「よいしょ、っと! お嬢様ちょっと良いですか?」
「……美鈴なんてところから入ってくるの!」
午後の昼下がりの紅魔館、レミリアが執務室でお茶を飲みながら最近買った秘蔵の同人誌を椅子に座りながら読んでいた。すると美鈴が、開いていた窓から突然入って来た。ここは紅魔館の三階なのによく入ってこられたものだ。
「まあ、それは置いときまして話を聞いてください」
「…………しょうがないわね、何のよう? 無礼者の美鈴」
レミリアは突然入って来た美鈴に驚くよりも、先ほどまで読んでいた同人誌をさっと背中にまわし、何処に隠すかで困り少し不機嫌になった。しかし、話を聞いてあげようと思った。
「今日の新聞に入っていたチラシなんですが、卵10個68円なんです」
郷のお店のチラシを、美鈴はうれしそうにしながらレミリアに格好良く広げて見せた。
「へぇ、卵って一個68円位するものだと思っていたけどやすいわね」
レミリアはチラッとそれを見た。いまだに同人誌を何処に隠すか困っていた。執務机の中がいいか、それとも本棚の影がいいか、どちらにしても美鈴に見つかるわけにはいかない。
「そうなんです! とても安いんです」
レミリアの金銭感覚がズレていることに美鈴は気付いたが気にしないでとにかく安いということを強調した。
「買ってくれば良いじゃない?」
そんなことを言うためにわざわざ私のところに来るなんて、ちょっと迷惑なんだけどね。同人誌をどこかにしまうのを諦めたレミリアは、そう思いながら服の中に隠すことにした。
「はい、買って来ます」
門番の仕事は24時間営業なはずだがお構いなしに美鈴は買いに行く気なのである。
「……いってらっしゃい」
普段なら怒るところなのだが、レミリアは同人誌をドレスの背中部分に開いた羽を出すための穴に入れるので精一杯だった。
「それがですね、この卵お一人様10個限定なんです」
「……んと、だから?」
10個限定だから私となんの関係があるのだろうかと思った。それとなんとかレミリアは同人誌を服に入れることが出来た。つるつるしている本がひんやりしていて気持ち悪い。
「お願いします。お嬢様私と卵買いに行って下さい。2人で行けば20個買えるんです」
「やだ」
ちょっと、門番ふぜいが調子に乗るのもいい加減にしろよ。レミリアは完全に不機嫌だ。それに加え、同人誌がドレスの後ろ側をすべり落ち初めていてお尻の辺りまで来ていてさっきより気持ち悪い。
「そこをお願いしますよ。咲夜さんに頼んでも一緒に来てくれないんです」
何? 咲夜が駄目で私のところに来たの? この娘は私がこの館の主で偉いということを理解していないのか?
比較的部下のおかしな行動に最近は寛容なレミリアだったが、流石に許せなかった。美鈴にお灸の一発でも与えようとすっと立ち上った。
そして、窓の近くに居る美鈴のところまで来た時だった。
パサ! っと何か落ちる音がした。
「…………!」
「……………………ふ」
それは、レミリアの同人誌がドレスの中から落ちてしまった音だった。それを見逃さず見つけた美鈴は何も言わなかった。しかし、顔の表情と目の動きが話しているのも同然だった。
「……分かった、卵買いに行くわ!」
「えへへ、ありがとうございます。では私は何も見ていません」
今後、同人誌を読む時は必ず窓を閉めておこうとレミリアは心に硬く誓ったのだった。
後、長さ的にジェネリックだなと
確かに少し短いと感じたが、短いからジェネリックとかそんな規定ないしね。
本文がもうちょい欲しかった
あと一応転載な
創想話と創想話ジェネリックの基準は、あくまで作者の意思によるものであり
内容や文章量によって差別化しているものではありません。
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