Coolier - 新生・東方創想話

東方異神録~妖々夢

2012/02/19 23:46:19
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桜が咲いていた。
その薄いピンクの花びらが風に吹かれて散っていた。
見事な枯山水の庭に花びらが落ちてゆき、川に流れていくようにも見えた
その庭に、少女と青年が立っていた

「おじさん誰なの?悪い人?」

「ん~、せめてお兄さんって言ってくれないかな~。」

「じゃあお兄さんは悪い人?」

「悪かぁないよ、ちょっと君のお父さんに用があってね・・・。」

「父上はずっと前から旅にでてるの。だから寂しいの、お兄さんが悪い人じゃないなら
 んであげてもいいよ。」

「それが人に物を頼むセリフかい?そうか忘れてたな、あの人は山篭りの最中にそれをや
 ったんだっけ・・・。」

「ねぇ、遊んでくれるの?遊んでくれないの?」

「よし、やることもないし遊んでやるよ。つっても俺は女の子の遊びは
 知らないから教えてくれよ。」

「じゃぁねー、ええっとぉー・・・。」




















「寒い。」

「開口一番に言うなよ・・・寒いのは俺も同じだ。」

「あーもう炬燵から出たくないわ、三月の終わりだってのに・・・・あら、火鉢が消えて 
 るわ胞助、炭もってきて。」

「俺はこの神社の神様だぞ、巫女が命令すんなよ。」

「じゃぁジャンケンで。」

「ならいーけど・・・ジャーンケーンホイ・・・・。」

「・・・・フフッ、私の勝ちね。」

「チックショー、そんなんだからこの神社は儲からないんだ。」

「つべこべ言わず持ってくる!」

「へいへい・・・・ったく。」

胞助がうらの倉庫に行った、しかしそこには炭も薪もなかった

「ついに燃料切れか・・・・かわりに燃えるものは・・・・・。」

胞助がキョロキョロ辺を見渡してると魔理沙がやって来た

「よう、胞助。」

「おう魔理沙、なんの用だ?(ほうきは燃えるよな・・・)」

「なんの用だって・・・・お前等まさか知らないのか?」

「何が?」

「三月の下旬でもう桜も咲き始めていい頃なのに雪が降ってる・・・・これは」

そう言いかけたときに胞助が答えた

「『これはどう見ても異変だぜ』だろ?」

「なんだ知ってんのか。」

「こんなあからさまな異常気象なんだ、気づかない奴が変だ。」

「で、霊夢の方は・・・?」

それに対して胞助は首を横に振った

「やる気が全く見られない・・・・三月なのに五月病かってぐらいな。」

「じゃぁどうやって仕事させるんだ?このままじゃ花見もできないぜ。」

「霊夢ほどわかりやすい性格した奴はいないだろ?簡単だよ目の前に人参ぶらさげれば。」

「ああ、餌か、ホントに簡単だな。」









胞助は居間に戻ってきた、それと一緒に魔理沙もいた
霊夢の方は歯をカタカタ言わせてた

「・・・・胞助、炭は?」

「んなもん後だ、異変解決しにいくぞ。」

「いやよ、面倒くさいし寒いし。」

その答えに対して胞助は怒鳴るほどでもないが
よく響く大きな声で言った

「解決したらタテだかヨコだかわからん程デカいビフテキを食わせてやるぞ。」

「よし行く、40秒で支度するわ。」

即答だった
霊夢は御札や幣の準備に取り掛かった

「な、簡単だろ?」

「本当に簡単だな、終わったら私にも食わしてくれよ、ビフテキ。」

「ダメ。」

「即答かよ・・・。」

「当たり前だろ、そもそも霊夢に食わす気も無い。」













三人は神社の参道を下りながら話し合っていた

「情報がねぇ・・・どこの誰が何のために冬を長引かせてるのがわらないのよね。」

「よし、あいつを呼ぼう。」

「あいつって・・・ああブン屋の。」

「呼びましたか?」

「うおっ、びっくりした・・・。」

突然現れたのは射命丸文という鴉天狗の新聞記者だった
以前、夏の紅霧異変が終わったあとに取材をうけて知り合いになった

「・・・・一体どこから現れたんだ?」

「そりゃああなたたちは新聞のいいネタになる方々ですからね、常にカラスを付けていま
 すよ。」

「よし、あとはもう一人ぐらいメンバーがいれば・・・・。」

「お呼びでしょうか?」

「また突然現れやがって・・・・咲夜じゃん、何か用か?」

十六夜咲夜は紅魔館という吸血鬼が主人の館でメイド長をしている人間である

「この異変のせいで紅魔館の燃料も切れまして・・・・いい加減この寒さを終わらせに来 
 ました。」

「へぇー、あのバカリスマが震えてガタガタ言ってんの想像したら笑えるね。」

「怒りますよ?」

「あのー、私の情報はいいんですか?」

「そうだったぜ、早く聞かせてくれよ。」

文は今回の異変について話した
誰かが春を集めたせいで春がこないこと
その黒幕は冥界に関する存在だということ
冥界に行くには結界を抜けないといけないこと
あとどうでもいいが異変解決後に文々。新聞春の増刊号がでること
満足するまでしゃべって文は妖怪の山に帰っていった

「アイツは自由でいいわね。」

「まぁ情報も入ったしさっさと冥界に行こうぜ。」

「行こうぜというより、冥界なら逝った方が早くないでしょうか?」

「おいおい・・・・。」













四人は雪山を移動していた
今年は12月からずっと雪が降っていたので
山の中の積雪は例年をはるかに超えていた

「靴にアイゼン付けてくりゃよかったか?」

「あー、寒い寒い・・・・ビフテキにつられて出てくるんじゃなかったわ。」

「これだけ寒くて喜ぶのはあの馬鹿ぐらいだぜ。」

あの馬鹿というのは湖の近くに住む氷の妖精のチルノのことだ

「あいつなら湖の近くで冬眠中のカエルを無差別に凍らしてたぞ。」

「そんなことして面白いのでしょうか?」

「馬鹿だから面白いんだぜ、きっと。」

「あら、遭難者?」

ニ、三十メートル程先に白い妖怪がいた
その妖怪は周りに雪を巻き込んだつむじ風を纏いながら
こちら側に近づいてきた
それに対して胞助が答えた

「遭難者?登山者って言ってくれ。」

「あらそう、冬の雪山の登山者だからつまりは愚か者?」

「冬の妖怪ですね、アイツが黒幕ってことでしょうか?」

咲夜の疑問に対して妖怪は

「ええ、そうよ。」

と、答えた

(嘘よね)

(ああ、嘘だと思うぜ)

(だいたい文は冥界関係の存在って言ってたしな)

「ひそひそしゃべらない!」

妖怪が声を荒らげてつらら状の弾幕をいくつか放った
だが一行はそれらを軽く避けた

「命中性も低いし弾数も少ないわね、やっぱコイツじゃないわ黒幕。」

「じゃぁ蹴散らしとこうぜ、誰が行く?」

「俺が行く、・・・・お前等先に言ってていいぞ。」

「おう、任せたぜ。」

そのまま三人は飛んで行き、やがて吹雪の中にとけて見えなくなった

「あなた一人で大丈夫なの?」

「敵の心配すんなや、名前はなんてぇの?」

「レティホワイトロックよ一応雪女みたいな妖怪ね。」

「雪女か、雪女は気に入った男を氷漬けにして山にもっていくそうだな
 俺みたいな色男を氷漬けにしないでくれよ。」

「あなたみたいなファッションセンスのない男を連れて帰るわけないでしょ?
 何?その服・・・・今何が流行ってるか知らないけどダサ・・・・。」

レティが言いかけたときだった、周りの空気がひやっとした
いや、そもそも雪山だから寒いのだがその気候がなお一層寒くなった気がした

「おいテメェ・・・・今俺の服の事なんつった?」

「いや、だからダサいって・・・・。」

「ブっっっっっっっっっ殺ォォォォォォォォオオオオオオス!」

胞助はそのままレティの方へ突っ込んでいった
その表情は鬼のような・・・というか鬼そのものだった
それに対し、レティは余裕の表情だった

「真正面から突っ込んでくるなんて本当に愚か者ね
 ・・・一瞬で凍らせてあげるわ!」

レティが胞助に吹雪をぶつけようとした
しかし吹雪が当たるよりも先に胞助がレティの首根っこをつかんだ

「ゲっ・・・・ガホッ・・・。」

「さぁぁぁてぇぇぇ・・・・・礼儀知らずの悪い子にゃぁぁぁぁ
 オ・シ・オ・キがひつようだよなぁぁぁぁぁぁぁぁ?」

胞助はなぜかしらないが激昂しているようだった

「そんな子にはぁぁぁぁ・・・・・
 火ィ炙りの刑じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!」

「ひぃぃぃぃいいいいいいいいいい!!!!!!」

そのあとしばらくは静寂が続いた、ただ吹雪と
レティの歯がガチガチと音を出してる意外なんの音もしなかった。
そして、胞助がグリンと首を回してレティの顔の方を見た
そして無表情から一転、満面の笑みでこう言った

「俺みたいな優しい奴がそんな酷いことするわけないだろう?」

レティは何も答えられなかった
もう半べそかいていた

「す・る・わ・け・な・い・だ・ろ?なぁぁああああ!?」

胞助が浮き出る血管を抑えながら言った

「はっ、はぃいいいいい!!」

とりあえずは血を流さずにすんだ(涙は流したが)
一方先に飛んでいった方は

「そういえば胞助さんはなんでモテないのでしょう?
 顔がよくても性格が悪いからでしょうか?」

「いや、見た目もジャージだからなぁ。」

「あと髪の毛に水分が足りないし、全身真っ黒だし、そもそもジャージに革靴が・・・・
 モテない要素が数え切れないわ。」

散々言われてた










「で、レティから情報聞いて言われたとーりここへ来た。」

胞助は立っていた、
先程のように柔らかい雪の上ではない
硬い土に石畳のある場所だった
周りにはこじんまりとした空家がいくつかあるだけだ

「全然違うやん。」

ただそう突っ込むしかなかった

「クッソ~、アイツがまた嘘ついたのか?いや、一応あのあと火炙りにもしてきたんだ
 正直に言わないワケがない・・・・イヤ、もう溶けてたからなぁ・・・・。」

「どうしたのお兄さん?」

後ろから声がした、
振り向くと猫の耳としっぽをもった少女がいた

「なんだ、そういうお店なら俺は興味ないぞ。」

「お店ってなんのことよ。」

「あれ、違うのか?」

「ここはマヨヒガ!一度迷い込んだら出れないよ!」

「なんだよそれ永久指名制のお店ってこと?面倒なとこ入っちゃったなぁ・・・・。」

「いやいやだから・・・・私は妖怪で。」

「ハイハイいくらチップを払ったらあっち行ってくれるんですか
 ったく、パンパンかってーの・・・・・って、妖怪?」

胞助はしばらく考え込んで

「あ、なるほど理解した、猫又?」

「まぁそんなもんね。」

「猫なら話は別だ、これをあげよう。」

胞助が差し出したのは緑の粉末を少量盛った山だった
それの匂いを嗅いだ猫妖怪はふらっと倒れた

「一発で効いた・・・・すげえな少彦名の薬は。」

胞助は立ち上がって飄々と去ってしまった

「あとマヨヒガって言ってたな、なんか持って帰ればうちの神社も儲かるだろ。」

ついでに小さな手鏡を盗ってそれを懐にしまっておいた
それを影で見ている者もいたが
ひとまず在り来たりすぎる生存フラグを用意してこの場はおさまった










「まさかアイツに会うとはね。」

「そうだな、やっぱ日差しが強い時期以外しか外出ないんだな。」

「さっき会った魔法使いのお方はお二人の知り合いだったのですか?」

「ああ、知り合いだ、最悪のな。」

「常に家にこもってればいいのよアイツは、人形とお喋りしながら。」

どうも知り合いと会ったらしいがそのへんは
胞助が猫と遊んでる間に終わってしまったらしい
見れなくて非常に残念だ

「おや、何か聞こえてくるぜ。」

三人が耳を傾けるとかすかな音色が聞こえた
音から鍵楽器、管楽器、弦楽器のようだ

「ああ、なんだか気持ちよくなってくるような・・・・・。」

「そうなったらコレ妖術じゃない、セイレンか何か?
 山の中だけど。」

「あちらの三人ですね、ホラ、楽器持ってる。」

見た先には三人の少女がいた
黒い服を着た少女はヴァイオリンを
白い服を着た少女はトランペットを
赤い服を着た少女はキーボード(羽がついて宙に浮いている)を弾いていた

「あれです、さっさと倒しましょう。」

「おいおい、いきなり襲うのは非道いんじゃないか?」

「非道くないんですよ、外道と言うのです。」

「あんま変わらん。」

三人が近づくとあちらの三人は演奏をやめた
そしてこちらをむいて黒い服を着た少女が言った

「・・・・やりますか?」

「へぇ、そっちから挑んでくれるのか、ありがたいぜ。」

続いて白い服の少女が言った

「私とやるのは誰ですか?」

「なら私が行きましょう、色的に。」

そして最後、赤い服の少女が言った

「じゃぁあなたが私とするのね?」

「残り物に福があるとは思わないことを薦めるわ。」

それぞれ散らばったあとあちらの三人は違う場所へ散った
それを追ってこちらの三人も散っていった







「やっと抜け出せたな、これが冥界の境の結界か・・・。」

一方胞助はもう冥界の一歩手前まで来ていた

「でもどーやって結界破るんだろ、とりあえず・・・・。」

胞助はスペルカードを取り出した

「〈聖槍「ロンギヌスの槍」〉!ATフィールドと変わらなければ
 これもつきやぶれるだろ。(博麗大結界でもできたし)」

おそるおそる槍を刺すと
思いの外ズルッと槍は結界を切り裂いた
胞助はその切れ目を両手でこじ開けて中に入った
が、入ると共に切れ目はすっかり閉じてしまった

「まいったな、これじゃあいつら入ってこれねぇぞ
 ・・・・・これつけておけば大丈夫か。」

胞助は結界の一部に何やら細工を施した

「さてと、いわゆるあの世に行くのは3、4ヶ月ぶりだな
 月詠とお袋に御歳暮持ってったとき以来だ、ちょっと観光しとくか。」








「軽く終わりましたね。」

そういったのは咲夜だった
既にトランペットの少女を倒したようだ

「自分たちから挑んできた割には弱すぎますね
 いきなり挑んでおいて開始5秒でやられるなんて・・・・・
 あ、あなたには認識できないから開始0秒ですね、
 失礼しました。」

少女からは何の返事もなかった

「・・・・とりあえずおニ方の援護にでも回りましょうか。」









「いーんだよどーせ、私はいつになっても普通の魔法使いなんだ
 ぬるいぬるい世の中でぬるくぬるく生きてきた私なんかがいくら頑張ったって
 パチュリーやアリスみたいに完璧な魔法使いにはなれないんだ
 だいたい八卦炉がないとまともにスペルも撃てないようでなにが魔法使いだ
 啖呵切って勢いで家飛び出して今更オヤジもおフクロも迎えてくれるわけないし
 借りたまま返さないからみんなに恨まれるし・・・・・・ブツブツ・・・・・・。」

「・・・・物凄く効果が出てるわね。」

魔理沙はなにやらブツブツ言っている
これがヴァイオリンの少女、ルナサプリズムリバーの能力である
彼女の奏でる音色は聴いたものを鬱の状態にできる

「なんかあっけない気もするけど・・・・これで終わりね。」

ルナサがまたヴァイオリンの弓を弦にあてた
だが、ヴァイオリンからは一切の音がでなかった

「・・・・・?」

彼女は肩に乗せて気づいていなかったが
すべての弦が切られていた
それに気づく間もなく彼女の体に無数の切れ込みが入り
雪の上に崩れていった

「・・・・またもやあっけないですね。」

そこに居たのは咲夜だった

「魔理沙さん、もうやめてもいいですよ。」

「・・・・・・・・。」

魔理沙はうつむいたまま口を聞かない

「・・・・・?何やってるんですか、もう終わったんですよ。
その演技はいいですから霊夢さんの所へ行きましょう。」

「・・・・・ブツブツ・・・・・・・・・。」

咲夜はハッとした、ワナワナと震える指で
魔理沙を指しながら言った

「も、もしかしてガチで術にかかっているのですか?」

「うん、そうだぜ。」

「ならよかった、次いきましょう。」

「おいおい突っ込めよ、『なんだ演技だったんですか』
 とかさぁー、お前のそーゆーとこ私は嫌いだよ。」

「私みたいないかにも冷静に突っ込むキャラが
 ボケるのがいいんですよ。」








桜のある庭で青年と少女は遊んでいた

「ぎっちょう?なにそれ。」

「お兄さん知らないの?この棒で球を打ってね・・・・。」

「お嬢様、その方は誰ですかな?」

見るといつの間にか二本差を腰に差し
白髪と長い髭をたくわえた男がきた
「あ、妖忌。この人ねお父様に用があったみたいなの
 でも居ないから遊んでもらってたの。」

「左様ですか、いやはやお嬢様を連れ去ろうとする
 輩かと思いましたが、失礼をばいたしました。」

「いや、そんなことで頭下げないでくださいよ・・・・
 それに俺ももう帰りますんで。」

「えー、もう行っちゃうの?遊び足りないよ?」

「俺は他にもやることがいっぱいあるんでな
 それにおまえには父親がいるじゃねーか、
 お父さんが帰ってきたらいっぱい遊んでもらえよ。
 自分のことを愛してくれる父親にな・・・・。」







「ハァ!?オーメン?ふざけんなよチクショー!」

『そんなこと言われても出たものは出たものですよ
 だいたいあなた出目三だから負ける確率の方が高いじゃないですか』

「・・・・分かったよ、持ってけよ3万。」

『ありがとうございます。』

霊夢たちが三姉妹(残り一人なのだが)
と戦っている頃、胞助は冥界の幽霊達と
チンチロリンをしていた(すでに11万8千円の負け)

『次は私とやりませんか?』

「いや、もうやめとく・・・そろそろ行かないといけないし。」

胞助はその場にいた幽霊たちにさよならを言ってから
階段を上っていった
階段を登れば絶対黒幕にたどり着ける保証があるわけではないが
ラスボスは城や山や塔の上にいるものなので
とにかく高いところに登っていった

「にしても・・・・なーんで今になって思い出すのかな
 ずいぶん前になるんだが・・・・・・・・
 こりゃあの娘に再会するフラグだ、ウン。」

なんてことを言いながら階段を上るもんで
思わず踏み外しそうにもなった

「でもそれはないよな~
 西行法師の娘が妖怪だなんて話聞いたことないし、 
 そんな長生きするはずないよな・・・・あの爺さんはわからんが。」

どんどんフラグが立つようなセリフを言っていると
視界の上の方に誰かがいるのに気づいた

「・・・・・・・・・・・。」

黙っていた、その人物は黙って胞助を見下ろしていた
冷ややかとした目付きや、そもそも男でなく女なのだが
そのような違いがあっても雰囲気は似ていた

「・・・・再会フラグ成立って訳じゃぁないが
 血縁関係の奴にはあたったか?」

その少女の名は魂魄妖夢
かつて西行法師の屋敷に使えていた
魂魄妖忌の孫娘である








「ウフフフフフフフフフフフ・・・・・。」

魔理沙と咲夜の戦闘はほぼ一瞬で片付いたが
霊夢とキーボードの少女の戦闘はまだ始まっていすらいなかった
「笑うな、気色悪いわよ小娘が。」

「あなたの方が小娘じゃない・・・・・・
 こんな楽しい気分のときに笑わずにいられるの?」

「こっちは遊びでやってるんじゃぁーないのよ
 し・ご・と、英語でbusinessよ。」

「仕事は英語だとworkよ。」

「気にしない気にしない。」

そう言いながら霊夢は不意打ちで弾幕を放った

「ぬるいぬるい。」

少女はそれをわざと受ける
その様子からは楽しさではなく余裕が伝わってきた

「あなたの弾幕・・・・座布団みたいな形してるわね
 ホーミング性はあっても威力が低いんじゃ意味ないじゃない。」

「それでもちょっとずつ削っていけば問題ないでしょ?」

二人の紅はまだ戦闘を続ける







「ここは冥界ですよ、あなたみたいな生きてる方が来ていい所ではないのです。」

魂魄妖夢は胞助にそう言った
つまりは『さっさと出て行け』と言うことなのだが

「嫌だね、別にいくら冥界に留まっていたって死ぬわけじゃないんだ
 それとも・・・・この先にこられちゃ困るのかい?」

「もはや忠告も警告も意味がないようですね・・・・
 わかりました、あなたを排除させてもらいます。」

妖夢は刀を抜いて構えた
胞助もそれにあわせてスペルを発動した
胞助の手には2メートル近い長物が握られていた
鞘も鍔もない抜き身の刀だ

「〈鉋符「抱腹絶刀」〉!・・・・いいだろう
 刀と刀で死合おうじゃないか!」

冥界に金属と金属のぶつかり合う音が響いた









「〈霊符「夢想封印」〉!」

「〈冥鍵「フィツィオーリ冥奏」〉!」

二人のスペルがぶつかり合い、衝撃を起こした
押されたのは霊夢の方だった

「あーもう、きりがないわ・・・・・・。」

「ふふ、降参する?」

「するもんか、もう少しで勝利の鍵が手に入るってのに。」

「あらそう、だったらその鍵はあげないわ
 私の鍵盤の音色をたっぷりあげるけ・・・・ど?」

そのとき少し遠くの方から飛んでくる何かがあった
それはトカゲのようにも見えたが後ろ足がタイヤになっていた

「・・・・・何・・・・アレ?」

「あれが勝利の鍵だってのよ・・・よし、きたきた。」

そのトカゲは手に何かもっててそれを霊夢に渡した

「そ、それをどうするのよ?」

霊夢は不敵な笑みを浮かべ

「フフフ・・・・こうするのよッ!」

その手の物を投げつけた
が、しかし、リリカは首を傾けるだけで避けた

「・・・・・・それだけだったの?でもあれがあたればあなたは
 確実に勝利できた、ってことでしょ。」

霊夢は何も答えない

「だとするとあの小さな塊の中身は・・・・
 爆弾?それとも濃硫酸?」

リリカが考えてると聞き覚えのある音が聞こえた

「・・・・これって。」

霊夢が悪役みたいな笑い声を出しながら

「フフフフフ・・・・あなたはさっきのにあたってたのよ
 クククククククククククククククククククク・・・・・・・・・・・。」

耳に直接響いてくるそれは姉、ルナサの『聞いた者が鬱になる音』だった
その効力でリリカは座り込んでブツブツ言い始めた

「ケケケケケケケ・・・それは、魔理沙の戦闘中にエコーズACT2に拾わせた音よ
 ちなみにエコーズは胞助が寝てる時にちょろまかしといたのよヒヒヒヒ・・・・。」

エコーズはリリカの所まで行き、耳についてる音をはがして
形を整えてからしっぽに戻した
その後霊夢は魔理沙、咲夜と合流した
そして一行は冥界へ向かう(胞助のことはすっかり忘れているようだった)











「くっ!・・・やりますね。」

胞助と妖夢は斬り合いを続けていた

「けどこれで終わりですよ!」

妖夢の刀から鎌鼬のような刃が出てきた
それは胞助の心臓部に直撃し、倒れていった

「あなたがマヨヒガで懐に鏡を入れていたのを見ました
 しかし関係ありません、その鏡ごとこの刃は切り伏せます
 この刀に切れぬものなどあんまりありません・・・・。」

妖夢が背を向けたときに声がした

「刀っていうのは・・・・・斬るか斬られるか間合いをとるのが面白いんだ
 刀からビームや衝撃波なんぞ出しちゃならんだろうが。」

振り向いた妖夢が見たのは右腕が肘から切り落とされているが
普通に立っている胞助だった

「ッ・・・・!なぜ!?心臓を貫いたはずでしょう?」

「ところがどっこいそうじゃないんだな。」

胞助は懐から鏡を取り出した、しかし手鏡でなく姿見を割ったかけらのようなものだった

「〈醜い姿見〉でお前の攻撃を反射した・・・んだけど、思わず防御しようと
 胸の前に腕をまわしちまってご覧の有様さ。」
 
「・・・ならもう一度叩き込むだッ・・・・ゲッ?」

妖夢は息が苦しいのに気づいた
自分の首を見ると、切り落とされた右腕がギリギリと自分の首を締めていた

「ごれ゛っ・・・・はっ・・・・?」

「俺の能力は俺自身の細胞を操る能力だ、切り落とされたって
 そいつは俺の細胞で出来ているんだぜ?」

薄れゆく意識の中、妖夢はかすかにその声を聞いた

「生存フラグっつーのはよー、こう言う逆転劇のためにあるんだぜ。」













「・・・・・なんだこれ?」

「・・・・ジッパー・・ですかね?」

冥界を隔てる結界になぜかジッパーがついていた
霊夢はそれを普通に開け、普通に入っていった

「こーゆーときアイツは勇気あるなっておもえるな。」

のこりの二人も入っていった








「いてて・・・・くっつけたけど腕が動くのに2週間はかかるな。」

胞助はすでに階段の最も上にある屋敷白玉楼についていた

「しかし・・・・ずいぶん美人に成長したんじゃないのか?お嬢ちゃん。」

桜の木下に、三人の女性が立っていた
ひとりはうしろから狐のしっぽが生えていて
ひとりは紫の服を着て傘をさし
そしてひとりは・・・・幽霊だった

「なるほど幽霊なら何年たとうが関係ないか。」

「あなた、誰ですか?」

狐のしっぽを生やした妖怪が言った

「水蛭子胞助、いい加減に冬を終わらせに来た。」

「水蛭子・・・ねぇ・・・・。」

幽霊が物思いにふけていると

「あぁ、無理に思い出そうとしなくたっていいぜ
 半人半霊から聞いてきた、生前の記憶がないんだろ?」

「あなたが水蛭子ね。」

傘を持った妖怪が突然聞いてきた

「私はあなたのことを知っているわ、あなたの母親とも友達よ。」

それに対して胞助は黙った

「ねぇ?私はあなたのことを一方的に知ってるわ。そしてあなたは幽々子のことを
 一方的に知ってるわ、知っている者同士なら、このことは話し合いで決めようじゃなくて?」

依然胞助は黙ったままだった









「長いわねこの階段。」

「うっとおしいぜ。」

三人は階段を登っていた
周りの幽霊からの聞き込みで胞助が白玉楼へ行ったことは
すでに知っている

「すっかり忘れてたわ胞助のこと・・・やられてなけりゃいいんだけど。」

「だーれがやられるかボケ。」

「おわっ、びっくりしたぜ、胞助じゃん。」

「お前等、もう帰るぞ。」

「え?異変は?」

「あいつらと話し合いをしてきた、もう春を集めるのをやめるそうだ。」

「なんだそんなあっさりすんだのか、調子狂うぜ。」

「いいんだよそれで、第一オヤジやおフクロのこと言われるとな。」

その言葉に霊夢たちは質問したが胞助ははぐらかすばかりだった









ここでちょっと昔話だ
最初に男の神様と女の神様がいた
その二人は結婚し子供を産んだが
生まれた子供は蛭のような子供と泡のような子供だったので
船に流して捨ててしまった
どうも結婚のやり方正しくなかったらしく結婚し直したら
ちゃんとした姿の子供が生まれたとさ
めでたしめでたし









「うぉるぁーーーーーーーー!胞助いるかーーーーーーー!?」

「ど、どうしたんだアリス?」

「アイツのせいで私の登場がカットされたんだ!これが冷静でいられるか!」

「落ち着けって、とりあえず。」






「今なんか命を狙われてる気がしたような・・・・。」

胞助は紫の家にいた目の前には机を挟んで
紫と幽々子がいる
まず紫がきりだした

「話ってなんなのよ?」

「ああそれか、まず手土産にコレ。」

と、渡したのは鮭とばだった

「つまみならもっと高いの持ってきなさいよね、からすみとか。」

「んなもん無い、で、話なんだがこれを・・・・。」

そう言って出したのは一枚のディスクだった

「ナニコレ?PCゲームのソフトみたいだけど。」

「これはおれがいた外の世界にはなかった代物だ、D4Cを使って全く別の次元から
 取り寄せたんだ。」

「で、なんなのコレ?」

「このゲームは、スペルカード戦を忠実に再現した弾幕シューティングゲームなんだよ!」

「「な、なんだってー!」」

「しかも登場キャラはみんな幻想郷の住人なんだよ!」

「「な、なんだってー!」」

「そして俺は、創作キャラだったんだよ!」

「「・・・・・プッ。」」

「笑うな。」

「いやごめん、で、面白いの?そのゲーム一回やってみない?」

「残念、もう時間切れだ、あと3秒で消滅する。」

そう言った途端にディスクは消えてしまった

「もったいないわね。」

「べつに俺はいいや、シューティングなんてゼビウスとかスターラスターぐらいしか
 やったことないからな。」

春雪異変はこれにて終了
途中でやめるよかましだ
鬼塚京一郎
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コメント



0.210簡易評価
2.30名前が無い程度の能力削除
おひさ
まぁ最後まで頑張れ
4.10名前が無い程度の能力削除
またアンタか
6.無評価名前が無い程度の能力削除
止めるのも勇気です。無謀と勇気は違います。
私はあなたの作品はそれほど嫌いではありません。勢いがあって大変素晴らしい。ただ支離滅裂なだけなんです。
だからこそ勿体ないなぁと思うんですよね。
7.無評価名前が無い程度の能力削除
その意気や値千金
このままのクオリティなら金貰ったって点数は入れないけど応援するぜ!

一つアドバイス?的な。
作者様は「このお話の面白いところ」を挙げられますか?
いや嫌みではなく。私にはこのお話のウリというか、作者様が読ませたい!と思っている所がどこにあるのか分かりませんでした。
キャラクター? ストーリー? 文章表現で醸し出す雰囲気等?etc
作者様がもっとも書きたい部分という「話の重心」が定まっていないが故に、このお話は支離滅裂でツギハギな印象になっているのではないでしょうか?
8.50名前が無い程度の能力削除
話の内容は、ともかくとして。
全部入れるために駆け足になるのは解りますが、肝心の紫との交渉内容が描写されてないのが残念です。
この話で一番重要なとこだと思いますので。
ただ三姉妹でリリカを一番重点的に描写するのは珍しいなあ。
10.無評価名前が無い程度の能力削除
わざとでしょう?
11.無評価名前が無い程度の能力削除
陽動なのでしょうこれは、なにかしらに意図があってこういう作品を投稿するのでしょう?大方、別名で作品を投稿していてその作品が評価されていないのでしょう。だから、それよりひどい作品を作っているのでしょう?
間違っていたら、この作品の評価は2点ということでお願いします。
14.無評価名前が無い程度の能力削除
爆笑「生存フラグっつーのはよー、こう言う逆転劇のためにあるんだぜ。」
15.80名前が正体不明である程度の能力削除
いやいや、完成させようとするその心意気、素晴らしいと思う。
17.無評価名前が無い程度の能力削除
そりゃあお前さん、こんな胞助を格好良くみせるためだけのお話を読んで、面白いわけないじゃあありませんか。
いやその胞助が格好良いかって言うと全然で、端的に言うと邪鬼眼を発症してしまった方その物。
読者としちゃ全身がゾワゾワするような気恥ずかしさはあっても、「キャーホウスケサーン」なんて言葉は出てこないですよ。

ここまでのオリキャラ主人公だと、作者がそんなつもりじゃなくても
「ああ作者が自分の理想像を投影しちゃってるんだな」
と理解するわけで。
なぜ分かるかって……それは誰しも同じようなことを一度はやってるから!
そして誰もが先達からの手痛い指摘に遭い、分かったようなこと言いやがって!とか理解されない苦しみを味わってみたりするのです。

でもでも、みんなやってるならいいじゃんて話でもないんですねぇ。
今京一郎さんが陥っている状態は長期化すると、後の人生に多大なる悪影響を与えてしまうんですねぇ。
所謂黒歴史ってやつですねぇ。
京一郎さんくらいネットのネタに精通した方なら知っているでしょう。

ネット語り草になっている黒歴史なんてのは笑い話になっていますが、そんなもん笑い話にでもしなきゃやってられんくらい本人にとっちゃ狂おしい記憶なんですよ。
そこんとこ勘違いしちゃいけない。

それを、それをですよ。京一郎さんは今、今この時量産し続けてしまっている!
いやあああああああ!!
いいいいいやああああああああ!!
やめてぇぇぇぇ!

傷は深いほど治りは遅い!傷痕は大きいほど広がりやすい!
まして大人になってもそれに気づかず傷を作り続けている人になったら……おおおおおお怖ろしい!

信じられないかもしれん!
しかし地上絵と同じで遠巻きじゃないと分からんこともある!
だからここは俺を信じて!さぁ先に行け!なぁにすぐに追いつくさ。俺が押さえているうちに早く!
へっ、なぁに。この程度で死ぬ俺じゃないさ。
さあ!いけえええええ!

あと人物の台詞は最後に「。」は付けないですよ。
「・・・」も「……」にした方がいいです。
話の内容以前に、常識として文法を身につけるべきです。
一般常識さえ備わっていないと読者に知られれば、それだけで評価は落ち込みます。
評価目当てでないにしても、そんなこともできていない人が面白い作品を書ける道理はないです。
22.10名前が無い程度の能力削除
途中で止めずに続けようとする意志だけは凄い。
でも過去作での指摘も完全に無視して、文章力、構成力の向上もなし。
巧くなっていっているのなら意味もあるのに、これじゃあ作者はただただ時間無駄にしてるだけじゃない?
誰のために書いてるの?
自分のためだけに書いてるなら、どこかに投稿する意味すらなくないか?
23.10名前が無い程度の能力削除
これは酷い
24.100名前が無い程度の能力削除
途中でやめないその勢いに100点です。本当なら500点くらいあげたいです。
細々ながら応援させていただきます。