Coolier - 新生・東方創想話

SO-NANOKA-3

2011/11/20 01:20:35
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連載の形となっております。ようやくURLの使い方がわかったので貼っておきますね。

SO-NANOKA-

SO-NANOKA-2

お時間をいただければ、以下お付き合い下さい。











 日が赤く染まる頃。街中にある古風な居酒屋はたった四人の客のせいで、騒がしく、また賑やかだった。
「はぐぅ。頑張って食べて、チルノ」
「がぶりゅっ!しっかり食べるのよ、妖夢」
 蒲焼きを噛みくだす音と共に、命令がチルノと妖夢に下された。
「もう無理だよ……。るーみゃ」
「死にそうです。幽々子様……」
 カウンターに並ぶ四人。チルノ、ルーミア、幽々子、妖夢だ。煙に揉まれながら、蒲焼きを胃に詰め込む。カウンターの奥の方から漂ってくる煙と、香ばしいたれの匂いは、今のチルノにとって、いらぬオプションであった。いつもは、美味しいはずの蒲焼きだが、既にドロドロの液体のついた何か、のレベルに下がっている。
 亭主のミスティアはそれを見て苦笑いを隠さず、勝負の行方を見守っていた。
 そして、ついに喉元まで食べ物が。
 吐きそうだ……。
「ふぅ、一時間ね。さぁ、何串いったかしら」
 吐く寸前のタイミングだ。幽々子の終了の言葉に、四人の食事の手が止まった。チルノと妖夢は、相談でもしていたかのようなシンクロ率で机に突っ伏す。もうげっぷも出ない。
「一、二、三、四……」
 串を数えだす、幽々子。黒縁の眼鏡をかけたルーミアも、淡々と串を数えはじめる。
 胃袋まで最強なのか?
 そもそも、今のEXと対峙している状況で大食い大会のような真似をする余裕などない。しかし、今回の場合は仕方がなかった。紅魔は、紫及び、EXの情報を集めており、紫と深い関係を持つ数少ない人物の幽々子を訪ねて来たのだ。
 そして幽々子の「食い比べをして勝ったら情報を提供をしてあげる」という言葉の為だけにこういった流れになってしまい……。当然、紅魔側として、降りることはできなかった。それほどまでに、情報が欲しいのだ。
 ちなみに、幽々子は、妖々夢社の社長を務めている。彼女の作りだす、桜と蝶の美しいスペルカードを知らぬ者はいない。
「る、るーみゃ。勝てたの?」
「こっちは八十六本よ」
「負けたわ。八十五本」
「勝ったみたいよ」
 黒縁眼鏡の先輩は、誇らしげに特徴の一つである眼鏡を引き上げる。
「さて、情報を提供してもらおうかしら」
「いいわよ。勿論、ただでは渡さないけどね」
 あれだけ食べてもまだ、余裕なのか、すました顔でハンカチで口元を拭う幽々子。ルーミアと同格か。
 勝ったら情報提供してくれるとは言ったけれど、無料で提供という条件はつけていない。この辺りはちゃっかりとしている。やはり、相手も商人なのだ。
 無料でないという事は、ある程度承知していた。チルノ達は、当然嫌な顔をしないように取り繕う。けれど、上手くいっている自信はない。自慢にもならないが、心情が直ぐに表情に出てしまうのだ。それに、なにより、今はお腹が破裂しそうで顔が引きつっている。
「幽々子様。吐きそうなのですが」
「桶もらいなさい。桶。さて、私の持ってる情報だけどね……」
 前半のあきれるような調子から、明らかに声のトーンが落ち、商用のモノに切り替わる。緊張が体内を縛った。
 ミスティアに聞こえないくらいの声量で、幽々子は言う。
「使えば、EXを潰せるわ」
「うっぷ!?」
 丁度ボディブローを食らったような破壊力に、はらわたを全て吐き出しそうになった。
「ほ、本当なの?」
 横たわったままの姿勢でチルノは訪ねる。
「本当よ」
 嘘をついてどうなるの? とでも言いたそうな幽々子。今の時点で真偽を見抜くことは難しい。けれど、紅魔側にとっては、喉から手が出るほど欲しい情報、これだけは事実だ。真偽がどうであろうと、買いの一手しかない。嘘であった場合でも、こちらの有益になることはたくさんある。
「で、肝心の値段は?」
 割り込みでルーミアが聞いた。
「そうね。紅魔の株、五十パーセント」
「ごっぷ!?」
 五十パーセントと言えば、実質的に会社の実権を握る事のできる。つまり、支配しますよ。と、言っているようなものなのだ。
 普通、こんな会社の存亡が関わるような取引は、平社員にするような物ではない。
 しかし、ルーミアにはそれが許可されていた。有名な話でもあるし、幽々子はその事を知っていたのだ。
 まさか、了解を出さないよね。一瞬疑ってしまったが、答えは極めて普通。
「無理ね」
 ルーミアの言葉に、チルノもほっとし、頷く。
「まあ、そうよね。もう一つの条件もあるわよ。聞く?」
「へぇ。どんなのよ?」
 もったいぶるように幽々子は口元を扇で隠す。口元は間違いなく笑っている。幽々子が、EXの情報が高値で売れると踏んで、ある程度の質の情報と、紅魔に不利となる条件を提示してくる事は予想していた。が。
 一発目からあの情報の質、値段。もう一つの条件がより恐ろしい物になる。幽々子の無茶ぶりは目に見えていた。
「First spell」
 構えた矢先、和人の幽々子から放たれたのは、発音の良い英語だった。
 チルノに電流が走る。
 商売の場では、商品としてまず出る事の無い品。出るとするならば、雑談で、だ。
 
 First spell 

 名の通り、原初のスペルカードだ。チルノの頭は、大まかな値段導きだす。三億円超えはする。下手をすれば、四億。ちなみに、紅魔の株五十パーセントの値段は二億円。
 値段だけで言えば、株が安い。勿論、金額的にのみ見ればだ。
「さあ、受けてくれるかしら?」
 幽々子は、紅魔が内心、焦っていることを知っている。足元を見ているのだ。
「他に条件はないのかしら?」
 もう他に条件はないだろう。確認のためルーミアは、投げ槍気味に訪ねる。
「ないわ」
 その時ばかりは、盛大なため息をつき、ルーミアは決断を下した。
「ファーストスペルの取引、受けるわ。ただし、失敗する可能性もあるわよ」
 失敗も視野に入れてとは、ルーミアらしくない弱気な言葉だった。幽々子は嬉々と笑う。
「いいわよ。失敗した場合は、紅魔の株五十パーセントを無条件で買わせてもらうわ」
「はい?」
 無理無理。絶対に無理。どうしても、紅魔を傘下に入れたいのか?
 這うように首を振ろうとしたが、その前にルーミアが仕方なさそうに言った。
「おーけー」
 一度目の条件は断っておいて、似通った二度目の条件は受ける?
 契約は、ルーミア自身ため息をつくほど不利な条件のはずだったはずなのに、何故かルーミアは勝利の笑みを浮かべていた。
 それも、ほんの一瞬だけ。




 チルノとルーミアは、契約を終わらせた。さっさと居酒屋を後にするつもりだったけれど、チルノの吐き気がおさまらず、時間を食ってしまった。
 既に月が空に顔をのぞかせており、ネオンの光がビルの窓を静かに照らしていた。夜の街は、人通りが恐ろしいほど少なかった。
 そんな街中で、ルーミアは口を開く。この商談は、難しいように見えるけども、成功した時の利益は大きい。なにせ、EXを潰す権限を持てるのだから。と。その言葉に誘発され、ポン、と頭に答えが落ちてきた。
 実際にEXを潰すことになったのならば、普通の手段では三、四億の枠に収まるものではないのだ。確かに、理を得てる。
 しかし、だ。
 「会計」であるチルノは考える。紅魔の総資産は、株五十パーセントの値からわかるように、四億円なのだ。三億円払っていては、破産するのは目に見えている。こちらも普通の手段では、まず買えない。
 そして、金銭とは関係ない、もう一つの問題。ファーストスペルは、偽物が多く出回っているという事だ。本物は、どこかに保存されているという。都市伝説にもなるスペルカードだ。特別なところに保存されているのだろう。
 ちなみに、スペルカード名は「ナイトバード」
 ルーミアのことだ。何か作戦があるのだろう。
 つらつらと、ファーストスペルに思いをはせていると、真っ赤な外装の事務所にたどりついた。紅魔本社だ。階段を上り、二階の仕事部屋に直行する。
 契約をしたが今のところ、社長のレミリアに報告する必要はない。紅魔の高い自由性の影響もあるけれど、契約したとはいえ、現実性が伴わないからだ。
 仕事場は、四つの机が四角形に並べられており、ソファが一つだけあった。使うのは、相変わらずチルノとルーミアのみだ。
「チルノ、悪いけど私、少し用事があるから一旦抜けるわ」
 帰ってきて、唐突にルーミアが言った。
「? わかったよ」
 ルーミアは幽々子の気まぐれのせいで外されたリボンをつけ直すと、部屋を出て行ってしまった。
 手持無沙汰になってしまったチルノは、いずれ報告するであろう今日の件を報告書にまとめておくことにした。まだ、満腹感の抜けない腹をまぎわらす為でもある。パソコンの前に座り、早速作業を開始した。部屋は、たまに聞こえる車のエンジン音のみで満たされている。作業のしやすい環境だ。邪魔も入ることもなく、しばらくは順調だった。
 しかし、いずれは破られるモノ。
 電話のコール音が部屋に響きわたった。夜の電話は直観的に、嫌なものを感じてしまう。夜の電話に、ろくなものはない。夜の冷気を含んだ受話器を耳を当てる。
「ちょっと、やめて! あ、もしもし! 助けて!」
「どうしたの!?」
 予感的中。声の主はパチュリー・ノーレッジ。紅魔の社員で、冷静で引きこもり。だが、法律に関する知識は豊富だ。
 そんな彼女のあわてように、誘拐、という文字が真っ先に頭に浮かぶ。
「ルーミア、離して! 私は残業はしないって決めてるの! 労働基準法に違反するわよ!」
「……」
「そーなのかー」
「あ、ちょ、そんな埃だらけの部屋に……。あっ……」
 そこで通信が途絶えた。ほんの数秒足らずの出来事だ。何をしていたんだろう。ルーミアが居たのは確からしい。本当に、何をしてたんだろう。
 ある意味では不幸な電話だ。
 十秒と経たず、チルノは考えることをやめた。何もなかったように、元の作業に戻ることにする。何となく関わらない方がいい気がしたのだ。相変わらず、自由性の高い会社だ、で片付けることにした。
 伸びを一つした時だ。ドアが音を立てて開いた。
「っ!?」
 びっくりとしてしまった自分が情けない。入ってきたのはレミリアだった。
「お、居た居た。なぁチルノ。少し頼み事があるんだが、いいか?」
 落ち着きがあり、質の良い手腕を持つ社長だ。しかし妹に弱いというのが唯一の弱点だろう。
「う、うん。いいよ」
「EXの株の動き、それと紅魔自身の株の動きを調べてほしいんだが」
「う、うん。いいよ」
「返事が統一されてるじゃないか。珍しい」
「あ……、うん」
 レミリアは思わず、と言った面持ちで苦笑を洩らした。
「後、パチュリーを見なかったか? この時間帯はいつも本を読んでるはずだが……」
 この時ばかりは、返事をせずに、ちぎれんばかりに首を横に振った。
「そうかい。あいつにも一つ依頼を出そうと思ってたんだが。ま、良いか。じゃ、ゆっくりでいいから頼むよ」
 用事の済んだレミリアは、部屋を出て行った。静かだと思っていた部屋が急に騒がしくなったような気分だ。
 いや、気分だけではないようだ。
 入れ替わりに、ルーミアが帰ってきた。何事もなかったかのように。
「お、おかえり。るーみゃ。な、なにをしてたの?」
 聞いてはいけないとは分かっているのに、怖いもの見たさに聞いてしまうのが人の性。ルーミアは、肩をすくめ、薄く笑って見せた。
 それを見て、一瞬前の自分に後悔の念を覚え、これ以上深くは聞くまいと決めた。
 一応、パチュリーの方が、立場上、上なのだから大丈夫なはずだ。
 自分がとりだしてしまった爆弾をどう回収しようかと考えていると、またドアのきしむ音が聞こえた。
「どちら様?」
 喜ばしい事だ。上手く誤魔化せる。しかし、そうではなかった。より厄介な者が入りこんできたのだ。
「うぇっぷ……。よ、ようやくたどり着きました」
 酔っ払いだ。重力に任せ、地面に突っ伏した。その人物は、先程までチルノ達があって居た人物だ。
「妖夢……?」
 気分が悪そうなのは一目瞭然。
「どうしたの?」
 机から立ち上がると、妖夢に駆け寄る。
「すみません。少し寝かせてもらえますか……?」
 耐性がついてしまったのか、ほとんど驚かなかった。
「わかったよ。るーみゃ。手伝って」
 普段、他社の者はあまり入れない。情報保守のためだ。しかし、この際、気分が悪そうだから仕方がない。引きずるように二人で、妖夢をソファに運んだ。すると、安心したのか、妖夢は、寝息を立て始めてしまった。
 チルノの脳みその処理能力はそれほど高くない。
 めまぐるしく回る状況を処理しきるには時間を要した。妖夢は、ようやくたどり着いた。と言った。つまり、目的地はここ。様子からすると、幽々子に再びしこたま喰い飲みさせられたというところだろう。
 どうしてここに?
「るーみゃ、どうする?」
 今の時点では、どうにも決められないと言いたいのだろう。ルーミアは首を横に振った。
 とりあえず、目を覚ますのを待つ。これが最も妥当なところだ。その間、ぼーっとしとくのも何なので、レミリアに頼まれた仕事を消化することにした。
 数分後には、苦しそうな寝息と、もう一つのパソコンを操る音が、部屋を支配していた。
 けれど、既にチルノは予想を一つ立てていた。比較的静かな今は、十分もたたず壊されるであろうと。見事に予想は的中した。
「お邪魔するわよ」
 パチュリーが部屋に押し掛けてきたのだ。生きてたの! と、声をかけてしまいそうになったが、何とかこらえた。
「ルーミア、これがあなたの探していた資料よ。ごほっ」
 苦しそうに、咳をするパチュリー。しかし、何やら大切そうな資料を手に持っていた。先程のやりとりがフラッシュバックする。思わず寒気が走った。
「そーなのかー」
 適当に応えるルーミアはパチュリーからさっさとかすめ取ってしまった。勿論、パチュリーがただ渡すだけで済ますわけはない。
「残業代は、あなたの給料から引かせてもらうわよ」
 一矢を報いるためにはなった言葉だ。しかし、ルーミアはそれすらも流してしまった。
 「そーなのかー」と。
 あきらめたように咳ともため息とも判別のつかぬ息を吐き出すと、パチュリーは部屋を後にしてしまった。
「るーみゃ、それは何の資料?」
 隠すでもなく、全てチルノに渡してくれた。数えて見ると、五枚ほどの資料だ。その中で一際目立ったのが、若干黄ばんだ契約用紙だった。それだけコピー用紙ではないのだ。
 左から右に、目を泳がせる。
「なになに、ファーストスペルの贈呈証、書!?」
 美術館に贈呈された、と書かれている。しかも、贈呈主がルーミア。
「るーみゃがファーストスペルの『ナイトバード』を作ったの?」
 興奮と勢いでルーミアに迫る。流石というか、怯む様子もなく、ただ首を横に振ってこたえた。では……と、チルノの妄想が広がる。
「もしかして、都市伝説の、あれ……?」
 都市伝説は、ふらりと現れた一人の男が、ある少女に渡した者が、ファーストスペルであるというもの。ちなみに、それを見た巫女がスペルカードを真似して作り、商品化した結果大ヒットし、スペルカード業界ができたと言われている。
「都市伝説上の少女ってるーみゃ?」
 半ば冗談だった。しかし、一瞬戸惑いが垣間見えた気がした。結局は肩をすくめて誤魔化されたのだが。
 ルーミアが、逃げるようにパソコンに向かうと、チルノは、再び資料に目を通す。美術館に関する情報、贈呈の際の取り決めなどが大雑把に書かれていた。もしかしたら、ファーストスペルを思いの他安値、もしくは無料で手に入れることが可能かもしれない。場所もわかったし、なにより、ルーミアは贈呈人だ。ルーミアの勝利の笑み。その本当の意味が理解できた。
「ありがとう、るーみゃ」
 資料を返した矢先、電話のコール音が鳴り響く。もはや慣れて閉ったチルノはゆったりと子機を取り、耳にあてる。
「はい、もしもし」
「紅魔株式会社でいいかしら?」
 この声は、西行寺幽々子。ファーストスペルのことで頭がいっぱいになり、忘れていた妖夢のことをゆっくりと思いだす。
 さっさと、迎えに来てもらおう。
「ええとね、よう……」
「紅魔ね。契約の変更をお願いするわ」
 対応から推測したのだろう。紅魔と確定印を押しチルノの言葉を切り取り、話を持ち出してきた。
「忙しいから、今回の商談に時間制限をかけてほしいの」
 交渉の提示により、ようやく間が与えられた。
「無理だよ。あのままじゃないと」
 商売は時間をかけられるほど成功率が上がる場合が多い。
「なら、どんな手を使ってでも降りるわ」
「ぐっ」
 契約までしておいて強引なもの言い。周知のとおり、幽々子に降りられて困るのは、紅魔なのだ。
 降りられたらまずい……。
「わ、わかったよ……。受けるよ」
 ここで、チルノは、一つのミスに気付いた。時すでに遅し。
「なら明日が終わるまでにお願い」
 設定時間を前もって聞いてなかったのだ。こうなると、無茶な時間を言われても、言い返せない。チルノは、力なく項垂れる。電話の向こうの幽々子が、扇で口元を隠し笑っているような気がした。
「……間にあわないよ」
 ダメ元でも言ってみた。幽々子はこの契約をできる限り自然な形で切り捨てたいのだろうか。そうとしか思えないのだ。
「妖夢を手伝いにつかって頂戴」
「それでも……」
「頼むわよ。あ、ちなみにタイムアップになったら契約は白紙ね。失敗ってことにはならないから安心して」
 有無を言わさず、電話は切れてしまった。粘りの弱さには、我ながら呆れてしまう。
 けど、今の勢いは止められないのでは。
 自分に自分でいい訳を言いながらもチルノには、ルーミアに隠さず話すしかなかった。本当はルーミアだって、まだまだ準備したかっただろう。しかし、嫌な顔一つせずに頷いてくれた。
 心の中でお礼を言いつつ、最大限手伝おうと、改めて心に刻んだ。
 まず、すべきことは、妖夢から情報を入手すること。
 たった今「手伝い」をする事になった妖夢。
 チルノは、妖夢が目を覚ますまで看病をしてやった。目を覚ましたのは、二時間ほど経った頃だ。
「あ、寝かして下さり、有難うございます」
 相当良くなったようで、笑う余裕を取り戻していた。時間帯としてはすでに、社員のほとんどが退社している。
「いやいや、別にいいよ。それより、もう帰った方がいいでしょう?」
 あまり気は進まないが、鎌をかけた。心理戦は苦手。妖夢は十中八九スパイ。状況全てを読みとって見ると、そう考えるのが普通なのだ。ならば、逆手にとって情報を引き出すべき。
 良い反応を引き出せるか。
「そうですね」
 冷静な対応。
 次の言葉を待った。手伝いだといい張り、はぐらかすか、逃げられるか。チルノとしては、逃げてほしい。
「企業スパイをして来いと、幽々子様に言われたのです。なので、帰れません」
 チルノの予想しうる答えを全て無に帰す物だった。
 スパイとは、普通日の当らぬ陰で動くもの。
 ふざけていると思ったが、忠誠心に満ちた青味のある目は言っていた。 
 真っ向から斬り合おう。
お付き合い有難うございました。
晴れ空
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コメント



0.300簡易評価
2.80名前が無い程度の能力削除
続く!
さぁ、盛り上がって参りました。
幻想企業戦士達による経済戦争。チルノがサラリーマンてのも 妙にしっくりきますね。
ルーミアも敏腕ぶりが似合う。

まだ見ぬ紅魔社員達の活躍も待ち遠しいです。
4.100名前が正体不明である程度の能力削除
やれいけルーミア!
5.90奇声を発する程度の能力削除
やっと続編きた!
色々気になる伏線が出てきて、これからの展開が楽しみです
6.10名前が無い程度の能力削除
書きたい事以外があまりにも適当過ぎです。特に株と資産に関しては呆れてものも言えません。
10.80名前が無い程度の能力削除
相変わらず良いるみゃだな
個人的にだが
11.80Dark+削除
非常に好きな独自の設定なのですが、もうちょっと盛り込んで欲しかったですね。
少し淡々とし過ぎたような気がします。

でも面白かったですよ~
12.90名前が無い程度の能力削除
幽々子は敵なのか味方なのか分からんなあ。
>>怖いもの見たさに聞いてしまうのが人の性
お前人じゃねえだろ! って突っ込んだのは俺だけ?
15.100ルミ海苔削除
このルーミア惚れますわー