Coolier - 新生・東方創想話

【幻想入り?】クレオパトラ山田が幻想入り【オリキャラ成分11人(実質2人)】

2012/03/23 12:53:43
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クレオパトラ山田が幻想入り

注意書き

・何もかもを許容できる人こそ見るべきなのだ。
・オリキャラでます。11人です。
・私の事知ってる人なら、あとがき読むの推奨です。

以上の事が大丈夫なナポレオン田中は、どうぞ。

***************************************************************************

 森の中、木々から漏れた月灯に照らされた、二人の金髪の少女が向かい合っていた。
「……なんでアンタはリボンをつけてるの?」
虹色の羽を光らせる金髪の少女は、もう一人の少女についた、風を受けてヒラヒラと揺れる赤いリボンを見つめていた。
「ふういんなのだー。」
「封印? なんでそんな物を?」
「そーなのかー?」
虹色の羽の少女は、首を傾げてしばらくすると、何かを思いついたかのように無邪気な笑顔を作る。
「私が、その封印を解いてあげる!」
虹色の羽の少女が、手をぎゅっと握り締めると、リボンはズタズタに引き裂かれ、その場にユラユラと落下した。
「……?」
もう一人の少女は、何が起きたのか分からず、首を傾げる。
「妹様! 探しましたよ!」
突然二人の間に割って入るように、メイド服の懐中時計を持った白い髪の少女が現れた。
「レミリアお嬢様も心配しています。さぁ、屋敷に帰りましょう。」
虹色の羽の少女に、白い髪の少女が話しかける。
「うん! 分かった!」
虹色の羽の少女は無邪気にうなずき、紅い館の方に白い髪の少女と共に空を飛んでいった。
「……わはー!」
取り残された金髪の少女の影が、ズルズルとその面積を大きくしていた。

***************************************************************************

 夏の朝。博麗神社では、博麗霊夢がせっせと庭の掃除をしていた。
「全く、こんな暑い日になんで……」
霊夢はブツブツと文句を言いながらも、早く終わらせたい一心で、的確に、要領よく体を動かしていた。
「早く神社で冷たいお茶でも飲みたいわ。」
霊夢がそう呟くと、神社と通路を繋ぐ階段の方から男の声が聞こえた。
「控えよ! 控えよ!」
まるで昔の将軍が通る時のような口ぶり。霊夢が何が起こっているのか、階段に近づいて見下ろしてみた。
そこには、近づく小動物や虫達を払いのけるたびに、「控えよ!」と叫ぶ10人の男たちが、
金や様々な宝石で飾られた神輿を担いでいた。
その神輿には、玉座が設置され、その玉座にはビキニアーマーで、沢山の宝石で飾られた王冠をかぶり、
北斗の拳のサウザーよろしく赤のマントを羽織って「愛などいらぬ!」といわんばかりの厚化粧の男か女か分からないヤツが座っていた。
「……はぇぇ!?」
あまりの光景に、霊夢が声を出して驚く。
目をごしごしこすって、もう一度そこを見ても、こちらに神輿が近づいている事以外は何も代わってない。
「ちょ、ちょっとアンタ達! 何者よ一体!」
霊夢が気が引けるのを我慢しながら、謎すぎる集団に聞こえるように、大声で問いかける。
「アンタたちとは何様だ!」 神輿を担いでいる男の一人が霊夢に大声を返す。
「ここにおられるお方をどなたと心得る! このお方こそ、かのクレオパトラ山田様にあらせられるぞ!」
「……誰?」
霊夢の素朴な疑問は、相手には届いていなかった。

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 「……ちょ、超やば系なんですけどぉ! マジー、チョベリバっていうかー」
「紫様、若作りは意味ありません。」
布団にもぐりながらスキマを覗いて、1世代前の女子高生みたく奇声を発する八雲紫に、八雲藍が冷酷に言い放つ。
「藍、夢は持たせておく物よ?」
「そんな事が分かっているならもういい年頃です。それよりなんですかこれは?」
ぶすーっとふてくされる紫を他所に、藍がスキマを覗く。
「……マズイですね、彼女。」
藍のまゆをしかめさせているのは、スキマに映る一人の少女だった。
「ええ。ルーミアの封印が解けるとは……」
「闇をあたり一面に広げているみたいですね。」
「……藍、貴方は霊夢に事を伝えて。私はこの子を食い止めておくわ。」
「……承知しました。」
「そう――月に代わって、食い止めるわよ☆」
「若作りは無駄です。」
藍が、紫を汚い物でも見るかのように見つめて、言い放った。

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 「――で、アンタ達はここに観光に来たと。」
霊夢が階段の上で呆れた顔で神輿の集団を見つめている。
「その通りだ小娘。さぁ、いい観光場所を言え。」
玉座に座っている『クレオパトラ山田』は、霊夢に偉そうな態度で言う。
「……えっと、とりあえず人里にでもいってみたら?」
そう言う霊夢が指差すのは、人里のある方向だった。
「そうか! ご苦労だったぞ小娘! しもべどもよ! 行くぞ!」
「はい! 山田様!」
しもべ達は、おぼつかない足取りで後ろ歩きして後退していった。
「……あんなデカイ神輿担ぐから。というか結界破ってきたのかしら?」

 山田達が見えなくなった頃、霊夢が声を出す。
「さぁ、そろそろいいんじゃないかしら。」
霊夢が、後ろを振り向くと、草がガサガサと揺れ、八雲藍が出てきた。
「……流石ですね。」
「御託はいいわ。それよりも何でここに来たのかしら?」
「実は――」
藍が話し終えた後、霊夢は黙って出かける準備を始めた。

***************************************************************************

 人里では、何かが大衆を騒がせていた。
「なんだこの神輿……」 「寺子屋の生徒? 金持ちだな……」
寺子屋の前に、金で装飾された神輿が置かれていたのだ。
話題の中心とも言える寺子屋の中は、授業の真っ最中だった。
「えーっと、まずお前らは何でここにいるんだ。というか何者だ。」
上白沢慧音が、空いていたはずの後方11個の席を見て言う。
「……不服か?」
「いやそうじゃなくて。」
そこには、クレオパトラ山田と、その仲間達が座っていた。
「あたいはさいきょーだからね! てらこやのめのまえにいるかれらをみて、かわいそうだからつれてきたやったのさ!」
チルノが自信たっぷりに言う。慧音が呆れた顔をチルノに向けるが、しばらくすると、
「……まぁ、いいか。」
何か面倒ごとを起こすよりは、現状維持の方がいいと考えた。
「じゃあ、まず算数だ。えー、まずは軽い頭のストレッチからいくか。」
慧音が黒板に何かを白いチョークで書き始めた。
『1+2+3+4+5』

 「はい、この式を解ける者は手を上げる。」
そこで、チルノが我先にと手を上げる。
「はいっ! いちにいさんよんごがこたえだ!」
「不正解だ。」
「なん……だと!?」
チルノがまるで、ボスキャラに渾身の一撃を与えてもビクともしなかった時のようになってしまった。
次に手をあげたのは、山田のしもべだった。
「簡単です。答えは15。」
「お、正解だ。」
ウチの生徒が解いてくれなきゃちょっとアレなんだけどな……
慧音はそんな事を考えながら、次の問題を出す。

 「次はちょっと難しいぞ。」
また慧音は、黒板に何かを書く。
『半径をrとする円を4分の1にした図がある。
 この4分の1の円に一つの頂点が円の外周にあり、その頂点に対する対頂点が原点である長方形を描く。
 この長方形の対角線の長さを求めなさい。』

 「うへぇ、なんだこれぇ……」
「難しすぎるよ……こんなの絶対おかしいよ……」
「なんだ……っ! なんの涙だ……っ!」
生徒達はざわ…ざわ…とざわめく。
「おいおい、そんなかたく考えるな。やわらかく考えるんだよ。」
慧音が片目を瞑って頭をトントンと人差し指でつつく。
そこに、一人の男が手を上げる。また、山田のしもべだった。
「簡単です。この対角線は円の原点と円の外周のどこかまでの距離に等しい。つまり半径だ。つまり、rです。」
「……せ、正解だ。」
慧音が驚く。まさかこんな変な集団がこんな知能を持ってるとは思えなかったからだ。
「凄いな。とりあえず次の問題だ。」
慧音がまた黒板に何かを書き始める。
『3+3』

 「ま、これは簡単すぎるよなぁ。」
チルノが真っ先に手を上げる。
「答えは9だ!」
「不正解だ。」
「バカな……まさか、組織が裏切ったのかッ!?」
チルノは、組織に裏切られた犯罪者みたいな顔になってしまった。
「はいっ!」
チルノを他所に、大きな声をあげて手を上げたのは、クレオパトラ山田だった。
ほう、大将のお出ましか。
慧音が少し期待をして、答えを聞く。
「答えは、織田信長だッ!」
「……は?」
「織田信長で間違いないッ! ファイナルアンサーだ!」
意味が分からない。なんだコイツは。
慧音が困惑しながらも、ちょっと気になった事があり、問題を出す。
「ちょ、ちょっとまってくれ。じゃあもう一つ問題がある。
歴史の問題だが、本能寺の変で殺されたのは誰だ?」
「フン! 簡単だ! 答えはルーズベルト大統領だ!」
なんだコイツ。そう思うが口には出さず、問題を次々に出してみる。

 「刀狩りをした大名は?」
 「ペリー。」

 「44+11は?」
 「4411。」

 「炎が燃えると、ある気体が発生する。その気体の名前は?」
 「大錦大吾」

 「第二次大戦後、東西を区分したアメリカとロシアの戦いの無い戦争があったといわれている。
この戦争の名前は一般的に何と呼ばれている?」
 「ライトニング武田。」

 「江戸時代、黒船で日本にやってきた外国人は?」
 「2x²」

 「……お前の名前は?」
 「金閣寺だ。」

 コイツ、完全なバカだ。
慧音はそう断定した。断定というか、確定だった。
「お前……とりあえず後で私の所に来い。マンツーマンで教えてやる。」
「フン、貴様が余に教えるだと? 笑止! 笑止! 笑止笑止笑止笑止笑止ィ!」
「お前笑止って使いたいだけだろ。」
「しょ……笑止だし!」
山田は図星だったのか、物凄い挙動不審だった。
「まずお前、男か?女か?化粧で分からないんだが……」
「俺か? 俺はクレオパトラ山田だ。」
「……男って事かな。俺だし。」
慧音は苦笑いしながら、とりあえずそう仮定する事にした。

 マンツーマンで慧音に教えてもらえる。
これは山田的に物凄い美味しかったが、それは打ち砕かれた。
外が、急に夜のように暗くなったのだ。
「……なんだ?」
「暗くなるとかマジ笑止!」
人里は、急に暗くなった事で、混乱していた。
「なんだ? 一体何が起きてる?」 「日食ってワケじゃないしねぇ。」
「……お前ら、しばらくここにいるんだ。外は危なそうだ。」
慧音は窓から外をうかがい、生徒達を帰すのは危険と判断し、ここにとどめておく事にした。
しかし、11人はいう事を聞かなかった。

 「フン、暗くするとは笑止だな。行くぞ! 我がしもべたちよ!」
「お、おい!一体何を――」
扉をあけようとする山田に声をかける慧音。彼らは見ず知らずだが、危険な目にはあわせられない。
しかし、彼の返答はそれを真っ向から否定した。
「決まっている。この暗闇を引き裂いてくれるっ!」

***************************************************************************

 「クッ……キツいわね……!」
森の中では、ルーミアと紫が戦っていた。
「フフフ! もっともがきなさい! もっと苦しんだ表情を私に見せて!」
ルーミアは、いつもよりも知性的だったが、いつもよりも狂気的だった。
「なめてんじゃないわよ……ッ!」
紫がスキマを二つ開き、そこから電車を出した。
しかしその電車をいとも容易くよけ、紫に急接近して掌打をし、紫は数十メートル吹っ飛んだ。
「がぁっ……!」
地面にゴロゴロと転がる紫。転がり終わった所には、博麗霊夢の足があった。
「……霊夢……遅いじゃな……い!」
紫は、もう戦えるような体力は残っていなかった。
「ふぅん、紫をこんなにするとは、相当の相手ね。」
霊夢が紫から視線をそらして、前を見ると、そこにはルーミアが立っていた。
リボンの無い、ただのルーミア。

 「……あら? 誰かと思えば博麗の巫女じゃない。」
「御託は良いわ。私はアンタを退治する。それだけの事よ。」
霊夢は凛として、ルーミアを見つめる。
「……フフフ、面白くなればいいのだけれど。」
ルーミアは、口が裂けそうなくらい口を引きつらせて笑う。
目は、確実に笑ってはいなかった。
「さぁ、弾幕ご――」

 「待てぇえええ!」

 「ッ!?」 「……この声は。」 「……?!」
ルーミアは驚き、霊夢は聞き覚えのある声に反応し、紫はわけがわからなかった。
そこには、山田とそのご一行が派手に堂々といた。
「貴様ら! この戦いには華がない! もっと盛り上げるべきだ!」
山田が玉座から立ち上がる。その右手は、ラジオを持っていた。
「華……?」
ルーミアが首を傾げるが、それを無視するかのように、山田はラジオを持っていない左手を振り上げ――


 「ミュゥウジック! スタァアアアツッ!」


――ラジオの再生ボタンを勢いよく押した。

『君が代は♪』

 音楽が、流れ始めた。
「……!?」 「はぁ……!?」 「……君が代?」
2人は、なにがなんだかわからなかった。一人は、大体分かった。
「さぁ始めろ!小娘どもよ!」               ~千代に八千代に♪~

 「……まぁ、別にこの音楽はどうでもいいわ。」      ~さざれ石のいわおとなりて♪~
「そーなのかー?」                    ~苔のむすまで♪~
「アンタのリボン、何度取れたって私が綺麗に――」     ~君が代は♪~
「つけたげるわ。」                    ~千代に八千代に♪~

 霊夢が懐から札を取り出し、              ~さざれ石のいわおとなりて♪♪~
右手の人差し指と中指で挟んで構える。
「弾幕ごっこ?」                     ~苔のむすまで♪~
ルーミアが気味の悪い笑顔のまま、ほぼ90度首を傾げる。  ~君が代は♪~
霊夢は無言で構えていた札をルーミアに投げつける。    ~千代に八千代に♪~
札はまるで銃弾のようにルーミアに真っ直ぐ飛ぶ。
「馬鹿なアンタと会話している暇はないのよ。」       ~さざれ石のいわおとなりて♪♪~
ルーミアはそれを笑ってかわし、札は後ろの木に突き刺さる。~苔のむすまで♪~
「甘いわね!」ルーミアはケラケラ笑って右手に黒い塊を作る。~君が代は♪~
「チッ」霊夢が舌打ちをしてルーミアの右手に注意をそらす。 ~千代に八千代に♪~

「霊夢! 上よ!」                    ~さざれ石のいわおとなりて♪♪~

 「!」紫の声に霊夢が上を見ると、青の弾が目の前にあった。~苔のむすまで♪~
即座に体を横に回してそれを回避し、地面が煙をあげる。  ~君が代は♪~
しかし、油断は出来なかった。
周囲から大量の弾幕が迫っていた。            ~千代に八千代に♪~
「やるわね!」霊夢がニヤついて懐から札を出して大声を出す。~さざれ石のいわおとなりて♪♪~
「夢想封印!」複数の巨大な弾が周りの弾をかき消す。    ~苔のむすまで♪~

 砂塵が巻き上がり、しばらく周りが見えなくなる。
「……くっ、霊夢大丈夫かしら?」 紫が心配そうに言う。  ~君が代は♪~
しかし、砂塵に上書きするかのように、周囲が真っ暗になる。~千代に八千代に♪~
「闇を操る能力か。厄介ね……」              ~さざれ石のいわおとなりて♪♪~
暗黒の世界で、霊夢は目を閉じる。            ~苔のむすまで♪~

『ズンチャチャズンチャ♪ ズンチャチャズンチャ♪』
霊夢の耳にうるさく音楽が鳴り響く。
『君――は♪』
「そこだッ!」
霊夢は音楽に入った雑音のした方向に、
ありったけの霊力を込めた札を投げつける。        ~千代に八千代に♪~

 周囲の闇が引き、辺りが月灯に照らされる。       ~さざれ石のいわおとなりて♪♪~
「ふっふっふ、中々やるのね。」              ~苔のむすまで♪~
そう言うルーミアは右手に闇を作り、札を黒く染めていた。
「まだまだ力が足りないわね。博麗の巫女さん?」      ~君が代は♪~
「……傷つくわね。それ全力よ?」霊夢が苦笑いを浮かべる。 ~千代に八千代に♪~
「まぁ、将来性はみとめてあげないでもないわね。」     ~さざれ石のいわおとなりて♪♪~
霊夢はプライドからギリっと歯をかみ締める。       ~苔のむすまで♪~
「ただの妖怪が大口を叩くじゃない。」           ~君が代は♪~
「ただのとは失敬ね。私だって封印が解ければこのく――」  ~千代に八千代に♪~
「黙りなさいッ! 本気で相手をしてあげる。」       ~さざれ石のいわおとなりて♪♪~
霊夢は札を取り出して、声高らかに宣言する。       ~苔のむすまで♪~
「夢想転――」

「リピィイイイトゥウウッ!」

 「うるさいわぁッ!」霊夢が札をラジオに投げつける。
札はラジオに突き刺さり、ラジオは黒煙を上げる。
「ああっ! 何をする! 選曲が気に入らなかったのか!?」
山田が慌ててラジオに駆け寄り、札を抜き取る。
「うっさいのよ!選曲とかよりも――」
「戦闘中に余所見とは、舐めてんのかしら?」
霊夢の後ろから声が聞こえる。
振り向く間も無く、後ろから掌打された霊夢が山田の方に吹っ飛び、
山田にぶつかって山田が吹っ飛ぶ。
「げほっ……」霊夢は息が出来ずに、その場で悶える。
山田はその後方で犬神家の一族みたいになってた。
「や、山田様ぁああ!」
家来が慌てて山田に駆け寄り、山田の足を引っ張って地面から抜いた。

 「どう? 苦しい? 死にそう?」
その前方では、ルーミアが楽しそうに霊夢に近づいていた。
「が……げほっ……」
霊夢は息が出来ないので、返事など出来るはずが無い。
「まぁ、返事なんて出来ないかしらね。……じゃあね、博麗の巫――」

 「まてぇえええええいッ!」

 霊夢の後方から怒鳴り声が聞こえる。
「貴様! このクレオパトラ山田を何者と心得る!?」
仁王立ちで山田がルーミアをキッと睨んでいた。
「誰かと思えば、ただの人間じゃないの。」
ルーミアが呆れ顔で山田を見る。
「んで、私と戦う気? やめといた方がいいわよ。」
ルーミアは不気味な笑みを浮かべる。
丁度吹いた風によって、ルーミアの髪が揺れ、目を闇で隠す。
都市伝説の口裂け女のように笑うその口からは、人間ではない事を示す大きい牙が露出していた。
「……フン、口だけは達者だな。行け! 我がしもべ達よ!」
「はい! 山田様!」

 10人のしもべ達は、間髪入れずに返事をし、間髪入れずにルーミアに襲い掛かる。
「はは! たとえ大勢でも――」
余裕綽々だったルーミアに重いボディブローが入る。
「がはっ!」
ルーミアはよろめき、後ろへ数歩後ずさるが、後ろで構えていたしもべによって背中を掌打され、前に吹き飛ぶ。
「あぐぁっ!」
ルーミアは木にぶち当たり、ドスンと鈍い音をたてて木を揺らす。
揺らした木は漏れた月灯を揺らし、9人のしもべ達の顔を光らせる。
残りの一人はルーミアに近づいて、膝蹴りをルーミアの腹にぶち込む。
「ゲホォッ!」
ルーミアは血を吐き、その血がしもべの顔を汚す。
しもべはそれを気にせずに右手を振り上げて、ルーミアに拳を振り下ろ――せなかった。

「待て! それ以上は余がやる!」

 クレオパトラ山田がルーミアに近づいて、腕を引っ張って立たせる。
「山田様! しかし……」
「余の命令が聞けぬのか?」
山田が心配するしもべに、ニタリと笑った顔を向ける。
「……滅相もございません!」
しもべは山田の命令に従い、神輿に駆け寄って神輿を囲んで召使のようにしゃがみこむ。
「さて、ルーミア。余と貴様の一対一だ。」
「な……舐めくさって……!」
ルーミアはふらふらの足取りで、立っているのがやっとだった。
「喰らえ! 我が鉄拳! はぁああッ!」
まるで木漏れ日のように揺れるルーミアに、容赦なく突きをする。

――ぽみゅ。

 山田の拳は、ルーミアのおっぱ……胸にヒットした。
「……ッ!」 「……あ」 「……げ」
ルーミアが赤面しているのを、霊夢と紫がげっそりした顔で見る。
「フン、我が全力の拳を受けきるとは、流石――」
「ふざけんじゃないわよッ!」
ルーミアが思い切り山田を両手で突き飛ばして、胸を隠す。
「ぐあぁああああ!」 「山田様ぁあああ! うらやまけしからんッ!」
山田は後方に物凄い勢いで吹っ飛び、木を2,3本倒してズサーっと顔面スライスをする。
「ゆゆゆ…許さないッ!」
ルーミアが右手に黒い塊を作りながら、山田に走って近寄る。
「……それはこちらの台詞だ小娘ェエエエッ!」

 山田がルーミアの方に振り向いて、口から何かを吐き出す。
「お……おぶぇええええ……」
山田の口から唾液でベトベトのロケットランチャーが出てくる。
「……汚ぁっ!?」
ルーミアがあまりのショッキングな光景に、山田へと向かう足を止める。
山田はニヤリを笑って口についた唾液を腕でふき取り、
ロケットランチャーをルーミアに向かって構える。
「くらえ! 我が奥義! あったり山田のバズーカァアアア!」
山田がトリガーを引いた瞬間、山田の後ろにロケットランチャーが吹き飛ぶ。
「山田様ぁあああ! 向き逆じゃないですかぁああ!」
更にロケット噴出の勢いで、山田が後ろへまた吹っ飛ぶ。
「山田様ぁああああ!」
そして、山田の後ろで木に当たったロケットが爆発し、山田をルーミアの方へ吹き飛ばす。
あまりの出来事にぽかんと突っ立っているルーミアに、山田は勢いよくロケット頭突きをお見舞いした。
「あぐぁあああああっ!」
頭突きを喰らったルーミアは、後ろへ吹っ飛び、木を1本倒してから、気を失った。
「山田様ぁあああ!」
山田は起き上がり、しもべ達にガッツポーズをしながら、
「計算通りだ。」と、不自然に笑いかけていた。
「流石山田様でございます! わぁああああ!」

 「……紫、アイツバカなだけよね?」
「……ええ、それも超級のバカよ。」
紫と霊夢のダメージはもうある程度回復していた。
二人は今ここで起こったインパクトがありすぎる事を信じきれてなかった。
「なんであんなヤツにしたがっているのかしらね、あのしもべ達は。」
「……霊夢。」
紫が目を閉じて、霊夢に声をかける。
「何よ?」
「バカほど素直で素敵な人もいないのよ。」
「……はぁ?」

***************************************************************************

 「……で、この小娘は封印されておったわけか。」
山田が納得した面持ちでリボンを付けられたルーミアを見る。
ルーミアはリボンを外すと、自分自身の力が暴走して、人を襲う衝動が異常なまでに高まってしまう。
今回は何が原因で外れたかは分からないが、とにかく封印しないと危ない相手だと、紫に説明された。
「まぁ、この娘みたいな妖怪は、幻想郷のバランスを崩しかねないわ。
……そして、それに打ち勝つ貴方……のしもべ達も。」
「……成る程。余は規格外すぎるという訳だな。」
「流石山田様でございます。」
霊夢と紫はまゆをしかめて山田を見る。
しかし、フンスを鼻息を荒げる山田をみて、ため息をついて良しとした。
「まぁ、貴方はこの幻想郷にはすこし都合が悪い。」
「分かっている。心配せずとも帰るさ。」
「……そうね。借り作っちゃったし、私のスキマで送るわ。」
紫が手で空を切り、そこにスキマを出現させた。
紫の空間から見えるのは、金で飾られた物凄い豪華な豪邸だった。
「ふん、ご苦労だな。しもべども! 帰宅の準備だ!」
「はい! 山田様!」
山田は神輿に飾ってある玉座に腰掛け、躊躇せずにスキマに入ろうとした。
「……待ちなさい。」
山田が振り向くと、そこには山田を睨むルーミアがいた。
「……貴様か。傷はもう癒えたのか?」
「まぁ、私は妖怪だしね。それよりも、礼を言いたい。」
「なんだ?」 山田がルーミアについた、風に揺らされるリボンを見つめる。
しかし、ルーミアが突然、そのリボンをむしりとった。

 「――ッ!?」
霊夢が戦闘態勢を咄嗟に取る。しかし、その必要は無かった。
「……ありがとう。貴方との戦いで、私は強くなれた。
そして、この力をコントロールする事が出来るようになった。」
「なっ……!」 「……」
驚く霊夢をよそに、紫がルーミアをニヤリと笑って見つめていた。
ルーミアは、自分の右手の中でヒラヒラと揺れるリボンを見つめて、
そのリボンを風にのせて飛ばした。

――もう、私を縛るリボンはない。

 風に金色の髪が揺さぶられるルーミアは、月をじっと見つめていた。
「そうか。 ……小娘、自由に生きろよ。」
山田が前を向くと、しもべ達は何も言わずにスキマに入っていった。
「……また、会えるといいな。」
月を見つめている少女は、歪ではなく、自然な笑みを浮かべていた。
※一度削除しました。
理由は恐らく前バージョンは著作権侵害になってると思うから。
ご指摘本気で感謝です。いやはや抹消されるところだった。
君が代には著作権は無い。よってセーフな筈。

不更新宣言についてですが、
いろいろとあって「卓越して完成度の高い作品はこちらに投稿」って事にしました。
お騒がせすみません。
ハムスター
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コメント



0.370簡易評価
3.90コチドリ削除
とある事情により俺大爆笑。
まさかあの場面に君が代を持ってくるとは。作者様のセンスにマジ脱帽。
にしても、リピートuzeeeeeeeeeeeeeeeee!! そしてそして、

>――ぽみゅ。

ありがとう、山田ありがとう。大好きになったぜ、アンタのことが。

それじゃ最後にちょっと冷静になってみて思った作品に対する感想を。
とても面白かった。勢いも感じた。
でも、ちょっとでも外すと置いてけぼりになる、或いは醒めてしまうといった危うさも同時に孕んでいるとも思う。
最後までストーリーに乗れた俺は幸せなんだろうな。

今後の創作における御健闘を祈っております。
ありがとうございました。
5.無評価ハムスター削除
おお!コチドリさんじゃないですか!噂は常々。
誤字……とは言いがたいですねぇ……w直すべきなのかどうなのかw
少なくとも確実に誤字な所は参考にさせていただきます。ありがとうございます!
12.70名前が無い程度の能力削除
合わない人にはとことん合わない類いの作品だと思いました。さらに一度でも筋を外れたら途端に醒めてしまうという。
勢いを主軸に据えたギャグ作品は、その部分をどう工夫してより読者を楽しませるかが肝&作者の腕だと個人的に思うのですが、そこがちょっとお座なりかなぁと。
寺子屋のくだりが少し冗長な気もします。
まあ、楽しめたっちゃあ楽しめたかもしれないのでこの点数でお願いします
15.無評価名前が無い程度の能力削除
>卓越して完成度の高い作品

……え? まさかとは思いますが、これが?
18.無評価名前が無い程度の能力削除
作者さんの書いてる時の楽しさしか伝わってこない
21.無評価名前が無い程度の能力削除
>卓越して完成度の高い作品
こういったものは他人からの評価で決まるものではないでしょうか
自画自賛の態度は読む人に疎まれる一因ともなりかねません

作品の内容以外のことなのでフリーレスで
22.60名前が無い程度の能力削除
しもべ達対ルーミアはテンポよくて笑えたなw
31.無評価ハムスター削除
※21
確かにそうですね。次から気をつけます。
アドバイスありがとうございます。
32.30壱岐市削除
難しいですね、
私は純粋につまらなかったと感じました
33.40名前が無い程度の能力削除
虹色の羽を持つ子が何故出てきて、
何のためにルーミアの封印を解いたのかがよくわからないこと含め
不明瞭な点が多かったのでこの点で。
41.無評価名前が無い程度の能力削除
コチドリさんからコメを貰えるなんて……
……私書くのやめようかなぁ……


ま、よくわからんとだけ