Coolier - 新生・東方創想話

天人と死神の見た夢は

2011/08/19 21:47:41
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博麗神社で催されている宴会のさなか、いつものように飲み比べの号令がかかった。まずは対戦カードを決めるため、全員が次々とくじを引いていく。

「よーし、じゃあまずは1番のやつだぜ」
「私よ!」

 手を挙げたのは比那名居天子。いつものように不遜な表情で名乗り出る。

「さあ、私の相手はどなたかしら?」
「ああ、どうやらあたいのようだねぇ」

  頭を掻きながら少し気まずげに名乗り出たのは小野塚小町。その理由は死神と天人の因縁を意識してか。

「へぇ、相手が死神とは面白い。命の取り合いだろうが飲み比べだろうが、絶対に負けないわよ」
「へいへい、お手柔らかにたのんますよ」

  お互い前に進み出て、同じ盃になみなみと酒が注がれる。

「それじゃあいくわよ、私の実力を思い知るがいいわ!」
「そこまで言われちゃあたいも引き下がるわけにはいかないねぇ。死神の名に賭けて、天人の鼻をあかしてやるとしますか」

  数分後、すっかり出来上がった2人の姿があった。お互いに呂律は回らず目は座り、真っ赤な顔が人工太陽の光に照らされている。

「ほ、ほらあんた、まだ残ってるじゃらい。ヒック…さっさとそれ飲み干しなさいよ」
「む…そういうお前さんろ方が…ヒック…あたいより残ってるんじゃないろかね?」
「ぐっ…どう見てもあんたろ方が残ってるわろ!」
「ヒック…そうかいそうかい。よし、じゃあここまで盃ろ数は一緒、今残ってる酒もほとんど一緒だ。どうだい、ヒック…これを先に飲み干した方が勝ちってろは」
「手っ取り早くていいらね、これで決着ろ!」

  全員が固唾をのんで見守る中で最後の勝負に挑んだ2人は結局、同時に飲み終わりそのまま一緒にひっくり返ってしまった。

「ねぇ霊夢、こいつらどうする?」
「あ~萃香、適当に神社の中に放り込んどいてくれる?」
「了解~。じゃ、あっち行きますかねお二人さん」

  それから一体どれくらい経ったのだろう。目を覚ました天子の目に、戸の隙間から差し込む夜明け前の光と真っ赤な色の髪が飛び込んできた。

「ん…ここは…」
「ようやくお目覚めかい、お嬢ちゃん」

 まだ少し赤い顔で小町は天子に笑みを向けた。なんとなく気恥ずかしくなり、天子はぷいとそっぽを向く。

「ふんっ」
「結局勝負はつかなかったねぇ。ただの我儘お嬢様だと思ってたけど、やるときはやるじゃないか。いやいや見直したよ」
「我儘は余計よ。まあ、貴方の事は認めてあげるわ」

 お嬢様ってのは否定しないのかい、と小町は思う。にしても清々しいほど上から目線の徹底ぶり。

「へいへい。まあここでこうしてるのも何だ、ちょいと境内の方に出ようじゃないか」

  小石を踏みしめるジャリジャリという音と、鳥のさえずりだけが二人の耳に聞こえる。境内には飲みつぶれて屍のように転がっている者が何人かいた。そのうちの一人、射命丸文が二人に気づいて起き上がる。

「あ~、お早うございますお二方。昨日の名勝負、しかと拝見させていただきましたよ」
「ふん、私にとっては勝てなかったのだから負けと一緒よ」
「まあまあそう言いなさんなって。お互い勝負を楽しんだじゃないかい」
「そうそう、私もつい熱くなって見てましたよ。つきましては、このことを新聞のネタにさせていただこうと思いまして」
「おや、光栄だねぇ。ぜひ写真付きで頼むよ」
「ちょっと死神、なに一人で決めてるの?」
「それでは許可が下りたところで、お二人のツーショットを一枚撮らせていただきますよ」
「あ、こらもう!」
「ほらほら、これでいいかい?」
「むぐっ?」

 小町は強引に天子の肩を掴んで引き寄せた。お互いの体が密着し、赤い顔どうしがすぐ近くに隣りあう。

「ちょっと貴方、近い近過ぎ!」
「これぐらいがちょうど写真に収まりがいいんじゃないかと思ったんでね。そうだろブン屋?」
「いいですねぇ!でも天子さん、できれば笑顔でお願いします」
「えーっ。はあ、これでいいかしら」
「まあ、それで良しとしましょう。はい、チーズ!」
 
 自然体な小町の気風のいい笑顔と、少し引きつったような天子のはにかんだ笑顔。二人の性格をそのまま表したような表情を、射命丸のカメラは記録した。

「なあお前さん、今度またこれに付き合わないかい?」

 さてそろそろ帰ろうか、という頃合いで、笑顔を浮かべながら小町は盃をあおる仕草をしてみせた。天子にしてみれば死神の誘いなど寝耳に水、怪訝な表情になるのも無理はない。

「はぁ?もしかして何か企んでる?」
「いやいや、それは誤解ってもんさ。ま、あたいは大体三途の川の岸辺にいるからさ。気が向いたらいつでも来ておくれよ」
「あ……」
 
 そう言って小町は天子に背を向け、ヒラヒラと手を振りながら神社を後にした。

「まあ、どうしても暇なときは……」

 ポツリと呟き、天子も帰路についた。








「なあ、ちょいと聞いておくれよ。こないだあたいは天人のお嬢ちゃんと飲み比べをしてねぇ、これが見かけによらず強いってぇの。あたいも鬼や天狗までとはいかないにしても、結構自信あった口だけどさ、いやぁまさか引き分けがやっととは思わなんだ。でもさ、そのお嬢ちゃんの寝顔が別嬪さんでねぇ。思わず見とれちまったんだよ。ありゃあほんと、黙ってればとびきりの上玉だよ」

 三途の渡しの船の上、口の聞けない魂相手に小町は先日の話を聞かせる。ここ数日はその話題が多かった。

「おや、あれに見えるは……」

 彼岸からの帰り道、見覚えのある姿が岸辺に立っている。まさしくあれは天人のお嬢ちゃん。

「嘘つき!ここにいるって言ってたくせに」
「これはまた間が悪かったねえ。真面目に仕事してるときに限っておいでなさるとは。いやはや、待たせて済まなかったよ」
「ふん、次からは気をつけなさいよ。で、今からどうするの?」
「そうさねえ、今日のところはあそこにするかい」

「でね、衣玖ったら酷いのよー」
(おかしい)
「そのとき霊夢がさあー」
(このあたいが……)
「そしたら萃香がまたねー」
(さっきから全く喋れないじゃないか……)

 夜雀の屋台に並んで座る死神と天人。自らを専ら話し手と評価している小町はしかし、先程から嵐のように喋り続ける天子の話を聞くだけしかできないでいた。

(まあしかし、たまには聞き役ってのもやって損はないかねえ)

 と思いながらも天子の話を右から左に流しつつ、顔だけはニコニコして適当に相槌を打つ。聞き役としては小町が思う以上になってないのだが、天子にとっても実はそれでも上等な話し相手だった。
 何しろ天子が日頃交流する者と言えば衣玖は何かと小言を挟んでくるし、霊夢は基本的に何を言っても取り付く島がない。萃香は泥酔して聞いてるのか聞いてないのかわからない。
 というわけで黙って話を聞いてくれる存在を相手にするのがこんなにも心地よいものだとは、という次第である。そんな天子のことが何だか妙に可愛らしく思えてくる小町だった。

「はあ、何だか思ったより楽しかったわね」

 お開き後の夜道の上、うーんと背伸びしながら天子が呟いた。

「そいつはよかった。ま、気が向いたらまた来るといいさ」

 先日と同じように天子に背を向けてヒラヒラ手を降る小町。

「あ、ちょっと待って」
「ん?何だい何だい。今更ワリカンで、なんてのは無しだよ」
「一度私が払うって言った以上払うわよ。そんなことじゃなくて……その……」

 急にしおらしくなってモジモジし始める目の前の天人娘に、小町は不意討ちを食らったかのごとく目を丸くする。

「今日は……その……あ……ありがと……」

 こいつはやられた!と小町は思う。顔を赤らめ視線を逸らし、両手を組んで「ありがとう」とは何ともはや、計算された演技じゃなかろうかとも思いたくなる可愛らしい仕草に見えた。

「あ、ああ。いいってことさ。じゃああたいはこれで失礼するよ」

 なぜか思わず逃げるようにしてその場を後にする小町。
結局一度もお互いの名前を呼ぶことはなかったが、それでいて互いに何か意識しあう、まだまだそんな程度の関係であった。







 翌日

「おや、いたのかい。起こしてくれたって構わなかったのに」

心地よい昼下がりのまどろみから目覚めた小町のぼやけた視界に桃を飾った帽子と瑠璃色の髪が飛び込む。

「あんまり気持ち良さそうに寝てたもんだから。いくら私でも遠慮しちゃったわ」
「おやおやあまりの優しさに涙が出そうだよ。これが上司の四季様なら有無を言わさず引っ叩かれてるところだからねえ」
「ま、この間のお返しも」
「は?」
「寝顔見てやろうと思って」
「ああ、なるほど」

 つい小町は苦笑する。

「で、今日なんだけど、昨日のことよく考えたら……その……私しか喋ってなかったじゃない?だから今日は、私が貴方の話を聞いてあげる番だと思うの」
「いやお前さん、昨日はあたいも楽しんだんだからそんな気遣う必要はないのさ。それに殊勝な心掛けとは思うけど、どうもお前さんらしくない気がするねえ」

そんな言葉があの天子の口から出てきたことに多少驚きつつも、平静を装う小町。

「何よ私らしくないって。とにかく今日はあんたが私に話す番なの」

 そう言って天子は小町の隣にドスンと座り込む。

「そこまで言われちゃ仕方ないね。じゃああたいの話を篤と聞いてもらおうじゃないか。こんな上等な話し相手がいるからには、とっておきの話でもてなさにゃならん」








 軽妙な語りっぷりの小町の話を天子は漏らさず聞いていた。語るにせよ聞くにせよ、天子が他人とこうして時を過ごすなど長い間無かったことである。先日の屋台と今日のことで、天子の中で小町が特別な何かに変わり始めていた。それは恐らく、小町もまた――。

「ねえ、また来ても……いいかな?」
「ああ、断りなんか要らないよ。いつでも来たいときに来るといいさ」




 






 それから数週間、三途の渡しの船の上。今日も今日とて魂相手に小町は語る。最近変わったことが二つ。専ら昼過ぎに毎日のようにやって来る客人のため、その前に仕事をしてしまうことが増えたこと、もう一つは話のネタ。

「なあなあ聞いておくれよ魂さん。色恋沙汰にはとんと縁のなかったあたいだが、どうやら恋ってもんをしちまったらしい。え?相手?それがねぇ、よーく聞いておくれ、よりにもよって人騒がせなあの天人のお嬢ちゃんときたもんだ。あたいもとうとう焼きが回ったかとも思ったんだがね、あのお嬢ちゃん、ああ見えて本当は人一倍の寂しがりやなんだよ。いろいろ騒ぎを起こすのも、その裏返しと思えばなんともまあ可愛いもんじゃないか。だからあたいがそばに居て、少しでもその寂しさを紛らわせたいなんて思うんだ。え?何だい?思い切って告白しちまえだって?お客さんあんたも言いなさるねぇ!そうは言ってもあの性格だ、あたいの気持ちがちゃんと伝わるかどうか心配にもなるってもんさ。なになに?当たって砕けろだって?あっはっは、確かにそれがあたいらしいかもしれないねぇ。じゃあこの小野塚小町、一世一代の勝負に出てみようじゃないか。そうと決めたら今日の夕餉は四方膳。勝栗、昆布巻、打鮑ってね」

 こんな調子でもう数日。告白するとは決めたものの、いざ天子を目の前にすると告げられない。代わりに魂相手に自分の気持ちを吐き出していた。
日々募る、意外と不甲斐なかった自分への自己嫌悪と天子への恋心。








 天界
今日も小町の元に向かおうとしていた天子を、たまたま通りかかった衣玖が呼び止めた。

「総領娘様、今日もお出かけなさるのですか?」
「ええ。何か文句でもあるの?衣玖」
「滅相もございません。ただ、最近総領娘様は少しお変わりになられましたね」
「変わった?私が?」
「ええ、以前に比べてお顔が随分と優しくなられた気がします」

帽子に手をやりながら、少しうつむいて考える。

「そう……かしら?うん、そうかもね。ねえ衣玖、私、もしかして……」
「なんでございましょう?」
「好きな人……できたかも……」

思いもかけない天子の台詞に衣玖は最初何があったかわからなかったが、やがて理解し一呼吸遅れて驚嘆の反応を返す。

「えええええええええ!!」

衣玖のあまりの過剰反応に、天子は思わずムキになって声を荒げる。

「な、何よ!そんなにビックリしなくたっていいじゃない。大体私だってこ、こ、恋の一つや二つするわよ!」
「いえ、天下の総領娘様の恋とはまた酷い不意打ちでしたので。ええと、コホン、総領娘様」

何とかして気分を落ち着かせた衣玖は、わざとらしい咳払いを一つ入れる。

「今度は何よ」
「初恋ですよね?」
「や、私だって恋の一つや二つ……」
「初恋ですよね?」

顔をにじり寄らせてにっこり微笑み同じ問いを投げかける。

「……初恋です……」
「正直でよろしゅうございます。して、その総領娘様の思われ人とはどのようなお方なのですか?」
「えっと……私の話をちゃんと聞いてくれるし、それでいて面白い話も聞かせてくれるし、とにすごく包容力があって、一緒にいると暖かい気持ちになれるの」
(ふむ……該当するのは八雲紫?聖白蓮?紅美鈴?八坂神奈子?……どれも決め手に欠けますね)
「ええと、もしよろしければお名前をお聞かせ願えないでしょうか」

そう言われて真っ赤になりながら視線を逸らす天子だったが、恥ずかしがりながらもその名を口にする。

「小野塚……小町。死神の」

衣玖はその場に倒れた。








 ある日の夜、小町は覚悟を決め初めて天子を自宅に招いた。告げると決めながらもなかなか実行に移せずにいた、天子への愛の告白のため。
小町はこの日は酒を出さずに当たり障りの無い話でお茶を濁していた。一度だけ天子が酒を催促したがやんわりと断った。

「なあ、あんたに話があるんだけど……」

床に置いたテーブルの向こうに座る天子の方を向き、正座に座り直して小町は言う。

「どうしたの?改まって」

少しの間目を瞑り、意を決して口を開く。回りくどいのは、性に合わない。

「あたいは、あんたのことが好きだ。最近あんたとずっと一緒にいて、あんたのことばかり考えてて、もっとあんたのことを知りたいと思った。もう一度言うよ、あんたが好きなんだ。だからあたいと恋人になってほしい」

大仕事をやってのけた小町の目の前で、天子は顔を伏せている。
天子の言葉を待つ小町の鼓動は激しく鳴り響き、頭が軽くクラクラしてくる。ほんの数秒が果てしなく長く感じられた。

「……名前で呼んで」

想定外の天子の言葉に小町の思考は一瞬追いつかなかった。

「へっ?」
「だからあんたじゃなくて……天子って呼んで。私の名前……ねえ小町」
「ああすまなかったよ、あたいとしたことが。改めて……天子、好きだよ。あたいの恋人になっておくれ」

そう言ってじっと天子を見つめた。

「本当に、私でいいの?」
「ああ、天子じゃないと駄目なんだ」
「私、すっごく我儘だよ?」
「あたいが全部聞いたげるよ」
「本当に、本当に?」
「本当さ。何回でも言ってあげるよ」

天子の目からポロポロ涙がこぼれ落ちる。小町はそれを見て胸がキュンと高鳴るのを感じた。

「嬉しい……小町……私、私も小町のことが好き。言いたかったけど言えなくて……でも小町から言ってくれた。夢みたい……でも夢じゃないのね」
「ああ、夢じゃないよ。でもそういうあたいだって、夢みたいだって思ってる。あの宴会で天子の寝顔を見てから、あたいはずっと夢の中にいるようなものだったのさ。これからは二人で同じ夢を見ようじゃないか」

我ながらこんなくさい台詞をよく言えたものだと思いながら、小町は天子を後ろから抱きしめた。天子が小町の両手に自らの手をそっと重ね、お互いに頬を寄せて体温を確かめ合う。

「ずっと一緒にいてね、小町……」

 そう言いながら小町の目を見て瞳を潤ませる天子が、小町の心臓の鼓動を更に速める。

「天子……ずっと一緒だよ」

 天子を正面に向かい合わせ、両手を天子の肩に添える。

「目……閉じて」

 震える小さな唇に、自分の唇をぎこちなく、そして優しく重ねた。

そして二人きりの夜は更けていく。

死神と天人――相入れない者同士が結んだ愛の、行き着く先は天国か地獄か。はたまた醒めない夢の中か。








「衣玖ー!これ見て!」

玄雲海を漂う衣玖の元にやって来たのは文々。新聞をその手に握りしめた天子だった。

「ほら、見て見てこの写真!」

そう言って天子は三面の隅に小さく載っている写真を見せた。『白熱!死神と天人の飲み比べ大会!』の見出しと共に天子と小町が二人で写っている。

「おや、やっと記事になったのですね」
「えへへ、小町と一緒の写真だなんて大切にしなきゃね」

心の底から嬉しそうな天子を見て、まさに恋する少女だなと衣玖は思った。

「そう言えば、小町さんとはあれからどうなられたのですか?」
「よくぞ聞いてくれました!私と小町は晴れて恋人同士になったのよ!」

精一杯胸を張って、周囲に響く声で天子は答えた。

「……何か弱味でも握ったとか?」
「失礼ね!そんなわけないじゃない。第一小町から告白してくれたんだから」

怒っているのか喜んでいるのか……は間違いなく後者だろう。そんな天子の様子に、何となく衣玖も楽しげな気分にさせられる。

「まあ、それは御馳走様でございました」
「あら、今日は驚かないの?」

あからさまに拍子抜けした表情を天子は浮かべた。

「ええ、前回のことでもう充分驚きましたので今更こんなことでは。それよりも一番私がショックだったのは、気絶してしまった後その場に放置されていたことなのですが……」
「えへ、ごめんごめん。時間に遅れると思ったからつい。あ、そろそろ小町のとこに行かないと。ああもう、いっそ天界に住んでくれればいいのに……。じゃあ衣玖、またね!」

そう言い残すと一目散に天子は飛び立ち、あっという間に見えなくなってしまった。

「やれやれ。まあ、幸せなのは善きこと。願わくばできるだけ長く続けば良いですねぇ」

一人残された雲海の中、衣玖はぽつりと呟いた。






 それからというもの、天子と小町は毎日の様に逢瀬を重ねた。といってもただ二人で取り留めない話をしたり、酒を飲み交わしたり、昼寝したり、釣りをしたり、抱き合って過ごしたり、と他愛の無いもの。それが二人にとっては最高に至福のひと時だった。

 






 あるとき天子は小町にある提案をした。それは天子がずっと思っていて、でもなかなか言えずにいたこと。

「ねぇ小町、あのね、今度……」
「ん?なんだいなんだい。今更遠慮なんて要らないさ。何でも言ってごらんよ」
「ありがと、小町。じゃあね、今度……天界の私の家に来てほしいの」

それは小町の想像通りの願いだった。自分はお迎えの死神じゃないから大丈夫だろうと思いつつも、一抹の不安は抱えていた。

「やっぱりそう来たかい。あたいは死神だけど、天子がそう言うなら大丈夫って思っていいのかな?」
「もちろん!私が付いてるから。何か言いたい連中は私が何やっても言うんだし。それよりも早くお父様に小町のことを紹介したいの!」
「ああわかったよ。あたいはいつでもいいから、天子の好きなときに呼んでおくれ」
「うん!じゃあ明日ね!」

またそりゃ急なと思わず言いかけた小町だったが、天子の満面の笑みを見てその言葉を飲み込んだ。

「はいはい、明日ね。わかったよ」
「じゃ、私が小町の家まで迎えに行くね」
「ん、それでいいのかい?手間取らせて悪いねぇ」
「いいのよ。そっちのほうが早く小町に会えるんだし」
「かぁ~、可愛いこと言ってくれるじゃないか。じゃあ、明日はよろしく頼むよ」

こうして翌日の約束を交わし、お互い帰路に着いた。

「さてと、四季様に業務報告して帰りますかね」

小町は三途の川を渡り彼岸に来ていた。天子と毎日会っているとは言え、むしろ以前よりも仕事はしっかりこなしていると自負する程だ。上司である四季映姫には天子とのことは言っていないが特に隠すつもりも無い。もし聞かれたら言おうと思ってはいる。

この日も特に変わりなく終わるはずだった。

「ん……?」

裁判所への入口にそれまで小町が一度たりとも見たことがない険しい顔をした映姫が、屈強な護衛の死神四人を連れて立っていた。

「どうしたんです?えらく物々しいですけど」

映姫は険しい表情のまま、冷たく重い声で言い放った。

「小野塚小町、貴方を拘束します」

それは小町にとって全く予想外のことだった。何かを考える間もなく映姫の声と同時に死神二人が一瞬で小町の背後に回り込み、両腕を抑えて身動きを取れなくした。

「何故です!?あたいはこんなことされる覚えはありませんよ!」

必死で逃れようとするが抑えられた両腕が自由になる気配は全くない。それでも諦めずに映姫を睨みつけるが、映姫はあくまで表情を変えず小町に向き合う。

「小野塚小町。貴方は天人の比那名居天子と内通して是非曲直庁に危害を与えようとした疑いにより、ここで拘束したのち然るべき期間幽閉されます。この決定は覆りません。貴方に抗弁の権利もありません。そしてこれは『上』の意思です」

『上』とは即ち十閻魔王のこと。そんなところから言われる理由も天子と内通したとの意味もわからず、到底納得できることではなかった。

「あたいには全く理解できませんねぇ。せめて説明してもらえませんか」
「いいでしょう」

初めて映姫が小町から視線を切り、息を短く吐いた。再び小町と向き合ったところで口を開く。

「あの天人は、過去に迎えの死神を三人殺めています」
「なんですって!?」
「貴方が知らないのも無理はありません。私が閻魔になるより更に前のことですから。そのような者と死神が深い仲になるのはその意図あってのこと。直ちに処罰しなければ迎えの者の士気にも影響するとのことですので」

それを聞いた小町の心の中に激しい憤りが生まれた。どれだけ考えても筋が通っていない。自分がそんな目にあわされる道理が無い。

「ふざけるなっ!相手の命を獲りに行く以上、自分も殺される覚悟を持って当たり前じゃないのかい!こんな逆恨みでイチャモン付ける方がよっぽど士気に関わるんじゃないのか!それとも是非曲直庁ってのは天子みたいな小娘一人にビビってなにもできないとこなのかい?」
「口を慎みなさい小野塚小町」
「いいえ黙りません。ははぁ、ひょっとして図星ってわけだ。はっはっはっ!これはとんだお笑い種だねぇ!憎い敵に手を出せないからって代わりに恋人に嫌がらせして溜飲を下げようなんざ、清々しいくらいに腐ってるよ」

こうなるともう小町自身も歯止めは効かない。映姫の制止も無視して感情のままに捲し立てる。

「黙れと言っています」
「ふんっ!だいたい四季様、貴方も貴方だ。こんな命令に大人しく従ってるなんて。もっと人の心のわかる方だと思っていたけどあたいの見当違いだったみたいだねぇ」
「これ以上の侮辱は罪を重ねることになりますよ小町。私は閻魔としての任務を全うするだけです。私情など挟む余地はありません」
「そうかいそうかい。ああ、ほとほと見損なったねぇ。是非曲直庁も貴方のことも。これで気が晴れるって……がっ!?」

小町の後ろ首に死神の強烈な手刀が入った。途端に小町の視界は真っ暗になり、糸の切れた人形のようにその場に力なく崩れ落ちる。

「ご苦労でした。そのまま地下牢へ」
「はっ」

死神の一人が小町の体を抱えて門の奥へと消えていった。映姫は残っている死神に指示を出す。

「万が一、件の天人がここへ来るかもしれません。警戒体制を厳に取る様に。もし来た場合はどの様な状況でもこちらへの侵攻と見做しますので全力で撃退しなさい。ただ可能な限り生きて捕えるのです」
「心得ました」

死神は全て引き揚げ、その場には映姫一人が残された。

(そう……私はすべきことをした。それだけのこと)

 







 翌日
小町の身に起きた事情など知る由も無い天子が小町の家を訪れる。

「小町ー!おはよう!」

合鍵を使い玄関から大声で小町を呼ぶが返事は無い。不審に思いながら家の中に上がり込み探しても、やはり小町は留守だった。

「小町……どうしたのかしら……?」

これまで付き合ってきた中で、小町は一度も約束を破ったことはなかった。今回も彼女のことだから何か理由があるとは思ったが、同時に天子は言いようの無い違和感を覚えてもいた。
家の周囲を一通り探したがやはり気配はない。

「仕方ないわね……」

緋想の剣を高く掲げ、注意深く小町の気質を探る。

「……いたわ」

三途の川を越えた先、彼岸の方向に微かに小町の気質を感じることができた。

「これはいっちょ行ってみるべきでしょ」

それはほんの軽い気持ちで。小町からは彼岸が危険な場所とは聞いていなかったし、彼女の職場を見たい気持ちもあった。そして何より、天子はこの先に何が起きても大丈夫という自信を持っていた。

川岸まで急ぎ、水辺に行き着いたところでじっと霧に覆われた先を見遣る。

「じゃ、いっちょ行きますか」

そう言うとフワリと身を浮かせ、彼岸を目指して飛び出した。

川を越え、向こう岸に広がる花畑を越え、やがて見えてきたのは大きな門。

「ん……?」

何かがキラッと光ったかと思うと、無数の光弾が天子めがけて猛スピードで襲いかかってきた。

「ちょっと!一体どういうこと!?」

戸惑いながらも上下左右に身を翻し、一発も被弾することなく躱してゆく。

「これ、スペルカードルールってわけじゃなさそうね!」

距離があるおかげですんでのところで避けてはいるが、光弾の密度は非常に高く、察することのできる威力は明らかに殺傷力を持っている。更にはお互いの口上やカード数の提示なども無い、言わば不意討ちでの一方的な戦闘開始。彼女が経験したことのあるそれとは一線を画していた。

「どういうわけか分からないけど、やられた以上はやり返すわよ!」

僅かな光弾の間隙を縫い、出発点に向けて広げた右手から緋色のレーザーを幾筋も発射する。
レーザーは光弾を飲み込みながら突き進み、着弾点で爆音を響かせ大きく爆ぜた。

(今だっ!)

舞い上がった土煙に紛れて全速力で爆心地へ移動した。
着地と同時に緋想の剣を大きく横に薙ぎ、突風を起こして土煙を吹き飛ばす。
クリアになった視界に飛び込んできたのはいずれも大きな鎌を携えた死神達の姿。天子を取り囲む様にして十五人程いるのが確認できた。

「一体これはどういうつもり!?私はただ小町に用があるだけなんだけど」

苛立ちを隠さない天子の問いにリーダー格であろう死神が答える。

「小野塚小町はお前と内通した罪によって幽閉されている。そしてお前もここで捕らえられる運命さ!」

その台詞を合図にして他の五人の死神が一斉に天子に飛びかかった。

「ああそう」

天子は冷めた声で囁いた。
死神が天子に届くより速く、彼らの行手をそれぞれ遮るように出現した高さ2メートル程の要石が急加速してその身を穿った。
人間なら全身の骨が砕ける程の衝撃を受け、死神は五人ともひとたまりもなく弾き飛ばされて苦しそうに呻き声を上げている。
天子はそれに一瞥をくれることもなく、肩にかかった髪の毛を背中の方へ払いながら今しがた話した死神に目をやった。

「別に詳しい事情はどうでもいいわ。貴方達が小町を開放してくれないのなら、力づくで返してもらうけどそれでいいのね?」
「何を世迷い言を言っている。今ここにいる手勢の他にも合わせて百人は控えているのだ。お前の命は今日ここで尽きるのさ!」

仲間がやられても怯むそぶりを見せず、そう言って死神は口角を上げて顔を歪ませ下卑た笑みを浮かべた。

「別に百人だろうが千人だろうが私には変わりないけどねえ。戦いにおいて最も大切なものは彼我の力量を正確に推し量ることだというのに。あれだけ痛い目に遭わされてもお前達死神はまだ解らないのかしら」
「ふん、強がりを言ってられるのも今のうちだ。今にその減らず口を叩けないようにしてやる!」

今度は残った十人の死神が大きく鎌を振り下ろし、天子めがけて光弾を発射する。

「無駄ね」

死神への攻撃のため展開したままになっていた要石に加え、更に五個の要石が天子の周囲を取り囲む。
一瞬遅れて光弾が全て要石に着弾し、爆発とともに巻き起こった土煙で再び周囲の視界が遮られた。

「構わん!続けて撃て!」

リーダーの合図で他の死神が鎌を振り上げた瞬間、正確に狙いを定めたレーザーが土煙の中から飛んできた。

「ぎゃっ!」
「ごっ!」
「あがっ!」

短い悲鳴を上げて死神達は次々とその場にうずくまる。唯一回避できたリーダーの元に、悠然と天子が歩み寄ってきた。

「どうかしら?貴方達の苦手な気質を叩き込まれた感想は。ま、残念ながら一人残っちゃったけど、でも丁度いいかしら。ねえ、大人しく小町のところに案内してくれない?そしたら何もしないであげるから」

まるで今まで戦っていたのが嘘のような穏やかな笑みを浮かべ天子は目の前の死神にそう尋ねた。
その表情を見て彼女は天子が全く自分達のことを歯牙にもかけていなかったのだと悟った。

「……っふざけるなぁあ!」

萎えかけた戦意を奮い立たせ、鎌を振り上げ天子を斬りつけた。

「はぁ……」

天子は溜息をつきながら迎え討つ。刃が体に届くより速く踏み込んだ天子の右手が死神の顔を鷲掴みにすると、そのまま全身を高く振り上げ後頭部から地面に叩きつけた。

「ぴっ!」

 ほんの僅か悲鳴にならない悲鳴を上げて頭を地面にめり込ませ、死神はピクリとも動かなくなった。

「あ、せっかくなら小町の居場所だけでも聞いておくべきだったかしら。……まああの様子じゃ口を割ることもないか。それにしても、私ってまるで王女様を救いに行く王子様じゃない。本当は王女様役に憧れてたんだけど、よく考えたら私が捕らわれることなんてないから無理よね。というわけで待っててね、小町!」








「閻魔様!ご報告!」

執務室で机に向かっていた映姫のもとに伝令の死神が駆けつけた。

「比那名居天子が現れました。正門に配置していた部隊は既に破られ現在入口付近で応戦中です」
「もう来ましたか……。わかりました、また報告をお願いします。私も出る準備をしておきましょう」
「はっ!」









 門を抜けた先、裁判所入口のホールで行われているのは約百名対一名の蹂躙劇。ただし一名による、百名に対しての。
ある者は腕をすり潰され、ある者は肩から腰までの刀傷をつけられ、ある者は胸に風穴を空け、またある物はあらぬ方向に足を曲げてもがいていた。

「一応聞くけどまだやるの?貴方達だってもう無駄だってわかってるでしょ」

攻撃がしばし止まったのを見計らって天子は辺りの死神達に呼びかけた。
多くは既に戦意を喪失しているものの、退くに退けないといった様子が見て取れていた。
死神とはいえ、戦闘を主な任務としているのはその中でも多くはない。ましてその多くは門の外に配置されていた。戦闘を任務とするお迎えの死神にしても多人数での戦闘訓練をしているわけではなく、非効率的な戦い方に終始せざるを得なかった。
もっとも、この場にいるのが訓練された戦闘部隊だったとしても天子を抑えられたかどうかはまた別問題である。それ程までに両者の実力には死神から見れば絶望的な差があった。

「悪いけど私も急いでるの。今まで殺さないように気を付けてはきたけど、これ以上やると言うのなら次は確実に死ぬわよ?」

この場この状況に似つかわしくない、蘭の花を思わせる優雅さで物騒な台詞を吐いた。それでいてその言葉は死神達に対し確かなリアリティを持って届く。
もし天子とこのまま戦えば、待っているのは確実な死。そのことが天子を囲むいまだ五十人はいるであろう死神を金縛りにかけていた。

「おああっ!」

突然天子の真後ろから一人の死神が飛び出した。だがそれをさせたのは勇気ではなく、天子のプレッシャーからただ逃れたいがためのある種の逃避行動。

「え?」

それが逆に功を奏したか、天子が声のした方を振り向いた時にはもう死神の鎌が彼女の脇腹を抉ろうとする寸前だった。

肉を切り裂く音の代わりに、ツルハシで鉄鉱石を叩いたような鋭い金属音が響いた。

「あ……ああ……」

天子に一太刀浴びせたはずの死神は鎌の切っ先を虚ろな目で見ながら怯えた声を出している。その刃は確かに天子を捉えたが、彼女の肌に毛程の傷をつけることもできなかったことを手の痺れが伝えていた。
その様子を見て天子はまるで美味しいものを食べたかの様な満足した笑みを浮かべる。

「そうそう、やっぱり相手の心を折るにはこれが一番なのよね。服が切れちゃうしほんのちょっとは痛いからあんまりしたくはないけど。ま、ご苦労様。そして言ったとおり、さようなら」

そう言って天子は腰を抜かして座り込んでいる死神の喉元に緋想の剣の切っ先をゆっくり向ける。

「させるかぁ!」

叫び声を上げて背後から別の死神が飛びかかる。

「はい釣れた」

天子は待ってましたと言わんばかりに左回りに体を回転させ緋想の剣で切り払った。
振り下ろす鎌と横なぎの剣。剣の方が鎌より速く相手を捉える。
風切り音と共に死神の体は鳩尾あたりから上下に分断され勢い良く床に転がった。その断面からはすぐさま緋色の煙が噴き出し、死神の半身はそのまま煙になって消えた。これこそが相手の弱点を突く緋想の剣の解放された真の力。
それに目をやることもなく、天子はへたり込んでいたもう一人の死神の首に刃を突き立てた。同じ様に緋色の煙を噴き出しながらその死神の体も消え去った。
他の死神達はただ目の前で起きた出来事を見つめることしかできなかった。
 
「道を開けなさい」

透き通った声でそう言って天子が一歩進み出ると、すぐに人垣が左右に割れた。天子はその間を悠々と歩いてゆく。

「そうだ、地下牢はどこ?」

少し歩いたところで足を止めてすぐ横にいた死神に尋ねた。

「む……向こうに下り階段があってその先……」
「向こうね、ありがと」

そうして天子は聞かれた死神が恐る恐る指差した方向に向けて歩いていった。

 









上から聞こえる大きな音を聞いて、牢の中にいる小町は状況をある程度把握していた。

(ああ天子……どうか死なないでいておくれ……)

よもや天子があれだけの数の死神を圧倒しているとは思わない小町は、絶望的な気持で祈ることしかできなかった。

(天子……天子……まさか……)

そのうち音が止まったことで小町は天子が敗れて捕らえられたのだと思った。

「おい!誰かいるんだろ!ここから出せぇっ!!出してくれ!!」

鉄格子を両手で掴んで必死で外に向かって声の限りに怒鳴り散らす。こんなことしかできない自分が情けなくなり、目の端から涙がこぼれた。

「……小町!」
「!?」

遠くから自分を呼ぶ声が聞こえた。もう聞こえるはずがないと思っていた声。小町が一番聞きたかった、実に耳に心地良いあの声。

「天子!天子!ここだよ!あたいはここだよ!」
「小町!見つけた!」

鉄格子の向こうに天子の影が見えた。薄暗い地下にあってなお煌めくような青い髪を振り乱しながら、こちらに向かって走ってくる。次第にはっきりとするその姿を見て、小町の胸に熱いものがこみ上げてきた。もっとちゃんと顔を見たいのに、涙のせいでぼやけてしまう。

「お待たせ、小町。王子様が助けに来たよ、なんてね。って、そんなに泣くほど嬉しかった?」
「天子……だってここには死神がいっぱいいて、いくら天子でも無理だって思ってて、まさかまたこうして会えるなんて思わなくて……夢じゃないんだね」
「ええ、私は確かにここにいるわ。今助けるからちょっと下がって」

そう言われた小町が天子から距離を取ると、天子は緋想の剣で鉄格子を切り捨てた。
人が通れる大きさの穴が開き、中から小町が駆け出してくる。

「天子……よく無事でいてくれたね」
「ふふ、小町のためですもの。そう簡単にやられたりしないわよ」

二人は抱擁しながら会話を交わした。昨日も会ったというのに、小町にはそれが随分久しぶりのように感じられた。

「さ、行こう小町」

小町の手をとって天子が微笑んだ。

「行こうって、何処にだい?」
「天界に決まってるじゃない」
「天界だって?」
「そうよ。私と小町で一緒に暮らすの。しばらくは私の家でもいいけど、そのうち二人だけの家を建てるの。ああ、楽しみだなぁ」

そう言って目を輝かせる天子を見て、それもいいかなと小町は思った。もとよりこうなった以上はここには居られないだろう。その点天界ならば是非曲直庁の力が及ぶこともない。天子と二人でのんびり暮らす、そんな光景を頭に描いた。

「へへ、死神が天界で暮らすなんて前代未聞だろうけど、ここは素直に甘えるとするかな」
「うんうん。さあ帰るわよ」

天子と小町が手を繋いで歩き出そうとしたそのとき、地下道に誰かの靴音が響いた。

「四季様……」

小町は小声でそう呟いた。

「閻魔?今更何を」
「そこまでです。ここから先へは行かせません」

ゆっくりとした歩みで映姫が二人の前に立ち塞がった。重々しい空気を纏ったその姿は、本来映姫よりかなり大きいはずの小町が逆に見上げるように錯覚するほど大きく感じられた。

「えらく邪魔なところで出てくるわね。雇われの下っ端閻魔であるお前如きでこの私を止めることができるとでも思ってるの?」

映姫の重圧に全く怯むことなく、傲岸不遜な態度で天子は映姫を挑発した。

「確かに力だけでは貴方に敵わないでしょう。それでも止めてみせます」
「気に食わないわねその言い方。えらく自信満々じゃないの」

映姫の言葉に天子は不機嫌な顔をしながら緋想の剣の切っ先を眼前の相手に向けて構えた。
その天子の前に小町が割って入る。

「四季様、ここは黙って通しちゃくれませんかね?あたいは二人が傷付くのなんて見たくないです」
「それはできません。私は閻魔としての責を全うしなければいけませんので。何があろうとも貴方方はここから先には行かせません」
「小町、下がってて。こいつに何言っても無駄よ。さあ、とっとと決着つけましょうよ!」

天子は更に一歩前に出て小町を自分の背後にやる。

「そうですね……では」

映姫は手にしている悔悟の棒を高く突き上げる。すると棒はたちまち眩いばかりの光の刃を持った剣と化した。

(さすがにあれで斬られたらただじゃ済まないわね……)

映姫が手にする得物の危険を天子はひしひしと感じる。如何に天子の体が頑丈でも、あれならば容易く切り裂くことができるだろう。

「行きます」

映姫が天子に向かって一気に間合いを詰めて突きを繰り出した。
天子も同じく突きで迎え討つ構えに入った。

(あっ……!)

その刹那、小町の脳裏に映姫の能力がよぎった。
『―白黒はっきり付ける程度の能力―』小町も全貌を知るわけではないが、それを持ってすれば実力差など関係なく天子に必ず一撃を当てることができるだろう。
そう思った瞬間、考えるよりも先に体が動いていた。

映姫は両手で握った悔悟の棒を体の右側から腰の捻りと共に突き出す。対する天子は右手一本で持った緋想の剣を、左足を一歩大きく踏み込み体のバネを使って穿とうとする。

二人の刃が交叉する。
二人とも確かな手応えを感じ……

……

……

……

……視界に広がった……赤い髪……

「え……?」
「小町!!なんで!?」

 両手を広げ天子と向き合う小町の左胸には緋想の剣が深々と突き刺さり、腹からは映姫が持った光の刃が顔を出していた。

「……きょりを……ふたり……離……せなかった……から……こうするしか……なくて……」

既に左胸からは緋色の煙が小町の肉体と共に徐々に宙に溶け出している。

「こま……ち、もうしゃべらないで……おねがい……おねがいだから…しなないで……」

天子は力を失って崩れ落ちた小町を抱きかかえながら、震える声でうわ言の様に言った。
もう小町の命が尽きることは天子もよくわかっている。ただそれは受け入れ難く耐え難い事実だった。

「ごめん……天子……一緒……いられ……なくて……」
「やだ……嫌……そんなの嫌!一人にしないで!ずっと一緒って言ったじゃない!小町!ねえ小町!!」

その間にも小町の体は煙になって消えかかってゆく。
映姫はただその光景を呆然と眺めていた。

「てん……し……あたい……天子に……あえて……よかっ……たよ……ああ……どうか……いき……て……天子……」

その言葉を最後に小町は完全に消えて無くなった。立ち昇った緋色の煙もすぐに霧散して名残すら残さなかった。

「いやあああああ!!……こんなの……こんなっ……あはっ……あははっ……こまちがきえた……きえちゃった……」

絶叫と共に泣き崩れた後、虚ろな目をして天子はブツブツと呟いていた。

「逃げるつもりなら容赦しませんが」

映姫はうずくまる天子のすぐ前に歩み寄り、地面に落ちている緋想の剣を拾い上げながら努めて落ち着いた声を出した。

(逃げる……?どこへ?小町が居なければ私の居場所はもう……あっ……?)

天子はその瞬間自らの身に起きた変化に気が付いた。我に帰り、はっとして映姫を見上げる。

「どうしました?」
「……私は逃げたりしないから。と言うか帰りたくなくなっちゃった」
「なるほど……そういうことですか」
「察しが良いわね。小町がいないのに生きていたって仕方ないもの。こうなるのは当たり前よ」

天人五衰の一つ、不楽本座が天子の体に現れていた。自らに訪れる死ですらも、今の天子にとっては瑣末なことでしかなかったが。

「では、ここにいてもらいましょうか。貴方の処遇は追って沙汰があるでしょう」

映姫は天子の体を抱え、牢に押しやって鍵をかけた。天子は一切抵抗することはなかった。

(ごめん……小町。ごめんなさい……。私……)

映姫は一度も天子のことを振り返ることなく歩いていき、やがて見えなくなった。

天子を残し誰もいなくなった地下に、いつまでもいつまでもすすり泣く声が響いていた。











「武功を上げられましたな、四季様」

一通り状況を見て回った後、執務室に戻り椅子に腰を落とした映姫に事務の死神が誇らしげに声をかけた。

「武功ですって?」
「そうですとも!厄介者の比那名居天子を捕らえられ、裏切り者の小野塚小町は同士討ち。こちらも死者二名と多数の負傷者は出しましたが、相手が相手ですので最小限の被害と言えるでしょう。きっと閻魔王様達もお喜びになられますとも」

それを聞いた映姫は、自分の心がドス黒く汚れているのを感じた。今までどこかに押し込んでいた感情が出て来そうになる。

「下衆が……」
「はっ!?」

映姫が無意識に吐き出した言葉に驚いた死神の顔を見て我に返る。

「あっ、いえ何でもありません。それよりご苦労様でした。もう下がっていいですよ」
「は、では失礼いたします」

一人になった映姫は椅子に深く座り直し、背もたれに体を預けて深く溜息をついた。

「下衆は私の方でしょうに……」









 それから二日が過ぎた

「貴方の処遇が決まりました」
「ああそう……」

そのことを伝えに、映姫は地下牢までやって来た。蝋燭の灯りに照らされた天子の姿はほんの二日前に見たものとは変わり果てていた。
眩いばかりの艶をたたえていた蒼髪はすっかりその輝きを失い、ところどころ白髪になっている。
瑞々しい生命力を象徴していた白い肌は垢と皮脂で餓鬼のように薄汚く汚れ、簡素ながらも煌びやかな意匠を施した衣服は泥水を浴びたかの如く見る影もない。
彼女の姿を見た物達の目を一番引いたであろう帽子に飾った桃の果実の腐った箇所からは茶色の液体が漏れていた。
五衰を迎えた天人など映姫も見るのは初めてである。その姿は生きながらにして死に溢れていた。
表情を覗き込むと、半開きの口と焦点の合わない目が天子の受けている苦痛を映姫に伺わせた。

(この者は報いを受けて当然の行いをしたのです)

 映姫は自分にそう言い聞かせた。そうしなければ、天子に対して同情の念すら抱いてしまいそうだった。
感情を込めずに、淡々と目の前の相手に用件を伝えた。

「明日、貴方を処刑します」
「変なことするのねぇ。放っておけば私は勝手に死ぬのよ」
「そうです。しかしそれによって貴方の魂は輪廻の輪から外れて二度と転生することはありません。それが貴方に与えられる罰なのです」

それを聞いて天子は一瞬だけ顔をしかめたが、すぐにまた焦点の合わない目に戻った。

「ふうん、まあ私としては小町のいない世界に生きても何の意味も無いからどうでもいいわ。それより閻魔、一つ聞きたいことがあるの」
「何でしょう」
「小町は……小町の魂はどうなるの?」
「彼女の魂は他の者と同じく扱われます。今はこちらの機能が麻痺していますので裁かれるにはかなりかかるでしょうけど」
「そう……じゃあ小町はまたいつか、何かに生まれ変わるのね」
「ええ、どの位年月がかかるかわかりませんが必ず」
「……聞きたいことはそれだけよ」

天子はそう言って目を瞑り壁に体を預けた。上気した呼吸と併せ、かなり疲弊しているのが見て取れる。

「ねえ閻魔……」
「まだ何か?」
「ちょっと話聞いてよ。私は生まれてから今日まで、数えきれないくらい長い間生きてきたわ。そのために力を付けて、死神もたくさん倒してきた」
「殺しもしましたね」
「あら、そんなのお互い様じゃなくて?」
「小町も……そう言っていましたね」
「そうなんだ……ふふ。それはいいことを聞いたわ。まあでも、今考えてみれば生きるためにそうするなんてつまらないことだったわね」
「つまらない?」
「そう。つまらないわ。お腹が減ったからって美味しくない桃を食べるのと同じよ。生きるために生きるって、ただそれだけの生なんて死よりも無意味だわ。でも、小町と出会ってからの私は、確かな意味を持って生きていたの。私の重ねた年月の中でそれは本当に短い間だったけど、それが私の全てだった。できることならもっと小町と一緒に居たかった……それだけが心残りなの……」

天子にかける言葉など、映姫には何も無かった。もっとも天子も映姫の言葉など望んではいなかっただろうが。

「ではまた明日」

そう言って映姫が見た天子の目から涙が一筋零れて流れた。
すっかり汚れてしまった天子の、その涙だけはなぜか何よりも美しく感じられた。









 翌日
映姫は迎えの死神を従え地下牢に降りてきた。むしろに横たわる天子の姿は昨日より一段と汚れていた。加えて腐臭が薄っすらと立ち込めている

 天子に五衰が表れて四日目になるが、それが終わり命の尽きる後三日後にはどの様なものになっているのか映姫は想像もできなかった。

「いよいよなのね」

映姫達の姿を見てそう言った天子の声は力無く掠れていた。

「そうです。起きなさい」
「無理言わないで。力が入らないのよ」
「ふむ、では起こしてあげなさい」

映姫からそう言われた死神は牢の中に入り、天子の体を抱える。

「あぐっ……!」

天子が苦痛に顔を歪めた。触られた場所に激痛が走ったのだ。
死神はそれを気にかけることもなく天子を四つん這いの態勢にさせた。

「最後に何か思い残すことはありますか」
「そうね……もし小町の魂に会ったら、ありがとうとごめんなさいって私が言ってたと伝えて」
「わかりました」
「よろしくね。さあ、とっととやっちゃって」
「では、これで終わりです」




映姫が言い終わると同時に、天子の首に冷たく重い刃が落とされた。















数日後、彼岸にて
映姫は一人、流れることのない川の水面をずっと眺めていた。もうどれだけの間そうしていただろうか。不意に誰かの気配に気付き、その方向を向いた。

「貴方は……竜宮の使いですか」
「はい。永江衣玖と申します。閻魔様にはお初にお目にかかります」

視線の先に居たのは緋色の衣を纏った竜宮の使い。うやうやしい挨拶はしかし、明らかに棘のある口調でもって行われた。

「私はもう……閻魔ではありません」

映姫がそう告げると、衣玖は眉間に皺を寄せた。

「ほう……?」
「昨日、閻魔の職を辞してきました。まあいろいろ思う所がありましたので」
「今更……ですか……」

衣玖の言葉に映姫はドキリとする。まさかそんなはずは、と思いながら。

「貴方は一体どこまで……?」
「笑止。先程私のことを何と呼ばれたか」
「はっ……龍神様……!!」
「左様。ただあの方がお知りになられたときには全てが終わった後でした。酷く申し訳なさそうに私にお告げくださいましたよ」
「貴方は……彼女を慕って……」
「あのお方は私の太陽でした。雲間に漂い一生を過ごす私を照らしてくださいました。それを……それを……」

震える声で言葉を絞る衣玖の顔色が変わる。その表情は怒りに満ち、今にも映姫に飛び掛らんばかり。

「貴様がっ……貴様のせいで!今更職を辞すくらいならどうして小町さんを捕えるよう言われたときにそうしなかった!!道理が無いことくらいわかっていただろう!お前がその命令を受けなければ、誰も死ぬことなどなかったのだ!!」
「私はただ、閻魔として為すべきことを為しただけです!」

衣玖の激しい剣幕に、映姫も語気を強めて反論した。

「黙れ!自らに正義を為すという自負があるのなら、それが例え上の命令であれ道理の無いものに恭順するなどもっての外!お前はただ、意志を持たず何も考えずただ流されていただけだ。そんなもの、お前でなくても木石で十分ではないか!その程度の覚悟でよくもまあ、閻魔などと名乗れたものよ。ましてや職を辞した程度で禊が済んだとでも思ったか!恥を知れ!」

映姫は何も言えなかった。最初に命令を受けたときから、それが閻魔として自分に与えられた務めだと信じて一切の私情を廃し行ってきたことが全て見透かされ否定されたのだ。
そしてそれは、映姫が心の奥底に追いやっていた思いでもあった。
力無く肩を落としうつむいて小さく震える映姫を見て、衣玖は呆れたように大きく息を吐いた。

「お前に問おう。お前は一体、何を、何から、何のために守りたかったのだ」
「あ……う……」

映姫はその問いの答えがわからなくなった。急に激しい嘔吐感がこみ上げ膝をつき、吐瀉物が出てきそうになったのを両手で抑えた。
衣玖はその様子を、徹底的に冷ややかな目で見下ろしていた。

「わかったか、お前が守ったものなど何一つ無いのだ」
「私を……ここで殺しますか?」

虫の羽音の様なか細い声を、映姫はやっと絞り出した。

「この期に及んでまだそんな思い上がりを。今のお前にわざわざ殺す価値などあるものか。お前にできるのはただ、後悔しながらゴミムシのように醜く生きていくことだけだ。それがお前が奪ったものへの償いだ」

そう言いながら、衣玖は懐からある紙を取り出し映姫の目の前に突き付けた。

「お……おおおぉ……私は……」

それを視界に入れた瞬間、映姫の中で何かが弾けて砕け散った。

映姫が見たのは、あの日の神社で違う表情の笑顔を見せながら寄り添う二人の姿。二度と戻ることのない命の輝き。

映姫の声にならない声が彼岸に響く。その傍で衣玖もまた、さめざめと涙を流していた。
お読みいただき本当にありがとうございます。
ハッピーエンドをご希望だった方、救いのない話で申し訳ありませんでした。

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コメント



0.310簡易評価
1.無評価霧切米削除
正直、何だかなぁっていう気持ち
だから、匿名点も点数も入れないでフリーレスで失礼
5.70名前が無い程度の能力削除
三途の川は、死神の舟でしか渡れないと聞きますぜ総領娘様

意外と見ない組み合わせですよねー。それぞれ相棒がいるからでしょうか
面白かったです。小町にかけられた容疑がちょっと唐突すぎたのがギャフンでした
8.80ずわいがに削除
依玖さん、小町と聞いて倒れる割には候補に挙がった名前も相当じゃあないですかww
天子も急にデレるしw

って、結ばれた瞬間こんなことになるなんて……キツイですね。
二人の魂はもう巡り合うことも無く、映姫さんも依玖さんも後悔を背負う。
幸せって難しい。
9.40名前が無い程度の能力削除
少々辛口になってしまいますので、個人の一意見と聞き流してくれれば幸いです。

まず、これは茶番です。
天子と小町という珍しい関係に期待をしました。馴れ初めの飲み比べは、二人らしいとも思えました。
しかしその後の展開が良くなかった。テンプレなツンデレ天子の我が侭な言動に、小町はテンプレな恋心を抱く。
ああ、お約束なんだなー、と面白みがない。もしかしてこのままテンプレを見せられるのか、と不安になります。
そこに出くわしたメタなモノローグ。

>まだまだそんな程度の関係であった。

ここで駄目押しされました。ああ、確定路線なんだな。これから先、こういう調子が続くんだな、と。
いっそ序盤を切り捨て、「二人は恋人である」の一言で済ませてくれたなら、と思いました。
思い切って小町が拘束されるシーンから始めてもいいかも知れません。
説得力を持たせたい、という意図はわかります。それなら二人のいちゃつきを見せつけることで解消しては如何でしょうか。

例えば、天子と会う時間を作るために、小町が仕事を完璧にこなしきるとか。
天子が花輪やお菓子を作って、恋する女の子を全力で演出するとか。

掴みの話はここまでとして、戦闘シーン。これは動きがあって楽しく読みました。

ただ戦闘に移る理由に引っ掛かりがあります。
「四季様、浄玻璃の鏡をお忘れですよ!」何度叫びたくなったかわかりません。
シリアスものでの論理破綻は致命的です。戦闘シーンは楽しい、けれど茶番です。
「水戸黄門はいつ出てくるのかなー」そんな気分になりました。
ではどうしたら小町を拘束する必要ができるのか。それも重大な犯罪人として。

天子が「浄玻璃の鏡を見てみたい」と言い出し、つい小町が気軽に持ち出してしまう。
結果、小町は後々スパイに転じるかも知れないと憂慮され投獄。
この程度しか考え付きませんでした。

そもそも小町は拘束する必要があるのか? 恐らくあるのだと思います。
四季様が苦悩する理由には十分なものになるでしょうから。

これもテンプレですが理由付けとして、いっそ四季様の過去に悲恋を背負わせても、と思いました。
そして二人に過去の自分を重ね合わせ、このままでは二人が地獄行きになるかもしれないと悩む。
切々と小町に「別れなさい」と訴える四季様。納得の行かない小町。そして擦れ違いへ。

色々と苦悩させられる手はあると思います。

・小町と天子のカップリング
・戦闘シーン
・悩む四季様

氏の書きたかったことはこの三点でしょうか。
であれば、それぞれは面白く読みました。いちゃつき方は足りないと感じましたが。
後は冒頭での掴みや整合性などがあれば、と思います。
それと改行での一字下げがあれば、ちょっと読みやすくなってありがたいな、と。

前作も楽しく読ませていただきました。妖夢が可愛かった。勝手ながら応援しています。
11.無評価名前が無い程度の能力削除
>霧切米様
色々と申し訳ありません。次こそは、と思います。

>5様
うーん、本当にいろいろと詰めが甘かったですね。次回に活かします。
よく見るカップリングよりも新しい可能性を模索していきたいですね。ニッチとも言いますが。

>ずわいがに様
まあ死神と天人の関係が念頭にありますので衣玖さんも予想外でした。
小町が亡霊になって復活するとかも考えましたけどこういう終わり方になりました。

>9様
何度も何度も読み返させていただきました。
私のような素人同然の書いたSSに対し、貴重な時間と労力を費やしてこれだけのありがたいご批評をいただいたことに対し本当に頭が下がります。
意外なカップリングを描くのに登場人物がテンプレ通りでは確かに画竜点睛を欠いていると思いました。
また、必要な描写を削った上に不必要な描写をしてしまっていることも。更には整合性の欠如と設定の破綻。
いろいろなマイナスが積もり積もって完成度を著しく落としてしまいました。
他所でも他の方々からありがたいご指摘をいただいたのですが、今にして思えば本当に勿体ないことをしてしまったと後悔しています。
万人に受け入れられるつもりはなかったので点数が低いのは覚悟していましたが、今作についてはクオリティが原因だと自覚しています。

前作もお読み頂きありがとうございました。
最後の一文と合わせ、期待されているものと勝手に解釈させていただきます。それを励みに次回またがんばりますのでよろしくおねがいします。