Coolier - 新生・東方創想話

私の能力でお姉さまをぶっ壊しちゃうゾっ☆キャピルーン

2012/03/03 11:52:31
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「ねぇねぇお姉さま、聞いて」
「なぁに、私の愛しい愛しいフランドール。悪魔をも魅了し虜にする赤い液体<スカーレット・スパークル・ワイン>を
 賞玩してる時に私に話しかけるとは、いくらフランとも言えど」
「はいはい、今は私以外だれもいないからその喋り方やめて。欝陶しい」
「あ、そう。でも食事中に喋ると咲夜に怒られちゃうんだから早くしてよね。ごくごく。で、なんだって?」
「あのね。私の能力がね、パワーアップしたの」










『私の能力でお姉さまをぶっ壊しちゃうゾっ☆キャピルーン』










 あれは昨晩の夜。
 咲夜が持ってきた食事も済み、私は部屋で時間を持て余していた。
 私はこの地下室で一体何をすれば。
 私はこの小さな部屋で一体何が出来るのか。
 この私というちっぽけな存在は、この幻想郷という世界で一体どのような功績を残せるのか。
 私は怖い。
 この宇宙という大きな容器の中、私が何をしても宇宙に影響はないんじゃないか。
 だとしたら、私はもはや「いない」のではないか。
 




 いない…… 私は……いない?
 なら、私はだあれ?
 いま、この地下室に居る私はだあれ?
 わからない。
 わからナい。
 ワカらナい。
 wカらナ……ウフ
 ウフフ、ワタしは……ダぁれ……?
 

 なのでとりあえず腹筋をすることにした。やみくもに。








「そしたら能力がパワーアップしてたよ」
「訳がわからないよっ?!」

 レミリアは赤い液体<スカーレット・スパークル・ワイン>を床にぶちまけ心情を吐露する。
 フランのこの発言に対する感想は、レミリアだけではなく月の頭脳、妖怪の賢者でさえも同じであろう。
 
「ご……ごめん、フラン。全然わからないわ。端折らないでちゃんと説明してよ……」
「まぁ仮定なんててどうでもいいのお姉さま。大事なのは結果。これからどうするか」

 おいといて、とジェスチャーで話を展開するフランにレミリアは納得のいかない表情で結論を待つ。
 この妹は一体何を言い出すのか。
 この妹はどんな馬鹿げたことをやるのか、と。
 
「それでね、私お姉さまをぶっ壊そうと思うの」

 今現在、ぶっ壊れているのはお前だろうとレミリアは突っ込みたかったが
 物怖じせずにぶっ壊れた発言をするフランに若干の恐怖を感じ、言葉を出すことをやめた。

「でも、殺すってことじゃないのよ。お姉さま、私の能力は?」
「……ありとあらゆるものをを破壊する程度の能力」
「そうそう。今まではね、隕石とか、弾幕とか、物理的なものしか破壊できなかったけど、
 パワーアップしたからその名のとおり、なんでも壊せるようになったよ」

 嬉々として話す我が妹にレミリアは自分の母性を感じ抱きしめたいと思ったが、
 自分が思考回路が故障し始めていることに気づき行動に移さなかった。
 つまり、先程からレミリアは微動だにしてない。

「よし、じゃあ始めよっか。咲夜」
「かしこまりました」

 突如、咲夜が現れ目の前の机に紅茶が二つ置かれる。
 
「私の分と、妹様の分ですわ」
「え、咲夜、わたしのはーってなにこれ? なんで縛られてるの?!」
「動くと別のものも壊れてしまうから、と妹様が」
「ちょっと! なんでそいつのいう事聞くのよ。あんたは私のメイドでしょうが」
「妹様はおっしゃられました。『咲夜はお嬢様が壊れるとこ見たくないの?』と。そんなの答えは決まっていますわ」
「この裏切り者ー! いかにもな二次創作っぽくなりやがって!」
「あらやだ」
「破壊」

 フランがレミリアに向かって拳を握ると、ぱりぃんと破裂音がレミリアの部屋に鳴り響く。
 現状、目で見る限りなにも壊されていないレミリアは少々困惑しているようだ。

「ふ、フラン、今何を破壊したの……?」
「お姉さまが『メタい発言をする権利』を破壊したわ。お姉さまはこの小説が終わるまでメタい発言は一切出来なくなる」
「ままままじで?! パワーアップってそういう事?! あんたすごすぎるでしょ?!?!」

 妹の意外すぎる飛躍的な能力アップに思わず足をバタバタさせながらツッコミを入れるレミリア。
 その様子を見ながら優雅に紅茶を飲んでいる咲夜の口元からは少量の紅茶が流れ出ていた。
 その光景は、見るものを「瀟洒……」とつぶやかせる力があったとか無かったとか。
 
「お姉さま、試しにあー地の文難しいわーっていってみてよ」
「う、うん。あー血の契約をせし堕落した悪魔を嬲りたいわー 本当だ?! 言えなくなってる! てか何この翻訳!」
「なるほど、これは面白いですね妹様。さ、続きをどうぞ」
「咲夜マジであとで覚えとけよ?!」 

 ぱりぃん
 必死の抵抗むなしく、またひとつ妹の手によって何かを破壊させられてしまうレミリア。
 彼女は今日どこまで失ってしまうのか。

「……何を破壊したのよ……?」
「お嬢様あれ言ってよ。霊夢に言った奴」
「……へ?」
「お姉さまの名言でしょう? 『こんなに月も紅いから本気で殺すわよ』って」
「あぁ…… 『こんなに里が美味いからきのこを殺すわよ』……?! な、なんだって?!」
「あらお姉さま、私はきのこ派ですわ。お姉さまの『名言』を破壊したわ。残念ね」
「お、お前は鬼か……」
 
 鬼じゃなくて吸血鬼だろう、と皆が思った突っ込みはさておき、フラン能力は相当なもののようだ。
 物に限らず「概念」「理論」「認識」を壊してしまう者に幻想郷とはいえど、適うものなんて居るのだろうか。
 といってもフランちゃんはお姉さまをいじめたいだけだから大丈夫なのだが。
 レミリアはすっかり意気消沈し、椅子にぐったりと項垂れている。
 
「うふふ、楽しい。咲夜はどう? あと紅茶でメイド服がびっちゃびちゃになっているから拭きなさい?」
「妹様、私をこの場に呼んでくれてありがとうございます」
「もう、……いいだろ……私の心はボドボドだ」
「まだまだ」

 ぴしゃん
 と先程より可愛らしい破壊音がしたと同時に、レミリアの洋服が破け去った。

「あ、これは前にも出来たわ」
「ちょちょちょちょっと、何するのよ?! 服、服返してー!」
「これは駄目だ。ちょっとトイレ行ってきます。待っててくださいね、妹様」
「りょーかい」

 肉体的にも勿論辛いが、精神的に犯されるとはこう言うことなのか、とレミリアは思う。
 あと、咲夜は何をしにトイレに行ったのか、疑問に思っていた。

「帰ってまいりました。ささ、続きを」
「おかえり。じゃあ次はどうしようかなー」

 ぱりん
 レミリアにとっては地獄への足音かのように聞こえる破裂音はまだ続く。
 今度は何をされたのか、恐る恐る妹へ聞いてみる。

「フ、フラン、今度は……」
「今度はね、お姉さまの『羞恥心』を破壊したわ。うふふ」
「ん、そういえば全然恥ずかしくない。ドロワ一枚なのに」
「でしょ? 私いい事したよね」
「ふざけんじゃないわよ。早くこれ外しなさい!」

 ぎしぎしと縄が悲鳴をあげる。
 それはつまりレミリアに食い込むということで。

「あぁ、……お嬢様のお腹…… ぽんぽんに縄が食い込んで…… 私、トイレに!」
「咲夜トイレ行き過ぎー もうめんどくさいから次いっちゃうよ」
「あぁそんな殺生な……」

 ぴしゃん
 先程も聞いたのような破裂音がし、同時に咲夜のメイドく服が破ける。
 ちなみに上下おそろいのピンクベースのオレンジチェックである。

「きゃっ。妹様!」
「あ、ごめん。咲夜にやっちゃった。次は狙いを外さないからね」
「お前ら、マジで後で覚えておけよ! くそっくそっ」

 二人の茶番には付き合ってられない、とレミリアは手足を縄に食い込ませながら暴れる。
 しかし縄は外れない。

「あんな事言ってますけど、妹様」
「大丈夫、今日あったこと全部の記憶破壊しとくから。咲夜、今のうちにお姉さまに言いたいことあったら言っていいよ」
「本当ですか? では失礼して…… やーいやーいロリ吸血鬼。お前かわいいんだよー」

 咲夜の本音発言にレミリアはぽかんと口を開けていたが、
 本人は満足したようで下着姿のまま仁王立ちしている。
 
「そんなのでいいの? じゃあ今度は、えい」

 ぱりぃん
 フランのレミリア遊びはまだ続く、果てして今度は。

「な、なにしたのよ!」
「お姉さまの『建前』を破壊したわ。もう、本音でしか喋れなくなるわよ」
「あんた、なんてことを! もう、このままじゃ私が普段フランが好き過ぎてフランが使った後のスプーンとか
 ちょっとなめたりしてりるのがバレてしまうじゃない。あと咲夜がお風呂に入ってる時にブラジャーを勝手に拝借して
 大人の女性ごっこを鏡の前でしているのがバレてしまう! あぁ! ヤバい私今死にたい!」
「お姉さま、引くわ」
「あぁ、フランのその目たまらない! たまらないよぅ!」

 羞恥心と建前を無くした姉がこんなにも気持ち悪いとは思ってもいなかったフランは若干引きつつも
 この状況を楽しんでいた。
 一方の咲夜は下着姿でプルプルしていた。

「でも、もうこれ以上私が失うものはないはずだわ。残念ね、フラン。あとで腋舐めさせて」
「くくく、お姉さま。なにか忘れていない……? お姉さまがお姉さまである、お姉さまのアイデンティティ」
「……まさか?!」
「そう。それはカリスマ。それを破壊したらお姉さまは一体どうなるのでしょうかねえ」
「フラン、やめなさい。それだけはやっちゃいけないのよ。やめて! フラン!」

 
 ぱりぃん












「れ☆み☆り☆あ☆うー。紅魔館の主だぞ! もう、フランちゃんったら、
 お姉ちゃんである私においたしたらだめなんだからっ ぷんぷんっ」

「きゃははははははっお姉さまおもしろーい! もっとやってもっとやって!」

「本当にぃ? フランちゃんが喜んでくれて、お姉ちゃん嬉しいゾイ☆」

「きゃははあはあははははあはあっ…… 駄目だツボった……」
「妹様」 
「どうしたの咲夜? 存分に笑いなよ」
「二次創作にありがちな、月並みなリアクションで申し訳ございません。私はもうダメです」

 そういって咲夜は大量の鼻血を残して倒れた。
 だぽんだぽんと流れ出る鼻血は、
 あれ? 人間の7割って水だよね。でもこのメイドはその7割は血で出来てるんじゃないの? しかも鼻血限定。
 と思わせるほどの量だったという。
 
「さ、咲夜?! 大丈夫?! 大量の血が…… あわわっ」 
「お姉さま、咲夜は大丈夫よ。いつものことだから」
「だだって、あぁ、ダメ、私血とか無理…… きゅう」

 まさに自分の種族を否定するかのような発言をしたレミリアに少々の呆れ顔を向けつつも、
 フランは満足していた。あぁ、可愛いお姉さま見れた、と。

「あーあ、二人とも気失っちゃった。まぁ、お姉さまは『今日やったこと全て』を破壊すれば治るとして……
 そして誰もいなくなったーと。暇になっちゃった」











「レミィ、入るわよ。この前貸したサメの本を返してほしんだけど…… うっ」

 パチュリーは驚愕した。
 椅子に縛られて、泡を吹いている友人。倒れているメイド(+大量の血)
 一体何があったのか。敵襲か? それにしては静かだった。
 とりあえず二人を起こさないと、とパチュリーは二人のもとへ駆け寄る。

「ちょっと、あんた達、一体何が……?」
「大丈夫だよ、パチュリー。お姉さま達は私がやったの」
「妹様……」


「ところでパチュリー、聞いてほしいんだけど。
 あのね。私の能力がね、パワーアップしたの!」









『私の能力でお姉さまをぶっ壊しちゃうゾっ☆キャピルーン』
終わり
パチュリー編には続かない
前作ではたくさんの評価、コメントをありがとうございました。
すっごい嬉しいです。気づいたらこれが17作目になるようですね。
ここまで出来たのも評価、コメントがあったお陰です。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
また次のやつで。
ばかのひ
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コメント



0.1440簡易評価
3.100名前が無い程度の能力削除
咲夜さんトイレで何してたんだww
5.40名前が無い程度の能力削除
ありがちすぎ。
だけど笑えた。
6.10名前が無い程度の能力削除
同人誌で同じ話を見たな
8.90名前が無い程度の能力削除
腹筋すげえwwなんてお手軽なパワーアップ手段や!
あー、俺も血の契約をせし堕落した悪魔を嬲りたいわー
9.100名前が無い程度の能力削除
ゆかりんの境界操作といい勝負ができそうwww
10.100名前が無い程度の能力削除
おもしろかったよ。
11.60名前が無い程度の能力削除
不覚にも笑ってしまったからこの点数で。
12.70奇声を発する程度の能力削除
所々笑える部分があり面白かったです
13.90名前が無い程度の能力削除
面白かったですが
良くある展開ですね
19.80名前が無い程度の能力削除
おもしろかったです。もっと長くても良かったですよ。
久しぶりに、同人誌のノリを思い出しました。侮辱的な言葉に折れないでね。
20.10名前が無い程度の能力削除
前作がとても素晴らしかっただけに、今回、ほんともう、どうしちゃったの?
別人が書いたんじゃないかってくらいの落差。
23.20名前が無い程度の能力削除
うん・・・試みは評価したい。
31.100名前が無い程度の能力削除
パチュリー編に続いてほしい
44.70おちんこちんちん太郎削除
サメの本を借りてる部分が面白かったです。