Coolier - 新生・東方創想話

しゃべれない訳じゃない

2011/08/28 13:27:52
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幻想郷において最後の砦である博麗神社が妖怪に乗っ取られたと人里で噂が流れていても、実際に私が一番話をする相手は人間である。

『というわけで声がでなくなった』

夏の熱い日差しの降り注ぐ中で、白黒の格好をした霧雨魔理沙は自前の手帳に現状を書いて私に見せた。
茹だるような暑さで喋るのも億劫なのに、いきなり手帳を読めと突きつける友人に、些かげんなりする。
「竹林の妖しい名医に薬でも貰えば?」
私が気怠そうに提案すると魔理沙はまた、手帳に文字を書き込んでいる。私は入道雲を眺めながら書き終わるのを待っていた。
『行ったけど薬を作るのに時間が掛かるから、それまでには勝手に治ると言われた』
何故か、力瘤を作り健康アピールをしながら自慢気に答える馬鹿。
「実験に失敗して、声が出なくなったのに、なんで見栄を張っているのよ」
鼻で笑いながら返すと口をパクパクさせて怒っているが声はでない。
「なんか、本当に馬鹿みたいよ」
魔理沙が悔しそうに私を睨む。猫から餌を取り上げるとこんな顔をするわね。
「まぁ、こんなに暑いんじゃあ、喋る気も起きないし丁度いいんじゃない? どうせすぐに治るんでしょう?」
『あと4日ぐらい』
さっきよりも筆に元気がない。治ると言われても不安なのかもしれない。
しかし、大人しい魔理沙というのは珍しいので、彼女には悪いが、からかいたくなってしまう。
「魔理沙がしゃべれない間は蝉が鳴いてくれるわよ。家で大人しくしてなさい」
むーっと頬を膨らませて無言の抗議をしているが、ハムスターを思い出すだけだ。今度、ひまわりの種でもあげよう。

――――××××! 霊夢!

魔理沙の唇の動きを読むが、最後に私の名前を呼んだことしかわからない。
言葉にならない捨て台詞を残すと魔理沙はどこかに飛んで行ってしまう。
「いや、何を言っているのか分からない」
声は出ているが私の突っこみに返してくれる人物は居なかった。


あれから三日が過ぎた。
魔理沙が喋れなくなったと言いに来た次の日から大雨が降り続いてる。雨の日に人が出歩かないように妖怪も博麗神社を訪れることはなく、この三日間は静かに過ぎた。
三日前まで、耳を覆いたくなるように煩かった蝉の大合唱も、三日間降り続けている雨に一日、一日と少なくなっていき、今では雨音にその主役を譲ってしまった。
「・・・暇ね」
畳の上に寝転び、雨でぐずぐずになった庭の地面を眺める。
来年は、この雨で蝉が溺死して靜かな夏を迎えたいな。ついでに地底の妖怪も半分ぐらい溺死しないかしら。
「――――しませんよ」
頭上から、声が聞こえる。あぁ、最近、鼠の妖怪が天井裏にうろちょろしてるからな。あとで纏めて退治しなくちゃ。
「そんな、低俗な妖怪と一緒にしないで下さい」
視界に傘を差した心を読む妖怪、古明地さとりが映る。私の目からは突然、庭に現われたように映った。突然、現われる妖怪には馴れているので表情に出るほど驚きはしないが、一応、用心のために身体を起こす。
「警戒しなくても何もしませんよ。それに急に動くと妹に打つかって怪我をしますよ」
背中に誰かが伸し掛かる。潰されそうになるが堪えた。
「ばぁ!」
無邪気な笑顔を浮かべる古明地こいしが私の背中に抱きついていた。無意識を操る彼女の能力で今まで古明地姉妹が近くに来るまで気付くことが出来なかった。本当に姉妹そろって厄介な能力ね。つい退治する時の事を考えてしまう。
「そんな物騒なことを考えないで下さい。今日は話をしに来ただけですから。えぇ、会話になっていなくても意思が通じていれば会話ですよ。私にとってはね」
さとりは、私の心を読んで勝手に話をどんどんと進めていく。楽なんだが、激しく不快だ。
こいしは無邪気にべたべたと暑苦しいし、そろそろ我慢のするのを辞めようかな?
「こいし、離れなさい。そろそろ、巫女が怒るわよ」
「えーなんでー? 別に悪さはしてないよー?」
「暑苦しいし、重いのよ!」
「酷い! お姉ちゃんより軽いよ!」
目だけを動かし一瞬、さとりの方を盗み見る。夏太り?
「霊夢、最近、二の腕に肉が付いてきたそうね」
「なっ!?」
お互いに触れてはいけない所に触れてしまったようだ。こいしは、無邪気に私の二の腕を突っついている。
「「離れなさい」」
私とさとりの声が重なる。こいしは一瞬、きょとんとした顔をしたが、素直に私から離れた。無意識に危険を感じたのかも知れない。それぐらいの緊張感があった。

さとりが傘を畳み、神社の居間に上がる。私はタオルを姉妹に一枚ずつ渡すとお茶の準備をした。
「悪いけど、この雨で買い物に行けてないから茶菓子は無いわよ」
「土棚にまだ、羊羹が残っているんでしょう。傷む前に食べてしまいしょう」
さとりが土棚に指を差すとこいしが羊羹羊羹と連呼しながら、喜んで漁り始めた。
「本当に嫌な能力よね。それ」
「羨ましいと感じてるのも分かっていますよ」
にやにやとしながら私を見る。無心だ無心。
「でも、便利なだけですよ」
一瞬、さとりの胸にある悪趣味な第三の瞳が曇った気がした。だから、私は余計に無心に努めた。
「さて、本題に入りましょうか」
「ん?」
「霊夢、無心というのは忘れることではないのよ」
「本当に用事があって来たの?」
「えぇ、そうよ。魔理沙に頼まれたのよ。通訳をしろってね」
三日前に来た魔理沙の事を思い出す。魔法の実験で失敗して声が出なくなっていた。なるほど、それで話さなくても通じるさとりの所に行ったのか。
「因みに魔理沙が言うには実験は成功したらしいわよ。声を出させない魔法を開発して、たまたま、最初の被害者が自分なだけだって思っていた。失敗ではなく、事故だってね」
「それを失敗って言うんじゃないの?」
「成果が出ていれば成功らしいわ。彼女の中ではね」
ポジティブな魔理沙らしい考え方だ。そのうちに実験中に死ぬかも知れないわね。
「その時はお隣が喜ぶから、一番に教えてね」
さとりが優しい笑顔で頼み込んでくる。ペットの喜ぶ顔を想像しているのだろう。
「多分、第一発見者は私にならないと思うから無理よ」
「彼女を盗られるのは嫌?」
顔は笑いながら聞いてくるが、第三の目だけは射貫くようにこちらを視ている。この妖怪の本質を表しているようだ。
「そうね。ちゃんとお墓ぐらいは作ってあげたい。人としてね」
さとりは妖怪、魔理沙は人間。巫女として味方する方は決まっている。
「ふふっ。そういうことにして置きましょう」
私はお茶を一口飲む。そういえば、羊羹はどうした?
「あるよー」
こいしがさとりの横に突然と現われる。しかし、私達は二人とも驚きはしない。
手元には、いつの間にか取り皿も用意されていた。
「捜してたら、時間が経っちゃった。狭い台所なのに見付け難い場所にあったよ」
ぶーぶーと文句を垂れながら、羊羹を切り分けている。しかも、自分の分だけ大きめに切っていた。この子、悪気は無いんだろうけど腹の立つ子だな。
「地底の妖怪ですから」
それはフォローになっているのか?   
さとりは、幼い顔には似付かない妖艶な微笑を浮かべるだけだ。
「で? 肝心の魔理沙はどこにいるのよ?」
「多分、もうすぐ来るんじゃないかしら? あなたとの通訳を頼まれたから来たのだけれど、本人を置いてきてしまったわ」
「なんで、一緒に来なかったのよ?」
「こいしが地上に出ようとしていたのを追いかけてきたのよ。私達が地上の人達に迷惑を掛けると色々と面倒でしょう。こいしは注意しても、無意識で動くから大変なのよ」
わざとらしい微笑を浮かべながら困ったように笑うさとりの隣で、羊羹を食べていたこいしが、子供扱いしてーと文句を垂れていた。
「じゃあ、魔理沙がいないんじゃ、神社に用事は無いのね。羊羹だして損した」
「私達には出す気なんて無かった癖に。魔理沙が来たら一緒に食べる気だったんだから、遅いか早いかの違いよ」
さとりが剥れて話すとこいしは相槌を打ちながら、最後の一切れを口に放り込んだ。自分の分を食べ終えても足りなかったらしく、さとりの皿に残っている羊羹を物欲しそうに見つめていた。
さとりは残っている羊羹を半分に切ると片方をこいしの空になっていた皿に置いた。
「ずいぶんと妹には甘いのね」
喜んで食べるこいしを愛おしいそうに見つめている。しかし、第三の目だけは私から視線を外すことはなかった。
「可愛い子に甘いのは、あなたもでしょう?」
霊夢は不機嫌そうに自分の分の羊羹を食べ終える。
「私は自分の分は自分で食べるわ」

羊羹を食べ終えるとこいしはさとりの膝を枕にして寝てしまった
。私はお茶の入れ直すと、特に会話もないまま居間から雨の降る裏庭をただ眺めていた。
雨はまだ、止まない。
魔理沙は雨が止んだら来るのだろうか?
流石にこの雨の日に神社を訪れるのは余程の変わり者だけだろう。
「まぁ、妖怪は基本的にみんな変わり者ですから、否定はしませんよ」
「あんたは変わり者というよりは捻くれものでしょう。それと煩わしいから、一々、反応しなくていい。今日はのんびりと過ごしたいの」
畳の上に寝っ転がり天井の木目を数える。さとりは、此処に来て初めてつまらない雰囲気を出していた。
「つまらない。何かもっと考えることがあるんじゃない?」
邪念が語りかけて来るが、無心で木目を数える。
「魔理沙がなんで、私に通訳を頼んだと思う? どうせ、ほっとけば治るのにも拘わらず」
魔理沙の気まぐれだろう。あいつはいつも気まぐれに行動するのだから、気にしていては大変だ。それよりも、今、ここにある木目を数えるのが巫女の使命なのだ。
「気になるのね? 無理矢理に他のことを考えようとしている」
この木目を全部、数え終えるまでに出て行かなければ追い返してしまおう。
「多分、それまでには魔理沙がここに来ると思うわ」
そう答えるとさとりは静かになる。ここからでは見えないが、胸に付いているあの気持ち悪い目だけはこちらを視ているのだろう。そう思うとまったく、落ち着かない。
けど、そう感じているのに満腹なお腹と雨音の子守歌のお陰で眠気が襲ってくる。
「相変わらず図太い神経しているわね」
遠くでさとりのぼやきを聞きながら、私は眠りに落ちた。


――――霊夢、起きなさい。
左腕を何度か叩かれる。ぺちぺちと煩い。
――――いいよ、起こさなくても。別に用事は無いんだし。
久しぶりに聞いた声。可愛い声をしているのに男っぽい独特の口調がアンバランスで可笑しい。
――――誰が来てるかは分かってるみたいだけど、どうするの?
――――何がだよ?
急に会話が止まった。目を開けていない私には、何が起こっているのか分からない。寝返りをしようと右腕を持ち上げよとするが重くて持ち上がらない。目をゆっくり開くとぼやけた視界の中に無防備な寝顔をしたこいしが映る。
寝る前は、さとりに膝枕をされていた筈なのに、いつの間にか私の右腕を枕にして寝ていた。
「起きてもいいですが、こいしは起こさないで下さいよ。折角、気持ち良さそうに寝ているんですから」
とりあえず、退けようと空いている左腕を動かした瞬間、さとりに腕を掴まれた。細い腕にも拘わらず、力が強く動かせない。
「ちょっと、離してよ。あんたの妹、今にもよだれを垂らしそうじゃない!」
「大丈夫ですよ。汚くないから」
ぎゃーぎゃーとさとりと言い合っていると魔理沙が座蒲団を持って、寝ているこいしの横に座る。丁寧に寝ているこいしの頭を支えて、少し持ち上げると霊夢の腕をどかして、代わりに座蒲団を入れる。魔理沙が手を離してもこいしが起きる様子は無かった。
私は枕にされて痺れた右腕を回しながら、魔理沙に礼を言う。
「あれじゃあ、腕を動かさなくても煩くて起きちゃうからな」
つい先日まで、喋れなかったようだが今の魔理沙は私の見馴れた魔理沙だった。
「声、治って良かったわね」
「うん? あぁ、まぁな」
ちょっと、ばつが悪い顔を浮かべると苦笑いを浮かべた。
一週間にも満たない時間だったが、その表情を懐かしく感じる。
「何、お互いに魅入ってるんですか。魔理沙なんて先まで、呑気に寝ている霊夢に苛立っていたのに・・・」
「してない!!」
呆れ顔のさとりに顔を赤くした魔理沙がさとりに食って掛かる。
「そんなに大声を出すとこいしが起きちゃうわよ」
言い出しかけた言葉を飲み込む魔理沙をさとりが余裕の微笑を浮かべる。
心が読める読めないを別にして、あの性格では嫌われるだろう。
「まぁ、私は魔理沙ほど可愛い性格をしていませんね」
さとりが弄る矛先を私に変えるように言い返してくる。
「あんたも心を読むだけじゃなくて、魔理沙みたいに表情が顔に出るようになれば、少しは妹以外からも好かれるんじゃない?」
「妹が私を好きかどうかなんて、わかりませんよ」
ムッとした顔でさとりが答える。胸にある目がこいしを見つめるがどこか寂しく映る。
「寝言でお姉ちゃんって言ってたわよ」
「えっ?」
驚いた顔をしたあと、両目がこいしに向けられる。三つの視線がこいしに注がれるが、肝心の妹は未だに夢の中だ。
ため息を吐いくと少し、落胆した表情を見せる。この子は妹のことになると感情が出やすい。これが、他人にもできるようになれば嫌われることもないだろう。
「さとり、騙されるな。霊夢は嘘を吐いてるぜ」
「えっ?」
今度は、私にすべての視線が注がれる。
そして、今度はさとりの頬が赤くなった。魔理沙がにやにやとさとりの肩に手を置く。
「あいつは、無意識に嘘を吐くときがあるんだよ。見分け方は、何処を視ているかわからないで喋っている時は怪しいぜ」
嘘を吐いた瞬間に第三の目を逸らさなければ気付いたのだろうが、さとり自身が衝動的に動いてしまっては、折角の能力も宝の持ち腐れである。
さとりも自分が抜かったのが分かっているだけに口を出さない。
「まぁ、妖怪でも家族思いは良いことだと思うわよ。そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃない。お姉ちゃん?」
めずらしく言い返さないさとりを見て、満足した私は魔理沙に訪ねる。
「で、魔理沙は私に話があるそうだけど何の話?」
にやついていた魔理沙は、急に話を振られて訳の分からない顔をした。
「霊夢に話? いいや、特にないけど?」
「そうなの? さとりがあんたが地霊殿に来て通訳を頼んだって聞いたんだけど?」
私達は、二人して訳のわからない顔をする。どちらともなく、さとりに視線が向かう。
視線に促されるとさとりは不機嫌そうに説明を始めた。
「魔理沙が地霊殿に来て、魔法の実験に失敗して喋れなくなったから、治るまで不便だからと治るまでのしばらくの間だけ、泊まらしてほしいと頼まれたよ」
「実験に失敗したという以外はあっているな」
さとりの説明に魔理沙が肯定を示した。個人的には、頼った相手がさとりだったという所が癪に障る。
「あら、魔理沙は医者を抜いたら、一番に貴女を頼ったじゃない。魔理沙は家に帰れって突っぱねられたと言って、私に泣きついて来たのよ?」
「え?」
「おまっ!?」
確かに家で大人しくしていろとは言った。でも、魔理沙もそこまで、困っているようには見えなかったからだ。
「困っていたというよりは、不安で寂しかったのよね。一人でいるのが嫌なくらい」
慌てて、泣きそうな顔でさとりに飛びかかる魔理沙だったが、心を読んで逃げるさとりを捕まえることはできない。二人でバタバタと大きな音を立てて追いかけっこをしていると寝ていたこいしが迷惑そうな顔で目を覚ます。
「うるさいなぁー」
まだ、寝惚けているようで目を擦りながら、追いかけっこをするさとりと魔理沙を見る。
「あぁ! お姉ちゃんだけ、楽しそうでずるい!」
「あら、起こした? ごめんね。でも、用も済んだから帰りましょう」
「そんなこと頼んでないけどな!」
「だって、あなた地霊殿に来て一日目で飽きて、神社に行きたいと思っていたじゃない。でも、そんなに素直に言えるかって悩んでいたから、私が交渉に来たんじゃない!」
「思っていただけで頼んでないだろう! いざとなったら、それぐらい自分で伝える!!」
お互いに言ってから沈黙した。この場で楽しそうに笑っているのはこいしだけで、全体的には気まずい空気が漂っている。
「そうね。それだけ喋れて威勢もあれば、私の手伝いなんていらないわね」
まだ、息の荒い魔理沙にさとりが、そう言い捨てるとこいしの手を取って外に出ようとする。
「じゃあ、あとはよろしくね」
擦れ違う時に私だけに聞こえる声でさとりが囁く。
言うだけ言うと挨拶もちゃんとしないで二人は帰ってしまった。
残された私と魔理沙の間に気まずい沈黙が流れる。
じっとしているのも、気まずさに拍車を掛けるだけなので、お茶を煎れ直して魔理沙の前に置いた。
「はい、お茶」
「・・・ありがとう」
「うん」
二人でお茶を啜る音だけがする。しばらくすると先程の気まずさも薄らぎ、いつもの博麗神社の有り触れた光景になった。
「ようやく、いつも通りに戻った気がするわ」
「そうか?」
「えぇ、そうよ。魔理沙と二人でこうする時間は私の日常よ。だから、別に来るのに私の許可もいらない。勝手に居ればいいのよ。好きなだけね」
「迷惑じゃないのか?」
「迷惑を掛けるのも掛けられるのも、いつものことよ」
「そうかな?」
「そうよ。それが私達の関係よ。大抵のことなら、受け止めてあげる」
「――受け止めてくれないこともあるのか?」
「貴女がどこか別の場所に行くのなら、受け止めてあげない」
私は、魔理沙に思っていることを素直に伝えた。だから次は彼女の番だ。
「ねぇ、魔理沙。あなたはどうしたいの? もう、しゃべれない訳じゃないでしょう?」
そう、私が訪ねると魔理沙は口を動かした。


――――霊夢、×××××。


魔理沙の声は、雨の音よりも小さかった。しゃべれない訳じゃないのに・・・。

「聞こえない」
「わからない、お前じゃないだろ!」
「凄い、言い草ね」
「ほっとけよ」
「嫌よ」

そう返すと魔理沙と私の間には今日、一番長い沈黙が生まれた。



~Fin~















「お姉ちゃん、お疲れ様だね」
「何を言っているのこいし?」
「魔理沙が治ったのに霊夢の所へ行きづらいからって、置き手紙を残して行きやすくしたんでしょう? しかも、憎まれ役まで買って」
「ち、ちがうわよ。何時までも、地霊殿に居座られても迷惑でしょう。人間のペットなんかいらないし、引き受けられないわ」
「あ~。お姉ちゃん、私の前ぐらい意地張らなくいいんだよ?」
「張ってない! それに地上に行こうと言い出したのはこいしでしょう!?」
「うん。でも、どこに行くかはお姉ちゃん任せだったよ」
「―――っ!?」
「えへへ。お姉ちゃんのそういうところ好きだよ」



~おわり~
                 ___
               ♪ || ̄ ̄|| ;ヽ∩ ♪
       ∧_∧      r||__||.....| ノ     どうしてこうなっ・・・
       (     )     └‐、    レ´`ヽ
| ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄ ̄/      y   __ノ´`     ・・・ってアレ??
|    | ( ./     /       ( ( ̄  ♪

 ___
/ || ̄ ̄||
|.....||__||   どうしてこうなった・・・・
( ∪ ∪  ∧_∧
と__)__) (     )  どうしてこうなった!?
| ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄ ̄/
|    | ( ./     /

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|.||__||   どうしてこうなった!
( ∪ ∪  ∧_∧
と__)__) ( ^ω^ )   どうしてこうなった!
| ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄ ̄/
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             ♪ ∩/ || ̄ ̄||♪ ∩∧__,∧
               _ ヽ|.....||__|| 7 ヽ( ^ω^ )7 どうしてこうなった!
               /`ヽJ   ,‐┘/`ヽJ   ,‐┘   どうしてこうなった!
| ̄ ̄\三  / ̄ ̄ ̄/  ´`ヽ、_  ノ   ´`ヽ、_  ノ
|    | ( ./     /      `) ) ♪    `) ) ♪
鳴風
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コメント



0.1880簡易評価
3.100名前が無い程度の能力削除
レイマリカップルと言うよりは、二組の姉妹の話だな、こりゃ。
可愛いし、和むわ。
4.80奇声を発する程度の能力削除
とても和めて良いお話でした
12.100シンフー削除
この作品はもっと評価されるべきです。
だってそうだろ!?
レイマリとこいさとがいっぺんに楽しめるんだよ!?
どんな人だって笑顔になりますって。
19.100名前が無い程度の能力削除
ほんわかとした気分になりました
24.100名前が無い程度の能力削除
お互い姉妹としかいいようがない。
霊夢と魔理沙はもう姉妹レベルヒャッホウ
25.100名前が無い程度の能力削除
この二組は大好物です。
26.100名前が無い程度の能力削除
こいしちゃんマジ無意識
レイマリとこいさと御馳走様でした
29.100名前が無い程度の能力削除
百合よりも姉妹がしっくりくる二人でした
39.90名前が無い程度の能力削除
これは良いさとり。
49.100名前が無い程度の能力削除
ないすなさとりん