Coolier - 新生・東方創想話

妹様の歴史勉強 ~幻想郷最後の日~

2011/07/01 23:39:40
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今回の話は前に書いた「妹様と里の人間達」の内容を引きずってます。
が、とりあえず「色々あってフランちゃんが寺子屋に通い始めたよ!」って事だけ頭においてくれれば特に問題ありません。




人間の里。
活気溢れる集落の片隅に、上白沢慧音が教鞭を振るう寺子屋があった。

「と、我々の住む幻想郷が誕生した経緯はこんなところだ。この辺の歴史と、皆もよく知るスペルカードルール制定については次の試験でも特に多く出すからな。しっかり覚えておくように」
『はーい!』
「‥‥そこ。八雲紫を始めとした識者達が、この地を外界から切り離した理由は? たった今説明したばかりだぞ。当然答えられるだろう?」
「ふえっ!? あ、えーと‥‥富と名声を求めて‥‥」
「お前寝てたろ」
「ごめんなさい」

振るった教鞭が生徒の心に当たらない事も少なくないのだが。

「まったく‥‥今寝ていた分、しっかり復習するように。ああそうだ。幻想郷誕生の経緯は今話した通りだが、逆に滅びそうになった事もあるんだ。知っているか?」

慧音の発言に、子供達はザワザワと騒ぎ出す。
現在自分の住む地が、過去消えようとしていたのだ。
驚かない筈が無い。

「知らなーい」
「どうしてどうして?」
「それはだな、かなり昔の事なんだが‥‥おっと、もう授業は終わりの時間だ。この話は今度にしよう」
「えー! 少しくらいなら帰りの時間伸ばしていいよ!」
「話してやりたいんだが‥‥実は先生、この後は人に会う約束があるんだ。すまないな。それじゃ、気を付けて帰るんだぞ」

慧音はそう言い残し、足早に教室を後にしてしまう。
自他共に認める里の守護者は、実に多忙なのだ。
しかし、それで納得出来ないのが好奇心旺盛な子供達である。

「先生、ひっでえなあ」
「ほんと! 気にさせるだけさせておいて!」
「でも仕方ないんじゃないかな。慧音、本当に急いでるみたいだったし」
「フランちゃんって大人だねー」

慧音への文句を言う子供達を制したのは、奇妙な形の羽を持つ吸血鬼の少女、フランドールだった。
妹の情操教育を図るレミリアの頼みで、慧音が寺子屋にフランドールを受け入れて数ヶ月。
今やすっかり他の子供達とも打ち解けている。

「まあ実際の年は、皆のお爺ちゃんお婆ちゃんより、ずーっと上だしね」
「あ、そうだった。フランちゃんって見た目に寄らず、結構老けてるんだったね」
「なんだと」
「ごめん」

打ち解けすぎている。

「まったく、れでぃに向かって老けてるだなんて失礼しちゃうわ」
「フランちゃんフランちゃん」

フランドールがぷりぷりと怒りながら帰り支度をしていると、一人の子供が話しかけてきた。

「なになに? どうしたの?」
「今日は帰ってから用事あるの?」
「んーん、別に無いけど」
「じゃあ、この後付き合ってよ! 皆で少し残っていくんだ」
「いいけど‥‥何するの?」
「こっくりさん」
「え?」

こっくりさん。
以前、パチュリーから借りた本で読んだ気がする。
確か有名な降霊術の一つで、動物霊などの低級な妖を硬貨に憑依させるものだった筈だ。

「先生が言ってた、幻想郷が滅びかけた話、気にならない? けど、そんなに昔の事を詳しくしってる人なんて周りにいないし」
「だったら、長く住んでる妖怪とか幽霊に聞けば何かわかるんじゃないかと思ってさ」
「幻想郷の歴史を詳しく‥‥霊夢とかは?」
「里の外に出かけたら怒られるし‥‥第一、博霊の巫女様って、そんなに物知りじゃなさそうだし」
「ああ、うん。言われてみれば確かに。多分知らないんじゃないかな。霊夢っていい加減そうだし」
「だよねー」

博麗の巫女の権威は子供達には通じないのだ。

「けど、こっくりさんって凄く危ないらしいよ? 外の世界では禁止されてたりするって言うし‥‥」
「大丈夫だよ。ほら、座って座って」
「よーし、早速始めようぜ」
「ちょ、ちょっと‥‥」

フランドールの反論も聞かず、子供達はてきぱきと準備を始める。
その様子から察するに、どうやら今までにも何度か行われてきたらしい。
それなら危険は無いかもしれない‥‥
フランドールは少し安心した。

「それじゃいくよ。こっくりさんこっくりさん、おいでください」
「こっくりさんこっくりさん‥‥」
「えーと‥‥こっくりさんこっくりさん‥‥」

皆で目を瞑り、声を揃えて唱える。
しかし、数分唱え続けても何か異変が起きる様子は見られなかった。

「‥‥ねえ、何も起こらないじゃ‥‥」
「しっ! 静かに‥‥」

その時だった。

カタッ カタカタッ
ガタガタガタガタガタ!

寺子屋の窓が激しく揺れ始めたのだ。

「え? 嘘‥‥本当にこっくりさんが‥‥」

フランドールが呆然と窓を眺めていると、不意にその窓が開き、何者かが入ってくるのが見えた。

「私を呼ぶのは誰だ‥‥?」

声を聞くだけで、そこらの低級霊や弱小妖怪では無いとわかる。
咄嗟に子供達に目をやると、信じられないものを見たといった表情で固まっている。
この時、フランドールは決心していた。

「みんな! 私の後ろに隠れて! 大丈夫、ちゃんと守ってあげるから!」

堂々たる口調で言い放つフランドール。
その姿は、夜の支配者である偉大な吸血鬼、レミリア・スカーレットの妹である事を感じさせた。
自分のかっこいい台詞に、ちょっぴりテンションも上がっていた。
が、しかし。

「よし! 今日は大当たりだ! お稲荷さんだぜ!」
「前に呼んだお化けは、好き勝手に楽器ひいたら帰っちゃったからなあ」
「そうそう。あんまり物知りじゃない、虫の妖怪とかね」
「え?」
「なんだ、またお前達か。参ったなあ‥‥」
「え? え?」
「おや? お前は紅魔館の‥‥そうか。寺子屋に通い始めたのか」
「え? え? え?」

こっくりさんによって呼び出されたお稲荷様。
その正体は、八雲紫の式、八雲藍なのであった。





「ふむふむ、幻想郷の古い歴史を知る者に聞きたい事があると? それなら確かに私は適任かもな」
「でしょ?」
「しかしなあ‥‥私もこれで忙しい身なんだが‥‥」
「岩佐豆腐店のあぶらげ5枚」
「‥‥10枚」
「8枚」
「よし乗った。それで? 何を聞きたいんだ?」

こうして子供達は、何とも安い対価で、大物こっくりさんの協力を得る事に成功した。

「実はかくかくしかじかで」
「まるまるうまうま、か。なるほど。確かに、幻想郷は一度、存続の危機を迎えた事がある」
「わあ! 本当だったんだ!」
「すっごく強くて、悪い妖怪でも現れたの?」

慧音に聞かされた話が真実だと知り、子供達の興奮は高まる。
いつの時代も子供はスリルある物語に惹かれるものだ。

「いや、そうじゃない。幻想郷を滅ぼしかけた者達‥‥それは人間だ」
「へ?」
「もっと言うならば、お前達のご先祖様だ」
「ええ!? 本当に!?」
「うちの家系って代々、平凡な商人だった筈なんだけど‥‥」
「ああ、それならばまさに事件の中心人物だっただろうな」
「それ、どういう事なの?」

子供達は一斉に藍に詰め寄る。
自分の先祖がこの素晴らしい地を消し去ろうとしていた。
非常に衝撃的な事実である。
外の世界に住む我々にわかりやすく例えるならば、先祖代々の家系図にエクスデスが載ってた、程度の衝撃だろう。
ファファファ。

「いいだろう。詳しく話してやる。あれは‥‥そうだな。幻想郷と外の世界を隔てる結界が完成して、4日目の事だったか」
「え、案外早い」





話は遠い昔に遡る。
人間にとっては、それこそ気の遠くなるような大昔。
妖怪にとっても、それなりに懐かしくなる程度には昔の出来事だ。

外の世界と切り離されたこの地には、多くの妖怪と、妖怪との共生を選んだ人間が残されている。
八雲紫は人妖それぞれの有力者達と何とか折り合いを付け、幻想郷として生まれ変わったこの土地を、疲れた表情ながらも満足そうに眺めていた。

「今日はゆっくり休めそうね。藍、久し振りに晩酌でもしたいわ。準備をよろしく」
「わかりました。ようやくお祝いのお酒を飲めそうですね」
「ふふ、そうね。楽しみだわ。今頃は妖怪も人間も、それぞれ盛り上がっているかしらね」


その頃、紫の予想通り人間達も大騒ぎだった。
幻想郷誕生のお祝いとして、紫から山ほどの酒や食料が振る舞われたのだ。

「わっはっはっは! 実に愉快だ!」
「これからも、今まで通りののんびりした暮らしができるわね」
「まあ、正直な話をすれば、散々迷ったけどな」

この地で生きていく事を決めた人々は、いわば時代に取り残された者が多かった。
日本の文明が進むにつれ、人々は神を忘れ、自然への感謝を忘れ、暗闇への恐怖を忘れていった。
彼らはそれを良しとしなかったのだ。
例えそれが、妖怪との食う食われるの関係を続けていく選択だったとしても。

「しかし、これから大変だぜ。色々と新しい事に、自分達の力だけで挑戦していかなきゃならないんだ」
「それは妖怪の連中も同じ事さ。いざって時には協力すればいい。昔みたいにな」
「それもそうだな! よーし、難しい事は明日考えるとして、今日はとことん楽しむぞ!」
「しかし、八雲のスキマ様は随分と太っ腹だな。こんなに大層なご馳走を用意してくれるなんて」
「それだけ嬉しいんだろうよ。鯛や平目の舞踊りだ」
「そうだな。‥‥ん? ま、待てよ!?」

紫の用意したご馳走に舌鼓を打つ人々。
そんな中、一人の男がある事実に気付き、顔を青ざめさせた。





「ゆ、紫様!」
「なーに? そんなに慌てて。あなたも飲みたいの?」

里の人々と同じく、豪勢な晩酌を楽しむ紫の下へ、藍が血相を変えて駆けてくる。
だが、紫はそれほど深刻には取り合わなかった。
紫の計算からいくと、これからは各自それぞれに必死で新生活を構築していかなければならない。
数週間は忙しいながらもごく平和な日々が過ぎていく筈なのだ。

「お疲れのところ、大変申し訳ありません! ですが、緊急事態です!」
「緊急~? ここまで私が前面に出て動いてる時に、人間を襲うような妖怪がいるとも思えないし‥‥」
「そうです! 妖怪ではありません! 人間達が‥‥」
「あ! ひょっとして‥‥」

紫が突然、何かに思い当たったように声をあげる。

「もうお酒無くなっちゃった? やっぱり、妖怪と好んで共存しようとするような人間は豪傑揃いね。いいわ。秘蔵のお酒だろうがなんだろうが、持ってってあげなさい」
「ち、違います!」
「んもう。じゃあ何よ?」

心底面倒そうに、紫は漸く藍の話に聞く耳を持つ。
だがそれでも未だに油断しているようだ。
優雅に酒を口に含み‥‥

「人間達が、反幻想郷を掲げて決起しました!」
「ぶーっ!」

優雅に酒を噴き出した。

「ちょ、ちょっとどういう事!? ついさっき私と共に、幻想郷の行く末について熱く語り合ったのよ!?」
「しかし事実です! それどころか、女子供も交えての徹底抗戦の構えです!」
「な、何で!? 何で!?」

完全に計算外だった。
今の不安定な、全ての者が浮き足立った状態で人間達が事を起こせばどうなるか。
幻想郷の誕生どころか、どちらかの勢力が消えて無くなるまで続く総力戦になりかねない。

「とにかく急ぎましょう! 今なら何とか話し合いに持ち込めると思います!」
「そ、そうね」




数分後、人間の里にやってきた紫を待ち受けていたのは、藍の報告通り、妙に殺気立つ住人達だった。
紫は度肝を抜かれたが、なんとか平静を装い尋ねる。

「どうかしたんですの? そんなに怖い顔を並べて‥‥」

この発言、相手方をからかうために大袈裟に言ったのでもなんでも無い。
本気でおっかなかったのだ。

紫の登場に、一人の男が話し出す。
先ほどいち早く事実に気付いた男だ。
非常に博識な男で、紫や妖怪側との話し合いの場に人間代表で顔を出した事も多い。

「八雲紫殿。あなたは、我々を謀ろうとしましたね?」
「‥‥どういう意味かしら?」

この発言、心理戦のために惚けたわけでは無い。
本気でわからなかったのだ。

「あなたは、幻想郷について説明する時にこう言った。『人間と妖怪、双方にとっての理想郷を作りたい』と」
「ええ、言ったわ。そしてその考えは今でも変わらない」
「紫殿、嘘を吐かないで頂こう。あなたはこう考えている。『人間を弱らせて飼い殺しにし、妖怪のための便利な糧にしよう』と!」
「ええ!?」

男の思い掛けない言葉に、思わず驚きの声をあげる紫。

「ちょ、ちょっと待って! 私はそんな事を考えていません!」
「ならば、どうしてあんなに重大な事を今まで我々に隠していたのか!」
「重大な‥‥?」
「あなたほどの明晰な頭脳を持ちながら、この事に気が付いていなかった筈は無い!」
「ま、待って。まずは落ち着いて‥‥」
「これが落ち着いていられるか!」

紫は驚愕した。
この男、どんな会合の場においても常に沈着冷静。
ここまで激しい感情を顕にしたのを見た事が無いのだ。
それだけの事を自分が仕出かしていたのか。
それも、全く無意識の内に。
紫は反省すると共に、改めて話し合いの必要性を感じた。

「申し訳ありませんが、私は本当に心当たりがありませんわ。だから、どうか教えてくださいませんか? その重大な事についてを」
「むう‥‥すみません。些か取り乱しました」

紫の態度に、男も少し落ち着きを取り戻す。

「構いません。それだけ、あなた達にとっては切実な問題だったんでしょう」
「ええ。紫殿、これを見て頂きたい」
「‥‥これ?」

男の示す方向を見てみると、見慣れた物があった。
それもその筈、そこには紫からの贈り物、山と積まれたご馳走が置かれていたのだ。

「あの‥‥これがどうかしまして?」
「まだお分かりになりませんか? ここには、あなたから頂いた大変美味しい食べ物が並んでいます」
「はい。お口に合ったようで幸いですわ」
「ええ。特に新鮮な刺身は絶品で、酒も進みました」
「それはそれは」

当然だ。
紫がこの日のため、皆で喜びを分かち合おうと、奮発して用意した品々なのだから。

「そこが問題なのです!」
「ええ!?」
「我々は気付きました。我々の住んでいたこの地‥‥そう、幻想郷には、海が無いのです!」
「え? あ、はあ。言われてみれば確かに‥‥あっ」

まさか。

「ひょ、ひょっとして‥‥美味しい刺身が食べられなくなるから、とか‥‥」
「我々をバカにしないで頂こう。そんな事で、集落全員で決起しようとは考えません」
「で、ですよねー?」
「刺身だけでは無い! 海産物全般が手に入らなくなるじゃないですか!」
「えー」

紫は眩暈を覚えた。
まさか、こんな大騒動の原因が、海の物が食べられなくなるから、とは思わなかったのだ。

「紫殿! これは死活問題です!」
「いや、でもねえ‥‥少しの間我慢して貰えれば、その内手を打ちますわ」
「その内では遅いのです!」
「だけど‥‥今は他に優先して為すべき事が‥‥」
「刺身が食べられない、煮魚が食べられない‥‥これは我慢するとしましょう」
「あら?」
「しかし、考えてもみてください。海の物が手に入らないのですよ?」
「はあ、海の‥‥」
「‥‥大事なのは、鰹と海藻も含まれているという事です」
「あ‥‥」

その言葉に、紫は合点がいった。

「ああああああ!」
「そう! つまり、鰹節と昆布! 我々の食生活の中枢を担うこの二つが消えてしまうんです!」
「それの意味するところは‥‥」
「食卓から味噌汁が消える、という事です」
「わ、わかりましたわ。早急に手を打ちましょう」

これまでの長きに渡り、人間の生活を見続けてきた紫。
彼らの食生活から味噌汁を奪い去る残酷さを、よく理解していた。

「おお! 紫殿! わかっていただけましたか!」
「ええ、私の能力を使ってでも、必ずなんとかしますわ」
「これは心強い! 皆、聞いたか!」
『おおおおお!』

なんとか事態を収めた紫だったが、内心こんな事を考えていた。

「(ふふ、たしかに味噌汁が消えるのは痛いけど‥‥それだけでここまで騒ぎ立てるだなんて、人間というのは可愛らしいものね)」

そんな紫に、男が改めて言う。

「紫殿、感謝します」
「いえいえ」
「ただ‥‥いえ、疑うわけでは無いのですが‥‥」
「なんでしょう?」
「今回の問題が解決されなかった場合、我々は命尽きるまで戦うのも辞さない覚悟です」
「ひい!」

紫の能力を使用して、海産物の定期的な確保が約束されたのは、それから3時間も経たない頃だった。





「と、こんなところだな」
「うわあ‥‥」

藍の話を聞き終えた子供達は、一様にがっかりした顔をしていた。

「なんていうかさ‥‥もっと、こう‥‥」
「ははは、気持ちはわかる。しかし、本当に大変だったんだぞ」
「あ、言われて見ればうちの店、隙間妖怪がちょくちょく来てるかも。そっか、海の魚持ってきてたんだ」
「昔の幻想郷って大変だったんだね」

フランドールがそう言うと、藍は心外そうに答えた。

「何を人事のように言ってるんだ? お前の姉だって、相当苦労したようだぞ」
「へ?」
「帰ったら、異変を起こして何が一番大変だったかを聞いてみるといい」
「う、うん」
「あ、もうこんな時間だ。そろそろ帰らないと母ちゃんに叱られる!」
「本当だ! お稲荷様、今日はありがとう!」

日が暮れ始めた窓の外を見て、一斉に帰り支度をする子供達。
そんな彼らを、藍は引き止めた。

「こら待て、わっぱ共め。約束の物をまだ貰ってないぞ」
「あ、ばれちゃった」
「ちぇー」
「ははは、食べ物の恨みと狐の祟りは恐ろしいんだ。しっかり約束を守ってもらうぞ」

その後、フランドール達は藍と共に、豆腐屋で出来たての油揚げを買い食いし、それぞれの家へ帰っていった。





「あら、お帰りフラン。今日は遅かったわね」
「ん、友達と遊んできたから。あ、咲夜。これお土産」
「まあ、お豆腐ですね。ではこれを使ってクッキーでも作りましょうか」

買い食いのついでに購入した豆腐を咲夜に渡すフランドール。
その時、藍の言葉を思い出す。

「あ、そうだお姉様」
「何かしら?」
「前に、霧の異変起こしたでしょう?」
「そうね。あれが切欠で、私もあなたも幻想郷に馴染めたわね」
「あの異変で、一番大変だった事って何?」
「大変だった事? そうねえ‥‥ああ、やっぱりアレね」
「あ、霊夢に怒られたりしたの?」
「いや、そっちはまあ問題無かったんだけどね‥‥」

レミリアは、苦笑いと共に答えを返す。

「あの霧、太陽を遮るじゃない?」
「うん」
「それでまあ、農家の人たちがすっごく怒ってね‥‥」
「え?」
「日照不足って言うの? 作物がなかなか育たなかったらしくて」
「そ、それで‥‥どうしたの?」
「まず、私の能力でその日から暫く晴れ続きにして」
「う、うん‥‥」
「咲夜の能力で作物の育つ時間を短くして」
「う‥‥」
「美鈴が土地に気を送って、パチェがそれを養分に変える魔法を作って」
「‥‥‥‥」
「そこまでして、やっと許してもらえたのよ」
「そ、そうなんだ‥‥大変だったね」

その作業の大変さを示すように、レミリアの目は虚空、はるか彼方を見つめていた。

「でも、お姉様がそこまでやるなんて意外だなあ。「どうして私がそんな事を」とか言いそうだけど」
「まあ、あんまり印象悪くするのもちょっと嫌だったしね。それに‥‥」
「それに?」
「私に抗議しに来た人達、すっごい怖かったの」
「うわあ」

食べ物の恨みは恐ろしい。
フランドールは、この言葉を脳裏に深く刻み込んだのであった。






幽々子「異変が解決された後、里中の家に春の味覚を配って歩きました」

萃香「特に怒られませんでした。ただ、瓢箪と水があればいくらでも酒が飲めると知られた時には、三日間解放してもらえませんでした」

輝夜「紅魔館と同じく日照り不足で怒られたんですが、山菜を必死に集めて事無きを得ました。ただ、日が昇らなくて私達だけが怒られたのはちょっと理不尽だと思います」

天子「畑の中に雪が降ったりしたらしくて、吐きそうになるくらい怒られました」
投稿を始めた原点に戻って、幻想郷の一般人についての空想を形にしてみました。
それと「味噌汁もサンマも鮭もサバもブリもタコも牡蠣もカニも(ry食べれないとか生活できねーだろ」と日頃思ってたんで、自分なりに答えを出してみました。
紫がいればなんでもできる。

日本人は核を撃ち込まれても怒らないけど食い物がちょっと変だと怒る、ってジョークありましたよね。
そんな感じの空気が伝われば嬉しいです。

ただ、一番書きたかった部分は、子供のこっくりさん程度でホイホイ呼び出される妖怪達と、フランちゃんの友人に対する「なんだと」です。
ブリッツェン
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コメント



0.3040簡易評価
5.100奇声を発する程度の能力削除
幻想郷の人達強いなぁ…www
味噌汁無いのは確かに辛いw
7.100名前が無い程度の能力削除
実に切実で地味な反乱ww
そしてらんさま、あんた意外と暇なのか?w
10.90名前が無い程度の能力削除
>先祖代々の家系図にエクスデスが載ってた
いくらなんでも衝撃でかすぎだろw

そしてもう一つ言わせて貰えば、
>刺身が食べられない、煮魚が食べられない‥‥これは我慢するとしましょう
あなたは分かっていない!
春、鯛を一尾買ってきて鯛飯と刺身を作るあの嬉しさを。
夏、キスの天ぷらでビールを一杯やる喜びを。
秋、じゅうじゅうと鳴る秋刀魚の塩焼きがどれだけ心躍らせるかを。
冬、湯豆腐のかたわらに泳ぐ鱈がどれだけ重要かを。
確かに味噌汁に比べれば、ちっぽけに思えるのかもしれない……
でも!それでも、そんな小さな幸せ重要か作者様は全く理解していないのです!

と、まあ多分に漏れず食事の事だけは絶対に譲れない日本人Aの主張でした。
面白かったです。
15.100曇空削除
食べ物の恨みってこんなに怖いのねww
18.90名前が無い程度の能力削除
下手したら塩も取れなくなりますしねw
19.90名前が無い程度の能力削除
なんだかんだで妖怪たちとも仲良いんだなあ。
リグル頑張れ…!
25.100名前が無い程度の能力削除
味噌汁だけじゃありません! そばつゆもうどん汁も! 塩うどんは嫌ぁ!w

…ここの幻想郷、住民が異変を解決できそうな気が…w
密かに豆腐屋の岩佐さんのファンだったりw
26.100名前が無い程度の能力削除
住人といい、こっくりさんといい、何とも幻想郷らしいですね。
食い物の恨みは本当に恐ろしいですはい。
29.100名前が無い程度の能力削除
つうか、鰹と昆布より塩が手に入らなくなる方が死活問題だと思うんだけどw
40.80名前が無い程度の能力削除
ほいほいよばれちゃう藍さまいいなw

誰も突っ込んでないんだが、ひょっとして豆腐でクッキーって作れるのか?
42.100月宮 あゆ削除
こっくりさんでルナサたちやリグル、更には藍さままで呼び出してしまうとは
私も幻想郷でこっくりさんやりてー

やっぱ食べ物は大切です、食文化バカにしてはいけません

しかし、幻想郷最強クラスの妖怪に異変後、抗議しに行く住民たちがすごすぎる
47.100名前が無い程度の能力削除
たくましい幻想郷の人々と、
なんだかんだでうまくつきあっている妖怪たちが楽しい。
幻想郷が滅びそうになった理由も面白かった。
56.100名前が無い程度の能力削除
地霊殿とか聖蓮船とかはこのネタなさそうですね。
むしろ温泉とか感謝されていそう。

しかし、聖さんが肉食に口出し(お寺は基本的に獣食べるの禁止)したら・・・
寺が廃墟になりますねw
62.100名前が無い程度の能力削除
人間怖いでしょうwww
71.100名前が無い程度の能力削除
相変わらずいい幻想郷だなぁww