Coolier - 新生・東方創想話

こいしちゃんの初恋迷路 下

2011/12/18 06:22:40
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  『これは、こいしちゃんの初恋迷路 上 中 の続きです』




























                かごめ かごめ 籠の中の鳥は
                  
                 いつ いつ  出やる

                    夜明けの晩に

                   鶴と亀がすべった
         


                  うしろの□■□だあれ



 寺で遊ぶ子供達
 それを眺める 瞳 が むっつ
 
                                二人ぼっちの覚り妖怪


 闇に紛れて光る 瞳 は
 『 普通 』の者に恐怖を与える
 愚かな者は数を従え
 『 異形 』の物を退治に行った

                
                          『 居たぞコッチだ 』
                     『 見ろこの 瞳 人間の物じゃねぇ 』                          



 ― ねぇ、お姉ちゃん、どうして私達はキラワレているの
    どうして、お母さん と お父さん は、私達を殺そうとしたの
     どうして、お姉ちゃんは、泣いてるの
                                    ドウシテ?

 ― 仕方ないんです
    これしかなかったから 
     もう私達には、何も無くなってしまったんです 
                                    ダメダネ
   







            あの時の記憶は、まだ鮮明に覚えてる

   こいしが全て、忘れた日            お姉ちゃんが全部、諦めた日
 
 ソレ を、やった時のこいしは酷かった    ソノ あとの お姉ちゃんは駄目だった
 
    最初は、第三の瞳を潰し           最初から見ないふりをして
    次に村の人間を殺し             次の奇跡を信じずに
    最後は、母と父にも手をかけた        最後は何も残っては、いなかった

   それからこいしは、笑っていない       それからお姉ちゃんは、泣いていない  
                 彼女と出会うまでは












 ドーン ドーン と 花火が空を飾りつける
 今日は年に一度の旧都大花火大会
 鬼は騒ぎ、妖怪は足を止める
 旧都一の大祭り

 「とっ、言っても私には関係ないけどね」
 ( 私を誘う物好きなんて・・・ )
 パルスィは一瞬悩むと
 「こいし、か」
 ポツリと一言こぼした
 「よんだ?」
 いきなりこいしが横に出てきた
 「ぎゃあ!? 出た!?」
 「何それ酷い」
 こいしがジト目で見てくる
 「アンタが何処からでも沸いて出てくるのが悪いのよ」
 「ぇ~~~~~~~~~~~~~~~」
 「うるさいなもう」
 変な声を出すこいしを横目にパルスィは、呆れていた
 



 「ねぇ、パルスィ」
 こいしがパルスィに声をかける
 「何よ」
 「お祭り行かない」
 「めんどい、ヤダ」
 「 ヒドッ!! 」
 姉といい妹といいめんどくさいわ
 「ねぇいいじゃん、行こうよお祭り、楽しいよ」
 こいしがパルスィに擦り寄る
 「 い、や、よ、それに貴女、私が橋姫って事忘れているでしょ」
 皮肉をこめて言い返す
 「いや?忘れてないよ、ただ気にしてないだけ( えっへん )」
 こいしがない胸を張った
 「ばっかじゃないの! 私は嫉妬の橋姫なの皆、嫌ってるの、勇儀やさとりだって本当は   私の事を「そんなんじゃない!」」
 
 こいしが大きな声で、パルスィの言葉を断ち切る
 「え・・こいし?」
 何時ものこいしからは、想像もできないような大声にパルスィは戸惑った
 
 「勇儀姉さんも、お姉ちゃんも、キスメも、ヤマメも、お燐も、お空も、パルスィの事
  嫌ってなんか無いよ!!」
  
              こいしは、更に大きな声で








           「 それに私は、パルスィの事が!! 」

 そこで ピタリ とこいしが止まる
 まるで自分が何を言ったか解らないと言う顔をして
 「えっあぅぅ・・・」
 戸惑った様な声を出すと
 「ごめん、パルスィ!!」
 そう言って橋の上から消えた
 それを呆然と見ていたパルスィは
                                   「 ばか 」
 
                 と 一つ言葉をこぼした




















           何で私はあんなことを言ったのだろう 
  




       ただ何となく言っただけ                 否
            ただ                     定
             ただ 意味なんて無い 
                                   | 

                                   肯
       逃げたい事があったなんてらしくないなって        定
            最初から解ってたんじゃない
                       本当は
 





 頭の中で否定と肯定が対立して 心臓 が イタイ
 走っていた足を止め、周りを見渡すと
 何時も何も感じなかった人ごみが冷たく感じた

                               「 冷たいな 」

 こいしが ポツリ と零した言葉を返してくれる人はいない
 ただ意味の無い言葉が暗闇に消えた



     
        意識が無意識になって気付いたときは独りぼっちで
         ココ は、とても暗かったから瞳を閉じても

               コワくなかッた?



















                勝って嬉しいはないちもんめ
                負けて悔しいはないちもんめ
           
           あの□■□がほしい  あの■□■じゃわからん
           この■□■がほしい  この□■□じゃわからん
               
                そうだんしようそうしよう


                

     決ーまった



                      私がほしい□□□は







                 そこで目が覚めた
          周りを見渡してみるとさっき見た場所じゃなかった
                      
                               でも ココ は知ってる

      手が取れてしまった人形            ワタシガ捥いだ
      バラバラになった家族写真          もうダレカ解らない
      姉に貰ったペンダント        いつ貰ったかナンテ知らない
     
 
              此処は紛れも無い私の部屋


 
 思い出の詰まった大切な場所
                                  私の大嫌いな場所




                間違ってなんかない








 部屋から出ようとドアを開けると
 自分より小さい少女が立っていた
 
 「 お、姉 ちゃん 」

 お姉ちゃんは、無表情のまま

 「お帰りなさいこいし、良く眠れましたか」

                         と、単調な声で言った














           





   
                「 悪かったのは自分 」



      そう言うのは、とても簡単だった
   なにせ、この地で、この町で、この部屋で、響く声も
   
                     『 偽心 』 としか形容できないのだから



 最初に嘘を付いたのは  私
 そこから、歯車は狂って錆付いてしまった
 嘘 を 嘘 で塗りつぶして今は 正 なんて色は残っていない
 最愛の家族を見捨てた私には

           
            正解を語る権利など
                 とっくの昔になくしていた




 





 「さとり様」
 ペットが心配そうに私をよぶ
 「大丈夫ですよ、ただ考え事をしていただけですから」
 「・・・・」
 ペットは黙ってしまった
 だが、たとえ黙っていても考えている事はすぐに分かる
 これも覚り妖怪の能力である
 「ああ、そういう事ですか、今迎えに行きますから」
 そう答えるとペットは申し訳なさそうに
 「すいません、さとり様、あたいが行ければ良かったのですが」
 下を向いて答えた
 私はそのペットを気遣うように言った
 「しょうがないのですよ、この私でさえあの子の事は何も分からないのですから」
  

                   そう
         
               私にだって解らないのだ

           あの子が・・・古明地こいしが考えている事など  

                 今の私にとって
 
                最愛の家族こそが

                   最大の

                  他人だから

 だからこそこの気持ちに蹴りを着けなければいけないのに
 私はまだ逃げてる
 今日こそは、今日こそは、とこれで何度目だろう
 そんな事を何度も繰返し
                           また涙を流すのが 現実 なのに



















 「さとり様」 
 さとり様がまた自己嫌悪に陥ってしまった
 こうなると止まるまで時間が掛かる
 さとり様の昔からのクセだ
 はじめて会った時の方が酷かったが
 何せ最初に私達な言った言葉が

 『 私を信用しないで下さい 』

 だったから
 その言葉を聞いた時には意味が解らなかった
 けれど
 さとり様の能力と性格を考えたら解ってしまった
 たぶん 
 さとり様は全てに絶望したのだろう
 
 
 自分達を見る人間の瞳に
 愚かな者たちの行動に
 何も出来なかった自分に

 それでも 
 永久に歩き続けなければいけないこのレールを
 踏み外すことは出来なかったから
 全てに絶望しながら
 死んだように
 生きているのだろう

 だが
 これはあくまで仮定であり
 さとり様の本当の気持ちがどうかなんて知らないし
 もしかしたらもっと悲惨な過去を背負ってるかもしれない 
 今更、さとり様に問う気はないが
 
                        少しぐらい弱音を吐いてもいいと思う










 「では、失礼しますね」
 お燐は、そう言うと部屋を出て行った
 さとりは、独りになった部屋で 
 「もうあの頃には戻れないのですかね」
 と写真を撫でた
 
 ( 鍵は 彼女 ですか )
 
 私は写真を置くと部屋を出た
 地霊殿の廊下をゆっくり歩き
 一番奥の部屋の前に立つ
 ドアノブに手をかける前にドアを開けられた
 そこには私より背の低い妹が立っていた
 驚いたように私を呼んだので
 無表情のまま返した
                        「――――――――――――――――」


                     前に妹と話したのはいつだろうか
                    心が読めない物と話したのはいつだろうか

                           やはり私は
                            この子が苦手だ


 ( こんな時彼女ならなんていうでしょうか )

                       素朴な疑問が頭に浮かんでは

                                     消えた



















           先の見えない未来ほど
             残酷な物はないと気付いたのは
                       私が死んだ後だった

 何百年間この橋を守ってきた
 辛くて苦しい時もあったけど
 友達も増えた
 けど

                             また独りぼっちになる
                             何処かで怯えてる
 こいしに言った言葉も本当は自分に対する
 ちょっとした皮肉で
 こいしがあんなに起こるとは思っていなかった

 「馬鹿ね、本当に私は」

 暇つぶしの為にに知り合った奴に
 こんなにも悩まされるなんて
 
 「でもこんな日々も悪くないわね」

 なんて全然、私らしくないわ
 
 パルスィは、フフっと笑うと軽い足取りで橋を歩いた
 そのときうしろの妖怪にパルスィが、気付いていたのならこの話は丸く収まっただろう
 でも現実はそんな簡単に出来ていない 
 パルスィが足を止めた瞬間

 『 ゴッ 』と言う鋭い音と共に
 橋に倒れこんだ
 妖怪はパルスィを抱きかかえ
 
 「もうすぐ私達の念願が叶うわ」
              と闇に消えた




















                間違っている事を正すのは
                       当然だと思うよ

                  私、何か間違ってる?
             

 外で浮遊していて
 目を瞑って開けたら自分の部屋にいた
 もの凄くだるかったから外に出ようとしたら
 お姉ちゃんに掴まった
 相変わらず話し方に生気がないな
 まあ、私が言えることじゃないけど
 「それで何か用」
 早くしてほしいな、ここにいると気分悪くなるから
 「えっ? 私に話がある?」
 「別にいいけどどういう風の吹き回し」
 珍しい事もあるもんだな
 まあ話くらいなら
 「ん、地上、楽しいよ、皆いるし」
 最近はもっぱらパルスィの所にいるけど
 「え?ああ、多分、無意識だったんだよ」  
 合ってはいないけど間違っても無いよね
 「て、言うか、いきなり声かけてきたと思ったらそれだけ?」
 「もっと何かあるんじゃないの」
 どうせお姉ちゃんの事だから,私の事、気にして聞けないんだろうけど
 別にそんな事で傷つくたまじゃない
 逆にそうやってやられると頭にきちゃうよ 
 なんか私の機嫌とってるみたい
 めんどくさい
 そんな事しなくても聞けるのに
 「ねぇ、お姉ちゃん、私は、結論が知りたいの、何が言いたいの?」
 
  私は、お姉ちゃんの言葉を聞く事にした






   

             正しさなんて物はキレイ事なんですよ
              だから私は、間違いを突き通します
      
                 私、間違ってますか?

     
                        正直言って妹も話を聞くのは、辛かった
                       でもこれで本当に諦めが付くと思っていた
                            だからあんなに後押ししたのに                                あなたが悪いんですよ                    何時まで経っても自分の気持ちを理解しないから
                              なので私は貴女に言います                                   後悔しない為に                            「こいし貴女に話があります」
                       私から話し掛けたのは何時振りでしょうか
                          こいしがすごくビックリしています
                       まあ、珍しいとでも思ってるんでしょうね
                    単調直入に聞こうと思いましたがやはり苦手です
                            「最近、地上は楽しいですか」
                        こう言うのをチキンと言うのでしょうか
                          「そうですかそれは、良い事です」
                                別に良くはないでが                         「では、何であんな所にいたのですか」
                             大方ケンカしたとかでしょう
                     無意識ですか、まあ、間違っては、いませんね
                                「そうですか・・・」
                   と、言葉を紡ぐとこいしが嫌そうな顔をしています
                                 どうしたんでしょう
                                  「 つっ!? 」
                         こいしの言葉に少し戸惑ってしまった
                                気付いていたんですね
                     人の言葉を聞けるようになったのは良い事です                    まあ、この話を聞いても後悔するだけでしょうが
                            そこまで結論が知りたいのなら
                                  言葉にしましょう
                          例えこれが間違いでも貫き通します
                                妹に幻滅されようとも
                             もう、後戻りは出来ないから
                                  「 私は・・・」

                           私は、妹に言葉を言う事にした




















          どうしてこんなに、私は、間が、悪いのだろう

 目が覚めると知らない場所にいた                           立とうと思ったが縄で縛られていて立てない
 
 「どうしてこんな・・・」

 パルスィは、唇を噛み締めた
 やっと『 普通 』になれると思ったのに
 また、誰かが邪魔をする
 やはり私は、『 普通 』では、居られないのか


   ―― ならば全て壊してしまえ ――

 ズキリッ と、頭が痛んだ

 「うっ・・」
 小さなうめき声が出た
 すると何かに気付いたのか、暗闇から誰かが歩いてくる音が聞こえた
 暗闇から、何人かの妖怪が出てきた
 その中に居たボスみたいな妖怪が私の前に来て
 「初めまして橋姫さん」
 と、言うと
 「そして、永遠にさようなら!!」
 私の腹部を蹴り上げた
 「 がッ・・痛!? 」
 その衝撃で私の身体が宙を舞う
 
 ズザァァ

 下に落ちていた石に身体をずって止まる
 「きゃ、危ない、危ない」

 女の妖怪は意地悪く笑う
 私は、口から血を ペッ と吐くとその女を睨む
 「私なんかを捕まえて何が目的なの」
 女は、私の襟をつかむと引き寄せる
 「目的?決まってるじゃない」
 女は、にやりと口を揺るませた

    
             「地底世界に革命を起こすの」

 また頭が痛んだ
 
 「それでなんで私なの」                   く
 頭の中で聞こえる声が                    だ
 すごく、うるさい                      ら
 女は、私の襟を離すと高らかに笑った           殺 な
 「あはははは、アンタそんな事も分からないの」      し い
 アタマがイタイ                     て
 コエがウルサイ                     し
 「貴女は、嫉妬の姫よ、皆恐れているの」         ま
 コロセ、コロセ、コロセ、コロセ             え         こ
 コロセ、コロセ、コロセ、コロセ                       い
 「あんたを殺せば皆が、私を恐れるわ」                  黙 ら 
 ウルサイ、ウルサイ、ウルサイ、ウルサイ                 ら を
 ウルサイ、ウルサイ、ウルサイ、ウルサイ                 せ 
 「そしたら ‘ 上 ’ の威張ってる奴らも皆殺しね」          ろ
                                    
                                    
                プツン                             
 何かの切れた音がした      


  ―――――――――― 愚か者を血で全ての者に祝祭を ―――――――――――――
















 「私はパルスィの事が好きです」
 始めこの言葉を聞いた時、自分の耳を疑った
 「えっ?どういう事」
 あまりにも衝撃的だったから聞き返してしまった
 「だから私は、パルスィの事が「そういう事じゃなくて!!」
 違うそう言う事じゃなくて
 聞きたいことはもっと別の事で
 「じゃあ、貴女は、何が聞きたいのですか こいし」
 私の聞きたいこと
 「それは・・・」
 わからない
 「無いのですか」
 ない・・・訳じゃない
 でも
 何を聞けばいいか解らない
 「・・・」
 「そう、ですか、では、私は戻りますよ」
 さとりがドワノブに手をかけようとすると
 「まって」 
 こいしが手をつかんだ
 「なんですか」
 こいしは弱弱しく言った
 「ねぇ、どうしてパルスィなの?」
 「どうして男の人じゃないの?」
 さとりはこいしから一歩離れると
 「恋愛に性別など関係ありません、 それに 」
 さとりは、バラバラの写真を拾い上げ
   

                         「それは、貴女も同じでしょう?」
 
     また落とした



 「えっ!? それってどう言う「さとりさまっ!!!!!!」
 こいしの言葉は、お空の言葉によって遮られた
 「どうしたんですか、お空いつも入ってくるときはノックしろと「そんな事より橋姫が」
 一瞬にして、さとりと、こいしの目つきが変わる
 「パルスィがどうしたんですか、お空」
 「そっそれが・・・」
 さとりと、こいしは、ゴクリ と、生唾を飲んだ
 「第二の旧都異変をもくろむ集団に連れて行かれる所を「なんですって!?」
 さとりは困惑する
 「お空っ!!」
 さとりが大声を出す
 「はいっ」
 「今すぐ勇儀さんに連絡してください」
 「はい」
 お空は、そくささと行動を始めた
 「私も行かなければ」
 さとりがそう言うと
 「お姉ちゃん!!」
 こいしがさとりを呼んだ
 「こいし、貴女は此処に居なさい」
 さとりは、まるでこいしの心を先読みしたか様に言った
 「つッ!?なっなんで」
 戸惑ったようにこいしが言う
 「今から、行くのは、とても危ないところです」
 「そんなの解ってるよ、だからこそパルスィを」
 さとりは、一つ溜息を吐いた
 「こんな事は言いたくはないんですけどね」
 「な、に」
 さとりは、こいしを蔑む様な目で見る
  
 「 今の貴女は、無能です 」

 さとりの言葉が棘のように刺さる
 「な、ん・・で」
 姉にこんな事言われたのは、初めてだった
 「一つの事で悩みすぎてる、だから何も出来なくなる貴女にやって貰う事などありません」
 さとりは、呆然としているこいしを無視してドアを閉める
 
   バタンッ

 こいしは独りぼっちになった部屋で
 人形を抱きしめた





















              生まれてこなければ良かった
                  なんて
               これで何度目だろう       

 
 いたい、な いたい、な
 頭が心が身体が
 誰のせい此れのせい
 じゃあ殺そうか、そうしよか
                             手のひら変えて突き刺すは
                            誰の身体、真っ赤か
                              私の服は、赤く染まり
                             この地にきれいな花咲かす

          真っ赤に染まったこの地には
           だあれも居ないよ
            さよならよ
          きれいに染まった彼岸花
            貴女にあげましょ
             さようなら
          遠くに逝っちゃう貴女の為に   
            私が作った死のお花








 「パルスィ!!!」
 勇儀が私の名前を呼ぶ
 助けに来てくれたの?
 でも遅かったね
 もう彼女達は死んじゃったよ
 生きているのは、私だけ  
 怒った?呆れた?
 それとも
 心配してくれた?
 
 どーでもいいけど
 
 あっ、さとりだ
 なんか凄い顔
 恐い、恐い
 こいしは、来てくれなかったの?
 私のこと嫌いになちゃったのかな?
 やーだな、やーだな
 つまんない

 わっ、勇儀にお姫様抱っこされた
 高いな、高い、うん
 皆、なんか言ってるけど解んない
 まあいっか 
 でもね、すごく今日疲れたの
 だから眠ってもいいよね
 

                  今宵、私は死にました
















             


               
                あなたに話があります
                      と、さとりに呼ばれたのは
                           パルスィを運んだ後だった










 「どうゆう事だそれ!!?」
 ドンッ、と机を叩く音と、勇儀の声が部屋に響いた
 「だから、今、言った通りです、パルスィは、相当のショックで人格が変化しています」
 勇儀は、ソファーに腰掛けた
 「元に戻す方法は無いのかい」
 さとりは、首を縦には振らなかった
 「今パルスィには会えるかい」
 「無理な、質問ですね」
 勇儀は、下を向いた
 「そうか・・」
 「しょうがないのです、今の彼女は狂気なのですから、」
 「狂気か、」
 勇儀はほつりと一言零した
 「そういえば、お前さんの妹はどうするんだ」
 ひょい と勇儀が聞いた
 「それは、あの子、本人が決めることです」
 さとりは、机に置いてある茶菓子を齧る
 「どう転んだとしても、後悔はしません」
 勇儀は、その言葉を聴くとにっこり笑った
 「お前さんがその調子ならだいじょぶだな」
 「そうですか?」
  「ああ、大丈夫さ鬼は嘘付かないよ」
 勇儀は、さとりの頭をクシャリと撫でる
 「じゃあ私は帰るよ」
 勇儀がそういうと
 「あの勇儀さん・・・」
 さとりが勇儀を呼んだ
 「なんだい」
 そう聞くと
 さとりがか細い声で
 「こいしにこの事を伝えてくれませんか」
 と、いった
 勇儀は大きな笑顔を返した
                                 「了解」



















                
                  幸せの作り方?
                   そんなの知らないよ
                      だって壊したもん
            
 独りぼっちになった部屋で私は
 人形を抱きしめたまま座っていた
 
 ―― 貴女は無能です ――
 
 さっきの姉の言葉が頭をよぎる
 なんでだろ、苦しい
 抱きしめていた人形を強く抱きしめる
 
 ギュウウウウウウウウウウウ

 コンコン
 
 扉を叩く音が部屋に響いた
 
 「?どうぞ」

 入ってきたのは、勇儀姉さんだった
 「つっ!?勇儀姉さん」
 姉さんは、わらって
 「久しぶりだなこいし」
 てっ言った
 

 「その様子だったらパルスィ平気だったんだね」
 そう言ったら
 姉さんは首を横にふった
 「まさか!?」
 「いや、生きてはいるよ」
 ホッ 安心した
 「じゃあどう言う事」
 姉さんは、ちょっと口ごもって
 「今、パルスィの人格がおかしんだ」
 「えっ?」
 「だから、パルスィは、壊れてしまったんだ」
          
          壊れる
        昔の私みたいだ

 「それで私をどうしたいの」
 少しだるそうに聞いた
 「パルスィに会って来てほしい」
 「無理だよ」
 即答した
 「なんでだ?」
 「だってそういうの私に向いてないもん」
 嘘、本当は、会うのが怖いだけ
 「向いてないとかあるのか?」
 ないけど
 「どうして私に頼むの、お姉ちゃんに頼めばいいのに」
 お姉ちゃん、パルスィの事好きなんだし
 「それはな」
 姉さんは、息を貯めた

             「 お前さんがパルスィを愛してるからだよ」

 この言葉を聞いた時、私の仲で何かがはじけた
 「 どう、して そんなこと」
 「見ていれば解るよ、お前さんすごく悩んでる、それくらい好きなんだろ」
 
 
 バシャンッ


 私の ココロ が湖に落ちた
 やっと、やっと答えが出た
 ずっと、ずっと探していた答え                  「見つけた」

 私は、どうやらしなくて良い遠周りをしてたんだね
 こんなに近くにあったのに
 
 ごめんね、お姉ちゃん、どうやら応援できないや
 その代わりもう逃げないよ
 自分の気持ち
 
                       今                
                    第三の目が開いた

 「自分に決着はついたか」
 姉さんが易しく言った
 「うん!! ありがと姉さん」
 「そうか、じゃあ、パルスィの所に言ってやれ」
 「はい」
 私は元気に言った
 









 廊下を走っているとみんなの声が聞こえた
 
 『 がんばって 』

 皆、知ってたんだね私の事
 ありがとう
 後押ししてくれて
 ありがとう
 心配してくれて
 ありがとう

 大好き



















 「パルスィ!!」
 私は、パルスィの居る部屋を思い切り空けた
 「こいしっ」
 その途端パルスィが抱きついてきた
 「さびしかったよわたしねまってたの」
 姉さんが言ってたのはこう言う事か
 まるで子供だよ
 「ねえパルスィ」
 私は、出来るだけ優しく声をかける
 「なーに」
 「前のパルスィ知らない?」
 何聞いてんだ私・・・
 解る訳ないじゃん
 「しってるよ」
 「ええっ!?」
 知ってるんかい
 心の中でそっと突っ込みをいれる
 「何処にいるのかな」
 「ここだよ」
 パルスィが差したのは心臓
 つまりパルスィは、                   「 ココロにいるの? 」

 「うん、でもよんでもでてきてくんないの」
 「なんで?」
 聞いてみる
 「わかんなーい」
 「そう」
 やっぱり子供だな
 喋り方が幼い
 でも、パルスィはココロにいるのか
 なら・・・
 「ねぇパルスィ」
 「んー?」
 「 ソッチ 行っていい? 」
 私が連れて行くの
 「うーん」
 パルスィが難しい顔をする
 「だめ?」
 「じゃあこいしは特別だからいいよ」
 「ありがと」
 少し罪悪感 
 元のパルスィが戻ったら君は消えちゃうんだよね
 「じゃあ、いくよ」
 「うん」

 パルスィの心臓の所にでこをくっつける
 私はパルスィの心の中に入った
 
 「此処がパルスィの心の中・・・」

 そこはまるで、お城だった
 橋姫って言うからお姫様だとは思ってたけどこれほどとは
 
 「おじゃましまーす」

 中に入ると誰もいなかった 
 あたりまえか
 外に出ると赤い橋が現れた
 そこには、長いストレートの少女が立っていた
 養子は全然違うけど間違いない

 「パルスィだ」

 少女は、私に気付いて後ろを向いた
 
 「 こ、い、し、? 」
 「うん」

 そう言われた瞬間
 涙が溢れた

 「ちょっどうしたの?」
 「ううん嬉しくて」

 そういってパルスィを抱きしめた
 
 「えっ!?何」
 「ごめんね、私ずっときづかなかった、パルスィの事」
 抱きしめる力を強める
 「ありがとう、パルスィ、私を愛してくれて」
 「そっそんなこと」
 「ありがとう」
 私はパルスィに一番伝えたい言葉を言った
 「帰ろうか」
 パルスィは コクリ と首を振った
 
 

 

 「じゃあ手を貸して」
 白くて小さい手が私の手の上に乗る
 「いくよ」
 



 

 



 










 目が覚めて気付くと私達はベットの上にいた
 私は、眠たそうに目を擦るパルスィに
 「おかえり」
 と、いった
 そしたらパルスィは、 
 「ただいま」
 てっ言ってくれた
 うれしいな



 パルスィが置き上がろうとしたから手をつかんだ
 「な、に」
 「もう少しだけ一緒にねよう」
 パルスィは、少し笑ってベットに寝転がると
 私を抱きしめた
 
 「こいし」
 
 「うーん?」
 
 「あいしてる」
  
 「うん」

 「私も・・・」

                           パルスィの事、愛してるよ

 

 















      おまけ?

 「いいのかいこれで?」
 「いいんですよ、それに私じゃあそこまで行けないでしょう」
 「そうか・・・」
 「此れが私の望んだ結末ですから」
 「じゃあ今からやけ酒とでも行くか」
 「そうですね行きましょう」
 「よしゃっ」
 「勇儀さんのおごりで」
 「わかってるよ、さあ、いこう」

                    旧都の光は永遠に消えなかった
 
 どうも、ひさびさの蒼862です
 受験勉強忙しく
 此処でやっと完成
 こんなに長くする気は無かったんですけどね
 でも良かった、良かった
 二人とも幸せになりました
 さとりんや勇儀は何だかんだいってみんなの事が大好きなんだと思います
 最後に一つ    
            
             こいパル流行れ
蒼862
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コメント



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4.100名前が正体不明である程度の能力削除
こいパルいいよねん。
6.100名前が無い程度の能力削除
これは凄くいい…
こいパル流行れ
9.100名前が無い程度の能力削除
とてもいいこいぱる
ありがとうございます!