Coolier - 新生・東方創想話

幻想郷リーグ 第八幕

2011/06/12 16:59:35
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残り試合も約30試合、つまり各チームとの対戦もそれぞれ約6試合ということだ。
今年の幻想郷リーグは終盤まで混戦が続いており、未だどの球団にも優勝の可能性が残されている状況である。
現在デビルレッツは4位、先の連敗が響き順位を少し後退させてしまっている。

「残り試合も30試合強!もうみんな疲労もだいぶキテると思うけどもう総動員で勝ちを奪いにいくわよ!先発陣も調子良さそうなら多少無理してでも完投を求める場合もあるし、球数が少ない降板なら中3日も求めるかもしれない!中継ぎ陣も非常識な連投を強いるかもしれない。野手陣も多少の怪我なら無理をしてもらうわ!でも身体が本当に限界に来た場合はすぐに言いなさい、それを決して責めたりしないし失望もしない。ここまで一緒にやってきてくれた感謝しかないわ。それでも私はできるなら全員そろってシーズン終了後に笑いあいたい、応援してくれたファンも含めてね。ついてきてくれるかしら?」
レミリアが試合前のミーティングで檄を飛ばす。全員が大声で応える、チームの心は優勝に向かって一つになっていた。
「ありがとうみんな、まずは今日の相手の守矢マウンツよ。これまでの対戦成績は8勝10敗でわずかにだけど負け越しているわ。負けパターンは1番を出してかき回されて3,4番にやられることね、ピッチャーは上位打線に特に注意してちょうだい。野手陣はマウンツは守備の良いチームだからチャンスをどれだけモノにするかがカギになってくるわ。最後に今日はエース対決が予想されるからなおさら気合い入れていきましょう!」

先行 紅魔館デビルレッツ スターティングメンバー
1 遊 咲夜     右投左打
2 中 ミスティア  左投左打
3 左 慧音     右投右打
4 三 妹紅     右投右打
5 捕 美鈴     右投右打
6 一 キスメ    右投右打
7 二 小悪魔    右投両打
8 右 妖精メイド  右投右打
9 投 フランドール 右投右打

後攻:守矢マウンツ スターティングメンバー
1 中 文        左投左打
2 三 小傘       右投右打
3 左 諏訪子      右投両打
4 右 神奈子      左投左打
5 二 パルスィ     右投右打
6 捕 烏天狗      右投右打
7 一 烏天狗      右投左打
8 遊 橙        右投右打
9 投 早苗       左投左打

今日の試合はマウンツの本拠地「妖怪の山守矢球場」で行われてる。この球場は突風が吹くことで有名だ。またポールが通常の球場のものより太く長い御柱タイプのものを採用しているのも特徴だ。
レッツは後半戦から得点圏でも打撃を崩さなくなった小悪魔を7番に打順を上げている、また両打ちなので相手が右投げならジグザグ打線を組む事ができるのも利点だった。
先発はエースのフランドール、ここまで11勝を上げている立派なエースだ。ここまで9完投を記録しており4年連続10完投は確実視されている。
一方のマウンツは一番には3年連続盗塁王でここまで45盗塁を記録している文が不動の一番を努める、また文は今年から遊撃からセンターにコンバートしているがその守備範囲はおどろきの一言。3,4番の神様コンビも破壊力抜群であり上位打線は6球団最強の呼び声も高い。実際チーム総得点の7割以上が5番までによって挙げられている。

いよいよプレイボール。マウンドにはマウンツのエースの早苗が上がる、外の世界で野球を見ていたときに「速球が130km/h前後しか出ないのに並みいる打者に彼のストレートが一番速い言わせたある意味常識にとらわれないピッチャー」に衝撃を受けその投手のようなピッチングを信条にしている。得意変化球はもちろん90km/hほどのスローカーブだ。
打席には一番バッターの咲夜、ここまで打率.330を記録しており今シーズンのレッツ好調の一因となっていることは言うまでもない。
(あの緩急のついたピッチングは厄介なのよね…なんとか出塁して揺さぶりたいところわ。)

早苗の初球は得意球のスローカーブ、咲夜は意表をつかれたのか見逃してストライク。
(試合開始第一球にこの遅球!幻想郷では常識にとらわれてはいけないのです!)
意表をつかれて手が出なかった咲夜を見て早苗が内心ほくそ笑む、早苗は相手が迷ってくれればしめたものと思っている。
続く二球目もスローカーブ、咲夜は泳ぎながらカット、二球続けて遅球がくるとは思っていなかったようだ。
そして三球目---これもスローカーブ、まさかのスローカーブ三連投。
(先頭バッター相手にスローカーブ三連投!咲夜さんもこれは予想できなかったでしょう!?)
しかし-----打球は左中間スタンドに飛び込む先頭打者ホームラン、今シーズン第7号ソロホームランだ。

(同じ球種を三回ストライクゾーンに続けたら仕留められるわよ、だてに完全で瀟洒を名乗ってないわ。)
当然という表情でダイヤモンドを一周する咲夜、レッツが簡単に一点を先制した。
だがここで簡単に崩れないのがエースたる所以、後続を三者凡退に抑える。

一回の裏、エースのフランドールがマウンドに上がりいつものように何も書かれていない相手のスコアボードに目をやる。
(今日は初回から一点のリードがあるし、いつもより楽かな?)

対するバッターボックスには文、塁に出すととにかくうるさい打者だ。マウンツの得点パターンは文が出塁し盗塁、小傘が送ってクリーンアップで返すというものが多く、また必ず文が先頭である一回は得点率が非常に高い回になっている。
フランドールがサインを確認して第一球を投げる、それと同時に文はバントの構え、ここも意表をつくセーフティバント、コツンとバットに当たったボールは三塁線へ転がっている、妹紅が慌ててダッシュして捕球するが一塁へは投げられずに無死一塁。

(フランさんの直球はまともにいくと力負けしますからね、早苗さんじゃありませんがまさか初球セーフティバントとは思わなかったでしょう。)
一塁上でバッティング用の手袋を走塁用の手袋にはめかえながら射命丸は奇襲も役に立つものだなと思う。

(いきなりセーフティバントとはやってくれるじゃない、でも簡単に失点するわけにはいかないのよ!)
フランドールが一塁上の射命丸に目をやりながら気合いを入れ直す、クリーンアップ前に得点圏にランナーを進めるわけにはいかない。

次の打者は小傘、打撃は得意ではないが今シーズンの暫定犠打王である。
(バントはそこそこに上手いみたいだけど私のストレートを簡単にバントできると思わない事ねっ!)
フランドールが内角高めに直球をドンドン投げ込んでいく、もちろん牽制も忘れずに執拗といえるほどに入れている。

(あやややや…あの様子だと小傘さんはバント厳しそうですね…その上ここまで執拗に牽制されると走るのは得策じゃないですし…)
射命丸が塁上から小傘の様子を見て思う、さすがにパターン化しすぎたのだろう球威あるピッチャーには対策されつつあった。
結局小傘は追い込まれてからヒッティングを試みるも空振り三振、射命丸も一塁へ釘付けのままだ。

(あーうー、文が盗塁できない上に小傘ちゃんが送れないなんて珍しいね、さすが相手もエースだね~。)
そんなことを思いながら諏訪子が左打席に向かう、過去に打点王を取った事もある諏訪子は幻想郷最強のスイッチヒッターであると同時に最強のクラッチヒッターの呼び声も高い。
打席に入って構えるその姿は見かけこそ大打者に見えないが醸し出すオーラは一流のそれ、そしてマウンツの3、4番はフランドールの天敵でもあった。

(う~、私守矢の二柱嫌いなんだよね。いっつも打たれてる気するし。)
フランもそのことをわかっているのかマウンド上でしかめつらを浮かべる、それでも一死一塁で敬遠をするわけにはいかないのでセットポジションに入る。
フランドールの第一球はカットボール、あわよくばゲッツーを狙おうという意図だったのだが------

快音残して打球はバックスクリーンへ今シーズン第22号の逆転ツーランホームラン、諏訪子が跳ねながらダイヤモンドを一周する。それを見送ったあとフランドールはマウンドから憮然とした表情で「2」が入った相手のスコアボードを見つめる。
(くそっ…でもまだ一回だし美鈴達が点を取ってくれるはず…!)
フランドールは心中悪態をついたが動揺した様子はない、この後のバッターは見事打ち取った。

一回から激しい打撃戦かと思われた試合だったが2回以降は両投手の好投によりスコアボードには0が刻まれていく。
そしてそのまま5回の表、レッツの攻撃は3番の慧音から始まる好打順。
(あのスローカーブのあとにストレートを投げられると異様に速く見えるな…どうしたもんか…)
慧音が打席に向かいながら考える。早苗は1回に咲夜にホームランを打たれてから配球は割と常識通りでありなかなか崩れてくれそうにない。
考えがまとまらないまま打席へ立つ、初球はボールになるスローカーブでこれを見送って1ボール。
続く二球目もスローカーブ、だがこれも見送って2ボール0ストライク。

(だいぶ遅い球に目が慣れたころですかね?こっから勝負ですよ!)
最初に遅い球を見せる事でその後のストレートを速く見せる、早苗の基本にして絶対の投球術。
三球目は真ん中低めへのストレートだが今までスローカーブに目が慣れていた慧音には手が出ない、これで2ボール1ストライク。

(やっぱりスローカーブのあとのストレートは速いな…いちかばちかやってみるか)
慧音がバッターボックスから外れていったんヘルメットをとってかぶり直す、髪の毛を出して目元まで隠してしまった。
それを見て驚いたのは早苗、常識にとらわれない彼女でもこの行動には驚いた、それが常識人として知られる慧音だから尚更だ。

(慧音さんは何をしてるんでしょうか?あんなことをしても視界が悪くなるだけでしょうに…、こちらのリズムを崩そうとしてるんでしょうか?)
早苗は行動の意味がわからなかったが奇抜なことをしてこちらのペースを崩すつもりなのだ、と自らの中で納得した。
そうとわかれば早苗に迷いはない、慧音が打席に戻ったのを確認してすぐに投球に入る、放たれたボールはふわっと浮いてから重力に負けたように沈んで来るスローカーブ。
慧音はこれに手を出そうとしなかった、これを早苗はタイミングが外れて手が出なかったと認識した。

(結局あの行動に意味なんてなかったんですね、この球で仕留めさせてもらいますよ。)
早苗は内角へストレートを投げ込む、さっきの球が頭に残っていれば打てる球ではないはずだった。しかし打球はきれいにレフト線を破るライナー性のあたり、慧音は悠々と二塁へ到達した。二塁上で再び髪を視界の邪魔にならないようにヘルメットをかぶり直し目元が良く見えるようになった慧音を見て早苗はあっという顔をした。
(まさか…四球目のスローカーブのときに目をつぶっていた!?遅球のイメージを頭に残さないようにするために…!)

早苗の表情を見て慧音も策がバレたことに気付き苦笑いを浮かべる。
(少し露骨すぎたか…ベンチ出る前ならサングラスとかもう少しやりようがあったんだがな、この策はもう使えないな。)
それでも慧音は無死二塁という状況を作りだした、続くバッターは妹紅、美鈴と期待できる。

しかし妹紅は三振に倒れる、引っぱり一辺倒かつ力で運ぶようなバッターの妹紅は早苗との相性は最悪と言えるだろう。
続いて美鈴がバッターボックスにはいる。
(フランドール様が頑張って投げていらっしゃるしここらで野手陣も見せなきゃダメでしょう!)
打ち気がはやりすぎたのだろう、初球のスローカーブに対して豪快な空振りを見せる。
相手もタイミングがあっていないと思ったのだろう、二球目もスローカーブ。
(次こそストレートだと思ったのに!…仕方ない!)
バットを振り出している美鈴だったが下半身を思いっきり上半身と逆方向に捻ることにより一瞬の溜めを無理矢理つくる、それによりタイミングを一瞬遅らせたバットは溜めたエネルギーとともにボールへと襲いかかる。

痛烈なあたりが左中間へと飛んでいく、射命丸をもってしてもまったく追いつけそうにない。それほどに美鈴のこの打法、”超ツイスト打法”から放たれる打球は凄まじい。慧音がホームに返って同点、さらに打った美鈴も二塁へと到達した。
(あいたたたた…今日はいつもより捻ったから身体もその分痛いですね…)
ガッツポーズをとっているものの顔はしかめつらを浮かべている。

(あの当たりで納得いってないんですか!?私は完璧にタイミングを外したと思ったのに…)
早苗は美鈴の表情を見て愕然とする、だが早苗の考えはまったく外れていた。ヒットを打って首をかしげるのはどこぞの孤高の侍だけで十分だ。
しかしそれは早苗を動揺させるには十分だった。
動揺した早苗へ畳み掛けるようにキスメがヒットを浴びせて一死一、三塁とすると続く小悪魔の内野ゴロのゲッツー崩れの間に美鈴がホームへ生還し、この回2点を挙げてレッツは逆転に成功。

5回の裏もレッツはフランドールがマウンドに上がる、マウンツも一番の文からの好打順。
(初回もこいつから点を取られたから気をつけないと…!)
2ー2と追い込んでからの5球目に投げたのはフランドールがもっとも苦手とするカーブ、射命丸は予想していなかったのかタイミングがまったく合わずに空振り三振。

(そういえばフランドールさんはカーブも投げるんでしたね…今年はカットボールが良くなったのであまり見ることがなくなりましたが。)
してやられたという気持ちでベンチに引き上げていく。フランドールは続く小傘も打ち取って二死走者無し、ここで打席には1回に逆転ツーランを放っている諏訪子。
フランドールにしてみれば何度もやれるわけにはいかない相手だ、マウンド上で気合いを入れ直す。

(何度もやられるわけにはいかないわ!ここは抑えさせてもらうわ!)
渾身のストレートを投げ込む、球速は本日最速の155km/hをマーク、諏訪子はこれを見送って1ストライク。

(5回になって最速を出すかぁ、相変わらずスタミナは恐ろしいものがあるね。)
諏訪子が打席で感心しながらフランドールを見る、小さな身体から凄まじいパワーを放つフランドールは自分とかぶってみえた。
(でも…それだけじゃ足りないんだよ、こっちは「神」だからね。)
バットを構え直しフランドールを見据える、二球目はカットボールをいとも簡単にレフト前へとはじき返して二死一塁。
バッターボックスには4番の神奈子、諏訪子を凌ぐパワーを持ち一発で流れを変える事に長けている。
(ツーアウトだしここらで一発狙うのはありかも知れないねぇ…)
得意にしているフランドール相手ということもあって多少の余裕がある、その気になればまず打てるいう表情。

その表情を見てフランドールは内心逆上する。
(舐めるな!いつもいつも打たれるほど私も甘くない!)
フランドールがサインも確認せずに投げ込んだのは内角高めで食い込むようなカットボール、一つ間違えば頭部死球もありえる。
うなりをあげて神奈子に向かっていくボール、しかしこれを神奈子は悠然と見送って1ボール。

キャッチャーの美鈴があわててマウンドに駆けていく、サインを交換せずに一歩間違えれば危険球になる球を投げるフランドールを落ち着かせに行ったのだが
「早く戻って!いちいちマウンドまで来ないで!」
フランドールは聞く気がまったくなく、いいから早く戻って構えろといったようなことを言うだけ。
美鈴はベンチに目をやるがレミリアは動く気配も無くあきらめて定位置に戻っていく。2球目のサインを出しフランドールがうなづくのを確認すると要求したコース、外角低めへミットを構える。
しかしフランドールの投げた球は先ほどと同じ内角高め、さらにさっきより神奈子の身体に近く危険な球、美鈴が慌ててミットを動かすがボールがミットに入る事は無かった。
ボールはライトスタンドへと一直線、今シーズン30号にして逆転のツーランホームラン。バットを放り投げると神奈子はゆっくりとダイヤモンドを回る。

(まだまだ甘いねぇ、悪魔の妹。我々神とやるにはちょっと実力不足だったね)
そう思いながらゆっくりとホームイン、これで3ー4とマウンツが一点リード。まだまだわからない点差ではあるがマウンド上のフランドールは呆然とした表情を浮かべている。
当たってもいいと思って投げ込んだ渾身のカットボール、それを完璧に打ち返されたショックは大きかったようだ。
その姿を見てレミリアが立ち上がる、審判に投手交代を告げて自らマウンドへフランドールを迎えにいく。

「こんな日もあるわ、言いたいことはあるけれどとりあえずそれは試合終わってからよ。まだ試合は続いているんだから。」
レミリアが諭すように言う、フランドールの耳にはあまり入っていなかったようだがひとまずベンチへ引き上げさせる。
後を受けた妖精メイドは後続を打ち取りスリーアウトチェンジ、しかしこの回再び逆転を許してしまった。

この後早苗は8回までを無失点で投げきる、レッツもレミリアを含む投手リレーで追加点を許さない。
そして9回の表のレッツの攻撃は一番の咲夜からの好打順。ここでマウンツのマウンドに上がるのは秋穣子、穣子と静葉の秋姉妹はマウンツのダブルストッパーを努めている。
穣子は珍しい左のアンダースローの投手で対左にはめっぽう強く対左の被打率は.050を切るが対右の被打率は.270と左右で得意苦手がはっきりとわかれる投手だ。
左打者の咲夜とミスティアは簡単に打ち取られてしまうい二死となってバッターは慧音、右打者だがランナーもいないので穣子が続投するようだ。
しかし流石三番バッター、2ー1とバッター有利なカウントからの4球目を流し打ってライト線へのツーベースヒットで一気に同点のチャンスを作り出す。
妹紅を敬遠してランナー1、2塁としたところでピッチャー交代、穣子の姉の静葉がマウンドに上がる。
静葉は穣子とは真逆の右のオーバースローでコントロールを武器とするピッチャーだ。穣子と違い左右で得意不得意がないため試合の最後をしめることが多い。
レッツは5番の美鈴が打席に入る。
(ここで打たないと負けかぁ、なんとしてでも慧音さんをホームに返さないと…)
そんなことを考えるがすでにとっておきの打法は使えない、一日に二回も使うと身体への負担が大きすぎて良くて翌日欠場、最悪故障をしてしまうのだ。
今正キャッチャーの美鈴が離脱することは優勝戦線からの脱落を意味する、それがわかっているからこそこの打席ではなおさら使えない。
(なんとか普通の打ち方でヒットを打たないと…、この守備体勢なら慧音さんの足ならワンヒットで同点も狙えますね。)
バットを指一本分短く握る、長打を捨て軽打を狙う構え。外野陣も先の長打を警戒してか全身守備は敷いていない。

そして静葉の初球、コースは外角いっぱいだが高さはベルト付近の球を美鈴は逆らわずにライト方向へ。
スタンドからは歓声があがる、神奈子が捕球したときすでに慧音はサードを回っており同点は確実かと思われたからだ-----しかしその歓声は一瞬で水をうったように静まり返る。
楽々セーフのタイミングであったはずだった、だが神奈子の送球はまさに光一閃キャッチャーミットへ突き刺さった。クロスプレーにすらならずに慧音はタッチアウトでゲームセット。

最後の最後まで神にやられた、というイメージの試合だった。

試合終了後、レミリアはフランドールを自室へ呼び出した、内容はもちろん今日の試合のことだ。
「フラン、今日あなたが打たれた球は何だったかしら?」

「…カットボールよ」
レミリアの質問に不機嫌そうに答えるフランドール、レミリアは言葉を続ける。

「あなたのカットボールは確かに去年に比べて良くなった、それは認めるわ。でもね、あそこの二柱を相手にするにはまだまだ足りないものが多すぎる、あなたの次回登板はまたマウンツだけどこのままじゃ投げさせるわけにはいかないわ。」
淡々と告げるレミリア、それは到底エースにかける言葉ではない。

「ふざけないで!私はレッツのエースよ!今年は結果だって残してきてる!今日一試合だけの結果でそんなこといわれたらたまらないわ!」
フランドールが声を荒げる。事実フランドールは今季はエースの名にふさわしい成績を挙げている。
「今日一試合だけ…?あなた今までマウンツ、いえあの二柱との対戦成績をわかって言っているのかしら?知らないなら教えてあげる、昨年までの通算で2人合わせて被打率は4割を超えてるわ、今年は少し改善されてるけどそれでも3割後半打たれてるのよ、エースっていうのは相手の主軸を抑えるからエースなの、マウンツ戦に限ればあなたはエースじゃないわ。」
レミリアがわずかに怒気をはらんだ声で返す、フランドールはこの言葉を聞いてうつむき声を絞り出す。
「あの2柱に打たれてる事は…わかってる…、でも…私だってキャンプからカットボールを磨いたつもり…!それが通用しなかったのにどうしたらいいのよ…!?」
もうどうしていいかわからない、そんな声色だった。

「…着いて来なさい。」
レミリアはそれだけ言うと部屋を出て行く、フランドールは戸惑いながら追いかける、この姉ならなにか光を見せてくれる気がした。
ついた場所はブルペン、レミリアはプロテクターをつけて座る。
「通用しないなら通用するようにするしかないわ、成功するかはわからないけどやらないよりはマシでしょう?」

フランドールは姉の姿を見て目を丸くする、自分のためにここまでしてくれる姉とは思っていなかった。495年も幽閉されていたのでそう考えるのも無理はなかったのだが。
「お姉様に私の球がとれるの?お姉様もピッチャーじゃない。」
フランドールがからかうように言う、もし捕れないとしてもこうなったからには練習には付き合ってもらうつもりだったのだが。
「甘く見ないで欲しいわね、美鈴にはもちろん及ばないけどキャッチングくらいならなんとかできるわよ。」
レミリアがムッとした声で返す、いいから早く練習を始めろという感情が籠っていた。

フランドールがカットボールを投げ込むとそのたびにレミリアからアドバイスとも野次とも取れる声が飛び、そのたびフランドールも言い返している。
「全然曲がってないじゃない!」
「カットボールってのはこういう球なの!」

「さっきより曲がってるけどキレが悪いわよ!」
「変化を大きくしようとしたらそうなるわよ!お姉様もピッチャーだからわかるでしょ!?」

「こんなしょっぱい変化量なんだからせめてストレートと同じ球速出しなさいよ!」
「お姉様の変態縦スラと一緒にしないで!あんなの出来る方がおかしいのよ!」


しばらくして休憩を取る、2人でどうすれば良いかを考える。
「なかなか上手くいかないものね、そういえばキャンプ中にカットボールを改良したときはどうしたのよ?」
レミリアが素朴な疑問を浮かべる、何もしないで急に上手くいく訳はないからだ。
「キャンプのときはパチュリーに教えてもらいながらしたわ、握りを変えたりリリースするタイミングを変えたり…」
フランドールがキャンプ時を思い出して言う、もちろんさっきの練習時も握りを微妙に変えたりしてはいたのだが特に効果はあがらなかった。
「じゃあもっと思い切って変えてみる必要がありそうね、握りをボール半個ずらすくらいしてもいいんじゃない?」
「それもう別の変化球になるんじゃないの…?」
「まぁ待ちなさい、それでリリースの仕方も変えるのよ、今まではどうリリースしてた?」
「今まではパチュリーに教わった通りボールの右側を切るようにしてたわ。」
「それよ!パチェとフランは力が違いすぎるから同じ感覚でやっても上手くいかなかったのよ!」
「じゃあどう変えるの?」
「…え~っと…そう!右側を切るんじゃなくてもう斬り落とすつもりで投げるのよ!ほら、レーヴァテインを振り下ろす感じで!」
「何よそれ…」
フランドールは呆れたような声で答える、まともな答えを期待した自分がバカだったという声色。
「いいからやってみなさい!ボールの右側をレーヴァテインで斬り落とす感覚よ!」
レミリアが構えながら叫ぶ、とりあえずやってみたいらしい。
「なんか言ってる事かわってるし…、だいたいそんな投げ方したらどこにいくかわからないし…」
そんなことを言いながら投球動作に入る、レミリアの提案通り従来の握りから半個以上握りをずらし、なおかつ今までの感覚をより極端に、ボールの右半分を斬り落とすつもりで---

放たれたボールは外角に少し外れていく、フランドールの予想通り制球なんてできたものではない。しかし力を込めて投げている分球速はストレートと同等だ。
(速さこそストレートと同じくらいだけどちょっとしか曲がりそうにないわね…)
レミリアがそんなことを構えながらミットでボールを迎えにいく、しかしボールはミットをすり抜けてブルペンのネットに突き刺さる。
「え…?」
レミリアが間抜けな声を漏らす、何があったのか把握できていない表情だ。

確かにレミリアのミットは球筋の先にあった、しかし直前でボールは鋭くスライドしミットをかすめることもなく飛んでいった。
「フラン!今の球よ!その球を次の登板までにものにしなさい!」
レミリアがフランドールに詰め寄る、妹に光明が見えたのが嬉しかったのだろう、満面の笑みを浮かべている。
「今の球…なら…あの二柱達にも対抗できるかな…?」
フランドールが呆然としながら口にする、レミリアはそれを聞いて迷わずサムズアップ。さらにこうしちゃいられないとばかりに美鈴を呼びに行く。
その新しい決め球はレミリアによって「レーヴァテイン」と名付けられた、自分のアドバイスによって完成したのだから命名権は私にあると言い張った結果だ。
この日からフランドールは新球レーヴァテインの完全習得に向けて練習を開始した。


迎えたリベンジの日、球場は人里近くの球場に移しているが両先発は前回と同じ早苗とフランドール。
この日は前回と違って投手戦となっていた。早苗の緩急を生かしたピッチングでレッツを無失点に抑えればフランドールも持ち前の剛球で7回を1失点に抑える。
8回の表をフランドールはマウンツを無失点の抑える、8回の裏のレッツの攻撃は8番の小悪魔から。

(早苗さんの球数も100球を超えてますし9回はたぶん秋姉妹が来るでしょうけど…今日の早苗さんは打てそうにないですし9回で確実に降りてもらいましょう。)
この打席の小悪魔はとにかく粘った、くさいコースはすべてカットしている。結局この打席だけで12球投げさせその12球目を空振り三振。
続くバッターも球数を稼ぐ事に専念し三者凡退ながらこの回を終えて早苗の球数は130球を超えている。

「フラン、9回はどうする?」
レミリアは口ではこう言っているがフランを代える気は毛頭ない。
「行くに決まってるじゃない!さくっと抑えてきてやるわ!」
フランドールが笑いながら返しマウンドへと駆けていく、その様子をレミリアは笑って見送った。

9回のマウンツは2番の小傘から、ストレートにバットこそ当てるもののどん詰まりのピッチャーフライ、これを簡単にさばいて1アウト。
左バッターボックスには諏訪子が入る、ここで点を入れられては勝ち目はかなり薄くなる、そう思いフランドールは気合いを入れ直す。

(あーうー今日のフランはいい出来だね、それでもなんとかこの回1点は欲しいなぁ。)
諏訪子としては1点リードでは不安のようだ。後ろに繋ぐ意識からバットを短く握る、それほどにフランドールの出来は良かった。

(ここでこの二柱を完璧に抑えることがチームに流れを引っ張ってくることになるはず…あの球で行くわ!)
美鈴から送られてきたサインに首を振り自分の投げたい球を要求する。
大きなフォームから投げられた球はど真ん中へと飛んでいく。

(ストレートの失投かな?これはいただいときたいね!)
諏訪子が最悪でもヒットになることを確信してスイング、完璧に捉えたはずだった。
しかし打球はピッチャー前のボテボテの当たり、フランドールが一塁に送って2アウト。
諏訪子はバッターボックスで呆然としている。

(絶対にとらえたはずなんだけど…、なんでボテボテのピッチャーゴロ!?)
そんな諏訪子を見て神奈子が笑って話しかける。
「諏訪子は力みすぎなんだよ、まぁ私に任せておきなって。」
神奈子はそう言って打席に向かう。
(さっきの球…ただのストレートじゃないみたいだね。神と互角にやり合うにはそれくらいないとね!)

1ー2と追い込んでからファウルで一球粘ってからの5球目、フランドールは美鈴からのサインにうなづく。
もちろん球種は「レーヴァテイン」フランドールが振りかぶる。

(神奈子は一つ勘違いしているみたいね。)
ベンチからフランドールを眺めるレミリアが思う。
(神と悪魔の力が互角なら-----)

フランドールの投げたボールは内角高め、神奈子は以前ホームランにした球が来たことに勝ちを確信する。
迷わずフルスイング-------しかしバットは粉々に砕けボールはフランドールのグローブへ、ピッチャーフライで3アウトチェンジ。

(悪魔が勝つに決まっているだろう?)
レミリアがベンチから笑みを浮かべる、そしてベンチに帰って来る野手陣に檄を飛ばす。
「さぁ1点差よ!打順は2番からの好打順だしサヨナラ決めてきなさい!」
先の対決でボルテージの上がりきった野手は全員言われなくても、という返事を返す。

マウンツの9回のマウンドは秋静葉、昨日に引き続きの登板だ。
(なにがなんでも塁に出ないとね、狙い目はやっぱり低めの球かな?)
3球目をミスティアは思いっきり叩き付ける、ボールはピッチャー真上へ静葉は捕ってすぐに一塁へ転送するがミスティアはそれより先に一塁を駆け抜けていた。
続く慧音が手堅く送りバントで一死二塁としたところで打席には妹紅。

(この前の仕返ししないとな!一発行くぞぉ~!)
やる気満々に妹紅が打席に向かう、そしてその初球だった。ライナー性の当たりが左中間に飛んでいく、打球は上がっていないがこれで同点だと全員がそう思ったのだが左中間を詰めていた射命丸が快足を飛ばした後のダイビングキャッチ、スタンドからは歓声と落胆の入り交じった声が聞こえる。射命丸が起き上がってすぐに二塁転送、あの当たりで飛び出していないランナーなんているわけがない、球場の誰もが試合終了だと確信していたが二塁ランナーのミスティアはすでにベースに帰塁済みだった。

(文さんの足の速さは一番知ってるつもりだよ、同じ鳥類の妖怪で俊足が売りだからね。あの人ならあの球は捕ると思ってたよ。)
ミスティアがセンターを見つめつつ思う。ともかくこれで試合はまだ終わっていない、二死二塁で打席には美鈴。

(ミスティアさんの足を持ってしてもあの外野陣からワンヒットで帰れるかは微妙ですね…)
射命丸の守備範囲、神奈子の鉄砲肩、諏訪子も神奈子ほどではないが強肩で守備範囲も広い、マウンツの外野守備は6球団でも一番と言われている。
(なら…守備なんて関係ないところまでかっ飛ばすまで!)

静葉の初球ストレートに対して美鈴が異常に早く踏み込みさらに下半身をちぎれんばかりに反対方向へと捻る、美鈴お得意の超ツイスト打法。
完璧に捉えた打球は場外へと消えていった、逆転のサヨナラツーランホームラン。ベンチからレッツメンバーが飛び出して来る、対照的にマウンツメンバーは足取り重く下がっていく。
美鈴は身体にかなりの負担をかけた反動で辛そうにダイヤモンドを回る、それでもガッツポーズと笑みは絶やさない。
ホームベースに帰って来ると身体をもみくちゃにされる、このときばかりは身体の痛みを忘れている。

だが、フランドールは違った。
「美鈴…?あんな打ち方して身体大丈夫!?」
美鈴に懐いてるフランドールだからこその心配、自分のために美鈴に無理させたのではないかという思いがあった。
「フランドール様…大丈夫ですよ!あと一ヶ月くらいは持たせてみせます!それにチームとフランドール様のためなら本望ですよ。」
美鈴が優しく笑いながらフランドールの頭をなでた。


今日の試合でレッツは3位に浮上、2位永遠亭ルナーズとは2ゲーム差であり首位の幻想郷ドリームスとは3ゲーム差。
いよいよペナントレースも佳境だ。
毎回お読みいただいている方ありがとうございます。
ついに第八幕まで投稿することができました。応援感謝です。

追記:作中に登場(?)する実在の野球選手の紹介を追記しました。第三幕、第五幕にも追記しましたので興味ある方は見ていただければ幸いです。新たな知識が増えるかも!?

星野伸之 早苗が衝撃を受けた遅球派投手。直球のMAXは130km/h前後ながら伊良部(当時最速158km/h)より速いと並みいる打者に言わせた、11年連続二桁勝利挙げてたりすごい人。

前田智徳 ヒット打ってもベース上で首をかしげたり納得いかなければホームランでも首をかしげる孤高の侍。あのイチローや落合博満すら彼の打撃には一目置くすごい人。

赤星憲広 射命丸文の説明文は彼の事を指している。作者の中でセンター、俊足、盗塁王と言えばこの人。新人王や盗塁王をとったすごい人。


それでは他球団紹介。
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射命丸文 昨シーズン成績 率.295 本5 点32 盗54
     球界屈指のリードオフマン、3年連続盗塁王を獲得しセンターの守備でも存在感を見せる。早期引退しないことが望まれる。

多々良小傘 昨シーズン成績 無し
      三塁しか守れないものの達人級の守備を見せる、ライン際を逆シングルで救う姿は何者も魅了する。

洩矢諏訪子 昨シーズン成績 率.300 本28 点112 盗14
      打点王にも輝いたことのある最強のクラッチヒッター、ダイビングキャッチの名手でもある。

八坂神奈子 昨シーズン成績 率.298 本43 点110 盗1
      本塁打王をとったこともあるパワーヒッター、また肩も強く年間15捕殺も記録している。

水橋パルスィ 昨シーズン成績 無し
       成績こそ飛び抜けたものはないが卑きょ…緻密なプレーを得意とする。一番得意なのは空タッチでアウトをとること。

橙  昨シーズン成績 無し
   瞬発力だけは射命丸にも劣らない新遊撃手、しかし非力で打撃成績はあまり芳しくない。成長を期待される選手。

東風谷早苗 昨シーズン成績 防御率2.78 勝14 負8 S0
      マウンツのエースピッチャー、奇をてらった配球が好きで読みを外す投手。キャッチャーからすればリードしにくい投手でもある。

秋穣子 防御率2.80 勝2 負4 S16
    マウンツのダブルストッパーの一角、左のアンダースローは希少価値らしくFAすれば争奪戦必死と見られる。

秋静葉 防御率2.66 勝3 負3 S26
   ダブルストッパーの一角、最終奥義は一塁守備について穣子と交互に投げる秋スペシャル。
何かの尻尾
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コメント



0.840簡易評価
1.100名前が無い程度の能力削除
続きキター!!
次はどこと当たるのでしょう?
楽しみです。
2.100名前が無い程度の能力削除
実力伯仲の熱い試合でした!
5.100Dark+削除
射命丸といい神様達といいフランといい美鈴といい早苗といい……
常識が通じないにも程がある!
でお馴染みの幻想郷。常識にとらわれてはいけないのです。今回も面白かった。

フランのレーヴァテイン……まぁ、あの魔球「スローカーブ」で知られている今中選手だって、骨折というアクシデントから始まった奇跡の「魔球」ですからね。
奇跡は偶然から生まれるこそ奇跡。(自論ですが)
それにしてもレミリアのアドバイスも凄い。
11.100名前が無い程度の能力削除
今回も熱くて面白い試合でした。
13.100名前が無い程度の能力削除
ぱるぱるの活躍見たかったw

毎度楽しく読ませていただいてます。頑張れレッツ! ビールかけまでにはなんとか幻想入りするから!
16.100名前が無い程度の能力削除
新作楽しく読ませていただきました
球速、利き手、スローカーブを考えると
早苗のモデルは元オリックスの星野伸之かな?
次回も楽しみに待ってます
18.100名前が無い程度の能力削除
いつも楽しく読ませてもらってます。
野球に疎いので、もしよければ個人的には作中で示唆される現実の選手についてもあとがきなどで解説頂けると助かります。
19.100名前が無い程度の能力削除
毎回楽しみにしてます。
早苗さんのモデルは星野伸ですよね?清原をして一番速いと言わしめた球界最遅クラスのストレートと文句なしで最遅のスローカーブ、不思議と格好よかったなー星野伸
あと私は勝てなくてもハデスを応援してます。豪快で大雑把な野球って勝っても負けても爽快で良いですよね。緊張感溢れるシリアスな野球は高校時代を思い出して真剣に見ちゃうからビールを楽しく呑めないんだよねwww
21.100名前が無い程度の能力削除
今回もよかったです!!
新球「レーヴァテイン」…フランかっこいいです!!
26.無評価名前が無い程度の能力削除
リアルの方の野球は一ヶ月後の順位が意外な結果になってて面白いですね、幻想郷リーグはどうなってるのかな?
他チームの監督のお話も読んでみたいです。
前回米つきで点数入れたのでフリーレスで。
28.無評価何かの尻尾削除
投稿が遅れて申し訳ありません。現在就職活動等で私生活が立て込んでおります。
こうなる前に完結できれば良かったのですが間に合いませんでした。
もう少しで私生活も一段落つくので広い心で待っていただければ幸いです。
29.100名前が無い程度の能力削除
毎回、楽しく
読ませてもらってます。
無理のないペースで
頑張ってください!!
31.90名前が無い程度の能力削除
パルパルの卑怯なプレイが気になりますな(ゲス顔)
美鈴が故障しそうではらはらする