Coolier - 新生・東方創想話

全ては彼女が操作していた

2012/01/28 00:14:05
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「子供欲しいなあ」


 時は止まる。十六夜咲夜はこの場にはいない。
つぶやいた者は霧雨魔理沙。彼女はついに時を止める魔法を編み出すことに完成したのだろうか。
もちろんこれは言葉のあやだ。
現実には時は止まっていない。動いている。
だが霧雨魔理沙の発言は、この場に居た者の動きを止めることができるほどの威力があった。
しかし、博麗の巫女は、一切慌てる仕草は表に出さない。


「ふぅん、名前はどうするのよ」


 きっと、魔理沙以外の二人が、いや、その質問はおかしいだろう、と心の中で思ったには違いない。
それと同時に二人は霊夢の心中も少しは察することができた。
博麗霊夢は焦っている、と。
霊夢はなんとなしに羊羹を食べながらお茶をすすっている。
しかし彼女も余裕はないはずだ。この状況をどうするのか、それが他ニ名の命題となった。


「コウノトリの話ですね」



 そう言うのは東風谷早苗。
さすがに外から来た人間は、ヨーロッパの昔話の知識もあるのか。
だが、少しズレている。



「ん? コウノトリ?」



 すかさず魔理沙が早苗に問いかける。

早苗は考えた。
この発言からすると魔理沙はコウノトリの話を知らない。
そうすると、残された可能性は二つ。キャベツ畑の伝承と、男女がキスをすると子供が出来る説の二つだ。
もし、仮に、万が一、本当のことを知っていたら魔理沙もこんなにおおっぴらには話さないだろう、彼女も乙女である、と。

早苗も幻想郷に来てからそれなりに時は立った。非現実的なことを受け入れる余裕もできたであろう。
なんと、早苗の思考、この間実に26秒である。



「おい、早苗、何黙ってるんだよ、コウノトリって何の話だ?」



 これはしょうがないことであった。
人間の中では、幻想郷最速クラスの魔理沙に
早苗の思考が追いつかなかったことはしょうがないことなのだ。



「まぁいい。早苗はたまに変なこと言うからな。なぁ霊夢、さっきから考えてたんだが子供は男がいいかな、女がいいかな。それによって名前を考えるのも違ってくるだろ」



 ここで、霊夢に話を振る魔理沙。
霊夢も先程の発言から一分は経過している。
彼女も落ち着きを取り戻したであろう。



「そういえば、人里の酒屋のおばちゃんが排卵日の2,3日前にせ」
「わあああああああたしは! 女の子がいいな! うん!」


 霊夢はまだダメらしい。
幼い頃からの親友の発言のショックの傷は深いのだろう。それも、致命傷に近い。
霊夢の爆弾を間一髪のところで防いだのは八雲藍、この中で唯一の人間外の存在。
一番最初の魔理沙の発言から藍は頭をフルに活用していたが、この状況を打破できる案は見つからなかった。
藍がどれだけ知識も経験も計算能力がある妖獣だとしてもこの状況の解を導き出すことは難しいようだ。
早苗と藍はお互いに目を合わせる。
それはこの状況の確認であり、個々では撃破できない問題を互いに力を合わせ攻略していこうという意思疎通でもある。

いかに、魔理沙を傷つけずにこの話題に終止符を打ち、この話題は大きな声でするもじゃないよ、と優しく説くか。
これが二人の目前の目標だ。
それにあたり、今の霊夢は邪魔者でしかないのは二人からしたら明らかであった。



「ん、何でだ?」
「その、あれだ。お前の子なんだから魔法使いにするだろう。『魔女』は聞いたことあっても『魔男』は聞いたことないからな、はは」
「なるほどー 流石、妖怪の賢者の式さんは言うことが違う! あ、そういえば私ここに来る途中面白い事があったんですよ!」
「ほ、ほう。それは興味深い。詳しく聞かせてもらおうか!」


 上手いかは分からないが話を逸らそうと息を合わす二人。
だが、ここにもうひとつの問題が来てしまう。



「なんのはなし?!」
「あ、チルノさんじゃないですか。いやーさっき面白いことが……」
「今、子供の名前を何にするかって話してたんだ」
「え、魔理沙産むの?!」
「いや、私はまだ産まないがな」


 無残にも、二人の思いは打ち砕かれた。
しかも新たに問題を抱えてしまう。このチルノという爆弾から放たれる発言はこの状況をいかに凍らせるのであろうか。
それは早苗はおろか、藍にも予測がつかなかった。 



「あ、そうそう。人間ってどうやったら子供って出来るのよ」
「……うーん、お前にはまだ早いかも知れないな」



 まずい、と二人は感じる。
先程は魔理沙対早苗、藍の1対2だったのだが、今は2対2のイーブンだ。
早苗は霊夢を見る。
霊夢は少しお茶を口から垂らしながら魔理沙の方をぼうっと見ている。
早苗は霊夢のことを考えるのをやめた。



「えー 教えてよ」
「駄目だ。お前がもう少し大人になってからだ」
「もう、魔理沙の意地悪。いいよ、ちょっとあんた、教えてよ」



 チルノは魔理沙に問うのを諦め、藍に問いかける。



「い、いや、その、実は私も知らないんだ」
「何よ、使えないわね。じゃあ、緑の巫女は?」
「私も……」



 これが最善の選択かはわからない。
だが二人は頬を赤らめ俯きながらそう言う事しかできなかった。
その時である。


「くくく……」
「ん? どうしたのよ、魔理沙」
「あははっ、おかしいぜ。私より長く生きてるのに二人とも知らない訳ないだろう、あははははっ」



 突如、魔理沙が笑い出す。
早苗と藍は何が起きたかとぎょっとして魔理沙の方へ向き直す。



「紫、もう出てきていいぜ。駄目だ、可笑しくてしょうがない、くくく」
「なぁに、魔理沙早いわよ。もうちょっとからかっても良かったのに」
「だってこいつら、恥ずかしいからって知らないふりするんだぜ、霊夢は固まって動かないし」
「そうねぇ。ふふ、二人とも、可愛かったわよ。さ、魔理沙。本当のことを二人に教えてあげて」
「あ、本当に? あたいも知りたい!」


 藍は理解した。
すべて、紫が魔理沙と組んで私たちをからかうためにしたことだと。
そして、今日の出来事を思い返した。確かにおかしい所はあった。
まず、藍がここに来た理由。それは今たべている羊羹を届けるため。
紫が言うに、珍しいものだから霊夢におすそ分けしてあげたい。
藍も今日は神社で少しゆっくりしてきなさい、とのことだった。
今思うと少し不自然だ。羊羹を渡すだけなら、藍に届けさせるよりも紫がスキマであげたほうが早い。
それと、チルノの先程のセリフ。魔理沙に子どもがどうやったら出来るのかと尋ねた時だ。
チルノは思い出すようにして尋ねていた。きっと紫が吹き込み、魔理沙と打ち合わせしたのだろう。

 早苗は想起した。
今日神社に来た理由は霊夢にお茶をおすそ分けするためだった。
神奈子が言うには紫がくれた、外の世界のお茶だ。
早苗も幻想郷に来る以前はよく見かけたことがあったパッケージだった。
今考えると、わざわざ紫がお茶を早苗たちにくれる理由がわからない。
早苗は神奈子の釈然としない顔を思い出す。

そして、魔理沙が語り始める。



「お子ちゃまのお前らに教えてやるぜ」
「うふふ、みんな、よく聞いときなさいよ」















「男と女がキスすると子どもが出来るんだ!」



 再び、時が止まる。


「あ、え?」
「……」


 予想だにしなかった、魔理沙の言葉に早苗は狼狽え、藍は黙りこんでしまった。


「ん、なんだお前ら、まさか本当に知らなかったわけじゃないだろ?」
「その……」
「……」
「紫、何でこいつらこんなに驚いているんだ?」
「それはね、人間が子どもを作る方法は」
「え、うん」
「魔理沙耳貸して、……が、……で、……するの」
「ん…… は、何言って…… え?」
「キスすると出来るってのは大人が子供を誤魔化す時に使う常套句みたいなものよ、本当は今言ったことをするの」
「え…… な、なん……」



 魔理沙の顔はどんどん紅潮し始める。
藍と早苗の顔に視線を向けるが二人も、顔を真っ赤にさせ魔理沙と顔を合わせない。いや、合わせられない。



「お前ら…… 知ってたのか……」
「当たり前よ。二人は貴方よりもお姉さんなのよ」
「ふーん、キスすると。人間って結構簡単に増えるのね、あたい、また賢くなっちゃった」
「え、じゃあ私は…… あぁ! 紫! 騙したな!」
「うふふ、今日は皆のかわいい顔が見れて満足だわ。またね」



 スキマを作り、中に入る紫。
そこに残されたのはいたたまれない空気。



「うわあああああああああぁ、紫のバカやろうおおおおおおおおおお」



 魔理沙はそう叫び、勢い良く帰っていった。
だが、重苦しい空気はまだ残っている。



「魔理沙も含め、私たちは紫様の掌の上で踊らされていたわけか…… あ、私も帰るぞ……」
「え、えぇ。紫さんが魔理沙さんも操作していたんですね。私たちだけでなく…… あ、この事は」
「もちろん、他の連中には黙っておこう。魔理沙…… 可哀想に……」
「わ、忘れましょうよ。では、また……」
「あぁ、またな……」
「え、皆帰るの? じゃああたいも。霊夢動かないし」







 皆そそくさと帰っていった。
そこに残されたのは霊夢、ただ一人である。
全員が神社から去った後、霊夢は動き出す。



「ふぅ」



 お茶を飲み、一息。
そのお茶はもう冷たくなっていたが、当の本人である霊夢は気にもしていない。
すると、空間に切れ目がはしり、中から生ぬるい空気と共にまた、彼女が現れた。
























「どうだった? 霊夢」
「紫、ご苦労様。可愛い魔理沙が見れて、私は幸せよ」




 全ては霊夢、彼女が操作していた。
レイマリは真理
レイマリは絶対
レイマリは王道
レイマリは真価
レイマリはこの世の摂理
レイマリは不滅
レイマリは神が与えた俺達への贈り物
レイマリは絶対価値
レイマリは全ての理想
レイマリはあらゆる民の目標
レイマリは幻想郷の掘り出し物
レイマリは動く国家記念物
レイマリはプライスレス
レイマリは森羅万象の美点
レイマリは宇宙が定めたユーティリティー
レイマリは俺とちゅっちゅ

霊夢の魔理沙愛はあらゆるものを凌駕する。
ばかのひ
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コメント



0.2970簡易評価
4.100名前が無い程度の能力削除
霊夢さんパネェ
5.90名前が無い程度の能力削除
後書きから薄ら寒い狂気のようなものを感じた。霊夢さんパネェっす。

後わりかしどうでも良いけど、真実を伝えるとき紫はどういう説明をしたんだろうか。あの行為を一から説明するのは難しいというか生々しいというか……。
6.100名前が無い程度の能力削除
レイマリ最高!
8.100名前が無い程度の能力削除
最初はありがちな感じだったけど落ちがよかったですね
9.90名前が無い程度の能力削除
霊夢さんよくやったw
10.100名前が無い程度の能力削除
良いね
17.100名前が無い程度の能力削除
最後以外は全力で同意する
18.100名前が無い程度の能力削除
霊夢さんマジぱねぇッス
24.100名前が正体不明である程度の能力削除
最初から破壊力がww
34.90奇声を発する程度の能力削除
霊夢さんすげえw
35.100名前が無い程度の能力削除
残念だが俺はレイアリ派だから10点ですね
36.100名前が無い程度の能力削除
>>レイマリは俺とちゅっちゅ

ゆ゛る゛さ゛ん゛
39.100名前が無い程度の能力削除
霊夢が策士すぎるな
そして後書きラスト自重www
42.100名前が無い程度の能力削除
今年もレイサナの道を歩むと決めたはずなのに
ちょっと揺らいじまった
45.100名前が無い程度の能力削除
すいれい派の俺も!
47.100名前が無い程度の能力削除
照れるのも演技だったとは…やはり天才か…
51.100名前が無い程度の能力削除
レイマリは宇宙の真理!おもしろかったです!魔理沙かわいいよ魔理沙
52.100名前が無い程度の能力削除
こいつぁすげえレイマリだぜ……!
61.100名前が無い程度の能力削除
霊夢、恐ろしい子……!
66.90名前が無い程度の能力削除
犯人はお前かあああ
69.90名無しな程度の能力削除
壮大なレイマリだったのぜ……

あと最後は許さん
79.100名前が無い程度の能力削除
なんという孔明の罠wこの霊夢ぱねぇw
88.80名前が無い程度の能力削除
愛は世界を救う?