Coolier - 新生・東方創想話

使い魔と真理(完結)

2012/02/12 18:55:31
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※この物語は『使い魔と真理』という作品の続き物ですので、前回の話を見てからにしてください。
・その3
 なんてことだ、最悪のタイミングで妹様が現れた。
「遊ぼうよ、小悪魔~」
と無邪気に笑う。

「すいません、今は遊んでいる暇はないのです。
 また後でいくらでも遊びますから、今は無理です」
「今じゃないとイヤ! 今じゃないといけないの!」
こうなった妹様は言うことを聞かない。  

「パチュリー様、私の能力なら大丈夫です」
そう私の能力なら妹様に対して・・・
「いいわよ、一緒に遊びましょう」
「パチェが遊んでくれるの? いいわ、遊びましょう」
「え、でも・・・・」
「大丈夫よ、まかせなさい。あなたはかまわずに行きなさい」
「いえ、私も一緒に・・・」
「大丈夫よ、考えがあるから」
「わ、わかりました。くれぐれも無茶をしないでください」
ここからはパチュリー様の表情が読めないが、今は信じて任せることにした。

小悪魔が去ったあと、パチュリーは独り言を言う。
「小悪魔は勘違いしているようだけど、何も遊ぶっていうのは弾幕勝負じゃなくてもいいのよ」
「へえ、弾幕じゃないの? じゃあ、何して遊ぶのかしら?」
「フフ・・・、それはお楽しみ。」


私は廊下を走る。どうか間に合いますように・・・
「どうしたの、そんなに急いで?」
振り返るとそこにいたのは十六夜咲夜さんだった。
「美鈴さん知りません?」
「なんか用?」
いた、美鈴さん。でもここにいるということは・・・
「門番は誰がやっているのですか?」
「誰ってほら、例の使い魔だよ。今は休憩時間だから代わってもらってるの」

手遅れだった。
「それがどうしたの?」
説明している暇はない、門の方へ向かわなければ!
「すいません、後で説明するんで!」
言葉を口から吐くと同時に門の方へ駆け出す。


門にたどり着いた、肩で息を切りながら辺りを見渡す。
どこだ、使い魔はどこにいる・・・
「いない、どこにも・・・」
西の空を見上げる、太陽は完全に沈んでしまった。ダメだ、間に合わなかった・・・
使い魔は暴走してどこかへ行ってしまったのだろう。
 
 その時、後ろで爆発音がした。振り返りながらこんなことを思う。
爆発音に振り返ることで、私はこれから厄事に巻き込まれていくのだろう、と。
火の手が上がったのはどうやら大図書館らしい、急いで向かわなければ。



 図書館の扉を開ける、そこにいたのは妹様。
泣いている、そしてその隣には私がよく知っている人物がいた。
「パチェがケガしてるの・・・」
隣には我が主、パチュリー・ノーレッジが血まみれで倒れていたのだった・・・
「パ、パチュリー様! これは一体・・・?」
急いで駆け寄る、するとこちらに視線を向けてこう言った。
「真理」
ただ一言そうつぶやく、そして意識を失ってしまった。
「真理? いったい何のことですか?」
しかし、パチュリーは答えない。いや、答えることができなかったのである。


・その4
・レミリアの部屋にて
パチュリー様に簡単な手当てをして部屋に運んで寝かせた。出血のわりにケガはたいしたことではないのだが、意識はまだ戻らない。
医者に見せなければいけないと思う。

「私、医者を呼びに行ってきます」
「それは無理よ」
そう答えたのはパチュリー様の御友人であり、この館の主レミリア・スカーレット様だ。
「無理とは?」
「使い魔が暴走した今、この館からやつを逃がすのはとても危険よ。
 だからこの館を覆う結界を張ったわ。これで誰も外へ逃げられないし、誰も中に入る ことができない」
「そ、それじゃあ・・・」
「そうね、パチェには悪いけど今は医者に診てもらうことはできない。
 パチェはケガで目覚めないだけであって、呪いの類ではないわ。
 だからもしもの場合は吸血鬼の血を飲んでもらい、吸血鬼の力で目覚めてもらうわ。
 もちろんそんな事態になることだけは避けたいけどね・・・」
「納得できません!それならば結界を一時的に解除してパチュリー様を運び出してからまた再封印をすれば」
「それは無理よ、なぜならこの結界を張ったのはパチュリー本人。
 恐らく最後の力を使って結界を張ったのね。そしてその結界はパチェでないと解けな いわ」

「ねえ小悪魔、考えてみて。パチェが目覚めるまで結界は解くことができない。
 それにもし、使い魔が外に逃げれば紅魔館だけでなく幻想郷だけの問題となるわ」
「それほどの驚異だというのですか・・・?」
「ええ、驚異となりうるわ」


「そのことについては私が説明しましょう」
スッっと前に出る咲夜さん。
「使い魔がもし外に出た場合、この狭くて広い幻想郷で見つけるのは困難。
 それにパチュリー様が召喚するだけあって、使い魔はとても強力です。
 だからこの紅魔館の中で叩きます」
「そもそも使い魔って何の妖怪何ですか? 相手の正体がわからないとこっちとしても 対策を取れないのでは」
「私は見てないので何とも、お嬢様は何か聞いていませんか?」
「私も直接は見てないからねぇ・・・
 ただパチェからは少しだけ話を聞いたわ。使い魔は命令を忠実にこなしていくうち  に、徐々に学習してどんどん頭も良くなり力をつけていくらしいの」
「それじゃあ、早いうちに叩かないと取り返しのつかないことになりますね」
「ええ、そしてその使い魔には致命的な弱点があるみたい。でもそれが何なのかはわか らないわ。
 パチェに会ったときその話を聞いたのだけど、なんだか体調が優れないようだったか ら、後でいいかなって思って聞かなかったわ。こんなことになるなら無理にでも聞い ておくんだったわ・・・」
「お嬢様・・・」
体調が優れないのは恐らく徹夜をしたからだろう。

その時、ドアをノックする音が聞こえた。一瞬身構えたが、その心配は杞憂に終わった。
ドアを開け入ってきたのは妹様と美鈴さんだった。
「パチェは大丈夫なの?」
フランが心配そうな声で尋ねる。
「厳しいわ、まだ目を覚まさない」
「そ、そんな・・・」
「後でお見舞いにいきましょう」
美鈴は優しくフランの肩に手をそえた。 

「そういえば、あなたパチェが倒れているときそばにいたわね。何か知らないかし   ら?」
「わたし、パチェと本を読んでいたの。そうしたらいきなり変なやつが現れて、パチェ が下がってなさいと言って、そいつと戦ったの」
「どんなやつだったの?」
「全身が闇につつまれてて姿はよくわからなかったわ。何を考えてるのかわからなくて なんだか怖かったわ・・・」
「あれ、そんな姿だったかな? 私の知ってる使い魔と特徴が違うような・・・」
「恐らく暴走して姿かたちが変わったのでしょう。」
使い魔にはよくあることだ。

「あと、右腕の部分に文字が書いてあったわ」
「文字? なんて書いてあったのですか」
「『e』って書いてあったわ」
「『e』ですか? アルファベットの」
「うん。それでね、パチェが魔法でその『e』と戦って倒したんだけどね、いきなり上 からまた別のやつが現れたの」
「そいつはどんな姿でしたか?」
「そいつも全く同じように闇につつまれてわからなかったのだけどね、今度は左足のと ころに『E』と書いてあったわ。
 そして不意をつかれたパチェはそいつに倒されてしまったの」
魔法使いというものはえてして肉弾戦に弱い、近接されて呪文を唱える前にやられてしまったのだろう。

「『e、e』、これだけではわかりませんね・・・
 この2文字を使った単語は多すぎて特定できません」
その通りだと思う、この2文字を使った単語はかなりある。
「なぜ文字が書いてあったのかしら? 」
「使い魔の間で個々を識別するためですかね?」
恐らくそんなところだろうか。

「あ、思い出した!」
美鈴さんは何かを思い出したようだ。
「美鈴、なんか思い出したの?」
「私が昼間に見た時は、使い魔の両手両足そして頭にそれぞれ1文字ずつ文字が書いて ありました」
ということは全部で5文字の単語か・・・
「それでそれぞれなんて書いてあったのかしら?」
「すいません、全部は覚えていませんが、たしか左腕に『t』って文字があったと思い ます。
 何で文字が書いてあるんだろうって不思議に思ったのですが、ほとんど意識してませ んでした・・・」
「まったく、しょうがないわね」
「私だったら5文字全部を暗記してたわね」
「咲夜さんは記憶力が良すぎるんですよ!」
美鈴はそう反応する。
私だったらそう・・・、3文字ぐらいはいけたか?

「こっちも思い出しました!」
「小悪魔、あなたはいったい何を思い出したの?」
「パチュリー様が倒れる際に『しんり』と一言だけ言い残したんです」
「『しんり』? 一体どの漢字かしら?」
「真理、心理、審理など様々な言葉がありますね」
「たしかにどれか特定するのは無理だわ、現時点で」

「今まででわかっていることをおさらいしましょう」
「現在分かっていること、まず使い魔の体に刻まれている文字は『t、e、e』3文字。
 そしてパチュリー様が残した『しんり』という言葉」
「ですね」
「わからないことだらけだわ」
「現場の大図書館に戻ってみるというのはどうでしょう?
 そこに何かしらの手がかりがあるかもしれません」
確かに、そこに行けば何か手がかりをつかめるかもしれない・・・
「私、ちょっと行ってきます!」
「一人じゃ危ないわね、使い魔がいつ襲ってくるか分からないわ。
「咲夜」
「かしこましました、それではご一緒に」
「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします」


「私はパチュリー様の様子を見にいきたいのですが・・・」
「美鈴、わたしも行く! パチェが心配なの」
「ええ、それでは一緒に行きましょう」
「私は遠慮しておくわ。ちょっと1人で考え事をしたい気分なの」
「しかし、一人になったところを・・・」
「咲夜、私を誰だと思っているの。
 この紅魔館の主、レミリア・スカーレットよ!」
「わかりました」
咲夜さんはこれいじょう反論しなかった。
おそらくお嬢様は折れない、そう判断して身を引いたのだろう。
「小悪魔、行きましょう」
私と咲夜さんは図書館へ、美鈴さんと妹様はパチュリー様の部屋へと向かったのだった。
レミリアお嬢様は1人で大丈夫だろうか・・・

その5
・廊下にて
「小悪魔、周りに用心をするのよ。敵はいつ襲ってくるかわからないわ」
「用心します」
「あ、こんなところに汚れが・・・
 掃除をしたいところだけど、今は我慢するしかないわね」
妖精メイドは事件が起こってすぐに安全のため、館の外へ避難させた。
だからこの館には妖精はいない。咲夜さんは大変もどかしそうである。
「それはそうと、あなた目の周りのクマがひどいわよ」
「え、ホントですか」
「ええ、小悪魔ならぬコアクマね」
今のは聞かなかったことにしよう。
ちなみに昨日は図書館を出たあと、自分の部屋で、徹夜で読書をしていた。
パチュリー様の研究についていくために独学で外国語の勉強をしていたのだ。
「ちょっとどんな状態か気になるので確認したいです」
「いいわ、ちょうど角にお手洗いがあるから確認してきなさい」
「では、ちょっと行ってきます」


鏡で自分の顔を見る。
うわぁ、たしかにひどいクマになってる。この事件が終わったらすぐに休もう。
吸血鬼は鏡に映らないからこういうとき不便だなぁ、そんなことを思いながら鏡を見ていると鏡に何かが横切った。
「咲夜さんですか?」
どうやら待ちくたびれて様子を見にきたらしい。
「え・・・?」
違和感を覚える。違う、この感じは昨夜さんではない、別の何かだ。
後ろを振り向いた。私の目が捕らえたのは全身が闇につつまれた何かだ。
恐らくこいつが使い魔のだろう、左足の部分には『h』という文字が刻まれていた。
彼女の記憶はここまでである、なぜなら恐怖のあまりそのまま意識を失ってしまったから・・・

・その6
十六夜咲夜はお手洗いに行った小悪魔が中々帰ってこないので心配になり様子を見に行った。
そしてそこで倒れている彼女を発見し、近くにあった適当な部屋で彼女を休ませた。
「見たところケガはないようね」
咲夜は先刻のことを思い出す。
なかなか帰ってこないので様子を見にいった。そして中で見たのは鏡の前で倒れている小悪魔だった。
そしてその時点で十六夜咲夜は時を止めた、そう彼女の『時間を操る程度の能力』で。
止まった時間の中では彼女だけが動くことができた。
周りを確認する、どうやら敵はもうここにいないようだ。
とりあえず、小悪魔を休ませなければ。ならばいったいどこがいい、どこか安全な場所は・・・
洗面所を出て辺りを見渡す。すると近くに使われていない客室があったのでそこに休ませることにした。
この間わずか0秒、もっとも時を止めたので当然の理屈ではあるが。
そして彼女は時間を止めることをやめた。

 しばらくしてから小悪魔は目を覚ました。
「ここはどこです? なぜ私は寝ているんですか」
「お手洗いで倒れていたところを私が今は使われていない客室まで運んだのよ」
「それはどうも」
「なぜ倒れていたのかしら。使い魔に襲われたの?」
「はい、たぶん使い魔だったと思います。左足の部分に『h』の文字が書いてありました」
なるほど『h』か、それならばパチュリー様を襲ったのと同じ文字を持った使い魔だろう。
依然としてわかっている文字は3文字のままか・・・
「咲夜さん、私はもう大丈夫です。大図書館へと向かいましょう」
「あなた、さっきまで気を失っていたのよ」
「いえ、ショックで倒れただけで、特にケガをしているわけではありません。
 私のことより、今もまだ目を覚まさないパチュリー様のためにも一刻も早く行動を起 こすべきです!」
確かに小悪魔の意見は正しそうだ。だが果たして小悪魔の言うとおりにすぐ出発しても大丈夫だろうか・・・
しかし小悪魔は止めても勝手に出ていくだろう。まったくここの住人ときたら・・・
「わかったわ、そこまで言うなら行きましょう」
「はい、ありがとうございます」
こうして2人は客室を後に大図書館へと向かったのだった。


・その7
 客室から図書館までの道のり、これといって特筆するべきことはなかった。
そっと扉を開けて辺りを見渡す。どうやら誰もいないようだ・・・
ただ例の惨劇の後だけは残っていて、パチュリー様の倒れていたところに目をやるとうっすら血の跡があった。
「ここが現場ね。特にこれといった手がかりはないわね」
「そうみたいですね」
しかしわざわざ危険を冒してまでここまで来たのだ、何でもいいから手がかりを持って帰りたいところではある。
 
 パチュリー様が本を読んでいるテーブルに目をやる。
するとそこには2冊の本とメモ用紙が置いてあった。いつもなら本をテーブルの上に出しっぱなしにすることなんてない。恐らく、妹様が尋ねてきたときに一緒にその本を読んだのだろう。
手にとって眺めてみる、この本は昨日パチュリー様が見ていたロシア語とヘブライ語で書かれた使い魔についての本だろう。
メモの方には『真理』と書いてあった。この字だったのか・・・
「この本とメモは?」
昨日のやりとりを説明する。
「ということは・・・ もしかしたら、もしかしたらよ・・・
 これらの単語はロシア語かもしれないわ」
「ロシア語・・・? あっ!」
そうか今までこの単語は英語だと思っていたがもしかしたらロシア語かもしれない・・・
なぜならロシア語にも『E、t、h、e』の4文字はあるからだ。(発音は若干違うが)
ならば、パチュリー様が読んでいたロシア語の本がヒントだったのか。
なぜ気が付かなかったのか、自分の愚かさを恨む。
「手がかりはつかみました、急いで報告に戻りましょう!」
「そうね、グズグズしていられないわ」
私達は大図書館を後にし、レミリアお嬢様がいる部屋へと戻った。


・その8
・再びレミリアの部屋
「なるほど、パチェはまだ目を覚まさないのね・・・」
「ええ、そして一応部屋には結界が張ってあり、使い魔は入れないようになっているので安心してください」
どうやら美鈴さんと妹様は無事にお見舞いに行けたようだ。

「そう、私は色々と大変だったわ。1人でいるときに使い魔が現れてね。
 そいつの右足には『m』と書いてあったわ」
「お怪我はありませんでした?」
「全く、それどころか倒したわよ」
レミリアはそう言って不敵に笑った。
「部屋をノックする音がしてね。誰かと尋ねてもいっこうに返事が返ってこない。
 業を煮やした私は誰でもいいから入ってきなさいと言ったら、誰が入ってきたと思  う?
 私は見た瞬間、ああこれが使い魔だってわかったわ」
たしかに、私も使い魔を見たとき、ああこれが使い魔だなって思った。

「図書館での収穫はあったかしら?」
途中で私が襲われたこと、そして図書館での出来事を簡潔に話した。
「これで全部の文字がわかりましたね」
「E、e、t、h、mの5文字」
そういってフランは指を折りながら数を数えていく。
この文字を使った単語・・・
何かあるだろうか、頭を巡らせる。
「『theme』なんてどうです、主題やテーマといった意味があります」
美鈴さんが提案する、だがそれは英語である。
「『theme』は英語よ、テーブルの上にあったのはロシア語とヘブライ語の本。
 だからそのどっちかの言語だと思うのだけど・・・」
「咲夜さんロシア語とヘブライ語できるんですか?」
「残念ながら英語とフランス語ぐらいしか話せないわ」
英語とフランス語を話せるだけでも十分すごいと思うのだが。
「この中に話せる人はいないの?」
「日常会話ぐらいならできます」
昨日、徹夜で勉強したからちょっとは話せるはずだ。

「Как поживаете?」 (ロシア語で「お元気ですか」という意味)
「shlomi tov」 (ヘブライ語で「はい、元気です」という意味)
「これだけ話せれば上出来よ」
「そういう咲夜さんだって話せるじゃないですか」
「日常会話だけじゃ話せるって言えるとは言えないわ」
「それで2人とも何て話してたんです?」
美鈴さんが首をかしげる。

「それじゃあ、咲夜と小悪魔でその本から手がかりを探しなさい」
「わかりました、どちらの本にしますか?」
「ロシア語で書かれた本を選ぶわ」
私は残ったヘブライ語の本を調べることになった。
ヘブライ語の本はけっこう厚かった、これは骨が折れる・・・
本をパラパラとめくっていく、どうやらこの本は妖怪や怪物について書かれているようだ。
パチュリー様はこの中から使い魔を選んだのか・・・
ページを進めていくとしおりがはさんであることに気が付いた。
もしかしたらこの怪物を呼んだかもしれない、そう思いそのページの内容を目で追う。

 その怪物の項目を見終わって確信した、パチュリー様が呼んだ使い魔はこれだ、と。
心臓の高鳴りを感じる。ピッタリじゃないか、特徴も同じだ。
制約についての記述、昼にしか動かしてはいけない。また家の外に出してはいけない、この制約を破ると暴走してしまうらしい。パチュリー様の説明とまったく同じだ。
最後にパチュリー様が残した『真理』という言葉、ようやくその意味がわかった。
「これが弱点!!」
思わず大きな声を出してしまい全員が注目する。
「興奮してしまって申し訳ないです。でもこの本を見てわかりました、怪物の正体   が!」
「な、なんだってー!」
釣られて美鈴も声を張り上げる。
フランはその声にビックリして軽くとび上がる。
「ずいぶんと早かったわね・・・」
「それで・・・ 使い魔の正体は何だったの?」
視線が一斉にこちらに集まる、その緊迫した空気の中で私はおそるおそる怪物の名前を口から吐きだす。








「怪物の名前はゴーレムです・・・」


・その9
「ゴーレム? あのダンジョンとかで宝物を守っている?」
「その割には自ら積極的に動いていたような・・・」
皆がそれぞれ思ったことを口に出す。
「それはゲームなどに出てくるゴーレムですね。一般にはそのイメージが定着していま すが、本来はとある宗教の聖書に出てくる泥人形のことを指します。もっとも材料は 別に泥ではなくてもかまわないんですけどね。
 作り方など専門的なことは省略しますが、できあがったゴーレムは作った本人の命令 しか受けつけません」
「私の命令も聞いたのは何故でしょう?」
美鈴は小悪魔に対して疑問をぶつける。
「恐らくパチュリー様は本に書いてあった通りに作ったのではなく、独自の理論を加  え、さらに古今東西あらゆる魔術を駆使して完成させたと思われます。
 だから、他の人の命令も聞いたのでしょう」

「次に制約についてです。
 ゴーレムを使う際、いくつか守らなければいけない決まりごとがあります」
「昼にしか働かせていけない、家の外に出してはいけない」
美鈴が答える。
「はい、他にも制約は存在しますが、今回はその2つを破ったので暴走したのでしょ  う」
「美鈴、あなた・・・」
咲夜さんがあきれた顔で美鈴を見る。
「しかたないじゃないですか! その制約を知っていればあんなことさせないし」
「その件に関しては私にも責任があります。美鈴さんにそう提案したのは私なのですか  ら・・・」
「あ、小悪魔は悪くないって」
美鈴が申し訳なさそうに言う。
「今回に関しては、ただ単に運が悪かっただけ。この話はもうこれで終わり!」
それまで静観していたレミリアが口を挟む。
「それで、暴走したゴーレムはその後大図書館に向かって・・・
 後は知っての通りというわけね」
「そうです」

「ここからが重要なことですが、ゴーレムにも弱点があります」
そう、吸血鬼が流水を苦手としたり、狼男が銀の弾で死ぬように、ゴーレムにも弱点が存在するのだ。
「その弱点とは・・・?」
「いったい何だって言うの?」
「その弱点とは、体に刻まれている文字です」
「文字? ・・・ってあの『E、e、h、t、m』のことか?」
「何だってそんなものが弱点?」
「弱点だからよ、それ以外の理由はないわ。
 例えば、吸血鬼がにんにくを苦手なことに意味なんて無いわ。苦手だから苦手なの  よ、それが妖怪のアイデンティというもの・・・」
やはり本物が言うと説得力が断然違う。

「で、具体的にはどうすればいいのかしら?」
「本来、ゴーレムの額には『emeth』という文字が刻まれています。この文字を刻むこ とでゴーレムは命を吹きこまれ、術者の命令を聞くことになるんですね。『emeth』 とはヘブライ語で『真理』を意味します。
 ちなみに文字をゴーレムの羊皮紙に貼るというやりかたもありますが、ここらへんは 魔術師や地域によって異なるようです」
「なるほど、それであいつらの体にはそれぞれ文字が刻まれていたってわけね・・・」
「でもそれってちょっと変じゃない? 
 5体のゴーレムのうち額に文字が書いてあったのは1体だけ。それにそれぞれ1文字し か書いてなかったじゃない」
フランドールは小悪魔に疑問を投げかける。
「憶測の域を出ませんが、本体は5体の中の1体。体が分裂したことによって、刻まれ た文字も分散した、そう考えるのが妥当でしょう」
小悪魔はフランドールの疑問に答える。

「さて少々話がそれてしましましたが・・・
 先ほどヘブライ語で『真理』は『emeth』だと言いましたよね。
 その『emeth』という文字から最初の『e』という文字を削って『meth』という単語に する、それがゴーレムの弱点です」
「何だってそんなことを・・・」
美鈴さんは困惑する、わからないのも当然だ。なぜならこれはヘブライ語の言葉遊びみたいなものだから。
「『meth』・・・ なるほど、そういうことね」
「咲夜さんはわかったみたいですね。そう、ヘブライ語で『meth』は死を意味します」
「つまり、『真理』から『死』にすることでゴーレムは死ぬのね・・・」
「そうです、今回の場合は本体である『e』という文字を刻んだゴーレムを倒せば、す べてが終わるはずです」

「でも・・・ 『E』と『e』、どっちを倒せばいいの?」
そう言ったのは、フランドールであった。
「どっち? いったい何のことを・・・?」

その時、コンコンとドアを叩く音がした。この場にいた全員が一斉にドアに視線を向ける。
誰だろう、パチュリー様だろうか。元々ケガ自体は大したことはなかった、だから目が覚めてここまで来るということもあるだろう。
「誰なの、黙っていないで返事をしたらどう?」
レミリアはドアの外にいる人物に向けて言い放つ。
「パチュリー様でしょうか・・・?」
美鈴は不安そうな顔つきでみんなに問いかける。
「いったいどっちなんでしょうね」
そう言いながらも、小悪魔にはこの扉の向こうにいるのがどっちだかおよその見当がついていた。
「どっちでもいいわ、その扉を開ければイヤでもわかることよ。
 その扉の向こうにいるあなた、入ってきなさい」
意を決したのか、レミリアは静かにそしてよく通る声でそう言った。

ギィと悲鳴を上げながら扉はゆっくりと開いていく。
やはり・・・ 私の予想していた通りであった・・・
入ってきたのはゴーレム。


その10
ゴーレムだと予想していたのか、紅魔館の住人の対応は素早かった。
「この部屋は狭いです、部屋の外に押し出します」
紅美鈴は得意の拳法を使い、ゴーレムに拳を叩き込む。
美鈴の拳をまともに受けたゴーレムは真後ろに吹っ飛ぶ。
動けなくなったところをすかさずレミリアがゴーレムの右足にその鋭く尖ったツメをねじ込む。
ゴーレムは少しの間動いていたが、やがて灰になりそのまま崩れさった。
「右足に『m』と書いてあったわ、私がさっき倒したのと同じやつね。
 いったいどういうことなのかしら・・・」
「恐らく本体の『e』と書いてあるゴーレムを倒さないかぎり何度でも復活すると思い ます」

「もはや相手が来るのを悠長に待ってる場合じゃないわ。パチェのことも心配だ    し・・・」
「手分けして探しましょう」
「そうね、フランは庭付近を単独で詮索。小悪魔は私と一緒に図書館へ。美鈴と咲夜は 2人で館を探し回りなさい」
「ええー、わたしだけ1人なの~」
フランドールは不満をもらす。
「聞いて、フラン。あなたの力は強大で周りに味方がいると巻き込む恐れがあるわ。
 それにあなたなら誰かと組まなくても十分やっていける」
「そういうことならわかったわ」
なるほど、例えば私がいたなら足手まといになるし、単独で動く方が理に適っている。庭を探すのも戦闘の際、周囲に余計な被害が出さないためであろう。
「それでは十六夜咲夜、行ってまいります」
「お嬢様の足を引っ張らないように頑張ります!」
「1人でも寂しくなんかないわ!」
「みなさんケガしないように」
「私にかかればゴーレムなんて敵ではないわ」
皆、それぞれ出陣の前に口上を述べる。

「みんな、準備はいいかしら? 次に会うのはゴーレムを倒した時ね!」
「はいっ!」
それぞれ自分が向かうべき場所へ足を進める。
私はいくらゴーレムが強くたって、全然負ける気なんてしなかった。
紅魔館のみんなが団結すればきっとできないことなんて無い、そう思っていたからである。


・その11
 図書館へ向かった私とお嬢様はゴーレムを発見した。
見つけたゴーレムは左足に『h』と書いてあった。
「早速見つけたわ、あなたは広い図書館の中に他にもゴーレムがいないか確認しなさ  い」
「わかりました!」
パチュリー様は1体だと思っていたゴーレムが複数いたことに不意をつかれてやられてしまった。レミリアは同じ轍を踏まないように、この私に他にもゴーレムがいないか探させたに違いない。

「ここにもいないか・・・」
物や人を探すとき、あるとわかっている物を探すことより、あるか無いかわからない物を延々と探し続けるのはけっこう苦痛だ。もしかしたら、この図書館には1体しかいないかもしれない、でも他にもいるかもしれない。そう考えると頭が痛くなる。

「結局、いなかったみたいね」
お嬢様に報告のため、入り口へと戻ることにした。もう戦闘は終わっているだろうか、そんなことを思いながら足を進めて行くと、信じられない光景を目にした。

なんと、お嬢様がまだ戦っていたのである、それも4体のゴーレムと。
「小悪魔、いいところに来たわね! あれからゴーレムが新たに3体も現れてね、けっ こう苦戦しているところなの。悪いんだけど、1体そっちで相手してもらえない?」
「わかりました!」
そういって私は弾幕をゴーレムの1体に向けて放つ。命中したゴーレムがこちらの存在に気が付き、こちらへ向かってくる。
「こっちよ、こっちに来なさい!」
そういって図書館の奥の方へ誘導する。
全速力で走る、図書館内は本来走ってはいけないが、今はそんなことを言っている場合ではない。
この辺でいいだろうか、歩みを止め振り返る。ゴーレムの右腕には『e』の文字。
「ということは私が倒さないといけないの・・・」
最も肝心な仕事をこなさなくてはいけない、責任重大である。

ゴーレムは口から炎を吐く。炎は一直線にこちらへ向かう、私はなんとかそれをかわす。
炎を吐くなんて聞いてない、次はかわせるなんて保障はない・・・
私はさらに奥へ奥へと逃げる、それを追うゴーレム。歩みこそ鈍いが一歩一歩確実に追い詰められていく気がした。
逃げた先は行き止まりだった、これでゴーレムから逃げられなくなった。

歩みを止めた小悪魔に容赦なくゴーレムは炎を吐く・・・ 
しかし、ゴーレムの口から炎はかき消された。
その刹那、好機とばかりに小悪魔はゴーレムにかけより、隠していたナイフでゴーレムの右腕に刻まれた文字を切りつける。
ゴーレムは小さなうめき声を上げながら、灰になって消えていった。
「ふふ・・・ どうして炎が消えてしまったかわからないでしょう。
 種を明かすと、炎が魔法だったからですよ。この区域は存在するだけで邪悪な魔法を 生む魔道書などを無効化して保管する絶対魔法禁止区域。この中では『魔法を無効化 する魔法』しか機能しないのです」
しかし、その声はもはや相手には届いていない。小悪魔はただ『独り言』を言っただけである。
「よかった、図書館の構造を把握してて・・・」


『emeth』の『e』を倒すことでゴーレムは消滅し、今ごろパチュリー様は目を覚ましているだろうか。そんなことを考えながら図書館内を歩いている時、後ろで物音がした。
何だろう、ゴーレムはもういないはずなのに・・・
振り返る、そこにいたのは額に『E』の文字が刻まれたゴーレムだった。


 
 私は何故気が付かなかったのか。『emeth』という単語には『e』の文字が2つある。そして今、私の目の前に現れたのは大文字の『E』。大文字というものは単語の先頭にくる、つまりこの『E』 の文字が額に刻まれたゴーレムこそが本体だったのだ。
ゴーレムは炎を噴いた。小悪魔は右に避けたが足に少し当たってしまった。
「あ、足が・・・」
軽いやけどではあったが小悪魔の動きを止めるにはそれで十分であった。
「どうしよう、さっきの場所まで戻ることは・・・」
できなかった。足をケガしていたのもあったが、行く手をゴーレムが塞いでいたことも要因となった。
そして私の能力はここではまったく役に立たない。

「もうダメなのでしょうか、パチュリー様・・・」
ゴーレムは動けない小悪魔に標準を合わせ、無慈悲に炎を放つ。
結論から言うと、小悪魔はゴーレムの攻撃によって命を落とさなかった。


「ダメじゃないわ、小悪魔。よく頑張ったわね」
そう答えたのは紅魔館の大図書館の主、パチュリー・ノーレッジだった。
放たれた炎を彼女の魔法でかき消す。

「パ、パチュリー様・・・」
「悪いわね、今まで寝てたわ。でももう大丈夫よ」
なんと心強い言葉だろう、とてもかっこいいです。
「私に魔法で勝負を挑むなんて1000年早いわ!
そう言って得意の魔法をゴーレムに向かって行使する。
一瞬の出来事だった、額に攻撃を受けたゴーレムはそのまま灰になってしまった。

こうして「使い魔暴走事件」はパチュリー・ノーレッジによって始まり、パチュリ・ーノーレッジの手によって幕を閉じたのであった。

・12
・またまたレミリアの部屋
「今回はどうなるかと思いましたよ、ホント」
「庭でね、ゴーレムを1体見つけて追いかけたんだけどね、途中で消えちゃったの~」
「咲夜さんと館の中を探し回ったんですがね、結局何もいなかったんですよ」
「恐らく、ゴーレムは別々に行動するより、全員で行動する方がいいと考えたんでしょ うね」
そう説明するのは魔法使いパチュリー・ノーレッジ。
「いくら探してもいなかったので、もしかしたら他のところにいるかもしれないって思 ってたところ、図書館で大きな音がしたんですよ。
 それで、急いで咲夜さんと一緒に図書館に向かったら」
「全てのことは終わっていた・・・」
十六夜咲夜はそう付け加える。
「私も3体と戦っていたらいきなり消えちゃうんだもん、拍子抜けしたわ」
そう言ってレミリアは肩をすくめた。

・大図書館にて
「今回のことで私は学んだわ・・・」
「何をです?」
「使い魔としてやっぱり小悪魔は優秀だということよ。
 これからもよろしくね」
「はい、こちらこそ末永くよろしくお願いします」
今回、私はあわや絶命するというところまでいったが、パチュリー様により一層の信頼を得られたことは大変光栄に思う。

「それはそうと、小悪魔・・・」
「はい、何でしょう?」
「ゴーレムに荒らされた図書館、片付けを手伝ってもらいたいの。
 ほら、妖精に大事な図書館を任せるわけにはいかないでしょう」
「それって私とパチュリー様の2人でやるってことですか?」
「そうなるわね」
「わかりました・・・」
私はこの騒動が終わったら休もうと決めたのに、これでは当分先のことになるだろう。
これから広い図書館の掃除をすると思うと、頭が痛くなった。
大変お待たせしました、前回の続きです。

今回の内容について思うこと
・ゴーレムという東方の原作には登場しないキャラを出してしまったが、よかったのだ ろうか。
・会話の部分などのテンポはこれでよかったのか
・小悪魔の能力は原作で明記されてないが勝手に言及してよかったのか
・弾幕勝負じゃないので「スカーレットシュート」などと言った技は出さなくてよかっ たのか
楽郷 陸
https://twitter.com/#!/rakugo6
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コメント



0.200簡易評価
1.70名前が無い程度の能力削除
お疲れさまでした。ゴーレム分裂というアイデアが面白かったですw

館の皆が従者の正体に気づくまででちょっとダレてしまいました。
「従者 + eの字 =ゴーレム」というギミック、ちょっとファンタジー知識がある(ていうか端的にオタk)ならすぐに連想できるので、タメはもっと短くてよかったかもしれません
3.100名前が無い程度の能力削除
プロローグで叩かれ、意気消沈して作品を完結させることなく放置、或いは作品消去
という流れが定番となってしまったそそわで、ちゃんと最後まで物語を書ききったことにまず拍手。

オリキャラは、出す必然性があって、メアリー・スー的でなければ一向に構わないと思います。
5.70名前が無い程度の能力削除
文章は正直拙いと思ったのですが、厳しい意見をもらいながらも物語をきちんと完結させた作者様の姿勢を評価。ゴーレム分裂というアイデアも良かったと思います。
既存のキャラを貶したり世界観にそぐわないものであったりしなければ、オリキャラも大丈夫だと思います。この作品のゴーレムぐらいなら全然大丈夫。
7.無評価楽郷 陸削除
<2さん
けっこう知ってるかなと思ったのですが、知ってる人のためにタメを短くするよりも、知らない人のためにきちんと説明したほうがいいと思い、このような構成となりました。

<6さん
文章はもっとうまくなるように努力していきます。

<?8さん
長々と感想をいただき、どうもありがとうございます。
文章に不自然な間が空いてるのは、ワードに文章を書いていてその時点では特に問題が無かったのですが、いざ文章をここに記載した時になぜか空きが出てしまいました。
一応校正は3回ぐらい行ったのですが、その部分はなぜか空いてしまったのです。
ちなみにワードからここに記載した際に鍵括弧の中の文章も何故かずれてしまい直すのに苦労しました。
ゴーレムになぜ真理という文字が刻まれているかなんて考えてもみませんでした。
本編でもあるように吸血鬼がニンニクを苦手なように、そういう理で動いてるからそうなんだ、とまったく疑問に思わなかったことを恥ずかしく思います。
漠然とした次回の案もあるので、近いうちにまた投稿できるようにがんばります。
8.100名前が正体不明である程度の能力削除
凄い。完結した。
次回もまた楽しみなのぜ。
9.90名前が無い程度の能力削除
完結させた、それこそが崇高な行為なのです。
ただし、オリジナル・キャラクターはここではあまり好まれませんのでご注意を。
ここはあくまでも、東方キャラクターを愛する人々の掲示板ですので、オリキャラがあまり出張るのはよろしくない。
また、文章もまだまだつたない部分が目立ちます。あなたが好きな商業作家の文章を書き写してみたり、繰り返し読んでみて描写や文体の練習をすれば良いでしょう。
12.無評価名前が無い程度の能力削除
オリキャラを使って何万点も取った作品もありますから、
要は使い方次第ですよ
13.100名前が無い程度の能力削除
あなた偉いよ。いやホント。だって前回のようなコメント食らっちゃうと大方の人がキーボードぶん投げちゃって帰ってこないんだもの。前回の駄目だったところを修正して、ちゃんと長文化して、しかも完結させるなんて。人の意見を素直に聞き入れるって、物作りの初心者の基本中の基本何ですけど、簡単なようで実は難しいんです(だってそれが出来ない人がいっぱいいるから!)。

創想話って他と比べて初心者には恐ろしいほど手厳しくって、若い芽がなかなか生えてこないんですわ。また猛者共に打ちのめされて、幼気なチャレンジャーが敗れ去っていくのかなって思ってたんですが、この洗礼を潜り抜けたあなたは相当なタフガイ。お母さんに自慢してもいい。今はまだあらゆる面で荒削りで、これから先も点数が奮わないこと、止めたくなるようなこと、多々あると思いますが、創作を続けていれば2~3年後には傑作を作り上げような男(女性?)に必ずなれると思います。

久しぶりに気概がある若き書き手が現れてテンションが上がります。これからの成長に期待を込めて今回は技巧に関係無く満点を。そしてラストに一丁。

『創想話にようこそ!』
14.100名前が無い程度の能力削除
未完成の大作より完成した駄作の方が素晴らしい、的な言葉があります。
いえ駄作というのは言葉の綾で、この作品に対する評価ではないことを念押ししておきます。
今のところ文章の表現については、一貫性がなかったり拙いところがちょこちょこあり少しだけ足取りが危なっかしい。
ですが、そんなものは幾らでも巧くなっていくことは可能です。
本当に見事なのは、めげずに最後まで完成させた作者さんの前向きで純粋な姿勢だと私は思いました。
勿論ただ「おわり」と文章を結んだからオーケーという話でなく、ゴーレムの行や小悪魔へのキャラ愛など試行錯誤を行って、良い作品にしようと盛り上げてから完結したとなれば文句の付けようもありません。
これからもぜひ応援させてください。
15.100名前が無い程度の能力削除
作品の出来以外のことで評価されるのは、作者さんにとっては複雑な思いが湧くやもしれません。
しかし他の方も仰ってるように逆境(という表現は適切ではないかもしれまんが)に負けず物語をしっかりと完結させたことは、本当に本当に素晴らしいことだと言いたい。
17.100名前が無い程度の能力削除
面白かったです!
まぁ、あのまま10いくつチビチビ出すつもりだったのかと思うとゾッとしますがww
18.無評価名前が無い程度の能力削除
今回のコメ欄の流れは茶番だよね。
50kb以上の作品が当たり前に投稿されてる中
30kb程度で分割するのは不当な埋め行為に当たるから
注意する、ここまではわかる。で「風当たりが強い中よく頑張った!」
っていうのはねえw
20.10名前が無い程度の能力削除
単純につまんない
22.100もんてまん削除
読ませていただきました。
確かに、18さんのおっしゃっていることも間違いではありませんが、「風当たりが強い中頑張った」そういう流れが出来てしまうほどそそわの失踪率が高いのも確かです。

私個人としては、失踪せずに作品を完結させたことを評価したいと思います。