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キッキングバニー★キュリオリティズ~  東方蹴兎霖  第一話

2011/07/09 09:05:29
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---ここ幻想郷にはこんな言い伝えがある

「おいキリサメ物理攻撃は禁止っ!拳で解決とかやらない!!」

---幸せを運ぶウサギがいる

「だからって河城も発明品使うのなし!」

---その妨害をしてはいけない

「二人とも話し合いで解決しようよ、話し合いで。ああもう・・・」

----例えば人の恋路の邪魔をするものは、そのウサギに蹴り倒される・・・



・・・けど、まさか僕らがそのウサギの片棒を担ぐことになるとは思わなかったけどね。


「と、とにかく!」

僕は気を取り直して、恋人とおぼしきふたり組に僕は向きなおる。

「こ、今後とも我々、キッキングバニー・キュリオリティズをよろしく!」



 第一話 幸せウサギと骨董品店主(休業中)、あと巫女とか毒舌ツインテとか武闘家とか
 


「ふう・・・まったく、キミたちは相変わらずみたいだな」
「うっ・・・」

幻想郷は今日も快晴。
高台にあるここ、博麗神社からの眺めは格別であった。
目の前にいる巫女に小言を言われなければ、きっとそんな風景も心地良いのだろう。

「なぁ森近?キミはボクに、この世界で最初に何の仕事をやりたいと言っていたっけ」
「こ、骨董品屋・・・です」

口調こそ静かだが、神社の住人である博麗の巫女の言葉はサクサクと心を抉ってくる。
彼女は、僕がこの幻想郷に流れ着いて最初に知り合った人間だ。
具体的に言えば、知らない場所で行き倒れていた所を色々面倒みてもらった仲だ。

僕はこの幻想郷に来た時に、ここにくる前の記憶はすっかり忘れてしまっていた。
森近 霖之助という今の名前も、自分で適当につけた。

暫くはそんな自分の境遇に途方にくれてたりもしたけれど、ほどなくして僕は、
僕自分の特殊能力に気がつくことになる。
それは、手にした道具の名前と用途が判る程度の能力。

そして幸いなことに幻想郷は他の世界より忘れられた、色々な物が流れ込んでくるらしい。
ならば、それを売買して生計をたてようと思っていた・・・のだが。

「で今は・・・ええと、キッキングなんたらだっけ?」
「・・・キッキングバニー・キュリオリティズ」
「だから、何でそんな無駄に長い名前なんだ」
「いや、それは命名した隊長に言って欲しいんだけど・・・」
「だいたい仕事内容も意味不明だろ。何だその、里の恋人お助け業って」

そう。
僕は成り行きで幸せウサギを隊長に、里の恋人たちの恋路の邪魔者を蹴っ飛ばすのが仕事になっていた。

「まぁ、キミが何の仕事をしようと本来ならボクの知ったことじゃないんだが。
人助けという点では、キミはボクにとっていわば商売敵とも言える。それは分かるな?」
「はい、そりゃもう十分に」

これを言われると、正直形見が狭い。
博麗神社の巫女の仕事は、ここ幻想郷で起きる異変を解決することである。
僕のキッキングバニーも、彼女も人を助ける仕事という点では共通している。
それが恋愛がらみか、怪奇現象かという違いはあるけれど。

「何というか、ごめん」
「まったくだ。もっとも、本来ならキミの所の隊長に文句を言うのがスジなんだろうがな」

博麗の巫女はぷいと横を向き、そして沈黙。
あまり味わいたくない重たい空気が、その場を支配した。

「・・・ま、そうはいってもだ」
そう言って彼女はこちらを向いた。その表情を見るに、彼女の中でとりあえず何か吹っ切れたらしい。

「何かあればまた相談にくるといい。
ボクの仕事の邪魔をしないって約束するなら、話ぐらいなら聞こう」

「有り難う。博麗の巫女は優しいなぁ」
僕は、やや大げさとも思える謝意を述べた。

「ふん、また行き倒れられたら助けるのが面倒だと思ってるだけだよ」
博麗の巫女はそう言ってまた横を向いたが、やや顔に赤みが指してる気がした。
照れているのだろうか?

「それより、本当に感謝してるなら形で示して欲しい所だが」
「あはは、初任給が出たら何かおごるよ」
「まあ期待しないで待っていよう。・・・うん?」

「ああ、あれは河城か。おーい」
見覚えのある緑色のツインテール少女と目があったので、僕は手をあげてみせる。
すると、すぐにツカツカと歩み寄って来た。

「なんだ、博麗の巫女相手に仕事変える相談か?」
開口一番、緑色が口を開く。
彼女は小柄なので、会話は僕を見上げる格好になる。

「辞めてほしいのか、河城は」
「ここでも仕事先でも顔合わせてて、そろそろ飽きてきたところだからなー」
「いや、こっちじゃそこまで顔合わせてないだろう」

「だな。にとりは、むしろもっとボクに顔を見せにくるべきだ」
博麗の巫女が僕らの会話に口を挟んでくる

「あたしに得がないな、それは」
「まるで僕が得しているかのような物言いだね・・・」
「ここでも今まで以上に顔合わせられたろ」
「ま・・・まあね」

相変わらずこの少女、河城にとりは口が達者かつ悪いヤツだった。
もっとも彼女は人間でなく妖怪であり、見た目こそ子供だが実はかなり長生きしているらしいのだが。
と、そこへ。

「ちーっす」
「あ、キリサメ」

武闘家服に身を包んだ長身の女性が姿を見せた。

「ふむ、二人ともここに来るのは珍しいな」
博麗の巫女はそう言ってあごに手を置いた。

「二人?あー、にとりも来てたのか」
「おー。ってかなんだよキリサメ、その不気味な満面の笑みは・・・」

キリサメの表情に警戒し、逃げ出そうとする体勢の河城だったが一足遅く

「うりうりうりっ」
「っていきなり頭なでんな、なでんなー!!」
「やー何かとーとつに、にとりの頭なでたくなったんだわ」
「お前どんな発作だそれー!いいからやめろよキリサメ!
やめろよーぅ!!」
「まぁカタいこと言うなって、うははははー」

「・・・何というか相変わらずだね、二人は」
僕は、やれやれといった表情で両手の平を上に向けた。

「ふはは、にとり愛の差だぞ」
「そんな愛いらねー」

河城にとりとキリサメ。
二人は僕と同じキッキングバニー・キュリオリティーズのメンバーである。
正確に言うと幸せウサギ隊長の下に僕がいて、二人をバイトで雇っているという構図なのだが。
と、二人を見ながらそんな事を考えていると

「ん?」
とキリサメ。
「・・・」
そして無言でこちらを見ている河城。

「いえーい!」
「む・・・」
ピースサインで返してくるキリサメと、軽く睨んでくる河城。

「ははっ・・・」
僕は失笑するしかなかった。

「二人とは、うまくやってるみたいだな」
博麗の巫女が耳元でそうささやいた。

「ん、まぁ・・・うまくやってるというか何というか」
「随分含みのある発言だな」
「そ、そりゃまぁ、あの二人とは仕事では一緒だけど・・・」
正直、二人のこと何にも知らないし。

「・・・ほほう?」
「な、なんだい?」
「いや別に♪」

よくわからないが博麗の巫女は物凄く嬉しそうだ。

「あー、じゃあ私たち先に基地に行ってるぞ」
「森近も早く来いよなー」
キリサメと河城がそう言ってその場を去っていこうとする。

「うん?ああ、また後で・・・」
そして僕も普通に二人を見送ろうとしていた、のだが。

「おや、三人で一緒には行かないのかい?」
「え゙っ・・・ちょ、ちょっと博麗さん?」
博麗の巫女の提案に、僕は驚いた。

「んー、言われてみればそうだよなぁ、確かにおんなじところに行くわけだし」
「あたしも別に構わないぞ」
しかしキリサメと河城の二人はあっさりと承諾し。

「じゃ、決まりと」
博麗の巫女で完結した。

「・・・ど、どういうつもりだよ博麗の巫女」
僕は向こうの二人に聞こえないような小声で彼女に尋ねる。
「いや、どっちかを狙ってるならチャンスは活かしたほうがいい」
博麗の巫女が小声でそう答えを返してくる。
「そ、そういうんじゃないから」

「・・・おい、森近行かねーなら置いてくぞ?」
「ごっごめん。今いく、いきますって」
キリサメに急かされて、僕はその後を追う。

そんな僕らの背後で、楽しそうに手を降る博麗の巫女が印象的だった。
Alcotハニカム「キッキングホース★ラプソティ」をベースに、霖之助が主人公の物語はじめました。東方本編より二世代ほど前の内容のためオリキャラが登場しますが広い心で受け入れていただければ幸いです。
きりさめけ
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コメント



0.280簡易評価
13.無評価名前が無い程度の能力削除
東方の雰囲気が0な上に、オリキャラのみでは流石にどうしようもないと思いますよ?
あとエロゲのオマージュで何がしたいんですか? しかも聞いたことないエロゲだし。
19.無評価名前が無い程度の能力削除
東方の世界観でオマージュする必要性。つまり、何を表現したいのかというのは私も疑問ですが、「二世代ほど前」という設定を生かして上手くやっていくのでしょう。
ただの劣化コピーにならず、両作品の良さが生かされた作品になることを期待つつ、第二話を読みに行ってきます。