言わないお約束だ」
「師匠、人の頭の中を覗く癖はやめたほうがいいぜ?」
「体はいっぱしに成長してるが、頭の中は変わらないな君」
笑顔で冗談を飛ばす師匠に礼をし、山を降りた。
このあたりはあまり景色が変わってない。
「さぁて、帰るか」
5年、長いようで短かったけど、私は修行を終えた。
最初はほんとに訳の分からない話を聞いたり、座禅を組まされたりもした。
「ん~、やっぱり空は気持ちいいぜ」
弾幕の練習をしたり、そうそう・・・一度イタズラやって、こっぴどく怒られたこともあったぜ。
いろんなことを思い返しつつ、一度自宅に向かう。

「あっちゃぁ、草に埋もれてるぜ」
まぁ、5年もほったらかしてたらなぁ。
私の家は雑草などで埋まり気味だった。
「あ、あぁ!魔理沙!」
「お?アリス!久しぶりだぜ」
「あんた、一体何処行ってたの!皆心配してたのよ!」
「わりぃわりぃ、ちょっとな」
「霊夢は5年経ったら帰ってくるって言ってたけど、ほんとに魔理沙だよね?」
涙目のアリスが抱きついてくる、いつの間にかアリスより背が高くなっていたので、なんだか妙な感じだった。
「あ、話は後だぜ!じゃぁな!」
アリスを引き離し、急いで博麗神社に向かう。

魔力の使い方とかの修行のおかげか、飛ぶスピードも前と比べると格段に早くなった。
神社に着くと、少し大人びた霊夢が昔と同じようにお茶を飲んでいた。
「約束だからな、相手してもらうぜ!霊夢!」
「久しぶりに顔を合わせて、随分な挨拶ね」
霊夢も口調は穏やかなのに、気迫はかなり伝わってくる。
私は八卦炉を目の前にかざし、意識を集中させる。
師匠曰く、焦ったら負けだそうだぜ。
「この時のために、修行してきたんだから手加減無くいくぜ!」
まずは、余裕を持たして前に飛ぶ。
「相変わらずの突撃バカね魔理沙!」
予想通り上に飛ぶ霊夢。
(お見通しだぜ!)
魔力で作った糸をトラップ代わりに張ってある。
蜘蛛の巣に引っかかるように霊夢が糸にかかった。
「な、なにこれ!」
霊夢なら、すぐに糸を切って反撃に来るだろうけど、その一瞬が私には十分な時間だぜ!
魔力を足元に瞬間的に放ち、反動で霊夢を追う。
左手で簡易魔砲を放つ。
「くっ!」
霊夢は上半身をひねり、寸でのところでかわす。
お互い、一旦距離をとる。
「ふふ、やるようになったじゃない魔理沙、八卦炉なしでも撃てるなんて」
「修行の成果ってやつだぜ」
「まったく、私も柄にもなく本気出しちゃいそうね」
霊夢は札を取り出し、本気モードに入る。
「そうそう、霊夢にこれだけは言いたいぜ」
「え?」
「私、そんなに実力出してないぜ?」
そう言うと、5年前を思い出したのか霊夢は声を大きく笑った。
「上等!」
霊夢が一気に弾幕を張る。
「ちっ、さすがに強いぜ」
色も鮮やかな霊夢の弾幕、見た目とは違い理に適った攻撃だ。
(でも、形を見切れば)
師匠の教えどおり、距離をとってよく見れば避けることは出来る。
紙一重で、避けきる私を驚きの表情で見る霊夢。
「やるじゃない、魔理沙」
なにやら嬉しげな表情の霊夢。
「こんな程度じゃ、私は落ちないぜ!」
「じゃぁ、これでどうかしら!」
新たに札を投げる霊夢、それと同時に弾幕の密度が上がる。
「うぉ!」
避けれないと判断し、箒で一気に地面に降りる。
(むぅ、もう少し)
握り締めた八卦炉が暖かくなっている。
「どうしたの魔理沙!攻撃が来てないわね!」
さらに霊夢の弾幕が私を狙う。
後ろに飛びのき避ける。
「今に吠え面かかせてやるぜ!」
挑発しながら、霊夢の出方を冷静に観察する。
(ちょっとでいい、油断させれば!)
低空を箒で飛びながら、上空から降り注ぐ弾幕から逃げる。
「この!ちょこまかと!」
(ん、いい感じにイライラしてきてるな霊夢)
急ブレーキを掛け、霊夢に向けて軽めの砲を撃つ。
それをこともなげに避ける霊夢。
撃つと同時に、霊夢の背後に飛ぶ。
「もらったぜ!」
八卦炉に溜めた魔力、絶好の位置取り、尚且つフルパワー!
「ファイナル・マスター・スパーク!」
溜めに溜めた魔力が放たれる、純粋な破壊力。
「どうだ!」
遠くの山まで吹き飛ばしてしまったぜ。
「ほんと、凄い威力ね」
一つ間を置いて、後ろから声が聞こえる、唐突に背後から一撃をもらい地面へと落ちた。
「残念だったわね、あれは私の式よ」
5年前と同じ、地面に落とされ、霊夢を見上げる。
衝撃で声が出ない。
(ちっきしょう!)
立ち上がれない、そんな私のそばに霊夢がゆっくりと降りてきた。
「あなたが吹っ飛ばしたのは、札で作った私の偽者」
埃が付いた服をはたきながら霊夢が私を見下ろす。
結局、勝てなかった。しかも、同じような負け方。
「くっ・・・」
反論したいところだけど、体がしびれるように痛む。
と、霊夢が私の傍に座り込む。
「ふふっ」
「なんだよ・・・どうせ、私は弱いんだぜ」
私の言葉に霊夢が、やれやれといった感じに溜息をつく。
「私、実力は全部出したわ」
その言葉に、思わず笑いが起こる。
「やっと、霊夢と並んだって感じだぜ」
「そうね、強くなっちゃって」
「へへ・・・」

5年前と同じ、熱い石畳が妙に心地よかった・・・
はい、唐突に2作目、ミスった部分もありますが、それなりに満足は出来ました。

今度は魔理沙メインでしたので満足です。
ガンバレ魔理沙!
あ~る
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コメント



0.150簡易評価
2.20名前が無い程度の能力削除
何か色々雑な感じがしました。
あとオリキャラならタグにも付けるべきかと
3.30名前が無い程度の能力削除
だぜだぜ言い過ぎ。
そしていきなり師匠だれ…
幼かった頃の負けず嫌いかと思いきや、そうでもないし、置いていかれて終わった。
5.無評価あ~る削除
今回、勢いでだーっと書いたので、なんか微妙になってしまいました。
戦闘物にしたかったんですけど、失敗でしたorz
7.60名前が無い程度の能力削除
おしい……オリキャラじゃなくて魅魔様だったらなぁ…。

あと、魔理沙が頑張って霊夢と並ぼうとする……そういうお話個人的には好きなんです。
だから勢いで、だーって流しちゃった感が余計におしい!
発想は決して悪くないと思います。今後も創作頑張ってください。
8.無評価名前が無い程度の能力削除
トースト?
魔理沙は和食派、パンは紅魔郷までに13枚しか食べたことありません
10.60名前が無い程度の能力削除
 色々と突っ込みたい点もあったんですが、5年という期間をもっと長く感じさせるような描写が欲しかったですねェ。オリキャラだすのも悪くはないですが、もう少し掘り下げた方がよかったです。たとえば何故一人でずっと籠っているのかーとか。
11.無評価あ~る削除
今回は自分の中でもチャレンジ的な意味合いが強かったので、全ての布石を取れなかったのが残念でした。
どういった感じが書きやすいか、試しの部分もありましたね。
これの続編的な意味合いで5年の回想録を作るのもアリかも・・・?
12.70名前が無い程度の能力削除
五年を文で書くのは厳しいものがあるよ。
なにより少し基本からおさらいしてみよう。

私も書いてるけど長期間の描写は心が折れる(ぇ
さらに修行風景を如何に描写するかによって五年の密度が変わってくる。

なにより他の作品を見てみよう。
私も最初そう言われた。だから同じことを言ってみた←


まぁ、何より頑張って。
13.無評価あ~る削除
確かに、5年の描写は心が折れますね(ぇ
僕も他の二次創作で色々書いてますけど、一つの目的だけで長期間は難しいです^^;
この作品はこれで、手を加えず闇に忘れてきてしまいましょう(マテ
次作品取り掛かってますし・・・
15.無評価名前が無い程度の能力削除
前作でかなり甘い評価をしたので、今作にはひたすらがっかりです。ただ書いて発表するより、いい作品を出すことのほうがはるかに価値があると思うのですが。作者さんがどこに満足しているのかまったく見えません。ただアリスの寸劇は面白いと感じました。
このコメントに返信不要です。作者さんのコメントが、言い訳じみて傍目に見苦しいものがあります。
16.無評価名前が無い程度の能力削除
展開が早すぎると思います。
いうなれば起承転結の承と転の部分がほとんどないって感じですね。
もうちょい中心部分を長くかければいいと思います。
17.30名前が無い程度の能力削除
作者様の今後の成長を期待して、ささやかながら応援しています。