Coolier - 新生・東方創想話

夕日のように

2005/06/07 14:27:01
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 思い出すのは照りつける強い日差しと、響く蝉の声。
 祈るように、許しを請うように。膝を付いて、頭を伏せて、手を組んで。
 そして、真っ赤に染まった母様の姿。

 大人の人が何人も来て、色々な質問をされた。
 大きなお屋敷に連れられて行って、体を清め、綺麗な服を着せられて、ずっと会いたかった人の所へようやっと通された。

「あなたさまにおあいしたら、このふみをわたすよういわれています」
 肌身離さず持っていた母様が書いた手紙。何を取られてもこれだけはと抗ってきた。内容は知らなかったし、結局知ることも無かった。
「……あれが自刃したことは聞いている」
 手紙を受け取ったあの方は、それだけ言って後は黙して手紙に目を通していた。長かったようにも短かったようにも感じられたと思う。読み終えて、たった一言。
「お前は、私が引き取ろう」

「・・・はい、とうさま」




 それからの数年、私は自由は無いが不自由も無く、お屋敷の離れで静かに暮らした。
 父様は時折私を訪ね、話をした。父様は特に母様のことを聞きたがった。自分のことをどう言っていたかなどを、良く私に質問された。
 母様は父様をお慕いしていたこと。迷惑をかけてしまうわけにはいかないと言っていたこと。恨みの言などはきいたことがないことなどを私は話した。

 さらに数年が過ぎた。
 父様は変わらず時折私を訪ねたが、話は生活に不満がないかと言ったことが中心となり母様のことを聞かれることは無くなった。
 ある時屋敷の者の話で、父様がとある富豪の娘に求婚したことを知った。
 父様の心に母様はもういないのだろうか。そう思うと、小さな火に焼かれるように、ぢくぢくと胸が痛んだ。

 にわかに屋敷が慌ただしくなった。求婚を受ける条件として、とある宝物をと難題を出されてその準備のために財をはたいて配下の者たちになにやら準備をさせているらしい。父様が私を訪ねてくることはなくなった。胸に宿った火が、少し強くなったような気がした。


 父様がしばらく振りに私を訪ねてくださった。けれど私は喜びよりも驚きを感じた。父様が一人の男性を伴っておられたからだ。誰かと共に私を訪ねられるのはかつて無いことだった。歳のころは二十を越えて少し。姿勢善く礼儀正しく誠実そうなお人だった。父様に促され、私に一礼しこう名乗られた。

「つきのいはかさと申します。宜しくお見知りおきを」






 彼はその後たびたび私を訪ねられた。私は行動に制約が少なくなり、彼と共に散策にでることなどもあった。
 ある日、お屋敷にとある物が届けられた。何やら物々しく、大勢の者が警備について来ていたので、たいそう重要なものなのだろうと思った。屋敷の中で僅かの自由を得たこともあり、私の中で活発になっていた好奇心に押されて、私は父様を訪ねた。
「――ではないか。珍しいな、何かあったか?」
 私が今日何が届けられたのかについて聞くと、とても価値のある宝物でやっと用意できたのだと言うことを話された。そして快く私にも拝見させて下さられた。
 用意された台座から紫の覆い布を取り除くと、根は銀、茎は金で白い実を付けた小さな植え木であった。当然造り物であろうけれど、すばらしく精巧にできていて、土に植えれば育ち始めるのではないかと思えるほどだった。
 私は感嘆の息をもらし「大変素晴らしい宝物です。これほどの宝、話にすら聞いたこともありませぬ」と言った。父様は満足そうに頷かれて小さく「これならばあの娘も納得しよう」と呟かれた。
 私はその言葉でこの枝こそ父様が求婚者に求められたと言う宝物であったと覚った。この宝物の素晴らしさ、用意するためにされた尽力と、父様の魅せる満足そうな顔が、私の胸の火をまた少し強くした気がした。


 その日の夜、父様が再び私を訪ねられた。いはかさ殿をどう思うか、と私に尋ねられた。
「どう……とは」
「伴侶としてだ、――よ。お前もそろそろ嫁ぎ先を決めねばならぬ時期だ。急なこととは思うだろうが、むしろ遅すぎたと思っているのだ」
 そうして、彼が身分はそれほど高くないが、帝の信の厚い有能な若者であること。彼も私に好ましい印象を抱いたらしいこと。私さえよければすぐにでも彼の家に入る準備があることを話された。

 求婚の準備が整い、私がお邪魔になりましたか……父様。

 そんな思いが浮かんだが、私はすぐに振り払うことができた。仮にそうした意図があったにせよ、父様は今まで十分に良くしてくれた。此度の話とて、本来忌み子の自分には望めない程の話であった。それすら、私の意志を聞いて委ねて下さっている。感謝こそすれ……。
 父様に迷惑をかけまいとしていた母様のことを思い出し、私はお受けする意を父様に伝えた。




 いはかさ殿に嫁ぐことが決まり、先に内内にと彼と共に暮らすこととなり私はお屋敷を出た。だが彼は大変多忙で、すぐに任を受けて遠地へ旅へ出ることとなり、私はしばらく一人で生活することとなった。身の回りの事を自分でやるのはとても久しぶりで、料理などは酷いものだった。数日して私は暇をもてあます様になり、街へ出て気を晴らすようになった。
 そうして私は父様の噂を耳にした。

 曰く。なよ竹の輝夜媛、藤原不比等殿に蓬莱の玉の枝を求めるも用意されたるは贋物なり。求婚の場で真贋を看破され、藤原氏は恥じ入り身を隠した、と。
 更に、件の媛は蓬莱の玉の枝の本物なるを所持していたらしい、と。

 胸の内の火が、心焼けるほど大きく感じられた。母様がどんなに望んでも届かなかったものを、嘲笑って踏みにじることのできる奴がいる。そう思うだけで、たまらなく胸が熱くなる。我が身が惨めで、消し去ってしまいたくなる。身を焼く熱気がこのまま安穏とすることを許してはくれない。せめて一矢……。いえ、一泡吹かせるだけでも良い。何かしなくては収まらない。
 いてもたっても居られず私は駆け出した。
 それから私は輝夜について調べられるだけの情報を集めた。街に下りては風聞を集め、父様の屋敷に忍んで言っては使用人から話をきき、いはかさ殿ら官位の方にもそれとなく経緯を尋ねた。いつか……必ず……。胸に火をともして、私はそう思っていた。

 しばらくして、次の十五夜に輝夜が月に帰ると言う話をきいた。なんでも自分は元々月の民で、次の十五夜に迎えがくるから帰らねばならないと言っているらしかった。なんという荒唐無稽な話だろう。輝夜という女はどこまで狂言で周りを振り回せば気がすむのか。
 しかし、月へ行くと言うのは嘘でもどこかへ身を隠すと言うのは本当かもしれない……。いやいや、帝が月からの迎えを防ぐために戦人達を送ると言う。輝夜はそうやって盛大に帝を動かして置いて、その求婚を受けるつもりなのかもしれない。きっとそうに違いない。
 それはまずい。帝に嫁がれては、もう手の届く存在では無くなってしまう。会うどころか、姿を見ることすら難しくなってしまうだろう。その前に行動を起こさなくては……。でもどうすればいいだろう。本当に戦人が送られて月の迎えを迎え撃つ陣を敷いているなら、私が今から訪ねても輝夜に近づくことはできないだろう。
 悩んで家へと戻ると、いはかさ殿が任地より戻られていた。
「おかえりなさいませ」
「はい。ただいま戻りました。――殿」
「殿……。その言葉使いもかわりませんね、貴方は。もう私達は一緒になると言うのに」
「そうです。ですが心は違う……まだ、ですね。貴方もそうかしこまらないで下さい。話が急に決まったからといって、態度まで急にかえてしまうことはない。ただ共に暮らし、自然にしていけばよい。そう思っています。その内に、きっと心地よい距離がみつかりましょう」
 本当に私にはもったいない話、もったいない方であったと思う。この方の言う通り共に暮らしていけばその内に、自然とこの方を愛せるようになるだろう。そう思った。今はまだ、そうではないにしても。
「共に暮らす。と言われる割に、貴方様は留まられないようですが」
 私が笑ってそう言うと、彼は うっ と顔を青くして
「それを言われると返す言葉もありません……」
 そう押し黙ってしまうのだった。
「あはは、良いのですよ。冗談です。此度はいつまで居られるのですか?」
 そう言うと彼は更に顔を青くして
「申し訳ない。またすぐに発たねばなりません。帝より輝夜様の警護を仰せつかっておりますので」

 一瞬我が耳を疑った。この方は今、なんと仰られたのだろう。胸の内の火が、ごうごうと音を立てているようだった。

「どうか、しましたか?」
 私の様子を不振に思ったのだろう。父様があの女に恥を欠かされたことも、それに対して私が平静ではないことも、この方は存じている。心配そうに私を覗き込むこの方に、胸の内を覚られてはならない。
「いえ……またすぐに発ってしまわれるなんて思ってもみませんでしたから。そう、そのお役目、私も同行してはなりませんでしょうか?」
「え?急に何を」
「決してお役目の邪魔にはなりません。ただ、旅の間だけお傍において下さればいいのです。」
「いえ、ですが」
「貴方様はそうやって任で都を離れてばかり。これでは一緒になるもありません。そう、これからは私も貴方様に同行したいのです!」
 私が畳み掛けると、彼は ううむ と唸って黙ってしまった。私は彼の人のよさにつけこんでいる。そう思うと胸が痛んだ。けれど胸に宿る火が、そんな痛みすら焼いてしまうのだった。

「わかりました。今回は都からもそう離れていませんし、女官も同行する大勢での旅ですから何とかなるでしょう」
 ついには彼は根負けし、私は彼と共に輝夜の下へと旅立つことになった。
「はい。決してご迷惑はおかけしません」




 八日程の旅の後、竹林の中の開けた場所にある屋敷へと着いた。慣れぬ旅で手足が棒のようだったが、輝夜を思えば苦ではなかった。体より、心のほうが痛かったから。
 戦支度の人々が、屋敷の周りに陣を引いていく。胸に忍ばせた短刀を握り締めたが、物々しい武者達の間でそれは酷く小さく頼りないものに感じられた。勢い余って手に入れたものだったが、どうするかなどまったく考えていなかった。

「――殿、大丈夫ですか?慣れぬ旅でお疲れでしょう」
「いはかさ様……。いえ、私なら大丈夫」
「私は帝より輝夜様へと文を預かっておりますので、これから接見しなくてはなりません。明日の夜、十五夜は騒がしくなるでしょうから今の内に休まれたほうが良いですよ」
「いえ、大丈夫です。それよりも接見を?かなうなら私も同行したいのですが」
「それはなりません。これは私に下された任ですから」
 きっぱりと彼は言った。つけこむ余地が無いと感じた私は、あきらめて身を休めることにした。
「そうですか……いえ、そうですね。申し訳ありません。私は休むことにいたします」
「はい。明日の夜が終わるまでは私も時間が空きません。申し訳ないですが」
「いえ、お気になさらないで下さい。無理を言って付いてきたのは私なのですから。それにしても明日の夜。本当に月からの迎えが来ると、皆様思っていらっしゃるのですか?」
「そうですね。信じていない物も多いでしょう。ですがあの方を見たことがあるものはわかりません。かく言う私も……本当に月から迎えが来てもおかしくない。そう思うほど、お美しいお方ですから」
「そう……ですか」
 その時の彼の表情が父様と重なって見え、胸がいっそう痛くなった気がした。
「それでは失礼しますね。きちんと休んでくださいよ」
「はい」
 彼が去った後、疲れのためか布に包まってすぐに周りの音も耳に入らなくなり、深い眠りへと落ちていった。

 目を醒ますともう月が昇っていた。丸一日以上眠ってしまった……輝夜と直接会えるかもしれない機会だと言うのに、寝過ごしてしまったなんて笑い話にもならない。まだ間に合うだろうか。慌てて跳ね起きて、陣の中を見やった。
 物々しい警備がしかれ、静まっている。良かった。まだ何事も起きてはいないようだった。まだ?馬鹿馬鹿しい。何も起こるはずなんかないんだ。輝夜の狂言に自分までもが振り回されてなるものか。
 不意に周りがざわついた。何事だろう。皆の視線の先をみやると、館から傍に付き人を侍らせた一人の女がでてきた所だった。
「あれが、輝夜」
 胸の短刀を手の平の感覚がなくなるほどに握り締める。たしかに――美しい。地にある人のものとは思えぬ程に。
「だから……どうしたって言うのよ……」
 美しく生まれた。それだけで、周りを踏みにじる力が与えられるのかっ!!
 我を忘れて駆け出そうとした矢先、あの女が天を差した。

 月が降りてくる。そう思った。
 はたして満月とはこれほど大きなものだっただろうか。月光が煌々と差し、その光の階段に乗って天の人達が降りてくる。
 気が付けば、足が、体が石になったように動かなくなっていた。迎えを退けるはずの武者達も皆、微動だにしない。

 月から降りた一団の中から一人の女性が進み出て、輝夜の前に跪いた。
「お迎えにあがりました、蓬莱の姫」
「輝夜、と。それがここでの名です」
「では蓬莱の輝夜姫。我々と共に、月へお帰りくださいますよう」
「……わかっています」

 一団から別の女性が進み出て、やはり輝夜に跪いた。
「姫、お久しぶりです」
「まぁ、永琳」
「ずっとこの時をお待ちしていました。姫が地上に堕とされたと言うのに、私だけが月でのうのうと……」
「そんなこと、気にしなくてよいのよ永琳」
「いえ……ですがやっとお迎えにあがることができました。それなのに、何故姫はそうも辛そうなのですか?」
 輝夜は俯いて、自らの後ろに侍る翁と老婆を見やった。
「姫はもしや……。姫、姫が望むなら私は」
「まって永琳。それは駄目よ」
「しかし……」

 永琳と呼ばれた女性が口をつむぐと、すぐに最初に進み出た女性が口を開いた。
「さぁ、姫様」
「はい、わかっています」
 頷いて後、後ろを振り返った輝夜。
「お爺様、お婆様、なごり惜しいですがお別れの時が来たようです」
「輝夜……」
 輝夜は静かに首を振った。僅かの沈黙の後、翁達の更に後ろに控えていた者たちをみやった。

「いはかさ殿」
「――はっ」
「帝に、想いに答えられず申し訳ない、と。輝夜は月へ帰ったと、お伝えください」
「――畏まりまして」
「お願いします……さぁ、参りましょう」

 永琳と呼ばれた女性とその横の女性が立ち上がり、輝夜の両脇へと侍った。月の光が一層と強くなり、目も眩むかと思った。
 そのままどれぐらい、立ち呆けていたのだったか。気付いた時には、月の一団も、輝夜も消えていた。そうなってやっと、体が動くことに気付いた。
 私は何も出来なかった。あれほど強く思っていた筈なのに、ただ立ち竦んでいただけだった。輝夜はきっと、私と言う人間がここに居たことすら知ることはないんだろう。悔しくて悔しくて、涙が出た。あの熱い夏以来の涙だった。







 都へ戻ってから、どうやって過ごしていたのかよく覚えていない。
 ある日、しばらく忙しかったようでいなかったいはかさ殿が姿をみせた。
 彼は任でまた都を離れねばならない、と言った。そうですか、と私は言った。また共に来られますか?と彼は言った。どこへ行くのですか?と私は言った。輝夜様の残した蓬莱の薬を焼くために、もっとも天に近い山の火口まで、と彼は言った。

 輝夜が残した薬。私にはそれだけで十分だった。私にはそれしかなかった。

 はい、お供します。と私は言った。


 過酷な旅だったと思う。道のりはけわしく、また危険だった。どこから薬のことを聞きつけたのか、野党や私兵、妖怪にすら襲われた。
 はじめは多く居た彼の部下も、一人また一人と減っていき、彼もまた傷を負った。険しい山への強行も負担となって、火口のふちが見えるときには、とうとう私と彼二人だけになっていた。

 何故、私はあそこまで行けたのだろう。
 何故、私はあそこまで行けてしまったのだろう。

 火口のふちで背負っていた箱を下ろし、中から壺を取り出した。
「これを投げ込めば、任は果たされます」
 青い顔をして彼は言った。傷と疲労がが彼を蝕み、ここまで来ただけで限界なのは明らかだった。
「待ってください」
「――殿?」

 私は、迷っていたんだ。

「貴方はもう長く無い筈です。ですがその薬を使えば……」
「それは……できません。ここで私がそれをすれば、私を信頼して任を下された帝に。何より、この任のために命を落とした部下達に、申し開きができません」
 何故彼はああまで。
「貴方が倒れれば、私はどうなりましょう。女の身でここまでこれたことも奇跡のよう。貴方が倒れれば、私もこの地より戻ることはかないません」
 私が迷っていたように、彼も迷ってくれたのだろうか。もし彼がこの時……
「私は、耐えて見せましょう。任を果たし、貴方もかならず連れ帰る……」

「それは、できません」

 ずぐり。
 短刀が彼の体へと突き刺さり、僅かに残っていた立ち上がる力も奪い去った。
 真っ赤な血が流れでて、抱えた壺を紅く染めた。あの日の紅と同じように。

「貴方はここで倒れるし、薬は私がもらいますから」
「な……ぜ……」

 私も何かを成したかった。流されるだけで、何も出来ずに死んでいくのは嫌だった。不老不死を望んでなど居なかったけれど、せめて輝夜の残した薬を奪ってやったんだと言いたかった。心を燃やした残り火が、まだ胸を焦がすから……。

「さようなら、いはかさ殿。貴方を愛せればよかった……」

 彼の持つ薬の壺に手を伸ばすとどこに力が残っていたのか。彼は私を振り払い火口へと壺を投げ込んだ。
「だめ……駄目です。この薬は人の手に余る。ましてや貴方に!!」
 彼は、知っていたのだろうか。それこそ、今となっては知る由もなかった。

 私は壺を追って火口へと身を躍らせていた。空中で壺を抱きしめると、赤く煮える溶岩が眼前へと迫りつつあった。
 赤い溶岩、紅い壺、赤い母様、熱い、夏、火、煙が……
「ああぁぁああぁぁああ嗚呼あああぁあああああ!!!!!!!!」
 体が熱い、胸の火が爆発したよう、燃えている、炎が翼のように広がった。


 彼は赤く染まった身でうつぶせに倒れ、私が落ちた火口を見ていた。
「――殿。何故……なぜ……」
 事切れた彼の上に炎が吹き上がる。燃え上がった炎は鳳凰を象って、やがて私の体を生み出した。

「は、はは……本当に、不死の薬だったんだ。私は死ななくなったんだ」

 胸が、どうしようもなく熱かった。私は炎の中から彼の亡骸を見下ろしていた。

「――は貴方と共に往きましょう。私は……」赤く染まった母の姿。彼の姿。
 気付けば、夕日が差していた。地平線へと沈む、大きい大きい、あの日の月よりも大きく感じられる沈む日の光。
 今まさに消えんとしているのに、強い光で全ての物を赤く紅く染めていた。空に、月は見えない。

 私も紅く……。

「私はも紅。藤原妹紅」






 駿河の国の山の頂より 炎立ち上がり 不死鳥のたつ
 よってこの時より ふじの山と呼ばれらるる
人に歴史ありってけーねが言ってた。
しかも続きます。
でもオリジナル要素が強すぎるし受け入れられそうになかったら封印ということで。
怖いなー^^;

それにしてももこてるは妄想を掻き立てさせられますね。
竹取物語の資料と永キャラ設定txtをすり合わせてるだけでご飯三杯は行けますね。
ろっこー
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コメント



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20.無評価207削除
某所でごちゃごちゃとほざいてた者です。分からないなら気になさらず。
オリジナル要素が強いということは今まで読んだことがないものを読めるということ。期待していますので頑張ってください。
21.100名前が無い程度の能力削除
> 何故、私はあそこまで行けたのだろう。
> 何故、私はあそこまで行けてしまったのだろう。
うあー、ここ好きです。

やはり、お話のポイントはつきのいはかさだと思うのですが
妹紅との会話・関係ともに丁寧に描かれていて、新鮮でした。
ウホッ、いい男。

最後もうまくまとまってますね。読後もう一度見返しまたくなる…。

続き期待しております!
23.90削除
おもしろかったけど、いはかさ刺して終わりですかー……とウインドウを閉じようとしたら、
ぇ、続き物ですかっ!
これから続くというのなら、期待を点数に変えて、入点。