Coolier - 新生・東方創想話

朱の気持ち

2011/11/28 18:27:26
最終更新
サイズ
12.1KB
ページ数
1
閲覧数
951
評価数
15/45
POINT
2440
Rate
10.72

分類タグ

博麗の巫女をしてて思うこと。それは…

「参拝客少なぁぁぁあああい!」

叫んでも人が来るわけでも無くただ、ただ静かに風が吹き抜けていくだけ。秋ももう終わりに近い。風が冷たい、服のデザインに異議を唱えたい。肩が出てると身体の体温が一気に奪われるのよね。誰よこんな服にデザインしたの…

「こんな日は何かあったかいものでも食べたいわね。あっ咲夜が前に言ってたシチューだっけ?あれ食べてみたいなぁ」

そんな事を考えているとき…つめた~い風が吹く。

「寒い!!風吹くな!!」

そんな無茶なと言わんばかりに風は霊夢から体温を奪っていく。

「季節の変わり目だし風邪ひかないようにしなくちゃ…」

こんなに寒い日は早くお茶にしたいなぁ…。
アツアツなお茶に煎餅とかもうサイコー。早く掃除終わらせて休憩しよっと。

「クチュン!! やっば…これで本当に風邪にでもひいたら洒落にならないわよ」

落ち葉を集め掃除を手早く済ますとさっさと神社の中に入っていく。
お茶葉は多すぎず少なすぎず…それが節約のコツ。節約って大切よね。

「紅葉もいいわ」

山が衣替えをしていく様を見るのはとても風情があって良い。季節が変わるんだって実感が出来るこんな時期も嫌いじゃない。寒くなければ…。

そんな事を思っているうちに煎れたお茶と煎餅は空になっていた。暇な一日こうして過ごすことは多々あるがこんなに思い吹けるのは秋や冬だろう。心が安らぐっていうよりも何だかしんみりとした気分に自然となるからだ。

「ごめんくださ~い」
「あっ。は~い」

夕方に近いこの時間参拝客ならまだしも私にお客? 魔理沙ならこっちの縁側に飛んでくるだろうし…。

「お待たせしましたって聖?」
「えぇ。こんにちは」

そこに居たのはあまり面識のない僧侶 聖白蓮がそこにいた。季節の変わり目というのもあるのかカーディガンを羽織っていた。暖かそうでいいな…

「どうしたのよ?」
「霊夢さんってシチューって嫌いですか?」
「食べたこと無いわよ。食べて見たいとは思ってたけど」
「それはよかった。シチュー初めて作ったのですが量が分からずに作り過ぎちゃって」
「でおすそ分けに来てくれたの?」
「その通りです」

鍋に入っているのは白い液体だった。あれがシチューなのか。

「霊夢さんってそんな格好では風邪をひきますよ?」
「確かに寒いけどこれが私の仕事服みたいなものだから」
「引いてからじゃ遅いんですよ」

そう言って聖は羽織っていたカーディガンを私にかけてくれた。今まで聖が着てたからあったかいなぁ…。いい匂いもするなぁ…。

「でもこれじゃ聖が風邪ひくから返す」

少しは温まったからもういいや。聖が何か言う前に家に招き入れる。私に対する好意が誰かに迷惑をかけるなら私は好意なんていらない。

「あんたも食べて行くんでしょ?」
「えっ?」
「明らか私一人って感じの量じゃないし」
「じゃあいただいていくわ」

満面の笑で返事をする聖。年だけで言うなら聖の方がかなり上のはずなのだがその笑顔だけ見ると歳相応、もしくはそれ以下に見えてしまう。魔法で年齢を若く見せる。こんなのは基礎技術とパチュリーは言っていた。

「魔法か…」
「どうかされましたか?」
「何でも無いわ」

聖は手伝うと言ったが客に夕食の準備をさせるほど堕ちたつもりもない。半ば強引に聖を席に座らせ貰ったシチューを温める。
いい匂いが台所中に広がってきた。もう少し温めればオッケーだ。

「そう言えば聖の命蓮寺ってここからだと割と遠いわよね?」
「えぇ近いとは言い難い距離よ」
「じゃあ何で私に持ってきたの?」
「…私はまだ修業中の身ですから。ここまで来るのも修行の一つです」

何やら考えてからの受け答えだったがまぁ夕食がタダで食べれるのだからとそのまま話を流した。
もう少しで出来上がる。皿の用意よし。スプーンはある。私特製のお茶よし。温まったシチューを皿に入れる。

「出来たわよ」
「ありがとうございます」
「いただきま~す」
「頂きます」

手の合唱までして聖は律儀というか何というか…。
シチューを口へ運ぶ。中に入っている具材は煮物のように柔らかく、その一つ一つに味がしっかり染み込んですごく美味しかった。

「これ隠し味に白ワインとチョコが入ってるんですよ」
「へぇ~…味にコクがあると思ったらそんなものが入っているなんて」
「咲夜さんが教えてくれたんですよ」
「咲夜が教えるなら上手いはずだ」

確かにと言ってお互いに笑った。こんな風に誰かと一緒にご飯なんて久しぶりだと思いつつ冷めないうちにシチューを腹の中へと収めた。

「すごく美味しかった。ありがと聖」
「霊夢さんって子供見たいな無垢な笑顔で笑うんですね」
「私ってそんなに笑わない?」
「いつも面倒とか誰かに呆れてたりとかって顔してますね」
「あ~当たってるかも。聖って観察眼鋭いわね。今度から気を付けないと」
「笑顔は幸せを運ぶんですから常に笑顔が大切ですよ」

そう言いながら食器の片付けを始めようとする聖。

「私がやるって」
「準備を霊夢さんに押し付けたのは私ですから片付けくらい私にやらせてください」
「断れない言い方しないでよ」
「断わられてもやるつもりですよ」

笑顔で片付け始める聖。テキパキとソツなくこなしていく。やっぱり頼りになる…誰だろう?

「お姉さん?」
「はい?」
「いや違うか…」

何か思いついたが言葉には出さなかった。
少しおかしいと感じた聖が霊夢を心配する。

「霊夢さん?」
「何でもないわ。大丈夫」
「その大丈夫って誰に向かって言っているのですか?」

片付けを終えた聖が手を拭きながら霊夢の元へ行く。
「分からないわよ。自然と口から出ただけ」
「自分に言い聞かせてるんじゃないですか?」
「………」

答えられない。考えても、考えても答えられない。

「会った事はありませんが霊夢さんのお母さんって」
「もう居ないわよ」

言葉を遮る。冷たく感情を悟られないように。

「物心ついた頃にはもう居なかった事は確かよ。気付いたら魔理沙が隣にいて、コーリンはお兄さんみたいに優しくしてくれた。村のお婆ちゃん達が心配したりしてくてた」

昔の事を思い出しながら話す。
お母さんなんて知らない。お母さんなんていたのかどうかも分からない。だから聖がお母さんみたいなんて言えるわけがない。

「私はみんなに愛されて生きてきたのよ。だから寂しくなんてない。多分そういう大丈夫」
「…そろそろ本音を言ってはくれませんか?」
「これが私の本音よ。今だって魔理沙達やあなたが居てくれるもの」
「嘘ですね」
「何で言い切れるのよ?」
「だって霊夢さん泣いているじゃないですか」
「えっ?」

 ポロポロと自然に流れている涙に霊夢は気づくことが出来なかった。心のどこかで今の現実を否定したかったのだ。言葉では表せないことが行動で出た。

「霊夢さんのお母さんは居ます。それは記憶に無いだけです。誰かを居なかったことにはできません。したくても出来ないことなのです」
「魔理沙がさたまに言うんだよね。「これぞまさにおふくろの味」って」

いきなり話題が変わり困惑した聖だが何かを悟ったように直ぐに霊夢の話に耳を傾ける。

「私は言いたくても言えない。知らないことを知ってるふうに言うなんて出来ない」
「…羨ましいのですか?」
「そうよ! けどどうしようもないのよ! だって私にはお母さんって呼べる存在が居ないんだもん!」

声を張り上げて言う。涙で顔もぐしゃぐしゃになり、頭のなかは訳の分からない単語で埋めつくされている。
悔しい。羨ましい。私に無いもの持ってるのが憎い。こんなにも色々思いつくのにやっぱり根本にあるのは…












「寂しい…」















何だろ?訳わかんなくなりすぎて頭が痛いや…フラフラもするし。もぉいいや…

「霊夢さん?!」

その場に倒れる霊夢。抱え起こし布団まで運ぶ聖。こんな寒い日に薄着で外に出てた霊夢は熱が出た。

「しっかり…いむ…ん!! 今お医…さんよ……ますから」

何か聖の声遠いな…。どうしちゃったんだろ私。

「しっかりして霊夢!!」

その言葉を最後に私は暗い意識の中に落ちていった。




















「んっ…」

何だか長い夢を見てた気がする。けど違う。現実に目を背けた後に感じるこの不快感…やっぱり現実だ。

「起きましたか?」
「ひ…じり?」
「今何か飲み物持ってきますね」
「あっ…」

立ち上がる聖の服の裾を掴む。今出せる精一杯の力で。

「…ど、どうかされましたか?」
「行かないで…側にいてよ…」

熱で朦朧としながらもほんの少しの安心感を求め搾り出した言葉。風邪を引いても、起きても、寝ても、食事も、お風呂も全て一人だった霊夢。起きて誰かが居るその安心感を失いたくなかったのであろう。

「もう…一人は嫌だよ…」

意識が飛びそうになりながらも引き止める霊夢。自然と涙がこぼれ落ちる。

「大丈夫ですよ。私はどこへも行きません」

一度座り直し霊夢に布団をかけ直す。そして霊夢の頭を撫でながら

「お母さんはどこへも行かないから安心してお休みなさい霊夢」
「……うん。分かった。ありがとお母さん」

再び眠りに落ちた霊夢。
その傍らで顔を真っ赤にした人物が悶えていたというのは内緒の話である。












「あぁ…頭痛…風邪か」

次の日頭痛で目が覚めた。不思議と何故か昨日は凄く幸せな気分で寝れたような気がする。何でだろ?
とりあえずもう少し寝ようと横を向くと。

「あっ…」
「おはようございます。霊夢さん」
「…おはよ。ありがとね」
「私は霊夢さんのお母さんですからね」
「嘘おっしゃい」

笑う。笑う。そして少しだけ涙が出た。こんなにも幸せな朝は今までに無かった事だから。

「ふわぁ~」
「もしかして寝てないの?」
「すみません…けどもし私に子供が居たらって思うと夜通し看病も苦じゃ無かったです」
「寝ないと…昨日はごめん。何か私変に意地張ってた」
「大丈夫ですよ」
「色々世話になりっぱなしね。今度お礼に行くから」
「気長に待ってます」
「…敬語やめなよ。他人行儀みたいで何か壁あるみたいだから嫌なのよ」
「…………」

目を伏せる聖。

「昔話聞いてもらえますか?」
「へ? 別にいいけど…」
「昔々あるところに一人の魔法使いが居ました。彼女は妖力を得るため人から受けた依頼で妖怪退治をしながら妖怪から妖力を得ていました。しかし妖怪の成り立ち、生き様、様々な過去。それらを聞いているうちに妖怪も人間も助けてあげたいとそう願いました。それから彼女は妖怪退治の依頼を引き受けながらもその妖怪を退治はせず助けていました。このまま妖怪と人間の完璧な平等を作りたいと願うようになりました。彼女は人間からも信頼され、親身になってくれるや、話し方が友達みたいで話しやすいともしかしたらとも思っていました。助けた妖怪も彼女を慕ってくれていました。彼女に妖力を分けるなどの協力もしてくれました。しかしある日そのことが人に知られてしまったのです。彼女は言いました。「待って人も妖怪も幸せになれるかもしれない。そんな世界が出来るかもしれない。だからもう少しだけ待って」と切実に訴えましが…」

そこで一旦話を区切る聖。唇が噛み切れそうなくらい唇を噛み、手足には力が込められている。

「…人は彼女に言いました。「同等のように話すなこの化け物!!」「人で居られなかったお前と一緒にしないでよ!!」と。そして彼女は封印されました。何百年か過ぎた時彼女は開放されました。その時彼女はもう以前のような話し方ではありませんでした。怖かったのでしょう。辛かったのでしょ…う。悔しくも…あったはずです」

大粒の涙がこぼれ落ちる。俯き手は爪が刺さるのでは無いかというくらい力が込められていた。いや刺さっていたのかもしれない。痛みよりも他の感情が強く出て痛いという感覚さえ感じてはいないだろう。

「どうしたら人と仲良くなれるか考えてこれだと思ったことが否定されてけど自分も人を騙してた。言い訳も出来ない…。自分というのが何故居るのかもあやふやに…。けど信じていればきっと救われる。そう思い今は毘沙門天に仕えています」
「その彼女は聖ね」

首を縦に振り返事をする聖。涙は止めなくあふれている。
きっと人を憎んでる。けど自分も騙してた。だから憎めない。昔の夢を実現出来れば、仏に祈るような気持ちで…。

「すみません。突然こんな話を…。もう大丈夫です」
「その大丈夫って誰に言ってるの?」
「……」
「聖が言った言葉よ。きっと私にってことだろうけど、あなたも私と同じ。自分に言い聞かせてるだけ」

目を擦り涙を拭う聖。目の周りは赤くなりクマもあるせいかかなり衰弱したように見えてしまう。

「そうですよね。私が言ったはずなのに私が答えられないなんておかしいですよね」
「もういいの」
「私もまだまだ修行不足のようです。帰ったらもっと修行しないといけませんね」
「もういいってば!!」

力いっぱいに聖を抱きしめる。こんなに迷いながらもまた人を信じて。裏切られるかも知れない恐怖と戦いながら。

「もういい。あの頃の人はここには居ない。今いる人は貴方を好いている人よ。もしかしたら裏切る人も居るかもしれないけどこれだけは忘れないで」

聖と目を合わせる。

「私はどんな事があっても貴方を裏切らない。世界が敵になっても、聖が敵になっても。私は貴方を信じ続ける」
「霊夢さん…いえ。ありがとね霊夢。まだみんなとは敬語になると思うけど貴方の前だけは絶対に前の話し方で喋るって約束する。これが私から霊夢に贈る信頼の明し」


そのまま布団に二人で入り色々な事を話した。そしてお互いの気持ちを離すまいという気持ちから二人は手をつなぎ合って眠りについた。
誰が悪いわけでもないが誰かが正解、正しいと言うのもまたありえない。
辛いなら辛い。こうして欲しければそれを伝えなくては伝わらない。

霊夢もまた気持ちを押し殺していた。目を背けてたから傷が広がった。
聖は不安定な気持ちを意思で支えて、どうすればいいか分からない気持ちを置き去りにしてしまった。

それらは消えることはなく記憶に、心に永遠に残りその人を苦しめる。
だから…

「だから聖」
「何?」
「今度から…ううん今からでももう少し自分に素直になってみる。だから白蓮も言いたいことは素直に言ってね?」
「約束するわ。もしも違えたときはまた話し合って決めましょ」

数日経った博麗神社では霊夢が聖にお母さんとはどういうものかを教えて貰っていた。
聖もまた人を素直に信じさせてくれるようになった霊夢にお礼に来ていた。



聖はまたお裾わけを持って。今度は何の料理か?楽しみにしながらご飯の用意。
霊夢が聖を苗字でなく何故名前で呼んでいたかはご想像にお任せします。
お久しぶりです
幸密領亜です

今回間隔が空いたのは学校のネット環境が最悪だったからです

この作品は友達からの要望に答えて作った作品ですが中々筆が進まず困ってましたが最後には何とかなり良かったです

まだまだ精進するのでこれからもよろしくお願いします
幸密領亜
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.1220簡易評価
1.80名前が無い程度の能力削除
ひじりんいいよいいよ

×信頼の明し
○信頼の証
だと思います。
2.90奇声を発する程度の能力削除
とても感動でき素晴らしいお話でした
3.50名前が無い程度の能力削除
こーりん?
8.100名前が無い程度の能力削除
暖かいぜ…
9.100名前が無い程度の能力削除
聖さんマジ聖女
コーリンの所は漢字の方がいいかと
10.100名前が正体不明である程度の能力削除
甘いのぜ…
12.80名前が無い程度の能力削除
>私に対する好意が誰かに迷惑をかけるなら私は好意なんていらない。
このセリフが霊夢らしくて印象に残ってます。

ほのぼのとしてよかったのですが、霊夢のお母さんの下りからやや性急に感じました。
好みな感じの作品なので、これから期待してます。
14.100スピードスター削除
 いい“れいひじ”だ。心が和む
17.70名前が無い程度の能力削除
>コーリン
霊夢は彼の事は霖之助さんと呼ぶハズだったような…?
その上で霊夢のキャラクターを作っていたとしてもこの呼び方が文章中に一箇所だけあると、かえって違和感が増す。
こうした読み物で大切なのは読み手を混乱させやすい設定や描写をいれないこと(代表例が人称の混同)
「二次創作だから」といって甘えないように。

ということで言葉使い含め、評価はこのくらい。
カップリングは数少ないれいひじが新鮮で面白かった。
18.100名前が無い程度の能力削除
ひじれいむ、いいな~
19.100名前が無い程度の能力削除
びゃくれいむは貴重すぎる・・・
それだけに霖之助さんあたりの呼び方の違いが気になって仕方ないです。

びゃくれいむはもっと増えるべき
21.90名前が無い程度の能力削除
ひじれいむはいいものだ
ひじまりもいけるな
28.80名前が無い程度の能力削除
この二人の話は珍しいですね
流行って欲しいです
31.70名前が無い程度の能力削除
話の流れは良いのですが~
↑の人もいってるように、霖之助の呼び方が残念だったかな~
38.10名前が無い程度の能力削除
日頃からこーりんこーりん喚いてるからこういう間抜けな事をやるんだよ
少しは勉強になったかね