Coolier - 新生・東方創想話

相死相愛

2011/12/16 02:09:41
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西行寺幽々子は私、八雲紫の大切な友人である





しかし、もう彼女はこの世にいない





なぜ?



殺したの?


私が殺したの?


私がこの手で殺したのか?


殺したかったの?


違う


彼女は大切な存在だった?


とても大切だった


大切ならなぜ殺したの?


好きではなかったの?


好きよ


私は幽々子を欲していた


彼女の何を欲したの?


体?


心?


能力?


解らない


どうしてこんな事に?


私は彼女に何を期待したの?


何を望んでいたの?


何を求めたの?


私が望んだのは


このままずっと、変わらず、一緒に、


友としていたかった



本当に?


それは本心ではないでしょ


素直になりなさい


・・・本当は?


私は彼女が、西行寺幽々子が好きだった


友人としてではなく、同じ女という性でありながらも


私は彼女が心から好きであった

























白い雪が夜の白玉楼に降り積もっていた

その建物の一室で西行寺幽々子と八雲紫は酒を酌み交わしていた


紫「雪が止んで月明かりに照らされる白玉楼、風流ね」

幽々子「もし、ここに殿方がいたら最高の御もてなしになっていたわね」

紫「そうね、最高の風景に、最高の美女が酌をする。殿方にとっては最高の一夜になるでしょうね」

幽々子「ふふ、紫のえっち」




酒を飲んでいた紫は酒を吹き出し、むせかえりながら突っ込む



紫「そっちがふってきたんでしょ!」

咳きこみながらも幽々子を睨みつけるが

幽々子「良いわ~、やっぱり紫のリアクションは面白いわ~」

と、暢気に笑いながら背中を擦っている



少ししてようやく落ち着いた頃に幽々子は私の顔を自分の胸に抱き寄せてきた


幽々子「・・・ねぇ紫、あなたは今幸せ?」



急に冗談を言ったり、変な事聞いたり、やはりこの子は食えないと思いつつも答える



紫「そうねえ、一手取られているのは気になるけど嫌いではないわ」

幽々子「そう。・・・紫、あなたは昔の私を知っているのよね?」





幽々子の話の雰囲気が変わった




紫「・・・知っているわ」

幽々子「私ね、ときどき思うの。紫は私に会いに来てくれているけど、もしかしたらそれは
    
    今の私にではなくて、私の知らない過去の私に会いに来てるのかなって」

紫「・・・どうしてそんな事を聞くの?」


幽々子「・・・どうしてかしら、わからないわ。でもね、

    結果はどちらでも良いのよ、私は今を堪能したいの」


幽々子は紫を抱きしめながら頭を撫でた




幽々子「知ってるかしら?幽霊と亡霊の違いを」


紫は反応しなかった


幽々子「亡霊ってのはねこの世に未練や生への執着心が強く残ってしまった者なのよ

    そのため未練が解消されれば亡霊は只の幽霊となって閻魔の所に連れて行かれる

    ・・・私はね紫、あなたが好きよ。友としてじゃない、恋人としてあなたが好きよ」


    


紫は気が付いた

この子は、もう覚悟が出来ていると

しかし、



紫「駄目よ、幽々子。私は・・・私はまだこのままでいたい」

幽々子「お願いよ紫、私の気持ちを聞いたでしょ

    あなたの気持ちも聞かせて」



食いさがらない幽々子に紫は強く抱きしめながら言う


紫「だって、そんなことしたらあなたを、また失ってしまう・・・

  一度ならず二度も、しかもこんどは私の手でだなんて・・・

  私、二度もあなたを失ったら・・・生きていけない・・・」




涙を流す紫に幽々子はそっと語る



幽々子「平気よ、あなたばかりに辛い思いをさせたりしない

    わたしもあなたも一緒になれば辛くはないでしょ」


紫「・・・私も一緒に行って良いの?」




涙ながらに紫は尋ね、幽々子は穏やかに答える


幽々子「勿論よ、あなたと一緒ならどこへだって行けるわ

    私の力であなたも一緒に、だからね、

    私の望みを叶えて」





紫「・・・わかった、私も、あなたと一緒ならどこへだって行ってみせるわ

  ・・・だから、もうしばらく甘えさせて」


そう言って私達はお互いに身を強く抱き合わせた


















どれほど時間が経ったのだろうか






10分?

1時間?

それとも1分?

わからない





しかし、紫と幽々子は顔を見つめあいお互いに悔いが無い事を確認しあい、

最後の言葉を述べる




紫、幽々子「「私が求めるのは、あなたの、”愛”」」




そして二人は唇を重ねる




二人の愛情がお互いを満たし、幸福を感じとり、心も体も温かくなり








そして殺しあった




紫は心で、言葉で幽々子を殺し、



幽々子は己の能力を使い紫を殺した























朝日を浴びた白玉楼の一室には紫の姿だけがあった



紫「そうよ、あの子の能力は私には効かないのよ・・・

  馬鹿ね、私ったら・・・

  でもね、大丈夫よ幽々子、今からそっちに行くから」






そう呟くと紫は隙間を開いた






中からもう一人の八雲紫が出てくる


紫「おはよう、二日前の私」

紫Ⅱ「おはよう二日後の私」

紫「何か聞いておきたい事はある?」

紫Ⅱ「大丈夫よ、幽々子はこっちで何とかするから

   あなたは安心して死んでいきなさい」

紫「・・・そうさせていただくわ」



紫は小さい隙間を開けてその中に手を差し込み何かを引きずりだす


その手の中には自分の心臓が握られており、それを見つめながら一言


「いってくるわ」


そして、握りつぶす



















こうしてこの幻想郷は何も変わらずいつものように一日を迎える




二人の愛は誰にも気づかれず

二人の死は誰にも気づかれることはない













終わり
はじめまして北野風です
お酒の力を借りて作りました
改めて読み直すと恥ずかしいですね

最後までお付き合いいただきありがとうございます
北野風
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コメント



0.280簡易評価
2.無評価名前が無い程度の能力削除
台本形式じゃ無かったらかなり良い
5.100名前が正体不明である程度の能力削除
台本形式でなくていいな。
話はいい話だぞー!
6.70とーなす削除
んー、正直よくわからない部分が多かったです。
しかしこれ以上描写を増やすのも無粋のような気もするしなあ。

雰囲気がよかったです。それと、タイトルも好き。