Coolier - 新生・東方創想話

『レッド・スウィート・ブランデー【04 05 06 07 08】』

2011/07/12 21:20:42
最終更新
サイズ
7.95KB
ページ数
1
閲覧数
851
評価数
0/9
POINT
230
Rate
5.10

分類タグ

『断片を集めて一つにするには まず苦労を覚えなければならぬ
  それを戻そうとするならば まず代償が必要となる。』





「……ねぇチルノちゃん、あそこにいるのって…」


湖の畔に妖精が二

ある者を指して涼んでいた


チルノと大妖精、いつも変わらぬ二人
100では無い二人


「あれ、えーっと…誰だったかな……うーん、思い出せないぞ」

「チルノちゃん記憶まで…いいや、あの人は紅魔館の…」



説明をするが
パンや野菜などの食料を入れた大きな紙袋を持った彼女は既に見えなくなってしまっていた

ええと、ああそうか
あれはあの人間か


「思い出した思い出した、あの人だ …いまでも行けばお菓子くれるかなぁ」

「……それにしても見るのは久しぶりだったね、今まで何してたんだろう…」



「おーいチルノー、もう皆集まってるよー!」

「あっ、ごめんごめん 今行くよ! ほら、大ちゃんも!」





彼女達は颯爽と去っていく

疑問など捻じ伏せ、仲間の元へと















人は無限などと言うものは生み出せない
ましてや、至る事などと

しかし、もし、それに至った時
『ソレ』はどうなる?



化物になるのか
人間で在り続けられるのか

さて、知らぬが仏では済まなくなったぞ






夜の王よ

【4 end】



                               ▽









「なぁ、霊夢 あの、なんだ アイツの事なんだが…」

「アイツって誰よ」


縁側でお茶を濁していた二人
白黒と紅白の二人

年月が経てど 決して変わらぬ二人
その二人が、変わった話をしていた

「咲夜だよ 咲夜」

「ああ」


あのメイドかと思い出す
最近見ていなかったが今思い出してみると
本当に久し振りに聞いた名前だ


「で、あの咲夜がどうしたのよ」

「いやぁ、最近チラッとだけ見たんだけど……うーん、なんつーか」



「どうも、お二人さん」





噂をすれば
出てきやがった

「……お前、今まで何処にいたんだ?」

「いやですわ、私は紅魔館のメイドだと言うのに」


と言うか、そんな事よりも驚いた点が他にも沢山…


「…なんか若々しくなったな、昔みたいに…」


それこそお世辞とかではなく本当に…


肌のツヤも
髪の色も人間で言う十代のそれだった

…長い間あの館にいると化けるのであろうか
一種の幻覚を見ているように感じた


「それで? 何しに来たのよ、お茶ならあっちよ」


咲夜はにこりと微笑んだ



「今日は調子が良かったので、挨拶をしに参っただけですわ」


「余裕あるわねぇ……ま、私も久し振りにアンタの顔見れてびっくりできたわ、また来なさいな」


「はい、その内に 赤いお茶でもお持ちしますよ」


「私は緑のお茶が良いなぁ」



それではと彼女が去っていく
本当に何をしにきたのかは全くわからなかったが
どうやら無事にピンピンしているようだ 良かった良かった


しかし、なんだ


「…若返りの薬でも飲んだのか? 確か前に見た時はアイツ…」



「……魔理沙、見た?」



首を傾げる
何を見たというのだろうか











「……あの子、漫画みたいに頭から黒い煙を出していたと言うのに、貴方は鈍感にも程があるわよ」





【5 end】




                              ▽








私の名前は十六夜 咲夜
あの方がくれた誇りある二の存在

あの夜から永遠の忠誠を誓った身
全てを、この短い100と言う数字を捧げた身

このまま費えてしまえば
それが私の幸せ


               I.S






「……ふぅ…ふっ……はぁ………」


咲夜は汗をかいていた

特に激しい運動をした訳でもないし
久し振りに外を出たからと体が訛っている訳でもなし

……体が泥の様に思い
暫くこの木陰で休んでいこう


「……どうしたのかしら、今日はやけに暑…」



木に寄りかかり

なんの事もなく
ふと、手を眺めた





…ん?


「……何かしら、これ」

掌に何かアザのようなものが…


いや、なんだ

あったと思ったら消えていた

…なんだったのだろう
目でも疲れているのであろうか


……ああ あまり休んではいられない
早く館に帰らないと



そう思い
またあの重い袋を持つ


「……」





特にこれと言った理由は、無いのだけども




帰り道は影を歩こうかな


【6 end】



                          ▼








暫くして館へ着く
そして目に付くのはやはり、彼女のあの姿だ


私は徐にチョップをその緑色の帽子の上へと降ろしてやった


「おはよう美鈴」


「むにゃ……ハッ!? ねねねね寝ていませんよ!? 寝るモンですかッ!」



普段ならば怒っている筈だ
前の様に渇を入れたかったが今はこんな体だ
調子が良いとは言えこんなおばあちゃんの腕、ひしゃげてしまうだろう

だからこれで終り
懐かしいなぁ


数えればたった数年前までは
普通だったのに

今日は特別な日だ



「あれ  さ、咲 夜、さん……?」


「そうよ、咲夜よ、……何かおかしい事でも?」



美鈴の目が微かに潤んでいる
…寝起きの現象ではなかった、何かを感じた目だ

ああ、そうね

久し振りだわ

元気にしていたかしら?



「本当に久し振りですよ…! 数年間館に篭もりきりだったから……」

「ごめんなさいって、だから ホラ、抱きつかないの」


潤んでいただけの目は
完璧にずぶ濡れだった

それが私の胸に飛び込んできたのだ
お気に入りのメイド服がびしょびしょ

…けど



やっぱり懐かしくて
怒る気すら起こらなくて


私は笑っていた。







「私が中にいる間ちゃんと門番していたかしら?」


「ええ! 勿論!」


「嘘吐きね」

くすりと笑ってやった
彼女が照れている ヘラヘラ笑いながら

相変わらずだなぁとまた笑う
…つい最近までは笑うだけで疲れていたのに
全然疲れない、何だろう

本当に特別な日なのかもしれない


だとすれば、幸せだなぁ



またこうやって他愛も無い話ができている
ベッドの上で誰かが来るのを待ったり
老いた体に鞭を打つ事なく、また話ができている


嬉しい事だ
今日はなんでこんなに調子が良いのだろう
嗚呼、一つダンスを踊りたい気分だ
気分が高揚していく



「……しかし咲夜さん、若返りました? やけに元気ですね」


「あら、わかる?」

調子付いてまた笑う
若返っただなんて、ふふ もしかしたら、そうなのかもしれないわね


…っと、ああ何をしているのだ
早く荷物を持っていかなければ


「御勤めご苦労様、またね美鈴」


手をひらひらと足早にそこを立ち去る
美鈴もそれに見とれながら手を振っている





「……? 何だろう…あの煙……」





【7 end】






                            ▼







希望は罪に変わり
憧れは死んで血に塗れた
呪われた眼で世界を見据える
何故 何故なのだと彼女は言う


知らぬ 存ぜぬ






「ただいま戻りましたわ ……あら、パチュリー様じゃないですか」


「おかえりなさい 今日の夕食は?」


屋敷の扉を開け放ち 中に居る者を確認する

そして帰ってくるなり夕食の内容を質問された
そういえば足りなかった分の食材を買ってきただけだったなぁと思い出し
今夜の献立をその場で考える

うーん


「お酒に合うものでも作ってみましょうか、きっとお嬢様も気に入りましょう」


向こうは何も言ってこないが
これは『それでいい』と言う事なのだろう
長年の付き合いが生きた様だ
ならば腕によりをかけよう いつもどおりに

……しかしさっきから妙な目でこちらを見てくる
何だろう 何か付いているのだろうか


咲夜は気付いていなかった





「……今日は調子が良いのね」


ああ、ああそんなことか
今日はやけに元気だ若くなっただの褒められる

本当に若返ったのかしらと手の平を頬に当てる


確かに今日は体が軽い
少し前の調子が良い日以上に


「…はい、少しくらいなら無茶をしても良さそうですわ」


と、張り切ってみせた



パチュリー様の顔は暗いままだ
しかし何故か機嫌が悪いと言う事ではなさそうで
じっと私の目を覗いてくる

本当に何か付いているのだろうか


少し不気味だった




すると不意に近寄ってきて
私の手を取ってまじまじと見つめる

な、なんだろう……





「…………ふーん、そう 成る程ね」



成る程と申された
何がわかったのだろう
咲夜めにはさっぱりです

聞いてみてもやはり何もおっしゃらない
嫌われた…のとは違う様だ


変なパチュリー様




「行っていいわ、後で紅茶を持ちに来て頂戴 待ってるわよ」



「はい 畏まりました」




謎が解けぬまま買い物袋を持ち直し
その場を後にする

今夜は何を作ろう
何だったら主は喜んでくれるか
そんな事を考えながら 歩いていく


まだパチュリーがこちらを見ている事に
気付かずに














「……」



咲夜が見えなくなった頃に紫髪の魔法使いが更に詰まった顔をする
……終いには爪を噛みだした ガリッ、と



そして

誰にも聞こえぬ様に


憤怒を漏らす様な声で




呟いた









「…………あのバッテンヴァンパイアめッ そんな手であの子をやりやがったのか!!!! 『その様な手でッ!!!』」





【8 end】
溜まった分をまとめました
途中途中断片的に終るのは仕様です
と言っておかなければマズイので仕様です 何と言おうと

久し振りの投稿でしたが
皆様最近いかが御過ごしでしょうか
私は眠りが足りない気がします
892.
http://com.nicovideo.jp/community/co226119
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.230簡易評価
0. コメントなし