Coolier - 新生・東方創想話

さなサナ!

2011/08/25 23:59:36
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「大変だ、幻想郷に隕石が落ちてくるぜ!!」
「へ?」
魔理沙さんが息を切らしながら部屋に飛び込んできました。
隕石ってあれですか、ジャガイモが降ってきて氷河期突入のあれですか。
「……」
……………………大変だ。霊夢さんのおっぱい揉んでる場合じゃない。
「幻想郷は私が守ります!!」
程良い大きさで綺麗なお碗形の柔らかい感触を惜しみながら外に飛び出す。
「ちょっと、待ちなさい早苗!! それぐらいスキマと結界でどうとでも……」
ぐんぐん守矢神社が小さくなっていく。途中ですれ違ったぬえさんのスカートを捲りあげるのも忘れません。青かった風景が段々と藍に近づいてきました。ジャガイモが見えてきました。大きいです。肉じゃが何人分ですかね?
「早苗!! 馬鹿なことやってないで戻ってきなさい。作業の邪魔よ、邪魔!!」
隣をふよふよ浮いている陰陽玉から霊夢さんの声がします。
「霊夢さん…………帰ったら結婚しましょう」
「変なフラグ立てるなあぁぁぁぁぁ!!!!!!」
デカイです。ジャガイモ。奇跡の力を突き出した腕に集めます。唸れ、ゴットフィンガーです。
けれども幻想郷では常識に囚われてはいけないのですよ。

頭突きしました。ハクタクもびっくりの威力で。

隕石がばらばらに砕けます。破壊の余波に巻き込まれて陰陽玉が砕けます。
痛いです。段々意識が曖昧になってきました。重力に引かれるまま落下していきます。
「地球……おっぱいみたいにまぁるいです」
独力で成層圏突破したあたりで眠ってしまいました。












**










私は今、とても悩んでいるのですよ。

どうやら私は死んでしまったようです。

自分を抱えて飛んでいます。

小町さんはまだ来ていません。

あの世に行く前に寄り道をしたいのです。久しぶりに外界を見て回りたいのです。

けれども死体はコインロッカーに入れられないのです。こんなこともあろうかと外界の通貨も持ってきたのに残念です……。

ふと地上を見やると星を散らしながら上昇する黒点が見えました。魔理沙さんです。

……風向きは問題ないですね。此処から落とせば気づくでしょう。

「さよなら……私」

死体から手を離しました。頭から地面に落ちていきます。

「どうせならもっと可愛い奴を履いてから死ぬべきでしたね」
「……よけいなお世話です」

あれ? 生きてらしたのですね。じゃあこれは分裂ですか。

寝起きのためかそのまま落ちていきます。

まあ、魔理沙さんもいますし現人神ですから大丈夫でしょう。

境界まで行って位相を外界に合わせます。早苗は遊びに出掛けるのですよ。

**

幻想郷に来た日の事を思い出しながら飛び続けます。少しづつ高度を落とします。
延々と山が続くだけの退屈なビジュアルです。幻想郷だったら花火の一つや二つそこらで上がってるんですけどね。線路が見えました。
新幹線……あの速度はリニアですか。もうこのあたりにも走り始めたんですね。
時代の流れは速いのですよ。緑の中に少しづつ住宅が混ざり始めました。
「もう少しですね」
湖が見えました。季節はずれの氷は浮かんでいません。
我が家であった所が見えました。高度を大分落とします。ここはベットタウンです。今の時間帯だとこの辺りに人はいない筈です。
「さなちゃん、そんなとこで何してんの?」
懐かしい声が聞こえました。進学して都心にいる筈なんですがね。……バットタイミングです。
本当は歩いて会いに行くつもりでしたのですが。 
「へ? 飛んでる!! え、どういうこと?」
着陸して小動物ちっくな可愛らしさが特徴の旧友に声をかけるのです。
「おひさ~。ゆりりん」






**

「エスパーなのですよ」
テーブルにはポテトとチーズバーガー、ストロベリーシェイクが並んでいます。油と調味料の味しかしません。懐かしいです。
「職業現人神です。……要するに僻地で巫女さんをやってるのですよ」
「ふーん、能力値は何段? それ仕事になるの? 危ない宗教だったりしないの?」
「全然大丈夫ですよ? 」
へー、超能力て何時の間に科学認定されたんですね。
「毎日楽しく撃ち合ってますよ」
ゆりりんがブルブル震えています。
「FPSです。テレビゲームですよ」
適当に誤魔化したり脚色しながら現在の交友関係を話してやって落ち着かせます。
「いいなぁ。私もさなちゃんと一緒に働いてみたいな~」
「う~ん、エスパーじゃないとうちの神社採ってくれないんですよ」
ただの人間が幻想入りすると大抵碌な目に合わないのでそういうことにしておきます。
「彼氏とかどう?」
「今猛アッタク中です。 霊夢さんという超絶に可愛い娘がおりまして……」
「ははは、相変わらず早苗は女の子にしか興味ないんだね……」
旧友が苦笑いを浮かべます。
「ゆりりんは?」
頬を掻きながら俯いてしまいました。この幸せ者め。
「早苗……早苗なのか!!!!」
振り返るとそこには大学生ぐらいの青年がいました。木村です。
近所に住んでいて女の子の早苗に無理やりマジンガーZごっこやらせた木村です。
6年生の遠足の時に「たかい~たかい~」とか言って背後から抱きあげてきたからぶん殴ってやった木村です。
タカシくんにあげた筈のチョコレート食べてた木村です。
毒蛇をけしかけても次の日には何事もなかったかのように上履きを盗む木村です。
猛勉強して同じ学校に進学してきて超うざかった木村です。
神奈子様と飲み比べて倒れた愚かな木村です。
引っ越しの日に「最後に思いっきり殴ってくだせぇ」とか土下座してきた変態野郎です。
ゆりりんを見ます。とても嬉しそうな表情です。
「木村……貴様だったのか」
なんでよりにもよってゆりりんの彼氏なんですか。爽やかな笑顔がムカつきます。
「おいおい、久しぶりの再会なのにそんな顔はやめてくれ」
木村は図々しくも私の隣に腰掛けました。ゆりりんの隣に行ってやれよ。
「何そのカジュアルな巫女服? なんかのコスプレ? うちのサークルで売り子やらない?」
「こういう巫女服なんです。……て、まだあの碌でもない薄い本描いてるんですか!!」
木村のうざさが何だか懐かしいです。ゆりりんがけらけら笑っています。
「木村は百合を描くべきなんですよ。何が好きで筋肉ばかり描いてるんですか!!」
「えー、だってその方が皆げらげら笑ってくれておもれーし」
ああ、このノリは焼きそばパン齧りながらパックの牛乳飲んでた頃みたいですね。
「この前インターシップ行ってきたぜ。火星の衛星軌道上で一週間自前のバイオスフィアでサバイバル。……ひもじい食生活だったぜ。
というわけで早苗、チョコくれ」
「ゆりりんから貰えばいいいじゃないですか。それに木村にチョコをくれてやったことは一度もないのですよ」
「そうか…………昔は毎年楽しみにしてたんだがな……あんまりにも美味から」
イライラしたときは食べるに限るのです。チーズバーガーを平らげます。ポテトはいつの間にか無くなっていました。……木村か。
「ほら、ゆりりんも笑ってないでもっと食いついてください。自分の彼氏でしょうが」
ぷんすか怒って見ましたが木村のうざさは変わりらなかったです。ゆりりんも楽しそうに笑うだけです。
「そうだ、皆で映画でも見に行かない? 早苗のとこ超ド田舎だから退屈してたんじゃない?」
ゆりりんが提案します。映画ですか……久しぶりに派手なVFX見てみたいです。いいですね。
残りのストロベリーシェイクを飲み干して皆で映画館に行きました。
アクション映画を見ました。木村の奢りです。気前がいいですね。大きなスクリーンの中で車が引っくり返ったりヘリコプターが爆発しています。男がスローモーションで動いて刀で黒服をばったばったやっつけていきます。幻想郷ではやらない戦い方です。余り参考に成りませんがこうやって三人で時間を共有できて大満足です。そんでもってその後は本屋で立ち読みしました。外界の変化に驚くばかりです。カラオケで全然知らない流行曲を歌わされました。電機屋さんでぷるぷる振えるマッサージ器具を買いました。……なんてことはない高校時代そのままの日常です。最終的に公園にクレープを食べに来ました。スペースポートが近くにあるらしく複葉型の循環機が影を作りながら通過していきます。成程、湖の堤防が過剰強化されてたのはあれの為ですか。騒音もトレーラー程度ですし幻想郷でも運用できそうですね。お婆ちゃんでもないのにつくづく時代の変化は速いと思いました。けれどもクレープの味は昔のままでした。他愛のない雑談に花を咲かせるのですよ。
「あ、ラスト・メテオの続編出ましたか? シーズン的にはそろそろな筈ですよ」
しかし、二人とも不思議そうに顔を見合わせるだけでした。あれ? なんの捻りもない筋肉SFアクション映画なんですが。
「隕石が落ちてきて人類が滅亡しかけるあれですよ」
「なんで隕石なんかが降ってきて滅亡するんだ?」
木村は不思議そうに首を傾げました。
「鮫の惑星は?」
ゆりりんはよく判らないといった様子です。あんなに怖がってたのに。
「人類最後の一膳は? ザ・ブラックホールは? 南極とキノコ雲は?」
何れも人類滅亡系の作品です。しかし、二人ともどうにもおかしい。
忘れているというよりか存在そのものを認識できなくなっているような……。
考え事をしているとクレープを食べ終えたゆりりんが立ち上がりました。
「飲み物買ってくるけど何がいい?」
木村はコーラを頼みました。私はドクッターペッパーを頼みました。
ちょっと前までは香霖堂でも売っていたのですがここのところ入荷しなくなったのですよ。不思議です。
木村と二人っきりになりました。
「早苗」
「なんですか?」
「安産願いの札を作ってくれ」
「……気が早すぎやしませんか?」
ゆりりんは何でこんなやつ選んだんでしょうね。
「しかし、お前高校時代と全然変わらんな。ゆりりんにもその裏技教えてやれよ。……お兄さん堪りません」
現人神です。そう簡単に老けてなんかやりませんよ。そして警察に突き出すべきかどうか真剣に悩むのですよ。
「……なあ、次はもう戻ってこないのか?」
「ありゃ? 察しがいいですね」
木村もエスパーですか? 慎重に言葉を選びながら彼が話を続けます。
「昔からなんとなく二度と手の届かないとこに行きそうな気はしてたんだよ。……ハードSFの世界に童謡の魔法使いが出てきたような……そういう場違い感があった」
「ふーん……」
暫く二人でクレープを黙々と食べていました。ゆりりんが中々帰って来ません。喉乾いたです。
「今になって思うに俺の役割は……」
また彼が口を開きました。
「場違いな早苗に余計な物語がくっ付いて此処に執着を持つ。なんてことがないようにするフィルターみたいなモノだったんだと思うんだ」
「格好つけて自分のうざさを正当化しないでください」
彼は悪戯っぽく舌を出すのでした。それがまたうざい。
「ずっとずっと、好きだった。……愛していた」
「……そうでしたか」
彼は包み紙を丸めてごみ箱に放り投げます。入らなかったので拾いに行って普通に入れました。格好付けようとして失敗しましたね。
「うん、ありがとう。帰ってきてくれて。……諦めがついた」
「……」
ゆりりんが缶ジュースを抱えて戻ってきました。受取って一気飲みです。久しぶりのドクターペッパーは相も変わらず不思議な味でした。
「そろそろ帰りますね」
ベンチから立ち上がります。
「そっか……ばいばい、さなちゃん」
ゆりりんが手を振ります。その笑顔にはどこか寂しさがあります。
「うん、俺みたいな碌でもない男じゃなくていいお嫁さん見つけるんだぞ」
日本語おかしくないですか? 構いませんけど。
エスパー社会みたいなので気にせずここで飛行します。

一度地上を振り返ります。

彼が手を振っています。

鼻血を垂らしていたので即席の安産願いの札で弾幕を張ってやりました。反復横跳びの要領で暫く回避してましたが被弾しました。気絶した彼の鼻血をゆりりんが拭いています。

「……」

最後の贈り物です。幸せに成りやがれです。












**





暖かなお布団の中で目が覚めました。起き上がったら霊夢にぶたれました。諏訪子様にもぶたれたことがないのに。
「あんた、自分の命なんだと思っているのよ!!」
……………そんな顔されたら「大丈夫だ。問題ない」なんて口が裂けても言えないじゃないですか。
「ごめんなさい……霊夢、悪ふざけがすぎました」
「まったく。 ……ほら、あんた等からも何か言いなさいよ。保護者でしょ?」
霊夢は傍らの神奈子様と諏訪子様に話を振ります。
「いや、もう霊夢がぶん殴ってきちんと叱ってしまったから私らから言う事がないんだよ」
「もう…………人の仕事取らないでよ。……お帰り、早苗。」
神奈子さまが微笑みます。諏訪子様が頭をなでなでします。
「ていうか、凄いよ早苗!!  一体どうやったのさ?」
はて? いまいち記憶が曖昧です。健忘症でしょうか?
「れいむー、風呂上がったぞ。交替するぜ」
魔理沙が首にタオルだけ巻いて全裸で部屋に入ってきました。
「……」
「おう、早苗……目が覚めたのか。もうあんな馬鹿なことはするなよ? 見ているこっちが死んじまうかと思ったぜ」
人の話を聞く時は大体首のあたりを眺めると良いらしいですが取り敢えず私は空力特性ばっちりの機能美溢れる胸元を眺めてました。……あれ? なんかおかしい?
「うん、お風呂借りるわね?」
霊夢が立ち上がる時にチラリと脇と乳が覗きました。
…………起たない。そんな馬鹿な!! 生えてませんけど。
「ん、どうした? なんだか顔色が悪いぞ?」
神奈子様が心配そうに顔を覗き込みます。理由が理由なだけになんだか居たたまれない気持ちに成りました。……ごめんなさい。
「にゃわ~~~~~ちょ、早苗!!!!!!」
お風呂場から霊夢の悲鳴が聞こえました。呼ばれたみたいなので布団から飛び出し急いで駆けつけます。
「何事ですか!!」
勢い良く擦りガラスの扉をスライドさせます。霊夢さんが何者かに乳を揉みしだかれていますが何も感じません。……泣いていいですか?
「うひょー、私はこのときの為に此処へ戻ってきたあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
湯気で顔が見えませんが声を聞いて本能的に嫌悪感を抱きました。
「ああ、御免なさい。……もっと優しくしますね」
「そういう問題じゃにゃ……やぁ~~~~~~」
おでんで殴りつけました。気を失しなったそいつを湯船から引きずり出しました。

**

「で、なんなんですか? 貴女は……」
畳の上で正座させた彼女に問いかけます。服は当然ながらびしょ濡れだったので予備の巫女服を着せています。
「うほっ、早苗の匂い…………何って? 誰に見える? 見たまんまですよ」
「見りゃ分かりますよ。問題は貴女が何者なのかです」
袖に顔を埋めて匂いを堪能するのを中断して彼女は答えました。
「隕石に頭ぶつけたでしょ? その時に分裂した東風谷早苗ですよ。使われなかった神力が私に命を与えたのです」
軽い立ち眩みを感じました。……あの時ゴットフィンガーしてればこうはならなかったのですね。
「へー、便利そうでいいじゃない?」
さっきあんな事があったのに霊夢はとても呑気です。勝手に淹れた玉露茶を上品に飲んでいます。彼女のほっぺを魔理沙がふにふに突いています。
「らめですよまひぃささん。スキンシップとはこうやるものです」
腕を掴んで自らの胸に宛がいました。新聞紙で作った即席のハリセンで引っ叩きます。
「で、何が目的なんですか? なんで此処に戻ってきた?」
この碌でもないのを始末するのにも一応何がしかの大義が要りそうですしね。聞いておきます。
「幻想郷じゃないとこうやってスキンシップできないじゃないですか?」
そう言いながら魔理沙のスカートを捲りあげて頭を突っ込もうとします。ハリセンで叩きました。当の魔理沙はげらげら笑っています。
「むぅー、私の中に戻りなさい」
「嫌です」
私の性欲がグレたようです。早苗はそんな風に育った覚えはないのですよ。
「早苗という個人は色々な人達との関わりによって作られているのです」
彼女は微笑みます。
「今早苗が消えてしまったら早苗と関わった人たちの想いも消えてしまうのですよ」
そして断言しました。
「だから絶対に戻ってなんてやりません」
うーん…………どうも彼女は私の一部というよりか自立した個人として扱った方がよさそうですね。認識を改めなければなりません。
「ごめんなさい。貴女のこと物か何かのようにしか考えてませんでした。……問題はどちらが本物かとかそいう話ではないのです」
「分れば良いのですよ。……で、結局の所何が不満だったのですか? 現人神が解決しますよ?」
彼女が手をわきわき動かしながら聞いてきます。皆さんが見ている手前なので耳元でこっそり相談するのです。
「分裂してから起たないのです。早苗の神生から鮮やかな彩色を奪わないで欲しいのです」
彼女が耳元で囁き返します。
「大丈夫です。分裂のショックで一時的に麻痺しているだけですよ……ちゃんと思い出させてあげますよ?」
柔らかなものを口に押し当てられました。レモンの香りがするのです。それをやめた彼女が口を開きました。
「濡れますね……見られながらするの」
いやいやいや、ちょっと待て!! え、これって近親相姦?! いや、新手の自慰か!!!!!!!
首筋舐めないで!! 変なものに目覚めそうですよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!
「まぁ、いいんじゃない? 娘が増えたみたいで私は嬉しいよ。ね、神奈子?」
諏訪子様の問い掛けに神奈子さまが頷きます。いや、誰も止めないのおかしくないですか? 霊夢、にやにやしてないで止めてください!!そうだ、幻想郷では常識に囚われてはいけないのです。幻想郷では常識に囚われてはいけないのです。幻想郷では常識に囚われてはいけないのです。幻想郷では常識に囚われてはいけないのです。幻想郷では常識に囚われてはいけないのです。幻想郷では常識に囚われてはいけないのです。
よし、自己暗示完了です。
……わひゃ、もっと優しく触ってください!! …………嗚呼、イイ。ちゃんと彼女を感じる。早苗の未来は明るいのです。

……紛らわしいから名前考えないといけませんね。けれどもどちらも早苗という事実は揺ぎ無いのですよ。今更早苗以外にはなれないのですよ。難しいです。…………などと愛撫されながら今後のことを考えていると。

「大変だ、また隕石が落ちてくるぜ………………前のよりでかいぜ!!」


窓の外を眺めていた魔理沙が驚いて大声を出した。全員表に飛び出して確認します。今度のジャガイモは大きいです。此処からでも見えます。どう考えてもあんなの浮いてたら地球の重力がおかしくなりますよね。普通じゃないです。
「うーん、これは多分外界から”人類が滅亡する”という概念が忘れ去られつつあるのが原因でしょうね。航宙技術の進展で今や第二の大航海時代ですよ。月面との国交が正常化して火星のテラフォーミングも終わってますし」
何時の間にかオービタルフレームが跋扈しそうな世の中になってたんですね。技術の進歩は速いのです。
「そんでもって、”隕石が落ちて滅亡する”というネタが一番スタンダードだったから真っ先に幻想郷に入ろうとするんでしょうね。……多分これからどんどん色んなものがやってきますよ」
ウィルス、地球外起源種、フォトンベルト、南極に超空間出現……。考えるだけでゾッとしますね。「見覚えのある場所、見覚えのある仲間達、だけど……………なぜ?」とか録音するの絶対嫌ですよ。霊夢はなにやら難しそうな顔をしています。左手を顎にあてて考えごとをしています。
「……だとするとフィルター作るだけじゃ駄目ね。もっと根本的な補強が必要だわ」
視線を空中に固定します。
「紫、いるんでしょ?」
霊夢がスキマ妖怪に呼びかけます。空間がパックリ割れて胡散臭く微笑む女性が出てきます。
「準備は出来ているわ。後はそこの神様お二人方の協力があれば完成するわ」
「成程ね。早苗、時間稼ぎ頼んだよ」
神奈子様が少し心配そうな顔をします。大丈夫です。問題ないです。今や火力は二倍なのです。私は力強く返事をして頷きました。それを見て安心した。神奈子様と諏訪子様がスキマの中に入って行きます。霊夢が隙間に足を掛けました。
「早苗、絶対無理はしないのよ?」
それだけ言うと霊夢はスキマの中に潜りました。スキマは消えました。
「……」
もうちょっと何か欲しかったのです。ちゅーとか、ハグとか……残念です。
空を見上げます。ごつごつしてました。季節感なんてあったもんじゃないです。
「悪夢は塵に還るのです。ここにはお呼びじゃないのですよ」
炭水化物ばかり採ってると太るのです。栄養はバランス良く採らないと駄目なのです。
三人で星の海へ向かって飛翔します。途中文屋のスカートを捲るのも忘れません。プロたるもの余裕を忘れてはいけないのです。成層圏を突破しました。隕石の表面が剥離して弾幕と化します。面倒ですね。
「 恋符「拡散型ファイナルスパーク」 」
八卦炉から光が溢れだします。しかし、いかんせん量が多いので少し火力が足りないです。すると、地上からコンテナが打ち出されて来ました。側の鉄板が外れてハリネズミのように砲身が飛びだします。ぐるぐる回りながら弾丸をばら撒き始めました。
「河童のマスドライバーだぜ」
成程、後で籠一杯のキュウリとペプシキューカンバーを一箱持っていかないといけませんね。射程距離に達しました。リミッターを外してスペルカードを用意します。もう一人増えると食費が大変ですからね。
「いきますよ?」
彼女が頷きます。
「 奇跡「白昼の客星」」 」
「 準備「サモンタケミナカタ」 」
弾幕が隕石を削り取ります。
「 R-9Ø「ハイパーマスタースパーク」 」
大きな破片を魔理沙がマスパを連射して粉砕していきます。それでも残った分を地上から追加されるコンテナが消し去ります。しかし、デカイです。ジャガイモ。全然時間が足りません。
「もういいわ。みんな、戻って来なさい」
ふよふよ浮いている陰陽玉から霊夢の声が聞こえます。
「霊夢、駄目だぜ。まだまだ全然削り足りないぜ」
「あ、それなら大丈夫よ。……河童に代わるわ」
ザーッというノイズが聞こえた後喧騒と重機の騒音が聞こえてきました。
「こちらお値段異常、川城にとり。盟友聞こえるかい?」
陽気な河童の声が聞こえてきました。
「これから超妖怪砲”デスキューカンバー”でその忌々しいジャガイモを吹き飛ばします。至急シェルターに避難してください。誘導します」
「おお、河童の大量破壊兵器か。頼りになるぜ」
どうせなら巨大ロボットが見たかったですね。スペルを中断して帰路につきます。
「 大奇跡「八坂の神風」 」
聞こえなかったのでしょうか。彼女は新しいスペルを展開しています。
「ほら、帰りますよ?」
しかし彼女は首を横に振りました。……むう、ほんとに捻くれてますね。早苗は悲しいのですよ。彼女が陰陽玉に問いかけます。
「にとりさん。それ、発射すると地上はどうなりますか?」
暫し、間をおいて河童が返答しました。
「……一〇分で図面を引いて三〇分でジャンクパーツから組み上げた即席兵器だ。冷却時には熱波と余剰エネルギーがそのまま放出される。……暫く地上で酒を飲めなくなりそうだね」
ありゃりゃ、……駄目じゃないですか。けれどもう時間が無いのですよ。無理にでも引っ張って一緒に帰ります。
「にとりさん、今直ぐ中止してください。………………大丈夫です……一人でやれます」
「え、でも盟友? 今からじゃとても間に合わ……」
「撃ちたきゃ好きにしてください。私は残ります」
霊撃が陰陽玉をバラバラに砕きます。
「何やってんですか!! 早苗、帰りますよ?」
彼女に手を伸ばします。しかし、伸ばした手は彼女に届かなかった。彼女から尋常じゃない量の神力が放出されます。空間が歪み始めました。早苗の手は力場に拒まれたのです。
「建物なんてまた建てればいいんです。木もまた植えればいいんです。幻想郷の技術や神力でどうとでもなります。……帰りましょう」
しかし、彼女は聞き入れません。隕石と同程度の規模の魔法陣が展開されます。神々の言葉が力強く輝いています。

「わかってます。これは早苗の我儘なんです。好きにやらせてください」

「駄目です」

「記憶はあります。けど、私は幻想郷がどんなところだか全然見てません。木村もゆりりんも全部捨ててやって来た幻想郷がどんな所なのか確認してません」

「……駄目です」

「早苗は分からず屋なのです。常識に囚われてはいけないのですよ」

「駄目だ!!!!!!!!!!」

あれを使わせては駄目だ。自分自身のことだから一番よく解ります。早苗はまだ未熟すぎるのです。
「早苗は幻想郷に恋しているようなのです。それが何なのか見極めるまでは…………幻想郷に悪さをするやつは片っ端から退治してやるのです」
そんなに無理しなくていいんだと抱きしめてやれないのが辛いです。馬鹿なことするなとぶん殴れないのが苦しいです。
彼女は振り返りました。
「……魔理沙さん、お願いします」
彼女は微笑みます。
肩が微かに震えています。
「…………分かった、頼まれたぜ」
駄目だ!! 彼女を行かせてはならないのです。
「よろしくお願いします。……後でさっきの続きやりましょうね?」
「優しくしろよ?」
二人ともクスクス笑ってます。……そんな場合じゃないんです。それじゃ駄目なんです。
彼女は再び前に向き直りました。
魔理沙が高密度の魔力を私の腹に叩きこみました。海老みたいに腰を曲げてしまいました。
箒が加速します。されるがままに引っ張られます。
彼女との距離がどんどん離れていきます。


強烈な閃光に目をやられました。

次に衝撃波が来ました。

魔理沙に必死にしがみつきながら結界を張りました。















**













段々と空気が湿り気を帯びてきました。

「……私は大切なものを忘れてしまいました」

「あいつは絶対帰ってくる。大丈夫だ」

彼女に体重を預けて髪の中に顔を埋めていました。

髪の毛を体液でぐしゃぐしゃに汚してしまいました。……地上に降りても特に怒られませんでした。

ただ、優しく抱きしめられただけです。






**















勝利に湧き立った人妖共が馬鹿騒ぎを繰り広げています。
博麗神社境内には球状の映像投影装置が浮かび上がっています。そこには並行宇宙にある偽の幻想郷を何度も色々な脅威が滅ぼして行く様が繰り返し流されています。周りを小さい窓たちが回っています。空っぽの博麗大結界の中で延々と化け物どもが殺し合い続けている映像が流れています。ゆりりんが喜びそうな画です。まぁ、彼らは彼らなりの居場所を見つけたのでしょう。深くは考えません。
「早苗さん、一緒に飲みましょう」
ほろ酔い加減の鈴仙さんが瓶ビールを抱えてやって来ました。隣に腰掛けて一本押しつけてきました。しょうがないから受けっとて喉に流し込みます。
「珍しいですね。何時もなら自分から色んな娘に絡みに来るじゃないですか?」
今日は積極的に混ざりに行く気分ではないのですよ。もちろんこんなとこで一人不貞腐れていてもしょうもないことも判っているんです。でも駄目なんです。今なら霊夢がどんな気持ちで叱り付けたのか分かります。神奈子様、諏訪子様の気持も痛いほど分かります。取り残された者の気持がよく解ります。
……ほんとにごめんなさい。

「ただいまです」

彼女は帰って来ました。怪我はしてないようですが全身が煤やよくわからない肉片で汚れています。臭いです。けれども現人神なので神々しいです。変態め。
「いや、好奇心に負けてちょっと寄り道してたんですよ」
鈴仙が未来的なガジェットで彼女を清潔にします。用意がいいですね。
「濁流のごとく押し寄せる地球外起源生命体を素手でミンチにしたり魚形戦闘艦を叩き落としてたら帰ってくるのが遅れたのですよ」
ああ、今まさにみんなで酒の肴にしてるあそこに態々行ってたんですね。
「はい、異常なしです。流石現人神、ちゅーしたりその続きしても全然大丈夫ですよ」
検査と消毒が終わったようです。鈴仙はお酒を補充しに来た道を戻りました。段々手際の良さに腹が立ってきました。後でベットで可愛がってやるから覚悟しておけ。
「あと、これお土産です」
何やら白黒の縞模様をスクロールさせながらブルブル震えて見える戦闘機を取りだしました。河童達が狂喜乱舞しながらあっという間に運び去ってしまいました。幻想郷の少女達のポケットには魔法が掛けられているのです。だから敢えて突っ込んだりはしないのです。
「うひょー、私はこのときの為に此処へ戻ってきたあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
霊夢が押し倒されました。しかし、酔っぱらった巫女は喘ぎ声を上げるだけでされるがままです。殴り飛ばして引き剥がします。
「酷いです。女の子は殴っちゃだめなんですよ」
「霊夢は私の物なのです。糞野郎め」
瓶ビールを一本掴んで押しつけます。彼女が受取って飲み干します。二人で並んで適当な所に腰掛けます。

「どうやって生き延びた?」

「神の子は復活できるのです。……やったことなかったからちょっぴり怖かったです」

微かに彼女の肩が震えています。

「パラレルワールドはどうでした?」

「つまらなかったです」

「お土産のあれなんですか?」

「頭の固い宇宙人ですよ。スキマ妖怪と友達になれそうだったから持って帰って来ちゃいました」

「……」

「あのですね……」

「待った。先にいう事ありますよね?」

「……はい。その…………心配かけてごめんなさい」

「よろしいです。で、なんですか?」

「うん、木村から伝言があるんです」
ありゃ、木村と会ってきたのか。変なことになってなければいいんですけどね。

「”俺みたいな碌でもない男じゃなくていいお嫁さん見つけるんだぞ” ですって」

……いちいち言われなくてもそうしますよ。

嗚呼、うざい、うざい。

…………まったく、まだ私のこと覚えていたんですね。

「おう、帰ってきたか。早苗、こいつ一晩借りるぜ」
魔理沙は彼女を引きずって勝手に霊夢のお家に上がって行きました。彼女は特に抵抗するでもなく嬉しそうに引っ張られて行きました。明かりが障子に影を二つ作ります。布団を引いてるようです。……明かりが消えました。

「……………………ふぇ?」

彼女に先を越されてしまいました。

「……」
成程、早苗にはまだまだ大胆さが足りないのですね。

常識云々ではなく早苗には大胆さが足りないのです。揺ぎ無い強さがまだまだ足りないのですよ。

善は急げです。

早速景気づけに萃香に酒を貰いに行くのですよ。それから兎狩りです。その後霊夢と愛し合うのですよ。

早苗の未来は明るいのです。

レベルアップのファンファーレはまだまだっぽいですが。
全国の木村さんサーセン<(_ _)>
orosiwasabi
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コメント



0.430簡易評価
1.80奇声を発する程度の能力削除
…何ぞやこれw
10.80過剰削除
木村のキャラが強烈だなwwww
いろんな意味でwwww
13.無評価名前が無い程度の能力削除
うむむ…

こう…ガーッ!と来てガーッ!と去って行った… ?
14.80名前が無い程度の能力削除
アリアリはある。パルパルも一度だがある。

さなさなかぁ…新しいな。
15.80名前が無い程度の能力削除
一体これはなんなんだぁーーーッ!?
17.90名前が無い程度の能力削除
ノリは好きだなー。もっと読んでいたい感じ。
18.100ミスターX削除
>全国の木村さんサーセン
むしろ全国の早苗さんが心配