Coolier - 新生・東方創想話

これは酷い

2011/12/02 18:02:27
最終更新
サイズ
11.46KB
ページ数
1
閲覧数
1048
評価数
4/26
POINT
790
Rate
6.04

分類タグ


「青娥の様子がおかしい?」
 と、ちゃぶ台の前に正座していた神子はそう言う。
「そうなのじゃ」
 そういったのは布都である。
 昼下がりの仙界。そこにある大祀廟の居間で、二人は一緒にお茶を飲んでいた。
 この者達は読者も知っての通り、今回の神霊異変を起こした張本人たちだ。今は仙界に移り住み、ほのぼのとした日常を送っている。
『ゆるしてヒヤシンス(てへぺろ)』いやそういう日常じゃなくて。
「娘々が……。しかしそういわれても私にはしっくりきませんね……」
 と言うのも、青娥は常時おかしい気がする。様子がおかしくなったと言われてもしっくり来ないのは当然(?) なのである。
 ……最近では青娥の可愛い物好き成分が神子にうつりつつあり、布都と(この場にはいないが)屠自古を見るとどうしても抱きしめたくなる衝動に……ゲフン、何でもありません。気にしたら負けです、絶対に。
「とりあえず、我にとっては意味不明な行動なのじゃ。太子様には言っておいた方が良いと思った次第ですゆえ」
「そうですか。では、一応聞いておきましょう」
 別に、自分には関係ない、そう思っていた時期が、神子にもありました。
 次に発した布都の言葉で、その考えは空を飛ぶ天狗よりも速くどこかへ吹っ飛ぶこととなった。
「最近、青娥は我を見ると、芳香と一緒に抱きついてくるのじゃ」
 ……は?
 私の聞き間違いでなければ、青娥は布都に抱きついてくるという内容でしたが?それは私に対する「喧嘩売ってやんよ!」ってことですか?
 布都は私の大切なよmゲフンゲフン仲間ですよ?
 ……でも、もしかしたら、もしかしたら聞き間違いかもしれません。神子は僅かな希望(のようなもの)をもって、布都に「もう一度いってくれますか?」と言った。
「ですから、青娥が我に抱きt「今から少し娘々と話してきます」
 布都の話を途中まで聞いて、ああこれはだめだなと思った神子は彼女なりの突っ込みを入れると立ち上がった。
「あの……太子様?」
「はい、なんでしょう?」
「顔が怖い――」「何か言いましたか?」
 ニコリ。
 次の瞬間、布都はうーん、と唸って気絶した。
 当然だ。神子のその笑顔は、絶対に、断じて笑顔ではなかったからである。布都は尸解仙だから良かったものの、常人なら気絶どころではすまないだろう。
「太子様、いらっしゃいま――」
 そして、その笑顔は屠自古へも飛び火した。
 次の瞬間には、その恐ろしい顔を見た屠自古は、ただ一緒にお茶をしても宜しいですかと部屋に入っただけなのに、ただそれだけなのに……気絶させられた。これは酷いとはこのことだろうか。
 その様子を見た神子は、自分が気絶させたと言う自覚を持っていたので、毛布を取り出して二人にそっとかけてやると、(抱きついてから)部屋を後にした。


 神子は青娥を探す。
 その顔はとても恐ろしく、恐らく見た者は、何故そんな顔をしているのだろうなどという疑問を抱く前に、二人のように気絶をさせられるだろう。
「あの邪仙はどこにいやがるのでしょう」
そして 探すこと約5分。青娥が神子の視界に入った。
神子は足を速めた。ああ青娥逃げろ!
「あら?」
 青娥が向かってくる神子に気づいた。
「豊総耳様、お急ぎでどちらに……」いや気付いて……。
 次の刹那、青娥の視界がおかしなことになる。突然空を飛んでないはずなのに、自分の足が地面から離れると、何故かクルクルと視界が回り、一気に体が急降下、地面に叩きつけられた。
 どういうことかしら。別に痛そうにする様子も無く青娥は起き上がろうとすると、彼女の体が神子の右足に踏まれてそれを阻まれる。
「どうですか?私の『神子神子式ウルトラスーパーJTR(ジャンピング・ザ・ローリング)背負い投げ』の威力は?」
「あら、凄いネーミングセンスですこと」
「お褒めに預かり光e「いや褒めてねぇし」
 皮肉たっぷりに言ったおつもりでしたのに、そういう顔をして青娥は立ち上がろうとするが、神子の足が邪魔して立てない。
「どういうことでしょう?」
「とぼけてもダメですよ」
「いや本当に何のことか分からないですわ」
「布都を抱きましたね?」
「私レズビアンじゃありまs「いやそういう抱くじゃねぇよ」
 こういう時って人って口調変わりますよねー。ゑ? 自分だけ? おっかしいなぁ。by作者
「布都のことを、あなたのキョンシーにしているみたいにギュッとしたでしょう?というかしましたよね?」
 そう言って、神子は、先ほどの二人を気絶させた笑顔を作った。しかし青娥は全く動じなかった。それどころか、その笑顔に返事をするように自分も笑顔を作ってみせる。
「ええ、しましたわ。それが何か?」
「それが何か、じゃありません」
 神子は笑顔のままため息をつくと(笑顔のままため息をする人って、過去も未来も彼女だけだと思う)、「あのですね」と一呼吸おいてからこう言った。
「布都をギュッとしていいのは私だけなのです。わかりますか?」
「いや突っ込むとこそこ!? 私の予想していた突っ込みより180度程ずれていましたわよ!?」
「娘々、あなたが想像していた突っ込みなど、私にはどうでもいいのです。布都をギュッとした、そこが重要なのです」
「そんなどうでもいいこと押し付けないで欲しいですわよ……」
「じゃあ聞きますが、あなたは自分の芳香が他人にギュッとされたらどう思いm「そんなことしたら私が直ぐに音速を超える速度でそんな野郎のところ行って殺して差し上げてやりますわ」
 ……本当に芳香への思いは異常ですねこの邪仙は。見ていて呆れます。私だってそんなに露骨に布都を可愛がりませんよ……。
「まったく……。もうあなたに何を言っても無駄なようですので、最後に。これ以上布都に手を出したらただじゃおきませんよ」
「そうですか。それは楽しみですわぁ……」
 おいこの邪仙本当に話を聞いていたのですか?楽しみとかふざけているでしょう。
「はぁ。それともう一つ」
「今最後って言いませんでした?」
「五月蝿いです黙っていてください。……あなたには芳香がいるでしょう。なぜ私のよmゲフン!布都を抱いたのですか?」
「そんなの簡単です。私の可愛い芳香と同じくらい可愛い尸解仙だからですわ」
「あらそうですか」
 神子は青娥を踏みつけている右足に全体重と力を加えた。ミシミシと骨が唸っているのが分かる。だが、神子は気にせず踏み続けた。しかし、それでも青娥は涼しい顔をしている。
「……そうそう、それと」
 青娥が口を開く。「私はいま、可愛い尸解仙と言いました。それはどういう意味か分かりますか豊総耳様」
「……布都を可愛いといっていいのも私だけです」
「豊総耳様は何を言っているのでしょうか? 私は布都ではなく尸解仙と言ったのですよ?」
「はい? それはどういう――」
 その瞬間、青娥はクルンと体を回転させた。全体重と力を加えていた神子は右足が彼女の体から滑り落ち、それに伴って神子の体も倒れた。
 しかも、倒れた方向に青娥がいたのがいけない。青娥は神子の華奢な体をキャッチすると肩に抱える。
「まさか、尸解仙という対象に豊総耳様が入っていないとでもおもったのですか?」
「……へ?」
 状況が全く読めない。
「ふふ、その可愛らしい顔立ち、華奢な体、スラリとした足……。芳香の次に完璧ですわ豊総耳様!!!」
「次に言うなああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ようやく理解した瞬間に言われた言葉に、即座に突っ込みを入れた。
「さあ、行きましょう!私の『娘々パラダイス(自室)』へ!」
「え? ちょ、まっ! 離してください! 離して! いやああああ!!」
 

「誰か助けてください~!!!」
そう叫ぶ神子の姿を、一人の亡霊がカメラを持ちながら眺めている。
 蘇我屠自古である。
 屠自古はカメラを構え、神子と、神子を連れ去る青娥に向けてシャッターを押した。とたんにフラッシュが焚かれるが、神子は気付かない。
「ありがとうございます道士」
 そういって彼女は微笑んだ。


 事は数日前にさかのぼる。
 お茶菓子を買いに人間の里に来ていた屠自古は、用事を済ませると少し里をうろついていた。里はにぎわい、屠自古はそこにいるだけで楽しかった。
 そして帰り際の事。屠自古は里の民家近くにあるものを見つけ、彼女はそれを拾った。
 ――なんだろう、これは。
 それは、屠自古は今までに見たことのない変な形をしていた。そう思うのも無理は無いだろう。
 そこで彼女は仙界に持ち帰り、気は進まないが青娥に聞くことにした。
 青娥は珍しく快く答えてくれた。「これは確かカメラと言うものですわ」
「カメラ?」
「ええ、詳しいことは私も知りませんが、何でも、これを使って目の前の景色を一枚の絵にして切り離すことが出来るのだとか」
 屠自古は自室に持ち込み、そのカメラなるものをながめていた。
「一枚の絵にして、ねぇ……」
 こんなちっぽけなものが。屠自古は信じることが出来ない。当然だ。初めて見たのだから。
 だが、そのちっぽけなものをながめていると、ふとあることに気付いた。
「……なにかしら、これ」
 なにかボタンみたいなものがついている。
 じーっと見つめる屠自古。何を思ったのか屠自古はそれを押してみた。と、次の瞬間。
 パシャッ!
「きゃ!」
 突然閃光をはなったそれを、つい手から落としてしまう。手から落ちたそれは、ジーと音を立てながら、下部から一枚の紙を出し始める。
 しばしの間、恐怖のようなものが屠自古を硬直させた。
 ……ゴクリ。覚悟を決め、落としたカメラと、カメラから出てきた紙を手に取ってみた。そして驚愕する。
「……!?」
 その紙には、自身の胸から上の体と、部屋の背景の一部を映し出していたのだ!
 成る程、これがあの邪仙のいっていた事か。一枚の紙に、景色を絵にして切り出すと言うこと。
 これは面白い。そう思い、屠自古はさらに興味深くカメラを調べる。するとさらに発見があった。
 カメラの後ろに、目の前の景色を覗くことができる窓のようなものがついている。そうか、ここを覗いて先ほどのボタンを押すと、そこが絵になるのか。
 ためしに覗いてパシャリ。……ほらね、やっぱり私の思ったとおりだわ。出てきた絵を見て屠自古はそう思う。
 屠自古はもっと面白くなって、もう1回ボタンを押そうと――ふと、指が止まる。もしかしたらこれって、切り出せる風景にも限りがあるんじゃないかしら?
 そう考え、ボタンから指を離した。危ない危ない。危うく一枚無駄にするところだったわ。
 屠自古はカメラを畳の上におく。では、残っている分は何に使おうかしら。
 はっ! その時、屠自古に電流走る!
 これはもしかしたら、神から私への挑戦なのかもしれない。これで私が何の風景を切り出すかを試しているんじゃ?
 とするとどうしようかしらと、屠自古は考え込んだ。これは何に使うべきか。
 そうこう考えていると、彼女の頭の中にひとつの考えが浮かぶ。
 ――太子様のお恥ずかしい姿を、私だけのものにできたら?その姿を身近に見られる私の絵に出来たとしたら?


 その時から彼女の計画が指導した。
 太子様は意外とガードが固い。お恥ずかしい姿など簡単には人目に晒さないだろう。
 ならば無理やり……。いやだめだ屠自古、そんなことをしたら私は絶対に嫌われる。というか、太子様のお側にいられなくなる。
 

ふふ、そうだ……。


「と言うことなのですが」
「残念ですが断らせていただきますわ」
 ですよね、と青娥に向かっていった。
 彼女に頼めば私は嫌われず、しかもおかしな行動をしている(主に芳香を撫で撫でしたりとかしたりとかしたりとか(大事なことなので二回ならぬ三回言いました)) 青娥なら計画に利用しても全く問題は無いと思ったのだけれど……。やはりだめか。
 ……ふふふ、でも、そう簡単には。屠自古は懐から、断られたときのための奥の手を取り出した。
「あら残念だわ。協力してくれたらこの……」
「!!!」
 三枚の絵を青娥の前に出した。「芳香の絵をあげようと思っていたのに」
 その絵には、青娥の可愛がるキョンシーの姿。
 青娥は完全に動揺していた。もうカメラを使って絵にすることが出来なくなる可能性はあったが、奥の手を用意するにはこれしかなかったのである。
 青娥は涎をたらしてその絵を食い入るように見ていた。畳には既に彼女の涎による水溜りが出来ていた。ふふ、そんなに欲しいのですか?
「ま、協力しないと言うのなら仕方ないですね。では」
 ふたたびそれを懐へ……しまう前に、青娥は「あー待って待って待って待ってえぇぇ!!!」と必死で食い止めてきた。
 テー↓テー↓テー↓、テレレテッテテー、青娥をゲットした。
 ふふふ、では道士、あなたの事は存分に使わせていただきますよ。ふふ、ふふふふふふ……。


 三枚を渡す、と言っても、計画が完全に終わったときにすべてを渡す。いわゆる報酬という物だ。最初に一枚渡しておき、終わったら残りのを渡すことで、相手を完全に操り人形にすることが出来る。
 予想通り、彼女は良く働いてくれた。と言っても、1つしか命令していない。太子様が行動を起こすまで、一日一回、必ず布都に抱きつき、太子様が行動を起こしたら青娥の自室へ連れ込むこと。ただそれだけである。
布都に抱きつけ、と私がいったとき、彼女は渋い顔をしたが、絵をヒラヒラと見せるとしょうがなく「分かりましたわこのクズヤロウ」と思い切り皮肉をぶつけながら行動に移してくれた。
 そしてその先は思いの行くまま。事はあまりにもスムーズに進む
 青娥がおかしいと心に思った布都は太子様に相談。青娥の可愛い(以下略がうつりかけていた太子様はそれに怒り、青娥を探す。この時、様子を見ようと部屋に入った私は太子様に気絶させられるというドジを踏んだが、気合で復活。
 あとは青娥が上手く話をつけて(あんなに相手を言いくるめることが出来る人はそう居ない)彼女の自室行き。そこで隠れて私が絵を作りまくりまくる、という訳。


 私は青娥へ絵を渡すと、自室にこもって太子様の絵を見つめていた。
 ふふふ、すべては――。









 すべては、計画通り。
 おまけ1

 文「ねー椛ー、私の昔使ってたポラロイドカメラどこにあるか知らないー?」
 椛「すみません、里で落としたッス」
 文「とりあえず妖怪の山100周くらい走ってこようか」

 おまけ2

 青「やっぱり可愛いわ、うふ、うふふふ……」

 おまけ3

 神「うう、酷い事された……」
 屠「大丈夫です、私が慰めてa――」
 神「だが断る」


 最近面白い系の東方画像探しているとデスノートのあの顔と掛け合わせた画像をよく見かけるので……、屠自古を(悪い意味で)染めてみたw 屠自古と神子の可愛さは異常だと思う。
スピードスター
[email protected]
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.490簡易評価
1.50名前が無い程度の能力削除
新しい物を書く前に、前回のDSから投稿した中途半端な作品を修正するのが先だと思いますが。わざわざタグに大々的に「修正予定」等書いているのですから。
6.80名前が無い程度の能力削除
前回の作品と比べて格段に面白くなってます。
贅沢を言えば中盤の展開からそのままオチとなってしまっているのが残念。
できれば最後にもう一捻り欲しいところです。
あと18行目に誤字があります。
7.80奇声を発する程度の能力削除
ドタバタ感があり面白かったです
8.無評価スピードスター削除
>1
 作品の最終確認してました。もう投稿してきましたよー^^
>6
 誤字報告ありがとうです。何で気付かなかったんだろう……。
>7
 ありがとうございます
12.90名前が正体不明である程度の能力削除
ヤベェ…レベルが上がってる…
ピカチュウがアブソルになったぐらい上がってる…
25.無評価名前が無い程度の能力削除
この小説が酷い