Coolier - 新生・東方創想話

来来☆中華点心芳香包子

2012/03/11 18:52:04
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 ―1:ようこそ―



 きゅっきゅっきゅっと生地を伸ばす。肉で出来た餡を詰め込んでもう一度きゅっきゅっきゅ。
 手のひらサイズの蒸篭でむしちゃえば完成。宮古芳香特製肉包子の出来上がりだ。
 続けて野菜包子を作らないといけない。
 蒸し時間や餡の下ごしらえは、青娥様が教えてくれる。
 まだかなーって待っている暇もなくて、どんどん包む。とにかくペースを落とさない。
 青娥様が時間を見切ったら、

「ほいよっ!」

 って言いながら、蒸篭ごとお客さんに渡す。
 蓋を外したお客さんの、わぁ! って顔を見るとこっちもうぉぉー! って嬉しくなる。

 神霊廟の中に、人間が来ることはめったにない。
 けれども、最近は門の前に行列が出来る。

 我々が点心屋台をやっているからだ。

 『中華点心芳香包子』

 って屋号。今、看板を読んで確認したから間違いない。
 野外だけれど、お客さんの顔はあったかい。
 立ち食いさせるのも良くないと思ったので、とうとう竹で作ったテーブルまで用意した。
 これも中華式らしく、すっごく良く回る。
 私のきゅっきゅがくーるくる!


 ―2:よろしければ―


「旨い饅頭が食いたいのう」

 多分、きっかけはこんな言葉だった。
 神霊廟内の居間はその日も、ぐーたらだった。
 物部様が青娥様とコタツの中でみかんをもぐもぐしながら、中華料理の話をしていた。
 私もコタツに入って、何かをもぐもぐしながら相槌をうつ。
 青娥様は元々主婦だったから中華料理がスゴイ出来るんだって。
 物部様は涎をたらしていた。
 何せ、物部様は復活する前は和食ばっかり食べていたから、青娥様のこってり中華話はとっても危険なのだ!

「ああ、そんなに汁が出てしまうのか。そんな秘術は風水では教わらなかった」
「ええ、グッチュグチュになった中から、お汁がぴゅっぴゅーって出ます。とろけてしまいますわ」
「ぴゅっぴゅー…… うわぁ、考えるだけで頭が沸騰してしまいかねん」
「せーが様! 私も食べたいなーっ!!」

 コタツをドタドタ叩きながら、二人で同じ言葉を連呼した。
 たっべたいなー! たっべたいなー!! たっべたいなー!!!
 蘇我様がこっそりやってきて、

「うるさい。これ以上続けたら肉饅頭にしてやんよ?」

 とだけ言って去っていくと、物部様は呻きながらコタツの上に頭を預けて涙ぐんでしまう。
 物部様は、蘇我様が怖いのかな?
 私が、また今度叫ぼうなーとか言っていると、ずーっと微笑んで我々を見ていた青娥様が

「それじゃ、芳香。作ってみる?」

 と、仰天の言葉。えー。
 目玉が飛び出るぐらいびっくりした、というネタをやろうと物部様の手を持って目玉をほじらせようとしてたら、青娥様に止められた。
 握った青娥様の手は、こたつに入ってた為、しっとりと温かい。

「この芳香特有の冷たい手と札に忠実な性能があれば、皮を薄く延ばしてもしっかりと手順通りに作れる。美味しい点心ができます」
「そうだったのかー! 私ってスゴイ!!」
「よしよし、いい子いい子」
「うぉー、早速作るぞ!」
「一刻も早く作ってきてくれ。腹が減って辛抱ならん」

 駄々っ子な物部様を放置して、我々は台所に移動した。
 まな板や包丁を用意し、冷蔵庫を開ける。
 守矢神社から勧誘されてもらった冷蔵庫だけど、青娥様は道教のままだ。
 こんな高そうなものをもらっても、信仰が変わらない青娥様は邪仙なのだ!
 パカッと開いた中には鍋がひとつ入っていた。肉と人参の匂いがする。

「昨日の肉じゃが、ほぼこのまま使っても問題なさそうね」

 後は簡単だった。
 私は記憶力はあんまりない(何せ、今思い出している内容もほんわかしてるし、そもそも何で思い出しているのか覚えてない!)。
 だが、命令には忠実だ。
 青娥様はさらさらっとお札を書いて私のおでこに貼り付ける。
 肉のこね方や皮を伸ばして包むやり方が恐らく書いてあるんじゃないかな。
 手の消毒もしていただいたら、ただ動かすだけだ。
 きゅっきゅっきゅ。
 あっという間に青娥様直伝、あまりもの包子の出来上がり!

「うん、やっぱり最適だわ。私がやっても、正確にこなせない部分を完璧に仕上げてある」
「作ってみるとかわいいー、コレいいな」

 初めて作った包子。
 手のひらにちょこん、と乗るサイズで小籠包と一般的には言うらしい。
 たけのこみたいに先っぽが出てて、我ながら綺麗に折り目がついている。
 白い生地は仙女みたいに美人な色で、菊の花みたいに品がある。
 さわると弾力があってぷにっぷに!
 私もこんな風に可愛くなりたいなぁ。
 青娥様は頭を撫でてくれた。目が合う。

「早速食べよう!」
「お待ちなさい。誰か忘れてるわ」
「だーれーだー?」

 青娥様は答えずに居間の方まで向かうと、物部様が涎の池の中心でぐーぐー寝てた。
 きっと、お肉を食べている夢に違いない。
 朝だぞー! って叫ぶと、物部様は上半身を垂直にして、いや寝てないですよって顔をする。
 そのマヌケ面に包子を放り込み。
 びっくりする間もなく、物部様の顔は紅潮して目を細める。にっこにこだ。
 口元を隠しながら、

「はふはふ、うまいのう、うまいのう!」

 と何度か呟いた。
 5個ぐらい投げ込んで、同じ台詞を言わせてるとこっちが段々楽しくなってきた。

「うまいのう、頬っぺたが落ちそうだ。うまいのう」
「いかがでしょうか、初めて二人で作ってみたのですけれど」
「うまいのううまいのう」

 私も真似して、うまいのううまいのう! って言いながらひとつ摘んで上に放って口にいれた。
 皮は噛みごたえがあって、もちもちとした食感。
 肉じゃがから作った餡はひき肉とニンジンが良く混ざっていて、こんにゃくの食感が楽しい。
 何よりも、噛んで汁が出てくる度に肉の旨みと薫りがぴゅっぴゅーと出てくるのだ。
 我々がこれを作ったなんて、すごいな我々!

 青娥様も悪乗りして、うまいのううまいのうって言っている。
 三人のうまいのう大合唱。
 ガラッと襖が開いて、太子様登場。
 
「食欲がここに集中しています、一体何事です?」

 すかさず、私は太子様にも投げつける。口の中にスポッと入った。
 
「いかがでしょう? 私と芳香で作りましたの」
「……」
「太子様?」
「うまいのう」

 この後は勿論、蘇我様にも投げにいって、皆で一日中うまいのうフィーバーを行った。
 歌まで出来たけど、忘れちゃった。
 みんなでコタツを囲んで、お喋りしながら饅頭を食べるのは、すっごい生きてるーって感じなのだ。
 私、ゾンビだけれど。

 青娥様は、これはイける! とガッツポーズをして、餡のネタ調合を繰り返し実験し、私に包子作らせた。
 練った肉を中心とした肉包子、緑黄色野菜と筍の食感が楽しい野菜包子、肉汁が5倍は出てくる角煮包子……
 上手に出来ると、青娥様は頭を撫でてくれる。
 だから餡の製法なんて全然知らなかったが、包むのだけは誰にも負けない自信がついてきた。
 きゅっきゅっきゅ。うまいのううまいのう。

 そうして出来たのが、『中華点心芳香包子』です!
 多分。



 ―3:よろけて―


 休業の看板を立てた。
 青娥様が倒れてしまったから。

 中華点心芳香包子の開店以来始めてのことだ。
 ここ1ヶ月で神社ひとつなら買収出来そうなぐらい儲けたけれど、我々は同時に働きすぎた。
 餡の仕込みをする朝7時からの2時間以外は、ずーっとお店を開けていたのだ。
 妖怪から人間まで全部対応しようと考えた結果で、物部様には止められていたが、青娥様は無理やり決行した。
 新聞記者らしい天狗なんかのインタビューも、全部青娥様は受けた。私も肉詰めしているところを写真にとられた。
 すると、どーしてかお客さんが増えて我々は大忙しになる。
 猫の手も借りたいって言葉があるらしいけど、そんなにゃんこの手では饅頭は作れない。
 暴走ってあーいう状態を言うのだろう。

 ゾンビの私でも、そろそろ睡眠しないと体が爆発しちゃうかなーって考えてた頃だった。
 仙術でもごまかしきれなかったらしい。餡仕込みの最中、青娥様は突然目を閉じてヨロヨロしていた。
 私は慌てて体で受け止めると、そのままズルズルと冷たい床で横になった。
 死んでしまうかもしれない!
 どうしようって言葉がずっと頭の中をよぎる。
 体が冷えてはいけない!!
 急いで服を脱いでせーが様にかけてあげて、太子様に伝えに向かうと、

「おや、どうして裸なんですか」

 と真っ先に言われた。
 私は裸だった!
 理由を話すと、数分後に青娥様は寝室に運ばれた。
 物部様が気持ちは良くわかるぞ、と言いながら私に服を返してくれる。
 いそいそと取り戻した服を着ながら、青娥様の元まで行くと、珍しく寝息をたてていた。
 肌が普段より青白く、良く見るとまとめられた髪の毛はところどころ毛先がはねている。
 黄色い花柄の布団が葬式を思わせて嫌だ。私は氷枕を持ってきた物部様に、布団を変えるように訴えた。

「風水としては、これが最良なのだが……おぬしがそういうなら、無地の桃色にしよう」
「そーしてください。せーが様、死なないよね?」
「病気ではないから、安心しなさい。ただ疲れてしまっただけだ。おぬしも少し眠るべきだ」
「うん。そーします。ここに布団をひいてもいいですか?」
「ああ、構わない。同じ柄を用意させる」
「10時になったら起こしてね」

 物部様は午前10時に起こしてくれた。
 私は夜のつもりだったので、時間を尋ねてびっくりした。
 せーが様の寝顔は相変わらず美しかったけど、やっぱり元気がなさそうだった。
 30分ぐらいだろうか。じーっと眺めていると、目があった。
 二人でパチクリパチクリする。

「あらあら、おはよう芳香」
「おはようございます!」
「……私、倒れちゃったのね」
「倒れちゃいました!」
「私も改めて修行が必要かもしれないわ。不覚にも程がある」
「そうですか! おやすみください!! よかったよー……」

 青娥様はにっこりしているけれど、私に気をつかっているのが解る。
 私だって、アホじゃないのだ。
 アホじゃないから、何かしなければならない。ちゃんと元気になってもらわねば!
 青娥様とにらめっこするみたいに顔を寄せて、気が付く。
 今の私なら、包子が作れるぞ。
 私は急いで持ってきますと叫んで、お店のキッチンに戻った。

 キッチンは青娥様が倒れた時と変わらなかった。
 一人だと、思ったより広い。
 見慣れてしまったお客さんもいない。もう里にも臨時休業が知れてるのかな?
 久しぶりに料金をとらないで包子を作るなぁ。
 まな板の上に目をやる。
 そして、気が付いてしまった。

 私は餡や生地の作り方は知らないのだ!

 うぉぉー……
 我々は、二人で一人前なのだ。
 青娥様がいないと、私は肝心の具材作りや蒸し時間の微妙な見極めも出来ないのか。
 仕方がないので、作りかけていた部分からこしらえなければいけない。
 ひき肉や漢方調剤、筍などが机の上に転がっている。
 とりあえずミンチだ!
 何度も何度も手を叩きつける。

 バンバンバン!
 バンバンバンバン!!

 潰れた、というよりは粉々になった。
 綺麗にいかない。これでは食感も肉汁の出も悪いだろう。
 でも、私には他にやり方がわからなかった。
 緑色の野菜を取り出す。毒を抜いてある爪で、みじん切りにする。
 しかし、形がバラバラだし、分量はどれぐらいが丁度良いのかわからない。
 粉のまんまの生地は、何かが足りないみたいでパサパサのままだ。
 後少しで私が得意とする、きゅっきゅっきゅなのに!!!
 泣きそうだ。いや、私が生きてたら涙が出ているんだろう。
 死んでいるから、そんな綺麗なものは生まれない。
 
「うわぁあああーー」

 その分、叫んでみる。
 私は、ただのキョンシーだ。命令されなきゃ、笑顔のひとつも作れないのだ。
 叫ぶしかない。

 そのうち叫び飽きてまな板を見つめながら時間がすぎた。
 途方にくれるって言うんだっけ?
 そういえば、何でこんな時間に私は起きているのだ。
 寝てしまおう。別に何処で寝たって同じなのだから。

 手をついて横になろうとした。
 と、その時女の人の声が聞こえた。
 外のほうから、私を呼ぶ声だ。厨房から顔を出す。
 回転テーブルの上に、誰かが立っている。

「お困りの様子だな、そうであろう!」
「あんた誰だっけ?」

 銀髪の陰陽師服を着た少女は、左手を前に突き出し

「我が助けてしんぜよう! 風水に不可能はない!!」

 と、大見得をきった。晴れ晴れしいドヤ顔だ。自信に満ち溢れている。
 何とかなるのかな?
 私はテーブルに近づき、ありがとう! と言ってテーブルを力いっぱい回した。
 
「待て何をする、倒れる倒れる……っ! うわわっ!!」
「あ、物部様だ」

 私は、また全力でテーブルを回す。
 いよいよ飛び降りた物部様は、再びポーズを決めようとしたがバランスを崩して尻餅をついてしまった。
 その後、

「つくべきは私の尻ではないぞ、芳香殿! 包子をつくべきだ!!」

 と言って笑った。私も一緒に大きく口を開けて笑う。
 嬉しかったからだ。


 ―4:よいのか―


「うむ、ちょっと不細工だが、まずまずだな」
「そうだなー。蒸しすぎたかも」

 我々は包子を10個程作るのに成功した。
 物部様は風水を駆使して、もっとも最適らしい作り方を独自にあみだした。
 だけど、料理経験が全然ないそうで包丁で指を少し切ってしまった。
 それでも、

「痛くない! 我にとってはこの程度問題ではない!! と言えば痛くないのだ!!!」

 と豪語して、拙い手際で八宝菜をみじん切りにしていた。
 今もクマさんの柄がついた絆創膏が貼ってある。
 そんな小さな努力の結果は、流石に青娥様と作ったものには敵わないだろう。
 餡を握って包んだ工程でわかった、これはきっと中の汁の出が悪い。
 青娥様は喜んでくれるかな?
 
「物部様ー、これで青娥様元気になるよね?」
「ああ、我がついていたのだ。間違いない。この五行の全てを駆使した饅頭によって天下泰平すら意中に出来るだろう!」
「そんなに凄いなら、物部様も昔から作っていればよかったのにー」
「え? あ、そうかも知れぬ」
「そうそう」
「妄言を言うてる場合ではない! 冷めぬうちに持って行こう」

 ドタタタターと走りながら、青娥様の寝室まで蒸篭をかかえて持っていく。
 我々が部屋に入ると、青娥様はムクリと半身を起こす。

「あら、良い匂い」
「せーが様ぁ! 包子です! 作ってまいりました!!」
「私と芳香殿のお手製だぞ。心して食べるのだ」

 蒸篭の蓋をとると、中から白い湯気が立ち込める。
 もくもくと温泉のように沸き立つ中に、ひときわ白い饅頭が美味しいよって挨拶をする。
 普段と違って、魚介の薫りがほんのり混じっている。物部様の和食の知識が入っているのかな。
 私が手に取ると、もう破けそうになっていた。包子は肉汁が出てしまうと美味しさが半減してしまう。
 急いで青娥様の口元の前に差し出すと、合わせて口をあけて半分噛る。
 中の餡の様子が出てきた。うーん、やっぱり形は良くない。
 汁の出もイマイチだなぁ。
 もしかしたら、青娥様はお世辞をいってくれるかもしれないけれど、満足してはくださらないかも。
 包子は半分食べたら、開いた部分を入れ物にするように、黒酢を垂らして食べるのが美味しい。
 物部様に黒酢を垂らしてもらっていると、

「うん、美味しいわ。とっても」

 と、少し枯れた声で青娥様が言った。

 あちゃー……失敗だったかー。
 青娥様は泣いちゃった。
 目から涙がツツーっと一筋垂れている。
 右手で体を支えて左手を口元に当てている青娥様は涙を拭くことが出来ない。
 私が親指で拭うと、何故か微笑んでくれた。

「おいしくなかったかー」
「全く正反対よ、本当に美味しかったの」
「泣いてますよー。苦かったのかな」
「芳香殿、お主も食べてみると良い。これはうまいぞ!」

 そういう物部様もうなづきながら半なき状態で微笑んでいて、青娥様もニッコリしてくれる。

「ありがとう」
「うーあー?」

 頭を撫でてくれる。
 帽子越しに、何度も何度も。
 それならいいのです!!!!
 いい事があるから、頭は撫でられるのだ。

 青娥様がひとつ私にも食べさせてくれた。
 うーん、なんだろ。
 始めて作った時の包子を思い出した。
 私が良く覚えてるなんて、珍しい事もある。



 ―5:よくかんで―


 神霊廟に住まう全員が、居間に集まっている。
 太子様も蘇我様もコタツの中で世間話をしていた。
 我々が蒸篭をもって中にはいると、物部様は

「待っておったぞ!」

 と、何故か例のキメポーズをとった。
 私はついついキメ返そうとして、蒸篭を落としそうになる。
 わっとっとー、ってゆらゆらしていると青娥様が支えてくれる。
 あらあら、なんて言いながら。
 私はもう落とさないようにと慎重にコタツの上に蒸篭をおいた。

 青娥様はあっという間に元気になった。
 作った包子の効果だとしたら、それはとっても嬉しいな!
 けれども、お店は一週間ほど休むことに決めた。
 太子様に青娥様は叱られた。私も一緒に聞いていたけど、覚えてないや。
 馬の耳に豆腐ですねとか、そんな事を言ってた気がする。 
 一週間も休んでいたら、お店は忘れ去られてしまうかもしれない。
 だけど、行列まで出来た包子を我々は捨てたワケではない。
 私の日課にテーブル拭きが増えたくらいだ。

 コタツの中は満席で、中心には蒸篭がまるで神霊廟みたいに重ねられている。
 勿論、私がきゅっきゅっきゅっ。自慢の技です!
 今日は新作の麻辣饅頭も作って、みんなで試食会なのだ。

「ほほう、これが新作か。皮まで赤いとは、辛いのであろう?」
「唐辛子をねりこんでありますわ。青唐辛子が本当は使いたかったのですけれど」
「新作もいいですが、お金儲けや名誉欲は程々にしてくださいね」
「はんせいしてまーす」

 私は青娥様から教わった魔法の言葉を叫ぶ。
 もうよいもうよい、と太子様は口の端をあげた。
 物部様と蘇我様は二人して麻辣饅頭を食べると、仲良くお茶をすすった。

「わわわ! なんじゃこれは舌がこわばったぞ!! 鶏肉の味もするがなによりも痛い……ひぃー」
「痺れるんよ!!!」

 ちびちび食べてはお茶を飲む二人を見ながら、我々はニッコリする。
 
 我々はコタツから離れない。
 いつまでも終わらないみたいに、ずっと話をしていた。
 内容なんて覚えてないけれど、それは私が腐っているからじゃなくて、会話も食事のひとつだから。
 おいしく食べて、栄養になっているのだ!
 包子を口にいれながら、みんなの笑顔をよーく見る。


 うーん、うまいのう!




 ―お後がよろしいようで―




 
包子うまいのううまいのう←MYブーム
よしかちゃんかわかわすぎるので、うちにも包子作ってくれるよしかちゃんが欲しい。
よしかちゃんが欲しいのです。

という訳で、料理小説っぽくなりました。はふはふ。
がいすと
http://twitter.com/geist_G_O_D
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コメント



0.1130簡易評価
1.90名前が無い程度の能力削除
布都ちゃん有能すぎワロタw
なんともハートフルなお話でした。うまいのう!
2.90奇声を発する程度の能力削除
とても良く温まるお話でした
5.80名前が無い程度の能力削除
肉まん食べたくなってきた
15.90名前が無い程度の能力削除
ああもう、カワイイなこの子たちは!
20.100白銀狼削除
なんだこりゃ…いきなり腹の音がなったぞ…夕飯食べたばかりなのに。
最近中華料理食べてないからかな…すっごくお腹減ったw
23.100名前が無い程度の能力削除
とってもあったかいお話でした!

帰り道に包子どこかで売ってないかなぁ
24.100名前が無い程度の能力削除
これは、いいものだ。
ほんわか、ふんわり、あったかなお話でした。
25.100ぺ・四潤削除
うん。取ってつけたような料理物ではなく料理そのもので絆を表す。
包子のようにふわふわあったか柔らかくてぎゅっと皆の味が詰まってる。
そんな幸せな感じでした。